(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057650
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ドウ加熱食品の再加熱による食感劣化抑制用組成物、ドウの製造方法およびドウ加熱食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A21D 2/18 20060101AFI20240418BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20240418BHJP
A21D 10/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A21D2/18
A23L35/00
A21D10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164428
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000226415
【氏名又は名称】物産フードサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 雄一
(72)【発明者】
【氏名】安井 忍
(72)【発明者】
【氏名】久下 貴紀
【テーマコード(参考)】
4B032
4B036
【Fターム(参考)】
4B032DB01
4B032DB40
4B032DG02
4B032DK02
4B032DK03
4B032DK12
4B032DK18
4B032DK54
4B032DL06
4B032DL20
4B032DP23
4B032DP40
4B032DP72
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4B032DP74
4B036LC01
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4B036LH04
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4B036LH48
4B036LP01
4B036LP14
4B036LP16
4B036LP17
(57)【要約】
【課題】 ドウ加熱食品の再加熱による劣化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】 下記(ア)および/または(イ)の還元水飴を有効成分とする、ドウ加熱食品の再加熱による食感劣化抑制用組成物;(ア)糖組成が、単糖が30~50質量%、二糖が20~55質量%および三糖以上が40質量%以下である、還元水飴、(イ)デキストロース当量が55超100未満の水飴を還元してなる、還元水飴。本発明によれば、ドウ加熱食品の再加熱による食感の劣化(例えば、硬くなる、パサつく、曳きが出て歯切れや口溶けが悪くなる等)を抑制することができる。すなわち、再加熱しても良好な食感が維持されたドウ加熱食品を製造することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(ア)および/または(イ)の還元水飴を有効成分とする、ドウ加熱食品の再加熱による食感劣化抑制用組成物;
(ア)糖組成が、単糖が30~50質量%、二糖が20~55質量%および三糖以上が40質量%以下である、還元水飴、
(イ)デキストロース当量が55超100未満の水飴を還元してなる、還元水飴。
【請求項2】
前記再加熱が電子レンジによる再加熱である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
再加熱による硬化、パサつき、歯切れの悪化および/または口溶けの悪化を抑制するために用いられることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ドウを組成する材料に、請求項1~3のいずれかに記載の組成物を混合する工程を有する、ドウの製造方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の組成物を含むドウを加熱する工程を有する、ドウ加熱食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドウ加熱食品の再加熱による食感劣化抑制用組成物、ドウの製造方法およびドウ加熱食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドウ(dough)とは、穀物や豆などから得られる澱粉を主体とする食材に、水および必要に応じて他の材料(副材料)を配合してなる食品生地のうち、水分含有量が比較的少なく、流動性に乏しい固いものを指す。ドウは、焼く、蒸す、揚げる、茹でるなどの加熱調理を経て、ドウ加熱食品として食用に供される。
【0003】
近年、これらのドウ加熱食品の中には、冷凍や冷蔵あるいは常温で流通し、喫食直前に電子レンジなどで再加熱して(温めて)食することを想定したものがある。その具体例としては、例えば、チルド食品や冷凍食品の肉まんやあんまん、ピザまんなどの中華まん類、ピザやナン、イングリッシュマフィン、蒸しパン、バケット、ピタパン、菓子パンなどのパン類、チャパティやパラタ、トルティーヤ、カオヤーピン、スコーン、ビスケットなどの無発酵パン類、ゴマ団子などの点心類、アメリカンドック、ドーナツ、ホットケーキ、パンケーキ、マフィンといった菓子類などが例示される。
【0004】
ここで、一般に、食用可能な程度まで一旦加熱して製造されたドウ加熱食品を再加熱すると、硬くなる、パサつく、曳きが出て歯切れや口溶けが悪くなるといった食感の劣化や、表面のひび割れなど外観の劣化が生じることが多く、問題となっている。また、チャパティやピタパンのような、具材を巻いたり、詰めたりして食べる薄焼きパン類では、再加熱による硬化で柔軟性が低下し、食べづらくなる。さらに、外観に関しては、ピザやナン、トルティーヤのように端部(周縁部)や表面に比較的硬い部分を有するものでは、再加熱により割れやカケが生じることもある。
【0005】
そこで、ドウ加熱食品の再加熱による食感や外観、柔軟性の劣化を抑制する技術が研究開発されており、例えば、特許文献1には、穀物全粒粉を含有する焼成生地食品に糖アルコールと小麦澱粉とを含有させることで、冷蔵または冷凍保存後に再加熱した場合でも良好な食感が維持されることが開示されている。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2020-166652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、糖アルコール単独で食感維持効果が得られるものではなく、澱粉を併用することが必要である(実施例1および比較例1)。さらに、多種多様に存在する糖アルコールのうち、ソルビトールまたはエリスリトールで効果が検証されているに過ぎず(実施例1~30)、他の糖アルコールを用いた場合に同様の食感維持効果が得られるのか否かは不明である。すなわち、これらの先行技術を鑑みても、ドウ加熱食品の再加熱による劣化を抑制する技術は十分に供給されている状況とはいえない。本発明は、係る課題を解決するためになされたものであって、ドウ加熱食品の再加熱による劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、単糖の糖アルコールと二糖の糖アルコールとを所定の量含有する混合物であって、糖化度が比較的高い還元水飴(高糖化還元水飴)が、ドウ加熱食品の再加熱による劣化を抑制して、良好な食感や外観、物性を維持できることを見出した。そこで、係る知見に基づいて下記の各発明を完成した。
【0010】
(1)本発明に係るドウ加熱食品の再加熱による食感劣化抑制用組成物(本発明において、単に「本組成物」という場合がある。)は、下記(ア)および/または(イ)の還元水飴を有効成分とする;
(ア)糖組成が、単糖が30~50質量%、二糖が20~55質量%および三糖以上が40質量%以下である、還元水飴、
(イ)デキストロース当量が55超100未満の水飴を還元してなる、還元水飴。
【0011】
(2)本発明において、再加熱は、電子レンジによるものであってもよい。
【0012】
(3)本組成物は、再加熱によるドウ加熱食品の硬化、パサつき、歯切れの悪化および/または口溶けの悪化を抑制するために用いられるものであってもよい。
【0013】
(4)本発明に係るドウの製造方法は、ドウを組成する材料に、本組成物を混合する工程を有する。
【0014】
(5)本発明に係るドウ加熱食品の製造方法は、本組成物を含むドウを加熱する工程を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ドウ加熱食品の再加熱による食感の劣化(例えば、硬くなる、パサつく、曳きが出て歯切れや口溶けが悪くなる等)、物性の劣化(例えば、柔軟性が低下する等)、あるいは、外観の劣化(例えば、表面や端部に割れや欠け、ひび割れが発生する等)を抑制することができる。すなわち、再加熱しても良好な食感、物性あるいは外観が維持されたドウ加熱食品を製造することができる。また、高糖化還元水飴をドウを組成する材料に配合するという簡便な手法により、再加熱による劣化が抑制されたドウ加熱食品を製造することができる。また、還元水飴は砂糖よりも低く、砂糖に似た良質な甘味をもつことから、食味への悪影響を懸念することなく、幅広いドウ加熱食品において再加熱による劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】各種の糖アルコールを配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「柔らかさ」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【
図2】各種の糖アルコールを配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「しっとり感」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【
図3】各種の糖アルコールを配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「歯切れ」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【
図4】各種の糖アルコールを配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「口溶け」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【
図5】高糖化還元水飴を、小麦粉100重量部に対して0~約5重量部(生地における百分率で0~約2.7質量%)配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「柔らかさ」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【
図6】高糖化還元水飴を、小麦粉100重量部に対して0~約5重量部(生地における百分率で0~約2.7質量%)配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「しっとり感」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【
図7】高糖化還元水飴を、小麦粉100重量部に対して0~約5重量部(生地における百分率で0~約2.7質量%)配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「歯切れ」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【
図8】高糖化還元水飴を、小麦粉100重量部に対して0~約5重量部(生地における百分率で0~約2.7質量%)配合したマントウについて、電子レンジで再加熱した後、「口溶け」を官能試験により評価した結果を示す図である。(I)は各検査員の採点値およびその平均値(評価点)を示す表、(II)は評価点を棒グラフに表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
「ドウ加熱食品」とは、ドウを加熱してなる食品をいう。なお、「加熱」は、食品に常温以上(例えば40℃~250℃)の熱を加える処理をいう。加熱の態様は、ドウを食用可能にする方法および程度であればよい。加熱方法として、具体的には、蒸す(蒸製)、焼く(焼成)、揚げる(油ちょう)、茹でる、電子レンジによるマイクロ波加熱(電子レンジ加熱)などの処理を例示することができる。ドウ加熱食品は、製造後、低温帯(外気温あるいは室温を下回る温度。たとえば、10℃以下、5℃以下、-5℃下、-10℃以下。)や常温帯(外気温と同等程度の温度帯。例えば、5℃以上35℃以下、10℃以上30℃以下、15℃以上25℃以下。)で一定期間保存されたものであってもよい。
【0019】
「ドウ加熱食品の再加熱」とは、食用可能な程度まで一旦加熱して製造されたドウ加熱食品を、再度、加熱することをいう。再加熱は、所謂「温め直し」と言われる場合もある。再加熱の「加熱」も、上記と同様に、食品に常温以上(例えば40℃~250℃)の熱を加える処理をいい、その方法や程度は、ドウ加熱食品の態様(食品種や含有成分、サイズ、数など)に応じて適宜設定される。再加熱の方法も、上記と同様に、電子レンジによるマイクロ波加熱(電子レンジ加熱)、蒸す(蒸製)、焼く(焼成)、揚げる(油ちょう)、茹でるなどを例示することができる。
【0020】
このうち、電子レンジによる再加熱は、加熱時間が短く、手軽であることから多用されている。電子レンジ加熱のワット数や加熱時間などの条件も、ドウ加熱食品の態様(食品種や含有成分、サイズ、数など)に応じて適宜設定される。例えば、電子レンジは、低出力(100~400W)や中程度の出力(500~700W)、高出力(800~1200W)、業務用の高出力(1500~3000W)のものないしは加熱条件があるが、これらのいずれも用いることができる。
【0021】
再加熱では、ドウ加熱食品製造時に加熱されて一旦アルファ化したデンプン(ドウの主成分)、あるいはアルファ化した後、常温や低温での保存に伴い一定程度老化したデンプンを加熱することとなるため、また、再加熱によりグルテンの凝集が起こるため、食感や外観、物性の劣化が生じる。ドウ加熱食品の再加熱で通常起こる食感の劣化としては、例えば、(i)硬化(柔らかさの低下、硬くなること。)や、(ii)パサつきの増大(しっとり感の低下)、(iii)歯切れの悪化(曳きが増大して歯切れが悪くなる)、(iv)口溶けの悪化(曳きが増大して口溶けが悪くなる)、などを例示することができる。なお、ここでいう食感の「曳き」とは、口中で食品を咀嚼した際に、噛み切りにくいと感じる食感である。
【0022】
食感の劣化が抑制されたか否かは、本組成物を用いたドウ加熱食品Xと、本組成物等を用いていないドウ加熱食品Yとを同条件で再加熱した後、上記(i)~(iv)の程度を比較することにより確認できる。それにより、食品Xの方が食品Yよりも、(i)柔らかい、(ii)しっとりしている、(iii)歯切れがよい、あるいは、(iv)口溶けがよい、という比較結果が得られれば、本組成物により、ドウ加熱食品の再加熱による食感劣化が抑制されたと判断することができる。
【0023】
このことから、本組成物は、ドウ加熱食品の(i)再加熱による硬化を抑制するために(硬化抑制用組成物として)、あるいは再加熱後の柔らかさを維持するために(柔らかさ維持用組成物として)用いることもできる。
【0024】
また、本組成物は、ドウ加熱食品の(ii)再加熱によるパサつきを抑制するために(パサつき抑制用組成物として)、あるいは再加熱後のしっとり感を維持するために(しっとり感維持用組成物として)用いることもできる。
【0025】
また、本組成物は、ドウ加熱食品の(iii)再加熱による歯切れの悪化を抑制するために(歯切れ悪化抑制用組成物として)、あるいは歯切れの良さを再加熱後も維持するために(歯切れ維持用組成物として)用いることもできる。
【0026】
また、本組成物は、ドウ加熱食品の(iv)再加熱による口溶けの悪化を抑制するために(口溶け悪化抑制用組成物として)、あるいは口溶けの良さを再加熱後も維持するために(口溶け維持用組成物として)用いることもできる。
【0027】
なお、本発明において「柔らかさ」や「しっとり感」、「歯切れ(の良さ)」、「口溶け(の良さ)」あるいは「良好な食感」を「維持する」とは、本組成物を用いたドウ加熱食品Xについて、再加熱の前後で当該食感が同等であることのほか、同条件下で再加熱した、本組成物を用いていないドウ加熱食品Yと比較して、Xの方が当該食感が優れている(柔らかい、しっとりしている、歯切れがよい、口溶けがよい、あるいは、食感が好ましい)ことをいう。
【0028】
還元水飴は、水飴を還元して得られる糖アルコールである。ここで、水飴は、デンプンを酸や酵素などで加水分解(糖化)して得られる物質であり、単糖(ブドウ糖)および多糖(オリゴ糖やデキストリンなど)の混合物である。よって、還元水飴もまた、単糖の糖アルコールおよび多糖(二糖、三糖、四糖または五糖以上)の糖アルコールのうち、2種以上の糖アルコールを含む混合物である。還元水飴は、糖化の程度により高糖化還元水飴、中糖化還元水飴および低糖化還元水飴に分けられる場合がある。これらのうち、本発明では、単糖の糖アルコールと二糖の糖アルコールとを所定の量含有していて、糖化度が比較的高い還元水飴である高糖化還元水飴が、有効成分として用いられる。
【0029】
高糖化還元水飴の糖組成として、具体的には、(ア)単糖を30~50質量%、二糖を20~55質量%および三糖以上を40質量%以下含有する糖組成、あるいは、(ウ)単糖を37~50質量%、二糖を26~55質量%、三糖を1~21質量%、四糖を1~10質量%および五糖以上を1~8質量%含有する糖組成を例示することができる。
【0030】
なお、本発明において、糖組成とは、糖の総質量に占める各糖の質量割合を百分率で示すものをいう。すなわち、糖の総質量を100とした場合の、各糖の質量百分率である。
【0031】
糖組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて確認することができる。すなわち、還元水飴を試料としてHPLCに供してクロマトグラムを得る。当該クロマトグラムにおいて、全ピークの面積の総和が「糖の総質量」に、各ピークの面積が「各糖の質量」に相当する。よって、試料における各糖の質量百分率は、検出された全ピークの面積の総和に対する各ピークの面積の割合として算出することができる。HPLCの条件は、定法に従って適宜設定することができるが、下記条件を例示することができる。
《HPLCの条件》
カラム;MCI GEL CK04S(10mm ID x 200mm)
溶離液;高純水
流速;0.4mL/分
注入量;20μL
カラム温度;65℃
検出;示差屈折率検出器RI-10A(島津製作所)
【0032】
還元水飴は、水飴を還元して製造することから、還元水飴の糖化の程度は、水飴の糖化の程度に準じる。すなわち、原料水飴の糖化の程度が高いほど還元水飴の糖化の程度が高く、原料水飴の糖化の程度が低いほど還元水飴の糖化の程度は低い。水飴の糖化の程度の指標は、一般に、デキストロース当量(Dextrose Equivalent値;DE)が用いられる。DEは、試料中の還元糖をブドウ糖として測定したときの、当該還元糖の全固形分に対する割合(百分率)である。DEの最大値は100で、固形分の全てがブドウ糖であることを意味し、DEが小さくなるほど少糖類や多糖類が多いことを意味する。
【0033】
すなわち、高糖化還元水飴の原料水飴のDEとしては、(イ)55超、60以上、65以上、80以下、85以下、90以下、95以下、100未満を例示することができる。
【0034】
なお、水飴のDEは、下記の方法により測定することができる。
《DEの測定方法》
試料2.5gを正確に量り、水で溶かして200mLとする。この液10mLを量り、1/25mol/L ヨウ素溶液(注1)10mLと1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液(注2)15mLを加えて20分間暗所に放置する。次に、2mol/L塩酸(注3)を5mL加えて混和した後、1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(注4)で滴定する。滴定の終点近くで液が微黄色になったら、デンプン指示薬(注5)2滴を加えて滴定を継続し、液の色が消失した時点を滴定の終点とする。水を用いてブランク値を求め、次式1によりDEを求める。
(注1)1/25mol/L ヨウ素溶液:ヨウ化カリウム20.4gとヨウ素10.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注2)1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液:水酸化ナトリウム3.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注3)2mol/L 塩酸:水750mLに塩酸150mLをかき混ぜながら徐々に加える。
(注4)1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液:チオ硫酸ナトリウム20gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注5)デンプン指示薬:可溶性デンプン5gを水500mLに溶解し、これに塩化ナトリウム100gを溶解する。
【0035】
本発明において、還元水飴は、市販されているものをそのまま用いてもよく、当業者に公知の方法に従って製造して用いてもよい。市販の高糖化還元水飴としては、例えば、「エスイー600」、「スイートPEM」および「エスイー500」(以上、物産フードサイエンス)などを例示することができる。
【0036】
還元水飴の公知の製造方法としては、水飴(原料糖)に水素を添加する還元反応を挙げることができる。水素添加による還元反応は、例えば、40~75質量%の原料糖水溶液を、還元触媒と併せて高圧反応器中に仕込み、反応器中の水素圧を4.9~19.6MPa、反応液温を70~180℃として、混合攪拌しながら、水素の吸収が認められなくなるまで反応を行なえばよい。その後、還元触媒を分離し、イオン交換樹脂処理、必要であれば活性炭処理等で脱色脱塩した後、所定の濃度まで濃縮すれば、高濃度の還元水飴を作ることができる。
【0037】
本発明において、高糖化還元水飴は、ドウを組成する材料に混合して用いる。ドウは、高糖化還元水飴を一材料として添加して混合するほかは、常法に従って製造することができる。また、高糖化還元水飴を配合したドウは、常法によりこれを加熱してドウ加熱食品を作ることができる。すなわち、本発明は、ドウを組成する材料に本組成物を配合する工程を有する、ドウの製造方法も提供する。また、本発明は、本組成物を含むドウを加熱する工程を有する、ドウ加熱食品の製造方法も提供する。
【0038】
例えば、ドウを組成する材料としては、水、澱粉を主体とする食材(多くは穀粉が用いられる)および必要に応じて副材料を例示することができ、ドウは、これら材料を混合ないし混捏して作られる。穀粉は、粉粒状の穀物およびそれに準ずる澱粉を主体とする粉粒状の食材をいう。具体的には、例えば、小麦粉、米粉、大麦粉、全粒粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ジャガイモ粉、テフ粉、ひえ粉、きな粉、大豆粉、ヒヨコ豆粉、エンドウ豆粉、緑豆粉、そば粉、アマランサス粉、片栗粉、くず粉、タピオカ粉、栗粉、どんぐり粉などを例示することができる。ドウに配合される副材料としては、例えば、微生物やベーキングパウダーなどのガス発生剤、油脂、甘味料や食塩などの調味料、乳製品、卵、グルテン、各種の食品添加物(生地改良剤など)、チョコレートやドライフルーツ、ナッツ類などを例示することができる。
【0039】
高糖化還元水飴の配合量は、ドウの種類、ドウ加熱食品の種類、所望の味や食感、副材料の有無・種類・量などに応じて適宜設定することができる。配合量を具体的に例示すれば、例えば、穀粉100重量部に対して高糖化還元水飴(固形分)が0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上、0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上もしくは0.9重量部以上、または、ドウの総量(100質量%)に占める質量百分率で、0.1%以上、0.15%以上、0.2%以上、0.25%以上、0.3%以上、0.35%以上、0.4%以上もしくは0.45%以上を挙げることができる。
【0040】
本発明に係るドウの製造方法またはドウ加熱食品の製造方法は、本発明の特徴を損なわない限り他の工程を含むものであってもよい。係る工程としては、例えば、材料の粉砕工程、混合工程、混捏工程、発酵工程、調味工程、成型工程、冷却工程、包装工程などを例示することができる。
【0041】
以下、本発明について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
【実施例0042】
<試験方法>
(1)糖アルコール
糖アルコールは、表1に示す市販品を用いた。
【表1】
【0043】
(2)マントウ(中華まんの皮)の製造
下記[1]~[7]に示す手順により、マントウを製造した。
[1]ミキシング:各実施例に示すマントウ生地の材料を全てミキサー(愛工舎製作所)に入れ、低速で5分、中速で4分、続いて高速で1分混捏することによりマントウ生地を作製した。
[2]分割:生地を1玉60gに分割し、丸めた。
[3]ベンチタイム:丸めた生地を室温に10分置いて休ませた。
[4]成形:休ませた生地を手で丸めて、丸形の調理シートを載せた天板に載せた。
[5]発酵:天板に載せた生地を40℃、湿度70%で30分程度置くことにより発酵させた。
[6]ラックタイム:発酵後の生地を室温に5分置いて表面を乾燥させた。
[7]蒸製:調理シートに載せたまま、生地を蒸し器に入れ、15分蒸製した。その後、室温に30分置いて放冷した。
[8]冷凍保存:放冷後のマントウを食品保存用フリーザーバッグ(ポリエチレン製)に入れて-40℃に1時間置いて急速冷凍した後、-23℃の冷凍庫で7日間保存した。
【0044】
(3)官能試験
マントウを紙皿に載せて食品用ラップフィルム(ポリ塩化ビニリデン製)をかけ、電子レンジに入れて600ワットで50秒間/2個当り、マイクロ波加熱して温めた。その後、ラップフィルムを外さずに1分間放置した。このマントウを検査員により喫食して官能評価を行った。検査員は、製パン試験への従事経験があり製品評価能に優れた5名(甲~己)とした。評価項目は「柔らかさ」、「しっとり感」、「歯切れ」および「口溶け」の4項目とし、下記の採点基準により、糖アルコールを配合しない試料を5点として1~10点の10段階で各検査員が採点した。採点結果は、試料ごとに全検査員による評点の平均値を算出し、小数点第2位を四捨五入して評価点とした。下記に示すように、いずれの項目も評価点の点数が高いほど好ましいといえる。
《採点基準》
「柔らかさ」1点:非常に硬い⇔非常に柔らかい:10点(点数が小さいほど硬い。点数が大きいほど柔らかい。)
「しっとり感」1点:非常にパサつく⇔非常にしっとりしている:10点(点数が小さいほどパサついている。点数が大きいほどしっとりしている。)
「歯切れ」1点:非常に悪い⇔非常に良い:10点(点数が小さいほど歯切れが悪い。点数が大きいほど歯切れが良い。)
「口溶け」1点:非常に悪い⇔非常に良い:10点(点数が小さいほど口溶けが悪い。点数が大きいほど口溶けが良い。)
【0045】
<実施例1>糖アルコールの種類の検討
試験方法(2)に記載の方法により試料1~6のマントウを製造した。マントウ生地の配合を表2に示す。試料2~6は、添加するグラニュー糖の15質量%を各種の糖アルコールに置換して配合したマントウである。続いて、凍結状態のマントウを常温に一晩静置して自然解凍させた後、試験方法(3)に記載の方法により電子レンジ加熱し、官能試験に供した。その結果を
図1~4に示す。
【表2】
【0046】
図1に示すように、柔らかさは、試料1と比較して試料2、試料3、試料4、試料5および試料6のいずれも評価点が大きかったが、中でも試料4の評価点が顕著に大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を配合したマントウは、糖アルコールを配合しなかったものやソルビトール、還元麦芽糖水飴、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を配合したものと比較して、顕著に柔らかかった。この結果から、高糖化還元水飴は、再加熱によるドウ加熱食品の硬化を抑制することができ、当該食品の柔らかさを維持できることが明らかになった。
【0047】
次に、
図2に示すように、しっとり感は、試料1と比較して試料2、試料3、試料4、試料5および試料6のいずれも評価点が大きかったが、中でも試料4、試料5および試料6の評価点が大きく、試料4の評価点が最も大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を配合したマントウは、糖アルコールを配合しなかったものやソルビトール、還元麦芽糖水飴、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を配合したものと比較して、顕著にしっとりしていた。この結果から、高糖化還元水飴は、再加熱によるドウ加熱食品のパサつきを抑制することができ、当該食品のしっとり感を維持できることが明らかになった。
【0048】
次に、
図3に示すように、歯切れは、試料1と比較して試料3、試料4および試料6の評価点が大きかったが、中でも試料4の評価点が顕著に大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を配合したマントウは、糖アルコールを配合しなかったものやソルビトール、還元麦芽糖水飴、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を配合したものと比較して、顕著に歯切れが良かった。この結果から、高糖化還元水飴は、再加熱によるドウ加熱食品の曳きを抑制することができ、当該食品の歯切れの良さを維持できることが明らかになった。
【0049】
最後に、
図4に示すように、口溶けは、試料4のみが試料1より評価点が大きかった。また、試料4の評価点は試料1、試料2、試料3、試料5および試料6のいずれと比較しても顕著に大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を配合したマントウは、糖アルコールを配合しなかったものやソルビトール、還元麦芽糖水飴、中糖化還元水飴または低糖化還元水飴を配合したものと比較して、顕著に口溶けが良かった。この結果から、高糖化還元水飴は、再加熱によるドウ加熱食品の曳きを抑制することができ、当該食品の口溶けの良さを維持できることが明らかになった。
【0050】
<実施例2>配合割合の検討
試験方法(2)に記載の方法により試料1~5のマントウを製造した。マントウ生地の配合を表3に示す。試料1~5は、高糖化還元水飴の配合割合を、小麦粉100重量部に対して0重量部~約5重量部(生地中の百分率で0質量%~約2.7質量%)としたマントウである。続いて、凍結状態のマントウを常温に一晩静置して自然解凍させた後、試験方法(3)に記載の方法により電子レンジ加熱し、官能試験に供した。その結果を
図5~8に示す。
【表3】
【0051】
図5に示すように、柔らかさは、試料2、試料3、試料4および試料5のいずれも試料1より評価点が大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を小麦粉100重量部に対して約1~5重量部(生地中に約0.5~2.7質量%)配合したマントウは、いずれも顕著に柔らかかった。この結果から、高糖化還元水飴はその配合量にかかわらず、ドウ加熱食品の再加熱による硬化を抑制することができ、当該食品の柔らかさを維持できることが明らかになった。
【0052】
次に、
図6に示すように、しっとり感は、試料2、試料3、試料4および試料5のいずれも試料1より評価点が大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を小麦粉100重量部に対して約1~5重量部(生地中に約0.5~2.7質量%)配合したマントウは、いずれも顕著にしっとりしていた。この結果から、高糖化還元水飴はその配合量にかかわらず、ドウ加熱食品の再加熱によるパサつきを抑制することができ、当該食品のしっとり感を維持できることが明らかになった。
【0053】
次に、
図7に示すように、歯切れは、試料2、試料3、試料4および試料5のいずれも試料1より評価点が大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を小麦粉100重量部に対して約1~5重量部(生地中に約0.5~2.7質量%)配合したマントウは、いずれも顕著に歯切れが良かった。この結果から、高糖化還元水飴はその配合量にかかわらず、ドウ加熱食品の再加熱による曳きを抑制することができ、当該食品の歯切れの良さを維持できることが明らかになった。
【0054】
最後に、
図8に示すように、口溶けは、試料2、試料3、試料4および試料5のいずれも試料1より評価点が大きかった。すなわち、高糖化還元水飴を小麦粉100重量部に対して約1~5重量部(生地中に約0.5~2.7質量%)配合したマントウは、いずれも顕著に口溶けが良かった。この結果から、高糖化還元水飴はその配合量にかかわらず、ドウ加熱食品の再加熱による曳きを抑制することができ、当該食品の口溶けの良さを維持できることが明らかになった。
【0055】
<実施例3>冷蔵保存後に再加熱した場合の検討
マントウ生地の配合は実施例1の表2のとおりとし、試験方法(2)に記載の方法により試料1~6のマントウを製造した。ただし、工程[8]冷凍保存に代えて、放冷後のマントウを、食品保存用ポリ袋(ポリエチレン製)に入れて4℃の冷蔵庫で3日間保存した。続いて、冷蔵庫から出したマントウを、試験方法(3)に記載の方法により電子レンジ加熱した後、官能試験に供した。その結果は実施例1の結果と同様であり、「柔らかさ」、「しっとり感」、「歯切れ」および「口溶け」のいずれも、試料4(高糖化還元水飴)の評価点が、試料1~3および5~6と比較して最も大きかった。この結果から、高糖化還元水飴は、冷蔵保存したドウ加熱食品についても、再加熱による食感の劣化を抑制して、当該食品の好ましい食感を維持できることが明らかになった。
【0056】
<実施例4>外観評価
実施例1に記載の方法により試料1および試料4のマントウを製造し、凍結状態のマントウを常温に置いて自然解凍させた。また、実施例3に記載の方法により試料1および試料4のマントウを製造して冷蔵保存した後、冷蔵庫から出した。これらのマントウを紙皿に載せて食品用ラップフィルム(ポリ塩化ビニリデン製)をかけ、電子レンジに入れて600ワットで50秒間/2個当り、マイクロ波加熱して温めた。その後、ラップフィルムを外さずに1分間放置した。続いて、これらのマントウの外観を観察した。その結果、試料1(糖アルコール無し)では、マントウの表面にひび割れが複数箇所見られた。これに対して試料4(高糖化還元水飴)では、マントウ表面のひび割れの数が試料1より顕著に少なかった。この結果から、高糖化還元水飴は、再加熱によるドウ加熱食品の外観の劣化を抑制して、当該食品の好ましい見た目を維持できることが明らかになった。
【0057】
<実施例5>無発酵薄焼きパンにおける検討
(1)無発酵薄焼きパンの製造
下記[1]~[5]に示す手順により、試料1および試料2の無発酵薄焼きパンを製造した。試料1は、グラニュー糖を配合したもの、試料2は高糖化還元水飴を配合したものである。
[1]ミキシング:生地の材料(強力粉50重量部、薄力粉150重量部、食塩2重量部、グラニュー糖または高糖化還元水飴5重量部、食用油36重量部、水100重量部)を全てミキサーに入れ、混捏することにより生地を作製した。
[2]寝かし:作製した生地を室温に30分置いて寝かせた。
[3]分割:生地を1玉約40gに分割し、丸めた。
[4]成形:丸めた生地を成形機で直径約15cm、厚さ約2mmの円形に延ばした。
[5]焼成:中火のフライパンで、両面を軽く焦げ目が付く程度に焼いた。その後、室温に15分置いて放冷した。
[6]冷蔵保存:放冷した薄焼きパンを食品保存用ポリ袋(ポリエチレン製)に入れて4℃の冷蔵庫で3日間保存した。
【0058】
試料1~2を食品用ラップフィルム(ポリ塩化ビニリデン製)に包み、電子レンジに入れて600ワットで20秒間/1枚当り、マイクロ波加熱して温めた。ラップフィルムを外さずに1分間放置した後、下記の外観評価および官能試験を行った。
【0059】
(2)外観評価
ラップフィルムを外して、試料1~2の外観を観察した。その結果、試料1(グラニュー糖)では、薄焼きパンの端部に割れた部分や欠けた部分があり、ひび割れも複数箇所に見られた。これに対して試料2(高糖化還元水飴)では、割れや欠けは見られず、ひび割れの数が試料1より顕著に少なかった。この結果から、高糖化還元水飴は再加熱によるドウ加熱食品の外観の劣化を抑制して、当該食品の好ましい見た目を維持できることが明らかになった。
【0060】
(3)柔軟性の評価
試料1~2をそれぞれ端部からくるくると巻いて、巻きやすさや外観を柔軟性の指標として評価した。その結果、試料1(グラニュー糖)では、巻きにくく、また、巻いたときに薄焼きパンの端部にひび割れが多数生じた。これに対して試料2(高糖化還元水飴)では、巻きやすく、端部のひび割れもほとんど生じなかった。この結果から、高糖化還元水飴は再加熱によるドウ加熱食品の柔軟性の低下を抑制して、当該食品の好ましい物性を維持できることが明らかになった。
【0061】
(4)官能試験
試料1~2の薄焼きパンについて、試験方法(3)に記載の方法に準じて官能試験を行った。その結果、「柔らかさ」、「しっとり感」、「歯切れ」および「口溶け」のいずれも、試料2(高糖化還元水飴)の評価点が試料1(グラニュー糖)よりも大きかった。この結果から、高糖化還元水飴は、再加熱によるドウ加熱食品の食感の劣化を抑制して、当該食品の好ましい食感を維持できることが明らかになった。