(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057673
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】漏洩箇所補修方法
(51)【国際特許分類】
F16L 55/18 20060101AFI20240418BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20240418BHJP
F16L 41/04 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
F16L55/18 B
F16L55/00 C
F16L41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164467
(22)【出願日】2022-10-13
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸司
(57)【要約】
【課題】錆や赤水の既設流体管内への混入を防止できる漏洩箇所補修方法を提供すること。
【解決手段】既設の流体管2に一端が連通する連通管3の他端に取付けられた連通管蓋4及び接続部材における漏洩箇所の補修方法であって、前記接続部材(例えば、短管12及び補修弁11)を囲繞するように連通管蓋4に囲繞管としての短管51を固定する接続部材の囲繞工程と、短管51に開閉手段としての仕切弁装置54を介して切断手段としての切除装置60を取付け、仕切弁装置54を開放状態として切除装置60によって連通管蓋4における前記接続部材が固定されている部分を切断した後、切片4bを連通管蓋4から除去する連通管蓋の切除工程と、切除装置60に替えて、仕切弁装置54の上方に接続部材(例えば、短管82及び空気弁90)を取付ける空気弁の取付工程と、を有する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設流体管に一端が連通する連通管の他端に取付けられた連通管蓋及び接続部材における漏洩箇所を、不断流状態で補修する漏洩箇所補修方法であって、
前記接続部材を囲繞するように前記連通管蓋に囲繞管を固定する工程と、
前記囲繞管に開閉手段を介して切断手段を取付け、前記開閉手段を開放して前記切断手段によって前記連通管蓋における前記接続部材が固定されている部分を切断し、除去する工程と、
前記切断手段に替えて、前記開閉手段に接続部材を取付ける工程と、を有することを特徴とする漏洩箇所補修方法。
【請求項2】
前記切断手段は、センタードリル及び該センタードリル周りに回転する円筒状のホールソーからなることを特徴とする請求項1に記載の漏洩箇所補修方法。
【請求項3】
前記切断手段によって前記連通管蓋における前記接続部材が固定されている部分を切断する工程の前に、前記接続部材の外径が前記ホールソーの内径よりも大径の場合、前記ホールソーの内径よりも小径の外径を有する接続部材に付け替える工程を有することを特徴とする請求項2に記載の漏洩箇所補修方法。
【請求項4】
前記接続部材はボールバルブを含むことを特徴とする請求項1に記載の漏洩箇所補修方法。
【請求項5】
前記切断手段によって前記連通管蓋における前記接続部材が固定されている部分を切断する工程において、開放状態とした前記ボールバルブの内部に前記センタードリルを挿入した状態で、前記ホールソーを回転させて前記連通管蓋を切断することを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の漏洩箇所補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設流体管に一端が連通する連通管の他端に取付けられた連通管蓋及び接続部材における漏洩箇所を、不断流状態で補修する漏洩箇所補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設流体管に一端が連通するとともに他端に連通管蓋が取付けられた連通管を有し、この連通管蓋に、補修弁や空気弁等の接続部材が溶接等により固定された配管構造がある。このような配管構造では、長期の使用による錆や経年劣化等の発生により、連通管蓋と接続部材との接続部などにて流体の漏洩が発生することがある。
【0003】
このような場合、補修弁を閉塞して連通管内を密封状態とし、補修弁のフランジに閉塞装置を取付けて弁体による連通管の密封を解除するとともに、閉塞装置の収容ケース内から連通管内に閉塞部材を挿入し、閉塞部材の弾性体を連通管の拡径方向に膨出させることで連通管を閉塞した後、接続部材の一部を残して補修弁や空気弁等を除去する。その後、残置されている接続部材と連通管蓋との接続部などの漏洩箇所を囲繞するように、連通管蓋に囲繞管を溶接にて固定し、この囲繞管に補修弁を取付けて閉塞部材を回収することで、漏洩箇所を補修する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-24729号(第8~10頁、第1~8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の漏洩箇所補修方法にあっては、これまで使用されていた既設の接続部材の一部だけでなく、連通管蓋と接続部材との接続部における漏洩箇所が残置されることで、補修後においても流体の漏洩箇所の腐食が進行して、当該箇所から剥離した錆や赤水が既設流体管内に混入する虞があるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、錆や赤水の既設流体管内への混入を防止できる漏洩箇所補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の漏洩箇所補修方法は、
既設流体管に一端が連通する連通管の他端に取付けられた連通管蓋及び接続部材における漏洩箇所を、不断流状態で補修する漏洩箇所補修方法であって、
前記接続部材を囲繞するように前記連通管蓋に囲繞管を固定する工程と、
前記囲繞管に開閉手段を介して切断手段を取付け、前記開閉手段を開放して前記切断手段によって前記連通管蓋における前記接続部材が固定されている部分を切断し、除去する工程と、
前記切断手段に替えて、前記開閉手段に接続部材を取付ける工程と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、腐食した漏洩起因個所を取り除くことができるため、錆や赤水の既設流体管内への混入を防止できる。
【0008】
前記切断手段は、センタードリル及び該センタードリル周りに回転する円筒状のホールソーからなることを特徴としている。
この特徴によれば、連通管蓋における接続部材の周囲を容易に環状に切断することができる。
【0009】
前記切断手段によって前記連通管蓋における前記接続部材が固定されている部分を切断する工程の前に、前記接続部材の外径が前記ホールソーの内径よりも大径の場合、前記ホールソーの内径よりも小径の外径を有する接続部材に付け替える工程を有することを特徴としている。
この特徴によれば、接続部材がホールソーにより切断されるときに生じる切片や切削屑が既設流体管に混入してしまうことを防止できるとともに、接続部材の再利用も可能となる。
【0010】
前記接続部材はボールバルブを含むことを特徴としている。
この特徴によれば、接続部材の外径を極力小さくすることができるため、囲繞管の大型化を回避することができる。
【0011】
前記切断手段によって前記連通管蓋における前記接続部材が固定されている部分を切断する工程において、開放状態とした前記ボールバルブの内部に前記センタードリルを挿入した状態で、前記ホールソーを回転させて前記連通管蓋を切断することを特徴としている。
この特徴によれば、センタードリルがボールバルブにより案内されることで、ホールソー内に接続部材が収容された状態でも、接続部材に接触することなくホールソーを回転させて連通管蓋を切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】流体管に連通する連通管に取付けられた連通管蓋に、短管、補修弁及び空気弁が接続されている状態を示す正面図である。
【
図2】(a)は
図1の要部を一部破断して示す拡大図、(b)は補修弁から空気弁を取外した状態を一部破断して示す拡大図である。
【
図3】補修弁の上方に閉塞装置を取付けた状態を一部破断して示す拡大図である。
【
図4】閉塞装置の閉塞部材を短管に挿入して止水した状態を一部破断して示す拡大図である。
【
図5】短管を閉塞装置の閉塞部材にて止水した状態で補修弁を取外す状態を一部破断して示す拡大図である。
【
図6】短管を閉塞装置の閉塞部材にて止水した状態でボールバルブを取付ける状態を一部破断して示す拡大図である。
【
図7】ボールバルブから閉塞装置を取外した状態を一部破断して示す拡大図である。
【
図8】接続部材の囲繞工程を説明するための図である。
【
図9】連通管蓋の切除工程(切除前)を説明するための図である。
【
図10】同じく連通管蓋の切除工程(切除時)を説明するための図である。
【
図11】同じく連通管蓋の切除工程(切除後)を説明するための図である。
【
図12】空気弁の取付工程を説明するための図である。
【
図13】各フランジ部に挟持体を取付けてフランジ部同士の離間を防止した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る漏洩箇所補修方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
本発明の実施例としての漏洩箇所補修方法として、流体管2に一端が連通する連通管3の他端に取付けられた連通管蓋4と接続部材との接続部における漏洩箇所を不断流状態で修復する方法について、
図1~
図13に基づいて説明する。
【0015】
図1及び
図2に示されるように、上水輸送管として既設の流路を構成している流体管2の管内の空気を管外に排出するために、あるいは管内が負圧にならないようにするために流体管2の所定箇所に、本発明における接続部材としての小型の空気弁10が設けられている。
【0016】
尚、流体管内の流体は、本実施例では上水であるが、これに限らず、例えば、工業用水、農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。また、本発明に係る流体管2は、鋼製であって、断面視略円筒状に形成されている。尚、本発明に係る流体管は、ダクタイル鋳鉄製であって、内周面がエポキシ樹脂層で被覆されていてもよく、その他鋳鉄、ステンレス等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層に限らず、例えば、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0017】
詳しくは、流体管2の所定箇所には、上下方向に延びる連通管3の下端が連通されており、この連通管3の内部は人孔として形成されている。この連通管3の上端に外径方向に突出形成されたフランジ部3aには、円盤状の連通管蓋4が連通管3の上端開口3bを閉塞するように取付けられている。連通管蓋4とフランジ部3aとは、複数のボルト・ナット5によって緊締されることによりガスケット6を介して密封状態で連結固定されている。
【0018】
連通管蓋4の中央部には、上下方向を向く連通孔7が貫通して形成されている。また、連通管蓋4の上面4aにおける中央部には断面視略円筒状の短管12が溶接により固定され、短管12の上方には補修弁11がフランジ接続により固定され、補修弁11の上方には空気弁10がフランジ接続により固定されている。このように、連通管蓋4の上面4aに固定された短管12、補修弁11及び空気弁10は、連通管3に接続される本発明の接続部材を構成している。
【0019】
尚、これら連通管3、連通管蓋4、短管12、補修弁11及び空気弁10は、鋳鉄、鋼等の金属材にて構成されているが、コンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、各部材の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0020】
図2(a)に示されるように、短管12は、連通管3の内径寸法L1よりも短寸の内径寸法L2を有し(L2<L1)、外周面には、周方向に複数(例えば、4個)のリブ12aが90度の間隔で放射状に溶接により取付けられている。また、上部には外径方向に突出するフランジ部12bが突設されている。短管12は、連通管蓋4に形成された連通孔7内まで下方に延設されており、連通孔7の内周面と対向する短管12の外周面の上部(
図1参照)及び下部(
図2(a)、(b)参照)が溶接により連通管蓋4に密封状態で固定されており、連通孔7を介して連通管3に連通している。また、短管12の各リブ12aの下端は、連通管蓋4の上面4aに当接した状態で溶接により密封状態で固定されている。
【0021】
尚、各リブ12aは、連通管蓋4の上面4aに当接する下辺と、短管12の周面に当接する側辺と、下辺と側辺とを結ぶ斜辺とから正面視略三角形状に形成されていたが、以下に説明する補修方法を実行するために、
図1において斜線で示される領域12cが切除されることで、平面視においてリブ12aの外端がフランジ部12bの外周縁と同等、または内径側に位置している。尚、リブ12aが無い場合、またはリブ12aの外端がフランジ部12bの外周縁と同等、または内径側に位置している場合は、リブ12aの切削工程は不要となる。
【0022】
補修弁11の上下部には、外径方向に突出するフランジ部11a,11bが突設されている。また、空気弁10の下部には、外径方向に突出するフランジ部10aが突設されている。短管12のフランジ部12bと補修弁11のフランジ部11aとの間にはガスケット13が介設されており、これらフランジ部12b,11aを図示しないボルト・ナットで締結することで、短管12と補修弁11とは密封状態で接続される。また、補修弁11のフランジ部11bと空気弁10のフランジ部10aとの間にはガスケット14が介設されており、これらフランジ部11b,10aを図示しないボルト・ナットで締結することで、補修弁11と空気弁10とは密封状態で接続される。
【0023】
このように空気弁10は、連通管蓋4の上面4aに固定された短管12と、短管12の上方に固定された補修弁11と、を介して連通管3に接続されており、連通管蓋4の連通孔7、短管12及び補修弁11の内部を介して連通管3に連通している。
【0024】
次に、連通管蓋4と短管12との接続部、詳しくは、連通管蓋4と短管12との溶接部D(
図1参照)及び連通管蓋4とリブ12aとの溶接部D’(
図1参照)において主に発生する漏洩箇所を補修する方法について説明する。
【0025】
(補修弁の交換工程)
まず、本実施例の既設の補修弁11は、その外径が比較的大径に形成されているため、当該補修弁11に替えて、より小径のボールバルブ41に交換する。本実施例では、補修弁11が錆や経年劣化等の何らかの要因により開放状態から閉塞状態に操作できない状態である前提で以下に説明する。また、特に図示しないが、補修弁11が無い状態でも同様の工程となる。尚、補修弁11が開閉操作可能な場合は、当該補修弁11を閉塞状態とした後、空気弁10を除去する。
【0026】
ボールバルブ41に交換するにあたり、まず空気弁10の取外しを行う。取外すには、まず、
図2(a)に示されるように、一対のフランジ部12b,11aの対向面間に間隙を形成可能な取付部材20を取付ける。この取付部材20は、弁体20aと、該弁体20aを収容する弁収容部22と、該弁収容部22に連設される円弧状部23と、から構成されている。弁収容部22は、弁体20aを収容可能に形成されており、弁体20aは、弁軸20cの押し引き操作で進退可能になっている。また、弁収容部22には、内部の流体を取付部材20の外方に排出するための排水バルブ20bが設けられている。尚、特に詳細な図示はしないが、円弧状部23の内壁部の上部及び下部には弾性材から成る止水部材が配設されている。
【0027】
次いで、
図2(b)に示すように、弁収容部22の排水バルブ20bを開放することで、フランジ部11aが流体管2の管内を流れる流体の圧力により押し上げられ、フランジ部12b,11aの対向面間が離間して間隙が形成され、弁収容部22内が流体により満たされたら、弁軸20cを押し込むことで前記間隙に弁体20aを挿入して短管12の上端開口を閉塞する。このように連通管3を弁体20aにより密封状態とした後、空気弁10を補修弁11からから取外す。
【0028】
次いで、連通管蓋4の上面4aに、ロングボルト24,24を立設する。詳しくは、連通管蓋4とフランジ部3aとを緊締する複数のボルト・ナット5のうち、短管12を挟んで対向する2つのボルト・ナット5,5にロングボルト取付部材24a,24aを取付け、これらロングボルト取付部材24a,24aにロングボルト24,24の下端を固定する。ロングボルト24,24は、弁収容部22に干渉しない位置において連通管3の管軸に対し平行をなすように上方に向けて延設される。
【0029】
次に、
図3に示されるように、補修弁11の上端部に、閉塞装置25を水密に接続する。閉塞装置25は、補修弁11に水密に取付けられる収容ケース26と、収容ケース26の内部に収容され、短管12内を閉塞可能な閉塞部材27と、閉塞部材27の上端部に一体に接続されて収容ケース26の上面から突出し、収容ケース26に対し水密に上下動可能に設けられた挿入部材28と、から主に構成されている。
【0030】
収容ケース26は、下端部に外径方向に突出するフランジ部26aを有し、該フランジ部26aと補修弁11のフランジ部11bとは、複数のボルト・ナット30によって緊締されることにより図示しないガスケットを介して密封状態で連結固定されている。また、収容ケース26の内部には閉塞部材27が収容されており、収容ケース26の上面には、挿入部材28を水密に挿通する挿通孔26bが形成されている。
【0031】
また、収容ケース26の上部には、収容ケース26内部と開閉可能に連通する排水バルブ26d,26eが設けられている。このうち排水バルブ26dは、排水バルブ26eよりも上方に設けられている。また、排水バルブ26eは、排水バルブ26dよりも大径に形成されており、開放することで後述する閉塞部材27の挿入の際に止水状態の確認ができるようになっている。
【0032】
挿入部材28は、内空の円筒形状に形成された外筒部28aと、外筒部28a内で回動可能に挿通された内杆部28bと、から主として構成され、外筒部28aの外周面がパッキン26cを介して収容ケース26の挿通孔26bに上下方向に摺動可能に挿通されている。内杆部28bの下端部には閉塞部材27が一体に接続されるとともに、内杆部28bの上端部には、後述する止水ゴム27aを径方向に伸縮可能とする送りネジ28cが設けられている。
【0033】
また、外筒部28aの上端部には、水平方向を向く移動アーム31が取付けられている。この移動アーム31の水平方向の両端部には、ロングボルト24,24を収容可能な凹溝31a,31aが、一方は前面側、他方は背面側に形成されている。
【0034】
次に、短管12内を閉塞するには、閉塞装置25を取付け、排水バルブ26dを開放した後、弁軸20cを操作して弁体20aを弁収容部22まで引出して開放状態とし、収容ケース26内まで流体を充満させる。排水バルブ26dから流体が排出されたことを確認した後、排水バルブ26dを閉塞するとともに排水バルブ26eを開放し、移動アーム31の凹溝31a,31aにロングボルト24,24を挿入させる。これら凹溝31a,31aにロングボルト24,24を収容した状態で移動アーム31を下降させることで、挿入部材28がロングボルト24,24に沿って連通管3に向けて挿入され、閉塞部材27が補修弁11の内部通路を通過して短管12の内部通路に配置される(
図4参照)。
【0035】
この閉塞部材27を短管12の内部通路に配置させる過程において、連通管3の内周面に錆瘤等の異物が形成されている場合、該異物に閉塞部材27が接触することで異物が剥がれることが想定されるが、剥ぎ取られた異物は、流体管2から開放されている排水バルブ26eに向けて生じている水流によって排水バルブ26eから収容ケース26の外方に排出されるようになっている。
【0036】
図4に示されるように、挿入部材28をロングボルト24,24に沿って連通管3に向けて所定距離押し込み、閉塞部材27が短管12の内部通路上部に配置された後、移動アーム31の水平方向の両端部をロングボルト24,24に螺入されているナット32,32によって上下方向から挟圧することで、短管12の内部通路に配置された挿入部材28の位置を固定する。
【0037】
次いで、送りネジ28cを図示しないラチェット等で回転操作し、内杆部28bの下端部に接続された閉塞部材27の止水ゴム27aを径方向に伸張させて、短管12の内周面に周方向に亘って密着させ、短管12の内部を閉塞する。この閉塞部材27による短管12の内部の閉塞は、排水バルブ26eからの流体の排出が停止することで確認することができる。
【0038】
そして、フランジ部12b,11aから取付部材20を取外し、
図5に示すように、フランジ部12b,11aの対向面をさらに離間させることで、補修弁11及び収容ケース26を上方に若干引き上げ、2分割構造の抜け止め金具35を、閉塞部材27と外筒部28aとの間に挟むように、各ロングボルト24,24に螺入されているボルト36,36によって上下方向から挟圧することで取付ける。この抜け止め金具35の内径部が閉塞部材27の上端に上下方向に係合することにより、閉塞部材27が流体管2内の流体圧により短管12の内部通路から上方に抜け出すことが防止される。
【0039】
次いで、ナット32,32を回転により離間させて移動アーム31を取外すことで、補修弁11及び収容ケース26を引き上げて取外す。その後、
図6に示されるように、挿入部材28の外筒部28aに、補修弁11よりも外径寸法が小径に形成された施工用のボールバルブ41及びこのボールバルブ41に接続された収容ケース26を挿通して吊り下げ、ロングボルト24,24に移動アーム31を取付け、閉塞部材27が抜け出ないように移動アーム31により支持した状態で、抜け止め金具35を外す。そして、ボールバルブ41の下部のフランジ部41aと短管12のフランジ部12bとをボルト・ナット37(
図7参照)によって緊締することにより、ボールバルブ41と短管12とがガスケット(図示略)を介して密封状態で連結固定される。
【0040】
そして、送りネジ28cを操作して止水ゴム27aを縮小させ、閉塞部材27を収容ケース26の内部まで引き上げたら、ボールバルブ41を閉塞状態にする。次いで、
図7に示されるように、ボールバルブ41から閉塞装置25を取外し、ボールバルブ41の上部のフランジ部41bにフランジ蓋38を取付け、ボールバルブ41のフランジ部41bとフランジ蓋38とをボルト・ナット39によって緊締することにより、フランジ部41bとフランジ蓋38とが図示しないガスケットを介して密封状態で連結固定される。このようにボールバルブ41の上端をフランジ蓋38により閉塞した後、ボールバルブ41を閉塞状態から再び開放状態にする。また、ボルト・ナット5からロングボルト取付部材24aを取外し、連通管蓋4からロングボルト24,24を取外す。
【0041】
図7に示されるように、既設の補修弁11に替えて取付けられたボールバルブ41の上下のフランジ部41a,41b及びフランジ蓋38の外径寸法は、短管12のフランジ部12bの外径寸法L3と略同一とされている。また、ボールバルブ41の本体部の外周端と、短管12のリブ12aの外端とは、短管12のフランジ部12bの外端より内径側に位置している。つまり、
図1に示されるように、短管12の上方に補修弁11が固定されていた既設状態では、補修弁11の開閉操作部や短管12のリブ12aがフランジ部12bよりも外径側に位置していたが、
図7に示されるように、補修弁11をボールバルブ41に交換した状態では、短管12のフランジ部12bよりも外径側に位置する部分はなく、外径が短寸となりコンパクト化されている。
【0042】
(接続部材の囲繞工程)
次に、
図8に示されるように、短管12とは別個の短管51を連通管蓋4の上面4aに固定する。詳しくは、短管51は、短管12のフランジ部12bの外径寸法L3よりも長寸の内径寸法L4を有する金属製の円筒管からなり(L4>L3)、上下部には外径方向に突出するフランジ部51a,51bが突設されている。そして、この短管51を、短管12及びボールバルブ41の上方に配置した後、短管12及びボールバルブ41の周囲を囲繞するように下降させて、短管51の下部のフランジ部51aを図示しないガスケット等を介して連通管蓋4の上面4aに載置し、フランジ部51aと上面4aとを溶接により水密に固定する。
【0043】
次いで、短管51の上方に仕切弁装置54を固定する。詳しくは、仕切弁装置54は、短管51に連通する弁箱管54aと、弁箱管54aの外周面における上下方向の略中央位置から外側方に向けて突出する弁収容部54bと、弁箱管54aと弁収容部54bとの間でスライド移動可能に設けられたソフトシール弁からなる弁体54cと、弁体54cを内外側方に移動操作するための弁軸54dと、を主に有する。尚、弁体54cは、ボールバルブ41の上端に取付けられたフランジ蓋38よりも上方位置にて弁箱管54aを開閉できるように配置される。
【0044】
また、弁箱管54aは、短管12のフランジ部12bの外径寸法L3よりも長寸の内径寸法L4を有する金属製の円筒管からなり(L4>L3)、上下部には外径方向に突出するフランジ部54e,54fが突設されている。
【0045】
このように構成された仕切弁装置54を短管51の上方に固定する場合、仕切弁装置54を短管12の上方に配置し、弁箱管54aによりボールバルブ41の周囲を囲繞するように下降させる。弁箱管54aの下部のフランジ部54eと短管51の上部のフランジ部51bとをボルト・ナット53により緊締することにより、フランジ部54eとフランジ部51bとを図示しないガスケットを介して密封状態で連結固定する。
【0046】
このように、短管51と弁箱管54aとが上下方向に連接された状態において、短管51及び弁箱管54aの内周面と、短管12及びボールバルブ41の外周との間に、径方向に所定寸法L5を有する隙間Sが形成される。尚、本実施例では、短管51と仕切弁装置54を構成する弁箱管54aとを接続しているが、これに限らず例えば、上下方向に長寸に形成された弁箱管の下端を連通管蓋4の上面に溶接してもよい。
【0047】
(連通管蓋の切除工程)
次に、
図9に示されるように、弁箱管54aのフランジ部54fと取付フランジ筒61の下方のフランジ部61aをボルト・ナット63で連結し、また、取付フランジ筒61の上方のフランジ部61bと穿孔装置65とをボルト・ナット64で連結する。尚、弁箱管54aのフランジ部54fと取付フランジ筒61の下方のフランジ部61aとの間、取付フランジ筒61の上方のフランジ部61bと穿孔装置65との間にそれぞれガスケットが介設されることで、弁箱管54aと取付フランジ筒61と穿孔装置65とは密封状態で連結固定される。
【0048】
取付フランジ筒61の内部には、円筒状のホールソー62a及びセンタードリル62bからなるカッタが配置されており、ホールソー62a及びセンタードリル62bは、穿孔装置65の駆動部65aにより上下方向の回転軸回りに回転可能とされ、且つ昇降ハンドル65bにより弁箱管54a、短管51内に進退可能に昇降できるようになっている。このように、取付フランジ筒61と、ホールソー62a及びセンタードリル62bと、これらを回転及び昇降させる穿孔装置65と、により切除装置60が構成される。
【0049】
図10に示されるように、ホールソー62aの内径寸法L6は、短管12のフランジ部12bの外径寸法L3よりも長寸とされ(L6>L3)、ホールソー62aの外径寸法L7は、短管51の内径寸法L4よりも短寸とされている(L7<L4)。よって、短管12及びボールバルブ41の外周と短管12の内周面との間の隙間Sにホールソー62aが進入可能となっている。また、センタードリル62bの外径寸法L8は、ボールバルブ41内におけるボール弁体41cの開口部の内径寸法L9、及び短管12の内径寸法L2よりも小径に形成されている(L8<L9、L8<L2)。
【0050】
また、センタードリル62bの外周面における上部位置と下部位置とには、係止手段としてのロックピン62cが上下方向の複数箇所に設けられている。各ロックピン62cは、特に詳細な説明はしないが、センタードリル62bの回転により外径方向に突出する係止状態と、内径方向に退避する非係止状態と、に回動可能に設けられている。
【0051】
また、取付フランジ筒61の上部には、取付フランジ筒61内部と開閉可能に連通する排水バルブ62d,62eが設けられている。このうち排水バルブ62dは、排水バルブ62eよりも上方に設けられている。また、排水バルブ62eは、排水バルブ62dよりも大径に形成されており、開放することで後述する仕切弁装置54による止水状態の確認ができるようになっている。
【0052】
次に、
図9~
図11に示されるように、切除装置60により、連通管蓋4における短管12及びボールバルブ41が固定されている部分を不断流状態で切断し、除去する。詳しくは、
図9に示されるように、排水バルブ62dを開放し、ホールソー62a及びセンタードリル62bを、穿孔装置65により回転させながら、昇降ハンドル65bにより下降させていく。そして、ホールソー62a及びセンタードリル62bが弁箱管54a内に進入すると、センタードリル62bの先端がフランジ蓋38に差し掛かり、フランジ蓋38の中心位置を穿孔しながら下降していく。尚、フランジ蓋38に孔部38aが形成されることにより、短管51、弁箱管54a及び取付フランジ筒61の内部に流体が充満し、排水バルブ62dから流体が排出されたことを確認した後、排水バルブ62dを閉塞するとともに排水バルブ62eを開放する。
【0053】
次いで、センタードリル62bは、開放状態となっているボールバルブ41の内部通路に干渉なく進入していくとともに、ホールソー62aは、短管12及びボールバルブ41の外周と短管51との間に形成された隙間S内に干渉なく進入していく。
【0054】
尚、各ロックピン62cは、センタードリル62bによりフランジ蓋38に形成された孔部38aを通過するときに孔部38aの内周面に接触することで非係止状態に回動し、通過後において回転力により再び係止状態に回動する。
【0055】
さらに、
図10に示されるように、センタードリル62bが短管12の内部通路に進入した後、連通管蓋4の連通孔7に進入すると、ホールソー62aにより、連通管蓋4における短管12及びボールバルブ41の周囲の切断が開始される。また、センタードリル62bが、ボールバルブ41の内部通路により回転及び上下動可能に案内されることで、ホールソー62aが連通管蓋4を切断し負荷がかかっているときでも、ホールソー62aの回転中心が位置ずれしにくくなるので、新たに設置した短管51や弁箱管54aだけでなく、除去する短管12及びボールバルブ41をホールソー62aにより損傷させることなく、安定して切断することができる。尚、切削屑は、排水バルブ62eに向けて生じている水流によって排水バルブ62eから取付フランジ筒61の外方に排出される。また、特に図示しないが、排水バルブ62eにドレン管を接続して排出してもよい。
【0056】
そして、ホールソー62aにより連通管蓋4における短管12及びボールバルブ41の周囲が環状に完全に切断されたら、穿孔装置65によりホールソー62a及びセンタードリル62bの回転及び下降を停止する。ここで、連通管蓋4から円盤状に分断された切片4bと、この切片4bに固定されている短管12及びボールバルブ41が自重により落下するが、上方のロックピン62cは、フランジ蓋38に形成された孔部38aを通過した後に係止状態に回動していることで、フランジ蓋38がロックピン62cに係止されることで落下が規制される(
図11参照)。
【0057】
連通管蓋4の切断が終了した後、
図11に示されるように、昇降ハンドル65bにより、ホールソー62a及びセンタードリル62bを、回転を停止したまま上昇させることにより、ホールソー62a及びセンタードリル62bとともに、ロックピン62cに係止されたフランジ蓋38に取付けられたボールバルブ41、短管12及び切片4bが引き上げられていく。尚、この短管12及び切片4bには、補修対象となる上記した溶接部D、D’において主に発生する流体の漏洩箇所が含まれている。
【0058】
また、このとき、ボールバルブ41、短管12及び切片4bの内部にはセンタードリル62bが挿入されていることで、引き上げの際にボールバルブ41、短管12及び切片4bが径方向に揺れ動いてホールソー62aの内周面に接触して傷つけることが防止される。また、連通管蓋4には、連通孔7よりも大径の連通孔4cが形成され、短管51、弁箱管54a及び取付フランジ筒61が連通管3と連通する。
【0059】
ホールソー62a及びセンタードリル62bが弁体54cの上方まで上昇したら、弁体54cを弁箱管54a側にスライド移動させて仕切弁装置54を閉塞状態にする。尚、この仕切弁装置54による弁箱管54aの内部通路の閉塞は、排水バルブ62eからの流体の排出が停止することで確認することができる。
【0060】
その後、ホールソー62a及びセンタードリル62bが取付フランジ筒61内に収容されたら、切除装置60を弁箱管54aから取外す。これにより、上水の漏洩を防止して不断流状態を保ったまま、切断した切片4bと、この切片4bに固定されている短管12及びボールバルブ41を連通管3から除去することができる。
【0061】
(空気弁の取付工程)
次いで、
図12に示されるように、弁箱管54aの上端に、中心部に連通孔71bが貫通して形成されたフランジ蓋71を取付ける。詳しくは、弁箱管54aの上部のフランジ部54fとフランジ蓋71とを、ボルト・ナット72により緊締することにより図示しないガスケットを介して密封状態で連結固定する。また、フランジ蓋71の上面71aにおける中央部に、短管12とは別個の短管82を固定する。
【0062】
短管82は、連通孔71bと略同一の外径寸法を有し、外周面には、複数(例えば、4個)のリブ82aが90度の間隔で溶接により放射状に取付けられている。また、上部には外径方向に突出するフランジ部82bが突設されている。特に詳細な図示はしないが、短管82は、フランジ蓋71に形成された連通孔71b内まで下方に延設されており、連通孔71bの内周面と対向する短管82の外周面の上部及び下部が溶接によりフランジ蓋71に密封状態で固定されており、連通孔71bを介して連通管3に連通している。また、短管82の各リブ82aの下端は、フランジ蓋71の上面71aに当接した状態で溶接により密封状態で固定されている。
【0063】
次いで、短管82の上方に、空気弁10とは別個の新たな空気弁90を固定する。詳しくは、短管82の上端に形成されたフランジ部82bと、空気弁10の下部に形成されたフランジ部90aとをボルト・ナット83で締結することにより、フランジ部82bとフランジ部90aとは図示しないガスケットを介して密封状態で連結固定される。尚、ここでは短管82の上方に空気弁90を固定しているが、補修を開始するにあたって取外した既設の空気弁10を再び取付けてもよい。
【0064】
そして、仕切弁装置54を閉塞状態から開放状態に変化させた後、
図13に示されるように、フランジ部3aと連通管蓋4とに、これらフランジ部3aと連通管蓋4とを挟持することにより離間を防止する挟持体120aを、周方向における各ボルト・ナット5,5間に取付ける。また、フランジ部51b,54eには、フランジ部51bとフランジ部54eとを挟持することにより離間を防止する挟持体120bを、周方向における各ボルト・ナット53,53間に取付ける。また、フランジ部54fとフランジ蓋71とには、フランジ部54fとフランジ蓋71とを挟持することにより離間を防止する挟持体120cを、周方向における各ボルト・ナット72,72間に取付ける。尚、これら挟持体120a~120cは必ずしも取付けなくてもよい。
【0065】
これにより、連通管蓋4と短管12との溶接部D,D’における流体の漏洩箇所(
図1参照)を補修する補修工程が終了する。そして、連通管蓋4の上面4aに固定された短管51、仕切弁装置54の弁箱管54aは、本発明の囲繞管を構成している。また、短管82及び空気弁10は、連通管3に接続される本発明の接続部材を構成している。
【0066】
このように、連通管蓋4と短管12との接続部における漏洩箇所が存在する切片4bと短管12及び補修弁11とを、切除装置60により連通管蓋4から切断して取り除いた後、仕切弁装置54の上方に空気弁90を取付けることで、短管51、弁箱管54a及び短管82を介して空気弁90が連通管3に連通し、仕切弁装置54が空気弁90の補修用の弁装置として機能することで、漏洩箇所の補修が完了する。
【0067】
以上説明したように、本発明の実施例としての漏洩箇所補修方法は、既設の流体管2に一端が連通する連通管3の他端に取付けられた連通管蓋4及び接続部材(例えば、短管12、補修弁11及び空気弁10)における漏洩箇所を、不断流状態で補修する漏洩箇所補修方法であって、前記接続部材(例えば、短管12及び補修弁11)を囲繞するように連通管蓋4に囲繞管としての短管51を固定する接続部材の囲繞工程(
図8参照)と、短管51に開閉手段としての仕切弁装置54を介して切断手段としての切除装置60を取付け、仕切弁装置54を開放状態として切除装置60によって連通管蓋4における前記接続部材(例えば、短管12及び補修弁11)が固定されている部分(切片4bの部分)を切断した後、連通管蓋4から除去する連通管蓋の切除工程(
図9~
図11参照)と、切除装置60に替えて、仕切弁装置54の上方に接続部材(例えば、短管82及び空気弁90)を取付ける空気弁の取付工程(
図12参照)と、を有する。
【0068】
このようにすることで、腐食した漏洩起因個所、例えば、連通管蓋4と短管12との接続部付近を取り除くことができるため、錆や赤水の既設の流体管2内への混入を防止できる。より詳しくは、連通管蓋4に新たに接続した短管51、仕切弁装置54、短管82及び空気弁90などの接続部材の内部に漏洩箇所が残ることがないので、残置された漏洩箇所付近に生じている錆や、新たに発生した錆が既設の流体管2内に混入することが防止される。
【0069】
また、切除装置60は、センタードリル62b及び該センタードリル62b周りに回転する円筒状のホールソー62aからなることで、連通管蓋4における短管12の周囲を容易に環状に切断することができる。
【0070】
また、切除装置60によって連通管蓋4における接続部材(例えば、短管12及び補修弁11)が固定されている部分を切断する連通管蓋の切除工程を行う前に、前記接続部材(例えば、補修弁11)の外径寸法L3がホールソー62aの内径寸法L6よりも大径の場合、ホールソー62aの内径寸法L6よりも小径の外径寸法L3を有する接続部材(例えば、ボールバルブ41)に付け替える補修弁の交換工程を行う。
【0071】
このようにすることで、ホールソー62aにより接続部材が切削されてしまうことを防止できることで、接続部材の再利用が可能となるばかりか、切削されたときに生じる切片や切削屑が既設の流体管2に混入してしまうことを防止できる。また、囲繞管としての短管51や弁箱管54aなどの外径を短寸にすることができるため、接続部材の小型化を図ることができる。
【0072】
また、接続部材はボールバルブ41を含むことで、接続部材の外径を極力小さくすることができ、囲繞管としての短管51や弁箱管54aなどの外径を短寸にすることができるため、接続部材の小型化を図ることができる。
【0073】
また、切除装置60によって連通管蓋4における前記接続部材(例えば、短管12及び補修弁11)が固定されている部分を切断する連通管蓋の切除工程において、開放状態としたボールバルブ41の内部通路にセンタードリル62bを挿入した状態で、ホールソー62aを回転させて連通管蓋4を切断する。
【0074】
このように、センタードリル62bが、切断して除去する前のボールバルブ41及び短管12の内部通路により軸回りに回転可能、かつ、上下方向に移動可能に案内されることで、ホールソー62a内に接続部材が収容された状態でも、接続部材に接触することなくホールソー62aを安定して回転させて連通管蓋4を切断することができる。
【0075】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0076】
例えば、前記実施例では、連通管蓋4と短管12との溶接部D,D’における漏洩箇所(
図1参照)を補修する方法について説明したが、漏洩箇所は上記した連通管蓋4と短管12との溶接部D,D’の所定箇所に限定されるものではなく、例えば、錆や腐食により連通管蓋4と短管12との溶接部D,D’だけでなく、連通管蓋4または短管12の所定箇所に漏洩が生じた場合でも、本発明の漏洩箇所補修方法を適用可能である。
【0077】
また、補修弁11より下流側に接続される空気弁10を補修または交換する場合は、補修弁11を開閉操作することで空気弁10を補修または交換することが可能である。また、補修弁11が開閉できない場合は、前述した取付部材20の弁体20aにて短管12を開閉することで空気弁10を補修または交換することができる。つまり、連通管3に最も近い開閉弁装置より連通管3側に配置される短管12などの接続部材及び連通管蓋4における漏洩箇所を補修する場合に、本発明の漏洩箇所補修方法を適用可能である。
【0078】
また、前記実施例では、既設の接続部材として、短管12、補修弁11及び空気弁10を適用し、また、新設の接続部材として、短管82及び空気弁90を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、補修弁11や仕切弁装置54の上流側に複数の短管が接続部材として接続されてもよい。つまり、接続部材は、連通管3に接続される部材であれば、短管などの管状部材、補修弁や仕切弁装置や空気弁などの弁部材、あるいは上記以外の部材であってもよい。
【0079】
また、前記実施例では、囲繞管の一例として、短管51や弁箱管54aを適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、既設の接続部材を囲繞可能なものであれば、上記のような円筒管に限定されるものではなく、角管や筐体等を適用してもよい。尚、これら短管51や弁箱管54aなどの囲繞管は、補修後においては新たな接続部材として機能する。
【0080】
また、前記実施例では、開閉手段の一例として、補修弁11、ボールバルブ41及び仕切弁装置54を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バタフライ弁、ゲート弁、ボール弁等の種々の開閉弁を適用可能である。
【0081】
また、前記実施例では、切断手段の一例として、カッタを有するホールソー62a及びセンタードリル62bからなる切除装置60を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記のような穿孔機により連通管蓋4を穿孔することで一部を除去できるようにするものでもよいし、エンドミルにより連通管蓋4を環状に切削することで一部を除去できるようにするものでもよく、適宜変更されてもよい。
【0082】
また、前記実施例では、連通管蓋4における接続部材としての短管12及びボールバルブ41が固定されている部分をホールソー62a及びセンタードリル62bにて切断した後、ホールソー62a及びセンタードリル62bとともに引き上げて除去する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、切断手段により切断した後、切断手段とは別個の除去装置により除去するものであってもよい。
【0083】
また、前記実施例では、既設の補修弁11が錆や経年劣化等の何らかの要因により開放状態から閉塞状態に変化させることができない状態であるため、接続部材の囲繞工程を行う前に、新しいボールバルブ41に交換する補修弁の交換工程を行う形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、既設の補修弁11がボールバルブ41であり、開閉できる状態である場合には、上記補修弁の交換工程は必ずしも行わなくてもよい。
【0084】
また、前記実施例では、既設の流体管としての流体管2及び連通管3に接続された接続部材は、プラント配管などのような地上に露出した状態で延設されていた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、流体管2及び連通管3に接続された接続部材は地中に埋設されていてもよい。