(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005768
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】噴霧ノズルユニット
(51)【国際特許分類】
B05B 1/32 20060101AFI20240110BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20240110BHJP
F16K 7/12 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
B05B1/32
B05B1/14 Z
F16K7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106132
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA06
4F033BA03
4F033CA12
4F033DA02
4F033EA01
4F033EA04
4F033GA03
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】ダイヤフラム弁を備えた噴霧ノズルユニットにおいて、簡単な構造で噴霧状態と噴霧停止状態を確実に切り替えられるようにする。
【解決手段】ダイヤフラム弁5のダイヤフラム51およびコイルばね(弾性部材)53を支持する支持部材54の外周におねじ54bを形成し、そのおねじ54bにねじ結合する操作部材61を回転操作して、操作部材61の当接部61cがダイヤフラム弁5の押圧部材52を介してダイヤフラム51を弁座となる内管部14の開口縁部に押し付けて保持する閉ロック状態と、操作部材61の当接部61cとダイヤフラム弁5の押圧部材52との間に軸方向隙間を生じさせて、ダイヤフラム51を内管部14の開口縁部に対して接離可能とする開閉可能状態とを切り替える構成のダイヤフラム弁操作機構6を設けることにより、噴霧ノズルユニットの噴霧停止状態と噴霧状態を確実に切り替えられるようにした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1流路を有する本体ケーシングと、前記本体ケーシングの第1流路から送り出される液体を噴出する噴霧ノズルとを備え、
前記本体ケーシングには、前記第1流路の他端部を形成する内管部と、前記内管部の外側に第2流路を形成する外管部と、前記第2流路に連通する液体導入路を有し、外部の液体供給源に接続される接続部とが設けられるとともに、前記第2流路の内圧が所定値を超えたときに第2流路と第1流路を連通させ、第2流路の内圧が所定値以下のときには第2流路と第1流路を遮断するダイヤフラム弁が設けられており、
前記ダイヤフラム弁は、前記第1流路の他端側の内管部の開口を覆うダイヤフラムと、前記ダイヤフラムを挟んで内管部の開口縁部と対向する押圧部材と、前記押圧部材を介してダイヤフラムを内管部の開口縁部に押し付ける方向に付勢する弾性部材と、前記弾性部材のダイヤフラム側と反対の側の端部を支持する支持部材とを備えたものである噴霧ノズルユニットにおいて、
前記ダイヤフラムを内管部の開口縁部に押し付けて保持する閉ロック状態と、前記ダイヤフラムを内管部の開口縁部に対して接離可能とする開閉可能状態とを切り替えるダイヤフラム弁操作機構が設けられていることを特徴とする噴霧ノズルユニット。
【請求項2】
前記ダイヤフラム弁操作機構は、前記支持部材の外周におねじを形成し、前記支持部材のおねじにねじ結合する筒部と、前記押圧部材のダイヤフラム側と反対の側に対向する当接部とを有する操作部材を設け、前記操作部材を一方向に回転させることにより、その当接部で前記押圧部材を押圧して前記ダイヤフラム弁を閉ロック状態とし、前記操作部材を逆方向に回転させることにより、その当接部と前記押圧部材との間に軸方向隙間を生じさせて前記ダイヤフラム弁を開閉可能状態とするものであることを特徴とする請求項1に記載の噴霧ノズルユニット。
【請求項3】
前記ダイヤフラム弁操作機構は、前記操作部材の一方向の回転による軸方向移動を規制するストッパを有していることを特徴とする請求項2に記載の噴霧ノズルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラム弁を備えた噴霧ノズルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
薬液や水等の液体の散布を行う液体散布装置には、その液体供給源に接続される噴霧ノズルユニットにダイヤフラム弁が備えられているものがある。ダイヤフラム弁を備えた噴霧ノズルユニットでは、液体の散布を停止したときには、本体ケーシング内の流路がダイヤフラム弁によって遮断され、液体供給源からダイヤフラム弁までの流路に残留する液体の自然流出(いわゆる「ボタ落ち」)を防止することができる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている噴霧ノズルユニットは、内部に第1流路を有する本体ケーシングと、本体ケーシングの第1流路から送り出される液体を噴出する噴霧ノズルとを備え、その本体ケーシングに第1流路の他端部を形成する内管部と、内管部の外側に第2流路を形成する外管部と、第2流路に連通する液体導入路を有し、外部の液体供給源に接続される接続部とが設けられるとともに、第1流路と第2流路の間にダイヤフラム弁が設けられている。
【0004】
この噴霧ノズルユニットのダイヤフラム弁は、第1流路の他端側の内管部の開口を覆うダイヤフラムと、ダイヤフラムを挟んで内管部の開口縁部と対向する押圧部材と、押圧部材を介してダイヤフラムを内管部の開口縁部に押し付ける方向に付勢する弾性部材と、弾性部材のダイヤフラム側と反対の側の端部を支持する支持部材とを備え、第2流路の内圧が所定値を超えたときに第2流路と第1流路を連通させ、第2流路の内圧が所定値以下のときには第2流路と第1流路を遮断するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の長尺の噴管をもち、各噴管に多数の噴霧ノズルユニットが取り付けられたブームスプレイヤー等の大型の液体散布装置において、液体の散布を止める際には、一般に、液体供給源に接続された動力ポンプを停止させるか、あるいは噴管の根元側に取り付けられたコックを操作することにより、各噴霧ノズルユニットへの液体の供給を停止させている。このとき、上述のように各噴霧ノズルユニットにダイヤフラム弁を備えたものを用いていれば、各噴霧ノズルからの液体のボタ落ちを防止することができる。
【0007】
しかし、上記のような方法で液体の散布を停止する液体散布装置では、すべての噴霧ノズルユニットが同時に噴霧状態から噴霧停止状態に切り替わるので、選択的に一部の噴霧ノズルユニットのみを噴霧停止状態とする(例えば、噴管の長手方向で噴霧ノズルユニットを1つおきに噴霧停止状態とする)ことができず、使用条件に応じて全体としての液体の散布状態を調整するということは難しい。
【0008】
これに対し、上記特許文献1の噴霧ノズルユニットでは、その本体ケーシングの一端部の外周に装着され、噴霧ノズルを取り付けられた筒状の回転ヘッドを回転させることにより、単独で噴霧停止状態とすることができる。
【0009】
すなわち、この噴霧ノズルユニットは、回転ヘッドに第1流路から送り出される液体を受け入れる流入路を複数設け、回転ヘッドの外周に複数のタイプの異なる噴霧ノズルを取り付けるとともに、本体ケーシングと回転ヘッドの間にバルブ機構を設け、回転ヘッドを回転させて、その流入路の一つを選択的に本体ケーシングの第1流路に連通させることにより、液体の噴出状態(噴霧状態)を切り替え、所望の噴霧形態が得られるようにしたものであり、回転ヘッドのいずれの流入路も第1流路と遮断されるように回転ヘッドの位置を調整すれば噴霧を止めることができる。
【0010】
しかしながら、このように回転ヘッドを回転させて液体を噴射する噴霧ノズルを切り替える方式の噴霧ノズルユニットでは、回転ヘッドの回転に伴って摺動する部品の摩耗や経年劣化により、回転ヘッドのいずれの流入路も第1流路と遮断される状態としても各噴霧ノズルから液体が流出するようになるおそれがある。
【0011】
一方、噴霧ノズルユニットの液体導入路にボールバルブ等のバルブを組み込み、そのバルブのコックを操作して噴霧状態と噴霧停止状態を切り替えるようにすることも考えられるが、その場合は構造が複雑になり、製造コストも高くなる。
【0012】
そこで、本発明は、ダイヤフラム弁を備えた噴霧ノズルユニットにおいて、簡単な構造で噴霧状態と噴霧停止状態を確実に切り替えられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、内部に第1流路を有する本体ケーシングと、前記本体ケーシングの第1流路から送り出される液体を噴出する噴霧ノズルとを備え、前記本体ケーシングには、前記第1流路の他端部を形成する内管部と、前記内管部の外側に第2流路を形成する外管部と、前記第2流路に連通する液体導入路を有し、外部の液体供給源に接続される接続部とが設けられるとともに、前記第2流路の内圧が所定値を超えたときに第2流路と第1流路を連通させ、第2流路の内圧が所定値以下のときには第2流路と第1流路を遮断するダイヤフラム弁が設けられており、前記ダイヤフラム弁は、前記第1流路の他端側の内管部の開口を覆うダイヤフラムと、前記ダイヤフラムを挟んで内管部の開口縁部と対向する押圧部材と、前記押圧部材を介してダイヤフラムを内管部の開口縁部に押し付ける方向に付勢する弾性部材と、前記弾性部材のダイヤフラム側と反対の側の端部を支持する支持部材とを備えたものである噴霧ノズルユニットにおいて、前記ダイヤフラムを内管部の開口縁部に押し付けて保持する閉ロック状態と、前記ダイヤフラムを内管部の開口縁部に対して接離可能とする開閉可能状態とを切り替えるダイヤフラム弁操作機構が設けられている構成を採用した。
【0014】
すなわち、本体ケーシングに設けられているダイヤフラム弁を利用した簡単な構造で、そのダイヤフラムを閉ロック状態と開閉可能状態との間で切り替える操作を行うだけで、噴霧停止状態と噴霧状態を確実に切り替えられるようにしたのである。
【0015】
ここで、前記ダイヤフラム弁操作機構としては、前記支持部材の外周におねじを形成し、前記支持部材のおねじにねじ結合する筒部と、前記押圧部材のダイヤフラム側と反対の側に対向する当接部とを有する操作部材を設け、前記操作部材を一方向に回転させることにより、その当接部で前記押圧部材を押圧して前記ダイヤフラム弁を閉ロック状態とし、前記操作部材を逆方向に回転させることにより、その当接部と前記押圧部材との間に軸方向隙間を生じさせて前記ダイヤフラム弁を開閉可能状態とするものを採用することができる。
【0016】
また、前記ダイヤフラム弁操作機構は、前記操作部材の一方向の回転による軸方向移動を規制するストッパを有している構成とすることが望ましい。このようにすれば、操作部材の当接部でダイヤフラム弁の押圧部材を過剰に押し込むことによるダイヤフラムの破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の噴霧ノズルユニットは、上述したように、本体ケーシングに設けられているダイヤフラム弁のダイヤフラムを弁座となる内管部の開口縁部に押し付けて保持する状態と、ダイヤフラムを内管部の開口縁部に対して接離可能とする状態とを切り替えるダイヤフラム弁操作機構を設けたものであるから、簡単な構造で噴霧状態と噴霧停止状態を確実に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の噴霧ノズルユニットの使用状態の斜視図
【
図2】
図1の噴霧ノズルユニットの要部の縦断正面図
【
図3】
図1のダイヤフラム弁およびダイヤフラム弁操作機構の分解斜視図
【
図4】
図2に対応してダイヤフラム弁の開状態を示す要部の縦断正面図
【
図5】
図2に対応してダイヤフラム弁の閉ロック状態を示す要部の縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1乃至
図5に基づき、本発明の実施形態を説明する。
図1は、液体散布装置の液体供給源としての長尺の噴管Pに、実施形態の噴霧ノズルユニットAを取り付けた状態を示している。噴管Pは長手方向に所定間隔で枝管Bが分岐しており、各枝管Bにそれぞれ噴霧ノズルユニットAが接続されている。
【0020】
この噴霧ノズルユニットAは、
図1および
図2に示すように、噴管Pの枝管Bに接続される本体ケーシング1と、本体ケーシング1の一端部の外周に回転可能に装着される筒状の回転ヘッド2と、回転ヘッド2の外周に取り付けられる2つの噴霧ノズル3、4と、本体ケーシング1に設けられるダイヤフラム弁5とを備えており、そのダイヤフラム弁5の作動状態を切り替えるダイヤフラム弁操作機構6が設けられている。
【0021】
本体ケーシング1は、横向きのT字状に形成されており、横向きに延びる直線筒部1Aと、直線筒部1Aの他端側から下向きに延びる二重管部1Bと、直線筒部1Aの他端側から上向きに延びる接続部1Cとで構成されている。
【0022】
本体ケーシング1の直線筒部1Aは、内部に第1流路10が形成されており、一端部の外周に円筒状のバルブ体11が装着され、そのバルブ体11の一端の開口に蓋部材12が装着されている。そして、直線筒部1Aとバルブ体11と蓋部材12の外周に跨るように回転ヘッド2が装着されており、直線筒部1Aと回転ヘッド2との間、直線筒部1Aとバルブ体11との間および蓋部材12と回転ヘッド2との間に、それぞれOリング13が設けられている。また、バルブ体11には、その周方向の一箇所に、直線筒部1Aの第1流路10の一端から流出した液体を回転ヘッド2の内周に向けて送り出すバルブ孔11aが設けられている。
【0023】
回転ヘッド2は、他端側に径方向と平行に延びる2つの挿通孔2aが設けられており、各挿通孔2aと本体ケーシング1の直線筒部1Aの外周に設けられた環状溝1aにU字状のスライドピン7の一対のアームがそれぞれ挿入されることにより、本体ケーシング1に対して回転可能かつ軸方向移動を規制された状態で装着されている。
【0024】
また、回転ヘッド2には、バルブ体11のバルブ孔11aと同じ軸方向位置付近に、外周から突出する一対の筒状のノズル取付口21と、内周面から各ノズル取付口21の内側へ貫通する流入路2bが設けられている。
【0025】
この回転ヘッド2の各ノズル取付口21に取り付けられる噴霧ノズル3、4は、噴霧パターンが互いに異なる周知のものが用いられる。各噴霧ノズル3、4は、それぞれノズル取付口21の外周に形成されたおねじとねじ結合するホルダ31、41を備え、本体ケーシング1の第1流路10からバルブ体11のバルブ孔11aおよび回転ヘッド2の流入路2bを介して流れ込んだ液体を噴出するようになっている。
【0026】
したがって、回転ヘッド2を回転させることにより、その流入路2bの一つを選択的にバルブ体11のバルブ孔11aおよび本体ケーシング1の第1流路10に流通させて、液体を噴射する噴霧ノズル(3または4)を切り替えたり、いずれの流入路2bもバルブ孔11aおよび第1流路10と遮断されるように回転ヘッド2の位置を調整して、噴霧を止めたりすることができる。
【0027】
一方、本体ケーシング1の二重管部1Bは、第1流路10の他端部(下向きに延びる部分)を形成する内管部14と、内管部14の外側に第2流路20を形成する外管部15とで構成されている。そして、その内管部14の開口縁部がダイヤフラム弁5の弁座の役割を果たすようになっている。
【0028】
また、本体ケーシング1の接続部1Cは、二重管部1Bの第2流路20に連通する液体導入路16を有しており、その液体導入路16に筒状のジョイント17を圧入し、ジョイント17の入口部と係合するユニオンナット18を噴管Pの枝管Bの出口部にねじ結合させることによって、枝管Bに接続されるようになっている。なお、ユニオンナット18には、ジョイント17の入口側端面と当接する環状のパッキン19が組み込まれている。
【0029】
ダイヤフラム弁5は、
図2および
図3に示すように、本体ケーシング1の二重管部1Bの内管部14および外管部15の開口(第1流路10の入口および第2流路20の出口)を覆うダイヤフラム51と、ダイヤフラム51を挟んで内管部14の開口縁部(弁座)と対向する押圧部材52と、押圧部材52を介してダイヤフラム51を内管部14の開口縁部に押し付ける方向に付勢するコイルばね(弾性部材)53と、コイルばね53のダイヤフラム51側と反対の側の端部を支持する支持部材54と、支持部材54を外管部15に固定するユニオンナット55とを備えている。
【0030】
ダイヤフラム51は、円形皿状のゴム製部材であり、本体ケーシング1の内管部14と対向する円板部51aの周囲に、傾斜部51bを介して環状の取付部51cが形成されている。また、円板部51aの背面側(内管部14と対向する側と反対の側)の中央に、後述するように位置ずれを防止するための突起51dが形成されている。
【0031】
押圧部材52は、ダイヤフラム51の円板部51aの背面と当接する押圧部52aと、押圧部52aの背面から下方に延びる脚部52bとを有しており、押圧部52aの周縁部をコイルばね53の一端部に押圧されるようになっている。その押圧部52aのダイヤフラム51との当接面の中央には凹部52cが形成されており、この凹部52cにダイヤフラム51の突起51dが挿入されることにより、ダイヤフラム51の径方向の位置ずれが防止されるようになっている。また、脚部52bには、後述するダイヤフラム弁操作機構6と係合するための軸孔52dが形成されている。
【0032】
支持部材54は、筒状に形成されて、その内部に押圧部材52およびコイルばね53を収容しており、内周面の軸方向中央部に形成された上向きの段差面でコイルばね53の他端部を支持するとともに、上端部が本体ケーシング1の外管部15の開口縁部との間でダイヤフラム51の周縁の取付部51cを挟持するようになっている。そして、上端部外周にはユニオンナット55に係止されるフランジ54aが設けられ、下端部外周にはダイヤフラム弁操作機構6の一部を構成するおねじ54bが形成されている。
【0033】
ユニオンナット55は、下端側内周に設けられた内フランジ55aで支持部材54のフランジ54aを係止した状態で、外管部15とねじ結合することにより、支持部材54を外管部15に固定するようになっている。
【0034】
このダイヤフラム弁5は、組立時には
図2に示す状態となっており、使用中に第2流路20の内圧が所定値を超えたときには、
図4に示すように、コイルばね53の弾性力に抗してダイヤフラム51の円板部51aが押圧部材52とともに押し下げられて内管部14の開口縁部から離れ、第2流路20と第1流路10とが連通する。一方、第2流路20の内圧が所定値以下のときには、コイルばね53の弾性力によりダイヤフラム51の円板部51aは内管部14の開口縁部に押し付けられ(
図2の状態)、第2流路20と第1流路10は遮断される。
【0035】
ダイヤフラム弁操作機構6は、
図2および
図3に示すように、ダイヤフラム弁5の支持部材54の外周に前述のおねじ54bを形成し、その支持部材54のおねじ54bにねじ結合する筒部61aと、筒部61aの下端を塞ぐ蓋部61bの中央から上方に延びる当接部61cとを有する操作部材61を設けたものである。その操作部材61は、当接部61cがダイヤフラム弁5の押圧部材52のダイヤフラム51側と反対の側から軸孔52dに挿入されて、その軸孔52dの底面と接離するようになっている。
【0036】
また、操作部材61は、筒部61aの上端部に径方向の貫通孔61dがあけられ、その貫通孔61dに圧入されたピン62の先端部が筒部61aの内周面から突出している。そして、そのピン62の先端部と、ダイヤフラム弁5の支持部材54の外周面の軸方向中央部に形成された下向きの段差面54cとで、操作部材61の一方向の回転による軸方向上側への移動を規制するストッパ63が構成されている。
【0037】
このダイヤフラム弁操作機構6は、組立時には、
図2に示すように、操作部材61の当接部61cがダイヤフラム弁5の押圧部材52の軸孔52dの底面から離れた(押圧部材52との間に軸方向隙間がある)状態となっている。この状態から操作部材61を一方向に回転させると、
図5に示すように、操作部材61が軸方向上側へ移動して、その当接部61cが押圧部材52を押圧することにより、ダイヤフラム弁5が閉ロック状態(ダイヤフラム51が本体ケーシング1の内管部14の開口縁部に押し付けられて保持される状態)となる。このとき、操作部材61とダイヤフラム弁5の支持部材54との間のストッパ63が操作部材61の軸方向上側への移動を規制するので、操作部材61の当接部61cが押圧部材52を過剰に押し込んでダイヤフラム51を破損させるおそれはない。
【0038】
そして、
図5の状態から操作部材61を逆方向に回転させると、操作部材61が軸方向下側へ移動して、その当接部61cと押圧部材52との間に軸方向隙間が生じ、ダイヤフラム弁5が開閉可能状態(ダイヤフラム51が内管部14の開口縁部に対して接離可能な
図2の状態)に戻る。
【0039】
この噴霧ノズルユニットAは、上記の構成であり、噴管Pに接続されている動力ポンプ(図示省略)を駆動すると、液体が噴管Pの枝管Bから本体ケーシング1の液体導入路16を通って第2流路20へ供給される。ここで、通常使用中は、ダイヤフラム弁操作機構6が組立状態(ダイヤフラム弁5が開閉可能状態)になっているので、第2流路20の内圧が所定値を超える場合は、ダイヤフラム弁5が開いて第2流路20から第1流路10へ液体が流れていき、第2流路20の内圧が所定値以下の場合は、ダイヤフラム弁5が閉じたままとなるので、第2流路20から第1流路10への液体の流れは生じない。第1流路10へ流れ込んだ液体は、バルブ体11のバルブ孔11aを通って、使用が選択されている噴霧ノズル(3または4)から噴射される。また、回転ヘッド2を回転させれば、液体を噴射する噴霧ノズルを切り替えて噴霧形態を変更することができる。
【0040】
しかも、ダイヤフラム弁操作機構6の操作部材61の回転操作により、ダイヤフラム弁5の閉ロック状態と開閉可能状態、すなわち噴霧停止状態と噴霧状態を容易に切り替えることができる。
【0041】
したがって、この噴霧ノズルユニットAを多数取り付けた噴管Pを有する液体散布装置では、各噴霧ノズルユニットAへの液体の供給を停止させることなく、選択的に一部の噴霧ノズルユニットAのみを噴霧停止状態にできるので、使用条件に応じて全体としての液体の散布状態を容易に調整することができる。
【0042】
ここで、噴霧ノズルユニットAの噴霧停止状態と噴霧状態の切り替えは、前述のように回転ヘッド2の回転操作によって行うこともできるが、その場合は回転ヘッド2やこれと摺動するバルブ体11の摩耗や経年劣化により、噴霧停止状態としても各噴霧ノズル3、4から液体が流出するようになるおそれがある。これに対して、ダイヤフラム弁操作機構6を用いれば、確実に噴霧状態と噴霧停止状態を切り替えることができ、噴霧停止状態における各噴霧ノズル3、4からの液体の流出を防止できる。
【0043】
また、ダイヤフラム弁操作機構6はダイヤフラム弁5を利用して噴霧状態と噴霧停止状態の切り替えを行うものであり、液体導入路にボールバルブ等のバルブを組み込む場合に比べて、構造が簡単で製造コストを低く抑えられるという利点もある。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0045】
例えば、本発明は、実施形態のような回転ヘッドを有する形式の噴霧ノズルユニットに限らず、ダイヤフラム弁を備えた噴霧ノズルユニットに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 本体ケーシング
2 回転ヘッド
3、4 噴霧ノズル
5 ダイヤフラム弁
6 ダイヤフラム弁操作機構
10 第1流路
14 内管部
15 外管部
20 第2流路
51 ダイヤフラム
52 押圧部材
53 コイルばね(弾性部材)
54 支持部材
54b おねじ
61 操作部材
61a 筒部
61c 当接部
63 ストッパ
A 噴霧ノズルユニット
P 噴管
B 枝管