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特開2024-5766印刷権限管理システム及び印刷権限表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005766
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】印刷権限管理システム及び印刷権限表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240110BHJP
   H04N 1/34 20060101ALI20240110BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 29/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
G06F3/12 373
G06F3/12 305
G06F3/12 339
H04N1/34 200
G03G21/00 390
B41J29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106128
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 信行
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061CL10
2C061HK15
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ01
2H270KA59
2H270KA60
2H270NA03
2H270NA06
2H270NA10
2H270NA14
2H270NA16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷装置やユーザにとって最適な印刷権限取得態様を提案し、利便性を向上する。
【解決手段】印刷サービス提供システム1は、S5,S15,S40において複合機200の保証印刷量又は印刷可能枚数の推移に関する推移情報を取得し、取得された推移情報に基づき、対応するユーザ又は複合機200に対して提案する新たな印刷権限取得態様をS10,S20,S45において決定し、決定された印刷権限取得態様に対応する提案情報を、S25,S50,S60において、ユーザ又は複合機200に対応するモバイル端末300へ出力する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
許容印刷量を上限として印刷を実行可能な印刷装置を管理し、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じて、前記許容印刷量を増大可能な印刷権限管理システムであって、
前記印刷装置における前記保証印刷量又は前記許容印刷量の推移に関する推移情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記推移情報に基づき、対応する前記ユーザ又は前記印刷装置に対して提案する新たな印刷権限取得態様を決定する態様決定部と、
前記態様決定部により決定された前記印刷権限取得態様に対応する提案情報を、前記ユーザ又は前記印刷装置に対応する情報端末へ出力する提案情報出力部と、
を有する、印刷権限管理システム。
【請求項2】
前記印刷権限は、
ユーザによる購入後に、対応する前記保証印刷量が前記印刷装置の前記許容印刷量に加算される購入印刷権限であり、
前記態様決定部は、
前記新たな印刷権限取得態様を、前記購入印刷権限に代わる、ユーザとの所定契約の締結に基づき定額負担により所定期間内における前記保証印刷量が保証される定額印刷権限の取得に決定する、請求項1記載の印刷権限管理システム。
【請求項3】
前記態様決定部において前記新たに取得する印刷権限として決定可能な複数の印刷権限候補を取得する権限候補取得部をさらに有し、
前記態様決定部は、
前記権限候補取得部により取得された前記複数の印刷権限候補の中から、新たに取得する1つの前記定額印刷権限を決定する、請求項2記載の印刷権限管理システム。
【請求項4】
前記印刷権限は、
ユーザの購入後に、対応する前記保証印刷量が前記印刷装置の前記許容印刷量に加算される購入印刷権限であり、
前記態様決定部は、
前記新たな印刷権限取得態様を、前記購入印刷権限の購入時に前記ユーザに提案された複数の印刷量購入単位のいずれとも異なる少なくとも1つの印刷量購入単位を含む複数の印刷量購入単位のうちいずれかによる印刷権限の購入に決定する、請求項1記載の印刷権限管理システム。
【請求項5】
前記情報取得部により取得される前記推移情報は、
前記ユーザごと又は前記印刷装置ごとの、前記購入印刷権限の購入回数又は購入頻度を含み、
前記態様決定部は、
前記情報取得部により取得された前記購入回数又は前記購入頻度と、対応する第1閾値と、の大小関係に応じて、前記新たな印刷権限取得態様を決定する、請求項2又は請求項4記載の印刷権限管理システム。
【請求項6】
前記情報取得部により取得される前記推移情報は、
前記ユーザごと又は前記印刷装置ごとの、前記許容印刷量が所定の第2閾値未満になった到達回数又は到達頻度を含み、
前記態様決定部は、
前記情報取得部により取得された前記到達回数又は前記到達頻度と、対応する第3閾値と、の大小関係に応じて、前記新たな印刷権限取得態様を決定する、請求項2又は請求項4記載の印刷権限管理システム。
【請求項7】
前記態様決定部は、
前記到達回数又は前記到達頻度が前記第3閾値以上になった場合に、前記新たな印刷権限取得態様を、前記購入印刷権限の購入を前記ユーザの操作なしで自動で行う自動購入による印刷権限の取得に決定する、請求項6記載の印刷権限管理システム。
【請求項8】
前記印刷権限は、ユーザとの所定契約の締結に基づき定額負担により所定期間内における前記保証印刷量が保証される定額印刷権限であり、
前記態様決定部は、
前記新たな印刷権限取得態様を、前記定額印刷権限に代わる、ユーザによる購入後に対応する前記保証印刷量が前記印刷装置の前記許容印刷量に加算される購入印刷権限による印刷権限の購入に決定する、請求項1記載の印刷権限管理システム。
【請求項9】
前記印刷権限は、ユーザとの所定契約の締結に基づき定額負担により所定期間内における前記保証印刷量が保証される定額印刷権限であり、
前記態様決定部は、
前記新たな印刷権限取得態様を、前記所定契約の締結時に設定された1つの種類の前記定額印刷権限に係わる前記定額負担の金額とは異なる金額の定額負担に基づく、別種類の定額印刷権限による印刷権限取得態様に決定する、請求項1記載の印刷権限管理システム。
【請求項10】
前記態様決定部において前記新たに取得する印刷権限として決定可能な複数の印刷権限候補を取得する権限候補取得部をさらに有し、
前記態様決定部は、
前記権限候補取得部により取得された前記複数の印刷権限候補の中から選択された前記別種類の定額印刷権限による印刷権限の取得に決定する、請求項9記載の印刷権限管理システム。
【請求項11】
前記情報取得部により取得される前記推移情報は、
前記ユーザごと又は前記印刷装置ごとの、過去の印刷量実績を含み、
前記態様決定部は、
前記情報取得部により取得された印刷量実績と、対応する第4閾値と、の大小関係に応じて、前記新たな印刷権限取得態様を決定する、請求項2、請求項4、請求項8、請求項9のうちいずれか1項記載の印刷権限管理システム。
【請求項12】
前記態様決定部により決定された前記印刷権限取得態様への切替を推奨するメッセージを、前記ユーザ又は前記印刷装置に対応する情報端末へ出力するメッセージ出力部をさらに有する、請求項2、請求項4、請求項8、請求項9のうちいずれか1項記載の印刷権限管理システム。
【請求項13】
許容印刷量を上限として印刷を実行可能な印刷装置であって、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じて、前記許容印刷量を増大可能な印刷装置、に対し通信可能な情報処理装置と通信可能な端末装置の演算部に対し、
前記印刷装置における保証印刷量又は許容印刷量の推移に関する推移情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得した前記推移情報に基づき、対応する前記ユーザ又は前記印刷装置に対して提案する新たな印刷権限取得態様を決定する態様決定ステップと、
前記態様決定ステップで決定した前記印刷権限取得態様に対応する提案情報を表示部に表示する提案情報表示ステップと、
を実行させるための、印刷権限管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置における印刷権限を管理する印刷権限管理システム及び印刷権限表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を使用するユーザが、サービス提供者に対して印刷内容に応じた課金料金を支払う印刷サービスにおいて、プリペイド方式の料金システムが導入される場合がある。従来、例えば特許文献1に記載のように、ユーザが有償で印刷権限を購入し、その購入した印刷権限(以下適宜、「購入印刷権限」と称する)が保証する所定の印刷量を上限として印刷を行えるようにした技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-68372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、購入印刷権限が保証する保証印刷量に基づく印刷処理が完遂され、印刷装置にて印刷可能な上限値である許容印刷量がゼロとなった場合、ユーザは新たに印刷権限を購入し購入印刷権限が保証する保証印刷量を加えて許容印刷量を増大させることで、印刷を続行することができる。
【0005】
ところで、プリペイド方式による保証印刷量に基づき印刷を行っているユーザが前述の印刷権限の追加購入を頻繁に行っている場合、その手間や負担が増大してしまう。一方で、印刷権限の追加購入の手間や負担を低減しすぎると不必要な印刷が増えて金銭的負担が増大してしまう。
【0006】
本発明の目的は、印刷装置やユーザにとって最適な印刷権限取得態様を提案し、利便性を向上できる印刷権限の購入管理プログラム及び印刷権限の購入管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、許容印刷量を上限として印刷を実行可能な印刷装置を管理し、ユーザの金銭的負担により取得される印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じて、前記許容印刷量を増大可能な印刷権限管理システムであって、前記印刷装置における前記保証印刷量又は前記許容印刷量の推移に関する推移情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記推移情報に基づき、対応する前記ユーザ又は前記印刷装置に対して提案する新たな印刷権限取得態様を決定する態様決定部と、前記態様決定部により決定された前記印刷権限取得態様に対応する提案情報を、前記ユーザ又は前記印刷装置に対応する情報端末へ出力する提案情報出力部と、を有する。
【0008】
本願発明の印刷権限管理システムは、印刷装置における印刷権限の管理を行う。ユーザは、金銭的な負担を行うことで印刷権限を取得可能である。印刷装置は、許容印刷量を上限として印刷を実行可能に構成されている。印刷権限管理システムは、ユーザの取得した印刷権限が保証する所定の保証印刷量に応じ、許容印刷量を増大することができる。
本願発明の印刷権限管理システムは、情報取得部、態様決定部、提案情報出力部を有する。情報取得部では、印刷装置における保証印刷量又は許容印刷量の推移に関する推移情報が取得される。
【0009】
取得された推移情報に基づき、態様決定部により、対応するユーザ又は印刷装置に対し提案する新たな印刷権限取得態様が決定される。態様決定部では、例えばプリペイド方式による印刷権限を取得して印刷を行っているユーザが印刷権限を頻繁に追加購入している場合等、印刷権限取得態様を変更した方が手間や経済的負担を軽減できる場合には、その変更後の態様を新たな印刷権限取得態様として決定できる。態様決定部により決定された印刷権限取得態様に対応する提案情報は、提案情報出力部により、ユーザ又は印刷装置に対応する情報端末へと出力される。
本願発明によれば、印刷装置やユーザにとって最適な印刷権限取得態様を提案できるので、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷装置やユーザにとって最適な印刷権限取得態様を提案し、利便性を向上できる印刷権限の購入管理プログラム及び印刷権限の購入管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による印刷サービス提供システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
図2】モバイル端末の概略構成を表す機能ブロック図である。
図3】印刷サービス提供システム全体のネットワーク構成を表す図である。
図4】1人のユーザが複数の複合機を利用している場合の情報送受の態様を表す図である。
図5】1つの複合機を複数のユーザで利用している場合の情報送受の態様を表す図である。
図6】モバイル端末における画面遷移の一例を表す図である。
図7】管理サーバが記憶するイベント管理テーブルを模式的に表す図である。
図8】モバイル端末における画面遷移の一例を表す図である。
図9】モバイル端末のCPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
図10】各ユーザごとに印刷可能枚数が対応付けられる変形例における、イベント管理テーブルを表す図である。
図11】モバイル端末における画面遷移の一例を表す図である。
図12】複数複合機を使用する1名のユーザに各機共通の印刷可能枚数が対応付けられる変形例における、モバイル端末における画面遷移の一例を表す図である。
図13】イベント管理テーブルを表す図である。
図14】サブスクリプション印刷サービスからプリペイド印刷サービスへの変更を提案する変形例において、モバイル端末のCPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0013】
本発明の一実施形態である印刷サービス提供システムのシステム構成を図1に示す。本実施形態は、顧客であるユーザが印刷権限を購入することにより複合機200の印刷機能を使用する印刷サービスを提供可能な、印刷サービス提供システム1の実施形態である。
【0014】
<印刷サービス提供システムの概要>
図1において、この印刷サービス提供システム1は、管理サーバ100と、複合機200と、モバイル端末300と、取引サーバ400と、を含んでいる。これら管理サーバ100、複合機200、モバイル端末300、及び取引サーバ400は、携帯電話通信回線を含むネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。なお、印刷サービス提供システム1が印刷権限管理システムの一例であり、複合機200が印刷装置の一例であり、モバイル端末300が情報端末の一例であり、端末装置の一例でもある。
【0015】
<管理サーバ>
管理サーバ100は、例えば複合機200のメーカーが設置及び管理するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、通信インタフェース190と、を有している。これらプロセッサ110、記憶装置115、及び通信インタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。管理サーバ100が情報処理装置の一例である。
【0016】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、処理対象となる各種のプログラムやデータを記憶する。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131と、データ記憶領域132と、を有している。
プログラム記憶領域131には各種プログラムが格納されている。データ記憶領域132には、例えば、後述の図7図10図13に示すようにユーザがそれぞれ当該印刷サービスに対して過去に実行した各種イベントに関する情報を履歴として記憶するイベント管理テーブルが記憶されている。
【0017】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置、例えばCPUであり、プログラム記憶領域131に格納された本実施形態の印刷サービスに関するプログラムを含む、各種プログラムを実行する。プロセッサ110は、ネットワークNTに接続されたモバイル端末300、複合機200、及び取引サーバ400に対するデータ通信を含む各種の処理を行う。プロセッサ110は、本実施形態の印刷サービス提供システム1によるイベント履歴処理を、モバイル端末300と協働して実行する。
【0018】
通信インタフェース190は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0019】
なお、上記記憶装置115は上述した装置要素での構成に限られず、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、モバイル端末300に着脱されるUSBメモリ等の可搬記録媒体、プロセッサ110が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成されてもよい。
なお、記憶装置115は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。
後述する複合機200の記憶装置215についても同様である。
【0020】
<複合機>
複合機200は、例えば、上記印刷サービスを提供する印刷サービス業者又はユーザによって保有されている。複合機200は、スキャナ部280と、印刷部290と、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、操作部250と、通信部285と、通信インタフェース270と、を有している。これらスキャナ部280、印刷部290、プロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、通信部285、及び通信インタフェース270は、バス205を介して互いに接続されている。
【0021】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230と、を備えている。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、印刷対象の画像データを記憶する画像データ記憶領域222を備えている。不揮発性記憶装置230は、例えばフラッシュメモリであり、プログラム記憶領域232を備えている。プログラム記憶領域232には各種プログラムが例えばファームウェアとして格納されている。記憶装置215には、複合機200を識別する複合機IDが記憶されている。
【0022】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ210は、プログラム記憶領域232に格納された各種プログラムを実行する。
【0023】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示可能である。操作部250は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。通信インタフェース270は、他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0024】
スキャナ部280は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に読取り対象物である原稿を読み取ることによって、読み取った画像を表すスキャンデータを生成する。
【0025】
印刷部290は、図示しない搬送機構により給紙トレイ中の用紙を取り出して搬送しつつ、その搬送される用紙に対して所定の方式で画像を印刷する。以下は、インクジェット方式で印刷が行われる場合を例にとって説明する。印刷部290は、モバイル端末300から送信された印刷ジョブ、若しくは、操作部250での操作に基づき自ら生成した印刷ジョブに応じて、特に図示しないカートリッジホルダに着脱可能に装着されるインクカートリッジのインクを用いて用紙に対し画像の形成を行う。
【0026】
通信部285は、例えば端子などであり、カートリッジホルダに装着されたインクカートリッジが有するカートリッジメモリ(ICチップ)に電気的に接続される。
【0027】
<モバイル端末>
モバイル端末300のシステム構成を図2に示す。この図2において、モバイル端末300は、例えばユーザの所有するスマートフォン等の携帯端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。モバイル端末300は、CPU310と、メモリ320と、無線通信を介してネットワークNTに接続するための通信制御部330と、タッチパネル340と、大容量記憶装置350と、を有している。
【0028】
大容量記憶装置350は、例えばフラッシュメモリであり、プログラム記憶領域351と、データ記憶領域352と、を備えている。プログラム記憶領域351には各種プログラムが例えばファームウェアとして格納されている。各種プログラムには、後述の図9のフローチャート等に基づく本実施形態の印刷サービスに関する提案情報の表示に係わる印刷権限プログラムが含まれる。CPU310は、プログラム記憶領域351に格納された本実施形態の印刷権限プログラムを実行する。CPU310は、ネットワークNTに接続された管理サーバ100に対するデータ通信を含む、後述の提案情報の表示を管理サーバ100と協働して実行する。データ記憶領域352には、上記プログラム又は上記印刷サービスに基づき発行されたユーザIDが、当該モバイル端末300に対応するユーザを識別可能な識別情報として記憶されている。
【0029】
モバイル端末300はまた、液晶ディスプレイとタッチパッドを一体的に組み合わせたタッチパネル340で各種の情報の表示と、ユーザによる各種の操作を受け付ける。ユーザは、タッチパネル340を操作することによって、種々の指示をモバイル端末300に入力可能である。タッチパネル340の表示内容の例については後述する。なお、タッチパネル340における各種の表示は、例えばCPU310から出力された表示制御信号に基づき実行される。したがって、CPU310がタッチパネル340を制御して各種表示を行わせることは、言い換えれば、当該表示を行わせるための表示制御信号をCPU310がタッチパネル340に対して出力することに相当している。
なお、モバイル端末300に代えて、例えばタブレットコンピュータやパソコン等の他の情報端末を用いてもよい。以下適宜、それら情報端末を総称して、単に「モバイル端末」と称する。CPU310が演算部の一例である。
【0030】
<取引サーバ>
取引サーバ400は、例えばネット決済を行うための各種オンラインサービスを行う会社に設置されており、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するための通信インタフェースと、を有している(図示省略)。
【0031】
<プリペイド印刷サービス>
本実施形態の印刷サービス提供システム1においては、管理サーバ100、複合機200、モバイル端末300、及び取引サーバ400がネットワークNTを介して情報送受可能に接続されている。情報の送受形態としては、図3に示すように複数のユーザがそれぞれ所有する複数のモバイル端末300と、各所に設置される複数の複合機200とが、いずれも管理サーバ100に対して個別に情報を送受する。当該管理サーバ100は、複数のモバイル端末300から複数の複合機200を対象にそれぞれ行われたイベントを一元的に管理する。イベントとは、印刷権限の購入又は取得や、指定した複合機200を対象とする印刷の実行等であり、これらのイベントはユーザがモバイル端末300を介して管理サーバ100に指示することで実行される。
【0032】
印刷サービス提供システム1が提供する印刷サービスの一例が、プリペイド印刷サービスである。プリペイド印刷サービスとは、ユーザが印刷権限を購入することで、対応するチャージ枚数が対象となる複合機200の印刷可能枚数に加算される印刷サービスである。例えば、管理サーバ100がモバイル端末300からの印刷権限の購入申し込みを受け付けることで、指定された複合機200の個体に対しその購入印刷権限が適用される。管理サーバ100は、複数のモバイル端末300又は複数の複合機200に関してそれぞれ購入された購入印刷権限を、一元的に管理する。
【0033】
チャージサービスの購入、すなわちプリペイドチャージは、チャージ枚数ごとに10枚=100円、30枚=280円、50枚=450円、100枚=900円、など、互いに価格及び購入単位の異なる複数のチャージサービスのうち、いずれかのチャージサービスを選択して購入することで実行できる。
ユーザが購入したチャージサービスにより保証されるチャージ枚数は、ユーザが指定した複合機200の印刷可能枚数に加算され、累積可能となっている。上記印刷可能枚数は、当該複合機200での印刷処理を実行するごとに減少し、ユーザは、当該複合機200の保有する印刷可能枚数が最終的に0となるまで印刷を実行できる。
各チャージサービスに保証されるチャージ枚数が、保証印刷量の一例であり、印刷量購入単位の一例でもある。上記印刷可能枚数が、許容印刷量の一例である。
【0034】
なお、この例では、ユーザが購入したチャージサービスに対応する印刷権限はユーザが指定した複合機200に対応付けられる形で取得され、当該チャージサービスに保証されたチャージ枚数が、当該複合機200ごとに設定された印刷可能枚数に対して加算される。しかしながらこれに限られず、上記印刷権限がユーザIDに対応付けられる形で取得され、上記チャージ枚数がユーザIDごとに設定された印刷可能枚数に、加算されてもよい。
【0035】
<サブスクリプション印刷サービス>
印刷サービス提供システム1が提供する印刷サービスの別の一例が、いわゆるサブスクリプション印刷サービスである。サブスクリプション印刷サービスにおいては、ユーザと印刷サービス業者との間で所定のサブスクリプション契約を締結し、ユーザが定額を負担することで、所定期間内の印刷上限枚数が保証される定額印刷権限が提供される。なお、上記定額の金額は、印刷前に事前に支払われる場合もあるし、印刷後の請求により支払われる場合もある。サブスクリプション契約が締結されると、例えば、管理サーバ100から、当該契約により指定された複合機200の個体に対し、契約に対応する上記定額印刷権限が適用される。このサブスクリプション契約の場合も、前述と同様、管理サーバ100は、複数のモバイル端末300又は複数の複合機200に関する定額印刷権限を一元的に管理する。
【0036】
サブスクリプション契約は、所定期間ごと、例えば毎月800円の定額負担で印刷上限枚数100枚を保証するプラン、毎月1500円の定額負担で印刷上限枚数200枚を保証するプラン、等の複数種類のサービスプランの中からユーザが選択して契約することができる。この場合、各プランごとに保証される印刷上限枚数が、保証印刷量の一例である。
なお、ユーザが上記所定期間内において印刷しなかった分の余剰枚数については、原則、当該所定期間の満了と共にその印刷権限が消滅するが、予め期限を定めた上で次の所定期間へと当該余剰枚数の印刷権限を持ち越すようにしてもよい。この場合、持ち越された余剰枚数は、対象となる複合機200の印刷可能枚数に加算され、新たに上記次の所定期間において保証される印刷保証量とともに、印刷可能枚数として累積されることとなる。余剰枚数の印刷権限が持ち越されない場合、新たな次の所定期間が開始するごとに、当該所定期間ごとに設定された保証枚数量が印刷可能枚数の上限として新たに設定されることとなる。
いずれの場合も、前述と同様、印刷可能枚数が許容印刷量の一例であり、契約したプランに応じて増加した印刷可能枚数が、最終的に0となるまで当該複合機200を対象として印刷を実行できる。
【0037】
また、この場合も、契約されたサービスプランに対応する印刷権限は、ユーザが指定した複合機200に対応付けられる形で取得され、サービスプランに保証された印刷上限枚数が複合機200ごとに設定された印刷可能枚数に対して加算される。また、これに限られず、上記印刷権限がユーザIDに対応付けられる形で取得され、ユーザIDごとに設定された印刷可能枚数に、上記印刷上限枚数が、加算されてもよい。
【0038】
本実施形態では、図4に示すように、複数の複合機200を、1人のユーザが使用することもできる。この場合、ユーザは、複数の複合機200それぞれに対応付けられている印刷権限に応じて、各複合機200に設定された上記印刷可能枚数の範囲で印刷処理を実行することができる
また本実施形態では、図5に示すように、共通の1つの複合機200を、複数のユーザが共有して使用することもできる。この時、複数のユーザは、当該複合機200に対応付けられている印刷権限に応じて、当該複合機200に設定された上記印刷可能枚数を共有しその印刷可能枚数の範囲で印刷処理を実行することができる。
【0039】
<モバイル端末でのプリペイド印刷サービスの利用例>
一例として、上記プリペイド印刷サービスを利用する際にモバイル端末300に表示される画面やユーザによる操作を図6(a)~(e)により説明する。
【0040】
まずユーザがモバイル端末300において上記プログラムに係る専用アプリケーションを起動すると、図6(a)に示すように、モバイル端末300のタッチパネル340には、当該ユーザが使用対象として選択可能な複合機200の識別情報すなわち複合機IDがアイコンを一覧表示する画面340Aが表示される。この例では、1つの複合機ID「No.026」だけが、当該ユーザが選択可能なものとして表示されている。
【0041】
ユーザが当該「No.026」の複合機200を選択操作すると、タッチパネル340は図6(b)に示す画面340Bに移行し、当該複合機200のステータス情報と、印刷可能枚数と、「チャージ」ボタンと、「プリント」ボタンと、が表示される。この例では、ステータス情報として、上記「No.026」の複合機200がモバイル端末300に対してオンライン状態で接続されていることが表示されている。また、この時点での印刷可能枚数は5枚となっている。
【0042】
画面340Bにおいてユーザが「プリント」ボタンを操作すると、上記複合機200において印刷が実行される。その結果、図6(c)の画面340Cに示すように、「印刷完了しました」のメッセージが表示され、この例では印刷可能枚数が1枚減って4枚になったことが表示されている。
【0043】
画面340Bにおいてユーザが「チャージ」ボタンを操作すると、図6(d)に示す画面340Dに移行する。画面340Dでは、この例では、「10枚/100円」「30枚/280円」「50枚/450円」の各チャージサービスを表すボタンが表示され、これら3種類のチャージサービスのうちいずれか1つが選択可能となっている。
【0044】
例えば画面340Dにおいてユーザが「30枚/280円」ボタンを操作すると、図6(e)に示す画面340Eに移行する。画面340Eでは、「印刷枚数を追加しました」のメッセージが表示され、上記ボタンの操作により、印刷可能枚数が30枚増えて35枚になったことが表示されている。
【0045】
<実施形態の特徴>
例えば、上記のようにプリペイド印刷サービスを利用中のユーザが購入印刷権限の追加を頻繁に行っている場合、当該プリペイド印刷サービスに代え、上記サブスクリプション印刷サービスを利用したほうが購入の手間や経済的な負担を軽減できる場合があり得る。
本実施形態では、このような場合には、当該ユーザに対し、プリペイド印刷サービス用の購入印刷権限からサブスクリプション印刷サービスによる定額印刷権限へ、印刷権限の取得態様の変更を提案する。これにより、ユーザにとって上述の手間や負担を低減でき、利便性を向上することができる。なお、プリペイド印刷サービスのまま、購入する際の上記印刷権限のチャージ枚数、すなわち印刷量購入単位だけを変更したほうがよい場合もあり得る。本実施形態では、そのような場合については当該変更を提案する。
【0046】
以下、本実施形態における上記提案の手法について、図7及び図8を用いて具体的に説明する。
【0047】
<イベント管理テーブル>
本実施形態では、上記のような印刷権限の変更の適否を判断するために、管理サーバ100は、ユーザによる複合機200の利用動向を表すイベントを、イベント管理テーブルの形で管理している。イベント管理テーブルの一例を図7に示す。
【0048】
図7のイベント管理テーブルには、複合機IDがNo.026である複合機200を対象として、複数のモバイル端末300から当該管理サーバ100に指示されたイベントについて、それぞれイベントの実行順に記録されている。
記録されている項目は、実行したイベント内容、実行した日付、対象の複合機ID、イベントにより複合機200が取得した権限内容、その権限の取得価格、印刷可能枚数の増減、各イベント実行後時点での現在の印刷可能枚数、である。
なお、このイベント管理テーブルでは、各イベントを指示したモバイル端末300のユーザの識別情報については表示していないが、表示してもよい。また、イベントを指示するユーザは一人に限られず、複数であってもよい。
【0049】
図7に示すように、この例では、まず2021年1月18日に、100円の対価支払いにより10枚分のチャージサービスが購入されている。その結果、対応するチャージ枚数10枚が印刷権限として取得され、複合機200の印刷可能枚数が10枚増えて合計10枚となっている。
【0050】
上記チャージと同じ日の2021年1月18日に、2枚の印刷が実行され、その結果、複合機200の印刷可能枚数が2枚減って8枚となっている。
【0051】
その翌日の2021年1月19日に、さらに8枚の印刷が実行され、複合機200の印刷可能枚数が8枚減った結果、印刷可能枚数は0枚になっている。
【0052】
これに対応して、同じ2021年1月19日に280円の対価支払いにより30枚分のチャージサービスが購入されている。チャージ枚数30枚が印刷権限として取得され、印刷可能枚数は30枚となっている。
上記チャージの翌日の2021年1月20日にも再度10枚分のチャージサービスが購入され、チャージ枚数10枚が印刷権限として取得されて印刷可能枚数は40枚となっている。
【0053】
その後、チャージの翌日の2021年1月21日に、40枚の印刷が実行されている。その結果、複合機200の印刷可能枚数は一気に40枚減って0枚となっている。
【0054】
この例では、上述したように、当該複合機200に関して、印刷時における印刷可能枚数の不足又は不足の懸念から、ユーザによるチャージサービスの追加購入が比較的高い頻度で行われている。これに対応して、2021年1月21日から1月末日までの適宜のタイミングにおいて、当該複合機200を対象とした印刷権限の取得の態様を、プリペイドチャージによる取得からサブスクリプション契約による取得へ変更することがユーザ側へと提案される。
【0055】
<モバイル端末におけるサブスクリプション契約への変更>
上記の提案時におけるモバイル端末300の表示挙動の例を図8(a)~(c)により説明する。
上記1月21日から1月末日までの適宜のタイミングにおいて、タッチパネル340には、上記変更の提案を行うために、例えば図8(a)に示す画面340Fが表示される。画面340Fでは、サブスクリプション契約による定額印刷権限の取得への切替を推奨する「サブスクサービスに変更されるとお得になる可能性があります」というメッセージと、「サブスク契約を試す」「試さない」ボタンと、が表示される。なお、本願の図面及び明細書において、例えば図8(a)に示すように、「サブスクリプション」を適宜「サブスク」と略称にて称する。
【0056】
画面340Fにおいてユーザが「サブスクリプションを試す」ボタンを操作すると、図8(b)に示す画面340Gへ移行する。画面340Gでは、当該複合機200における、図7に示したような挙動に応じて決定された最適なサービスプランを含む、1つ以上のサービスプランが提案される。
【0057】
この例では、図7に一部を抜粋して例示したように複合機200の過去の印刷実績、例えば月平均の印刷量が80枚であったことに対応して、最適なサービスプランとして、毎月800円の定額負担で印刷上限枚数100枚を保証するプランが、表示される。またこの最適プランに近い別のサービスプランとして、毎月1500円の定額負担で印刷上限枚数200枚を保証するプランも併せて表示されている。なお、この画面340Gにおけるこれらの表示が提案情報の一例である。
【0058】
なお、画面340Gにおいて、各サービスプランに切り替えた場合に節約可能となる金額や、最適なプランを特に指定して切替を推奨するメッセージや、各サービスプランへの申込フォーム、等を併せて表示してもよい。なお、この画面340Gにおける各種表示もまた提案情報の一例である。
画面340Gにおいてユーザが所望のプランを選択操作すると、当該複合機200に対して当該プランの契約締結が進められる(詳細は省略)。
【0059】
前述の図7に示した例では、図8の画面340Gにおける「100枚/月 800円」ボタンが操作されることで、2月1日にサブスクリプション契約が締結されている。この時対応する印刷上限枚数100枚が当該複合機200の印刷権限として取得されている。その結果、複合機200の印刷可能枚数は、100枚の印刷権限分が増えて合計100枚となっている。
【0060】
<プリペイドサービスのままで別態様への変更>
一方、上述のプリペイドチャージによる取得からサブスクリプション契約による取得へ変更の提案をユーザが許容しない場合には、プリペイド印刷サービスのまま、購入する際の上記印刷量購入単位が改めて提案される。
すなわち、図8の画面340Gにおいて、ユーザが「試さない」ボタンを操作すると、図8(c)に示す画面340Hへ移行する。画面340Hでは、当該複合機200の前述の挙動に基づき決定された最適な印刷量購入単位を含む、1つ以上のチャージサービスが提案される。
【0061】
この例では、前述の月平均の印刷量が80枚であったことに対応し、最適な購入単位として、上記画面340Dにおける「10枚/100円」「30枚/280円」「50枚/450円」のいずれとも異なる、「100枚/900円」が決定される。そして、これを含む態様で「30枚/280円」「50枚/450円」「100枚/900円」の3つのボタンが画面340Hにおいて選択可能に表示される。すなわち、もともとは画面340Dで「10枚/100円」「30枚/280円」「50枚/450円」の3つが表示されていたのに対し、枚数増大側にシフトした、「30枚/280円」「50枚/450円」「100枚/900円」の3つが提案されている。
【0062】
なお、画面340Hにおいて、各チャージサービスの購入単位に切り替えた場合に節約可能となる金額や、最適な購入単位を特に指定して切替を推奨するメッセージ、等を併せて表示してもよい。この画面340Hの各種表示もまた提案情報の一例である。
画面340Hにおいてユーザが所望のチャージサービスを選択操作すると、当該複合機200に対して当該選択結果に応じた金額のチャージが行われる。
【0063】
<制御手順>
本実施形態における上記手法を実現するために、モバイル端末300のCPU310が実行する制御手順の一例を図9のフローチャートにより説明する。モバイル端末300のCPU310は、図6(b)で説明した「チャージ」ボタンが押下操作された際、もしくは、毎月末などの予め設定された所定タイミングにおいて、このフローの実行を開始する。
【0064】
まずS5において、CPU310では、管理サーバ100に記録された上述のイベント管理テーブルから、対象となる複合機200の印刷可能枚数が所定の閾値未満、例えば1枚未満の0に到達した到達頻度を取得する。このときの上記閾値が第2閾値の一例であり、上記到達頻度が推移情報の一例である。
【0065】
S10において、CPU310では、S5で取得された上記到達頻度が所定の閾値以上、例えば1か月に3回以上であるか否かが判定される。このときの上記閾値が第3閾値の一例である。上記到達頻度が1か月に3回以上であると判定された場合は処理が後述のS25に移行し、上記頻度が1か月に3回以上であると判定されない場合はS15に移行する。
なお、この例では、上記到達頻度が第3閾値以上か否かを判定しているが、これに限られず、それ以外の上記到達頻度と第3閾値との大小関係に応じて、新たな印刷権限取得態様を決定してもよい。また、到達頻度に代えて、例えば通算した到達回数の値を、別途定めた第3閾値と比較し、その大小関係に応じて新たな印刷権限取得態様を決定してもよい。この場合は到達回数が推移情報の一例である。
【0066】
S15において、CPU310では、上記イベント管理テーブルから、対象となる複合機200における過去のチャージ頻度、すなわち上記チャージサービスの購入頻度が取得される。
【0067】
S20において、CPU310では、S15で取得された上記チャージ頻度が所定の閾値以上、例えば1週間に2回以上か否かを判定する。このときの上記閾値が第1閾値の一例であり、上記チャージ頻度もまた推移情報の一例である。上記チャージ頻度が1週間に2回以上であると判定されない場合、フローは終了する。1週間に2回以上であると判定された場合、処理はS25に移行する。
なお、この例では、上記チャージ頻度が第1閾値以上か否かを判定しているが、これに限られず、それ以外の上記チャージ頻度と第1閾値との大小関係に応じて、新たな印刷権限取得態様を決定してもよい。また、チャージ頻度に代えて、例えば通算の購入回数すなわちチャージ回数の値を、別途定めた第1閾値と比較し、その大小関係に応じて新たな印刷権限取得態様を決定してもよい。この場合はチャージ回数が推移情報の一例である。
【0068】
S25において、CPU310により、プリペイドチャージからサブスクリプション契約へ印刷権限の取得態様の変更を推奨する表示がタッチパネル340において行われる。具体的には、例えば図8(a)の画面340Fにおける、プリペイドチャージからサブスクリプション契約へ印刷権限の取得態様の切替を提案するメッセージや、サブスクリプション契約への変更手続きに誘導する「サブスク契約を試す」ボタン等が表示される。
【0069】
S30において、CPU310では、ユーザによりS25で提案された印刷権限の取得態様の切替が受け入れられたか否かが判定される。具体的には、前述の例では、画面340F「のサブスクリプションを試す」ボタンが操作されたか、「試さない」ボタンが操作されたか、が判定される。「サブスクリプションを試す」ボタンが操作された場合、処理はS35に移行し、「試さない」が押下操作された場合、処理はS55に移行する。
【0070】
S35において、CPU310では、管理サーバ100から、ユーザに提供可能な複数の定額のサービスプランの一覧が取得される。具体的には、例えば、対象とする複合機200が設置されている国又は地域にて予め締結可能な複数のサブスクリプション契約に対応して、予め用意されている全サービスプランが取得される。
このとき取得されるサービスプランが印刷権限候補の一例であり、S35を実行するモバイル端末300のCPU310が権限候補取得部の一例として機能する。
【0071】
S40において、CPU310では、管理サーバ100の上記イベント管理テーブルから、対象となる複合機200で過去所定期間の印刷量実績、例えば一か月間の印刷枚数が取得される。上記印刷量実績もまた推移情報の一例である。
なお、S5,S15,S40が情報取得ステップの一例であり、S5,S15,S40を実行するモバイル端末300のCPU310が、情報取得部の一例として機能する。
【0072】
S45で、CPU310では、S40で取得された印刷量実績に応じて、S35で取得された複数のサービスプランの中から、最適なサービスプランが決定される。詳細には、上記印刷量実績と、所定の閾値との大小関係に応じて、最適なサービスプランを決定してもよい。この閾値が第4閾値の一例である。
例えば、閾値が150枚/月の場合、取得した印刷量が閾値150枚未満なら800円の定額負担による100枚/月のプランに決定され、取得された印刷量が閾値150枚以上なら1500円の定額負担による200枚/月のプランに決定される。
【0073】
あるいは、上記印刷量実績より保証印刷量が大きいサービスプランのうち、料金が最も安いものを最適なプランとして決定してもよい。
なお、上記決定の際、例えばS5で取得された到達頻度、さらにS15を経ていた場合にはS15で取得されたチャージ頻度、も加味して決定されてもよい。
【0074】
S50において、CPU310により、S45で決定された最適なサービスプランを含む1つ以上のサービスプランを含む画面が、タッチパネル340に表示される。前述の例では、図8の画面340Gにおいて、最適として決定された800円負担の100枚プランに加え、1500円負担の200枚プランが表示されている。
【0075】
S55において、CPU310では、ユーザに提供可能なチャージサービスの中から、前回操作時にタッチパネル340に表示してユーザが選択したチャージサービスと異なる印刷量購入単位を含む、チャージサービスが決定される。例えば前述の例では、画面340Dで「10枚/100円」「30枚/280円」「50枚/450円」の3つを表示し選択されたが、このS55では、「30枚/280円」「50枚/450円」「100枚/900円」の3つが決定される。
【0076】
なお上記決定の際、例えばS5で取得された上記到達頻度、さらにS15を経ていた場合にはS15で取得されたチャージ頻度、も加味して決定されてもよい。さらには、過去の印刷量実績を取得して、決定されてもよい。
なお、S10,S20,S45,S55が態様決定ステップの一例であり、S10,S20,S45,S55を実行するモバイル端末300のCPU310が、態様決定部の一例として機能する。
【0077】
S60において、CPU310により、S55で決定されたチャージサービスを含む1つ以上のチャージサービスを含む画面が、タッチパネル340に表示される。前述の例では、図8の画面340Hにおいて、「30枚/280円」「50枚/450円」「100枚/900円」の3つのチャージサービスが選択可能に表示される。
【0078】
S25,S50,S60が、提案情報出力ステップの一例であり、S25,S50,S60を実行するモバイル端末300のCPU310が、提案情報出力部の一例として機能する。S25を実行する実行するモバイル端末300のCPU310は、メッセージ出力部の一例としても機能する。
【0079】
なお、以上S5~S60の中の少なくとも1つのステップで行われるタッチパネル340での表示を、タッチパネル340ではなく複合機200の表示部240において行うようにしてもよい。
【0080】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷サービス提供システム1においては、モバイル端末300のCPU310が、S5で複合機200の印刷可能枚数が閾値未満となった頻度を取得し、S15を経る場合には複合機200のチャージ頻度を取得し、S40で複合機200の印刷量実績を取得する。取得されたこれらの情報に基づく新しい印刷権限の取得態様に対応する上記提案情報がS25,S50,S60においてタッチパネル240に表示される。
本実施形態によれば、プリペイド印刷サービスやサブスクリプション印刷サービスにおいて、最適な態様のサービスがモバイル端末300において提案される。ユーザは、チャージの手間を低減させたり、印刷費用を削減することができるので、利便性が向上する。
【0081】
また、本実施形態では特に、購入印刷権限を購入しているユーザ、すなわちプリペイド印刷サービスを利用しているユーザに対し、新たな印刷権限取得態様として、定額印刷権限の取得、いわゆるサブスクリプション印刷サービスの利用を提案することができる。
例えばS5において取得した上記到達頻度や、S15で取得したチャージ頻度が多い場合、プリペイド印刷サービスからサブスクリプション印刷サービスに切り替えた方が、チャージの手間が省けたり、1枚当たりの印刷料金が割安となる可能性がある。
本実施形態によれば、ユーザが自分自身でこのような検討を行わなくても、モバイル端末300を介してプリペイド印刷サービスからサブスクリプション印刷サービスへの切替が自動的に提案されるため、ユーザの利便性を向上することができる。
【0082】
また、サブスクリプション契約においては、例えば、国、県、その他地域等の地理的条件や年、月、季節等の時期的条件に応じて、対象となるユーザ又はプリンタに対し提供できるサービスプランの期間、購入単位、価格等が異なる場合がある。
本実施形態では特に、S35において、提供可能な複数のサービスプランが取得され、S45において、取得されたサービスプランの中から提案するサービスプランが決定される。本実施形態によれば、複合機200が使用される地理的条件や時期的条件に応じて、その時提供可能な最適な定額印刷権限の取得を提案することができる。本実施形態によれば、ユーザが自分で地理的条件や時期的条件に応じた最適なプランを検討する手間が省けるので、利便性が向上する。
【0083】
また、本実施形態では特に、プリペイド印刷サービスを利用して購入印刷権限を購入しているユーザに対し、S55において、プリペイド印刷サービスの利用を維持したまま、印刷量購入単位の変更を提案することができる。本実施形態によれば、ユーザが自分で最適な印刷量購入単位を検討する手間が省けるため利便性が向上する。
【0084】
また、本実施形態では特に、S15で推移情報として取得したチャージ回数又はチャージ頻度と、上記第1閾値との大小比較結果がS20で比較され、その結果に応じて、S45又はS55において、提案する新たな印刷権限取得態様が決定される。
本実施形態によれば、プリペイドチャージのチャージ回数やチャージ頻度が比較的多い場合にはサブスクリプション契約への変更を提案し、逆に比較的小さい場合にはもう少し少額のサブスクリプション契約のサービスプランへの変更を提案することもできる。また、プリペイド方式を変えないままプリペイドチャージの印刷量購入単位をもっと少なく変更するように提案することができる。
【0085】
また、本実施形態では特に、S5において複合機200の印刷可能枚数が第2閾値未満に到達した頻度が推移情報として取得され、S10で、上記到達頻度と第3閾値との大小関係に応じて、提案する新たな印刷権限取得態様が決定される。
本実施形態によれば、印刷可能枚数が閾値未満になった回数や頻度が比較的多い場合には、プリペイドチャージによる購入印刷権限の購入に代わり、サブスクリプション契約による定額印刷権限の取得を提案することができる。逆に上記回数や頻度が比較的小さい場合には、プリペイドチャージによる購入印刷権限の購入のままで、S55において印刷量購入単位がもっと少ないチャージサービスの購入を提案することも可能である。また、印刷可能枚数が0になった回数や頻度が少ない場合に適した、例えば比較的少額のサブスクリプション契約のサービスプランを提案することもできる。
【0086】
なお、S10での上記到達頻度と第3閾値との大小関係に応じて新たな印刷権限取得態様を決定する際、モバイル端末300でのユーザの操作なしで自動で購入印刷権限を購入するような印刷権限取得を提案してもよい。この場合、例えばS5で取得した印刷可能枚数が0に到達した回数や頻度が例えば極端に多い場合等において、いわゆるオートチャージ方式での印刷権限取得を提案することができる。
【0087】
また、本実施形態では特に、S40において推移情報として取得された過去の印刷量実績と上記第4閾値との大小比較結果に応じて、S45において新たな印刷権限取得態様が決定される。
本実施形態によれば、例えば所定期間における印刷量が比較的多い場合にはプリペイド方式からサブスクリプション契約による印刷権限取得への変更を提案することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、S25において印刷権限の変更言い換えれば切替を推奨するメッセージがタッチパネル340に表示される。本願発明によれば、表示されるメッセージにより、提案した新たな印刷権限取得態様へ切り替えることで利便性が高まることをユーザに認識させることができる。
【0089】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。そのような変形例を順を追って説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0090】
(1)各ユーザごとに印刷可能枚数が設定される場合
<イベント管理テーブル>
本変形例に係るイベント管理テーブルの一例を、上記実施形態の図7に対応する図10に示す。図10のイベント管理テーブルでは、ユーザIDがそれぞれ001、002、003である3名のユーザが、IDがNo.026である複合機200を共有し、各自で印刷権限の購入及び印刷を実行している。この変形例では、ユーザが購入したプリペイドチャージやサブスクリプション契約等の印刷権限はユーザIDに対応付けられ、他のユーザとは共有されない。
【0091】
図10に示すように、この例では、まず2021年1月18日に、ユーザIDが「002」であるユーザ(以下適宜、単に「ユーザ002」等と称する)により、100円の対価支払いにより10枚分のチャージサービスが購入されている。その結果、対応するチャージ枚数10枚がユーザ002の印刷権限として取得され、ユーザ002がこの時点で保有していた印刷可能枚数0枚から10枚増えて、合計10枚となっている。
このチャージと同じ2021年1月18日に、ユーザ002により2枚の印刷が実行され、印刷可能枚数が2枚減って8枚となっている。
【0092】
2021年1月19日に、ユーザ001により8枚の印刷が実行されている。その結果、ユーザ002がこの時点で保有していた印刷可能枚数10枚から8枚減って、2枚となっている。
これに対応して、同じ2021年1月19日に、ユーザ001により、280円の対価支払いによって30枚分のチャージサービスが購入されている。チャージ枚数30枚が印刷権限として取得され、ユーザ001の印刷可能枚数は32枚となっている。
【0093】
2021年1月20日には、ユーザ003により、100円の対価支払によって10枚分のチャージサービスが購入されている。その結果、ユーザ003がこの時点で保有していた印刷可能枚数20枚から10枚増えて、30枚となっている。
その後、チャージの翌日の2021年1月21日に、ユーザ003により30枚の印刷が実行されている。その結果、ユーザ003の印刷可能枚数は30枚減って0枚となっている。
【0094】
この例では、ユーザ003による印刷実行時の印刷枚数が比較的多い。これに対応し、1月21日から1月末日までの適宜のタイミングにて、例えばユーザ003のモバイル端末300に対し、当該複合機200を対象とした印刷権限取得の態様を、プリペイドチャージからサブスクリプション契約による取得へ変更することが提案される。
【0095】
<モバイル端末におけるサブスクリプション契約への変更>
上記の提案時におけるモバイル端末300の表示挙動の例を、上記実施形態の図8(a)~(c)にそれぞれ対応する図11(a)~(c)により説明する。
上記適宜のタイミングにおいて、タッチパネル340には、上記変更の提案を行うために、例えば前述の図8(a)と同様、図11(a)に示す画面340Iが表示される。画面340Iでは、ユーザIDの表示と、サブスクリプション契約による定額印刷権限の取得への切替を推奨する「サブスクサービスに変更されるとお得になる可能性があります」というメッセージと、「サブスク契約を試す」「試さない」ボタンと、が表示される。
【0096】
画面340Iにおいてユーザが「サブスクリプションを試す」ボタンを操作すると、図11(b)に示す画面340Jへ移行する。画面340Jでは、当該ユーザ003に対し決定された最適なサービスプランを含む、1つ以上のサービスプランが提案される。
【0097】
この例では、ユーザ003の過去の印刷実績、例えば月平均の印刷量が70枚、チャージ回数が2.6回であったことに対応して、最適なサービスプランとして、毎月800円の定額負担で印刷上限枚数100枚を保証するプランが、表示される。またこれに近い毎月1500円の定額負担で印刷上限枚数200枚を保証するプランも併せて表示されている。なお、この画面340Jにおけるこれらの表示が本変形例における提案情報の一例である。
画面340Jにおいてユーザが所望のプランを選択操作することで、当該ユーザ003への当該プランの契約締結が進められる(詳細は省略)。
【0098】
前述の例では、図11(b)の画面340Jにおける「100枚/月 800円」ボタンが操作されることで、2月1日にユーザ003とのサブスクリプション契約が締結されている。この時、対応する印刷上限枚数100枚がユーザ003の印刷権限として取得され、その結果、ユーザ003による印刷可能枚数は、100枚の印刷権限分が増えて合計100枚となっている。このとき、ユーザ003が契約したサブスクリプション契約は、他のユーザ001,002には共有されない。
【0099】
<プリペイドサービスのままで別態様への変更>
一方、上述のサブスクリプション契約による取得へ変更の提案をユーザが許容しない場合には、プリペイド印刷サービスのまま、購入する際の上記印刷量購入単位が改めて提案される。
すなわち、図11(a)の画面340Iにおいて、ユーザが「試さない」ボタンを操作すると、図11(c)に示す画面340Kへ移行し、ユーザ003による前述の挙動に基づき決定された最適な印刷量購入単位を含む、1つ以上のチャージサービスが提案される。
【0100】
この例では、前述のユーザ003による月平均の印刷量が70枚、チャージ回数が2.6回であったことに対応し、最適な購入単位として「100枚/900円」が決定される。そして、これを含む態様で「30枚/280円」「50枚/450円」「100枚/900円」の3つのボタンが画面340Kにおいて選択可能に表示される。この画面340Kの各種表示もまた提案情報の一例である。
画面340Kにおいてユーザが所望のチャージサービスを選択操作すると、当該ユーザに対して当該選択結果に応じた金額のチャージが行われる。
【0101】
なお、この変形例のモバイル端末300のCPU310による制御手法は、S5で取得する到達頻度、S15で取得するチャージ頻度、S40で取得する印刷量実績が、複合機200ごとではなくユーザごとの各値であること以外は図9と同様であり説明を省略する。
【0102】
<変形例の効果>
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
また本変形例では、印刷可能枚数がユーザごとに対応付けられ、他のユーザとは共有されない。そのため、例えば各ユーザが印刷権限の購入費用をユーザごとに負担したい場合に好適である。また、各ユーザごとに、自身に最適なプランやチャージサービスを選択することができるメリットもある。
【0103】
(2)複数複合機を使用する1名のユーザに各機共通の印刷可能枚数が設定される場合
本変形例は、前述の図4に示した構成において、1つのモバイル端末300からユーザが複数の複合機200を対象としてイベントを指示する場合の変形例である。
【0104】
<モバイル端末でのプリペイド印刷サービスの利用例>
この変形例においてモバイル端末300に表示される画面やユーザによる操作を、上記実施形態の図6(a)~(e)にそれぞれ対応する図12(a)~(e)により説明する。
【0105】
まずユーザがモバイル端末300において上記プログラムに係る専用アプリケーションを起動すると、図12(a)に示すように、タッチパネル340に、当該ユーザが使用対象として選択可能な複合機200の複合機IDが、前述の画面340Aに対応する画面340A′が表示される。この例では、ID「No.xx」の複合機200と、ID「No.yy」の複合機200の2つが、当該ユーザが選択可能なものとして表示されている。
【0106】
例えばユーザが当該「No.xx」の複合機200を選択操作することで、前述の画面340Bに対応する、図12(b)に示す画面340B′に移行し、ステータス情報と、印刷可能枚数と、「チャージ」ボタンと、「プリント」ボタンと、が表示される。なお、この変形例では、「No.xx」「No.yy]のどちらの複合機200を選択しても、表示される印刷可能枚数は同じである。
【0107】
以降の画面340C′,340D′,340E′における操作及び表示内容は、複合機IDが「No.xx」となること以外は、前述の画面340C,340D,340Eと同様であり、説明を省略する。
【0108】
上述したように、この変形例では、ユーザが購入した印刷権限に基づき、印刷可能枚数はユーザに対して対応付けられる。当該ユーザは印刷可能枚数が0になるまでは、取得した印刷権限すなわちチャージ枚数をID「No.xx」の複合機200及びID「No.yy」の複合機200のどちらに対しても使用することができる。
【0109】
<イベント管理テーブル>
本変形例に係るイベント管理テーブルの一例を、上記図7図10に対応する図13に示す。図13のイベント管理テーブルでは、ユーザIDが「User-a」である1名のユーザ(以下適宜、単に「ユーザa」と称する)が、上述した複合機ID「No.xx」及び「No.yy」である2台の複合機200を対象とし、両者に共通の印刷権限を購入し印刷を実行している。
【0110】
図13に示すように、この例では、まず2021年1月18日に、100円の対価支払いにより10枚分のチャージサービスが購入されている。その結果、対応するチャージ枚数10枚が印刷権限として取得され、ユーザaの印刷可能枚数が10枚増えて合計10枚となっている。同じ日の2021年1月18日に、ID「No.xx」の複合機200(以下適宜、「複合機xx」等と称する)を用いて2枚の印刷が実行され、その結果、ユーザaの印刷可能枚数が2枚減って8枚となっている。
【0111】
翌日の2021年1月19日に、複合機yyを用いて8枚の印刷が実行され、ユーザaの印刷可能枚数が8枚減った結果、印刷可能枚数は0枚になっている。
これに対応して、同じ2021年1月19日にユーザaの280円の対価支払いにより30枚分のチャージサービスが購入されている。チャージ枚数30枚が印刷権限として取得され、ユーザaの印刷可能枚数は30枚となっている。
翌日の2021年1月20日にも再度ユーザaにより10枚分のチャージサービスが購入され、チャージ枚数10枚が印刷権限として取得されてユーザaの印刷可能枚数は40枚となっている。
その後、2021年1月21日に、複合機yyを用いて40枚の印刷が実行され、ユーザaの印刷可能枚数は40枚減って0枚となっている。
【0112】
この例では、上述したように、印刷時における印刷可能枚数の不足又は不測の懸念から、ユーザaによるチャージサービスの追加購入が比較的高い頻度で行われている。これに対応して、2021年1月21日から1月末日までの適宜のタイミングにおいて、当該ユーザaに対し、印刷権限の取得の態様を、プリペイドチャージによる取得からサブスクリプション契約による取得へ変更することが提案される。
なお、この提案時におけるモバイル端末300の表示挙動は、前述の図8(a)~(c)と同様の手法で足りるため、説明を省略する。
【0113】
上記提案に応じてユーザaがモバイル端末300において所望のプランを選択操作することで、当該ユーザaとの間で当該プランの契約締結が進められる(詳細は省略)。
この例では、図13に示すように、2月1日にサブスクリプション契約が締結され、対応する印刷上限枚数100枚がユーザaの印刷権限として取得されている。その結果、ユーザaの印刷可能枚数は、100枚の印刷権限分が増えて合計100枚となっている。
【0114】
<変形例の効果>
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
また本変形例においては、ユーザaが購入した印刷権限を複数の複合機200のいずれに対しても使用することができるので、複数の複合機200それぞれごとにチャージしたりサブスクリプション契約する必要がなく、利便性が向上する。
【0115】
なお、上記変形例では、1名のユーザaが複数の複合機200を使用する際に、購入した印刷権限に基づく印刷可能枚数は、全複合機200に共通に使用可能にユーザaに対応付けられている。しかしながらこれに限られず、ユーザaが各複合機200ごとに印刷権限を購入し、各印刷権限に対応する印刷可能枚数が各複合機200に対し対応付けられるようにしてもよい。
【0116】
(3)サブスクリプション印刷サービスからプリペイド印刷サービスへ変更する場合
以上においては、プリペイド印刷サービス用の印刷権限を購入して複合機200を使用しているユーザに対し、サブスクリプション契約による定額印刷権限への変更を提案する場合を例にとって説明したが、これに限られない。
すなわち、サブスクリプション用の定額印刷権限でサブスクリプション印刷サービスを利用中のユーザにおいて、複合機200の利用状況によっては、定額印刷権限から購入印刷権限へ変更しプリペイド印刷サービスを利用したほうが利便性が高くなる場合があり得る。
【0117】
本変形例では、このような場合には、当該ユーザに対し、定額印刷権限から購入印刷権限への印刷権限の取得態様の変更を提案する。また、サブスクリプション印刷サービスのまま、負担する定額の金額だけを変更、すなわち上記サービスプランの変更をしたほうがよい場合もあり得る。本変形例では、そのような場合についても、当該変更を提案する。
【0118】
本変形例における上記手法を実現するために、モバイル端末300のCPU310が実行する制御手順の一例を図14のフローチャートにより説明する。
【0119】
図14において、先ずS2にて、契約更新時期となったか判断する。契約更新時期でなければ処理を終了し、契約更新時期であれば、S7にてサブスク期間中の印刷量を取得し、S12でサブスク期間中の印刷量が閾値未満か判断する。S12にてサブスク期間中の印刷量が閾値未満であると判断された場合、S25に対応するS25′で、モバイル端末300のCPU310により、サブスクリプション契約からプリペイドチャージへ、印刷権限の取得態様変更を推奨する提案情報がタッチパネル340に表示される。
提案情報としては、例えば図8の画面340Fと同様、プリペイド印刷サービスによる購入印刷権限の取得を推奨する「プリペイドサービスに変更されるとお得になる可能性があります」のメッセージ、「プリペイドを試す」「試さない」ボタン等が表示される。
【0120】
S25′ののち、或いはS12にてサブスク期間中の印刷量が閾値未満であると判断された場合、図9のS30に対応するS30′に移行する。S30′において、CPU310により、このままサブスクリプション契約を継続するか否か、言い換えればプリペイド印刷サービスを試してみるか否か、をユーザに選択させる表示画面(図示省略)がタッチパネル340に表示される。S30′にてユーザがプリペイド印刷サービスを試してみないことを選択した場合は、図9と同様のS35~S50が実行され、プリペイド印刷サービスを試してみることを選択した場合は、S55′に移行する。なお、本変形例においても、S35を実行するモバイル端末300のCPU310が権限候補取得部の一例として機能する。また、S7,S40が情報取得ステップの一例であり、S7,S40を実行するモバイル端末300のCPU310が、情報取得部の一例として機能する。
【0121】
図9のS55に対応するS55′において、CPU310では、ユーザに提供可能なチャージサービスの中から、S7で取得されたユーザのサブスク期間中の印刷量実績に応じた最適な印刷量購入単位を含むチャージサービスが決定される。このとき、上記印刷量実績に対応した所定の閾値との大小に応じて、最適な印刷量購入単位を決定してもよい。上記印刷量実績が本変形例における推移情報の一例であり、上記閾値が第4閾値の一例である。また、S45,S55′が本変形例における態様決定ステップの一例であり、S45,S55′を実行するモバイル端末300のCPU310が、本変形例における態様決定部の一例として機能する。
【0122】
図9のS60に対応するS60′において、CPU310により、S55′で決定された最適な印刷量購入単位を含むチャージサービスが、タッチパネル340において表示される。なお、このモバイル端末300でのチャージサービスの表示は、例えば前述の図11(c)の画面340Kと同様で足りる。ここで表示される印刷量はサブスク期間中(1か月)の印刷量であり、チャージ回数の表示はしない。
S25′,S50,S60′が、本変形例における提案情報出力ステップの一例であり、S25′,S50,S60′を実行するモバイル端末300のCPU310が、本変形例における提案情報出力部の一例として機能する。S25′を実行する実行するモバイル端末300のCPU310は、メッセージ出力部の一例としても機能する。
【0123】
<変形例の効果>
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を有する。
また本変形例によれば、サブスクリプション契約により印刷実行されている、すなわち定額印刷権限を取得している複合機200に対し、新たな印刷権限取得態様として、プリペイドチャージによる印刷の実行、すなわち購入印刷権限の購入を提案することができる。
【0124】
また、本変形例によれば、定額印刷権限を取得していわゆるサブスクリプション契約による印刷を実行しているユーザに対し、サブスクリプション契約による印刷権限取得の態様は維持しつつ、負担する定額の金額の変更、言い換えれば印刷保証量の変更を提案することもできる。具体的には、ユーザがS30′においてプリペイド印刷サービスを試さないことを選択した場合でも、S35で取得したサービスプランの中から最適なサービスプランがS45で決定され、S50において新たな印刷権限取得態様として提案される。これにより、ユーザが自身でサービスプランの見直しを検討する必要がなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0125】
以上において、図9図14等に示すフローチャートは本発明を当該フローチャートに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0126】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0127】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0128】
1 印刷サービス提供システム(印刷権限管理システムの一例)
100 管理サーバ(情報処理装置の一例)
200 複合機(印刷装置の一例)
300 モバイル端末(情報端末、端末装置の一例)
310 CPU(演算部の一例)
352 データ記憶領域
340 タッチパネル
NT ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14