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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057627
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】管路計測装置用測長器
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/06 20060101AFI20240418BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G01C7/06
G01C15/00 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164381
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】片山 諒一
(57)【要約】
【課題】管路に対して通線治具をより確実に静止させることができる管路計測装置用測長器を得る。
【解決手段】この管路計測装置用測長器3は、管路701に取り付けられる取付部301と、取付部301に設けられ、管路701に挿入された管路計測装置1を支持する通線治具2を介して管路計測装置1の移動距離を計測する測長部302と、取付部301に設けられた移動停止部303と、を備え、移動停止部303は、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動を停止させる移動停止状態と、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動が可能になる移動可能状態との間で状態が変化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路(701)に取り付けられる取付部(301)と、
前記取付部(301)に設けられ、前記管路(701)に挿入された管路計測装置(1)を支持する通線治具(2)を介して前記管路計測装置(1)の移動距離を計測する測長部(302)と、
前記取付部(301)に設けられた移動停止部(303)と、
を備え、
前記移動停止部(303)は、前記測長部(302)に対する前記通線治具(2)の長手方向への前記通線治具(2)の移動を停止させる移動停止状態と、前記測長部(302)に対する前記通線治具(2)の長手方向への前記通線治具(2)の移動が可能になる移動可能状態との間で状態が変化する管路計測装置用測長器。
【請求項2】
前記移動停止部(303)は、基部(321)と、前記基部(321)に対して回転可能に設けられた可動部(322)と、を有し、
前記可動部(322)が前記基部(321)に対して回転することによって、前記可動部(322)は、前記基部(321)と前記可動部(322)とによって前記通線治具(2)が把持される把持位置と、前記基部(321)と前記可動部(322)とによる前記通線治具(2)の把持が解除される解除位置との間で移動し、
前記可動部(322)の位置が前記把持位置になることによって前記移動停止部(303)の状態が前記移動停止状態になり、前記可動部(322)の位置が前記解除位置になることによって前記移動停止部(303)の状態が前記移動可能状態になる請求項1に記載の管路計測装置用測長器。
【請求項3】
前記移動停止部(303)は、前記取付部(301)に対して回転可能に設けられており、
前記移動停止部(303)が前記取付部(301)に対して回転することによって、前記移動停止部(303)は、前記基部(321)と前記可動部(322)とによる前記通線治具(2)の把持が可能になる使用位置と、前記使用位置からずれて配置される退避位置との間で移動する請求項2に記載の管路計測装置用測長器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管路計測装置用測長器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管路に取り付けられる取付部と、取付部に設けられ、管路に挿入された管路計測装置に接続された信号伝達ケーブルを介して管路計測装置の移動距離を計測する測長部と、を備えている管路計測装置用測長器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平2-3923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高さ方向に延びた管路を管路計測装置が上方に移動する場合には、管路計測装置を支持する通線治具が用いられる。作業者が通線治具を把持しながら通線治具を通線治具の長手方向に移動させることによって、管路計測装置が管路を上方に移動する。
【0005】
管路計測装置を用いた管路の計測開始時および計測終了時には、管路計測装置におけるセンサ誤差のキャンセル処理のために、管路に対して管路計測装置を静止させる必要がある。しかしながら、作業者が通線治具を把持しながら通線治具を静止させようとしても、管路に対して通線治具の長手方向に通線治具が動いてしまう場合がある。管路に対して通線治具の長手方向に通線治具が動くことによって、管路計測装置におけるセンサ誤差のキャンセル処理に悪影響を与えてしまう。その結果、管路計測装置の計測結果に含まれる誤差が大きくなってしまうという問題点があった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、管路に対して通線治具をより確実に静止させることができる管路計測装置用測長器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る管路計測装置用測長器は、管路に取り付けられる取付部と、取付部に設けられ、管路に挿入された管路計測装置を支持する通線治具を介して管路計測装置の移動距離を計測する測長部と、取付部に設けられた移動停止部と、を備え、移動停止部は、測長部に対する通線治具の長手方向への通線治具の移動を停止させる移動停止状態と、測長部に対する通線治具の長手方向への通線治具の移動が可能になる移動可能状態との間で状態が変化する。
また、この発明に係る管路計測装置用測長器では、移動停止部は、基部と、基部に対して回転可能に設けられた可動部と、を有し、可動部が基部に対して回転することによって、可動部は、基部と可動部とによって通線治具が把持される把持位置と、基部と可動部とによる通線治具の把持が解除される解除位置との間で移動し、可動部の位置が把持位置になることによって移動停止部の状態が移動停止状態になり、可動部の位置が解除位置になることによって移動停止部の状態が移動可能状態になる。
また、この発明に係る管路計測装置用測長器では、移動停止部は、取付部に対して回転可能に設けられており、移動停止部が取付部に対して回転することによって、移動停止部は、基部と可動部とによる通線治具の把持が可能になる使用位置と、使用位置からずれて配置される退避位置との間で移動する。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る管路計測装置用測長器によれば、管路に対して通線治具をより確実に静止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る管路計測装置用測長器を備えた管路計測システムを示す構成図である。
図2図1の通線治具および管路計測装置用測長器を示す拡大図である。
図3図2の管路計測装置用測長器の要部を示す拡大図である。
図4図3の管路計測装置用測長器を示す側面図である。
図5図4のベース板が回転した状態を示す背面図である。
図6図3のケース可動部が回転した状態を示す図である。
図7図4のケース可動部が回転した状態を示す図である。
図8図2の移動停止部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る管路計測装置用測長器を備えた管路計測システムを示す構成図である。管路計測システムは、管路計測装置1と、通線治具2と、管路計測装置用測長器3と、アンテナ装置4と、演算装置5と、を備えている。
【0011】
管路計測装置1は、管7に形成された管路701に挿入されている。管7は、トンネル6の天井部分601に設けられている。管7の長手方向における管7の端部には、開口部702が形成されている。開口部702は、管路701に繋がっている。開口部702は、トンネル6の内側空間に配置されている。
【0012】
管路701は、開口部702から上方に延びている。言い換えれば、管路701は、開口部702から高さ方向に延びている。なお、管路701が延びる方向は、高さ方向に限らない。管路701が延びる方向は、例えば、水平方向、水平面に対して傾斜した方向であってもよい。
【0013】
管路計測装置1は、図示しないジャイロ装置と、図示しない傾斜計測装置と、を有している。管路計測装置1のジャイロ装置は、管路701における管路計測装置1が配置されている領域の水平面に沿った方向を計測する。管路計測装置1の傾斜計測装置は、管路701における管路計測装置1が配置されている領域の水平面に対する傾斜角度を計測する。
【0014】
通線治具2は、長尺形状に形成されている。通線治具2は、管路計測装置1を支持することができる程度の剛性を有している。また、通線治具2は、管路701の形状に対応して湾曲することができる程度の剛性を有している。通線治具2を構成する材料としては、例えば、グラスファイバー、カーボンファイバーが挙げられる。
【0015】
通線治具2の長手方向における通線治具2の先端部は、トンネル6の内側空間から管路701に挿入されている。通線治具2の長手方向における通線治具2の基端部は、トンネル6の内側空間に設けられた巻取装置8に巻かれている。
【0016】
通線治具2は、作業者9に把持される。作業者9が通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させることによって、通線治具2の長手方向における通線治具2の先端部が管路701に沿って管路701を移動する。
【0017】
通線治具2は、管路701に挿入されている管路計測装置1を支持している。したがって、通線治具2の長手方向における通線治具2の先端部が管路701に沿って管路701を移動することによって、管路計測装置1が管路701に沿って管路701を移動する。
【0018】
管路計測装置用測長器3は、取付部301と、測長部302と、移動停止部303と、を備えている。取付部301は、管路701に取り付けられている。測長部302および移動停止部303のそれぞれは、取付部301に設けられている。
【0019】
測長部302は、通線治具2の長手方向における通線治具2の移動距離を計測する。通線治具2の長手方向における通線治具2の移動距離は、管路701を移動する管路計測装置1の移動距離と一致する。したがって、測長部302は、通線治具2を介して、管路計測装置1の移動距離を計測する。
【0020】
移動停止部303は、管路701に対して管路計測装置1を静止させる場合に用いられる。移動停止部303は、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動を停止させる。測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動が停止することによって、管路701に対して管路計測装置1が静止する。
【0021】
アンテナ装置4は、取付部301に設けられている。演算装置5は、トンネル6の床部602に設けられている。アンテナ装置4および演算装置5は、ケーブル10を介して互いに接続されている。なお、アンテナ装置4が設けられる部材は、取付部301に限らない。アンテナ装置4が設けられる部材は、例えば、演算装置5であってもよい。
【0022】
管路計測装置1および演算装置5は、アンテナ装置4を介して、互いに無線通信を行う。管路計測装置1と演算装置5との間で無線通信が行われることによって、管路計測装置1の計測結果が管路計測装置1から演算装置5に入力される。
【0023】
測長部302および演算装置5は、ケーブル11を介して互いに接続されている。測長部302の計測結果は、ケーブル11を介して演算装置5に入力される。
【0024】
演算装置5は、管路計測装置1の計測結果および測長部302の計測結果を用いて、管路701の形状を算出する。
【0025】
図2は、図1の通線治具2および管路計測装置用測長器3を示す拡大図である。図3は、図2の管路計測装置用測長器3の要部を示す拡大図である。図4は、図3の管路計測装置用測長器3を示す側面図である。取付部301は、ホルダ304と、アーム305と、ベース板306と、を有している。
【0026】
ホルダ304は、管挿入部307と、複数のねじ308と、アーム取付部309と、回転軸310と、を有している。図3および図4では、管挿入部307および複数のねじ308が省略されている。
【0027】
管挿入部307の内側には、管7の長手方向における管7の端部が挿入される。管7の長手方向における管7の端部が管挿入部307の内側に挿入された状態で、複数のねじ308を介して、管挿入部307が管7の端部に固定される。管挿入部307が管7の端部に固定されることによって、取付部301が管路701に取り付けられる。
【0028】
アーム取付部309は、管挿入部307に固定されている。なお、ホルダ304は、管挿入部307および複数のねじ308を有していない構成であってもよい。この場合に、アーム取付部309が管7の端部に固定される。
【0029】
回転軸310は、アーム取付部309に設けられている。回転軸310は、管7の長手方向に垂直な平面に沿って配置されている。
【0030】
アーム305は、回転軸310を介してアーム取付部309に取り付けられている。したがって、アーム305は、回転軸310を中心に、アーム取付部309に対して回転可能になっている。
【0031】
ベース板306は、アーム305に取り付けられている。したがって、アーム305がアーム取付部309に対して回転することによって、ベース板306がアーム取付部309に対して回転する。
【0032】
図5は、図4のベース板306が回転した状態を示す背面図である。ベース板306がアーム取付部309に対して回転することによって、ベース板306は、管7の長手方向に沿ったベース板計測位置と、管7の長手方向に沿った直線Lに対して傾斜するベース板退避位置との間で移動する。図4では、ベース板306の位置がベース板計測位置である管路計測装置用測長器3が示されており、図5では、ベース板306の位置がベース板退避位置である管路計測装置用測長器3が示されている。
【0033】
取付部301が管路701に取り付けられている状態で、管路計測装置1を管路701に挿入する場合または管路701から管路計測装置1を取り出す場合には、作業者9は、ベース板306の位置をベース板退避位置にする。これにより、管路計測装置1を管路701に挿入する作業または管路701から管路計測装置1を取り出す作業が容易になる。
【0034】
管路701に管路計測装置1が挿入されている状態で、管路計測装置1の計測が行われる場合には、作業者9は、ベース板306の位置をベース板計測位置にする。これにより、測長部302による管路計測装置1の移動距離の計測が可能になる。
【0035】
取付部301は、インデックスプランジャ311を有している。インデックスプランジャ311は、作業者9によって操作される。インデックスプランジャ311が操作されることによって、インデックスプランジャ311は、アーム305がアーム取付部309に対して回転可能な状態と、アーム取付部309に対するアーム305の回転が停止される状態との間で状態が変化する。
【0036】
ベース板306を移動させる場合には、作業者9は、インデックスプランジャ311の状態を、アーム305がアーム取付部309に対して回転可能な状態にする。一方、ベース板306の移動を停止させる場合には、作業者9は、インデックスプランジャ311の状態を、アーム取付部309に対するアーム305の回転が停止される状態にする。
【0037】
測長部302および移動停止部303は、ベース板306に設けられている。したがって、ベース板306がアーム取付部309に対して回転することによって、測長部302および移動停止部303がアーム取付部309に対して回転する。
【0038】
測長部302は、測長部ケース312と、プーリ313と、ガイドローラ314と、エンコーダボックス315と、トグルクランプ316と、を有している。
【0039】
測長部ケース312は、ケース固定部317と、ケース可動部318と、2個の蝶番319と、を有している。ケース固定部317は、ベース板306に固定されている。ケース可動部318は、2個の蝶番319を介してケース固定部317に取り付けられている。2個の蝶番319のそれぞれは、回転軸が互いに同一直線上に配置されている。
【0040】
ケース可動部318は、2個の蝶番319のそれぞれの回転軸を中心にケース固定部317に対して回転可能になっている。2個の蝶番319のそれぞれの回転軸は、ベース板306に沿って配置されている。
【0041】
図6は、図3のケース可動部318が回転した状態を示す図である。図7は、図4のケース可動部318が回転した状態を示す図である。プーリ313およびガイドローラ314は、ベース板306に設けられている。
【0042】
測長部302は、8個の補助ローラ320を有している。8個の補助ローラ320のうちで、4個の補助ローラ320は、ベース板306に設けられており、残りの4個の補助ローラ320は、ケース可動部318に設けられている。
【0043】
ケース可動部318がケース固定部317に対して回転することによって、ケース可動部318は、ケース閉位置とケース開位置との間で移動する。
【0044】
ケース可動部318の位置がケース閉位置である場合に、測長部ケース312およびベース板306は、プーリ313、ガイドローラ314および8個の補助ローラ320を囲む。一方、ケース可動部318の位置がケース開位置である場合に、プーリ313、ガイドローラ314および8個の補助ローラ320が露出される。
【0045】
測長部302に対する通線治具2の取り付けまたは取り外しを行う場合には、作業者9は、ケース可動部318の位置をケース開位置にする。一方、測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させる場合には、作業者9は、ケース可動部318の位置をケース閉位置にする。
【0046】
プーリ313は、通線治具2に接触する。通線治具2が通線治具2の長手方向に移動することによって、プーリ313が回転する。
【0047】
ガイドローラ314は、通線治具2をプーリ313に押し付けるプーリ押付位置と、プーリ313への通線治具2の押し付けが解除されるプーリ押付解除位置との間で移動する。
【0048】
測長部302に対する通線治具2の取り付けまたは取り外しを行う場合には、作業者9は、ガイドローラ314の位置をプーリ押付解除位置にする。これにより、測長部302に対する通線治具2の取り付けまたは取り外しを容易に行うことができる。
【0049】
一方、測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させる場合には、作業者9は、ガイドローラ314の位置をプーリ押付位置にする。これにより、通線治具2に対するプーリ313の滑りが抑制される。その結果、通線治具2が通線治具2の長手方向に移動することによって、プーリ313がより確実に回転する。
【0050】
エンコーダボックス315は、ベース板306に設けられている。エンコーダボックス315は、図示しないエンコーダを有している。エンコーダボックス315のエンコーダは、プーリ313に接続されている。エンコーダボックス315のエンコーダは、プーリ313の回転数を計測する。エンコーダボックス315のエンコーダの計測結果は、測長部302の計測結果として、測長部302から出力されて演算装置5に入力される。
【0051】
トグルクランプ316は、ベース板306に設けられている。トグルクランプ316は、作業者9によって操作される。トグルクランプ316が操作されることによって、ガイドローラ314がプーリ押付位置とプーリ押付解除位置との間で移動する。
【0052】
ベース板306に設けられている4個の補助ローラ320およびケース可動部318に設けられている4個の補助ローラ320は、1個ずつ互いに対応して配置されている。したがって、8個の補助ローラ320は、4組の補助ローラ320を構成している。ケース可動部318の位置がケース閉位置である場合に、ベース板306に設けられている4個の補助ローラ320およびケース可動部318に設けられている4個の補助ローラ320は、1組ずつ通線治具2を挟む。
【0053】
通線治具2の長手方向に見た場合に、4組の補助ローラ320のうちの2組の補助ローラ320が通線治具2を挟む方向は、他の2組の補助ローラ320が通線治具2を挟む方向に対して垂直になっている。これにより、測長部302の中にある通線治具2の形状を直線上に延びた状態に安定させることができる。その結果、測長部302の中を通線治具2が移動する方向を、より確実に通線治具2の長手方向にすることができる。
【0054】
移動停止部303は、基部321と、可動部322と、蝶番323と、を有している。可動部322は、蝶番323を介して基部321に取り付けられている。可動部322は、蝶番323の回転軸を中心に基部321に対して回転可能になっている。したがって、可動部322は、基部321に対して回転可能に設けられている。
【0055】
可動部322が基部321に対して回転することによって、可動部322は、把持位置と解除位置との間で移動する。
【0056】
可動部322の位置が把持位置である場合に、基部321と可動部322とによって通線治具2が把持される。可動部322の位置が把持位置になることによって、移動停止部303の状態は、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動を停止させる移動停止状態になる。
【0057】
一方、可動部322の位置が解除位置である場合に、基部321と可動部322とによる通線治具2の把持が解除される。可動部322の位置が解除位置になることによって、移動停止部303の状態は、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動が可能になる移動可能状態になる。
【0058】
言い換えれば、可動部322が把持位置と解除位置との間で移動することによって、移動停止部303は、移動停止状態と移動可能状態との間で状態が変化する。
【0059】
図8は、図2の移動停止部303を示す斜視図である。移動停止部303は、蝶番324を有している。基部321は、蝶番324を介してベース板306に取り付けられている。移動停止部303は、蝶番324の回転軸を中心にベース板306に対して回転可能になっている。したがって、移動停止部303は、取付部301に対して回転可能に設けられている。
【0060】
移動停止部303がベース板306に対して回転することによって、移動停止部303は、使用位置と退避位置との間で移動する。
【0061】
移動停止部303の位置が使用位置である場合に、基部321と可動部322とによる通線治具2の把持が可能になる。一方、移動停止部303の位置が退避位置である場合に、移動停止部303が使用位置からずれて配置される。
【0062】
測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させる場合には、作業者9は、移動停止部303の位置を退避位置にする。これにより、作業者9による通線治具2の長手方向への通線治具2の移動が容易になる。
【0063】
一方、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動を停止させる場合には、作業者9は、移動停止部303の位置を使用位置にする。これにより、基部321と可動部322とによる通線治具2の把持が可能になる。
【0064】
次に、管路計測システムを用いて管路701の形状を計測する手順について説明する。まず、取付部301を管路701に取り付ける。
【0065】
その後、ベース板306の位置をベース板退避位置にして、管路計測装置1を管路701に挿入する。
【0066】
その後、ベース板306の位置をベース板計測位置にし、ケース可動部318の位置をケース開位置にし、ガイドローラ314の位置をプーリ押付解除位置にし、移動停止部303の位置を退避位置にして、通線治具2を測長部302に取り付ける。また、通線治具2の先端部を管路計測装置1に接続する。
【0067】
その後、トグルクランプ316を操作してガイドローラ314の位置をプーリ押付位置にし、ケース可動部318の位置をケース閉位置にし、移動停止部303の位置を使用位置にし、可動部322の位置を把持位置にする。これにより、作業者9が通線治具2を把持することなく、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動が停止する。その結果、管路701に対して通線治具2が静止する。その後、管路計測装置1は、センサ誤差のキャンセル処理を行う。
【0068】
その後、可動部322の位置を解除位置にし、移動停止部303の位置を退避位置にする。これにより、通線治具2は、測長部302に対して通線治具2の長手方向に移動可能になる。その後、測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させる。これにより、管路計測装置1が管路701を移動する。
【0069】
管路計測装置1が管路701における計測対象領域の全てを移動した後に、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動を停止させる。
【0070】
その後、移動停止部303の位置を使用位置にし、可動部322の位置を把持位置にする。これにより、作業者9が通線治具2を把持することなく、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動が停止する。その結果、管路701に対して通線治具2が静止する。その後、管路計測装置1は、センサ誤差のキャンセル処理を行う。
【0071】
その後、可動部322の位置を解除位置にし、移動停止部303の位置を退避位置にする。また、ケース可動部318の位置をケース開位置にして、トグルクランプ316を操作してガイドローラ314の位置をプーリ押付解除位置にし、通線治具2を測長部302から取り外す。
【0072】
その後、ベース板306の位置をベース板退避位置にして、管路計測装置1を管路701から取り外す。以上により、管路計測システムを用いて管路701の形状を計測する手順が終了する。
【0073】
以上説明したように、実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3は、取付部301と、測長部302と、移動停止部303と、を備えている。取付部301は、管路701に取り付けられる。測長部302は、取付部301に設けられている。測長部302は、管路701に挿入された管路計測装置1を支持する通線治具2を介して管路計測装置1の移動距離を計測する。移動停止部303は、取付部301に設けられている。移動停止部303は、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動を停止させる移動停止状態と、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動が可能になる移動可能状態との間で状態が変化する。この構成によれば、移動停止部303の状態を移動停止状態にすることによって、管路701に対して通線治具2をより確実に静止させることができる。その結果、管路計測装置1の計測結果の精度を向上させることができる。
【0074】
また、実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3では、移動停止部303は、基部321と、基部321に対して回転する可動部322と、を有している。可動部322が基部321に対して回転することによって、可動部322は、基部321と可動部322とによって通線治具2が把持される把持位置と、基部321と可動部322とによる通線治具2の把持が解除される解除位置との間で移動する。可動部322の位置が把持位置になることによって移動停止部303の状態が移動停止状態になり、可動部322の位置が解除位置になることによって移動停止部303の状態が移動可能状態になる。この構成によれば、簡単な構成で、管路701に対して通線治具2をより確実に静止させることができる。
【0075】
また、実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3では、移動停止部303は、取付部301に対して回転可能に設けられている。移動停止部303が取付部301に対して回転することによって、移動停止部303は、基部321と可動部322とによる通線治具2の把持が可能になる使用位置と、使用位置からずれて配置される退避位置との間で移動する。この構成によれば、移動停止部303の位置を退避位置にして、測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させることができる。これにより、測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させる際に通線治具2が移動停止部303に接触することが抑制される。その結果、測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を容易に移動させることができる。
【0076】
なお、実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3では、移動停止部303が基部321と可動部322とを有し、可動部322が基部321に対して回転することによって、可動部322が把持位置と解除位置との間で移動する構成について説明した。しかしながら、移動停止部303は、基部321と可動部322とを有する構成に限らず、移動停止状態と移動可能状態との間で状態が変化する構成であればよい。
【0077】
また、実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3では、移動停止部303が取付部301に対して回転可能に設けられている構成について説明した。しかながら、移動停止部303が取付部301に対して回転可能に設けられていない構成であってもよい。また、移動停止部303が取付部301に対して着脱可能に設けられている構成であってもよい。この場合に、測長部302に対する通線治具2の長手方向への通線治具2の移動を停止させる場合には、作業者9は、移動停止部303を取付部301に取り付ける。一方、測長部302に対して通線治具2の長手方向に通線治具2を移動させる場合には、作業者9は、移動停止部303を取付部301から取り外す。
【0078】
以上、好ましい実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3について説明したが、上述した実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3に制限されることはない。特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態1に係る管路計測装置用測長器3に種々の変形および変換を加えることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 管路計測装置、2 通線治具、3 管路計測装置用測長器、4 アンテナ装置、5 演算装置、6 トンネル、7 管、8 巻取装置、9 作業者、10 ケーブル、11 ケーブル、301 取付部、302 測長部、303 移動停止部、304 ホルダ、305 アーム、306 ベース板、307 管挿入部、308 ねじ、309 アーム取付部、310 回転軸、311 インデックスプランジャ、312 測長部ケース、313 プーリ、314 ガイドローラ、315 エンコーダボックス、316 トグルクランプ、317 ケース固定部、318 ケース可動部、319 蝶番、320 補助ローラ、321 基部、322 可動部、323 蝶番、324 蝶番、601 天井部分、602 床部、701 管路、702 開口部。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8