(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057642
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】イベント証明システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240418BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20240418BHJP
G06Q 40/04 20120101ALI20240418BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/38 312
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164413
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216677
【弁理士】
【氏名又は名称】坂次 哲也
(72)【発明者】
【氏名】川口 将司
【テーマコード(参考)】
5L020
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA72
5L040BB51
5L049CC11
5L050CC11
5L055AA72
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】物や価値の往来からは独立して、その情報自体単独では価値を持たないイベントや行為、事実等を第三者に対して証明する。
【解決手段】利用者端末21に対して、利用者2による証明の対象となり得るイベントに関連する商品等の購入等の行為に係るユーザインタフェースを提供するUI処理部と、証明の対象となり得るイベントに関連する決済等に係る処理を行う決済処理部11と、処理が完了した決済等に係るイベントが証明の対象となるものか否かを判定し、証明の対象となる場合には当該イベントに係る証明情報を収集する証明処理部13と、証明情報を属性情報に付与してブロックチェーン4上の利用者2に係るウォレット41に対してNFTを発行するウォレット管理部14とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に係るイベントの存在を証明する証明情報を提示するイベント証明システムであって、
前記利用者が使用する利用者端末に対して、前記利用者による証明の対象となり得るイベントに関連する商品等の購入等の行為に係るユーザインタフェースを提供するUI処理部と、
証明の対象となり得るイベントに関連する決済等に係る処理を行う決済処理部と、
前記決済処理部による処理が完了した決済等に係るイベントが証明の対象となるものか否かを判定し、証明の対象となる場合には当該イベントに係る証明情報を収集する証明処理部と、
前記証明情報を属性情報に付与してブロックチェーン上の前記利用者に係るウォレットに対してNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)を発行するウォレット管理部と、
を有する、イベント証明システム。
【請求項2】
請求項1に記載のイベント証明システムにおいて、
前記証明情報は、前記利用者が購入等した商品等に係る提供者により入力されたメモを含む、イベント証明システム。
【請求項3】
請求項1に記載のイベント証明システムにおいて、
前記証明情報は、前記NFTの発行元による電子署名を含む、イベント証明システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)による証明の技術に関し、特に、イベントや行為、事実等を証明するイベント証明システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブロックチェーン上で一意で代替不可能なデータ単位を実現する技術であるNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)の利用が急速に拡がっている。NFTの利用により、デジタル空間において唯一無二の権利等を主張・証明・識別することが可能となり、根拠となるNFTの所有権はコピーや改ざんができないことも合わせ、価値そのものの送付や移転とその追跡をすることが可能となったことから、このような特性を利活用する様々な仕組みが検討されている。
【0003】
例えば、特許第7033352号公報(特許文献1)には、登録ユーザであるアーティストから出品リクエストが行われたアート作品の出品登録を行うアート作品取引管理装置と、出品登録されたアート作品に対応する所有権トークン(NFT)を発行し、発行した所有権トークンをブロックチェーンネットワークへ出品する所有権トークン管理装置とを備えるアート作品取引システムが記載されている。
【0004】
また、例えば、特開2022-35296号公報(特許文献2)には、ブロックチェーンプラットフォーム上にスマートコントラクトを実装したサーバが、駐車場の予約を表す第1のトークンの発行および移転と、前記駐車場を目的地とする車両への同乗予約を表す第2のトークンの発行および移転と、前記車両への同乗が行われる際に、前記第2のトークンの償却を行い、前記駐車場への駐車が行われる際に、前記第1のトークンの償却を行う予約システムが記載されている。
【0005】
また、例えば、特許第7093487号公報(特許文献3)には、製品に関する情報を管理するとともに、製品の購入者情報と製品のシリアル番号とを含むNFT発行依頼を行うことで、製品の真の所有者と製品とを確実に対応付けて、製品が購入されてから廃棄されるまでの生涯にわたる管理を可能とする仕組みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7033352号公報
【特許文献2】特開2022-35296号公報
【特許文献3】特許第7093487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来技術によれば、物(デジタルコンテンツも含む)の所有権や使用権、その他の何らかの権利・価値の存在や内容をNFTによって証明し、その移転や追跡をすることが可能となる。この場合、例えば、絵画について、これに関連付けられたNFTにより、所有権や使用権といった権利の現在の所在、および過去の移転の履歴等について証明することができる。
【0008】
一方で、例えば、当該絵画の所有者にとっては、当該絵画を手放してしまうと、自身が当該絵画を所有していたという事実は、当該絵画に関連付けられたNFTがあればそこに履歴として残り得るものの、同人がNFTを保有していない状態では、当該事実を同人が自ら証明することは容易ではなく、実生活ではそもそも対象の物などに関連付けられたNFTが存在しないという場合も多い。すなわち、物や価値の往来からは独立して、その情報自体単独では価値を持たないイベントや行為、事実等(上記の例では、当該絵画の所有権ではなく、当該絵画を所有していたことがあるという事実)を第三者に対して証明するという手段に対するニーズがある。
【0009】
そこで本発明の目的は、物や価値の往来からは独立して、その情報自体単独では価値を持たないイベントや行為、事実等(以下では単に「イベント」と総称する場合がある)を第三者に対して証明するイベント証明システムを提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記載および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0012】
本発明の代表的な実施の形態であるイベント証明システムは、利用者に係るイベントの存在を証明する証明情報を提示するイベント証明システムであって、前記利用者が使用する利用者端末に対して、前記利用者による証明の対象となり得るイベントに関連する商品等の購入等の行為に係るユーザインタフェースを提供するUI処理部と、証明の対象となり得るイベントに関連する決済等に係る処理を行う決済処理部と、前記決済処理部による処理が完了した決済等に係るイベントが証明の対象となるものか否かを判定し、証明の対象となる場合には当該イベントに係る証明情報を収集する証明処理部と、前記証明情報を属性情報に付与してブロックチェーン上の前記利用者に係るウォレットに対してNFTを発行するウォレット管理部と、を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0014】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、物や価値の往来からは独立して、その情報自体単独では価値を持たないイベントを第三者に対して証明することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態であるイベント証明システムの構成例について概要を示した図である。
【
図2】本発明の一実施の形態におけるイベントの証明処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0017】
<概要>
本発明の一実施の形態であるイベント証明システムは、その情報自体単独では価値を持たないイベント(例えば、絵画の所有権ではなく、当該絵画を所有していたことがあるという事実)に係る情報をNFT化することで、物や価値の往来からは独立して当該イベントを第三者に対して証明することを可能とするものである。
【0018】
これにより、上記のNFTを第三者に示すことで、例えば、上述の絵画の例で言えば、所有者が当該絵画を手放した後でも、当該絵画を購入して所有していたという事実を証明し、ひいては当該絵画や画家を支持していたという事実を証明することが可能となる。また、他の具体例として、例えば、購入した馬券が的中しこれを配当金に換えた後でも、勝った馬のファンであることを証明することが可能となったり、何らかの寄付をしたことがあることを後に証明することが可能となる。また、特定のメーカーのリピーターであることを証明可能とし、メーカー側が優良顧客に対する特別なサービスを提供する際の顧客の絞り込みなどを行うことも可能となる。さらに、例えば、売買代金の支払いを行ってから実際に物が引き渡されるまでにタイムラグがあり得る不動産売買などにおいて、売買代金を支払ったことを証明し、不正行為を排除するといった利用も考えられる。
【0019】
これらの例をみても分かるように、証明し得るイベントに関連していずれも利用者による代金支払い等の決済行為が含まれており、この決済行為を捕捉し、決済の対象やイベントの内容等に関するメモ等の証明情報を含める形でNFTを発行することで、イベントを識別し、証明することが可能となる。
【0020】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態であるイベント証明システムの構成例について概要を示した図である。イベント証明システム1は、例えば、サーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバ、PC等により構成され、図示しないCPU(Central Processing Unit)により、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記録装置からメモリ上に展開したOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラム等のミドルウェアや、その上で稼働するソフトウェアを実行することで、利用者2によるイベントの証明に係る各種機能を実現する。
【0021】
このイベント証明システム1は、例えば、ソフトウェアとして実装されたユーザインタフェース(UI)処理部11、決済処理部12、証明処理部13およびウォレット管理部14などの各部を有する。なお、
図1の例では、これら各構成要素が1つのサーバシステム上に実装されるかのように表されているが、論理的な表現であり、実際は、その一部もしくは全部の構成要素がそれぞれ個別のサーバやシステム、サービス等として実装され、図示しないネットワークを介して連携する形で構成されていてもよい。
【0022】
UI処理部11は、利用者2が保有するスマートフォンやPC等の利用者端末21に対して、利用者2による証明の対象になり得るイベントに関連する商品やサービス、権利等の購入や寄付、その他の支払いや決済等の行為に係るユーザインタフェースを提供する機能を有する。例えば、利用者端末21に導入された図示しない専用のアプリケーションやWebブラウザを介して、利用者2が商品等の各種選択や決済に係る操作等を行う画面を提供することができる。なお、商品等の選択と購入に係る処理は、既存のECサイトなどと同様であるため詳細な内容については特に説明しないが、イベント証明システム1に独自に実装してもよいし、外部のECサイトなどと連携する構成としてもよい。さらに、後述するように、利用者2のNFTを管理するウォレット41にアクセスして照会・操作を行う画面を提供してもよい。
【0023】
決済処理部12は、証明の対象となり得るイベントに関連する代金支払いや寄付等の決済に係る処理を行う機能を有する。例えば、外部の金融機関3などの決済システムや決済サービスと図示しないネットワークを介して接続し、決済に係る指示や要求を行って処理結果を取得し、照会するインタフェースとして機能する。決済手段としては、現金の振込・送金やクレジットカードなど金融機関3によるものに限らず、例えば、各種のポイントサービスによるものや、ブロックチェーン4上での仮想通貨(暗号資産)によるものなど、任意の手段を利用することができる。
【0024】
証明処理部13は、決済処理部12を介して行われた決済が完了した際に、当該決済に係るイベントが証明の対象となるものか否かをNFT発行条件15に登録された条件に基づいて判定し、該当する場合には証明に供する情報を取得・収集する機能を有する。NFT発行条件15は、例えば、利用者2や商品等の販売者、もしくはイベント証明システム1の管理者等が予め設定・登録しておいてもよいし、対象の決済が行われる際に利用者2が都度指定するようにしてもよい。
【0025】
NFT発行条件15には、当該決済に係るイベントが証明の対象となるものか否か、すなわちNFTの発行の対象となる決済か否かを判断する条件が登録される。当該条件には、例えば、購入した商品の属性情報(ID情報や種別等)や、購入した利用者2の属性情報(ID情報や年齢、性別、登録プラン、Web3の利用者であるか否か等)、商品の販売者の属性情報(ID情報や業種、登録プラン等)、購入や決済の内容に係る情報(決済日時、決済手段、決済金額、商品やサービスの購入回数、同一販売者からの購入回数等)など、種々の値を設定することが可能である。
【0026】
イベントの証明に供する情報としては、例えば、商品やサービス等の提供者や仲介者、もしくは決済手段の提供者などによる商品やサービス等の説明情報などとすることができる。当該説明情報は、これらの提供者による当該イベントについての「証言」に相当し、例えば、商品やサービス等を提供するWebサイトに掲載されている情報や、提供者により入力等された説明、メモ等、任意のものを含むことができる。これに加えて、もしくはこれに替えてイベント証明システム1(より詳細にはNFTの発行元)による電子署名を使用してもよい。例えば、証言に相当する情報はOpenID ConnectのIDトークン形式やSAML(Security Assertion Markup Language)で用いられるアサーション形式、あるいはVerifiable Credentials形式等で発行されてもよい。
【0027】
ウォレット管理部14は、ブロックチェーン4上における利用者2のアカウント(ウォレット41)を管理し、ウォレット41に対してイベントの証明に係るNFTを発行し、また、ウォレット41に保持されているNFTを照会したり第三者に提示したりする機能を有する。イベントの証明に係るNFTの発行に際しては、ブロックチェーン4のスマートコントラクト機能を利用して、証明処理部13により取得・収集された証明情報を属性情報に付与する。当該NFT(および属性情報として付与された証明情報)を提示することで証明情報に係るイベントの存在を証明することができる。
【0028】
利用者2は、UI処理部11を介してウォレット管理部14にアクセスし、自身のアカウント(ウォレット41)のアドレスを予め登録して特定することで自身のウォレット41にアクセスすることができる。なお、ウォレット41へのアクセス方法はブロックチェーン4の仕様によっても異なり、第三者管理型(オンライン管理型、オンラインウォレット)のウォレットの場合は上記のようにウォレット管理部14のような管理所を介してアクセスする形となるが、自己管理型(ローカル管理型)の場合はウォレット管理部14等を介さずに利用者端末21からウォレット41に直接アクセスする形となる。
【0029】
<処理の流れ>
図2は、本発明の一実施の形態におけるイベントの証明処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。まず、利用者2は、利用者端末21を介してUI処理部11にアクセスし、例えば、絵画や馬券の購入、寄付など、何らかのイベントに関連する商品やサービス等を選択して購入等の要求を行うことで、UI処理部11により購入等に係る処理が行われる(S01)。そして、さらに決済もしくは支払いの要求を行うことで、決済処理部12により決済処理が行われる(S02)。
【0030】
決済処理が完了すると、証明処理部13により、当該決済に係るイベントが利用者2による証明の対象となるものか否かを判定する(S03)。上述したように、予め利用者2や商品等の販売者等によって設定された条件に基づいて判定してもよいし、当該決済に対する利用者2からの指示に基づいて判定してもよい。証明の対象となるイベントに係るものではないと判定した場合は、イベントの証明処理を終了する。
【0031】
一方、証明対象のイベントに係るものであると判定した場合は、証明処理部13により、イベントの証明に供する証明情報を取得する(S04)。上述したように、購入された商品等の提供者や決済手段の提供者等による説明やメモ等の入力を受け付けるようにしてもよい。その後、ウォレット管理部14により、ステップS04で取得した証明情報をブロックチェーン4のスマートコントラクト機能によりNFTの属性値として付与した上で、ウォレット41に対して当該イベントに係るNFTを発行し(S05)、イベントの証明処理を終了する。
【0032】
このとき、NFTの発行(NFTのスマートコントラクトのデプロイ)を行うアカウントの持ち主が、証明情報に説得力を与える者(個人・組織)と異なる場合、NFTの属性値には証明情報そのものだけでなく、説得力を与える者が独自に保有する秘密鍵による署名を付与してもよい。すなわち、商品等の提供者や決済手段の提供者がペア鍵暗号の秘密鍵sを独自に保有する場合、証明情報pに対し、署名アルゴリズムSignを用い、Sign(s,p)を計算し、この計算結果をNFTの属性値として追加することができる。なお、証明情報に説得力を与える者が、例えば、NFTを発行するアカウントの持ち主と同一である等の条件下では、署名、すなわちSign(s,p)をNFTの属性値として登録する操作は省略してもよい。
【0033】
なお、上記のステップS01では、利用者2が購入等に係る処理を行うに際して、利用者端末21を介してUI処理部11にアクセスする構成としており、上述したように、UI処理部11が外部のECサイトと連携することができる旨を説明したが、このような構成に限られない。
【0034】
例えば、利用者2が利用者端末21の図示しないWebブラウザ等を用いてECサイトに直接アクセスし、商品等を選択・購入するプロセスにおいて、ECサイト上の購入画面等にてイベントに係る証明を要求することができるチェックボックス等のオブジェクトを提供する。利用者2が商品等の購入の際にイベントの証明を要求した場合は、ECサイトでその要求を受け付け、金融機関3との決済処理が完了した後にAPI等を介してイベント証明(NFT発行)に必要な情報を含めてイベント証明のリクエストをイベント証明システム1に対して送信し、その後上記のステップS04、S05の処理を行う構成としてもよい。
【0035】
このような構成の場合、
図1におけるUI処理部11および決済処理部12の機能の少なくとも一部は、外部のECサイトのシステムに具備されることになり、イベント証明システム1が具備する必要はない。そして、利用者2が自身のアカウント(ウォレット41)の情報をイベント証明システム1に登録するのに代えて、ECサイトの当該利用者2の会員情報にウォレット41の情報を登録し、ECサイトがイベント証明のリクエストをAPIでイベント証明システム1に送信する際に、ウォレット41の情報も併せて送信し、イベント証明システム1において当該情報を用いてブロックチェーン4上の処理(NFT発行)を行うようにしてもよい。
【0036】
利用者2がアカウント(ウォレット41)の情報を登録するのではなく、ECサイトもしくはイベント証明システム1が新たにウォレット41を発行し、当該ウォレット41の情報を用いてブロックチェーン4上の処理(NFT発行)を行う構成としてもよい。この場合、イベントの証明の処理の最終工程で利用者2にウォレット41の情報を送信し、利用者端末21によって受信したウォレット41の情報を用いてブロックチェーン41に照会してイベントの証明情報(NFT)を取得する構成としてもよい。
【0037】
上記の例では、NFTを発行するために新たにウォレット41を発行したが、商品等の購入もしくはNFTの発行の都度新たにウォレット41を発行してもよいし、同一の利用者2に係る以降のNFTの発行には同一のウォレット41を用いてNFTを発行してもよい。いずれにしても、利用者2が複数のNFTを発行し、もしくは同様のECサイトを複数使用することで、NFTが複数存在することになるため、利用者端末21上のアプリケーションやECサイトにおいて、当該利用者2に対して発行された複数のウォレット41に情報を保持することが望ましい。
【0038】
なお、本実施の形態では、ウォレット管理部14によりウォレット41に保持されているNFTを照会したり第三者に提示したりするものとしているが、上述したように、利用者端末21が受信したウォレット41の情報を用いて直接ブロックチェーン4に照会して、イベントの証明情報(NFT)を取得する構成としてもよい。また、利用者2がブログやインスタグラム(登録商標)、YouTube(登録商標)等の外部のコンテンツ提供サイトに投稿するコンテンツに、NFTを照会するためのオブジェクト(リンクやボタン等)を付与してもよい。これらのコンテンツを閲覧するユーザが当該オブジェクトを押下することで、対象の外部のコンテンツ提供サイトが、当該オブジェクトに関連して保持されるウォレット41の情報を用いてNFTを照会し、照会結果を当該ユーザに送信して表示する構成としてもよい。
【0039】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態であるイベント証明システム1によれば、証明対象のイベントとして行われる、もしくは当該イベントに付随して行われる決済行為を捕捉し、決済の対象やイベントの内容等に関するメモ等の証明情報を含める形でNFTを発行することで、その情報自体単独では価値を持たないイベントに係る情報をNFT化し、物や価値の往来からは独立して当該イベントを第三者に対して証明することが可能となる。
【0040】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0041】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD等の記録装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0042】
また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、イベントや行為、事実等を証明するイベント証明システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…イベント証明システム、2…利用者、3…金融機関、4…ブロックチェーン、
11…UI処理部、12…決済処理部、13…証明処理部、14…ウォレット管理部、15…NFT発行条件、
21…利用者端末、
41…ウォレット