(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057651
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】エレベーターロボット連携システム及びエレベーターロボット連携方法
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240418BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B66B3/00 P
B66B1/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164430
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA10
3F303CB27
3F502HC07
3F502JA49
3F502JB21
(57)【要約】
【課題】ロボットが行先階で正常に降車したか否かを判断することができるとともに、ロボットが降車できていない場合には復旧運転を実施できるエレベーターロボット連携システム及びエレベーターロボット連携方法を提供する。
【解決手段】エレベーターロボット連携システムは、ロボット1と、エレベーター制御装置3と、を備えている。ロボット1は、乗りかごを指定の階床へ呼び寄せ、乗りかごを行先階に向けて走行させるロボット呼び指令を作成するロボット呼び作成部4と、ロボット1が乗りかごから降車した際にロボット降車信号を、エレベーター制御装置3に送信するエレベーター降車判定部6と、を有している。エレベーター制御装置3は、ロボット異常判定部13を有している。そして、ロボット異常判定部13は、乗りかごがロボット1の行先階に到着後、エレベーター降車判定部6からロボット降車信号を受信したか否かに基づいて、ロボット復旧運転を実施するか否かを判断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に設置されたエレベーターの乗りかごに乗車及び降車するロボット及びエレベーターを制御するエレベーターロボット連携システムにおいて、
前記ロボットと通信可能に接続され、前記エレベーターを制御するエレベーター制御装置と、を備え、
前記ロボットは、
前記乗りかごを指定の階床へ呼び寄せ、前記乗りかごを行先階に向けて走行させるロボット呼び指令を作成するロボット呼び作成部と、
前記ロボットが前記乗りかごから降車したか否かを判定し、前記ロボットが前記乗りかごから降車した際にロボット降車信号を、前記エレベーター制御装置に送信するエレベーター降車判定部と、を有し、
前記エレベーター制御装置は、
前記エレベーター降車判定部から送信された前記ロボット降車信号を受信するロボット異常判定部を有し、
前記ロボット異常判定部は、前記乗りかごが前記ロボットの行先階に到着後、前記エレベーター降車判定部から前記ロボット降車信号を受信したか否かに基づいて、ロボット復旧運転を実施するか否かを判断する
エレベーターロボット連携システム。
【請求項2】
前記ロボット異常判定部は、前記乗りかごが前記ロボットの行先階に到着後、前記エレベーター降車判定部から前記ロボット降車信号を受信できなかった場合、前記ロボット復旧運転として前記ロボットと通信可能な階床である復旧動作階まで前記乗りかごを走行させる
請求項1に記載のエレベーターロボット連携システム。
【請求項3】
前記復旧動作階は、前記ロボット呼び作成部が前記ロボット呼び指令を作成した際の出発階である
請求項2に記載のエレベーターロボット連携システム。
【請求項4】
前記ロボット異常判定部は、前記乗りかごが前記復旧動作階に到着後、記エレベーター降車判定部から前記ロボット降車信号を受信したか否かに基づいて、前記ロボットが行先階で降車出来なかった異常の原因を判定する
請求項2に記載のエレベーターロボット連携システム。
【請求項5】
前記ロボット異常判定部は、前記乗りかごが前記復旧動作階に到着後、記エレベーター降車判定部から前記ロボット降車信号を受信できた場合、異常の原因は通信環境の悪化であると判断し、エレベーター降車判定部から前記ロボット降車信号を受信できなかった場合、異常の原因は前記ロボットの故障であると判断する
請求項4に記載のエレベーターロボット連携システム。
【請求項6】
前記エレベーター制御装置は、
前記ロボット異常判定部が異常の原因は前記ロボットの故障であると判断した場合、前記エレベーターの運転を継続させるか否かの判断を行うエレベーター運転継続判定部を有する
請求項5に記載のエレベーターロボット連携システム。
【請求項7】
エレベーターの乗りかごを指定の階床へ呼び寄せ、前記乗りかごを行先階に向けて走行させるロボット呼び指令をロボット呼び作成部によって作成する処理と、
ロボットが前記乗りかごから降車したか否かを判定し、前記ロボットが前記乗りかごから降車した際にロボット降車信号を、エレベーター降車判定部によってエレベーター制御装置に送信する処理と、
前記エレベーター降車判定部から送信された前記ロボット降車信号をロボット異常判定部により受信する処理と、を含み、
前記ロボット異常判定部は、前記乗りかごが前記ロボットの行先階に到着後、前記エレベーター降車判定部から前記ロボット降車信号を受信したか否かに基づいて、ロボット復旧運転を実施するか否かを判断する
エレベーターロボット連携方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターロボット連携システム及びエレベーターロボット連携方法に関する巻。
【背景技術】
【0002】
近年、建築構造物内の清掃や荷物の運搬、建築構造物の利用者への道案内などの業務をロボットで実施することの実用化が進められている。そして、ビルのように複数の階床が存在する建築構造物では、ロボットが建築構造物に設けたエレベーターを利用することが不可欠である。
【0003】
このようなロボットを制御する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、移動体の進入を制限する制限エリアを示す制限エリア情報と、移動体の位置を示す位置情報とを取得する取得部と、制限エリア情報と位置情報とに基づいて、制限エリアに移動体が存在するか否かを判断する判断部と、を備えた技術が記載されている。また、特許文献1には、移動体が制限エリアに存在すると判断部によって判断された場合に、移動体を制限エリアの外に誘導する誘導部を備えた技術が記載されている。
【0004】
一般的にロボットとエレベーターの連携は、エレベーターロボット連携サーバを介して行われる。ロボットから無線通信にてエレベーターロボット連携サーバに対して呼び登録を要求することで乗りかごの呼び寄せ及び行先階への呼び登録が行われ、ロボットはエレベーターの乗降車を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ロボットとエレベーターロボット連携サーバとの通信が途切れた場合、ロボットの誘導ができなくなり、乗りかご内にロボットが居残り、乗客の乗り降りやエレベーターの運行の妨げになる、という問題を有していた。
【0007】
本目的は、上記の問題点を考慮し、ロボットが行先階で正常に降車したか否かを判断することができるとともに、ロボットが降車できていない場合には復旧運転を実施できるエレベーターロボット連携システム及びエレベーターロボット連携方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本目的を達成するためエレベーターロボット連携システムは、建築構造物に設置されたエレベーターの乗りかごに乗車及び降車するロボット及びエレベーターを制御するエレベーターロボット連携システムである。エレベーターロボット連携システムは、ロボットと通信可能に接続され、エレベーターを制御するエレベーター制御装置と、を備えている。ロボットは、乗りかごを指定の階床へ呼び寄せ、乗りかごを行先階に向けて走行させるロボット呼び指令を作成するロボット呼び作成部と、ロボットが乗りかごから降車したか否かを判定し、ロボットが乗りかごから降車した際にロボット降車信号を、エレベーター制御装置に送信するエレベーター降車判定部と、を有している。エレベーター制御装置は、エレベーター降車判定部から送信されたロボット降車信号を受信するロボット異常判定部を有している。そして、ロボット異常判定部は、乗りかごがロボットの行先階に到着後、エレベーター降車判定部からロボット降車信号を受信したか否かに基づいて、ロボット復旧運転を実施するか否かを判断する。
【0009】
また、エレベーターロボット連携方法は、以下(1)及び(3)に示す処理を含む。
(1)エレベーターの乗りかごを指定の階床へ呼び寄せ、前記乗りかごを行先階に向けて走行させるロボット呼び指令をロボット呼び作成部によって作成する処理。
(2)ロボットが前記乗りかごから降車したか否かを判定し、前記ロボットが前記乗りかごから降車した際にロボット降車信号を、エレベーター降車判定部によってエレベーター制御装置に送信する処理。
(3)エレベーター降車判定部から送信された前記ロボット降車信号をロボット異常判定部により受信する処理。
そして、ボット異常判定部は、前記乗りかごが前記ロボットの行先階に到着後、前記エレベーター降車判定部から前記ロボット降車信号を受信したか否かに基づいて、ロボット復旧運転を実施するか否かを判断する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のエレベーターロボット連携システム及びエレベーターロボット連携方法によれば、ロボットが行先階で正常に降車したか否かを判断することができるとともに、ロボットが降車できていない場合には復旧運転を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態例にかかるエレベーターロボット連携システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態例にかかるエレベーターロボット連携システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態例にかかるエレベーターロボット連携システムのロボット復旧運転の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態例にかかるエレベーターロボット連携システムにおけるロボット降車不可時のエレベーターの運転動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、エレベーターロボット連携システム及びエレベーターロボット連携方法の実施の形態例について、
図1~
図4を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0013】
[実施の形態例]
1.エレベーターロボット連携システムの構成
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるエレベーターロボット連携システム及びエレベーターロボット連携方法の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本例のエレベーターロボット連携システムの構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本例のエレベーターロボット連携システムは、建築構造物内に設置されたエレベーターに乗車及び降車するロボット1と、建築構造物に設置されたエレベーターを制御するエレベーター制御装置3と、エレベーターロボット連携サーバ2とを備えている。
【0015】
エレベーターロボット連携サーバ2は、ロボット1を運用する建築構造物とは異なる外部の建物に設置されている。そして、エレベーターロボット連携サーバ2は、ロボット1及びエレベーター制御装置3とLTE(Long Term Evolution)等の無線通信手段により情報を送受信可能に接続されている。また、エレベーターロボット連携サーバ2を、複数の建築構造物のエレベーター制御装置3及びロボット1と通信可能に接続してもよい。
【0016】
ロボット1は、ロボット呼び作成部4と、ロボット1の駆動を制御するロボット制御部5と、エレベーター降車判定部6とを有している。ロボット呼び作成部4は、エレベーターの乗りかごを指定の階床へ呼び寄せ、乗りかごを行先階に向けて走行させるロボット呼び指令を作成する。ロボット呼び作成部4は、後述するエレベーターロボット連携サーバ2とLTE(Long Term Evolution)等の無線通信手段によって接続されている。そして、ロボット呼び作成部4は、作成したロボット呼び指令をエレベーターロボット連携サーバ2に送信する。
【0017】
ロボット制御部5は、ロボット1全般の制御を行う。例えば、ロボット呼び指令によりロボット1が待機する階床に乗りかごが到着すると、ロボット制御部5は、ロボット1を乗りかごへ乗車させる制御を行う。また、ロボット1を載せた乗りかごが目的の階床に到着すると、ロボット制御部5は、エレベーターロボット連携サーバ2を介してエレベーター制御装置3からロボット降車信号を受信する。そして、ロボット降車信号を受信すると、ロボット制御部5は、ロボット1を乗りかごから降車させる制御を行う。そして、ロボット制御部5は、エレベーター降車判定部6と情報を送受信可能に接続されている。
【0018】
エレベーター降車判定部6は、ロボット1が乗りかごから降車したか否かを判定する。エレベーター降車判定部6は、ロボット制御部5によるロボット1の駆動情報や、ロボット1に設けた各種センサの情報に基づいて、ロボット1が乗りかごから降車したか否かを判定する。そして、エレベーター降車判定部6は、ロボット1が乗りかごから降車したと判定した場合、ロボット降車信号を出力する。
【0019】
また、エレベーター降車判定部6は、ロボット呼び作成部4と同様に、エレベーターロボット連携サーバ2と無線通信手段によって接続されている。そして、エレベーター降車判定部6は、エレベーターロボット連携サーバ2にロボット降車信号を出力する。
【0020】
エレベーターロボット連携サーバ2は、ロボット1と、エレベーター制御装置3と、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信手段により情報を送受信可能に接続されている。そして、エレベーターロボット連携サーバ2は、エレベーターとロボット1との連携動作を行う。
【0021】
エレベーターロボット連携サーバ2は、ロボット呼び送信部7と、降車指示中継部8と、ロボット通信異常通報部9と、を備えている。ロボット呼び送信部7は、ロボット1のロボット呼び作成部4から送信されたロボット呼び指令を受信する。そして、ロボット呼び送信部7は、後述するエレベーター制御装置3にロボット呼び指令を送信する。
【0022】
降車指示中継部8は、エレベーター制御装置3からのロボット降車指示信号を受信する。そして、降車指示中継部8は、受信したロボット降車指示信号をロボット制御部5に送信する。また、降車指示中継部8は、エレベーター降車判定部6からのロボット降車信号を受信し、受信したロボット降車信号をエレベーター制御装置3に送信する。
【0023】
ロボット通信異常通報部9は、エレベーター制御装置3からの異常情報を受信する。そして、ロボット通信異常通報部9は、異常情報をロボット管理者16に通知する。
【0024】
エレベーター制御装置3は、ロボット呼び受信部10と、エレベーター制御部11と、ロボット降車指示部12と、ロボット異常判定部13と、ロボット復旧運転指示部14と、エレベーター運転継続判定部15とを備えている。
【0025】
ロボット呼び受信部10は、ロボット1のロボット呼び作成部4から送信されたロボット呼び指令を、エレベーターロボット連携サーバ2のロボット呼び送信部7を介して、受信し、エレベーター制御部11へ送信する。
【0026】
エレベーター制御部11は、エレベーター全体の運行を制御する。そして、エレベーター制御部11は、ロボット呼び受信部10が受信したロボット呼び指令に基づいて、乗りかごを指定の階床へ移動させる。また、エレベーター制御部11は、例えば、ロボット1を降車させる階床まで乗りかごを移動させると、ロボット降車指示部12に乗りかごが指定の階床まで移動したことを通知する。
【0027】
ロボット降車指示部12は、エレベーター制御部11からの通知に基づいて、ロボット降車指示を、降車指示中継部8を介して、ロボット制御部5に送信する。
【0028】
ロボット異常判定部13は、ロボット降車信号に基づいて、ロボット1の降車が完了したか否かを判断する。また、ロボット異常判定部13は、ロボット降車信号の受信の可否に基づいて、異常の原因を判定する。ロボット異常判定部13は、ロボット復旧運転指示部14、エレベーター運転継続判定部15及びロボット通信異常通報部9に接続されている。
【0029】
ロボット異常判定部13は、ロボット1が行先階において降車出来なかった場合、ロボット復旧運転指示部14に復旧運転指示を出力する。そして、ロボット復旧運転指示部14は、ロボット異常判定部13からの指令に基づいて、エレベーター制御部11に復旧運転指示を出力する。
【0030】
エレベーター運転継続判定部15は、ロボット復旧運転時にロボット1が降車出来なかった場合に、エレベーターの運転を継続させるか否かの判断を行う。エレベーター運転継続判定部15による運転継続の判断は、例えば、ロボット1のサイズに基づいて行われる。ロボット1のサイズの判定は、乗りかご内のカメラの画像検知、またはエレベーターロボット連携サーバ2に登録されたDB情報等により行う。そして、エレベーター運転継続判定部15は、判定結果をエレベーター制御部11及び外部のエレベーター監視装置17に送信する。また、エレベーターの運転を休止する場合、エレベーター監視装置17は、エレベーターの保守を行う保守会社のセンター装置18にエレベーターが休止状態であることを通知する。
【0031】
2.エレベーターロボット連携システムの動作例
次に、上述した構成を有するエレベーターロボット連携システムの動作例について
図2から
図4を参照して説明する。
2-1.ロボットを行先階まで移動させる動作例
まず、
図2を参照してロボットを指定の行先階まで移動させる動作例について説明する。
図2は、エレベーターロボット連携システムの動作例を示すフローチャートである。
【0032】
図2に示すように、まず、エレベーター制御装置3は、ロボット1がロボット呼びを登録したか否かを判断する(ステップS101)。具体的には、ロボット呼び受信部10が、ロボット呼び作成部4が作成したロボット呼び指令を受信したか否かを判断する。ステップS101において、ロボット1がロボット呼びを登録、すなわちロボット呼び受信部10がロボット呼び指令を受信した場合(ステップS101のYES判定)、ステップS102の処理に移行する。なお、ステップS101において、ロボット呼び指令を登録していない場合(ステップS101のNO判定)、ステップS101の処理を継続させる。
【0033】
エレベーター制御装置3は、ステップS101においてロボット呼び受信部10がロボット呼び指令を受信すると、ロボット1が待機する階床へ乗りかごを移動させる。ロボット1が待機する階床に乗りかごが移動すると、エレベーター制御装置3は、乗りかごのドアを開く。そして、ロボット1は、ロボット制御部5の制御のもと、乗りかごに乗車する(ステップS102)。
【0034】
次に、エレベーター制御装置3は、エレベーター制御部11の制御のもと、ロボット呼びで作成された行先階へ乗りかごを走行させる(ステップS103)。そして、エレベーター制御部11は、乗りかごが行先階に到着したか否かを判断する(ステップS104)。ステップS104において、乗りかごが行先階に到着していない場合(ステップS104のNO判定)、ステップS103の処理に戻る。
【0035】
ステップS104の処理において、乗りかごが行先階に到着したとエレベーター制御部11が判断した場合(ステップS104のYES判定)、ロボット降車処理を開始する(ステップS105)。すなわち、ロボット降車指示部12は、降車指示中継部8を介して、ロボット降車指示をロボット制御部5に送信する。そして、ロボット制御部5は、ロボット降車指示を受信すると、ロボット1を駆動させて乗りかごから降車させる。また、ロボット1が乗りかごから降車した場合、エレベーター降車判定部6は、ロボット降車信号を、降車指示中継部8を介して、ロボット異常判定部13に送信する。
【0036】
次に、ロボット異常判定部13は、一定時間以内にエレベーター降車判定部6からロボット降車信号を、降車指示中継部8を介して受信したか否かを判断する(ステップS106)。ここで、一定時間とは、ロボット降車指示部12からロボット降車指示をロボット制御部5に送信してからの時間である。そして、ステップS106において、一定時間以内にロボット異常判定部13がロボット降車信号を受信した場合(ステップS106のYES判定)、ロボット1が行先階に正常に降車したと判断し、ステップS101の処理に戻る。
【0037】
これに対して、ステップS106において、一定時間経過後もロボット異常判定部13がロボット降車信号を受信しなかった場合(ステップS106のNO判定)、ロボット異常判定部13は、復旧運転指示をロボット復旧運転指示部14に出力する。そして、ロボット復旧運転指示部14は、エレベーター制御部11に対して、ロボット復旧運転の実行を指示し(ステップS107)、後述する
図3に示すステップS201の処理に移行する。
【0038】
このように、本例のエレベーターロボット連携システムによれば、ロボット1が行先階において正常に降車できているか否かを判断することができる。その結果、ロボット1が降車できていない場合は、後述するロボット復旧運転を実施することができ、ロボット1が乗客の乗り降りやエレベーターの運行の妨げになることを抑制できる。
【0039】
なお、上述した例では、ロボット復旧運転の実行の可否を、ロボット異常判定部13及び降車指示中継部8がエレベーター降車判定部6から送信されたロボット降車信号の受信の可否で判断したがこれに限定されるものではない。例えば、ロボット降車信号の受信の可否に加えて、乗りかごや建築構造物に設置したカメラや乗りかごに設置した荷重センサに基づいて、ロボット1が行先階で降車したか否かを判断してもよい。これにより、ロボット1が行先階で降車しているが、ロボット異常判定部13でロボット降車信号を受信できなかった場合でも、ロボット1の降車の状態を正確に判断することができ、ロボット復旧運転が不必要に実行されることを防止できる。
【0040】
2-2.ロボット復旧運転の動作例
次に、
図3を参照してロボット復旧運転の動作例について説明する。
図3は、ロボット復旧運転の動作例を示すフローチャートである。
【0041】
図3に示すように、まず、ロボット復旧運転指示部14からロボット復旧運転の実行指示を受信すると、エレベーター制御部11は、ロボット1がロボット呼び指令を登録した際の出発階(復旧動作階)へ乗りかごを走行させる(ステップS201)。そして、エレベーター制御部11は、出発階に乗りかごが到着したか否かを判断する(ステップS202)。ステップS202において、乗りかごが出発階に到着していないとエレベーター制御部11が判断した場合(ステップS202のNO判定)、ステップS201の処理に戻る。
【0042】
また、ステップS202において、乗りかごが出発階に到着したとエレベーター制御部11が判断すると(ステップ202のYES判定)、ロボット降車指示部12は、降車指示中継部8を介して、ロボット制御部5に対して、ロボット降車指示を送信する(ステップS203)。次に、ロボット制御部5は、ロボット降車指示を受信すると、ロボット1を駆動させて乗りかごから降車させる処理を開始する(ステップS204)。ロボット1が乗りかごから降車した場合、エレベーター降車判定部6は、ロボット降車信号を、降車指示中継部8を介して、ロボット異常判定部13に送信する。
【0043】
次に、ロボット異常判定部13は、一定時間以内にエレベーター降車判定部6からロボット降車信号を、降車指示中継部8を介して受信したか否かを判断する(ステップS205)。ここで、一定時間とは、ロボット降車指示部12からロボット降車指示をロボット制御部5に送信してからの時間である。
【0044】
ステップS205において、一定時間以内にロボット異常判定部13がロボット降車信号を受信した場合(ステップS205のYES判定)、ステップS206の処理に移行する。ステップS206において、ロボット異常判定部13は、行先階でロボット降車信号を受信出来なかった原因は通信環境の悪化と判断する。そして、ロボット異常判定部13は、ロボット通信異常通報部9に異常情報を送信する。ロボット通信異常通報部9は、原因をロボット管理は16に通知する。これにより、ロボット復旧運転の動作が完了する。
【0045】
これに対して、ステップS205において、一定時間経過後もロボット異常判定部13がロボット降車信号を受信しなかった場合(ステップS205のNO判定)、すなわちロボット復旧運転を実施してもロボット1が降車出来なかった場合は、ステップS207の処理に移行する。ステップS207において、ロボット異常判定部13は、行先階でロボット降車信号を受信出来なかった原因はロボット1の故障と判断する。そして、ロボット異常判定部13は、ロボット通信異常通報部9に異常情報を送信する。ロボット通信異常通報部9は、原因をロボット管理は16に通知し、エレベーター制御装置3は、後述する
図4に示すステップ301の処理に移行する。
【0046】
このように、本例のエレベーターロボット連携システムによれば、ロボット1が行先階において正常に降車できない原因が、通信環境の悪化か、ロボット1の故障かを判別することができる。そして、ロボット1が行先階において降車できない原因が、通信環境の悪化の場合は、出発階にロボット1を降車させることで、復旧作業を自動的に実施でき、ロボット1が乗客の乗り降りやエレベーターの運行の妨げになることを防止できる。
【0047】
また、ロボット1が降車できない原因をロボット管理者16に通知することで、ロボット管理者16による復旧作業を容易に行うことができる。
【0048】
また、本例では、復旧動作階として、ロボット1のロボット呼び作成部4がロボット呼び指令を登録した階である出発階にした例を説明したが、これに限定されるものではない。ロボット復旧運転時に乗りかごを走行さえる復旧動作階は、ロボット1とエレベーターロボット連携サーバ2及びエレベーター制御装置3が通信可能な階であればよい。なお、復旧動作階として出発階にすることで、ロボット1とエレベーターロボット連携サーバ2お及びエレベーター制御装置3の通信を確保することができる。
【0049】
2-3.ロボット降車不可時のエレベーターの運転動作例
次に、
図4を参照してロボット降車不可時のエレベーターの運転動作例について説明する。
図4は、ロボット降車不可時のエレベーターの運転動作例を示すフローチャートである。
【0050】
ここで、ロボット復旧運転を実施しても、一定時間経過後もロボット異常判定部13がロボット降車信号を受信しなかった状態は、ロボット1は降車できずに乗りかご内に居残っている状態である。まず、
図4に示すように、エレベーター運転継続判定部15は、ロボット復旧運転時に降車できなかったロボット1のサイズが一定サイズ以下であるか否かを判断する(ステップS301)。ステップS301において、ロボット1のサイズが一定サイズ以下であるとエレベーター運転継続判定部15が判断した場合(ステップS301のYES判定)、ステップS302の処理に移行する。
【0051】
ステップS302において、エレベーター運転継続判定部15は、エレベーター制御部11にエレベーターの運転の継続指示を出力する。また、エレベーター制御部11は、乗りかご内に故障しているロボット1がいる旨を、乗りかご内にアナウンスするとともに、乗りかごに設けた表示装置の一例を示す液晶パネルにロボット表示し、利用者に通知する。これにより、ロボット降車不可時のエレベーターの運転動作が完了する。
【0052】
これに対して、ステップS301において、ロボット1のサイズが一定サイズを超えているとエレベーター運転継続判定部15が判断した場合(ステップS301のNO判定)、ステップS303の処理に移行する。ステップS303において、エレベーター運転継続判定部15は、エレベーター制御部11にエレベーターの運転を休止するように指令を出力する。次に、エレベーター運転継続判定部15は、判定結果をエレベーター監視装置17に出力する。そして、エレベーター監視装置17は、エレベーターの保守を行う保守会社のセンター装置18にエレベーターが休止状態であることを通知する(ステップS304)。これにより、ロボット降車不可時のエレベーターの運転動作が完了する。
【0053】
なお、
図4に示すロボット降車不可時のエレベーターの運転動作を行うタイミングは、ロボット復旧運転後に実施する例に限定されるものではない。ロボット1のサイズは、予めエレベーターロボット連携サーバ2に登録されたDB情報に格納されている。そのため、ロボット降車不可時にエレベーターを休止させるか否かの判断を、ロボット1を運用する際に予め行っていてもよい。これにより、ロボット復旧運転を実施してもロボット1が乗りかごから降車しなかった際に、直ちにエレベーターを休止させるか否かを決定することができる。
【0054】
また、
図4に示す動作例では、エレベーターを休止させるか否かの判断をロボット1のサイズに基づいて行う例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、乗りかご内のカメラの画像に基づいて、乗りかご内でのロボット1が停車している位置を検出する。そして、エレベーター運転継続判定部15は、ロボット1が停車している位置に基づいて、エレベーターを休止させるか否かの判断を行ってもよい。すなわち、ロボット1が乗りかごの出入り口に停車している場合は、エレベーターを休止させ、ロボット1が乗りかごの四隅に停車し、乗客の乗り降りの妨げにならない場合は、エレベーターの運転を継続させてもよい。
【0055】
このように、本例のエレベーターロボット連携システムによれば、ロボット降車不可時においてもエレベーターの運転を継続させるか否かを判断することで、エレベーターが休止する時間を短縮することができる。
【0056】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0057】
なお、上述した実施の形態例では、エレベーターロボット連携サーバ2をエレベーターが設置された建築構造物の外部に設置する例を説明したが、これに限定されるものではなく、エレベーターロボット連携サーバ2を建築構造物に設置したり、エレベーター制御装置3に搭載したりしてもよい。
【0058】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0059】
1…ロボット、 2…エレベーターロボット連携サーバ、 3…エレベーター制御装置、 4…ロボット呼び作成部、 5…ロボット制御部、 6…エレベーター降車判定部、 7…ロボット呼び送信部、 8…降車指示中継部、 9…ロボット通信異常通報部、 10…ロボット呼び受信部、 11…エレベーター制御部、 12…ロボット降車指示部、 13…ロボット異常判定部、 14…ロボット復旧運転指示部、 15…エレベーター運転継続判定部、 16…ロボット管理者、 17…エレベーター監視装置、 18…センター装置