(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057680
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】磁力回転装置及びそれを組み込んだ発電装置
(51)【国際特許分類】
H02K 53/00 20060101AFI20240418BHJP
F03G 3/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
H02K53/00
F03G3/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164482
(22)【出願日】2022-10-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】508133868
【氏名又は名称】兼子 文美子
(71)【出願人】
【識別番号】515163494
【氏名又は名称】大出 隆子
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】兼子 康男
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造でありながら、ロータを回転させる磁石同士の反発力である正のエネルギー効果的に取り出すことができるようにした磁力回転装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ロータ側磁石部38の棒磁石66の固定側磁石部40の棒磁石70に対する対向面である外側対向面66Aのうち、ロータ34の回転方向から見た下流面には、棒磁石66の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板42を設け、固定側磁石部40の棒磁石70のロータ側磁石部38の棒磁石66に対する対向面である内側対向面70Aのうち、ロータ34の回転方向から見た上流面には、棒磁石70の磁力を遮断する固定側磁力遮断板44を設けた。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石の磁力を回転力として利用する磁力回転装置において、
回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸の軸芯を回転中心として回転する円形なロータと、
装置フレームに固定されて前記ロータの外側に前記ロータを囲むように設けられ、前記ロータと同心円状の内周面を有する固定部と、
前記ロータの外周面部分に前記ロータの回転方向に沿って等間隔の間隙部を形成して配置され、前記回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に前記放射状方向の外側の外側磁極が全て同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなるロータ側磁石部と、
前記固定部の前記内周面に周方向に等間隔の間隙部を形成して配置され、前記回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に前記ロータ側磁石部に対向する内側の内側磁極が前記ロータ側磁石部の前記外側磁極と同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなる固定側磁石部と、を有し、
前記ロータ側磁石部の前記棒磁石の前記固定側磁石部の前記棒磁石に対する対向面である外側対向面のうち、前記ロータの回転方向から見た下流面には、前記棒磁石の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板を設け、
前記固定側磁石部の前記棒磁石の前記ロータ側磁石部の前記棒磁石に対する対向面である内側対向面のうち、前記ロータの回転方向から見た上流面には、前記棒磁石の磁力を遮断する固定側磁力遮断板を設けたことを特徴とする磁力回転装置。
【請求項2】
前記ロータ側磁力遮断板は前記棒磁石の前記外側対向面の半分の前記下流面に設けられていると共に、前記固定側磁力遮断板は前記棒磁石の前記内側対向面の半分の前記上流面に設けられている請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項3】
前記ロータ側磁力遮断板は前記棒磁石の前記下流面の端から張り出した庇部分を有すると共に、前記固定側磁力遮断板は前記棒磁石の前記上流面の端から張り出した庇部分を有する請求項2に記載の磁力回転装置。
【請求項4】
前記ロータ側磁力遮断板及び前記固定側磁力遮断板は強磁性材である請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項5】
前記ロータ側磁力遮断板及び前記固定側磁力遮断板は鉄板と複数の磁石とで構成される請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項6】
前記ロータ側磁石部の全面の磁極が前記外側磁極と同一極性になるようにすると共に、前記固定側磁石部の全面の磁極が前記内側磁極と同一極性になるようにした請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項7】
前記間隙部を非磁性材で埋める請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項8】
前記回転軸にフライホイールを設ける請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項9】
前記ロータとしてフライホイールを用いる請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置が複数台直列に連設されている磁力回転装置。
【請求項11】
モータと、
前記モータを回転駆動源として発電ロータを回転させて発電する発電機と、
前記モータと前記発電ロータとの間に設けられた請求項1~3のいずれか1項に記載の磁力回転装置と、を備えた発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力回転装置及びそれを組み込んだ発電装置に係り、特に磁石同士の磁力によって生じる反発力を回転に利用する磁力回転技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石同士の磁力によって生じる反発力を回転に利用する磁力回転装置の応用例としては、永久磁石モータや発電機が従来からよく知られている。磁力回転装置としては、対向するロータ側の磁石と固定側の磁石との磁極を同一極性にしたときに生じる反発力を利用してロータを回転させる構造が一般的である。
【0003】
しかし、同一極性の磁極による反発力は、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石とが離間するときにはロータの回転を促進する正のエネルギーになるが、接近するときにはロータの回転を阻害する負のエネルギーになる。また、磁石にはN極とS極とがあるため、同一極性の磁極による反発力以外に異なる磁極による吸引力も発生する。したがって、磁力回転装置の回転力をアップするには、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力、即ち正のエネルギーのみを如何に効果的に取り出せるかが重要となる。
【0004】
かかる問題を解決する方法として、例えば特許文献1の磁力回転装置が提案されている。特許文献1の磁力回転装置は、回転軸と、複数個の磁石を外周の端部に磁極が径方向になるように配置した回転子と、前記回転子の磁石と同数個の磁石を径方向に前記回転子の磁石と対峙して配置した固定子と、スリットと強磁性材からなる遮蔽板を交互に配置した磁気遮蔽回転体と、前記回転子の近傍に配置された回転子検出センサーと、前記磁気遮蔽回転体の近傍に設置された磁気遮蔽回転体検出センサーから構成されている。そして、回転子検出センサーと磁気遮蔽回転体検出センサーとによって、回転子の磁石と固定子の磁石との間に磁気遮蔽回転体をタイミングよく挿入する。これにより、回転子の磁石と固定子の磁石との反発力と吸引力とにアンバランスを人為的に作り出し、回転子が回転する回転方向における負の方向に働く回転エネルギーを最小にし、磁石の力を回転エネルギーとして取り出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の磁力回転装置のように、回転子検出センサーと磁気遮蔽回転体検出センサーとによって、回転子の磁石と固定子の磁石との間に磁気遮蔽回転体をタイミングよく挿入する方法は、メカニズム的に複雑であると共にセンサーの検出精度等によってタイミングにズレが発生し易いという欠点がある。タイミングにズレが発生すると、ロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力、即ち正のエネルギーを効果的に取り出すことができない。
【0007】
また、磁石にはN極とS極とがあり、同一極性の磁極による反発力以外に異なる磁極による吸引力も発生するため、回転子の磁石と固定子の磁石との間に磁気遮蔽回転体を挿入するだけでは、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石とが離間するときの反発力を効果的に取り出すことができない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、シンプルな構造でありながら、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石とが離間するときの反発力、即ちロータの回転を促進する正のエネルギーをより効果的に取り出すことができるようにした磁力回転装置及びそれを組み込んだ発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の磁力回転装置は前記目的を達成するために、磁石の磁力を回転力として利用する磁力回転装置において、回転自在に支持された回転軸と、回転軸に固定され、回転軸の軸芯を回転中心として回転する円形なロータと、装置フレームに固定されてロータの外側にロータを囲むように設けられ、ロータと同心円状の内周面を有する固定部と、ロータの外周面部分にロータの周方向に間隙部を形成して配置され、回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に放射状方向の外側の外側磁極が全て同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなるロータ側磁石部と、固定部の内周面部分に周方向に等間隔の間隙部を形成して配置され、回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共にロータ側磁石部に対向する内側の内側磁極がロータ側磁石部の外側磁極と同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなる固定側磁石部と、を有し、ロータ側磁石部の棒磁石の固定側磁石部の棒磁石に対する対向面である外側対向面のうち、ロータの回転方向から見た下流面には、棒磁石の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板を設け、固定側磁石部の前記棒磁石のロータ側磁石部の棒磁石に対する対向面である内側対向面のうち、ロータの回転方向から見た上流面には、棒磁石の磁力を遮断する固定側磁力遮断板を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ロータ側磁石部の棒磁石の固定側磁石部の棒磁石に対する対向面である外側対向面のうち、ロータの回転方向から見た下流面には、棒磁石の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板を設けた。そして、固定側磁石部の棒磁石のロータ側磁石部の棒磁石に対する対向面である内側対向面のうち、ロータの回転方向から見た上流面には、棒磁石の磁力を遮断する固定側磁力遮断板を設けた。
【0011】
これにより、ロータの回転によって、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが接近するときには、反発力が発生し難くなるので、ロータの回転を阻害しにくくなる。そして、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが離間するときには反発力が効果的に発生する。
【0012】
即ち、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが離間するときに、反発力をより利用しやすくした。したがって、シンプルな構造でありながら、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力を効果的に利用することができる。
【0013】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板は棒磁石の外側対向面の半分の下流面に設けられていると共に、固定側磁力遮断板は棒磁石の内側対向面の半分の上流面に設けられていることが好ましい。
【0014】
これにより、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが対面状態になるまで反発力の殆どない状態でロータが回転し、ロータ側磁石部の棒磁石が固定側磁石部の棒磁石を通過すると反発力が発生する。したがって、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力を一層効果的に取り出すことができる。
【0015】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板は棒磁石の下流面の端から張り出した庇部分を有すると共に、固定部磁力遮断板は棒磁石の上流面の端から張り出した庇部分を有することが好ましい。これにより、ロータの回転によって、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが接近するときには、反発力が一層発生し難くなる。
【0016】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板は強磁性材であることが好ましい。強磁性材は磁力を吸収するので、棒磁石から出る磁力を遮断する機能を有する。
【0017】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板は鉄板と複数の磁石とで構成されることが好ましい。このように、鉄板と複数の磁石とで構成することで、磁力を吸収する吸収力をアップできるので、磁力をより効果的に遮断できる。
【0018】
本発明の態様において、ロータ側磁石部の全面の磁極が外側磁極と同一極性になるようにすると共に、固定側磁石部の全面の磁極が内側磁極と同一極性になるようにすることが好ましい。これにより、異なる磁極による吸引力をより発生しにくくできるので、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力を更に一層効果的に取り出すことができる。
【0019】
本発明の態様において、間隙部を非磁性材で埋めることが好ましい。これにより、棒磁石がしっかりと固定されるので、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石が互いの反発力で棒磁石が固定ズレすることを防止できる。
【0020】
本発明の態様において、回転軸にフライホイールを設けることが好ましい。これにより、ロータ側磁石部と固定側磁石部との間に生じるロータ回転方向の反発力をロータの滑らかな回転運動に転換できる。更には、フライホイールを設けることによって、ロータの回転を更に軽くするので、ロータを回転する動力源(例えばモータ)の回転力を一層補助することができる。
【0021】
本発明の態様において、ロータとしてフライホイールを用いることが好ましい。ロータとしてフライホイールを用いることで、ロータの回転を促進する反発力を直接フライホイールに伝えることができる。これにより、ロータを回転する動力源(例えばモータ)の回転力を更に一層補助することができる。
【0022】
本発明の態様において、磁力回転装置が複数台直列に連設されていることが好ましい。このように、磁力回転装置が複数台直列に連設されていることによって、更にロータの回転を補助することができる。
【0023】
本発明の発電装置は、モータと、モータを回転駆動源として発電ロータを回転させて発電する発電機と、モータと発電ロータとの間に設けられた上記磁力回転装置と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の発電装置によれば、モータと発電ロータとの間に、上記磁力回転装置を設けたので、モータの回転力を補助することができる。これにより、モータだけで発電機の発電ロータを回転させて発電するよりもより効率的に電力を得ることができる。また、発電機で同じ電力を得る場合には、モータをより小型化できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の磁力回転装置によれば、シンプルな構造でありながら、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力を効果的に利用することができる。これにより、従来の磁力を利用した磁力回転装置よりもロータの回転を補助することができる。
【0026】
また、本発明の発電装置によれば、モータと発電ロータとの間に本発明の磁力回転装置を設けたので、モータの回転力を補助することができる。したがって、より効果的に発電力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置であって、(A)は側面図であり(B)は(A)のa-a線に沿った正面断面図
【
図3】ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とにそれぞれ設けたロータ側磁力遮断板と固定側磁力遮断板を説明する斜視図
【
図5】ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板の構成例を説明する説明図
【
図6A】ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板の別態様の構成例を説明する説明図
【
図7】ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板の更に別態様の構成例を説明する説明図
【
図8】本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置の作用について説明する説明図
【
図9】本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置であって、(A)は側面図であり(B)は(A)のb-b線に沿った正面断面図
【
図10】本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置の変形例の説明図
【
図11】本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置の別態様の説明図
【
図12】本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置の正面断面図
【
図13】本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置の正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面にしたがって本発明の磁力回転装置及びそれを組み込んだ発電装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0029】
本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0030】
本発明の磁力回転装置は、対向するロータ側の磁石と固定側の磁石との磁極を同一極性にしたときに生じる反発力を利用してロータを効率的に回転せしめる、いわば補助装置であり、ロータを回転させる回転駆動源を必要とする。すなわち、単独で使用されるのではなく、モータのような回転駆動源の回転力を増加する回転力補助手段として使用されることが好ましい。したがって、以下の説明では先ず本発明の磁力回転装置を組み込んだ本発明の発電装置について説明し、その後で本発明の磁力回転装置を説明する。
【0031】
[発電装置]
図1は、本発明の磁力回転装置を組み込んだ本発明の発電装置であって、一部を断面で示した全体構成図である。なお、
図1は、以下に詳細を説明する第1の実施の形態から第4の実施の形態の磁力回転装置のうち第1の実施の形態を組み込んだものであるが、第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態を組み込んでもよいことは勿論である。
【0032】
図1に示すように、本発明の発電装置10は、主として、モータ12と、モータ12を回転駆動源として発電ロータ14Aを回転させて発電する発電機14と、モータ12と発電ロータ14Aとの間に設けられた本発明の磁力回転装置16と、を備えて構成される。また、矢印Aはロータ回転方向を示し、
図1以降も同様である。
【0033】
磁力回転装置16は基台18の上に装置フレーム20を介して支持される。基台18と装置フレーム20との間には振動減衰部材18A(例えばゴム板の積層板等)が介在され、基台18と装置フレーム20とは固定ボルト18Bで固定される。
【0034】
モータ12は基台18の上にモータ据付台22を介して支持されると共に、発電機14は基台18の上に発電機据付台24を介して支持される。また、モータ据付台22と発電機据付台24には、それぞれ軸受26が設けられ、磁力回転装置16の回転軸28の両側を回転自在に支持する。
【0035】
また、モータ12の回転軸12Aと、磁力回転装置16の回転軸28の一端とは継手30によって連結される。また、発電機14の発電ロータ14Aの回転軸14Bと、磁力回転装置16の回転軸28の他端とは継手30によって連結される。一対の継手30の部分には、モータ12を停止したときに磁力回転装置16の回転を強制的に停止させるためのブレーキ手段32が設けられる。ブレーキ手段32を設けた理由は、磁力回転装置16が一度回転しだすと、モータ12を停止しても一定期間、磁力回転装置16が回転するためである。
【0036】
上記の如く構成された本発明の発電装置10は、モータ12を回転駆動源として発電機14の発電ロータ14Aを回転させることにより発電する。このように、モータ12を回転駆動源として発電ロータ14Aをかいて回転させて発電する発電機14の場合、発電機の電力はモータ12の出力、即ちモータ12が回転する回転力によって決まる。したがって、大きな発電力を得るために大型で高出力のモータ12を採用しなくてはならない。
【0037】
そこで、本発明の発電装置10では、モータ12と発電ロータ14Aとの間に、発電ロータ14Aの回転数を大きくするための回転力補助手段として本発明の磁力回転装置16を設けた。
【0038】
これにより、本発明の発電装置10によれば、モータ12と発電ロータ14Aとの間に本発明の磁力回転装置16を設けてモータ12の回転力を補助するようにしたので、モータ12だけよりも効率よく発電ロータ14Aを回転させることができる。
以下に、本発明の磁力回転装置16の構成及び作用等を詳しく説明する。
【0039】
[磁力回転装置の第1の実施の形態]
図2の(A)は、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置において、ロータ回転方向Aを正面とした場合の側面図であり、(B)は(A)のa-a線に沿った正面断面図である。なお、
図2の(B)の正面断面図において、断面構造図を分かり易くするために、主たる構成である装置フレーム、回転軸、ロータ、固定部、棒磁石、フライホイール、ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板にはハッチングをしているが、その他の部材のハッチングを省略している。このハッチングの省略は、
図2以降の正面断面図も同様である。なお、棒磁石は永久磁石を使用した。
【0040】
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16は、主として回転自在に支持された回転軸28と、ロータ34と、固定部36と、ロータ側磁石部38と、固定側磁石部40と、ロータ側磁力遮断板42と、固定側磁力遮断板44とで構成される。
【0041】
装置フレーム20は、
図2において、ロータ34の回転軸28の軸芯方向の面が開口した四角筒状に形成したが、円筒状に形成してもよい。
【0042】
回転軸28は、
図1に示したように、装置フレーム20の外側に配置された一対の軸受26に回転自在に支持されると共に、回転軸28のロータ34を挟んだ両側にはロータ34の直径よりも大径な一対のフライホイール46が設けられる。ロータ34とフライホイール46との間は軸カラー48によって一定距離が確保されている。
【0043】
ロータ34は、
図2の(A)に示すように円形を有し、中心が回転軸28に固定される。これにより、ロータ34は回転軸28の軸芯を回転中心として回転軸28と一緒に回転する。本実施の形態でのロータ34は、回転軸28に直交する円盤状のロータ本体部34Aの中心位置に回転軸28に嵌合する円筒状の嵌合筒34Bを有し、ロータ本体部34Aの外側に円筒状の外環筒34Cを有する。そして、外環筒34Cの外側にロータ側磁石部38を固定するための円筒状の円筒筒50を設けた構造とした。
【0044】
また、
図2の(B)に示すように、ロータ本体部34Aには、対向する一対のロータ側用の側面カバー52が支持される。側面カバー52はステンレス等の非磁性材であることが好ましい。側面カバー52は中央部が開口したリング板状に形成され、側面カバー52同士が複数の連結ボルト54で連結される。複数の連結ボルト54のうちの1本は、棒磁石66に形成された孔を貫通している。これにより、棒磁石66は連結ボルト54を介して側面カバー52に支持される。
【0045】
固定部36は装置フレーム20に固定される。固定部36はロータ34の外側にロータ34を囲むように設けられ、ロータ34と同心円状の内周面を有する。本実施の形態の固定部36は、円筒状の外筒56と円筒状の内筒58とを有し、装置フレーム20と外筒56との複数個所を連結ボルト60で連結し、外筒56と内筒58との複数個所を連結調整ボルト62で連結固定する構造とした。この内筒58の内側に上記したロータ34が配設されると共に、内筒58はロータ34と同心円状の内周面を有する。そして、内筒58の内周面に固定側磁石部40が設けられる。
【0046】
内筒58は、
図2の(A)に示すように、複数の円弧状ブロック板58Aをリング状に配列した構造をしている。そして、内筒58の内周面に固定側磁石部40を設けるには、先ず円弧状ブロック板58Aに棒磁石66を固定してから、連結調整ボルト62で外筒56から円弧状ブロック板58Aまでの距離を調整しながら円弧状ブロック板58A同士をリング状に配列していく手順で行う。
【0047】
また、
図2の(B)に示すように、外筒56には、対向する一対の固定側用の側面カバー61、61が支持される。側面カバー61はステンレス等の非磁性材であることが好ましい。側面カバー61は、ロータ側用の側面カバー52よりも大径な中心開口を有するリング板状に形成され、側面カバー61同士が複数の連結ボルト63で連結される。複数の連結ボルト63のうちの1本は、棒磁石70に形成された孔を貫通している。これにより、棒磁石70は連結ボルト63を介して側面カバー61に支持される。
【0048】
図2の(A)に示すように、ロータ側磁石部38は、ロータ34の外周面部分の円筒形な円筒筒50に、ロータ回転方向Aに沿って等間隔の間隙部64を有して複数の棒磁石66が配置固定されることによって構成される。これにより、ロータ側磁石部38は複数の棒磁石66が等間隔ごとに円形に配列された磁石部として形成される。
図2の(A)では、棒磁石66を18本配置した例で示したが、この本数に限定されない。
【0049】
棒磁石66を固定する円筒筒50は鉄板等の強磁性材で形成することが好ましい。また、棒磁石66を固定する方法としては、円筒筒50に棒磁石66が固定されればどのような方法でもよいが、接着剤でしっかりと接着固定することが好ましい。
【0050】
このように、円筒筒50を強磁性材にすることにより、棒磁石66の円筒筒50に固定されるS極(外側対向面66AのN極と反対のS極)である底面66F(
図3、
図4及び
図8参照)からの磁力を吸収する。これにより、強磁性材で覆われた部分からの磁力を弱めることができる。
【0051】
ロータ側磁石部38の複数の棒磁石66は、回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に放射状方向の外側の外側磁極が全て同一極性になるように配列される。本実施の形態では、棒磁石66のN極が外側磁極になるように配置したが、S極が外側磁極になるように配置してもよい。
【0052】
図2の(A)に示すように、固定側磁石部40は、固定部36の内周面部分、即ち円筒形な内筒58の内周面部分に周方向に等間隔の間隙部68を有して複数の棒磁石70が配置固定されることによって構成される。これにより、固定側磁石部40は複数の棒磁石70が等間隔ごとに円形に配列されると共にロータ側磁石部38よりも一回り大きな磁石部として形成される。
【0053】
この場合、内筒58を構成する円弧状ブロック板58Aも上記した円筒筒50と同様の理由から鉄板等の強磁性材で形成し、棒磁石70の底面70Fを円弧状ブロック板58Aに接着剤でしっかりと固定することが好ましい(
図3、
図4及び
図8参照)。また、固定側磁石部40の棒磁石70の本数としては、ロータ側磁石部38と同じ本数であることが好ましい。
【0054】
固定側磁石部40の複数の棒磁石70は、回転軸28の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共にロータ側磁石部38に対向する側である内側磁極がロータ側磁石部38の外側磁極と同一極性になるように配列される。本実施の形態では、棒磁石70のN極が内側磁極になるように配置したが、ロータ側磁石部38の外側磁極がS極の場合には固定側磁石部40の内側磁極もS極になるようにする。
【0055】
なお、ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40において、間隙部64(又は間隙部68)を有する理由は、隣接する棒磁石66同士(又は棒磁石70同士)が接していると、ロータ回転方向Aの反発力の発生に悪影響を及ぼすためである。したがって、ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40の隣接する棒磁石66同士(又は棒磁石70同士)の間には、ロータ回転方向Aからみた棒磁石66(又は棒磁石70)の幅寸法の1倍から2倍程度の間隙距離の間隙部64(又は間隙部68)を形成していることが好ましい。
【0056】
次に、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44について説明するが、本実施の形態では、ロータ側磁石部38の棒磁石66の外側磁極と、固定側磁石部40の棒磁石70の内側磁極とがN極になるようにした場合で以下の説明を行う。
【0057】
図3は、ロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とを説明する斜視図であり、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70との対向面にロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とをそれぞれ固着したものである。
【0058】
図3に示すように、ロータ側磁力遮断板42は、棒磁石66の磁力を遮断するものであり、ロータ側磁石部38の棒磁石66の固定側磁石部40の棒磁石70に対する対向面である外側対向面66Aのうち、ロータ回転方向Aから見た下流面に設けられる。
【0059】
また、固定側磁力遮断板44は、棒磁石70の磁力を遮断するものであり、固定側磁石部40の棒磁石70のロータ側磁石部38の棒磁石66に対する対向面である内側対向面70Aのうち、ロータ回転方向Aから見た上流面に設けられる。
【0060】
これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66の磁力が最も強い棒磁石66の磁極面である外側対向面66Aのうちの下流面から磁力が出るのを遮断する。また、固定側磁石部40の棒磁石70の磁力が最も強い棒磁石70の磁極面である内側対向面70Aのうちの上流面から磁力が出るのを遮断する。
【0061】
この場合、
図3に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66の外側対向面66Aのうち、ロータ回転方向Aから見た半分の中央線Mよりも下流面をロータ側磁力遮断板42で覆うことが好ましい。一方、固定側磁石部40の棒磁石70の内側対向面70Aのうち、ロータ回転方向Aから見た半分の中央線Mよりも上流面をロータ側磁力遮断板42で覆うことが好ましい。
【0062】
更に、ロータ側磁力遮断板42は、棒磁石66の外側対向面66Aの下流面の端から張り出した庇部分42Aを形成することが一層好ましい。また、固定側磁力遮断板44は、棒磁石70の内側対向面70Aの上流面の端から張り出した庇部分44Aを形成することが一層好ましい。
【0063】
図4は
図3の変形例である。
図4に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66の外側対向面66Aの下流側の半面(中央線Mよりも下流側の面)を削って外側対向面66Aよりも窪んだ段差面67を形成し、この段差面67にロータ側磁力遮断板42を埋め込むようにした。これにより、棒磁石66の外側対向面66Aのロータ側磁力遮断板42を設けていない上流面とロータ側磁力遮断板42との面とを面一にできる。
【0064】
同様に、固定側磁石部40の棒磁石70の内側対向面70Aの上流側の半面(中央線Mよりも上流側の面)を削って内側対向面70Aよりも窪んだ段差面71を形成し、この段差面71に固定側磁力遮断板44を埋め込むようにした。これにより、固定側磁石部40の棒磁石70の内側対向面70Aの固定側磁力遮断板44を設けていない下流面と固定側磁力遮断板44との面とを面一にできる。
【0065】
したがって、
図4は
図3に比べて棒磁石66,70同士の対向面距離を近接することができ、より大きな反発力を得ることができる。なお、
図3のように、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44を、棒磁石66,70の外側対向面66A及び内側対向面70Aに固着する場合にも棒磁石66,70同士の距離は接触しない範囲で近づけることが好ましい。
【0066】
以下の説明では、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とのそれぞれの対向面にロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とをそれぞれ固着した
図3の例で説明するが、
図4の段差面67、71に埋め込むようにした変形例でもよいことは勿論である。
【0067】
図5から
図7は、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44の構成例である。ロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とは同じ構成なので、ロータ側磁力遮断板42のみについて詳しく説明する。
図5から
図7において、中央線Pは棒磁石66の外側対向面66A及び棒磁石70の内側対向面70Aにおけるロータ回転方向Aの半面位置を縦向きに示したものであり、
図3及び
図4の横向きに示した中央線Mと同義である。
【0068】
図5のロータ側磁力遮断板42は鉄等の強磁性材で構成したものであり、
図5は薄い鉄板を複数枚積層させた積層鉄板72として構成したものである。強磁性材は、棒磁石66からの磁束を吸収するので、強磁性材で覆われた部分からの磁力を弱めることができる。このように、積層鉄板72とすることで、ロータ側磁力遮断板42には薄板状の磁石層が形成されるので、一枚の鉄板で構成するよりも磁束をより吸収し易くなる。
【0069】
強磁性材としては、鉄の他にケイ素鉄(鉄に少量のケイ素を混ぜ合わせたもの)、パーロマイ(ニッケルを主成分とした合金)等を使用することもできる。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0070】
図6Aのロータ側磁力遮断板42は、
図5の積層鉄板72の表面に四角い棒状の小さな複数の遮断用磁石74A(永久磁石)を敷設した敷設磁石74を設けたものである。敷設磁石74を構成する複数の遮断用磁石74Aは
図6Aの表面側から裏面側に棒状をしており、ロータ回転方向Aに沿って配列されている。敷設磁石74において、隣接する遮断用磁石74A同士の積層鉄板72側の磁極が交互に異なるようにする。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0071】
また、
図6Bのロータ側磁力遮断板42は、
図6Aのロータ側磁力遮断板42の変形例である。
図6Bの(A)は棒磁石66に設けたロータ側磁力遮断板42の斜視図、(B)は(A)を矢印Gの方向から見た平面図、(C)は(A)を矢印Hの方向から見た側面図である。これらの図から分かるように、
図6Bのロータ側磁力遮断板42は、敷設磁石74を構成する複数の遮断用磁石74Aはロータ回転方向Aに沿って棒状をしており、ロータ回転方向Aに対して直交する向きに配列されている。即ち、
図6Bのロータ側磁力遮断板42の敷設磁石74は、
図6Aのロータ側磁力遮断板42の敷設磁石74を棒磁石66の外側対向面66A上で90度回転させた態様である。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0072】
図7のロータ側磁力遮断板42は、
図6と同様に、積層鉄板72の表面に四角い棒状の小さな複数の遮断用磁石74A(永久磁石)を敷設した敷設磁石74を設けたものであるが、遮断用磁石74Aを台形形状としたものである。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0073】
ここで、この遮断用磁石74Aも
図6Bに示した遮断用磁石74Aと同様に、長手方向がロータ回転方向Aに向くように配置しても良い。これにより、
図6Bと同様にロータ回転方向Aに対して直交する向きに遮断用磁石74Aが配列されることになる。
【0074】
図6A、
図6B及び
図7のロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44のように、積層鉄板72の表面に四角い小さな複数の遮断用磁石74A(永久磁石)を敷設した敷設磁石74を設けることにより、積層鉄板72だけの場合に比べて磁力を吸収する吸収力をアップできるので、磁力をより確実に遮断できる。
【0075】
なお、図示しなかったが、
図6A、
図6B及び
図7において、敷設磁石74の隣接する遮断用磁石74A同士の間に磁性材又は非磁性材を介在させることもできる。例えば、
図6Bの(B)で説明すると、敷設磁石74の複数の遮断用磁石74Aのうち、S極と記載される遮断用磁石74Aを磁性材又は非磁性材に置き換えることができる。この場合、N極と記載される遮断用磁石74Aと磁性材または非磁性材とが交互に配置されることになる。あるいは、敷設磁石74の複数の遮断用磁石74Aのうち、N極と記載される遮断用磁石74Aを磁性材又は非磁性材に置き換えることもできる。この場合は、S極と記載される遮断用磁石74Aと磁性材または非磁性材とが交互に配置されることになる。
【0076】
また、
図5から
図7において、ロータ側磁力遮断板42の庇部分42Aの長さL及び固定側磁力遮断板44の庇部分44Aの長さLをどの程度にするかは、隣接する棒磁石66同士の間隙部64,68のロータ回転方向Aの幅W(
図5参照)との関係で設定することが好ましい。即ち、上記したように、間隙部64,68の幅が棒磁石66,70のロータ回転方向Aの幅Wの1倍から2倍であることが好ましいこととの関係で庇部分44Aの長さLを検討すると、庇部分44Aの長さLは、棒磁石66のロータ回転方向Aの幅Wの1/3から1/4程度であることが好ましい。
【0077】
次に、
図8により、上記の如く構成された本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16の作用について説明する。なお、以下の説明において、ロータ34の回転を促進する正の回転エネルギーを発生する反発力を「正の反発力」と言い、ロータ34の回転を阻害する負の回転エネルギーを発生する反発力を「負の反発力」と言うことにする。
【0078】
図8の(A)は、ロータ34の回転によって、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近している状態を示す。
図8の(B)は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが一直線になった状態を示す。
図8の(C)は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間している状態を示す。なお、ロータ34を回転させる回転駆動源としては、
図1に示したように、例えばモータ12を使用する。
【0079】
図8の(A)のように、ロータ34の回転によって、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近するときには、ロータ回転方向Aから見て、ロータ側磁石部38の外側対向面66Aのうち下流面の磁力がロータ側磁力遮断板42によって遮断される。また、固定側磁石部40の内側対向面70Aのうち上流面の磁力が固定側磁力遮断板44によって遮断される。これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近するときには、棒磁石66,70同士の負の反発力が発生し難くなる。
【0080】
図8の(B)のように、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが直線状態になるまで、棒磁石66,70同士の負の反発力が発生し難い状態でロータ34が回転する。
【0081】
そして、
図8の(C)のように、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間するときには、ロータ回転方向Aから見て、ロータ側磁石部38の外側対向面66Aのうちロータ側磁力遮断板42を有しない上流面が露出しているので、上流面の磁力が遮断されない。また、固定側磁石部40の内側対向面70Aのうち固定側磁力遮断板44を有しない下流面が露出しているので、下流面の磁力が遮断されない。これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間するときには、棒磁石66の上流面と棒磁石70の下流面との間で正の反発力が発生する。
【0082】
この場合、
図3及び
図4で説明したように、ロータ側磁石部38の棒磁石66の半分の下流面にロータ側磁力遮断板42を設けると共に、固定側磁石部40の棒磁石70の半分の上流面に固定側磁力遮断板44を設けることが好ましい。これにより、棒磁石66,70同士が直線状態になるまでは負の反発力が発生し難い状態でロータ34が回転する。そして、ロータ側磁石部38の棒磁石66が固定側磁石部40の棒磁石70を通過(直線状態を通過)すると正の反発力が発生する。
【0083】
このように、第1の実施の形態の磁力回転装置16は、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44を設けることにより、ロータ34の回転を促進する正の反発力のみを効果的に取り出すことができるので、ロータ34の回転を軽くする。したがって、第1の実施の形態の磁力回転装置16は、ロータ34を回転するモータ12の回転力を補助する回転補助力を発生させることができる。
【0084】
また、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44にそれぞれ庇部分42A,44Aを設けることによって磁力遮断効果が大きくなる。これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近するときには、棒磁石66,70同士の負の反発力が一層発生し難くなる。
【0085】
即ち、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間するときにのみ正の反発力が発生するようにした。これにより、シンプルな構造でありながら、ロータ34の回転によって棒磁石66,70同士が離間するときの正の反発力のみを効果的に取り出すことができる。
【0086】
更に、
図2で説明したように、回転軸28にフライホイール46を設けたので、ロータ34が回転する慣性モーメントを大きくすることができる。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に生じる正の反発力をロータ34の滑らかな回転運動に転換できるだけでなく、磁力回転装置16の回転補助力を一層アップできる。
【0087】
[磁力回転装置の第2の実施の形態]
本発明の第1の実施の形成の磁力回転装置16で説明したように、ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40の隣接する棒磁石66同士(又は棒磁石70同士)の間には、凹状面を有する間隙部64(又は間隙部68)を有している。
【0088】
しかし、この間隙部64(又は間隙部68)を有していることによって、
図3及び
図4に示したように、ロータ側磁石部38の棒磁石66は外側対向面66A以外の面、即ちロータ回転方向Aから見た前面66Bと後面66Cは露出している。同様に、固定側磁石部40の棒磁石70は内側対向面70A以外の面、即ちロータ回転方向Aから見た前面70Bと後面70Cは露出している。
【0089】
また、間隙部64(又は間隙部68)を理由としたものではないが、棒磁石66のロータ回転方向Aに直交する左面66Dと右面66Eも露出している。同様に、棒磁石70のロータ回転方向Aに直交する左面70Dと右面70Eも露出している。
【0090】
棒磁石66,70同士の側面、即ち前面66B,70B、後面66C,70C、左面66D,70D、右面66E,70Eを露出させないようにすれば、棒磁石66,70同士の間の吸引力をより発生し難くできる。棒磁石66,70同士の間の吸引力は、ロータ34の回転を促進する正の反発力を削減する要因となる。したがって、吸引力を減少させることによって、正の反発力を一層効果的に取り出すことができる。
【0091】
そこで、本発明の第2の実施の形成の磁力回転装置76では、ロータ側磁石部38の全面(全ての面)の磁極が外側対向面66Aの磁極である外側磁極と同一極性になるようにすると共に、固定側磁石部40の全面(全ての面)の磁極が内側対向面70Aの磁極である内側磁極と同一極性になるようにし、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に吸引力が発生し難い構成とした。
【0092】
図9の(A)は、本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76におけるロータ回転方向Aを正面とした場合の側面図であり、(B)は
図9の(A)のb-b線に沿った正面断面図である。なお、第1の実施の形態の磁力回転装置16と同じ部材には同符号を付して説明する。
【0093】
本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76では、
図9の(A)に示すように、ロータ側磁石部38の隣接する棒磁石66同士の間に形成される間隙部64の凹状面の磁極が、棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極と同一極性になるように第1補助磁石78を設けた。同様に、固定側磁石部40の隣接する棒磁石70同士の間に形成される間隙部68の凹状面の磁極が棒磁石70の内側対向面70Aの磁極である内側磁極と同一極性になるように第1補助磁石78を設けた。
【0094】
また、
図9の(B)に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66において、
図3及び
図4のロータ回転方向Aから見た左面66Dと右面66Eとに、棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極と同一極性になるように第2補助磁石80と第3補助磁石82とを設けた。同様に、固定側磁石部40の棒磁石70において、
図3及び
図4のロータ回転方向Aから見た左面70Dと右面70Eとに、棒磁石70の内側対向面70Aの磁極である内側磁極と同一極性になるように第2補助磁石80と第3補助磁石82とを設けた。
【0095】
ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40において、棒磁石66,70に第1補助磁石78、第2補助磁石80、第3補助磁石82を取り付ける取り付け構造は同じなので、ロータ側磁石部38についてのみ詳しく説明する。
【0096】
ロータ側磁石部38の棒磁石66同士の間の凹状な間隙部64の底部分にN極を上(棒磁石66の外側対向面66Aの側)にして第1補助磁石78を嵌め込んで固定する。即ち、棒磁石66の上半分のN極部分と下半分のS極部分とのうち、S極部分の前面66Bと後面66Cとが第1補助磁石78で隠れるようにした(
図3及び
図4参照)。これによって、間隙部64が棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極(N極)と同じになるようにした。
【0097】
また、
図9の(B)に示すように、棒磁石66と上記した一対の側面カバー61、61との間に、第2補助磁石80と第3補助磁石82とが磁石固着用の側面板83を介してそれぞれ配設させた。側面板83はステンレス等の非磁性材が好ましい。また、側面板83はロータ34の円筒筒50に支持される。この場合、棒磁石66の外側対向面66Aの側である上半分のN極部分と、外側対向面66Aの逆側である下半分のS極部分とのうち、S極部分のロータ回転方向Aから見た左面66D(
図3及び
図4参照)と右面66E(
図3及び
図4参照)とが第2補助磁石80でそれぞれ隠れるようにした。更に、第2補助磁石80のN極側が棒磁石66のN極側に向くようにした。また、第3補助磁石82は第2補助磁石80のS極部分を隠すように配置され、第2補助磁石のN極とS極との方向に対して第3補助磁石のN極とS極との方向が直交するようにした。
【0098】
これにより、棒磁石66のS極部分における左面66Dと右面66Eとが、棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極(N極)と同じになるようにした。
【0099】
なお、第1補助磁石78、第2補助磁石80、第3補助磁石82の目的は、ロータ側磁石部38の全面(全ての面)の磁極が外側磁極と同一極性、即ちN極になるようにすることである。したがって、ロータ側磁石部38におけるS極の露出面積部分が小さくなるならば、第1補助磁石78、第2補助磁石80、第3補助磁石82の配置は
図9の(B)の配置例に限定されない。
【0100】
上記詳細説明はロータ側磁石部38に配設した第1補助磁石78、第2補助磁石80及び第3補助磁石82の取り付け構造であるが、固定側磁石部40も同様である。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40において、S極の露出面積部分を極めて小さくすることができるので、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に発生する吸引力を極めて小さくすることができる。したがって、第2の実施の形態の磁力回転装置76は、第1の実施の形態の磁力回転装置16よりも、ロータ34の回転を促進する正の反発力を更に一層効果的に取り出すことができる。
【0101】
上記した本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76のように、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44の構成に加えて、第1補助磁石78、第2補助磁石80及び第3補助磁石82を設けることにより、
ロータ34の回転を促進する正の反発力が一層大きくなり、ロータ34の回転を一層軽くする。したがって、第2の実施の形態の磁力回転装置76は、ロータ34を回転するモータ12の回転力を補助する更に大きな回転補助力を発生させることができる。
【0102】
図10は、
図9の本発明の第2の実施の形成の磁力回転装置76の変形例であり、部分拡大した正面断面図である。第2の実施の形成の磁力回転装置76の変形例は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70との間に発生する吸引力が更に小さくなるように構成したものである。即ち、棒磁石66,70の左面66D,70Dと右面66E,70Eとの側に、第2補助磁石80及び第3補助磁石82に加えて第4補助磁石84と強磁性板86とを設けた。
【0103】
図10に示すように、第2補助磁石80の配置は
図9と同様であるが、第2補助磁石80のS極部分を強磁性板86(例えば鉄板)で隠し、強磁性板86にS極が面するように第3補助磁石82と第4補助磁石84とを設けた。また、強磁性板86と第3補助磁石82と第4補助磁石84とは、側面板83によって互いに固定されるようにした。
【0104】
このように、露出させたくない第3補助磁石82と第4補助磁石84のS極側に強磁性板86を設けることで、強磁性板86が第3補助磁石及82及び第4補助磁石84のS極側からの磁力を遮断する効果がある。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に発生する吸引力を極めて小さくすることができる。したがって、
図10に示した第2の実施の形成の磁力回転装置76の変形例は、
図9で示した第2の実施の形成の磁力回転装置76よりも、ロータ34を回転するモータ12の回転力を補助する更に大きな回転補助力を発生させることができる。
【0105】
ところで、このようにロータ側磁石部38の全面(全ての面)の磁極が外側磁極と同一極性になるようにすると共に、固定側磁石部40の全面(全ての面)の磁極が内側磁極と同一極性になるようにすると、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70との反発力は一層強くなり、棒磁石66,70の固定ズレが発生する恐れがある。
【0106】
そこで、
図11に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66同士の間隙部64及び固定側磁石部40の棒磁石70同士の間隙部68に、非磁性材(例えばプラスチック)の充填物88で充填するようにした。これにより、棒磁石66、70に固定ズレが発生し難くなる。このとき、ロータ側磁石部38の棒磁石66同士の間隙部64及び固定側磁石部40の棒磁石70同士の間隙部68だけでなく、回転方向に複数配置されているロータ側磁力遮断板42同士の間も同様に非磁性材(例えばプラスチック)の充填物88で充填することが好ましい(
図11,
図8等参照)。同様に、回転方向に複数配置されている固定側磁力遮断板44同士の間も非磁性材(例えばプラスチック)の充填物88で充填することが好ましい(
図11,
図8等参照)。
【0107】
また、
図11に示すように、円形なロータ側磁石部38を構成する複数の棒磁石66(ロータ側磁力遮断板42を設けた状態の棒磁石66)の外側対向面66Aの側を円筒筒50の側に押し付けるロータ側バンド96を設けることが好ましい。ロータ側バンド96は非磁性材(例えばステンレスやプラスチック)の円筒形な硬質材料で形成され、ロータ側バンド96の幅方向両端が上記した側面カバー52に固定される。これにより、棒磁石66を強磁性材で形成された円筒筒50に磁力だけで固定した場合であっても、棒磁石66が円筒筒50から剥離するのを防止できる。
【0108】
同様に、円形な固定側磁石部40を構成する複数の棒磁石70(固定側磁力遮断板44を設けた状態の棒磁石70)の内側対向面70Aの側を内筒58の側に押し付ける固定側バンド98を設けることが好ましい。固定側バンド98は、ロータ側バンド96と同様であり、非磁性材(例えばステンレスやプラスチック)の円筒形な硬質材料で形成され、固定側バンド98の幅方向両端が上記した側面カバー61に固定される。
【0109】
このように、間隙部64,68に充填物88を充填すると共に、ロータ側バンド96及び固定側バンド98を設けることにより、棒磁石70を強磁性材で形成された内筒58に磁力だけで固定した場合であっても、棒磁石70が固定ズレしたり内筒58から剥離したりするのを確実に防止できる。
【0110】
この場合、
図11に示すように、間隙部64、68が充填物88によって完全に埋まるように、即ち棒磁石66の外側対向面66A、及び棒磁石70の内側対向面70Aと面一になるように充填物88を充填することが好ましい。これにより、ロータ側バンド96及びロータ側バンド96と充填物88との間に隙間が発生しないので、ロータ側バンド96及びロータ側バンド96をしっかりと固定することができる。
【0111】
[磁力回転装置の第3の実施の形態]
図12は、本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置90の正面断面図であり、第1の実施の形態の磁力回転装置16及び第2の実施の形態の磁力回転装置76と同じ部材には同符号を付して説明する。
【0112】
本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置90は、ロータ側磁石部38のロータ34としてロータ直径よりも大径であり、ロータ回転方向Aの慣性モーメントを大きくすることのできるフライホイール92を用いるようにしたものである。
【0113】
図12に示すように、回転軸28に円盤状のフライホイール92の中心部が嵌合支持され、フライホイール92の外周に上記説明した円筒状の円筒筒50が固定される。その他の構成は第2の実施の形態の磁力回転装置76と同様である。
【0114】
このように、本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置90は、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44の構成と、第1補助磁石78、第2補助磁石80及び第3補助磁石82との構成に加えて、ロータ34としてフライホイール92を用いるようにした。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に発生する正の反発力をフライホイール92の径方向の端である周縁部に直接伝えることができる。したがって、フライホイール92を回転軸28に設ける場合よりも、正の反発力をロータ34の回転を促進するエネルギーとして一層有効に作用させることができる。これにより、ロータ34の回転を一層軽くすることができる。
【0115】
なお、
図12の第3の実施の形態の磁力回転装置90は、本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76のロータ34をフライホイール92に交換したものであるが、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16のロータ34をフライホイール92に交換してもよい。
【0116】
[磁力回転装置の第4の実施の形態]
図13は、本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94の正面断面図であり、上記説明した本発明の磁力回転装置を複数台直列に連設するように構成したものである。
【0117】
本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94では、上記した第1の実施の形態の磁力回転装置16、第2の実施の形態の磁力回転装置76、第3の実施の形態の磁力回転装置90を色々組み合わせることができる。
図13では、1台の第2の実施の形態の磁力回転装置76と、2台の第3の実施の形態の磁力回転装置90とを組み合わせたものである。
【0118】
これにより、本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94によれば、磁力回転装置76,90を複数台直列に連設させたので、磁力回転装置94の回転を更に一層効率よくすることができる。
【0119】
以上、本発明の磁力回転装置16,76,90,94及びそれを組み込んだ発電装置10について説明したが、発電装置10に組み込む磁力回転装置は上記した第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態及び第4の実施の形態の磁力回転装置16,76,90,94を色々組み合わせて組み込むこともできる。
【0120】
なお、本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94によれば、磁力回転装置76,90を複数台直列に連設させたが、第1の実施の形態から第3の実施の形態で説明した1台の磁力回転装置16、76、90において、棒磁石66,70を回転軸28の軸芯方向に複数並べることによっても同様の効果を得ることができる。
【0121】
例えば、
図2の(B)や
図9の(B)の棒磁石66、70(ロータ側磁力遮断板42、固定側磁力遮断板44が設けられたもの)を回転軸28の軸芯方向にそれぞれ複数個(例えば3個)配列する。
【0122】
[実験例]
次に、本発明の磁力回転装置を組み込んだ本発明の発電装置の実験例を説明する。
実験に使用した発電装置10の構成は
図1に示した構成であり、本発明の第1の実施の形態で説明した磁力回転装置16をモータ12と発電機14の発電ロータ14Aとの間に組み込んだ。但し、ロータ側磁石部38の棒磁石66の数は18個とし、固定側磁石部40の棒磁石70の数は4個とした。固定側磁石部40の4個の棒磁石70は、ロータ回転方向Aから見て、12時、3時、6時、9時の位置に配置した。
【0123】
即ち、第1の実施の形態で説明した磁力回転装置16よりも棒磁石66,70同士による反発力が生じる機会が少ない条件で行った。
実験は、モータ12に入力する入力電力と、発電機14から出力する出力電力とを測定し、入力電力と出力電力とを比較した。その結果、入力電力と出力電力は次のようになった。
入力電力:200V×0.8A×31/2=276W
出力電力:356V×0.8A×31/2=492W
なお、31/2はルート3を示す。
【0124】
実験結果から分かるように、入力電力よりも出力電力が216W増加している。この原因は不明であるが、本発明の磁力回転装置は、少なくともモータの回転を阻害しているとは認められず、効率的にモータの回転を補助していることが確認された。
【符号の説明】
【0125】
10…発電装置、12…モータ、12A…回転軸、14…発電機、14A…発電ロータ、14B…回転軸、16,76,90,94…磁力回転装置、18…基台、18A…振動減衰部材、18B…固定ボルト、20…装置フレーム、22…モータ据付台、24…発電機据付台、26…軸受、28…回転軸、30…継手、32…ブレーキ手段、34…ロータ、34A…ロータ本体部、34B…嵌合筒、34C…外環筒、36…固定部、38…ロータ側磁石部、40…固定側磁石部、42…ロータ側磁力遮断板、42A…庇部分、44…固定側磁力遮断板、44A…庇部分、46…フライホイール、48…軸カラー、50…円筒筒、52…側面カバー、54…連結ボルト、56…外筒、58…内筒、58A…円弧状ブロック板、60…連結ボルト、61…側面カバー、62…連結調整ボルト、63…連結ボルト、64…間隙部、65…座金、66…棒磁石、66A…外側対向面、66B…前面、66C…後面、66D…左面、66E…右面、66F…底面、67…段差面、68…間隙部、70…棒磁石、70A…内側対向面、70B…前面、70C…後面、70D…左面、70E…右面、70F…底面、71…段差面、72…積層鉄板、74…敷設磁石、74A…遮断用磁石、78…第1補助磁石、80…第2補助磁石、82…第3補助磁石、83…側面板、84…第4補助磁石、86…強磁性板、88…充填物、92…フライホイール、96…ロータ側バンド、98…固定側バンド、A…ロータ回転方向、M,P…中央線
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石の磁力を回転力として利用する磁力回転装置において、
回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸の軸芯を回転中心として回転する円形なロータと、
装置フレームに固定されて前記ロータの外側に前記ロータを囲むように設けられ、前記ロータと同心円状の内周面を有する固定部と、
前記ロータの外周面部分に前記ロータの回転方向に沿って等間隔の間隙部を形成して配置され、前記回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に前記放射状方向の外側の外側磁極が全て同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなるロータ側磁石部と、
前記固定部の前記内周面に周方向に等間隔の間隙部を形成して配置され、前記回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に前記ロータ側磁石部に対向する内側の内側磁極が前記ロータ側磁石部の前記外側磁極と同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなる固定側磁石部と、を有し、
前記ロータ側磁石部の前記棒磁石の前記固定側磁石部の前記棒磁石に対する対向面である外側対向面のうち、前記ロータの回転方向から見た下流面には、前記棒磁石の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板を設け、
前記固定側磁石部の前記棒磁石の前記ロータ側磁石部の前記棒磁石に対する対向面である内側対向面のうち、前記ロータの回転方向から見た上流面には、前記棒磁石の磁力を遮断する固定側磁力遮断板を設け、
前記ロータ側磁石部の全面の磁極が前記外側磁極と同一極性になるようにすると共に、前記固定側磁石部の全面の磁極が前記内側磁極と同一極性になるようにしたことを特徴とする磁力回転装置。
【請求項2】
前記ロータ側磁石部の隣接する棒磁石同士の間に形成される前記間隙部の凹状面の磁極が、前記ロータ側磁石部の棒磁石の外側対向面の磁極である外側磁極と同一極性になるように第1補助磁石を設けると共に、前記固定側磁石部の隣接する棒磁石同士の間に形成される前記間隙部の凹状面の磁極が前記固定側磁石部の棒磁石の内側対向面の磁極である内側磁極と同一極性になるように第1補助磁石を設け、
前記ロータ側磁石部の棒磁石において、ロータ回転方向から見た左面と右面とに、前記ロータ側磁石部の棒磁石の外側対向面の磁極である外側磁極と同一極性になるように第2補助磁石と第3補助磁石とを設けると共に、前記固定側磁石部の棒磁石において、ロータ回転方向から見た左面と右面とに、前記固定側磁石部の棒磁石の内側対向面の磁極である内側磁極と同一極性になるように第2補助磁石と第3補助磁石とを設けた請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項3】
前記ロータ側磁力遮断板は前記棒磁石の前記外側対向面の半分の前記下流面に設けられていると共に、前記固定側磁力遮断板は前記棒磁石の前記内側対向面の半分の前記上流面に設けられている請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項4】
前記ロータ側磁力遮断板は前記棒磁石の前記下流面の端から張り出した庇部分を有すると共に、前記固定側磁力遮断板は前記棒磁石の前記上流面の端から張り出した庇部分を有する請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項5】
前記ロータ側磁力遮断板及び前記固定側磁力遮断板は強磁性材である請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項6】
前記ロータ側磁力遮断板及び前記固定側磁力遮断板は鉄板と複数の磁石とで構成される請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項7】
前記間隙部を非磁性材で埋める請求項1~6のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項8】
前記回転軸にフライホイールを設ける請求項1~6のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項9】
前記ロータとしてフライホイールを用いる請求項1~6のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載の磁力回転装置が複数台直列に連設されている磁力回転装置。
【請求項11】
モータと、
前記モータを回転駆動源として発電ロータを回転させて発電する発電機と、
前記モータと前記発電ロータとの間に設けられた請求項1~6のいずれか1項に記載の磁力回転装置と、を備えた発電装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力回転装置及びそれを組み込んだ発電装置に係り、特に磁石同士の磁力によって生じる反発力を回転に利用する磁力回転技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石同士の磁力によって生じる反発力を回転に利用する磁力回転装置の応用例としては、永久磁石モータや発電機が従来からよく知られている。磁力回転装置としては、対向するロータ側の磁石と固定側の磁石との磁極を同一極性にしたときに生じる反発力を利用してロータを回転させる構造が一般的である。
【0003】
しかし、同一極性の磁極による反発力は、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石とが離間するときにはロータの回転を促進する正のエネルギーになるが、接近するときにはロータの回転を阻害する負のエネルギーになる。また、磁石にはN極とS極とがあるため、同一極性の磁極による反発力以外に異なる磁極による吸引力も発生する。したがって、磁力回転装置の回転力をアップするには、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力、即ちロータの回転を促進するエネルギーのみを如何に効果的に取り出せるかが重要となる。
【0004】
かかる問題を解決する方法として、例えば特許文献1の磁力回転装置が提案されている。特許文献1の磁力回転装置は、回転軸と、複数個の磁石を外周の端部に磁極が径方向になるように配置した回転子と、前記回転子の磁石と同数個の磁石を径方向に前記回転子の磁石と対峙して配置した固定子と、スリットと強磁性材からなる遮蔽板を交互に配置した磁気遮蔽回転体と、前記回転子の近傍に配置された回転子検出センサーと、前記磁気遮蔽回転体の近傍に設置された磁気遮蔽回転体検出センサーから構成されている。そして、回転子検出センサーと磁気遮蔽回転体検出センサーとによって、回転子の磁石と固定子の磁石との間に磁気遮蔽回転体をタイミングよく挿入する。これにより、回転子の磁石と固定子の磁石との反発力と吸引力とにアンバランスを人為的に作り出し、回転子が回転する回転方向における負の方向に働く回転エネルギーを最小にし、磁石の力を回転エネルギーとして取り出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の磁力回転装置のように、回転子検出センサーと磁気遮蔽回転体検出センサーとによって、回転子の磁石と固定子の磁石との間に磁気遮蔽回転体をタイミングよく挿入する方法は、メカニズム的に複雑であると共にセンサーの検出精度等によってタイミングにズレが発生し易いという欠点がある。タイミングにズレが発生すると、ロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力、即ち正のエネルギーを効果的に取り出すことができない。
【0007】
また、磁石にはN極とS極とがあり、同一極性の磁極による反発力以外に異なる磁極による吸引力も発生するため、回転子の磁石と固定子の磁石との間に磁気遮蔽回転体を挿入するだけでは、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石とが離間するときの反発力を効果的に取り出すことができない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、シンプルな構造でありながら、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石とが離間するときの反発力、即ちロータの回転を促進する正のエネルギーをより効果的に取り出すことができるようにした磁力回転装置及びそれを組み込んだ発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の磁力回転装置は前記目的を達成するために、磁石の磁力を回転力として利用する磁力回転装置において、回転自在に支持された回転軸と、回転軸に固定され、回転軸の軸芯を回転中心として回転する円形なロータと、装置フレームに固定されてロータの外側にロータを囲むように設けられ、ロータと同心円状の内周面を有する固定部と、ロータの外周面部分にロータの回転方向に沿って等間隔の間隙部を形成して配置され、回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に放射状方向の外側の外側磁極が全て同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなるロータ側磁石部と、固定部の内周面に周方向に等間隔の間隙部を形成して配置され、回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共にロータ側磁石部に対向する内側の内側磁極が前記ロータ側磁石部の外側磁極と同一極性になるように配列された複数の棒磁石からなる固定側磁石部と、を有し、ロータ側磁石部の棒磁石の固定側磁石部の棒磁石に対する対向面である外側対向面のうち、ロータの回転方向から見た下流面には、棒磁石の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板を設け、固定側磁石部の棒磁石のロータ側磁石部の棒磁石に対する対向面である内側対向面のうち、ロータの回転方向から見た上流面には、棒磁石の磁力を遮断する固定側磁力遮断板を設け、ロータ側磁石部の全面の磁極が外側磁極と同一極性になるようにすると共に、固定側磁石部の全面の磁極が内側磁極と同一極性になるようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ロータ側磁石部の棒磁石の固定側磁石部の棒磁石に対する対向面である外側対向面のうち、ロータの回転方向から見た下流面には、棒磁石の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板を設けた。そして、固定側磁石部の棒磁石のロータ側磁石部の棒磁石に対する対向面である内側対向面のうち、ロータの回転方向から見た上流面には、棒磁石の磁力を遮断する固定側磁力遮断板を設けた。
【0011】
これにより、ロータの回転によって、ロータ側の磁石と固定側の磁石が接近するときには、ロータ側磁力遮断板と固定側磁力遮断板とによって棒磁石から出る磁力を遮断する一方、ロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときには、棒磁石から出る磁力を遮断しない。したがって、ロータの回転を促進する正の回転エネルギーを効果的に取り出すことができ、ロータの回転を軽くすることができる。
【0012】
即ち、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが離間するときに、反発力をより利用しやすくした。したがって、シンプルな構造でありながら、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力を効果的に利用することができる。
【0013】
本発明の態様において、ロータ側磁石部の隣接する棒磁石同士の間に形成される間隙部の凹状面の磁極が、ロータ側磁石部の棒磁石の外側対向面の磁極である外側磁極と同一極性になるように第1補助磁石を設けると共に、固定側磁石部の隣接する棒磁石同士の間に形成される間隙部の凹状面の磁極が固定側磁石部の棒磁石の内側対向面の磁極である内側磁極と同一極性になるように第1補助磁石を設け、ロータ側磁石部の棒磁石において、ロータ回転方向から見た左面と右面とに、ロータ側磁石部の棒磁石の外側対向面の磁極である外側磁極と同一極性になるように第2補助磁石と第3補助磁石とを設けると共に、固定側磁石部の棒磁石において、ロータ回転方向から見た左面と右面とに、固定側磁石部の棒磁石の内側対向面の磁極である内側磁極と同一極性になるように第2補助磁石と第3補助磁石とを設けることが好ましい。これは、ロータ側磁石部の全面の磁極が外側磁極と同一極性になるようにすると共に、固定側磁石部の全面の磁極が内側磁極と同一極性になるようにすることが好ましい。これは、上記構成の好ましい態様を具体的に示したものである。
【0014】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板は棒磁石の外側対向面の半分の下流面に設けられていると共に、固定側磁力遮断板は棒磁石の内側対向面の半分の上流面に設けられていることが好ましい。
【0015】
これにより、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが対面状態になるまで反発力の殆どない状態でロータが回転し、ロータ側磁石部の棒磁石が固定側磁石部の棒磁石を通過すると反発力が発生する。したがって、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力を一層効果的に取り出すことができる。
【0016】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板は棒磁石の下流面の端から張り出した庇部分を有すると共に、固定部磁力遮断板は棒磁石の上流面の端から張り出した庇部分を有することが好ましい。これにより、ロータの回転によって、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とが接近するときには、棒磁石から出る磁力を一層遮断することができる。
【0017】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板は強磁性材であることが好ましい。強磁性材は磁力を吸収するので、棒磁石から出る磁力を遮断する機能を有する。
【0018】
本発明の態様において、ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板は鉄板と複数の磁石とで構成されることが好ましい。このように、鉄板と複数の磁石とで構成することで、磁力を吸収する吸収力をアップできるので、磁力をより効果的に遮断できる。
【0019】
本発明の態様において、間隙部を非磁性材で埋めることが好ましい。これにより、棒磁石がしっかりと固定されるので、ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石が互いの反発力で棒磁石が固定ズレすることを防止できる。
【0020】
本発明の態様において、回転軸にフライホイールを設けることが好ましい。これにより、ロータ側磁石部と固定側磁石部との間に生じるロータ回転方向の反発力をロータの滑らかな回転運動に転換できる。更には、フライホイールを設けることによって、ロータの回転を更に軽くすることができる。
【0021】
本発明の態様において、ロータとしてフライホイールを用いることが好ましい。
【0022】
本発明の態様において、磁力回転装置が複数台直列に連設されていることが好ましい。
【0023】
本発明の発電装置は、モータと、モータを回転駆動源として発電ロータを回転させて発電する発電機と、モータと発電ロータとの間に設けられた上記磁力回転装置と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の発電装置は、モータと発電ロータとの間に、上記磁力回転装置を設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の磁力回転装置によれば、シンプルな構造でありながら、ロータの回転によってロータ側の磁石と固定側の磁石が離間するときの反発力を効果的に利用することができる。これにより、従来の磁力を利用した磁力回転装置よりもロータの回転を軽くすることができる。
【0026】
また、本発明の発電装置によれば、モータと発電ロータとの間に本発明の磁力回転装置を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置であって、(A)は側面図であり(B)は(A)のa-a線に沿った正面断面図
【
図3】ロータ側磁石部の棒磁石と固定側磁石部の棒磁石とにそれぞれ設けたロータ側磁力遮断板と固定側磁力遮断板を説明する斜視図
【
図5】ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板の構成例を説明する説明図
【
図6A】ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板の別態様の構成例を説明する説明図
【
図7】ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板の更に別態様の構成例を説明する説明図
【
図8】本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置の作用について説明する説明図
【
図9】本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置であって、(A)は側面図であり(B)は(A)のb-b線に沿った正面断面図
【
図10】本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置の変形例の説明図
【
図11】本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置の別態様の説明図
【
図12】本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置の正面断面図
【
図13】本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置の正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面にしたがって本発明の磁力回転装置及びそれを組み込んだ発電装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0029】
本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0030】
本発明の磁力回転装置は、対向するロータ側の磁石と固定側の磁石との磁極を同一極性にしたときに生じる反発力を利用してロータを効率的に回転せしめる、いわば補助装置であり、ロータを回転させる回転駆動源を必要とする。すなわち、単独で使用されるのではなく、モータのような回転駆動源の回転力を増加する回転力補助手段として使用されることが好ましい。したがって、以下の説明では先ず本発明の磁力回転装置を組み込んだ本発明の発電装置について説明し、その後で本発明の磁力回転装置を説明する。
【0031】
[発電装置]
図1は、本発明の磁力回転装置を組み込んだ本発明の発電装置であって、一部を断面で示した全体構成図である。なお、
図1は、以下に詳細を説明する第1の実施の形態から第4の実施の形態の磁力回転装置のうち第1の実施の形態を組み込んだものであるが、第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態を組み込んでもよいことは勿論である。
【0032】
図1に示すように、本発明の発電装置10は、主として、モータ12と、モータ12を回転駆動源として発電ロータ14Aを回転させて発電する発電機14と、モータ12と発電ロータ14Aとの間に設けられた本発明の磁力回転装置16と、を備えて構成される。また、矢印Aはロータ回転方向を示し、
図1以降も同様である。
【0033】
磁力回転装置16は基台18の上に装置フレーム20を介して支持される。基台18と装置フレーム20との間には振動減衰部材18A(例えばゴム板の積層板等)が介在され、基台18と装置フレーム20とは固定ボルト18Bで固定される。
【0034】
モータ12は基台18の上にモータ据付台22を介して支持されると共に、発電機14は基台18の上に発電機据付台24を介して支持される。また、モータ据付台22と発電機据付台24には、それぞれ軸受26が設けられ、磁力回転装置16の回転軸28の両側を回転自在に支持する。
【0035】
また、モータ12の回転軸12Aと、磁力回転装置16の回転軸28の一端とは継手30によって連結される。また、発電機14の発電ロータ14Aの回転軸14Bと、磁力回転装置16の回転軸28の他端とは継手30によって連結される。一対の継手30の部分には、モータ12を停止したときに磁力回転装置16の回転を強制的に停止させるためのブレーキ手段32が設けられる。ブレーキ手段32を設けた理由は、磁力回転装置16が一度回転しだすと、モータ12を停止しても一定期間、磁力回転装置16が回転するためである。
【0036】
上記の如く構成された本発明の発電装置10は、モータ12を回転駆動源として発電機14の発電ロータ14Aを回転させることにより発電する。このように、モータ12を回転駆動源として発電ロータ14Aをかいて回転させて発電する発電機14の場合、発電機の電力はモータ12の出力、即ちモータ12が回転する回転力によって決まる。したがって、大きな発電力を得るために大型で高出力のモータ12を採用しなくてはならない。
【0037】
そこで、本発明の発電装置10では、モータ12と発電ロータ14Aとの間に、本発明の磁力回転装置16を設けた。
【0038】
以下に、本発明の磁力回転装置16の構成及び作用等を詳しく説明する。
【0039】
[磁力回転装置の第1の実施の形態]
図2の(A)は、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置において、ロータ回転方向Aを正面とした場合の側面図であり、(B)は(A)のa-a線に沿った正面断面図である。なお、
図2の(B)の正面断面図において、断面構造図を分かり易くするために、主たる構成である装置フレーム、回転軸、ロータ、固定部、棒磁石、フライホイール、ロータ側磁力遮断板及び固定側磁力遮断板にはハッチングをしているが、その他の部材のハッチングを省略している。このハッチングの省略は、
図2以降の正面断面図も同様である。なお、棒磁石は永久磁石を使用した。
【0040】
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16は、主として回転自在に支持された回転軸28と、ロータ34と、固定部36と、ロータ側磁石部38と、固定側磁石部40と、ロータ側磁力遮断板42と、固定側磁力遮断板44とで構成される。
【0041】
装置フレーム20は、
図2において、ロータ34の回転軸28の軸芯方向の面が開口した四角筒状に形成したが、円筒状に形成してもよい。
【0042】
回転軸28は、
図1に示したように、装置フレーム20の外側に配置された一対の軸受26に回転自在に支持されると共に、回転軸28のロータ34を挟んだ両側にはロータ34の直径よりも大径な一対のフライホイール46が設けられる。ロータ34とフライホイール46との間は軸カラー48によって一定距離が確保されている。
【0043】
ロータ34は、
図2の(A)に示すように円形を有し、中心が回転軸28に固定される。これにより、ロータ34は回転軸28の軸芯を回転中心として回転軸28と一緒に回転する。本実施の形態でのロータ34は、回転軸28に直交する円盤状のロータ本体部34Aの中心位置に回転軸28に嵌合する円筒状の嵌合筒34Bを有し、ロータ本体部34Aの外側に円筒状の外環筒34Cを有する。そして、外環筒34Cの外側にロータ側磁石部38を固定するための円筒状の円筒筒50を設けた構造とした。
【0044】
また、
図2の(B)に示すように、ロータ本体部34Aには、対向する一対のロータ側用の側面カバー52が支持される。側面カバー52はステンレス等の非磁性材であることが好ましい。側面カバー52は中央部が開口したリング板状に形成され、側面カバー52同士が複数の連結ボルト54で連結される。複数の連結ボルト54のうちの1本は、棒磁石66に形成された孔を貫通している。これにより、棒磁石66は連結ボルト54を介して側面カバー52に支持される。
【0045】
固定部36は装置フレーム20に固定される。固定部36はロータ34の外側にロータ34を囲むように設けられ、ロータ34と同心円状の内周面を有する。本実施の形態の固定部36は、円筒状の外筒56と円筒状の内筒58とを有し、装置フレーム20と外筒56との複数個所を連結ボルト60で連結し、外筒56と内筒58との複数個所を連結調整ボルト62で連結固定する構造とした。この内筒58の内側に上記したロータ34が配設されると共に、内筒58はロータ34と同心円状の内周面を有する。そして、内筒58の内周面に固定側磁石部40が設けられる。
【0046】
内筒58は、
図2の(A)に示すように、複数の円弧状ブロック板58Aをリング状に配列した構造をしている。そして、内筒58の内周面に固定側磁石部40を設けるには、先ず円弧状ブロック板58Aに棒磁石66を固定してから、連結調整ボルト62で外筒56から円弧状ブロック板58Aまでの距離を調整しながら円弧状ブロック板58A同士をリング状に配列していく手順で行う。
【0047】
また、
図2の(B)に示すように、外筒56には、対向する一対の固定側用の側面カバー61、61が支持される。側面カバー61はステンレス等の非磁性材であることが好ましい。側面カバー61は、ロータ側用の側面カバー52よりも大径な中心開口を有するリング板状に形成され、側面カバー61同士が複数の連結ボルト63で連結される。複数の連結ボルト63のうちの1本は、棒磁石70に形成された孔を貫通している。これにより、棒磁石70は連結ボルト63を介して側面カバー61に支持される。
【0048】
図2の(A)に示すように、ロータ側磁石部38は、ロータ34の外周面部分の円筒形な円筒筒50に、ロータ回転方向Aに沿って等間隔の間隙部64を有して複数の棒磁石66が配置固定されることによって構成される。これにより、ロータ側磁石部38は複数の棒磁石66が等間隔ごとに円形に配列された磁石部として形成される。
図2の(A)では、棒磁石66を18本配置した例で示したが、この本数に限定されない。
【0049】
棒磁石66を固定する円筒筒50は鉄板等の強磁性材で形成することが好ましい。また、棒磁石66を固定する方法としては、円筒筒50に棒磁石66が固定されればどのような方法でもよいが、接着剤でしっかりと接着固定することが好ましい。
【0050】
このように、円筒筒50を強磁性材にすることにより、棒磁石66の円筒筒50に固定されるS極(外側対向面66AのN極と反対のS極)である底面66F(
図3、
図4及び
図8参照)からの磁力を吸収する。これにより、強磁性材で覆われた部分からの磁力を弱めることができる。
【0051】
ロータ側磁石部38の複数の棒磁石66は、回転軸の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共に放射状方向の外側の外側磁極が全て同一極性になるように配列される。本実施の形態では、棒磁石66のN極が外側磁極になるように配置したが、S極が外側磁極になるように配置してもよい。
【0052】
図2の(A)に示すように、固定側磁石部40は、固定部36の内周面部分、即ち円筒形な内筒58の内周面部分に周方向に等間隔の間隙部68を有して複数の棒磁石70が配置固定されることによって構成される。これにより、固定側磁石部40は複数の棒磁石70が等間隔ごとに円形に配列されると共にロータ側磁石部38よりも一回り大きな磁石部として形成される。
【0053】
この場合、内筒58を構成する円弧状ブロック板58Aも上記した円筒筒50と同様の理由から鉄板等の強磁性材で形成し、棒磁石70の底面70Fを円弧状ブロック板58Aに接着剤でしっかりと固定することが好ましい(
図3、
図4及び
図8参照)。また、固定側磁石部40の棒磁石70の本数としては、ロータ側磁石部38と同じ本数であることが好ましい。
【0054】
固定側磁石部40の複数の棒磁石70は、回転軸28の軸芯に直交する放射状方向にN極とS極とが位置すると共にロータ側磁石部38に対向する側である内側磁極がロータ側磁石部38の外側磁極と同一極性になるように配列される。本実施の形態では、棒磁石70のN極が内側磁極になるように配置したが、ロータ側磁石部38の外側磁極がS極の場合には固定側磁石部40の内側磁極もS極になるようにする。
【0055】
なお、ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40において、間隙部64(又は間隙部68)を有する理由は、隣接する棒磁石66同士(又は棒磁石70同士)が接していると、ロータ回転方向Aの反発力の発生に悪影響を及ぼすためである。したがって、ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40の隣接する棒磁石66同士(又は棒磁石70同士)の間には、ロータ回転方向Aからみた棒磁石66(又は棒磁石70)の幅寸法の1倍から2倍程度の間隙距離の間隙部64(又は間隙部68)を形成していることが好ましい。
【0056】
次に、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44について説明するが、本実施の形態では、ロータ側磁石部38の棒磁石66の外側磁極と、固定側磁石部40の棒磁石70の内側磁極とがN極になるようにした場合で以下の説明を行う。
【0057】
図3は、ロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とを説明する斜視図であり、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70との対向面にロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とをそれぞれ固着したものである。
【0058】
図3に示すように、ロータ側磁力遮断板42は、棒磁石66の磁力を遮断するものであり、ロータ側磁石部38の棒磁石66の固定側磁石部40の棒磁石70に対する対向面である外側対向面66Aのうち、ロータ回転方向Aから見た下流面に設けられる。
【0059】
また、固定側磁力遮断板44は、棒磁石70の磁力を遮断するものであり、固定側磁石部40の棒磁石70のロータ側磁石部38の棒磁石66に対する対向面である内側対向面70Aのうち、ロータ回転方向Aから見た上流面に設けられる。
【0060】
これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66の磁力が最も強い棒磁石66の磁極面である外側対向面66Aのうちの下流面から磁力が出るのを遮断する。また、固定側磁石部40の棒磁石70の磁力が最も強い棒磁石70の磁極面である内側対向面70Aのうちの上流面から磁力が出るのを遮断する。
【0061】
この場合、
図3に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66の外側対向面66Aのうち、ロータ回転方向Aから見た半分の中央線Mよりも下流面をロータ側磁力遮断板42で覆うことが好ましい。一方、固定側磁石部40の棒磁石70の内側対向面70Aのうち、ロータ回転方向Aから見た半分の中央線Mよりも上流面をロータ側磁力遮断板42で覆うことが好ましい。
【0062】
更に、ロータ側磁力遮断板42は、棒磁石66の外側対向面66Aの下流面の端から張り出した庇部分42Aを形成することが一層好ましい。また、固定側磁力遮断板44は、棒磁石70の内側対向面70Aの上流面の端から張り出した庇部分44Aを形成することが一層好ましい。
【0063】
図4は
図3の変形例である。
図4に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66の外側対向面66Aの下流側の半面(中央線Mよりも下流側の面)を削って外側対向面66Aよりも窪んだ段差面67を形成し、この段差面67にロータ側磁力遮断板42を埋め込むようにした。これにより、棒磁石66の外側対向面66Aのロータ側磁力遮断板42を設けていない上流面とロータ側磁力遮断板42との面とを面一にできる。
【0064】
同様に、固定側磁石部40の棒磁石70の内側対向面70Aの上流側の半面(中央線Mよりも上流側の面)を削って内側対向面70Aよりも窪んだ段差面71を形成し、この段差面71に固定側磁力遮断板44を埋め込むようにした。これにより、固定側磁石部40の棒磁石70の内側対向面70Aの固定側磁力遮断板44を設けていない下流面と固定側磁力遮断板44との面とを面一にできる。
【0065】
したがって、
図4は
図3に比べて棒磁石66,70同士の対向面距離を近接することができ、より大きな反発力を得ることができる。なお、
図3のように、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44を、棒磁石66,70の外側対向面66A及び内側対向面70Aに固着する場合にも棒磁石66,70同士の距離は接触しない範囲で近づけることが好ましい。
【0066】
以下の説明では、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とのそれぞれの対向面にロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とをそれぞれ固着した
図3の例で説明するが、
図4の段差面67、71に埋め込むようにした変形例でもよいことは勿論である。
【0067】
図5から
図7は、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44の構成例である。ロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とは同じ構成なので、ロータ側磁力遮断板42のみについて詳しく説明する。
図5から
図7において、中央線Pは棒磁石66の外側対向面66A及び棒磁石70の内側対向面70Aにおけるロータ回転方向Aの半面位置を縦向きに示したものであり、
図3及び
図4の横向きに示した中央線Mと同義である。
【0068】
図5のロータ側磁力遮断板42は鉄等の強磁性材で構成したものであり、
図5は薄い鉄板を複数枚積層させた積層鉄板72として構成したものである。強磁性材は、棒磁石66からの磁束を吸収するので、強磁性材で覆われた部分からの磁力を弱めることができる。このように、積層鉄板72とすることで、ロータ側磁力遮断板42には薄板状の磁石層が形成されるので、一枚の鉄板で構成するよりも磁束をより吸収し易くなる。
【0069】
強磁性材としては、鉄の他にケイ素鉄(鉄に少量のケイ素を混ぜ合わせたもの)、パーロマイ(ニッケルを主成分とした合金)等を使用することもできる。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0070】
図6Aのロータ側磁力遮断板42は、
図5の積層鉄板72の表面に四角い棒状の小さな複数の遮断用磁石74A(永久磁石)を敷設した敷設磁石74を設けたものである。敷設磁石74を構成する複数の遮断用磁石74Aは
図6Aの表面側から裏面側に棒状をしており、ロータ回転方向Aに沿って配列されている。敷設磁石74において、隣接する遮断用磁石74A同士の積層鉄板72側の磁極が交互に異なるようにする。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0071】
また、
図6Bのロータ側磁力遮断板42は、
図6Aのロータ側磁力遮断板42の変形例である。
図6Bの(A)は棒磁石66に設けたロータ側磁力遮断板42の斜視図、(B)は(A)を矢印Gの方向から見た平面図、(C)は(A)を矢印Hの方向から見た側面図である。これらの図から分かるように、
図6Bのロータ側磁力遮断板42は、敷設磁石74を構成する複数の遮断用磁石74Aはロータ回転方向Aに沿って棒状をしており、ロータ回転方向Aに対して直交する向きに配列されている。即ち、
図6Bのロータ側磁力遮断板42の敷設磁石74は、
図6Aのロータ側磁力遮断板42の敷設磁石74を棒磁石66の外側対向面66A上で90度回転させた態様である。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0072】
図7のロータ側磁力遮断板42は、
図6と同様に、積層鉄板72の表面に四角い棒状の小さな複数の遮断用磁石74A(永久磁石)を敷設した敷設磁石74を設けたものであるが、遮断用磁石74Aを台形形状としたものである。固定側磁力遮断板44も同様の構成である。
【0073】
ここで、この遮断用磁石74Aも
図6Bに示した遮断用磁石74Aと同様に、長手方向がロータ回転方向Aに向くように配置しても良い。これにより、
図6Bと同様にロータ回転方向Aに対して直交する向きに遮断用磁石74Aが配列されることになる。
【0074】
図6A、
図6B及び
図7のロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44のように、積層鉄板72の表面に四角い小さな複数の遮断用磁石74A(永久磁石)を敷設した敷設磁石74を設けることにより、積層鉄板72だけの場合に比べて磁力を吸収する吸収力をアップできるので、磁力をより確実に遮断できる。
【0075】
なお、図示しなかったが、
図6A、
図6B及び
図7において、敷設磁石74の隣接する遮断用磁石74A同士の間に磁性材又は非磁性材を介在させることもできる。例えば、
図6Bの(B)で説明すると、敷設磁石74の複数の遮断用磁石74Aのうち、S極と記載される遮断用磁石74Aを磁性材又は非磁性材に置き換えることができる。この場合、N極と記載される遮断用磁石74Aと磁性材または非磁性材とが交互に配置されることになる。あるいは、敷設磁石74の複数の遮断用磁石74Aのうち、N極と記載される遮断用磁石74Aを磁性材又は非磁性材に置き換えることもできる。この場合は、S極と記載される遮断用磁石74Aと磁性材または非磁性材とが交互に配置されることになる。
【0076】
また、
図5から
図7において、ロータ側磁力遮断板42の庇部分42Aの長さL及び固定側磁力遮断板44の庇部分44Aの長さLをどの程度にするかは、隣接する棒磁石66同士の間隙部64,68のロータ回転方向Aの幅W(
図5参照)との関係で設定することが好ましい。即ち、上記したように、間隙部64,68の幅が棒磁石66,70のロータ回転方向Aの幅Wの1倍から2倍であることが好ましいこととの関係で庇部分44Aの長さLを検討すると、庇部分44Aの長さLは、棒磁石66のロータ回転方向Aの幅Wの1/3から1/4程度であることが好ましい。
【0077】
次に、
図8により、上記の如く構成された本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16の作用について説明する。なお、以下の説明において、ロータ34の回転を促進する正の回転エネルギーを発生する反発力を「正の反発力」と言い、ロータ34の回転を阻害する負の回転エネルギーを発生する反発力を「負の反発力」と言うことにする。
【0078】
図8の(A)は、ロータ34の回転によって、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近している状態を示す。
図8の(B)は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが一直線になった状態を示す。
図8の(C)は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間している状態を示す。なお、ロータ34を回転させる回転駆動源としては、
図1に示したように、例えばモータ12を使用する。
【0079】
図8の(A)のように、ロータ34の回転によって、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近するときには、ロータ回転方向Aから見て、ロータ側磁石部38の外側対向面66Aのうち下流面の磁力がロータ側磁力遮断板42によって遮断される。また、固定側磁石部40の内側対向面70Aのうち上流面の磁力が固定側磁力遮断板44によって遮断される。これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近するときには、
ロータ側磁力遮断板42と固定側磁力遮断板44とによって棒磁石66,70から出る磁力を遮断する。
【0080】
図8の(B)のように、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが直線状態になるまで、棒磁石66,70同士の負の反発力が発生し難い状態でロータ34が回転する。
【0081】
そして、
図8の(C)のように、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間するときには、ロータ回転方向Aから見て、ロータ側磁石部38の外側対向面66Aのうちロータ側磁力遮断板42を有しない上流面が露出しているので、上流面の磁力が遮断されない。また、固定側磁石部40の内側対向面70Aのうち固定側磁力遮断板44を有しない下流面が露出しているので、下流面の磁力が遮断されない。これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間するときには、棒磁石66の上流面と棒磁石70の下流面との間で正の反発力が発生する。
【0082】
この場合、
図3及び
図4で説明したように、ロータ側磁石部38の棒磁石66の半分の下流面にロータ側磁力遮断板42を設けると共に、固定側磁石部40の棒磁石70の半分の上流面に固定側磁力遮断板44を設けることが好ましい。これにより、棒磁石66,70同士が直線状態になるまでは負の反発力が発生し難い状態でロータ34が回転する。そして、ロータ側磁石部38の棒磁石66が固定側磁石部40の棒磁石70を通過(直線状態を通過)すると正の反発力が発生する。
【0083】
このように、第1の実施の形態の磁力回転装置16は、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44を設けることにより、ロータ34の回転を促進する正の反発力のみを効果的に取り出すことができるので、ロータ34の回転を軽くする。
【0084】
また、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44にそれぞれ庇部分42A,44Aを設けることによって磁力遮断効果が大きくなる。これにより、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが接近するときには、負の反発力が一層発生し難くなる。
【0085】
即ち、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70とが離間するときにのみロータ34の回転を促進するエネルギーが発生するようにした。
【0086】
更に、
図2で説明したように、回転軸28にフライホイール46を設けたので、ロータ34が回転する慣性モーメントを大きくすることができる。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に生じる正の反発力をロータ34の滑らかな回転運動に転換できる
。
【0087】
[磁力回転装置の第2の実施の形態]
本発明の第1の実施の形成の磁力回転装置16で説明したように、ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40の隣接する棒磁石66同士(又は棒磁石70同士)の間には、凹状面を有する間隙部64(又は間隙部68)を有している。
【0088】
しかし、この間隙部64(又は間隙部68)を有していることによって、
図3及び
図4に示したように、ロータ側磁石部38の棒磁石66は外側対向面66A以外の面、即ちロータ回転方向Aから見た前面66Bと後面66Cは露出している。同様に、固定側磁石部40の棒磁石70は内側対向面70A以外の面、即ちロータ回転方向Aから見た前面70Bと後面70Cは露出している。
【0089】
また、間隙部64(又は間隙部68)を理由としたものではないが、棒磁石66のロータ回転方向Aに直交する左面66Dと右面66Eも露出している。同様に、棒磁石70のロータ回転方向Aに直交する左面70Dと右面70Eも露出している。
【0090】
棒磁石66,70同士の側面、即ち前面66B,70B、後面66C,70C、左面66D,70D、右面66E,70Eを露出させないようにすれば、棒磁石66,70同士の間の吸引力をより発生し難くできる。棒磁石66,70同士の間の吸引力は、ロータ34の回転を促進する正の反発力を削減する要因となる。したがって、吸引力を減少させることによって、正の反発力を一層効果的に取り出すことができる。
【0091】
そこで、本発明の第2の実施の形成の磁力回転装置76では、ロータ側磁石部38の全面(全ての面)の磁極が外側対向面66Aの磁極である外側磁極と同一極性になるようにすると共に、固定側磁石部40の全面(全ての面)の磁極が内側対向面70Aの磁極である内側磁極と同一極性になるようにし、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に吸引力が発生し難い構成とした。
【0092】
図9の(A)は、本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76におけるロータ回転方向Aを正面とした場合の側面図であり、(B)は
図9の(A)のb-b線に沿った正面断面図である。なお、第1の実施の形態の磁力回転装置16と同じ部材には同符号を付して説明する。
【0093】
本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76では、
図9の(A)に示すように、ロータ側磁石部38の隣接する棒磁石66同士の間に形成される間隙部64の凹状面の磁極が、棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極と同一極性になるように第1補助磁石78を設けた。同様に、固定側磁石部40の隣接する棒磁石70同士の間に形成される間隙部68の凹状面の磁極が棒磁石70の内側対向面70Aの磁極である内側磁極と同一極性になるように第1補助磁石78を設けた。
【0094】
また、
図9の(B)に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66において、
図3及び
図4のロータ回転方向Aから見た左面66Dと右面66Eとに、棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極と同一極性になるように第2補助磁石80と第3補助磁石82とを設けた。同様に、固定側磁石部40の棒磁石70において、
図3及び
図4のロータ回転方向Aから見た左面70Dと右面70Eとに、棒磁石70の内側対向面70Aの磁極である内側磁極と同一極性になるように第2補助磁石80と第3補助磁石82とを設けた。
【0095】
ロータ側磁石部38及び固定側磁石部40において、棒磁石66,70に第1補助磁石78、第2補助磁石80、第3補助磁石82を取り付ける取り付け構造は同じなので、ロータ側磁石部38についてのみ詳しく説明する。
【0096】
ロータ側磁石部38の棒磁石66同士の間の凹状な間隙部64の底部分にN極を上(棒磁石66の外側対向面66Aの側)にして第1補助磁石78を嵌め込んで固定する。即ち、棒磁石66の上半分のN極部分と下半分のS極部分とのうち、S極部分の前面66Bと後面66Cとが第1補助磁石78で隠れるようにした(
図3及び
図4参照)。これによって、間隙部64が棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極(N極)と同じになるようにした。
【0097】
また、
図9の(B)に示すように、棒磁石66と上記した一対の側面カバー61、61との間に、第2補助磁石80と第3補助磁石82とが磁石固着用の側面板83を介してそれぞれ配設させた。側面板83はステンレス等の非磁性材が好ましい。また、側面板83はロータ34の円筒筒50に支持される。この場合、棒磁石66の外側対向面66Aの側である上半分のN極部分と、外側対向面66Aの逆側である下半分のS極部分とのうち、S極部分のロータ回転方向Aから見た左面66D(
図3及び
図4参照)と右面66E(
図3及び
図4参照)とが第2補助磁石80でそれぞれ隠れるようにした。更に、第2補助磁石80のN極側が棒磁石66のN極側に向くようにした。また、第3補助磁石82は第2補助磁石80のS極部分を隠すように配置され、第2補助磁石のN極とS極との方向に対して第3補助磁石のN極とS極との方向が直交するようにした。
【0098】
これにより、棒磁石66のS極部分における左面66Dと右面66Eとが、棒磁石66の外側対向面66Aの磁極である外側磁極(N極)と同じになるようにした。
【0099】
なお、第1補助磁石78、第2補助磁石80、第3補助磁石82の目的は、ロータ側磁石部38の全面(全ての面)の磁極が外側磁極と同一極性、即ちN極になるようにすることである。したがって、ロータ側磁石部38におけるS極の露出面積部分が小さくなるならば、第1補助磁石78、第2補助磁石80、第3補助磁石82の配置は
図9の(B)の配置例に限定されない。
【0100】
上記詳細説明はロータ側磁石部38に配設した第1補助磁石78、第2補助磁石80及び第3補助磁石82の取り付け構造であるが、固定側磁石部40も同様である。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40において、S極の露出面積部分を極めて小さくすることができるので、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に発生する吸引力を極めて小さくすることができる。したがって、第2の実施の形態の磁力回転装置76は、第1の実施の形態の磁力回転装置16よりも、ロータ34の回転を促進する正の反発力を更に一層効果的に取り出すことができる。
【0101】
上記した本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76のように、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44の構成に加えて、第1補助磁石78、第2補助磁石80及び第3補助磁石82を設けることにより、ロータ34の回転を促進する正の反発力が一層大きくなり、ロータ34の回転を一層軽くする。
【0102】
図10は、
図9の本発明の第2の実施の形成の磁力回転装置76の変形例であり、部分拡大した正面断面図である。第2の実施の形成の磁力回転装置76の変形例は、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70との間に発生する吸引力が更に小さくなるように構成したものである。即ち、棒磁石66,70の左面66D,70Dと右面66E,70Eとの側に、第2補助磁石80及び第3補助磁石82に加えて第4補助磁石84と強磁性板86とを設けた。
【0103】
図10に示すように、第2補助磁石80の配置は
図9と同様であるが、第2補助磁石80のS極部分を強磁性板86(例えば鉄板)で隠し、強磁性板86にS極が面するように第3補助磁石82と第4補助磁石84とを設けた。また、強磁性板86と第3補助磁石82と第4補助磁石84とは、側面板83によって互いに固定されるようにした。
【0104】
このように、露出させたくない第3補助磁石82と第4補助磁石84のS極側に強磁性板86を設けることで、強磁性板86が第3補助磁石及82及び第4補助磁石84のS極側からの磁力を遮断する効果がある。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に発生する吸引力を極めて小さくすることができる。
【0105】
ところで、このようにロータ側磁石部38の全面(全ての面)の磁極が外側磁極と同一極性になるようにすると共に、固定側磁石部40の全面(全ての面)の磁極が内側磁極と同一極性になるようにすると、ロータ側磁石部38の棒磁石66と固定側磁石部40の棒磁石70との反発力は一層強くなり、棒磁石66,70の固定ズレが発生する恐れがある。
【0106】
そこで、
図11に示すように、ロータ側磁石部38の棒磁石66同士の間隙部64及び固定側磁石部40の棒磁石70同士の間隙部68に、非磁性材(例えばプラスチック)の充填物88で充填するようにした。これにより、棒磁石66、70に固定ズレが発生し難くなる。このとき、ロータ側磁石部38の棒磁石66同士の間隙部64及び固定側磁石部40の棒磁石70同士の間隙部68だけでなく、回転方向に複数配置されているロータ側磁力遮断板42同士の間も同様に非磁性材(例えばプラスチック)の充填物88で充填することが好ましい(
図11,
図8等参照)。同様に、回転方向に複数配置されている固定側磁力遮断板44同士の間も非磁性材(例えばプラスチック)の充填物88で充填することが好ましい(
図11,
図8等参照)。
【0107】
また、
図11に示すように、円形なロータ側磁石部38を構成する複数の棒磁石66(ロータ側磁力遮断板42を設けた状態の棒磁石66)の外側対向面66Aの側を円筒筒50の側に押し付けるロータ側バンド96を設けることが好ましい。ロータ側バンド96は非磁性材(例えばステンレスやプラスチック)の円筒形な硬質材料で形成され、ロータ側バンド96の幅方向両端が上記した側面カバー52に固定される。これにより、棒磁石66を強磁性材で形成された円筒筒50に磁力だけで固定した場合であっても、棒磁石66が円筒筒50から剥離するのを防止できる。
【0108】
同様に、円形な固定側磁石部40を構成する複数の棒磁石70(固定側磁力遮断板44を設けた状態の棒磁石70)の内側対向面70Aの側を内筒58の側に押し付ける固定側バンド98を設けることが好ましい。固定側バンド98は、ロータ側バンド96と同様であり、非磁性材(例えばステンレスやプラスチック)の円筒形な硬質材料で形成され、固定側バンド98の幅方向両端が上記した側面カバー61に固定される。
【0109】
このように、間隙部64,68に充填物88を充填すると共に、ロータ側バンド96及び固定側バンド98を設けることにより、棒磁石70を強磁性材で形成された内筒58に磁力だけで固定した場合であっても、棒磁石70が固定ズレしたり内筒58から剥離したりするのを確実に防止できる。
【0110】
この場合、
図11に示すように、間隙部64、68が充填物88によって完全に埋まるように、即ち棒磁石66の外側対向面66A、及び棒磁石70の内側対向面70Aと面一になるように充填物88を充填することが好ましい。これにより、ロータ側バンド96及びロータ側バンド96と充填物88との間に隙間が発生しないので、ロータ側バンド96及びロータ側バンド96をしっかりと固定することができる。
【0111】
[磁力回転装置の第3の実施の形態]
図12は、本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置90の正面断面図であり、第1の実施の形態の磁力回転装置16及び第2の実施の形態の磁力回転装置76と同じ部材には同符号を付して説明する。
【0112】
本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置90は、ロータ側磁石部38のロータ34としてロータ直径よりも大径であり、ロータ回転方向Aの慣性モーメントを大きくすることのできるフライホイール92を用いるようにしたものである。
【0113】
図12に示すように、回転軸28に円盤状のフライホイール92の中心部が嵌合支持され、フライホイール92の外周に上記説明した円筒状の円筒筒50が固定される。その他の構成は第2の実施の形態の磁力回転装置76と同様である。
【0114】
このように、本発明の第3の実施の形態の磁力回転装置90は、ロータ側磁力遮断板42及び固定側磁力遮断板44の構成と、第1補助磁石78、第2補助磁石80及び第3補助磁石82との構成に加えて、ロータ34としてフライホイール92を用いるようにした。これにより、ロータ側磁石部38と固定側磁石部40との間に発生する正の反発力をフライホイール92の径方向の端である周縁部に直接伝えることができる。したがって、フライホイール92を回転軸28に設ける場合よりも、正の反発力をロータ34の回転を促進するエネルギーとして一層有効に作用させることができる。これにより、ロータ34の回転を一層軽くすることができる。
【0115】
なお、
図12の第3の実施の形態の磁力回転装置90は、本発明の第2の実施の形態の磁力回転装置76のロータ34をフライホイール92に交換したものであるが、本発明の第1の実施の形態の磁力回転装置16のロータ34をフライホイール92に交換してもよい。
【0116】
[磁力回転装置の第4の実施の形態]
図13は、本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94の正面断面図であり、上記説明した本発明の磁力回転装置を複数台直列に連設するように構成したものである。
【0117】
本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94では、上記した第1の実施の形態の磁力回転装置16、第2の実施の形態の磁力回転装置76、第3の実施の形態の磁力回転装置90を色々組み合わせることができる。
図13では、1台の第2の実施の形態の磁力回転装置76と、2台の第3の実施の形態の磁力回転装置90とを組み合わせたものである。
【0118】
これにより、本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94によれば、磁力回転装置76,90を複数台直列に連設させたので、磁力回転装置94の回転を更に一層効率よくすることができる。
【0119】
以上、本発明の磁力回転装置16,76,90,94及びそれを組み込んだ発電装置10について説明したが、発電装置10に組み込む磁力回転装置は上記した第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態及び第4の実施の形態の磁力回転装置16,76,90,94を色々組み合わせて組み込むこともできる。
【0120】
なお、本発明の第4の実施の形態の磁力回転装置94によれば、磁力回転装置76,90を複数台直列に連設させたが、第1の実施の形態から第3の実施の形態で説明した1台の磁力回転装置16、76、90において、棒磁石66,70を回転軸28の軸芯方向に複数並べることによっても同様の効果を得ることができる。
【0121】
例えば、
図2の(B)や
図9の(B)の棒磁石66、70(ロータ側磁力遮断板42、固定側磁力遮断板44が設けられたもの)を回転軸28の軸芯方向にそれぞれ複数個(例えば3個)配列する。
【符号の説明】
【0122】
10…発電装置、12…モータ、12A…回転軸、14…発電機、14A…発電ロータ、14B…回転軸、16,76,90,94…磁力回転装置、18…基台、18A…振動減衰部材、18B…固定ボルト、20…装置フレーム、22…モータ据付台、24…発電機据付台、26…軸受、28…回転軸、30…継手、32…ブレーキ手段、34…ロータ、34A…ロータ本体部、34B…嵌合筒、34C…外環筒、36…固定部、38…ロータ側磁石部、40…固定側磁石部、42…ロータ側磁力遮断板、42A…庇部分、44…固定側磁力遮断板、44A…庇部分、46…フライホイール、48…軸カラー、50…円筒筒、52…側面カバー、54…連結ボルト、56…外筒、58…内筒、58A…円弧状ブロック板、60…連結ボルト、61…側面カバー、62…連結調整ボルト、63…連結ボルト、64…間隙部、65…座金、66…棒磁石、66A…外側対向面、66B…前面、66C…後面、66D…左面、66E…右面、66F…底面、67…段差面、68…間隙部、70…棒磁石、70A…内側対向面、70B…前面、70C…後面、70D…左面、70E…右面、70F…底面、71…段差面、72…積層鉄板、74…敷設磁石、74A…遮断用磁石、78…第1補助磁石、80…第2補助磁石、82…第3補助磁石、83…側面板、84…第4補助磁石、86…強磁性板、88…充填物、92…フライホイール、96…ロータ側バンド、98…固定側バンド、A…ロータ回転方向、M,P…中央線
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石の磁力を回転力として利用する磁力回転装置において、
回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸の軸芯を回転中心として回転する円形なロータと、
装置フレームに固定されて前記ロータの外側に前記ロータを囲むように設けられ、前記ロータと同心円状の内周面を有する固定部と、
複数の第1の棒磁石からなり、前記第1の棒磁石は、前記ロータの外周面部分に前記ロータの回転方向に沿って等間隔の間隙部を形成して配置され、前記第1の棒磁石の着磁方向が、前記回転軸の軸芯に直交する放射状方向に沿って並び、前記第1の棒磁石の前記放射状方向の外側の外側磁極が全て同一極性になるように配列された、ロータ側磁石部と、
複数の第2の棒磁石からなり、前記第2の棒磁石は、前記固定部の前記内周面に周方向に等間隔の間隙部を形成して配置され、前記第2の棒磁石の着磁方向が、前記回転軸の軸芯に直交する放射状方向に沿って並び、前記第2の棒磁石の前記ロータ側磁石部に対向する内側の内側磁極が前記外側磁極と同一極性になるように配列された、固定側磁石部と、を有し、
前記ロータ側磁石部の前記第1の棒磁石の前記固定側磁石部の前記第2の棒磁石に対する対向面である外側対向面のうち、前記ロータの回転方向から見た下流面には、前記第1の棒磁石の磁力を遮断するロータ側磁力遮断板を設け、
前記固定側磁石部の前記第2の棒磁石の前記ロータ側磁石部の前記第1の棒磁石に対する対向面である内側対向面のうち、前記ロータの回転方向から見た上流面には、前記第1の棒磁石の磁力を遮断する固定側磁力遮断板を設け、
前記ロータ側磁石部の隣接する前記第1の棒磁石同士の間に形成される前記間隙部の凹状面の磁極が、前記ロータ側磁石部の前記第1の棒磁石の外側対向面の磁極である外側磁極と同一極性になるように、また、
前記固定側磁石部の隣接する前記第2の棒磁石同士の間に形成される前記間隙部の凹状面の磁極が、前記固定側磁石部の前記第2の棒磁石の内側対向面の磁極である内側磁極と同一極性になるように、それぞれ、第1補助磁石を設けると共に、
前記第1の棒磁石における前記外側磁極と反対側の磁極部分を隠すように、前記ロータの回転方向から見た左面、及び、右面に、前記ロータ側の第2補助磁石を設け、ロータ側の前記第2補助磁石は、その着磁方向が、前記放射状方向に沿って並び、前記放射状方向の外側の磁極が全て前記外側磁極と同一極性になるように配列され、
前記第2の棒磁石における前記内側磁極と反対側の磁極部分を隠すように、前記ロータの回転方向から見た左面、及び、右面に、前記固定部側の第2補助磁石を設け、前記固定部側の前記第2補助磁石は、その着磁方向が、前記放射状方向に沿って並び、前記放射状方向の内側の磁極が全て前記内側磁極と同一極性になるように配列され、
前記ロータ側の前記第2補助磁石における前記放射状方向の内側の磁極の磁極部分を少なくとも隠すように、前記ロータの回転方向から見た左面、及び、右面に、前記ロータ側の第3補助磁石を設け、ロータ側の前記第3補助磁石は、その着磁方向が、前記回転軸と平行方向であって、かつ、ロータ側の前記第3補助磁石が、前記左面に配置される場合は、左面側に前記外側磁極と同一極性の磁極部分が配列され、前記右面に配置される場合は、右面側に前記外側磁極と同一極性の磁極部分が配列され、
前記固定部側の前記第2補助磁石における前記放射状方向の外側の磁極の磁極部分を少なくとも隠すように、前記ロータの回転方向から見た左面、及び、右面に、前記固定部側の第3補助磁石を設け、固定部側の前記第3補助磁石は、その着磁方向が、前記回転軸と平行方向であって、かつ、固定部側の前記第3補助磁石が、前記左面に配置される場合は、左面側に前記内側磁極と同一極性の磁極部分が配列され、前記右面に配置される場合は、右面側に前記内側磁極と同一極性の磁極部分が配列される、磁力回転装置。
【請求項2】
前記ロータ側磁力遮断板は前記第1の棒磁石の前記外側対向面の半分の前記下流面に設けられていると共に、前記固定側磁力遮断板は前記第2の棒磁石の前記内側対向面の半分の前記上流面に設けられている請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項3】
前記ロータ側磁力遮断板は前記第1の棒磁石の前記下流面の端から張り出した庇部分を有すると共に、前記固定側磁力遮断板は前記第2の棒磁石の前記上流面の端から張り出した庇部分を有する請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項4】
前記ロータ側磁力遮断板及び前記固定側磁力遮断板は強磁性材である請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項5】
前記ロータ側磁力遮断板及び前記固定側磁力遮断板は鉄板と複数の磁石とで構成される請求項1に記載の磁力回転装置。
【請求項6】
前記間隙部を非磁性材で埋める請求項1~5のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項7】
前記回転軸にフライホイールを設ける請求項1~5のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項8】
前記ロータとしてフライホイールを用いる請求項1~5のいずれか1項に記載の磁力回転装置。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載の磁力回転装置が複数台直列に連設されている磁力回転装置。
【請求項10】
モータと、
前記モータを回転駆動源として発電ロータを回転させて発電する発電機と、
前記モータと前記発電ロータとの間に設けられた請求項1~5のいずれか1項に記載の磁力回転装置と、を備えた発電装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
また、
図2の(B)に示すように、ロータ本体部34Aには、対向する一対のロータ側用の側面カバー52が支持される。側面カバー52はステンレス等の非磁性材であることが好ましい。側面カバー52は中央部が開口したリング板状に形成され、側面カバー52同士が複数の連結ボルト54で連結される。複数の連結ボルト54のうちの1本は、棒磁石66
(第1の棒磁石、以下、単に「棒磁石66」という。)に形成された孔を貫通している。これにより、棒磁石66は連結ボルト54を介して側面カバー52に支持される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
また、
図2の(B)に示すように、外筒56には、対向する一対の固定側用の側面カバー61、61が支持される。側面カバー61はステンレス等の非磁性材であることが好ましい。側面カバー61は、ロータ側用の側面カバー52よりも大径な中心開口を有するリング板状に形成され、側面カバー61同士が複数の連結ボルト63で連結される。複数の連結ボルト63のうちの1本は、棒磁石70
(第2の棒磁石、以下、単に「棒磁石70」という。)に形成された孔を貫通している。これにより、棒磁石70は連結ボルト63を介して側面カバー61に支持される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
10…発電装置、12…モータ、12A…回転軸、14…発電機、14A…発電ロータ、14B…回転軸、16,76,90,94…磁力回転装置、18…基台、18A…振動減衰部材、18B…固定ボルト、20…装置フレーム、22…モータ据付台、24…発電機据付台、26…軸受、28…回転軸、30…継手、32…ブレーキ手段、34…ロータ、34A…ロータ本体部、34B…嵌合筒、34C…外環筒、36…固定部、38…ロータ側磁石部、40…固定側磁石部、42…ロータ側磁力遮断板、42A…庇部分、44…固定側磁力遮断板、44A…庇部分、46…フライホイール、48…軸カラー、50…円筒筒、52…側面カバー、54…連結ボルト、56…外筒、58…内筒、58A…円弧状ブロック板、60…連結ボルト、61…側面カバー、62…連結調整ボルト、63…連結ボルト、64…間隙部、65…座金、66…棒磁石(第1の棒磁石)、66A…外側対向面、66B…前面、66C…後面、66D…左面、66E…右面、66F…底面、67…段差面、68…間隙部、70…棒磁石(第2の棒磁石)、70A…内側対向面、70B…前面、70C…後面、70D…左面、70E…右面、70F…底面、71…段差面、72…積層鉄板、74…敷設磁石、74A…遮断用磁石、78…第1補助磁石、80…第2補助磁石、82…第3補助磁石、83…側面板、84…第4補助磁石、86…強磁性板、88…充填物、92…フライホイール、96…ロータ側バンド、98…固定側バンド、A…ロータ回転方向、M,P…中央線