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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057710
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164549
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】310019730
【氏名又は名称】グラコ・チルドレンズ・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 直志
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕司
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE07
3B087CE09
(57)【要約】
【課題】回転位置を固定、および、回転を許容する回転ロック機構の操作性が良好なチャイルドシートを提供すること。
【解決手段】自動車の座席上に取り付けられるベース部材(2)と、ベース部材に回転可能に取り付けられ、座面部と背もたれ部とを有する座席本体(3)と、ベース部材に対する座席本体の回転位置を固定する回転位置固定状態と、ベース部材に対する座席本体の回転を許容する回転許容状態とに切り換え可能な回転ロック機構(5)と、背もたれ部の一方の側部に設けられ、回転ロック機構を回転位置固定状態から回転許容状態に切り換え操作する第1の回転ロック解除操作部(4)と、背もたれ部の他方の側部に設けられ、回転ロック機構を回転位置固定状態から回転許容状態に切り換え操作する第2の回転ロック解除操作部(4)とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の座席上に取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材に回転可能に取り付けられ、座面部と背もたれ部とを有する座席本体と、
前記ベース部材に対する前記座席本体の回転位置を固定する回転位置固定状態と、前記ベース部材に対する前記座席本体の回転を許容する回転許容状態とに切り換え可能な回転ロック機構と、
前記背もたれ部の一方の側部に設けられ、前記回転ロック機構を前記回転位置固定状態から前記回転許容状態に切り換え操作する第1の回転ロック解除操作部と、
前記背もたれ部の他方の側部に設けられ、前記回転ロック機構を前記回転位置固定状態から前記回転許容状態に切り換え操作する第2の回転ロック解除操作部とを備える、チャイルドシート。
【請求項2】
前記第1および第2の回転ロック解除操作部は、それぞれ、前記背もたれ部の両側部に突出して固定されたハウジングと、前記ハウジング内で移動可能に設けられた移動部材とを備え、
前記移動部材は、前記回転位置固定状態に対応する第1の位置と前記回転許容状態に対応する第2の位置との間を変位可能に設けられている、請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記ハウジングは、側方に向かって開口する凹部を含み、
前記移動部材は、前記ハウジングから側方に突出しないように前記凹部内に収容されている、請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記第1の回転ロック解除操作部および前記第2の回転ロック解除操作部は、前記背もたれ部の上方に設けられる、請求項1または2に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記第1および第2の回転ロック解除操作部のうちいずれか一方を操作することで、前記回転ロック機構を前記回転位置固定状態から前記回転許容状態に切り換える、請求項1または2に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記回転ロック機構は、前記ベース部材に設けられたロック穴と、前記座席本体に対して移動可能に設けられたロック部材とを含み、
前記ロック部材は、一方の位置にあるときに前記ロック穴に係合して前記回転ロック機構を前記回転位置固定状態にし、他方の位置にあるときに前記ロック穴との係合を解除して前記回転ロック機構を前記回転許容状態にするものである、請求項2または3に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記第1の回転ロック解除操作部は、前記背もたれ部に対して変位可能に設けられ、かつ、前記ロック部材に連動可能に接続された第1リンク部材と、前記第1リンク部材と前記移動部材とを連動可能に接続する第1連結部材とを含み、
前記第2の回転ロック解除操作部は、前記背もたれ部に対して変位可能に設けられ、かつ、前記ロック部材に連動可能に接続された第2リンク部材と、前記第2リンク部材と前記移動部材とを連動可能に接続する第2連結部材とを含む、請求項6に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記各リンク部材は、その中央領域が前記座席本体に回動可能に軸支されており、その一方端部が前記各連結部材に連結され、その他方端部に前記ロック部材の一部を受け入れる開口を有している、請求項7に記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車の座席上に取り付けられるベース部材に対して、子供が着座する座席本体を回転可能にするための回転位置固定機構を設けたチャイルドシートが知られている。このような回転位置固定機構を操作するための操作部を開示する技術として、たとえば、特許文献1(特開2015-217696号公報)および特許文献2(特開2021-172303号公報)などが知られている。
【0003】
特許文献1には、取付台座に対する着座シートの回転を座席シートの下部に設けた操作手段で操作することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ベース部材に対する座席本体の回転位置を固定する回転位置固定機構を操作するための操作部を、座席本体の両側部に一対設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-217696号公報
【特許文献2】特開2021-172303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2に開示されたチャイルドシートは、いずれもチャイルドシートの下方に操作部が設けられているため、座席本体を回転させる場合に使用者が腰を曲げて操作する必要があり、操作性が悪い。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、回転位置固定状態と回転許容状態とに切り換え可能な回転ロック機構の操作性が良好なチャイルドシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明の一態様に係るチャイルドシートは、自動車の座席上に取り付けられるベース部材と、ベース部材に回転可能に取り付けられ、座面部と背もたれ部とを有する座席本体と、ベース部材に対する座席本体の回転位置を固定する回転位置固定状態と、ベース部材に対する座席本体の回転を許容する回転許容状態とに切り換え可能な回転ロック機構と、背もたれ部の一方の側部に設けられ、回転ロック機構を回転位置固定状態から回転許容状態に切り換え操作する第1の回転ロック解除操作部と、背もたれ部の他方の側部に設けられ、回転ロック機構を回転位置固定状態から回転許容状態に切り換え操作する第2の回転ロック解除操作部とを備える。
【0009】
好ましくは、第1および第2の回転ロック解除操作部は、それぞれ、背もたれ部の両側部に突出して固定されたハウジングと、ハウジング内で移動可能に設けられた移動部材とを備え、移動部材は、回転位置固定状態に対応する第1の位置と回転許容状態に対応する第2の位置との間を変位可能に設けられている。
【0010】
好ましくは、ハウジングは、側方に向かって開口する凹部を含み、移動部材は、ハウジングから側方に突出しないように凹部内に収容されている。
【0011】
好ましくは、第1の回転ロック解除操作部および第2の回転ロック解除操作部は、背もたれ部の上方に設けられる。
【0012】
好ましくは、第1および第2の回転ロック解除操作部のうちいずれか一方を操作することで、回転ロック機構を回転位置固定状態から回転許容状態に切り換える。
【0013】
好ましくは、回転ロック機構は、ベース部材に設けられたロック穴と、座席本体に対して移動可能に設けられたロック部材とを含み、ロック部材は、一方の位置にあるときにロック穴に係合して回転ロック機構を回転位置固定状態にし、他方の位置にあるときにロック穴との係合を解除して回転ロック機構を回転許容状態にするものである。
【0014】
好ましくは、第1の回転ロック解除操作部は、背もたれ部に対して変位可能に設けられ、かつ、ロック部材に連動可能に接続された第1リンク部材と、第1リンク部材と移動部材とを連動可能に接続する第1連結部材とを含み、第2の回転ロック解除操作部は、背もたれ部に対して変位可能に設けられ、かつ、ロック部材に連動可能に接続された第2リンク部材と、第2リンク部材と移動部材とを連動可能に接続する第2連結部材とを含む。
【0015】
好ましくは、各リンク部材は、その中央領域が座席本体に回動可能に軸支されており、その一方端部が各連結部材に連結され、その他方端部にロック部材の一部を受け入れる開口を有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転位置固定状態と回転許容状態とに切り換え可能な回転ロック機構の操作性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係るチャイルドシートの斜視図である。
図2】本実施の形態に係るチャイルドシートを示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
図3】本実施の形態に係るチャイルドシートの一部分を示す図であり、(A)は座席本体の側面図であり、(B)はベース部材の側面図であり、(C)はベース部材のレール部を示す平面図であり、(D)は図3(C)のD-D線の模式断面図である。
図4】本実施の形態に係るチャイルドシートの縦断面図である。
図5図4の一部分を拡大して示す縦断面図である。
図6】本実施の形態に係るチャイルドシートの縦断面図であり、(A)は回転ロック機構が回転位置固定状態にあることを示し、(B)は回転ロック機構が回転許容状態にあることを示す。
図7】背もたれ部の内部に配置される構造を取り出して示す斜視図である。
図8図7の一部分の分解斜視図である。
図9】回転ロック機構を取り出して示す模式平面図であり、(A)は回転ロック機構が回転位置固定状態にあることを示し、(B)は回転ロック機構が回転許容状態にあることを示す。
図10】背もたれ部に設けられた回転ロック機構の一部と回転ロック解除操作部を示す正面図である。
図11】回転ロック解除操作部の操作本体部を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は図11(A)のXI-XI線の断面図である。
図12】回転ロック解除操作部の操作本体部を示す図であり、(A)は裏面から見た斜視図であり、(B)は裏面から見た分解斜視図である。
図13】背もたれ部の側部に設けられる操作本体取付部を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は背面図であり、(C)は下方からみた斜視図である。
図14】回転ロック解除操作部を背もたれ部の側部に取り付ける状態を示す図である。
図15】背もたれ部の側部に取り付けた回転ロック解除操作部を子供収容部の内方から見た側面図である。
図16】座席本体のリクライニングを示す模式図であり、(A)は背もたれ部が直立した椅子状態を示す図であり、(B)は背もたれ部が倒れたベッド状態を示す図である。
図17】本実施の形態に係るチャイルドシートの縦断面図であり、(A)はリクライニング角度ロック機構が角度固定状態にあることを示し、(B)はリクライニング角度ロック機構が角度変更許容状態にあることを示す。
図18】本実施の形態に係るチャイルドシートの模式正面図であり、(A)はリクライニング角度ロック機構が角度固定状態にあることを示し、(B)はリクライニング角度ロック機構が角度変更許容状態にあることを示す。
図19】リクライニング角度ロック解除操作部を示す斜視図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
図20】スイッチング部材(連動解除禁止機構)を示す斜視図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方から見た斜視図である。
図21】スイッチング部材(連動解除禁止機構)の動作を示す模式図であり、(A)回転ロック機構が回転位置固定状態にあること示し、(B)回転ロック機構が回転許容状態にあることを示している。
図22】スイッチング部材(連動解除禁止機構)の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
(チャイルドシートの概要について)
図1図4図16図18を参照して、本実施の形態に係るチャイルドシート1の概要について説明する。チャイルドシート1の説明において、前後方向は、チャイルドシート1に着座する子供の前後方向に対応する。幅方向は、チャイルドシート1に着座する子供の左右方向に対応する。また、内側は、チャイルドシート1に着座する子供に向かう側に対応する。外側は、チャイルドシート1に着座する子供とは反対側に対応する。
【0020】
本実施形態に係るチャイルドシート1の基本構造としては、一般的なチャイルドシートの構造と同様であってよく、自動車に用いられ、特に自動車の座席の上に配置され、乳児や幼児などの子供を安全に乗車させるための装置である。チャイルドシート1は、ベース部材2および座席本体3を備える。なお、図3(A)には、座席本体3の側面図が示されており、図3(B)には、ベース部材2の側面図が示されている。
【0021】
(ベース部材について)
ベース部材2は、乗用自動車の座席シート上に載置され、座席本体3を下方から支持する。特に図1に示すように、ベース部材2の前方端には、乗用自動車の床面に向かって伸びるレッグサポートが設けられ、ベース部材2の後方端には、乗用自動車の座席シートのアンカーに連結するISOFIXが設けられている。ベース部材2の上方には、座席本体3が設けられている。
【0022】
特に図3(B)に示すように、ベース部材2は、台座部20と、台座部20の端部から上方に立ち上がる起立部26とを含む。台座部20は、自動車の座席部上に載置される。台座部20の上面の略中央部分には、座席本体3を受け入れるための開口である本体受入部21が設けられる。本体受入部21は、平面視略円形であり、環状の側壁面22で形成されており、その下方部には、ベース部材2の本体受入部21の中央に向かって突出するレール部23が設けられる。レール部23は、座席本体3と回転可能に当接する部分である。
【0023】
図3(C)は、レール部23だけを取り出して示す模式的な平面図である。図3(C)に示すように、レール部23は、平面視ドーナツ形状であり、ロック穴25が90度間隔毎に設けられる。具体的には、前方、後方、右方、および左方にロック穴25が設けられる。ロック穴25は、典型的には上方開口の凹部であるが、貫通孔であってもよい。図3(D)に示すように、ロック穴25は、たとえば断面視略四角形状の穴であり、底部25aと、底部25aとレール部23をつなぐ一対の側部25bとで形成される角度がたとえば90度程度である。ロック穴25には、後述する座席本体3のロックピン58が上方から係合する。
【0024】
図示は省略するが、ベース部材2の起立部26は、自動車の背もたれ部側に位置する。図2(B)に示すように、台座部20の底面(ベース部材2が自動車のシートと接する面)から起立部26の上端までの高さ寸法H1は、たとえば310mm以上であることが好ましい。起立部26には、座席本体3が前向き状態において前倒れすることを防止するために、座席本体3の係合部52と係止する被係合部27が設けられる。被係合部27の高さ寸法H2は、たとえば300mm以上であることが好ましい。被係合部27は、典型的には貫通孔であるが、貫通していない凹部であってもよい。また、被係合部27は、典型的には上下方向に延びているが、たとえば左右方向に延びていてもよいし、開口している方向は限定されない。係合部52につては、後述する。
【0025】
(座席本体について)
座席本体3は、ベース部材2の上側に取り付けられ、ベース部材2に対して回転可能に支持されるとともに、リクライニング可能に支持されている。座席本体3は、子供を収容する子供収容部30と、子供収容部30を保持するとともに、座席本体3の剛性を保持するためのシェル36とを含む。
【0026】
子供収容部30には、子供が着座する。このため、子供収容部30は、子供用座席ともいい、子供の臀部を支持する座面部31と、座面部31の後方から立ち上がり、子供の背部を支持する背部32とを有する。背部32の上方には、子供の頭部を支持するヘッドレスト33が設けられていてもよい。
【0027】
ヘッドレスト33は、中央領域に位置し、子供の頭部の後方を保護するための後頭部保護部33aと、側部領域に位置し、後頭部保護部33aの両端から前方に突出し、子供の頭部の側方を保護するための一対の側頭部保護部33bとを含む。図1では、座席本体3上において、柔らかい布製部材、たとえばクッション材などの被覆部材装着されている状態が示されている。
【0028】
背部32には、子供の両肩を拘束する1対の肩ベルト10が設けられる。また、座面部31には、座席本体3を左右方向に横断するように延びて子供の腰を拘束する腰ベルト11と、座席本体3に着座した子供の両太腿の間を延びる股ベルト12とが設けられる。これらのベルト10,11,12の他端同士は、股ベルト12の先端に設けられるバックル13により、子供の腹部付近で着脱可能に連結される。
【0029】
シェル36は、たとえばプラスチックなどの剛性素材で形成されており、子供収容部30を外方から包み込む。具体的には、シェル36は、子供収容部30の背部32の外方(後方)に位置する立壁部37と、立壁部37の両端側から前方に突出し、ヘッドレスト33の一対の側頭部保護部33bの外方に位置する第1側壁部38と、第1側壁部38の下方に位置し、座面部31の両端に位置する第2側壁部39とを含む。立壁部37、一対の第1側壁部38、および一対の第2側壁部39により、子供収容部30の後方および両側部は囲まれている。なお、本実施の形態の「背もたれ部」には、子供収容部30の背部32、ヘッドレスト33、立壁部37、第1側壁部38、および第2側壁部39が含まれる。
【0030】
図2(B)に示すように、立壁部37の上方位置には、後述するリクライニング角度ロック機構6を切り換え操作するリクライニング角度ロック解除操作部61が設けられる。具体的には、立壁部37の幅方向中央部かつ上方位置に開口が設けられ、その開口からリクライニング角度ロック解除操作部61の取っ手61aが突出している。リクライニング角度ロック解除操作部61は、ベース部材2の起立部26の上端よりも上方に位置する。リクライニング角度ロック解除操作部61ついては、後述する。
【0031】
図2(A)に示すように、一対の第1側壁部38には、回転ロック機構5を切り換え操作する回転ロック解除操作部4がそれぞれ設けられる。回転ロック機構5および回転ロック解除操作部4については、後述する。
【0032】
図18に示すように、第2側壁部39の内方には、受け穴39aが設けられている。受け穴39aには、後述する座席本体3の背部32(背もたれ部)に設けられる棒状の突起部67が左右方向から係合する。
【0033】
このように、座席本体3には、ベース部材2に対する座席本体3の回転を可能とするための回転ロック機構5、および、ベース部材2に対する背部32のリクライニング角度を許容するためのリクライニング角度ロック機構6が設けられるが、詳細は後述する。
【0034】
図3(A)に示すように、座席本体3の底部は、ベース部材2と係合するために、くびれ部81と、くびれ部81よりも下方に設けられ、くびれ部81よりも円周が大きい下方部82とを含む。くびれ部81には、図3(B)に示す、上述したレール部23が位置する。このような構成により、座席本体3がベース部材2に対して回転可能に設けられ、座席本体3がベース部材2から外れることを防止することができる。
【0035】
同図に示すように、座席本体3の底部には、ロックピン58と、ロックピン58を保持し、回転軸59aを介して座席本体3に固定される回転位置固定部材59とが設けられる。ロックピン58は、図3(B)に示す、ベース部材2に設けられたロック穴25に係合する。
【0036】
座席本体3は、ベース部材2の中心を通過する垂直な仮想直線O(図3(A))を中心として回転可能に取り付けられ、前向き状態、後ろ向き状態、および横向き状態に切り換え可能である。前向き状態とは、背部32の背面を起立部26に対面させる状態であり、子供が自動車の前方を向いて座ることをいう。前向き状態は、図1に示す状態である。後ろ向き状態とは、背部32の前面を起立部26に対面させる状態であり、子供が自動車の後方を向いて座ることをいう。後ろ向き状態の図示は省略する。
【0037】
座席本体3は、ベース部材2に対して回転可能であるが、後述する回転ロック機構5によって、回転位置が変化しないように通常は固定される。回転位置を調整する際は、回転ロック解除操作部4によって、回転ロック機構5による固定状態を解除して、操作者が座席本体3を右回転または左回転させることによって行い、所望の回転位置に調整した後、再び回転ロック機構5によって回転位置を固定する。回転のロックは、ベース部材2に設けられるロック穴25(図3(B))と座席本体3に設けられるロックピン58(図3(A))で行われる。
【0038】
座席本体3は、ベース部材2に対して背部32の角度を変更可能に設けられ、背部32を立たせた椅子状態(図16(A))および背部32を倒したベッド状態(図16(B))に切り換え可能であるが、後述するリクライニング角度ロック機構6によって、リクライニング角度が変化しないように通常は固定される。図18に示すように、リクライニング角度を変更する際には、リクライニング角度ロック解除操作部61によって、リクライニング角度ロック機構6による固定状態を解除して、操作者が座席本体3の背もたれ部を上方または下方に移動させることによって行い、所望のリクライニング角度に調整した後、再びリクライニング角度ロック機構6によってリクライニング角度を固定する。リクライニング角度のロックは、座席本体3の第2側壁部39に設けられる受け穴39aと背部32に設けられる突起部67で行われる。
【0039】
このように、本実施の形態のチャイルドシート1の座席本体3は、ベース部材2の上側に取り付けられ、ベース部材2に対して回転可能に支持されるとともに、リクライニング可能に支持されている。つまり、座席本体3をベース部材2に対して回転可能にするために「回転ロック機構5」が設けられ、座席本体3をベース部材2に対してリクライニング可能にするために「リクライニング角度ロック機構6」が設けられる。図4において、回転ロック機構5とリクライニング角度ロック機構6とが前後方向に重なることが図示されている。以下、回転ロック機構5およびリクライニング角度ロック機構6について、詳細に説明する。
【0040】
(回転ロック機構について)
図5図10を参照して、本実施の形態に係る回転ロック機構5について詳細に説明する。回転ロック機構5の動作に注視するため、図6では、リクライニング角度ロック機構6を破線で示している。図7は、回転ロック機構5の一部を取り出して示した斜視図であり、図8はその分解斜視図である。図9は、回転ロック機構5の動作を示す図である。図6(A),9(A)は回転ロック機構5の回転位置固定状態を示し、図6(B),9(B)は回転ロック機構5の回転許容状態を示す。なお、図8の矢印で示す方向はチャイルドシート1の前方であり、矢印の反対を向く方向はチャイルドシート1の後方である。
【0041】
図6および図9に示すように、回転ロック機構5は、ベース部材2に対する座席本体3の回転位置を固定する回転位置固定状態(図6(A),図9(A))と、ベース部材2に対する座席本体3の回転を許容する回転許容状態(図6(B),図9(B))とに切り換え可能であり、その切り換えは、回転ロック解除操作部4により行われる。まず、回転ロック機構5の構成について詳細に説明する。
【0042】
図6(A)および図6(B)に示すように、回転ロック機構5は、概略として、ベース部材2に設けられ、上述したロックピン58が係合するロック穴25と、座席本体3に上下動可能に設けられた上下動部材50とを含む。ロック穴25については、ベース部材2の欄で説明した通りである。
【0043】
上下動部材50は、回転ロック解除操作部4の操作により上方に移動する。具体的には、上下動部材50は、下方位置(一方の位置)にあるときにロックピン58がロック穴25に係合して回転ロック機構5を回転位置固定状態にし(図6(A))、上方位置(他方の位置)にあるときにロックピン58とロック穴25との係合を解除して回転ロック機構5を回転許容状態にする(図6(B))ものである。このように、上下動部材50は、回転位置固定状態と回転許容状態との間を変位可能であるため、「回転ロック変位部材」ともいう。
【0044】
図7および図8に示すように、上下動部材50は、上下に延びる棒状部51(図7)と、棒状部51の下端に繋がる第1連接部54(図7)と、第1連接部54に対して軸部56aを支点に上下に回転可能な第2連接部55(図7)と、係合部52(図8)と、動作連動部材53(図8)とを含む。図6に示すように、上下動部材50は、付勢部材83によって下方に付勢されている。付勢部材83は、上下動部材50の下方位置に設けられ、典型的には圧縮ばねである。これにより、回転ロック機構5は、常に回転位置固定状態(図6(A))に付勢されている。
【0045】
図7に示すように、上下動部材50の第2連接部55の先端部には、内方に突出する一対の内方突起57が設けられる。この内方突起57により、図6に示すように、座席本体3の下端に設けられる回転位置固定部材59を上方に持ち上げて、ロックピン58をベース部材2のロック穴25から引き抜くことができる。
【0046】
図8に示すように、棒状部51の上端部は、係合部52とともに動作連動部材53に連結され、表カバー37aおよび裏カバー37c内に収納される。同様に、表カバー37aおよび裏カバー37c内には、一対のリンク部材48およびスイッチング部材7が収納される。スイッチング部材7については、後述する。
【0047】
表カバー37aには、その裏面(裏カバー37c側)において、裏カバー37c側に突出する凸部37bが設けられる。裏カバー37cには、一対のリンク部材48を支持する一対の凸部37dと、一対の凸部37dの間に設けられ、上下に延びる長孔37eとが設けられる。長孔37eには、ピン形状の動作連動部材53が貫通する。
【0048】
この動作連動部材53は、前後方向に延びており、その後端部が係合部52の上端と連結し、その前端部が後述するリンク部材48の一対の開口48bを貫通する。係合部52は、下方に向かって突出する下方凸部であり、強度確保のためにピン52aが取り付けられている。なお、係合部52は、典型的には上下方向に延びるピンであるが、たとえば端部が屈曲するフックなどであってもよいし、左右方向に延びる部材であってもよい。
【0049】
図6に示すように、係合部52は、上述したベース部材2の起立部26に設けられる被係合部27に係合する。この係合部52と被係合部27とは、前倒れ防止機構8を構成する。前倒れ防止機構8の位置を比較的高い位置に設けることで、前向き状態にある座席本体3が前方に向かって倒れることを効果的に防止することができる。さらに、被係合部27が上下方向に延びる貫通孔であり、係合部52が上下方向に変位可能な凸部であり、貫通孔に凸部が嵌ることで、係合部52の四方が被係合部27で囲まれることになるため、自動車の前突および後突だけでなく側突にも対応することができる。
【0050】
図9に示すように、動作連動部材53が設けられることで、回転ロック機構5の動作と前倒れ防止機構8との動作を連動させることができる。具体的には、回転ロック機構5の上下動部材50を上方に移動させてロックピン58をロック穴25から引き抜く動作と、前倒れ防止機構の係合部52を被係合部27から抜く動作を連動させることができる。
【0051】
図8に示すように、リンク部材48は、その中央領域が裏カバー37cに回動可能に軸支されており、その一方端部が連結部材47に連結され、その他方端部に上下動部材50の一部を受け入れる。具体的には、リンク部材48は、平面視略菱形形状のリンク本体部48aと、リンク本体部48aの下方に設けられる開口48bと、中央部に設けられる穴部48cと、上方に設けられる支持部48dとを含む。
【0052】
リンク本体部48aは、全体として平板状である。開口48bは、後述する動作連動部材53が前後方向に貫通する。穴部48cは、裏カバー37cの凸部37dが貫通し、リンク部材48を裏カバー37cに固定する。これにより、リンク部材48は、その中央領域が裏カバー37cに回動可能に軸支される。支持部48dは、リンク部材48の一方端部、具体的には上方端部に設けられる。支持部48dは、リベット48eが貫通するための穴であり、連結部材47(図9)の一方端を支持するために設けられる。連結部材47は、典型的にはワイヤであり、その他方端は回転ロック解除操作部4の移動部材43(図12(A))に連結される。
【0053】
図8に示すように、これらのリンク部材48は、左右対称に配置されて、上下に重ね合わされる。具体的には、リンク部材48は、その開口48bがそれぞれ上下に重ね合わされて、その開口48bに動作連動部材53が貫通する。これにより、図9に示すように、リンク部材48は、回転ロック解除操作部4の移動部材43を移動させることで、連結部材47が引っ張られ、リンク部材48が穴部48cを支点に回転し、リンク部材48の開口48bに貫通する動作連動部材53を押し上げ、上下動部材50が上方に移動して、ロックピン58がロック穴25から引き抜かれて回転許容状態になるとともに、前倒れ防止機構8の係合部52が上方に移動して、被係合部27との係合が解除される。
【0054】
(回転ロック解除操作部について)
図2図9図12を参照して、回転ロック解除操作部4について説明する。特に図10を参照して、回転ロック解除操作部4は、操作本体部40と、上下動部材50に連動可能に接続されたリンク部材48と、リンク部材48と上下動部材50とを連動可能に接続する連結部材47とを含む。なお、図11の矢印で示す方向は、チャイルドシート1の前方であり、矢印の反対方向はチャイルドシート1の後方である。
【0055】
図2(A)に示すように、回転ロック解除操作部4は、概略として、左右に一対対向して設けられる。たとえば、紙面上の右側に位置する回転ロック解除操作部4は、第1の回転ロック解除操作部であり、背もたれ部の一方の側部、具体的にはシェル36の右側の第1側壁部38に固定され、その第1側壁部38から外方に突出している。紙面上の左側に位置する回転ロック解除操作部4は、第2の回転ロック解除操作部であり、背もたれ部の他方の側部、具体的にはシェル36の左側の第1側壁部38に固定され、その第1側壁部38から外方に突出している。つまり、一対の回転ロック解除操作部4は、それぞれの第1側壁部38の外方から両側に突出している。
【0056】
第1の回転ロック解除操作部および第2の回転ロック解除操作部は、同様の構成であるため、右側の第1側壁部38に固定された第1の回転ロック解除操作部の説明を代表して行い、第2の回転ロック解除操作部の説明は省略する。以下の説明において、第1の回転ロック解除操作部および第2の回転ロック解除操作部をいずれも「回転ロック解除操作部4」とし、同様の符号を付して説明する。また、回転ロック解除操作部4は、一対設けられるが、いずれか一方を操作することで、回転ロック機構5を操作することができる。この動作については、後述する。
【0057】
図2(A)に示すように、回転ロック解除操作部4は、座席本体3の第1側壁部38からの突出寸法は、たとえば100mm以上であることが好ましい。回転ロック解除操作部4の左右方向への突出具合は、第2側壁部39の突出具合と略同じであるか、第2側壁部39よりも突出していることが好ましい。回転ロック解除操作部4は、背もたれ部の上方に設けられることが好ましく、図2(B)に示すように、台座部20の底面(ベース部材2が自動車のシートと接する面)から回転ロック解除操作部4の上端までの高さ寸法H3は、たとえば300mm以上であることが好ましい。回転ロック解除操作部4は、ベース部材2の起立部26の上端高さより小さく、被係合部27の高さ位置とほぼ同じであることが好ましい。また、回転ロック解除操作部4は、座席に着座する子供の側頭部に位置する箇所に設けられることが好ましく、具体的には、ヘッドレスト33の側頭部保護部33bの上下方向の幅寸法内に設けられていることが好ましい。
【0058】
図11および図12に示すように、操作本体部40は、ハウジング41と、ハウジング内で移動可能に設けられた移動部材43とを含む。また、特に、図11(B)に示すように、操作本体部40は、前方に位置する前方領域40aと、後方に位置する後方領域40bとを含む。移動部材43は、後方領域40b側に設けられている。
【0059】
ハウジング41は、たとえば剛性を有するプラスチックなどにより形成されている。図11(A)に示すように、ハウジング41は、全体として略楕円錐台の形状であり、中空形状である。図11(A)および図11(B)に戻って、ハウジング41は、頂面41aと、頂面41aに向かって収束する側面41bとを含む。頂面41aは平坦な面であり、その後方領域40b側に凹部41cが設けられる。凹部41cは、特に図1に示すように、側方に向かって開口する。側面41bは、前方領域40aから後方領域40bに向かって徐々にその面積が大きくなる。これにより、ハウジング41は、座席本体3の第1側壁部38(図2)の湾曲形状に沿ったものとなる。ハウジング41の後方領域40bには、側面41bの後方部分から連続し、第1側壁部38と連結するための連結部42が設けられる。
【0060】
ハウジング41の凹部41cには、前後方向(紙面上の左右方向)に移動可能な移動部材43が設けられている。本実施の形態の移動部材43は、前後方向に移動可能なスライド部材であるが、たとえばレバー、ボタンなどの他の形状であってもよい。図11(B)に示すように、移動部材43は、ハウジング41から側方に突出しないように凹部41c内に収容されている。換言すると、移動部材43の先端縁の位置は、ハウジング41の先端縁の位置よりも奥まった位置にある。具体的には、移動部材43の先端縁の高さは、ハウジング41の先端縁の高さよりも低い位置に設けられる。これにより、移動部材43は、ハウジング41から外方に突出しないように凹部41a内に収容される。
【0061】
図12(B)に示すように、移動部材43は、操作者が操作する取手部44と、連結部材47の他端を取り付け固定する取付部45とを有する。図12(A)に示すように、取手部44と取付部45は、たとえばネジなどにより連結されて一体的に設けられた状態でハウジング41の内部に収容され、凹部41c内を前後方向にスライド移動する。移動部材43の取付部45に連結部材47の他端が連結されているため、移動部材43を前方にスライドさせることで連結部材47が引っ張られる。また、移動部材43をハウジング41の内部に収容した後、蓋部46によってハウジング41の裏面が被覆されることが好ましい。これにより、第1側壁部38に取り付ける回転ロック解除操作部4の一部をハウジング41内に収納することができる。
【0062】
図9に示すように、移動部材43は、第1の位置と第2の位置との間を変位可能に設けられている。第1の位置は、移動部材43が右方(チャイルドシート1の後方)に位置する状態であり、回転ロック機構5を回転位置固定状態にする位置である(図9(A))。第2の位置は、移動部材43が左方(チャイルドシート1の前方)に位置する状態であり、回転許容状態に対応する位置である(図9(B))。つまり、移動部材43を第1の位置から第2の位置に移動させることで、回転ロック機構5のロックピン58をロック穴25から引き抜くことが可能である。
【0063】
移動部材43自体は付勢されていないが、連結部材47およびリンク部材48によって間接的に連結している回転ロック機構5の上下動部材50が付勢部材83(図6)によって下方に付勢されているため、移動部材43も常に回転位置固定状態である第1位置に付勢されることになる。なお、ハウジング41と移動部材43の間に付勢部材が取り付けられ、移動部材43自体が第1位置に付勢されていてもよい。
【0064】
(取り付け方法について)
図11図13、および図14を参照して、回転ロック解除操作部4の操作本体部40を座席本体3に取り付ける方法について説明する。上述のように、回転ロック解除操作部4は、座席本体3の背もたれ部の側部である第1側壁部38に固定される。以下の説明では、チャイルドシート1を前方から見た場合の左側の第1側壁部38に回転ロック解除操作部4の操作本体部40を取り付ける方法について説明する。
【0065】
図13は、チャイルドシート1を前方から見た場合に左側に位置する操作本体取付部38aを示す図であり、(A)は左側面図であり、(B)は後方かつ外方から見た背面図であり、(C)は後方かつ外方から見上げた斜視図である。なお、図13(A)および(C)で示す矢印は、チャイルドシート1の前方であり、反対方向はチャイルドシート1の後方である。上記した取付方法の説明に先立ち、第1側壁部38に設けられる操作本体部40を取り付ける箇所である操作本体取付部38aについて説明する。
【0066】
図13に示すように、第1側壁部38には、回転ロック解除操作部4の操作本体部40が取り付けられるが、その操作本体部40が取り付けられる箇所には、操作本体取付部38aが形成されている。操作本体取付部38aは、回転ロック解除操作部4のハウジング41の外形形状と対応する形状であり、図13(A)に示すように、貫通穴と凹部を組み合わせた側面視略楕円形状の部分が設けられている。
【0067】
具体的には、操作本体取付部38aは、後方(紙面上の左側半分)を占める貫通穴部38bと、前方(紙面上の右側半分)を占める有底部38cとを有する。図13(B)および図13(C)に示すように、有底部38cは、その上方が第1側壁部38よりも内方(子供収容部30側)に向かって凹む段差部である。貫通穴部38bには、操作本体部40の後方領域40b(図10(B))が位置し、有底部38c上には、操作本体部40の前方領域40a(図10(B))の裏面が位置する。
【0068】
図14を参照して、回転ロック解除操作部4の操作本体部40を座席本体3の第1側壁部38に取り付ける手順について説明する。
【0069】
まず、図14(A)に示すように、操作本体部40を手に持ち、第1側壁部38の操作本体取付部38aに対面させる。次いで、図14(B)に示すように、操作本体部40の厚みの薄い前方領域40aを子供収容部30側から操作本体取付部38aの貫通穴部38bに向かって押し込む。図14(C)に示すように、操作本体部40の前方領域40aの裏面を操作本体取付部38aの有底部38cに当接させ、操作本体部40の後方領域40bの前面を第1側壁部38の貫通穴部38bの開口縁に当接させる。図14(D)に示すように、その状態で、ネジなどを用いて連結部42を第1側壁部38に連結させる。
【0070】
図15に示すように、操作本体部40を第1側壁部38に取り付けると、子供収容部30の内方から見た状態では、第1側壁部38の有底部38cと後方領域40bに設けられる操作本体部40の蓋部46が露出した状態となる。
【0071】
このように、操作本体部40の第1側壁部38への取り付けは、操作本体部40のハウジング41と移動部材43を一体化し、操作本体部40の半分を操作本体取付部38aの有底部38cで保持させた後に連結させているため、操作本体部40の第1側壁部38への組付けが容易である。さらに、操作本体部40の第1側壁部38からの取り外しが容易であるため、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0072】
(回転ロック解除操作部と回転ロック機構の動作について)
図6および図9を参照して、回転ロック解除操作部4により回転ロック機構5を操作する方法について説明する。
【0073】
図6(A)および図9(A)は、回転ロック解除操作部4を操作していない状態を示している。回転ロック解除操作部4を操作していない状態では、回転ロック機構5のロックピン58は、ロック穴25に係合しているため、回転ロック機構5は、ベース部材2に対する座席本体3の回転位置を固定する回転位置固定状態である。
【0074】
図6(B)および図9(B)は、回転ロック解除操作部4を操作した状態を示している。回転ロック解除操作部4を操作した状態では、回転ロック機構5のロックピン58は、ロック穴25から引き抜かれることになるため、回転ロック機構5は、ベース部材2に対する座席本体3の回転を許容する回転許容状態である。
【0075】
操作者は、回転ロック解除操作部4の移動部材43を紙面上の右から左に移動させる。なお、図6および図9で図示した操作部4は、チャイルドシート1の背もたれ部の右側に設けられているものを模式的に示したものであるため、実際には操作部を後方から前方に移動させる。
【0076】
移動部材43には、連結部材47の他端部が連結されているため、移動部材43を移動させることで、連結部材47が引っ張られる。連結部材47の一方端は、リンク部材48の上端部に設けられる支持部48dに連結されている。そのため、連結部材47が引っ張られることで、リンク部材48が穴部48cを支点に時計回りに回転する。リンク部材48の開口48bには動作連動部材53が貫通しているため、リンク部材48の回転により、動作連動部材53が開口48bの縁部に当接して上方に押し上げられる。
【0077】
動作連動部材53は、図9に示すように、棒状部51および係合部52に貫通しているため、棒状部51および係合部52は上方に移動する。棒状部51が上方に移動することで、軸部56aがスライド穴56bに沿って上方に移動するため、第2連接部55に設けられる内方突起57が上方に引き上げられる。これにより、座席本体3に固定される回転位置固定部材59が回転軸59aを介して第2連接部55の内方突起57により上方に持ち上げられ、ロックピン58がベース部材2のロック穴25から引き抜かれる。
【0078】
このように、回転ロック解除操作部4の移動部材43を変位させることで、ロックピン58をロック穴25から引き抜くことができ、回転ロック機構5を回転位置固定状態(図6(A),9(A))から回転許容状態(図6(B),9(B))に切り換えることができる。さらに、その動きに連動して、前倒れ防止機構8の係合部52が被係合部27から引き抜かれる。
【0079】
本実施の形態の回転ロック解除操作部4は、背もたれ部の両側部に一対設けられている。上記説明では、チャイルドシート1の右側に位置する回転ロック解除操作部4を操作する方法を示したが、左側に位置する回転ロック解除操作部4を操作する方法も同様である。本実施の形態の回転ロック解除操作部4は、リンク部材48の開口48bを介して上下動部材50に連結されているため、一方の回転ロック解除操作部4の動作が直接他方の回転ロック解除操作部4に伝わらない。これにより、回転ロック解除操作部4のうちのいずれか一方を操作すれば回転ロック機構5を操作することができる。つまり、回転ロック機構5を操作するには、一対の回転ロック解除操作部4の両方を操作する必要はない。なお、一対の回転ロック解除操作部4の両方を同時に操作しても、回転ロック機構5を操作することは可能である。
【0080】
本実施の形態のチャイルドシート1は、回転ロック解除操作部4を背もたれ部の一方の側部および他方の側部にそれぞれ設けられており、さらに背もたれ部という高い位置に設けられるため、操作者は腰を曲げない立った状態で回転ロック解除操作部4にアクセスすることができる。また、回転ロック機構5を操作する際には、回転ロック解除操作部4を操作した後に、座席本体3を回転させなければならないが、回転ロック解除操作部4が上方に設けられているため、遠心力を利用することができるとともに、操作者が力を入れやすい。したがって、本実施の形態のチャイルドシート1は、回転ロック機構5を操作する回転ロック解除操作部4の操作性を向上させることができる。
【0081】
本実施の形態の回転ロック解除操作部4のハウジング41は、背もたれ部の両側部に突出して固定されているため、側方からの衝撃を吸収することができ、側突によるチャイルドシート1への衝撃を緩和することができる。このように、回転ロック解除操作部4は、回転ロック機構5の操作部であるだけでなく、側突衝撃緩和機構の機能を兼ね備える。
【0082】
回転ロック解除操作部4の移動部材43は、ハウジング41の凹部41a内に収容されて、ハウジング41から側方に突出しないように設けられているため、万が一側突が発生した場合でも、自動車のドアがハウジング41に当たるだけで、移動部材43には当たらないため、回転ロック解除操作部4の誤作動が起こりにくい。
【0083】
(リクライニング角度ロック機構について)
図16図19を参照して、リクライニング角度ロック機構6について説明する。リクライニング角度ロック機構6の動作に注視するため、図17では、回転ロック機構5を破線で示している。図18は、リクライニング角度ロック機構6の動作を示す図である。図19は、リクライニング角度ロック機構6の操作部の斜視図であり、(A)は前方から見た斜視図であり、(B)は後方からみた斜視図である。図17(A),18(A)はリクライニング角度ロック機構6をリクライニング位置固定状態にした状態であり、図17(B),18(B)はリクライニング角度ロック機構6をリクライニング許容状態にした状態である。
【0084】
図17および図18に示すように、リクライニング角度ロック機構6は、ベース部材2に対する座席本体3のリクライニング角度を固定する角度固定状態(図17(A),18(A))と、ベース部材2に対する座席本体3のリクライニングを許容する角度許容状態(図17(B),18(B))とに切り換え可能であり、その切り換えは、リクライニング角度ロック解除操作部61により行われる。まず、リクライニング角度ロック機構6の構成について詳細に説明する。
【0085】
図18(A)および図18(B)に示すように、リクライニング角度ロック機構6は、概略として、座席本体3の背部32に設けられ、上述した突起部67が係合する受け穴39aと、座席本体3に上下動可能に設けられたスライド部材60とを含む。図16に示すように、受け穴39aは複数設けられ、下方に位置する受け穴39aに突起部67が係合すると椅子状態となり(図16(A))、上方に位置する受け穴39aに突起部67が係合するとベッド状態となる(図16(B))。なお、本実施の形態では、受け穴39aは2つ設けられたが、3つ以上設けられて、背もたれ部の角度の微調整が行えるようにしてもよい。座面部31と背部32とはリクライニング軸14を介してリクライニング可能に設けられている。このように、スライド部材60は、角度固定状態と角度変位許容状態との間を変位可能であるため、「リクライニング角度ロック変位部材」ともいう。
【0086】
スライド部材60は、リクライニング角度ロック解除操作部61の操作により上方に移動する。具体的には、スライド部材60は、下方位置にあるときに受け穴39aに係合してリクライニング角度ロック機構6を角度固定状態にし(図18(A))、上方位置にあるときに受け穴39aとの係合を解除してリクライニング角度ロック機構6を角度許容状態にする(図18(B))ものである。
【0087】
図18に示すように、スライド部材60は、リクライニング角度ロック解除操作部61と、その操作部61の下端に連結し、上下に延びる棒状の伝達部64と、伝達部64の下端に繋がる接続部65とを含む。
【0088】
リクライニング角度ロック解除操作部61の斜視図は、図19に示されている。図19(A)は、操作部61の表側(前側)であり、図19(B)は、操作部61の裏側(後側)である。その操作部61は、裏面に取っ手61aが設けられており、取っ手61aは後方を向いている(図17)。
【0089】
リクライニング角度ロック解除操作部61は、その中央部に上下方向に長く延びる貫通穴62が設けられる。この貫通穴62には、上述した動作連動部材53(図8)が貫通する。このため、リクライニング角度ロック機構6と回転ロック機構5とは独立して動作する。図5に示すように、操作部61は、裏カバー37cと係合部52の間に位置することとなる。また、図19(B)に示すように、操作部61の裏面には、後述するスイッチング部材7(図6)と係合する被係止部63が設けられる。被係止部63は、背部32の後方に向かって突出する凸部でもある。
【0090】
図18に示すように、伝達部64は、回転ロック機構5の棒状部51の裏面側に沿って上下方向に延びている。接続部65には正面視逆ハの字形状に延びる一対のガイド穴66が設けられている。一対のガイド穴66は、上方にいくにつれその左右方向の間隔が広くなるように設けられている。一対のガイド穴66には、それぞれのガイド穴66に沿って移動し、左右方向に延びる突起部67が貫通する。
【0091】
図17に示すように、伝達部64は、付勢部材84によって下方に付勢されている。付勢部材84は、伝達部64の上方位置に設けられ、典型的には引っ張りばねである。これにより、リクライニング角度ロック機構6は、常に角度固定状態(図18(A))に付勢されている。
【0092】
(リクライニング角度ロック解除操作部によるリクライニング角度ロック機構の動作について)
図18を参照して、リクライニング角度ロック解除操作部61によりリクライニング角度ロック機構6を操作する方法について説明する。
【0093】
図18(A)は、リクライニング角度ロック解除操作部61を操作していない状態を示している。操作部61を操作していない状態では、リクライニング角度ロック機構6の突起部67は、受け穴39aに係合しているため、リクライニング角度ロック機構6は、ベース部材2に対する座席本体3のリクライニング角度を固定するリクライニング角度固定状態である。
【0094】
図18(B)は、リクライニング角度ロック解除操作部61を操作した状態を示している。操作部61を操作した状態では、リクライニング角度ロック機構6の突起部67は、受け穴39aから引き抜かれることになるため、リクライニング角度ロック機構6は、ベース部材2に対する座席本体3のリクライニング角度を許容するリクライニング許容状態である。
【0095】
具体的には、図18(A)に示すように、操作者は、リクライニング角度ロック解除操作部61の取っ手61aに手を引っ掛けて上方に移動させる。図18(B)に示すように、操作部61に連結されている伝達部64および接続部65が上方に移動する。これにより、接続部65のガイド穴66に貫通している突起部67がガイド穴66の傾斜に沿って移動し、突起部67が受け穴39aから引き抜かれる。その状態で、リクライニング角度ロック解除操作部61を手に持ったまま、背部32を下方に押すか、または上方に押し上げることで、リクライニング角度を変更することができる。
【0096】
本実施の形態のリクライニング角度ロック解除操作部61は、背部32の上方に設けられている。上述のように、リクライニング角度を変更させるためには、操作部61を操作した後でさらに背部32を下方に押す、または、上方に押し上げるという作業が必要となる。操作部61が背部32の上方に設けられると、その下方に押すまたは押し上げる操作も操作部61で行うことができるため、操作者はあえて操作箇所を持ち替える必要がなく、操作性がよい。
【0097】
また、リクライニング角度ロック解除操作部61は背部32の上方に設けられ、回転ロック解除操作部4は背もたれ部の両側方に設けられるため、操作箇所が異なる位置に設けられ、誤操作を起こしにくい。
【0098】
本実施の形態のチャイルドシート1は、回転ロック機構5とリクライニング角度ロック機構6を背もたれ部に集約しているため、複雑な配線の取り回しをする必要がないため、回転ロック機構5とリクライニング角度ロック機構6の構造を簡略化することができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0099】
(連動解除禁止機構について)
図5図8図20図21を参照して、回転ロック機構5とリクライニング角度ロック機構6との連動操作を禁止する連動解除禁止機構について説明する。
【0100】
連動解除禁止機構は、回転ロック機構5およびリクライニング角度ロック機構6のいずれか一方を切り換えると、いずれか他方を切り換えることを禁止するものである。具体的には、連動解除禁止機構は、回転ロック機構5が回転許容状態にあるときにはリクライニング角度ロック機構6を角度固定状態に維持し、回転ロック機構5が回転位置固定状態にあるときにはリクライニング角度ロック機構6を角度変更許容状態に切り換え可能にするか、または、リクライニング角度ロック機構6が角度変更許容状態にあるときには回転ロック機構5を回転位置固定状態に維持し、リクライニング角度ロック機構6が角度固定状態にあるときには回転ロック機構5を回転許容状態に切り換え可能にするものである。このように、連動解除禁止機構は、回転ロック機構5とリクライニング角度ロック機構6の同時操作を禁止する。本実施の形態の連動禁止機構は、図8および図20に示すスイッチング部材7である。
【0101】
図20(A)は、スイッチング部材7の表側(チャイルドシート1の前方側)であり、図20(B)は、スイッチング部材7の裏側(チャイルドシート1の後側)である。図20に示すように、スイッチング部材7は、スイッチング本体70と、回転ロック変位部材としての動作連動部材53(図8図21)に当接する当接部71と、リクライニング角度ロック解除操作部61の被係止部63(図19(A))に当接する係止部73と、背もたれ部に対して回動する回動部72とを含む。
【0102】
スイッチング本体70は、全体として細長い部材であり、先端に向かって先細りの形状である。当接部71は、スイッチング本体70の上下方向の途中位置に設けられ、内方に凹んだ凹部である。係止部73は、スイッチング本体70の裏面から後方に向かって突出する凸部である。図5に示すように、スイッチング部材7は、リクライニング角度ロック解除操作部61と前後に向かい合っている。操作部61の被係止部63は、前方に向かって突出する凸部である。そのため、スイッチング部材7の位置によっては、係止部73は、操作部61の被係止部63と当接する。図8に示すように、回動部72は、表カバー37aの裏面に形成される凸部37bに回動可能に固定される。
【0103】
図8に示すように、スイッチング部材7は、背もたれ部に対して回動可能に固定され、具体的には、表カバー37aの裏面に設けられる凸部37bに固定される。図5に示すように、スイッチング部材7は、リクライニング角度ロック解除操作部61よりも紙面上の左側(チャイルドシート1の前方)に位置し、操作部61と前後方向において接する。また、スイッチング部材7は、リンク部材48の後方に位置する。
【0104】
スイッチング部材7は、休止位置(図21(A))と、動作連動部材53の当接により変位した動作位置(図21(B))との間を移動可能である。動作位置から休止位置への動作は、自重によって行われてもよいし、バネなどの付勢部材によって休止位置に付勢されていてもよいが、本実施の形態のスイッチング部材7は自重によって移動する。係止部73は、動作位置にあるときにのみ被係止部63に係止した状態になりリクライニング角度ロック解除操作部61の上方への動きを禁止する。
【0105】
(連動解除禁止機構の動作について)
図21および図22を参照して、連動解除禁止機構の動作について説明する。図21(A)は回転ロック機構が回転位置固定状態にあり、リクライニング角度ロック機構が角度固定状態にあることを示し、(B)は回転ロック機構が回転許容状態にあることを示している。また、図22は、リクライニング角度ロック機構が角度変更許容状態にあることを示している。また、図5からも分かるように、リンク部材48は、前後方向において、リクライニング角度ロック解除操作部61とリンク部材48の間に設けられるものであるが、理解容易のため、リンク部材48を破線で示している。
【0106】
まず、図21を参照して、回転ロック機構5の操作部4を操作する場合について説明する。図21(A)には、回転ロック機構5およびリクライニング角度ロック機構6のいずれも操作されていない状態が示されている。この状態では、スイッチング部材7は休止位置にあり、スイッチング部材7の当接部71は、動作連動部材53の上方に位置している。
【0107】
図21(B)には、回転ロック解除操作部4を操作した状態が示されている。回転ロック解除操作部4の移動部材43を移動させると、連結部材47が引っ張られてリンク部材48が穴部48cを中心に時計回りに回転する。動作連動部材53は、リンク部材48の開口48bを貫通しているため、開口48bの側壁によって上方に押し上げられる。これによって、回転ロック機構5が機能し、図6(B)に示すように、ロックピン58がロック穴25から引き抜かれて、回転可能となる。
【0108】
このとき、スイッチング部材7は、動作連動部材53の上方移動に伴って、回動部72を中心に時計回りし、図21(B)に示すように立ち上がった状態になる。このスイッチング部材7の状態は、動作位置である。特に、図21(B)の一点鎖線で示す丸部分の箇所に示すように、スイッチング部材7の係止部73がリクライニング角度ロック解除操作部61の被係止部63に係止した状態となり、リクライニング角度ロック解除操作部61を上方に引き上げることができない状態となる。つまり、回転ロック機構5が操作されている状態では、リクライニング角度ロック解除操作部61を操作することができない。
【0109】
一方で、図21(A)に戻って、回転ロック解除操作部4が操作されていない状態では、スイッチング部材7は回動部72を中心に反時計回りして、スイッチング部材7の係止部73とリクライニング角度ロック解除操作部61の被係止部63は離れて位置し、係止した状態にはない。そのため、リクライニング角度ロック解除操作部61を上方に引き上げることができる。つまり、回転ロック機構5が操作されていない状態では、リクライニング角度ロック解除操作部61を操作することが可能となる。
【0110】
本実施の形態のスイッチング部材7は、その動作が自重によって行われているため、一旦図21(B)の動作位置に変位すると、自動的に図21(A)の休止位置に変位しない場合がある。そのような場合であっても、リクライニング角度ロック解除操作部61の被係止部63が設けられているため、回転ロック機構5の操作部4を操作していない状態で、リクライニング角度ロック解除操作部61を上方に引き上げれば、被係止部63のアール部(傾斜部)に沿ってスイッチング部材7の係止部73の下方傾斜部が押し上げられることになる。
【0111】
これにより、スイッチング部材7は、回動部72を中心に反時計回りに回転し、リクライニング角度ロック解除操作部61の上方への動きに連動して、動作位置(図21(B))から休止位置(図21(A))に変位する。このように、スイッチング部材7は、自重で設けられているものの、その周囲に設けられているリクライニング角度ロック解除操作部61および動作連動部材53によって、自動で動作位置と休止位置の間を変位可能に設けられる。
【0112】
次に、図22を参照して、リクライニング角度ロック機構6の操作部61を操作する場合について説明する。リクライニング角度ロック機構6の操作部61を上方に引き上げると、その被係止部63も上方に移動する。図22の一点鎖線の丸部分の箇所で示すように、スイッチング部材7の係止部73が時計回りに回転しようとしても、その側方にリクライニング角度ロック解除操作部61の被係止部63の側壁が位置するため、スイッチング部材7が時計回りに回転することができない。そのため、動作連動部材53がスイッチング部材7の当接部71に当接し、上方に移動することができない状態となる。つまり、リクライニング角度ロック機構6が操作されている状態では、回転ロック機構5の操作部4を操作することができない。
【0113】
一方で、図21(A)に戻って、リクライニング角度ロック機構6が操作されていない状態では、リクライニング角度ロック解除操作部61の被係止部63は下方に位置するため、スイッチング部材7の係止部73とリクライニング角度ロック解除操作部61の被係止部63の側壁は当接しない。そのため、スイッチング部材7が時計回りに回転することができ、リクライニング角度ロック解除操作部61を上方に引き上げることができる。つまり、リクライニング角度ロック解除操作部61が操作されていない状態では、回転ロック機構5の操作部4を操作することが可能となる。
【0114】
図21を用いた説明では、右側に位置する回転ロック解除操作部4の操作について説明したが、左側に位置する回転ロック解除操作部4の操作も同様にして行うことができる。さらに、一対のリンク部材48は、いずれも動作連動部材53を変位可能であるため、一対の回転ロック解除操作部4のいずれか一方を操作することで動作位置と休止位置との間を移動可能である。
【0115】
本実施の形態のチャイルドシート1は、動作解除禁止機構としてのスイッチング部材7が設けられているため、回転ロック機構5が操作されている場合、つまり座席本体3がベース部材2に対して回転可能な状態においては、リクライニング角度ロック機構6を操作することができない。そのため、回転ロック機構5とリクライニング角度ロック機構6の誤操作を防止することができ、安全性に優れ、操作性が良好である。
【0116】
(変形例)
なお、上記実施の形態において、一対の回転ロック解除操作部4は、背もたれ部の両側部に設けられるとして説明したが、座席本体3の両側部に設けられていればよく、たとえば座面部31の側方に設けられる第2側壁部39に設けられていてもよいし、座席本体3であって、座面部31の下方、かつ、ベース部材2の上方に設けられる台座部の両端部に設けられてもよい。
【0117】
本実施の形態の連動解除禁止機構は、回転ロック機構5の上下動部材50とリクライニング角度ロック機構6のスライド部材60との間に位置するスイッチング部材7であるとして説明したが、上下動部材50とスライド部材60との間に設けられていなくてもよい。たとえば、連動解除禁止機構は、回転ロック機構5およびリクライニング角度ロック機構6のいずれか一方を切り換えると、いずれか他方を切り換えることを禁止するものであれば、設置箇所は限定されないし、その形状についても限定されない。
【0118】
また、連動解除禁止機構は、回転ロック機構5が切り換え可能である場合に、リクライニング角度ロック機構6を切り換えることができないか、または、リクライニング角度ロック機構6が切り換え可能である場合に、回転ロック機構5を切り換えることができないような機構であってもよい。
【0119】
本実施の形態の回転ロック変位部材は、上下方向に移動可能な上下動部材50であるとして説明したが、座席本体3に対して移動可能に設けられたロック部材であり、回転位置固定状態と回転許容状態との間を変位可能な部材であればよいため、その動作方向および上下動部材50を構成する部材について限定されない。たとえば、回転ロック変位部材は、横方向に移動可能であってもよいし、上下動部材50だけでなく、回転位置固定部材59を含んでいてもよい。
【0120】
また、本実施の形態のリクライニング角度ロック変位部材は、上下方向にスライド部材60であるとして説明したが、角度固定状態と角度変更許容状態との間を変位可能な部材であればよいため、その動作方向およびスライド部材60を構成する部材について限定されない。たとえば、リクライニング角度ロック変位部材は、横方向に移動可能であってもよいし、単一部材で形成されていてもよいし、複数の部材により形成されていてもよい。
【0121】
また、本実施の形態の背部32は、座面部31に対して傾斜することでリクライニング可能に設けられていたが、座面部31に対する傾斜角度が固定されていてもよい。この場合、座席本体3は、ベース部材2に対して傾斜可能に設けられることでリクライニング可能に設けられるものであってもよい。
【0122】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 チャイルドシート、2 ベース部材、3 座席本体、4 回転ロック解除操作部、5 回転ロック機構、6 リクライニング角度ロック機構、7 スイッチング部材(連動解除禁止機構)、8 前倒れ防止機構、20 台座部、25 ロック穴、26 起立部、27 被係合部、31 座面部、32 背部、41 ハウジング、41c 凹部、43 移動部材、44 取手部、47 連結部材、48 リンク部材、48b 開口、50 上下動部材(回転ロック変位部材)、52 係合部、53 動作連動部材、58 ロックピン、59 回転位置固定部材、60 スライド部材(リクライニング角度ロック変位部材)、61 リクライニング角度ロック解除操作部、61a 取っ手、62 貫通穴、63 被係止部、71 当接部、72 回動部、73 係止部。
図1
図2
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