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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057708
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】センサーユニット
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
G01P15/08 102B
G01P15/08 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164541
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】神 幹基
(57)【要約】
【課題】ノイズを低減し、検出精度が良いセンサーユニットを提供すること。
【解決手段】センサーユニットは、複数の慣性センサーモジュールと、前記慣性センサーモジュールのそれぞれを実装する複数の実装部と、複数の前記慣性センサーモジュールに電源を供給する供給部を有する基板と、を有し、前記供給部は、前記複数の実装部の中央に配置される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の慣性センサーモジュールと、
前記慣性センサーモジュールのそれぞれを実装する複数の実装部と、
複数の前記慣性センサーモジュールに電源を供給する供給部を有する基板と、を有し、
前記供給部は、前記複数の実装部の中央に配置される、
センサーユニット。
【請求項2】
前記供給部の中央に対して、複数の前記慣性センサーモジュールは、点対称に配置される、
請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項3】
複数の前記慣性センサーモジュールそれぞれにおける電源供給部は、前記供給部に近接して配置される、
請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項4】
複数の前記慣性センサーモジュールは、それぞれが加速度センサーデバイスを備え、
複数の前記加速度センサーデバイスは、前記供給部の中央から等距離に配置される、
請求項1に記載のセンサーユニット。
【請求項5】
複数の前記慣性センサーモジュールは、それぞれがX軸角速度センサー、Y軸角速度センサー、Z軸加速度センサーを備え、
各軸の前記角速度センサーは、前記供給部の中央から等距離に配置される、
請求項4に記載のセンサーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の慣性センサーモジュールを備えたセンサーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
加速度センサーや角速度センサーなどの複数の慣性センサーを有する慣性センサーモジュールを備えたセンサーユニットが知られている。センサーユニットは、様々な電子機器や機械に組み込まれ、または自動車などの移動体に搭載され、角速度や加速度などの慣性量のモニタリングに用いられる。また、橋梁や、高架軌道などの建造物のモニタリングシステムにも適用される。
【0003】
例えば、特許文献1には、センサーユニットを構成する複数の慣性センサーモジュールそれぞれに対し、3軸のミスアライメントを補正し、補正した後、複数の慣性センサーモジュールの軸合わせを行うことが記載されている。詳しくは、組み立て時のずれ等による複数の検出軸に対する角度誤差であるミスアライメントを補正するための補正係数を生成し、当該補正係数を用いてミスアライメントを補正し、検出精度の悪化を抑制していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-196191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術には、改良の余地があった。複数の慣性センサーモジュールを備えたセンサーユニットでは、慣性センサーモジュール間での駆動ノイズなどによる干渉が検出精度に影響を及ぼす虞があった。例えば、複数の慣性センサーモジュールには、それぞれ電源を供給する必要があるが、電源供給配線に長短がある場合、電源インピーダンスバランスが崩れて、検出精度に影響を及ぼす虞があった。
つまり、ノイズを低減し、検出精度が良いセンサーユニットが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る一態様のセンサーユニットは、複数の慣性センサーモジュールと、前記慣性センサーモジュールのそれぞれを実装する複数の実装部と、複数の前記慣性センサーモジュールに電源を供給する供給部を有する基板と、を有し、前記供給部は、前記複数の実装部の中央に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係るセンサーユニットの斜視図。
図2】センサーユニットの透過平面図。
図3】センサーモジュールの分解斜視図。
図4】センサー基板の第1面、第2面の平面図。
図5】センサーモジュールの斜視図。
図6】慣性センサーチップの概略構成を示す平面図。
図7】a軸方向の加速度センサーの平面図。
図8】c軸方向の加速度センサーの平面図。
図9】基板の平面図。
図10】制御ICの機能ブロック図。
図11】実施形態2に係る基板の斜視図。
図12】基板の第1面、第2面の平面図。
図13】実施形態3に係る基板の平面図。
図14】変形例における基板の第1面、第2面の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
***慣性センサーユニットの概要***
図1は、センサーユニットの概要を示す斜視図である。図2は、センサーユニットの透過平面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0009】
図1に示す本実施形態のセンサーユニット100は、例えば、自動車、農業機械、建設機械、ロボットおよびドローンなどの移動体に取付けられ、これらの被装着体の姿勢や挙動を検出する慣性計測装置である。なお、被装着体は自動車などの運動体に限らず、例えば、橋梁、高架や、軌道などの建造物であっても良い。建造物に取付ける場合は、建造物の健全度をチェックする構造ヘルスモニタリングシステムとして用いられる。
【0010】
図1に示すように、センサーユニット100は、平面的に略長方形状をなしている。以下、長方形の長辺方向をY(+)方向とし、短辺方向をX(+)方向とする。そして、センサーユニット100の厚さ方向をZ(+)として座標軸で示して説明する。
センサーユニット100は、3軸の角速度を検出する角速度センサーおよび3軸の加速度を検出する加速度センサーを備えた複合センサーユニットである。これにより、利便性の高いセンサーユニット100としている。
【0011】
センサーユニット100の筐体9は、収納部91bを有するベース91と、収納部91bを覆うリッドである蓋体92とを備える。収納部91bを蓋体92で塞ぐことにより、収容空間S1が形成される。ベース91の一方の短辺には、外部コネクター93が設けられている。外部コネクター93は、筐体9の内部機器と外部との間の電気的な接続を行うレセプタクルである。また、センサーユニット100の駆動電力は、外部コネクター93を介して外部から供給される。
ベース91及び蓋体92は、アルミニウム(Al)により構成され得る。その他、ベース91及び蓋体92のそれぞれの材料として、例えば、Al合金、亜鉛(Zn)、ステンレス等の金属材料、各種セラミックス、各種樹脂材料、及びこれらの複合材料が採用可能である。筐体9は、収容空間S1に収容される内部機器を塵、湿気、紫外線、衝撃等から保護する。
【0012】
図2に示すように、ベース91の収納部91bには、IF基板6、基板10などが収納されている。収納部91bは、平面的に略長方形をなしている。なお、図2は、蓋体92を透過した平面図である。
IF基板6は、収納部91bにおける一方の短辺側の壁と平行に収納されている。換言すれば、IF基板6は、収納部91bに垂直にセットされる。IF基板6には、外部コネクター93が実装されており、外部と基板10との間の通信インターフェイス機能を担う。IF基板6には、外部コネクター93に加えて、コネクター71や、複数の電子部品が実装されている。IF基板6は、好適例では、ガラスエポキシ基板を用いる。なお、これに限定するものではなく、リジット基板であれば良く、例えば、コンポジット基板であっても良い。
【0013】
基板10は、IF基板6の隣に、収納部91bに平行に収納される。基板10は、好適例では、ガラスエポキシ基板を用いる。なお、これに限定するものではなく、リジット基板であれば良く、例えば、コンポジット基板であっても良い。基板10は、平面的に略長方形をなしており、その長辺が、収納部91bの長辺に沿って収納される。
基板10には、センサーモジュール2a、センサーモジュール2b、センサーモジュール2c、センサーモジュール2d、コネクター72、制御IC85などが実装されている。センサーモジュール2a、センサーモジュール2b、センサーモジュール2c、及び、センサーモジュール2dは、同じ構成の慣性計測モジュールである。以下において、4つのセンサーモジュールに共通の内容については、これらを括ってセンサーモジュール2ともいう。
【0014】
4つのセンサーモジュール2は、基板10の第1面10aにマトリックス状に配置されている。センサーモジュール2は、平面的に略正方形をなしている。
基板10におけるXプラス側の長辺に沿って、外部コネクター93側から、センサーモジュール2a、センサーモジュール2dが並んで配置されている。そして、基板10におけるXマイナス側の長辺に沿って、外部コネクター93側から、センサーモジュール2b、センサーモジュール2cが並んで配置されている。
4つのセンサーモジュール2は、基板10の略中心の中心点65を中心にして配置されている。中心点65は、4つのセンサーモジュール2の配置の中心点であり、仮想加速度原点でもある。
【0015】
基板10の第1面10aには、コネクター72も実装されている。コネクター72は、IF基板6のコネクター71と対となるコネクターであり、基板10のYマイナス側の短辺に沿って配置されている。そして、コネクター71とコネクター72との間は、フラットケーブル73により接続される。フラットケーブル73は、複数本の電気配線を帯状に束ねたものであり、IF基板6と基板10との間を電気的に接続する。外部コネクター93を介して外部から供給される駆動電力は、フラットケーブル73及びコネクター72を経由して基板10に供給され、4つのセンサーモジュール2に供給される。
【0016】
基板10の第2面10bには、制御IC85が実装されている。なお、第2面10bには、他にも複数の電子部品が実装されているが、図示を省略している。
制御IC85は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部等を内蔵し、センサーユニット100の各部を統括制御する。また、制御IC85は、各センサーモジュール2から出力される複数の検出データを合成して、センサーユニット100としての検出データを生成する。なお、制御IC85の詳細は、後述する。
【0017】
***センサーモジュールの構成***
図3は、センサーモジュールの分解斜視図である。
図3に示すように、センサーモジュール2は、アウターケース1、接合部材11、センサー基板15、インナーケース20などから構成される。
【0018】
アウターケース1は、外形が略直方体をなした箱状の筐体である。好適例では、材質としてアルミニウムを採用している。なお、アルミニウムに限定するものではなく、他の金属や、セラミックを用いても良い。アウターケース1の外側の対角部分には、2つの切欠き穴8が形成されている。切欠き穴8に不図示のネジを挿入することで、センサーモジュール2を被装着体に固定することができる。なお、切欠き穴8に限定するものではなく、例えば、丸穴(貫通孔)を形成してネジ止めする構成としても良い。
【0019】
アウターケース1には、センサー基板15がセットされた状態のインナーケース20を収納するための収納部5が設けられている。
収納部5は、底部3aを底面とした第1凹部3と、第1凹部3を囲う受け部4aを有する第2凹部4とから構成される。第1凹部3には、センサー基板15が収納される。受け部4aは、底部3aから階段状に立ち上がったリング状のインナーケース20の受け部であり、第2凹部4には、接合部材11を介してインナーケース20が収納される。
接合部材11は、アウターケース1とインナーケース20との間に配置される樹脂製の緩衝部材である。接合部材11は、受け部4aと同様なリング状の部材であり、受け部4aの上にセットされる。
【0020】
インナーケース20は、センサー基板15を支持する部材であり、アウターケース1の第2凹部4に収納され得る形状に構成されている。インナーケース20は、アウターケース1と同じ材質で構成され、好適例ではアルミニウム製としている。インナーケース20には、センサー基板15のモジュールコネクター25を外部に露出させるための開口部21と、センサー基板15に実装された電子部品を収納するための第3凹部23とが設けられている。
そして、アウターケース1の収納部5に、センサー基板15を含むインナーケース20が収納され一体化された状態で、アウターケース1とインナーケース20とが、2本の固定ネジ7により固定される。2本の固定ネジ7は、センサーモジュール2の固定用の2ヶ所の切欠き穴8とは、異なる対角位置に設けられている。
【0021】
***センサー基板の構成***
図4は、センサー基板の第1面、第2面の平面図である。図4では、仮想線61の左側にセンサー基板15の第1面15aを示し、仮想線61の右側に第2面15bを示している。
【0022】
センサー基板15は、好適例では、多層のガラスエポキシ基板を用いている。センサー基板15の外形は、平面視において角部を面取りした変形の正方形状をなしている。
また、センサー基板15においてモジュールコネクター25が実装される面を第1面15a、第1面15aとは反対側の面を第2面15bという。また、センサー基板15では、側面にも電子部品を実装可能に設けられている。
なお、センサーユニット100の検出軸と、センサーモジュール2の検出軸とを区別するために、それぞれが直交するa軸、b軸、c軸の座標軸を用いて説明する。
【0023】
センサー基板15を正方形状と見做した際に、センサー基板15の中心Oの周りに定義される4つの象限を第1象限Q1、第2象限Q2、第3象限Q3及び第4象限Q4とする。
まず、センサー基板15の第1面15aにおける第1象限Q1には、角速度センサー26bが配置されている。詳しくは、角速度センサー26bは、センサー基板15におけるb(+)方向の一辺の側面に実装されている。角速度センサー26bは、b軸回りの角速度ωbを検出するジャイロセンサーである。好適例として、水晶を振動子として用い、振動する物体に加わるコリオリの力から角速度を検出する振動ジャイロセンサーを用いる。なお、振動ジャイロセンサーに限定するものではなく、角速度を検出可能なセンサーで有れば良い。例えば、振動子としてセラミックや、シリコンを用いたセンサーを用いても良い。
【0024】
第1面15aの第2象限Q2、第3象限Q3には、センサー基板15の一辺に沿って、モジュールコネクター25が延在配置されている。モジュールコネクター25は、プラグ型のコネクターであり、b(+)方向に沿って等ピッチで配置された2列の接続端子を備えている。なお、接続端子の周囲を囲う壁を備えたシュラウド型のコネクターを用いても良い。
第1面15aの第4象限Q4には、角速度センサー26aが配置されている。詳しくは、角速度センサー26aは、センサー基板15におけるa(+)方向の一辺の側面に実装されている。角速度センサー26aは、角速度センサー26bと同じ構成の角速度センサーであり、a軸回りの角速度ωaを検出する。
【0025】
第1面15aの第4象限Q4には、モジュール制御IC28が実装されている。モジュール制御IC28は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部等を内蔵し、センサーモジュール2の各部を統括制御する。記憶部には、加速度、角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、センサー基板15の第1面15aには、他にも複数の電子部品が実装されているが、図示を省略している。
【0026】
センサー基板15の第2面15bにおける第1象限Q1には、慣性センサーチップ27が実装されている。なお、慣性センサーチップ27の詳細は、後述する。
第2面15bの第4象限Q4には、角速度センサー26cが実装されている。角速度センサー26cは、角速度センサー26bと同じ構成の角速度センサーであり、c軸回りの角速度ωcを検出する。なお、第2面15bには、他にも複数の電子部品が実装されているが、図示を省略している。
【0027】
図5は、センサーモジュールの斜視図である。
図5は、センサー基板15を組み込んだ状態のセンサーモジュール2をインナーケース20側から観察した斜視図である。
センサーモジュール2を、センサーユニット100の基板10に配置する際には、インナーケース20側を基板10に向けて載置する。この際、モジュールコネクター25と、基板10側の対となる基板コネクター35(図9)とが勘合するように、センサーモジュール2をセットする。
【0028】
***慣性センサーチップの概要***
図6は、慣性センサーチップの概略構成を示す平面図である。
図6に示す本実施形態の慣性センサーチップ27は、3軸の加速度センサーを備えた加速度センサーデバイスである。好適例では、慣性センサーチップ27は、a軸方向の加速度を検出する加速度センサー51aと、b軸方向の加速度を検出する加速度センサー51bと、c軸方向の加速度を検出する加速度センサー52とを1チップのIC(Integrated Circuit)パッケージに搭載したデバイスを用いる。
【0029】
3つの加速度センサー51a,51b、加速度センサー52は、MEMS技術を用いて製造された加速度センサー素子であり、基材40と蓋体41との間に形成された収容空間S2内に揺動可能に配置されている。これらの加速度センサーは、可動電極と固定電極との間の容量変化に基づいて、加速度を検出する。
基材40は、シリコン基板である。基材40は、アルカリ金属イオンを含むガラス材料、例えば、パイレックス(登録商標)ガラスを主材料として形成された基板であっても良い。シリコン半導体プロセスに準拠した工程により、基材40上にポリシリコンなどの材料によりセンサー構造体が形成される。本実施形態におけるセンサー構造体は、加速度センサー51a,51b、及び、加速度センサー52である。なお、基材40には、基材40を掘下げたキャビティ40aが設けられており、各センサーは、キャビティ40aに設けられた凸部である固定部により支持される。
【0030】
蓋体41には、額縁状の側壁からなる周縁部から掘下げられた凹部が設けられており、基材40と接合することにより、収容空間S2が形成される。蓋体41は、基材40と同様にシリコン基板で形成される。これにより、蓋体41と基材40とを陽極接合によって強固に接合することができる。両者の接合にはガラスフリット等が使用され、センサー構造体は最終的に外気に対して気密封止された構造となる。収容空間S2は、好適例では、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入され、使用温度が-40℃~125℃程度で、ほぼ大気圧に設定されている。収容空間S2を大気圧とすることにより、粘性抵抗が増してダンピング効果が発揮され、加速度センサー51a,51b、加速度センサー52の振動を速やかに収束させることができる。そのため、加速度センサーの検出精度が向上する。
【0031】
図6に示すように、加速度センサー52は、収容空間S2の右側の領域において、aプラス方向に延在して配置されている。加速度センサー51a,51bは、収容空間S2の左側の領域において、aプラス方向に並んで配置されている。
【0032】
図7は、a軸方向の加速度センサーの平面図である。
図7に示すように、加速度センサー51aは、キャビティ40aの底面から突出するマウント42に固定される固定部50と、固定部50に対してa軸方向に変位可能な可動体57と、固定部50と可動体57とを連結するバネ53、54と、可動体57が備える第1可動電極55および第2可動電極56と、キャビティ40aの底面から突出するマウント43に固定され、第1可動電極55と対向する第1固定電極58と、キャビティ40aの底面から突出するマウント44に固定され、第2可動電極56と対向する第2固定電極59とを有する。
【0033】
また、第1、第2可動電極55、56が固定部50において配線E51と電気的に接続され、第1固定電極58が配線E52と電気的に接続され、第2固定電極59が配線E53と電気的に接続されている。そして、第1、第2可動電極55、56に駆動電圧が印加される。一方、第1、第2固定電極58、59は、固定電圧AGND(アナロググランド)が印加され、不図示の電極パッドを介してチャージアンプに接続される。
これにより、第1可動電極55および第1固定電極58の間に静電容量Ca1が形成され、第2可動電極56および第2固定電極59の間に静電容量Ca2が形成される。
【0034】
静電容量Ca1、Ca2が形成されている状態で、加速度センサー51aに矢印で示すように加速度Aaが加わると、可動体57がa軸方向に変位し、それに伴って静電容量Ca1、Ca2が互いに逆相で変化する。
また、静電容量Ca1、Ca2の変化に基づいて、第1可動電極55と第1固定電極58との間、第2可動電極56と第2固定電極59との間に誘起される電荷量も変化する。第1可動電極55と第1固定電極58との間、第2可動電極56と第2固定電極59との間に誘起される電荷量の違いが発生するとチャージアンプの電圧値として出力される。これにより、チャージアンプから出力される電圧値に基づいて加速度センサー51aが受けた加速度Aaを求めることができる。
なお、加速度センサー51bも、加速度センサー51aと同じ構成であり、配置方向がマイナス90°回転している。詳しくは、固定部50の延在方向が、b軸方向となっている。これにより、b軸方向の加速度を検出することができる。
【0035】
図8は、c軸方向の加速度センサーの平面図である。
図8に示すように、加速度センサー52は、キャビティ40aの底面から突出するマウント45に固定されている固定部70と、固定部70と梁78を介して接続され、固定部70に対してb軸に沿う揺動軸Jまわりに揺動可能な可動体77とを有する。また、可動体77は、揺動軸Jの一方側に位置する第1可動部66と、他方側に位置する第2可動部67とを有する。第1可動部66と第2可動部67とは、揺動軸Jまわりの回転モーメントが互いに異なっている。
また、キャビティ40aの底面には、第1可動部66と対向する第1固定電極74と、第2可動部67と対向する第2固定電極75とが配置されている。
【0036】
そして、可動体77が固定部70において配線E71と電気的に接続され、第1固定電極74が配線E72と電気的に接続され、第2固定電極75が配線E73と電気的に接続されている。
可動体77には、不図示の電極パッドを介して駆動電圧が印加される。一方、第1、第2固定電極74、75は、固定電圧AGND(アナロググランド)が印加され、不図示の電極パッドを介してチャージアンプに接続される。これにより、第1可動部66および第1固定電極74の間に静電容量Cc1が形成され、第2可動部67および第2固定電極75の間に静電容量Cc2が形成される。
【0037】
静電容量Cc1、Cc2が形成されている状態で、加速度センサー52に加速度Acが加わると、可動体77が揺動軸Jまわりに変位し、それに伴って静電容量Cc1、Cc2が互いに逆相で変化する。
静電容量Cc1、Cc2の変化に伴い、第1可動部66と第1固定電極74との間、第2可動部67と第2固定電極75との間に誘起される電荷量も変化する。
第1可動部66と第1固定電極74との間、第2可動部67と第2固定電極75との間に誘起される電荷量の違いが発生するとチャージアンプの電圧値として出力される。そして、チャージアンプから出力される電圧値に基づき、加速度センサー52が受けた加速度Acを求めることができる。
【0038】
なお、上記では、慣性センサーチップ27は、3軸の加速度センサーを備えるものとして説明したが、これに限定するものではなく、3軸の加速度センサーに加えて、3軸の角速度センサーを備えていても良い。この場合、3軸の角速度センサーは、MEMS技術を用いて構成することが好ましい。
また、慣性センサーチップ27を6軸モーションセンサーとして構成する際は、少なくとも加速度3軸、角速度3軸の検出ができれば良く、例えば、センサー素子が3素子であっても良い。この場合、例えば、2つの加速度センサー素子と、1つの角速度センサー素子とによる3つのセンサー素子構成とする。この3素子は、検出軸の共通化などの複合化設計により、加速度3軸、角速度3軸の検出が可能なセンサー素子となっている。
【0039】
***基板の配線態様***
図9は、基板の平面図である。なお、図9では、アウターケース1を破線で示している。
前述したように、4つのセンサーモジュール2は、基板10の第1面10aにマトリックス状に配置されている。
以降、基板10の中心点65の周りに定義される4つの象限を第1象限Q11、第2象限Q12、第3象限Q13及び第4象限Q14として説明する。なお、各象限は、センサーモジュール2を実装する実装部に相当する。
【0040】
中心点65を基準として、Xプラス方向でYプラス方向の第1象限Q11には、センサーモジュール2aが配置される。
中心点65を基準として、Xマイナス方向でYプラス方向の第2象限Q12には、センサーモジュール2bが配置される。
中心点65を基準として、Xマイナス方向でYマイナス方向の第3象限Q13には、センサーモジュール2cが配置される。
中心点65を基準として、Xプラス方向でYマイナス方向の第4象限Q14には、センサーモジュール2dが配置される。換言すれば、複数の実装部としての第1象限Q11~第4象限Q14には、それぞれセンサーモジュール2a~2dが実装される。
【0041】
また、中心点65を基準として、センサーモジュール2aを反時計回りに90°回転した状態が、センサーモジュール2bの配置位置となる。同様に、中心点65を基準として、センサーモジュール2aを反時計回りに180°回転した状態が、センサーモジュール2cの配置位置となり、反時計回りに270°回転した状態が、センサーモジュール2dの配置位置となる。つまり、センサーモジュール2cは、中心点65を対称中心として、センサーモジュール2aと点対称となっている。センサーモジュール2dは、中心点65を対称中心として、センサーモジュール2bと点対称となっている。
【0042】
4つのセンサーモジュール2には、中心点65の周囲に設けられた供給部81からそれぞれ電源が供給されている。供給部81は、中心点65を中心とした略正方形のエリアである。供給部81は、基板10に形成された複数本の配線パターンから構成されるが、図9では、電源ラインの配線経路を示している。電源ラインは、VDD、GNDを含む電源電位を供給する配線パターンである。
供給部81には、基板10のコネクター72から経路80に沿って設けられた電源ラインを通って、外部からの電源が供給される。なお、実際は、センサー基板15のモジュールコネクター25に接続される他の配線も、経路80に沿って設けられているが、図示を省略している。後述の経路82a~82dにおいても同様である。なお、経路80、供給部81において、GNDラインは幅広のベタパターンで形成されていても良く、ビアホールで裏面にも導通を取りベタパターンで裏打ちされていても良い。そして、VDDラインを含む電源供給ラインも他の配線よりも幅広なパターンとすることが好ましい。これらにより、電源ラインのインピーダンスを低くすることができる。
【0043】
センサーモジュール2aには、供給部81から経路82aを通って電源が供給される。経路82aは、供給部81からYプラス方向に延在した後、Xプラス方向に折れ曲がり、基板コネクター35aに接続する。基板コネクター35aは、センサー基板15のモジュールコネクター25と対となるソケット型のコネクターであり、基板10の第1面10aに表面実装されている。なお、経路82aにおいても、経路80と同様に、GNDラインを幅広のベタパターンで形成しても良く、他の電源供給ラインも幅広パターンとしても良い。経路82b~82dにおいても同様である。
センサーモジュール2aは、インナーケース20(図5)を基板10側に向けた状態で、基板コネクター35aにモジュールコネクター25を挿入して、第1象限Q11にセットされる。なお、図9では、構成を解り易くするために、モジュールコネクター25を実線(透過図)で示しているが、実際は、回路基板15の裏面(第1面15a)側に実装されている。他のセンサーモジュールでも同様である。
【0044】
基板コネクター35aにおいて、電源ラインは、供給部81に近い電源供給部36aに集中して設けられている。電源供給部36aは、Yプラス方向に延在する基板コネクター35のYマイナス側の部分であり、基板コネクター35の長さの1/3位の部分である。図9に示すように、電源供給部36aは、センサー基板15の第3象限Q3に位置している。つまり、電源供給部36aは、センサー基板15において、供給部81に一番近い象限に配置されている。
【0045】
センサーモジュール2bには、供給部81から経路82bを通って電源が供給される。経路82bは、中心点65を基準として、経路82aを反時計回りに90°回転させた経路であり、供給部81と基板コネクター35bとを電気的に接続する。
基板コネクター35bは、センサー基板15のモジュールコネクター25と対となるソケット型のコネクターであり、基板10の第1面10aに表面実装されている。
センサーモジュール2bは、インナーケース20(図5)を基板10側に向けた状態で、基板コネクター35bにモジュールコネクター25を挿入して、第2象限Q12にセットされる。
基板コネクター35bにも、電源供給部36aと同様に、電源ラインを集中させた電源供給部36bが設けられている。図9に示すように、電源供給部36bは、センサー基板15の第3象限Q3に位置している。つまり、電源供給部36aは、センサー基板15において、供給部81に一番近い象限に配置されている。
【0046】
センサーモジュール2cには、供給部81から経路82cを通って電源が供給される。経路82cは、中心点65を基準として、経路82aを反時計回りに180°回転させた経路であり、供給部81と基板コネクター35cとを電気的に接続する。
基板コネクター35cは、センサー基板15のモジュールコネクター25と対となるソケット型のコネクターであり、基板10の第1面10aに表面実装されている。
センサーモジュール2cは、インナーケース20(図5)を基板10側に向けた状態で、基板コネクター35cにモジュールコネクター25を挿入して、第3象限Q13にセットされる。
基板コネクター35cにも、電源供給部36aと同様に、電源ラインを集中させた電源供給部36cが設けられている。図9に示すように、電源供給部36cは、センサー基板15の第3象限Q3に位置している。つまり、電源供給部36cは、センサー基板15において、供給部81に一番近い象限に配置されている。
【0047】
センサーモジュール2dには、供給部81から経路82dを通って電源が供給される。経路82dは、中心点65を基準として、経路82aを反時計回りに270°回転させた経路であり、供給部81と基板コネクター35dとを電気的に接続する。
基板コネクター35dは、センサー基板15のモジュールコネクター25と対となるソケット型のコネクターであり、基板10の第1面10aに表面実装されている。
センサーモジュール2dは、インナーケース20(図5)を基板10側に向けた状態で、基板コネクター35dにモジュールコネクター25を挿入して、第4象限Q14にセットされる。
基板コネクター35dにも、電源供給部36aと同様に、電源ラインを集中させた電源供給部36dが設けられている。図9に示すように、電源供給部36dは、センサー基板15の第3象限Q3に位置している。つまり、電源供給部36dは、センサー基板15において、供給部81に一番近い象限に配置されている。
【0048】
このように、供給部81から各センサーモジュール2への電源供給は、同じ長さで、最短となる経路82a,82b,82c,82dで供給される。これにより、各経路における電源インピーダンスは等インピーダンスとなりバランスが取れるため、干渉やノイズを低減することができる。
換言すれば、センサーユニット100は、複数のセンサーモジュール2と、センサーモジュール2のそれぞれを実装する複数の実装部としての第1象限Q11、第2象限Q12、第3象限Q13、第4象限Q14と、複数のセンサーモジュール2に電源を供給する供給部81を有する基板10と、を有し、供給部81は、複数の実装部の中央に配置される。また、供給部81の中央としての中心点65に対して、複数のセンサーモジュール2は、点対称に配置される。そして、複数のセンサーモジュール2それぞれにおける電源供給部36a~36dは、供給部81に近接して配置される。
【0049】
上記のように、複数のセンサーモジュール2は、中心点65を対称中心として、点対称に配置されている。
これにより、各センサーモジュール2の慣性センサーチップ27は、中心点65から等距離に配置される。詳しくは、図9に示すように、各センサーモジュール2の慣性センサーチップ27は、中心点65を中心とした半径r1の仮想円48の円周上に配置されている。換言すれば、複数の加速度センサーデバイスとしての慣性センサーチップ27は、供給部81の中央である中心点65から等距離に配置される。
前述したように、中心点65は、4つのセンサーモジュール2の配置の中心点であるとともに、仮想加速度原点でもある。上記のように、各センサーモジュール2の慣性センサーチップ27を仮想加速度原点である中心点65を中心とした仮想円48上に配置することにより、簡単に遠心力成分等の不要な信号影響を低減することができる。詳しくは、角速度センサーにより遠心力成分の有無を検出し、当該遠心力成分を加速度センサーの検出値から除去することができる。
【0050】
また、図9に示すように、各センサーモジュール2の角速度センサー26aも、中心点65を中心とした半径r1の仮想円48の円周上に配置されている。
また、各センサーモジュール2の角速度センサー26bも、仮想円48の同心円(図示せず)上に配置されている。角速度センサー26cも、同様である。
換言すれば、複数のセンサーモジュール2は、それぞれがX軸角速度センサーとしての角速度センサー26a、Y軸角速度センサーとしての角速度センサー26b、Z軸加速度センサーとしての角速度センサー26cを備え、各軸の角速度センサー26a,26b,26cは、供給部81の中央である中心点65から等距離に配置される。
【0051】
図10は、制御ICの機能ブロック図である。
基板10の第2面10bに実装されている制御IC85(図2)は、各センサーモジュール2から出力される複数の検出データを合成して、センサーユニット100の検出データとして生成する合成処理部86として機能する。詳しくは、合成処理部86は、センサーモジュール2a,2b,2c,2dから出力される4つの検出データの平均値を演算し、当該平均値をセンサーユニット100の検出データとする。なお、検出データは、例えば、加速度データである。なお、慣性データであれば良く、例えば、角速度データであっても良い。また、合成処理部86は、演算した加速度及び角速度を用いて、他の慣性データを演算しても良い。他の慣性データは、例えば、物体の姿勢や向き、振動、動き、振動、衝撃などの大きさである。
これによれば、向きが異なる検出軸を有する複数のセンサーモジュール2a,2b,2c,2dの検出データを平均化することにより、ノイズを小さくすることが可能となり、安定した出力を得ることができる。換言すれば、検出精度を高めることができる。
【0052】
以上、述べた通り、本実施形態のセンサーユニット100によれば、以下の効果を得ることができる。
センサーユニット100は、複数のセンサーモジュール2と、センサーモジュール2のそれぞれを実装する複数の実装部としての第1象限Q11、第2象限Q12、第3象限Q13、第4象限Q14と、複数のセンサーモジュール2に電源を供給する供給部81を有する基板10と、を有し、供給部81は、複数の実装部の中央に配置される。
【0053】
これによれば、供給部81から各センサーモジュール2への電源供給は、同じ長さで、最短となる経路82a,82b,82c,82dで供給される。これにより、各経路における電源インピーダンスは等インピーダンスとなりバランスが取れるため、干渉やノイズを低減することができる。
従って、ノイズを低減し、検出精度が良いセンサーユニット100を提供することができる。
【0054】
また、供給部81の中央としての中心点65に対して、複数のセンサーモジュール2は、点対称に配置される。
これによれば、各センサーモジュール2に電源を供給する経路82a,82b,82c,82dを、最短かつ、同じ長さで形成することができる。さらに、各センサーモジュール2の慣性センサーチップ27、角速度センサー26a,26b,26cも、中心点65を対称中心として点対称に配置することができる。
【0055】
また、複数のセンサーモジュール2それぞれにおける電源供給部36a~36dは、供給部81に近接して配置される。
これによれば、経路82a,82b,82c,82dを短くできるため、電源インピーダンスを小さくすることができる。
【0056】
また、複数のセンサーモジュール2は、それぞれが加速度センサーデバイスとしての慣性センサーチップ27を備え、複数の慣性センサーチップ27は、供給部81の中央である中心点65から等距離に配置される。
これによれば、各センサーモジュール2の慣性センサーチップ27を仮想加速度原点である中心点65を中心とした仮想円48上に配置することにより、簡単に遠心力成分等の不要な信号影響を低減することができる。
従って、ノイズを低減し、検出精度が良いセンサーユニット100を提供することができる。
【0057】
また、複数のセンサーモジュール2は、それぞれがX軸角速度センサーとしての角速度センサー26a、Y軸角速度センサーとしての角速度センサー26b、Z軸加速度センサーとしての角速度センサー26cを備え、各軸の角速度センサー26a,26b,26cは、供給部81の中央である中心点65から等距離に配置される。
これによれば、角速度センサーにより遠心力成分の有無を検出し、当該遠心力成分を加速度センサーの検出値から除去することができる。
従って、ノイズを低減し、検出精度が良いセンサーユニット100を提供することができる。
【0058】
実施形態2
***異なる配置態様-1***
図11は、実施形態2に係る基板の斜視図である。図12は、基板の第1面、第2面の平面図であり、図9に対応している。図12では、仮想線62の左側に基板10の第1面10aを示し、仮想線62の右側に第2面10bを示している。
上記実施形態では、基板10の第1面10aに、4つのセンサーモジュール2を配置するものとして説明したが、この構成に限定するものではなく、第2面10bにも4つのセンサーモジュール2を配置しても良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
図11に示すように、本実施形態のセンサーユニット110では、基板10の第1面10aに配置された4つのセンサーモジュール2に加えて、第2面10bにも4つのセンサーモジュール2を備えている。詳しくは、センサーモジュール2aの背面にはセンサーモジュール2eが配置され、センサーモジュール2bの背面にはセンサーモジュール2fが配置されている。そして、センサーモジュール2cの背面にはセンサーモジュール2gが配置され、センサーモジュール2dの背面にはセンサーモジュール2hが配置されている。
【0060】
図12に示すように、基板10の第1面10aにおいて、4つのセンサーモジュール2の中心の中心点65の周囲には、実施形態1と同様に、供給部81aが設けられている。なお、基板10の第2面10bにも供給部があるため、第1面10a側を供給部81a、第2面10b側を供給部81bとしている。また、供給部81aから各センサーモジュール2に接続する4つの経路82(図9)も、実施形態1と同様に設けられているが、図示を省略している。基板10の第2面10bも、第1面10a側の構成と同じである。
【0061】
第2面10bのセンサーモジュール2e,2f,2g,2hは、仮想線62を対称線として、第1面10aのセンサーモジュール2a,2b,2c,2dと線対称の配置となっている。
【0062】
以上、述べた通り、本実施形態のセンサーユニット110によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
センサーユニット110は、基板10の第1面10aに配置された4つのセンサーモジュール2に加えて、第2面10bにも4つのセンサーモジュール2を備えている。
【0063】
これによれば、第1面10aの4つのセンサーモジュール2、および、第2面10bの4つのセンサーモジュール2における出力を平均化処理することにより、より検出精度を高めることができる。
従って、ノイズを低減し、より検出精度が良いセンサーユニット110を提供することができる。
【0064】
実施形態3
***異なる配置態様-2***
図13は、実施形態3に係る基板の平面図であり、図9図12に対応している。
上記実施形態では、基板10の第1面10aに、4つのセンサーモジュール2を配置するものとして説明したが、この構成に限定するものではなく、2つのセンサーモジュール2を配置することであっても良い。上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
図13に示すように、本実施形態のセンサーユニット120では、基板10の第1面10aには、2つのセンサーモジュール2が配置されている。詳しくは、センサーユニット120では、図9におけるセンサーモジュール2b,2cが設けられず、センサーモジュール2a,2dのみの構成となっている。このため、基板10のサイズは小さくなっている。
この構成であっても、供給部81から同じ長さで、最短となる経路82(図9)により、各センサーモジュール2に電源が供給される。
【0066】
図14は、変形例の基板の第1面、第2面の平面図であり、図12に対応している。
また、本実施形態の構成においても、第1面10aの2つのセンサーモジュール2に加えて、第2面10bにも2つのセンサーモジュール2を配置しても良い。
変形例のセンサーユニット130では、基板10の第1面10aに配置された2つのセンサーモジュール2に加えて、第2面10bにも2つのセンサーモジュール2を備えている。詳しくは、センサーモジュール2aの背面にはセンサーモジュール2eが配置され、センサーモジュール2dの背面にはセンサーモジュール2hが配置されている。
【0067】
第2面10bのセンサーモジュール2e,2hは、仮想線62を対称線として、第1面10aのセンサーモジュール2a,2dと線対称の配置となっている。
【0068】
以上、述べた通り、本実施形態のセンサーユニット120、変形例のセンサーユニット130、によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
センサーユニット120は、基板10の第1面10aにセンサーモジュール2a,2dを備えている。そして、センサーモジュール2a,2dには、供給部81から同じ長さで、最短となる経路82(図9)で供給される。
【0069】
これによれば、供給部81から各センサーモジュール2への電源供給は、同じ長さで、最短となる経路82で供給される。これにより、各経路における電源インピーダンスは等インピーダンスとなりバランスが取れるため、干渉やノイズを低減することができる。
従って、ノイズを低減し、検出精度が良いセンサーユニット120を提供することができる。
【0070】
また、センサーユニット130は、基板10の第1面10aに配置された2つのセンサーモジュール2に加えて、第2面10bにも2つのセンサーモジュール2を備えている。
【0071】
これによれば、第1面10aの2つのセンサーモジュール2、および、第2面10bの2つのセンサーモジュール2における出力を平均化処理することにより、検出精度を高めることができる。
従って、ノイズを低減し、検出精度が良いセンサーユニット130を提供することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…アウターケース、2…センサーモジュール、2a~2h…センサーモジュール、3…第1凹部、3a…底部、4…第2凹部、4a…受け部、5…収納部、6…IF基板、7…固定ネジ、8…切欠き穴、9…筐体、10…基板、10a…第1面、10b…第2面、11…接合部材、15…センサー基板、15a…第1面、15b…第2面、20…インナーケース、21…開口部、23…第3凹部、25…モジュールコネクター、26a…角速度センサー、26b…角速度センサー、26c…角速度センサー、27…慣性センサーチップ、28…モジュール制御IC、35a~35d…基板コネクター、36a~36d…電源供給部、40…基材、40a…キャビティ、41…蓋体、42~45…マウント、48…仮想円、50,51…固定部、51a…加速度センサー、51b…加速度センサー、52…加速度センサー、53,54…バネ、55…第1可動電極、56…第2可動電極、57…可動体、58…第1固定電極、59…第2固定電極、61,62…仮想線、65…中心点、66…第1可動部、67…第2可動部、70…固定部、71,72…コネクター、73…フラットケーブル、74…第1固定電極、75…第2固定電極、77…可動体、78…梁、80…経路、81…供給部、81a,81b…供給部、82…経路、82a~82d…経路、85…制御IC、86…合成処理部、91…ベース、91b…収納部、92…蓋体、93…外部コネクター、100~130…センサーユニット、Cc1…静電容量、Ca1…静電容量、Cc2…静電容量、Ca2…静電容量、E51~E53…配線、E71~E73…配線、S1,S2…収容空間、Q1…第1象限、Q2…第2象限、Q3…第3象限、Q4…第4象限、Q11…第1象限、Q12…第2象限、Q13…第3象限、Q14…第4象限。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14