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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057693
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】被服用ハンガーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20240418BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20240418BHJP
   B29B 7/72 20060101ALI20240418BHJP
   B29B 13/10 20060101ALI20240418BHJP
   B29C 31/02 20060101ALI20240418BHJP
   B29C 48/345 20190101ALI20240418BHJP
   B29C 48/69 20190101ALI20240418BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20240418BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20240418BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B29B9/06 ZAB
B29B7/38
B29B7/72
B29B13/10
B29C31/02
B29C48/345
B29C48/69
B29C48/92
B29B17/04
B29B17/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164510
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】522401914
【氏名又は名称】株式会社Old Place Enterprise
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】古場 秀昭
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA50
4F201AH81
4F201AR12
4F201BA02
4F201BA04
4F201BA06
4F201BC01
4F201BC25
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BL08
4F201BL12
4F201BL42
4F201BN31
4F201BP12
4F201BP31
4F201BQ02
4F201BQ42
4F201BQ45
4F207AA50
4F207AH81
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK12
4F207KL38
4F207KW23
4F401AA27
4F401BA13
4F401CA14
4F401CA58
4F401CA79
4F401CB10
4F401CB18
4F401DC04
4F401FA08Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ペレットの切断端面が滑らかで、かつ略均等な太さ及び長さの粒状のペレットを利用した被服用ハンガーの製造方法を提供する。
【解決手段】使用済みのプラスチック製品を破砕するスクラップ成形工程と、スクラップ成形工程で得られたスクラップを押出機に投入し、加熱溶融しながら軸状回転体で粘土状態に擂り潰しかつダイスの成形孔へと圧縮搬送しながら連続的に複数本の軟質ストランドを形成する軟質ストランド成形工程と、軟質ストランド成形工程で取得した軟質ストランドを冷却手段により冷却する冷却工程と、冷却工程で得られた固形化ストランドを固定刃とストランドカッターを有するストランドカッター装置により、ペレットを形成するペレット形成工程と、しかる後に、ペレット形成工程で得た粒状のペレットを被服用ハンガー成型機に投入してプラスチック製の被服用ハンガーを製造する被服用ハンガー製造工程を含む被服用ハンガーの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みのプラスチック製品をスクラップ成形機によりスクラップ状態に破砕するスクラップ成形工程と、
前記スクラップ成形工程で得られたスクラップを押出機に投入し、該押出機のホッパーの下端部に連通するシリンダーの一端部側の受入口から該シリンダーの先端部側のダイスへと通過させる間に前記スクラップを加熱溶融しながら軸状回転体で粘土状態に擂り潰し、かつ前記ダイスの複数個の成形孔へと圧縮搬送しながら連続的に複数本の軟質ストランドを形成する軟質ストランド成形工程と、
前記軟質ストランド成形工程で取得した前記軟質ストランドを冷却手段により冷却し固形化ストランドの状態にする冷却工程と、前記冷却工程で得られた固形化ストランドを固定刃と円柱状の外周縁に多数の切断歯を有するストランドカッターを有するストランドカッター装置により、直径が3mm~6mmで、かつ長さが2mm~5mmの粒状のペレットを形成するペレット形成工程と、
しかる後に、前記ペレット形成工程で得た前記粒状のペレットを被服用ハンガー成型機に投入してプラスチック製の被服用ハンガーを製造する被服用ハンガー製造工程Gを含む、被服用ハンガーの製造方法。
【請求項2】
請求項1の被服用ハンガーの製造方法に於いて、さらに、前記押出機を構成する前記シリンダーの内圧を計測する検出手段を取付け、前記検出手段が検知した内圧数値と記憶部に予め記録した閾値とを比較することにより、前記軸状回転体を駆動する駆動モータの回転数を自動制御する駆動モータ制御工程を含むことを特徴とする被服用ハンガーの製造方法。
【請求項3】
請求項1の被服用ハンガーの製造方法に於いて、ターンテーブルの上面にペレット用収納容器を載置し、前記ペレット形成工程で得た前記粒状のペレットが落下するペレット案内部材の下端縁が前記ペレット用収納容器の底壁の中心を通る垂直中心線から離れ、前記底壁に落下する前記粒状のペレットが該底壁の中央部に集中的に溜まらないようにする収納容器回転工程を含むことを特徴とする被服用ハンガーの製造方法。
【請求項4】
請求項1の被服用ハンガーの製造方法に於いて、前記ホッパーの上端部に開閉自在な嵌合蓋を設け、この嵌合蓋の上面に垂直軸を有する電動モータを垂設し、前記垂直軸に半径外方向に突出する撹拌羽根を有する撹拌軸を連結し、前記撹拌羽根でスクラップを撹拌するスクラップ攪拌工程を含むことを特徴とする被服用ハンガーの製造方法。
【請求項5】
請求項1の被服用ハンガーの製造方法に於いて、前記軟質ストランド成形工程では、押出機を構成する軸状回転体の先端側とダイスの取付け内端面側との間に網体を内設されていることを特徴とする被服用ハンガーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂で所定構造に製造された使用済みのプラスチック製品、例えば溶接用スプール、プラスチックパレット、プラスチックハンガー、プラスチック製のバリケード、プラスチック製の収穫コンテナ、ペットボトルのキャップ、買い物籠、ポリバケツ等をペレット状の原材料にし、該原材料により被服用ハンガーを製造する方法に関し、特に、使用済みのプラスチック製の被服用ハンガーをペレット状の原材料とする場合に適する被服用ハンガーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、使用済みペットボトルを原材料とした合成樹脂製ハンガーの製造方法に関する。特許文献1に記載の発明の課題は、基本的には、使用済みペットボトルを「原材料」として、ペットボトルとは別個のプラスチック製品(例えば被服用ハンガー)を製造することであるが、該製造方法は、原材料供給工程Eでハンガー成型機50に供給するプラスチック製の原材料40が、廃棄物破砕工程Aで得られたフレーク状の破砕片19のままの形状であり、比較的粗い骨材なので、搬送時、骨材の切断面で指に傷を付ける恐れがある、熱可塑性樹脂廃棄物の原料内に抗菌性原材料(粉状体)を略均等に分布させることが難しい等の問題点があった(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
ところで、プラスチック製品の一つとして「プラスチックハンガー」と称される被服用ハンガーが存在し、該被服用ハンガーは、アパレル業界、クリーニング業界で、ワイシャツ、Tシャツ等の被服を吊り下げるために用いられている。近年、被服用ハンガーは人の手に直接触れるので、特許文献1の問題点(例えばペレットの切断端面が滑らかでないこと、略均等な太さ及び長さの粒状のペレットを大量に得ることができないこと等)を解決することができると共に、前記粒状のペレットを再生原料として被服用ハンガーを製造することが期待されている。
【0004】
なお、特許文献2は、「ストランドカット方式」の押出機を用いて「抗菌性合成樹脂ハンガー」を製造する技術である。すなわち、特許文献2の技術は、「撹拌機5で合成樹脂原料2の外壁面に抗菌性粉末原料4を均等状態に付着させる原料撹拌工程Aと、この原料撹拌工程Aで得られた米粒状ハンガー原料6を押出し機10のホッパー11に投入し、該押出し機の先端部12から連続的に複数本の細長棒状体13を押し出す細長棒状体押出し工程Bと、この細長棒状体押出し工程Bで得られた複数本の細長棒状体13を一度に水槽15の中で冷却する細長棒状体冷却工程Cと、この細長棒状体冷却工程Cで冷却中の複数本の細長棒状体13を、カット機20を介して再度米粒状にカットし、抗菌剤含有ハンガー原料6Aを形成する細長棒状体切断工程Dと、この細長棒状体切断工程Dで得られた抗菌剤含有ハンガー原料6Aをハンガー成型機30で抗菌性合成樹脂製ハンガー31を製造する最終製造工程Eとから成る」。
【0005】
しかしながら、特許文献1の細長棒状体押出し工程Bに用いられている押出し機10の構造(駆動源の制御方法)やカット機20のカッターの構造(カッター手段)を改良すべき点、特許文献1の製造方法に他の新規な工程を加味し、構造工程における利便性の向上を図るべき点等、まだまだ解決すべき問題点が残されていた(符号は特許文献2のもの)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-239364号公報
【特許文献2】特開平10-244604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主たる課題は、特許文献1及び特許文献2の問題点に鑑み、ペレットの切断端面が滑らかで、かつ略均等な太さ及び長さの粒状のペレットを容易に得ることができると共に、該粒状のペレットを利用した被服用ハンガーの製造方法を得ることである。第2の目的は、前記主たる課題を達成するために、いわゆる「ストランドカット方式」の押出機に於いて、シリンダーの内圧を検出手段により検知し、熱可塑性樹脂廃棄物の加熱溶融の流量を推測することにより駆動モータの回転数を制御し、もって、ダイスの成形孔からスパゲッティのように押し出される複数本のストランドが所望するスピードで押し出されることである。第3の目的は、ペレット用収納容器の底壁に落下する粒状のペレットが該底壁の中央部に集中的に溜まらないようにすることである。その他、大きさが異なる異径形状のスクラップをスムースにシリンダーの受入口へと落とし込むことができることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の被服用ハンガーの製造方法は、使用済みのプラスチック製品をスクラップ成形機によりスクラップ状態に破砕するスクラップ成形工程と、前記スクラップ成形工程で得られたスクラップを押出機に投入し、該押出機のホッパーの下端部に連通するシリンダーの一端部側の受入口から該シリンダーの先端部側のダイスへと通過させる間に前記スクラップを加熱溶融しながら軸状回転体で粘土状態に擂り潰し、かつ前記ダイスの複数個の成形孔へと圧縮搬送しながら連続的に複数本の軟質ストランドを形成する軟質ストランド成形工程と、前記軟質ストランド成形工程で取得した前記軟質ストランドを冷却手段により冷却し固形化ストランドの状態にする冷却工程と、前記冷却工程で得られた固形化ストランドを固定刃と円柱状の外周縁に多数の切断歯を有するストランドカッターを有するストランドカッター装置により、直径が3mm~6mmで、かつ長さが2mm~5mmの粒状のペレットを形成するペレット形成工程と、しかる後に、前記ペレット形成工程で得た前記粒状のペレットを被服用ハンガー成型機に投入してプラスチック製の被服用ハンガーを製造する被服用ハンガー製造工程Gを含む、ことを特徴とする。
【0009】
上記構成に於いて、前記押出機を構成する前記シリンダーの内圧を計測する検出手段を取付け、前記検出手段が検知した内圧数値と記憶部に予め記録した閾値とを比較することにより、前記軸状回転体を駆動する駆動モータの回転数を自動制御する駆動モータ制御工程を含むことを特徴とする。また、ターンテーブルの上面にペレット用収納容器を載置し、前記ペレット形成工程で得た前記粒状のペレットが落下するペレット案内部材の下端縁が前記ペレット用収納容器の底壁の中心を通る垂直中心線から離れ、前記底壁に落下する前記粒状のペレットが該底壁の中央部に集中的に溜まらないようにする収納容器回転工程を含むことを特徴とする。
【0010】
さらに、前記ホッパーの上端部に開閉自在な嵌合蓋を設け、この嵌合蓋の上面に垂直軸を有する電動モータを垂設し、前記垂直軸に半径外方向に突出する撹拌羽根を有する撹拌軸を連結し、前記撹拌羽根でスクラップを撹拌するスクラップ攪拌工程を含むことを特徴とする。
【0011】
なお、軟質ストランド成形工程に於いて、異物を除去するために、押出機を構成する軸状回転体7の先端側とダイス8の取付け内端面側との間に網体を内設するのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
(a)請求項1に記載の発明は、「冷却工程で得られた固形化ストランドを固定刃と円柱状の外周縁に多数の切断歯を有するストランドカッターを有するストランドカッター装置により、直径が3mm~6mmで、かつ長さが2mm~5mmの粒状のペレットを形成するペレット形成工程」を含んでいるので、ペレットの切断端面が滑らかで、かつ略均等な太さ及び長さの粒状のペレットを容易に得ることができると共に、該粒状のペレットを利用した被服用ハンガーの製造方法を得ることができる。なお、ペレットの直径及び長さは、適宜に設定することができる。これにより、使用済みのプラスチック製品のリサイクル化を図ることができる。特に、リサイクル用の原材料を粒状のペレットの状態にしたので、押出機のホッパーに前記粒状のペレットと共に、抗菌剤を投入する実施形態の場合には、加熱溶融化される粒状のペレットの中に抗菌剤が略均等状態に入り込んでいく。再生された被服用ハンガーの外面に菌が付着したとても、菌の増殖を抑えることができる利点がある。
(b)請求項2に記載の発明は、内圧が閾値よりも高い時は、シリンダー内の熱可塑性樹脂廃棄物が多いものと推測し、駆動モータの回転数を自動で上げ、一方、逆の場合には、シリンダー内の熱可塑性樹脂廃棄物が少ないものと推定し、駆動モータの回転数を自動で下げることができる。したがって、シリンダーの中を移動する熱可塑性樹脂の流れを制御し、これにより、「ストランドカット方式」の押出機に於いて、シリンダーの先端部に設けたられたダイスの複数個の成形孔からスパゲッティのように押し出される複数本のストランドの吐出速度を略均等状態に保つことができる。
(c)請求項3に記載の発明は、ペレット用収納容器の底壁に落下する粒状のペレットが該底壁の中央部に集中的に溜まらないようにすることができる。付言すると、落下した粒状のペレットが、収納容器に全体的に落ち込むので、手作業で、中央部に集中するペレットを平の状態にする必要がない。
(d)請求項4に記載の発明は、大きさが異なる異径形状のスクラップをスムースにシリンダーの受入口へと落とし込むことができる。
(e)請求項5に記載の発明は、軟質ストランド成形工程では、熱可塑性樹脂に混合している異物を除去するができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図1】本発明の全体工程図。
図2】押出機2の概略説明図。
図3】駆動モータの回転数を制御する制御装置14の概略説明図。
図4】固形化ストランドdを得る冷却手段21の概略説明図。
図5】ストランドカッター装置31の構成を示す概略断面説明図。
図6】可動側のストランドカッターと固定刃との関係を示す一部拡大説明図。
図7】要部(滑り台式ペレット案内部材、ペレット用収納容器、ターンテーブル等)の概略説明図。
図8】ペレット案内部材の下端縁が前記ペレット用収納容器の底壁の中心を通る垂直中心線から離れている説明図。
図9】ハンガー成型機45の外観構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図9は、本発明の第1実施形態の被服用ハンガーの製造方法(以下、ここでは単に「製造方法」という。)の各説明図である。図1はスクラップ成形工程から被服用ハンガー製造工程までの全体工程図を示す。
【0015】
さて、本発明の製造方法は、まず、使用済みのプラスチック製品aを支持板に固定した固定刃と回転軸と共働する回転体に設けた回転刃を有するスクラップ成形機1によりスクラップ状態に破砕するスクラップ成形工程Aを有する。このスクラップ成形工程Aでは「スクラップ成形機1」を用いて使用済みのプラスチック製品aを細かい破片状に破砕する。
【0016】
使用済みのプラスチック製品aは、例えば溶接用スプール、プラスチックパレット、プラスチックハンガー、プラスチック製のバリケード、プラスチック製の収穫コンテナ、ペットボトルのキャップ、買い物籠、ポリバケツ等の熱可塑性樹脂廃棄物である。熱可塑性樹脂廃棄物は、周知の如く、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂やポリスチレン等のスチレン系樹脂を挙げることができる。
【0017】
使用済みのプラスチック製品aを、スクラップ成形機1を用いて破砕したとき、破砕したスクラップbは、普通一般にゴミが付着しているので、例えば特許文献1の図3図4及び図5で示すように、前記スクラップbを押出機2に投入する前に、スクラップbを水槽等で洗浄するスクラップ洗浄工程Bと、洗浄済みスクラップから遠心分離機等により水分を除去する脱水工程Cと、水分除去済みスクラップを、加熱手段を有する攪拌装置等により乾燥させる乾燥工程Dを経るのが望ましい。なお、前記スクラップ洗浄工程B、脱水工程C及び乾燥工程Dは公知乃至周知技術なので、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0018】
次に、軟質ストランド成形工程Eを有する。すなわち、前記スクラップ成形工程Aで得られたスクラップbを、例えば図2で示す押出機2に投入し、該押出機2のホッパー3の下端部に連通するシリンダー4の一端部側の受入口11から該シリンダーの先端部側のダイス8へと通過させる間に前記スクラップbを加熱溶融しながら軸状回転体7で粘土状態に擂り潰し、かつ前記ダイス8の複数個の成形孔9へと圧縮搬送しながら連続的に複数本の軟質ストランドcを形成する。
【0019】
図2は押出機2の概略説明図である。図2に於いて、3は上端部がラッパ状に開口するホッパー、4は長筒状のシリンダー、5は前記シリンダーの外周壁に外装された長筒状ヒーター、6は前記ヒーター5及びシリンダー4の一端部側(図1では左側)に、図示しない支持台を介して固定的に支持された駆動モータ、7はシリンダー4に内装され、前記駆動モータ6の駆動力によって所定方向に回転すると共に、外周壁が螺旋状に形成された軸状回転体、8はシリンダー4の他端部(図1では右側)に取付けられ、かつ多数の成形孔9を有するダイス、10は前記ヒーター5及びシリンダー4の外周壁から半径内方向に形成された取付け孔に挿入された検出手段としての圧力計10である。
【0020】
前記受入口11はホッパー3の下端部に連通し、スクラップbはこの受入口11からシリンダー4内へと入り込む。特に図示しないが、ホッパー3の上端部に開閉自在な嵌合蓋を設け、この嵌合蓋の上面に垂直軸を有する電動モータを垂設し、前記垂直軸に半径外方向に突出する単数又は複数枚の撹拌羽根を有する撹拌軸を連結し、前記撹拌羽根でスクラップbを撹拌するのが好ましい(ここでは「スクラップ攪拌工程」という)。スクラップ攪拌工程を加味すると、大きさが異なる異径形状のスクラップbをスムースにシリンダー4の受入口11へと落とし込むことができる。
【0021】
落下したスクラップbは、シリンダー4の内周壁及び軸状回転体7の螺旋部分7aに案内され、先端部側のダイス8へと通過する間にヒーター5によって加熱溶融しながら該軸状回転体7の螺旋部分7a及び該シリンダー4の内周壁で粘土状態に擂り潰され、かつ前記ダイス8の複数個の成形孔9へと圧縮搬送される。軸状回転体7の外周面を螺旋部分7aにすることにより、加熱溶融された熱可塑性樹脂を粘土状態にしつつスムースにダイス8側へ送り込むことができる。
【0022】
前記成形孔9は、水平方向に、例えば6個乃至10個併設状態に形成され、これらの成形孔9から複数本の軟質ストランドcがスパゲッティの如く連続的に押し出されてくる。なお、前記成形孔9の数は任意に増やすことができる。また「軟質ストランドc」は、後述の水槽等の冷却手段21で略完全に固定化する前の紐状の軟質樹脂を意味する。
【0023】
なお、軟質ストランド成形工程に於いて、熱可塑性樹脂に混合している異物を除去するために、押出機を構成する軸状回転体7の先端側とダイス8の取付け内端面側との間に網体を内設されている。
【0024】
図3は駆動モータ6の回転数を制御する制御装置14の概略説明図である。制御装置14は、検知手段としての圧力計10が検知した検知信号を取得する入力部15、前記入力部15が入力した検知信号(シリンダーの内圧)と記憶部16に予め記録されている閾値とを比較する判定部17、前記判定部17がシリンダーの内圧が閾値よりも高い時と判定した時は、シリンダー内の熱可塑性樹脂廃棄物が多いものと推測し、駆動モータ6の回転数を自動で上げ、一方、シリンダーの内圧が閾値より低いと判定した時(逆の場合)は、シリンダー内の熱可塑性樹脂廃棄物が少ないものと推定し、駆動モータ6の回転数を自動で下げる回転数制御部18及び制御信号を駆動モータ6に与える出力部19から成る。こりにより、シリンダーの内圧如何にかかわらず、軟質ストランドcが常時同じスピードで押し出されてくる。
【0025】
付言すると、シリンダー7の中を移動するスクラップbの熱硬化性樹脂の流れを制御し、これにより、「ストランドカット方式」の押出機2に於いて、シリンダー4の先端部に設けたられたダイス8の複数個の成形孔9からスパゲッティのように押し出される複数本のストランドcの吐出速度を均等状態に保つことができる。
【0026】
それ故に、実施形態の製造方法では、押出機2を構成するシリンダー4の内部の適宜箇所(望ましくはシリンダーの先端部側)に圧力計10を取付け、前記圧力計10が検知した数値と記憶部16に記録した閾値とを比較することにより、シリンダー4内の軸状回転体7を駆動する駆動モータ6の回転数を自動制御する工程、つまり「駆動モータ制御工程E1」を含んでいる。
【0027】
次にFは、軟質ストランド成形工程Eで取得した軟質ストランドcを冷却手段21により冷却し、固形化ストランドdを得る冷却工程である。
【0028】
図4は固形化ストランドdを得る冷却手段21の一例を示す説明図である。このストランド冷却工程Fで使用される冷却手段21の一例は水槽である。図4で示すように、水槽21の先端部21aの前方にストランドカッター装置31が配設されている。
【0029】
しかして、水槽21の大きさは、高さ30cm、横幅50cm、長さ2m程度である。水槽21は、上部開口の長箱状であり、ストランドカッター装置31と同じ方向に配設されている。また水槽21の先端部(先端部寄りの部位も含む)21aには,冷却された複数本の固形化ストランドdの先端部を水槽21の上方に持ち上げる単数又は複数の枠状の支持杆22が固定的に設けられている。この支持杆22を用いると、複数本の固形化ストランドdに付着した水分が自然に落下し、その結果、少しでも冷却工程Fの時間の短縮化を図り、次の工程を行うことができる。
【0030】
この場合、平行状態で固形化される各ストランドdが互いに絡み合わないように、前記支持枠22の水平支持部22aに連続的に凹凸を形成するか、或いは櫛状に形成すべきである。前述したように、複数本の軟質ストランドcは、押出機2のダイス9から、いわば「紐状」の如く出てくるので、作業員は、最初は図示しない金属製の水平連続する係合凹凸を有する支持棒、或いは単なる針金状の支持棒等を利用し、適宜に複数本の固形化ストランドdの先端部側を前記支持枠22の水平支持部22aへと掛け渡すと共に、前記先端部を前方ストランドカッター装置31の供給口を介して一対の案内ローラーに挟持させる。水槽21の温度は、10度乃至40度であるが、望ましくは20度乃至30度にすべきである。しかして、水槽21内の温度が25度程度の場合は、各軟質ストランドcの冷却時間は約1分程度である。
【0031】
ところで、水槽21の上部開口には、水槽21内の温度を所要温度(20度乃至30度)に保つために冷水を循環的、又は間欠的に供給するための供給管23が臨んでいる。なお、水槽21内の温度を所要温度に保つ場合には、図示しない流体制御装置と、水槽21に直接又は間接的に設けた温度センサーとを電気的に接続し、前記供給管23も含めた流体管路の開閉弁を適宜に制御しても良い。
【0032】
次にGはペレット形成工程である。すなわち、前記冷却工程Fで得られた固形化ストランドdを取付け面が長板状の固定刃38と円柱状の外周縁に複数個の切断歯41を有するストランドカッター40を有するストランドカッター装置31により、直径が3mm~6mmで、かつ長さが2mm~5mmの粒状のペレットeを形成する。なお、ストランドカッター40の軸方向の長さは、任意に設定することができる。
【0033】
図5はストランドカッター装置31の概略断面説明図である。図5に於いて、まず32はテーブル状の支持台で、この支持台32の天板32aの下方にペレット用収納容器33が配設してある。ペレット用収納容器33は、例えば容器本体33aと、適宜箇所に水平長孔状の支持孔を有する蓋体33bとから成り、前記天板32aの中央部にはペレット案内部材34の上端部が取り付けられ、一方、前記蓋体33bの前記水平長孔状の支持孔に滑り台機能を有するペレット案内部材34の下端部が遊嵌合状態で支持されている。なお、ペレット用収納容器33は上端開口の容器本体33aのみで構成しても良い。
【0034】
次に、35は箱型のフレームで、このフレームの一側壁には、水平方向に長孔状の供給口36が形成されている。37は前記供給口36付近に配設され、かつ図示しない電動モータの伝動力により固形化ストランドdを引き込む方向に回転する一対の案内ローラーで、やや斜めかつ上下方向に配設された一対の案内ローラー37は、前述したように、複数本の固形化ストランドdの先端部側を水平長孔状の供給口36を介して挟持することができる。38は一対の案内ローラー37に挟持された固形化ストランドdを切断することができるように内部の支持板に固定された固定刃である。固定刃38の先端部38aは、図6で示すように、円柱回転体としてのストランドカッター40の外周縁に連続的に形成された多数のラチッェット状切断歯41のせん断刃先41aに対して若干の間隙Sを有して臨んでいる。
【0035】
しかして、符号42は箱型のフレーム35に内設された軸受け箱、43は前記軸受け箱42に水平状態に軸支された回転軸である。図5では駆動源としての電動モータを省略しているが、例えば支持台32の天板32aの上面や箱型のフレーム35の垂直壁に適宜に横設され、前記回転軸43の一端部は前記電動モータの出力軸に連結されている。そして、ストランドカッター40は前記回転軸43の他端部に適宜に固定され、該回転軸43と共働して同方向に回転する。
【0036】
ここで、ペレット用の収納容器回転工程Hについて、図7及び図8を参照にして説明する。図7に於いて、滑り台式のペレット案内部材34、ペレット用収納容器33、ターンテーブル39、ターンテーブル用の減速機付の第2駆動モータ39a、第2駆動モータの出力軸39bを示している。ターンテーブル39の上面にはペレット用収納容器33が自在に設置されている。またターンテーブル39は第2駆動モータ39aの駆動力により、ゆっくりと所定方向に回転する。
【0037】
図8は、ペレット案内部材34の下端縁がペレット用収納容器33の底壁33aの中心を通る垂直中心線Oから離れていることを示す。
【0038】
これらの図から理解することができるように、実施形態の製造方法は、ターンテーブル39の上面にペレット用収納容器33を載置し、ペレット形成工程Gで前記粒状のペレットeが落下する滑り台機能のペレット案内部材34の下端縁34aが前記ペレット用収納容器33の底壁33aの中心を通る垂直中心線Oから離れ、前記底壁33aに落下する前記粒状のペレットeが該底壁33aの中央部に集中的に溜まらないようにする収納容器回転工程Hを含んでいる(図1参照)。なお、特に図示しないが、前記ターンテーブル用の第2駆動モータ36は、図3で示した制御装置14によって、その起動と停止が制御されている。
【0039】
最後にIは、前記ペレット形成工程Gで得た前記粒状のペレットeを被服用ハンガー成型機(以下、「ハンガー成型機」という)45に投入してプラスチック製の被服用ハンガー50を製造する被服用ハンガー製造工程である。
【0040】
ハンガー成型機45の外観は、図9で示し通りであり、成型用ホッパー46が備えられ、また内部に図示しないハンガー金型がセットされる。その構造は周知である。実施例では、前記ハンガー金型はアパレル業界やクリーニング業界で被服を吊り下げるために普通一般に用いられ、かつ、フック部と肩部本体が一体に形成されるプラスチックスハンガー用金型である。
【0041】
なお、粒状のペレットeを入れたバケツ状の容器或いは包装袋47を利用して粒状のペレットeを前記成型用ホッパー46に投入する際、図示しない抗菌剤含有ハンガー原料を前記粒状のペレットeに付着させても良い。そうすると、抗菌剤の新たな被服用ハンガー50が出来上がる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、使用済みのプラスチック製品をリサイクルする場合に、被服用ハンガーの製造方法の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
a…使用済みのプラスチック製品、
b…スクラップ、
c…軟質ストランド、
d…固形化ストランド、
e…ペレット、
A…スクラップ成形工程A、
B…洗浄工程、
C…脱水工程、
D…乾燥工程、
E…軟質ストランド成形工程、
E1…駆動モータ制御工程、
F…冷却工程、
G…ペレット形成工程、
H…収納容器回転工程、
I…被服用ハンガー製造工程、
1…スクラップ成形機、
2…押出機、3…ホッパー、
4…シリンダー、5…ヒーター、
6…駆動モータ、
7…軸状回転体、7a…螺旋部分、
8…ダイス、9…成形孔、
10…検出手段
21…水槽、…22支持杆、
31…ストランドカッター装置、
35…箱型のフレーム、37…一対の案内ローラー、
38…固定刃、
38a…固定刃の先端部、
41…切断歯、
41a…切断歯41のせん断刃先、S…間隙、
42…軸受け箱、
43…回転軸、
33…ペレット用収納容器、
33a…底壁、O…垂直中心線、
34…ペレット案内部材、
35…ターンテーブル、36…第2駆動モータ、
45…ハンガー成型機、
50…被服用ハンガー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9