特開 2024-57713 オブラート供給装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024057713

(43)【公開日】2024-04-25

(54)【発明の名称】オブラート供給装置

(51)【国際特許分類】

   B65H 5/12 20060101AFI20240418BHJP

   B65D 85/50 20060101ALI20240418BHJP

   B65H 35/04 20060101ALI20240418BHJP

【ＦＩ】

B65H5/12 B

B65D85/50 100

B65H35/04

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022164554

(22)【出願日】2022-10-13

(71)【出願人】

【識別番号】000136387

【氏名又は名称】株式会社フジキカイ

(74)【代理人】

【識別番号】100141645

【弁理士】

【氏名又は名称】山田 健司

(74)【代理人】

【識別番号】100076048

【弁理士】

【氏名又は名称】山本 喜幾

(72)【発明者】

【氏名】浮邉 詩織

(72)【発明者】

【氏名】竹内 聡司

(72)【発明者】

【氏名】川田 光仁

(72)【発明者】

【氏名】横川 輝雄

【テーマコード（参考）】

3E035

3F101

【Ｆターム（参考）】

3E035AA15

3E035AB10

3E035BA02

3E035BC10

3F101CA14

3F101CB08

3F101CE01

3F101CE12

3F101CE21

3F101CE29

3F101LA16

3F101LB08

(57)【要約】

【課題】トレーに供給された切断オブラートがカールすることがないように、切断オブラートをトレーに供給することができるオブラート供給装置を提供する。
【解決手段】トレー１１を搬送する搬送コンベヤ１０の上方に、回転供給体１８が回転可能に支持される。回転供給体１８は、帯状オブラート１５または切断オブラートを平に吸着可能な平坦に形成された保持部２０を周方向に離間して複数備える多角形状に形成される。回転供給体１８の周方向に隣り合う保持部２０,２０の間で帯状オブラート１５を切断する切断手段１９が設けられる。回転供給体１８の間欠回転により、原反ロール１６から帯状オブラート１５が引き出されると共に、切断された切断オブラートが供給位置に位置付けられる。搬送コンベヤ１０から持上げ手段２１でトレー１１を持ち上げた状態で、供給位置の保持部２０の吸着を解除することで切断オブラートはトレーに供給される。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

搬送コンベヤで搬送されるトレーの物品収容部に、帯状オブラートから切り離された切断オブラートを供給するオブラート供給装置であって、
前記搬送コンベヤの上方に回転可能に支持されると共に、前記帯状オブラートを吸着可能で平坦に形成された保持部を周方向に離間して複数備え、回転することで帯状オブラートを供給源から引き出す回転供給体と、
該回転供給体における周方向に隣り合う前記保持部で吸着した帯状オブラートを、当該隣り合う保持部の間で切断する切断手段と、
前記搬送コンベヤで回転供給体の下方まで搬送された前記トレーを、回転供給体における下を向く供給位置の前記保持部に接近するよう持ち上げる持上げ手段と、を備え、
前記帯状オブラートから切り離された切断オブラートを吸着している前記保持部を、前記回転供給体の回転によって前記供給位置に位置付けると共に、前記持上げ手段でトレーを持ち上げた状態で、供給位置の保持部の吸着を解除することで切断オブラートをトレーの物品収容部に供給するようにした
ことを特徴とするオブラート供給装置。

【請求項2】

前記搬送コンベヤは、前記回転供給体の回転軸方向に複数列でトレーを搬送するよう構成され、
前記搬送コンベヤで搬送されるトレーの列数と同数の前記供給源、回転供給体、切断手段および持上げ手段を、トレーの各列と対応して設けたことを特徴とする請求項１記載のオブラート供給装置。

【請求項3】

前記トレーに供給した切断オブラートを、前記物品収容部に収容されている物品に押し付ける押付け手段を備えることを特徴とする請求項１記載のオブラート供給装置。

【請求項4】

前記供給源と回転供給体との間の帯状オブラートの移送路に、該帯状オブラートを吸着ベルトで吸着移送する補助コンベヤを備えたことを特徴とする請求項１記載のオブラート供給装置。

【請求項5】

前記切断手段は、前記回転供給体に対して進退移動するナイフを備え、該ナイフを回転供給体に設けた溝に突入して帯状オブラートを切断するようにしたことを特徴とする請求項１～４の何れか一項に記載のオブラート供給装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、オブラートを供給するオブラート供給装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、グミなどの粘着性のある物品をトレーに収容し、物品の乾燥を防止するためのオブラートでトレーの上面を覆った状態でピロー包装することが行われている。また、原反ロールからフィルムを引き出して供給する装置として、円形のターレットに吸着孔を設け、外周面にフィルムを吸着したターレットを回転することで原反ロールからフィルムを所定長さ引き出すと共にカットし、該カットしたフィルムを供給位置に供給することが提案されている(例えば、特許文献１参照)。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開昭６３－２７２６１７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１に開示の装置では、フィルムを円形のターレットの外周面に吸着して引き出すため、供給位置まで引き出される間にフィルムには円弧の癖が付いてしまう。すなわち、フィルムとしてオブラートを用いる場合に、供給位置まで引き出してカットされたオブラートには円弧の癖が付いているため、該オブラートをトレー上面に落下供給する構成では、落下するオブラートの一部(円弧状の頂部)が先にトレーの上面に到達する。オブラートは吸湿性が高いため、トレー上面に先に到達したオブラートの一部が粘着性のある物品と接触すると、該接触部位から吸湿し、それと同時に周辺部位では吸湿した水分を放出し乾燥するため、オブラートがカールする現象が発生する。この場合に、オブラートはトレーを平面状態で覆っておらず、トレー内の物品の一部が露出した状態のまま次工程に移送されることで物品が乾燥したり、オブラートのカール部分が、次工程での処理に際して各種機器に巻き込まれるなどしたりする不具合を招く要因となる問題がある。

【0005】

本発明の目的は、トレーに供給された切断オブラートがカールすることがないように、切断オブラートをトレーに供給することができるオブラート供給装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本願の請求項１に係る発明のオブラート供給装置は、
搬送コンベヤ(10)で搬送されるトレー(11)の物品収容部(12a)に、帯状オブラート(15)から切り離された切断オブラート(15a)を供給するオブラート供給装置であって、
前記搬送コンベヤ(10)の上方に回転可能に支持されると共に、前記帯状オブラート(15)を吸着可能で平坦に形成された保持部(20)を周方向に離間して複数備え、回転することで帯状オブラート(15)を供給源(16,17)から引き出す回転供給体(18)と、
該回転供給体(18)における周方向に隣り合う前記保持部(20,20)で吸着した帯状オブラート(15)を、当該隣り合う保持部(20,20)の間で切断する切断手段(19)と、
前記搬送コンベヤ(10)で回転供給体(18)の下方まで搬送された前記トレー(11)を、回転供給体(18)における下を向く供給位置(S)の前記保持部(20)に接近するよう持ち上げる持上げ手段(21)と、を備え、
前記帯状オブラート(15)から切り離された切断オブラート(15a)を吸着している前記保持部(20)を、前記回転供給体(18)の回転によって前記供給位置(S)に位置付けると共に、前記持上げ手段(21)でトレー(11)を持ち上げた状態で、供給位置(S)の保持部(20)の吸着を解除することで切断オブラート(15a)をトレー(11)の物品収容部(12a)に供給するようにしたことを特徴とする。
請求項１に係る発明では、回転供給体における平坦に形成された保持部に帯状オブラートを吸着して引き出すと共に、該帯状オブラートから切り離された切断オブラートを保持部に平に吸着して供給位置に位置付けることができるので、切断オブラートをトレーの物品収容部に平な状態で供給することができる。すなわち、トレーに収容されている物品に対して切断オブラートの一部のみが先に接触するのを抑制でき、該切断オブラートがカールするのを防ぐことができる。また、持上げ手段で持ち上げられて保持部に接近するトレーに対して切断オブラートを供給するので、吸着の解除により保持部から離れた切断オブラートをトレーの物品収容部に対して適切な位置に供給することができる。

【0007】

請求項２に係る発明では、前記搬送コンベヤ(10)は、前記回転供給体(18)の回転軸方向に複数列でトレー(11)を搬送するよう構成され、
前記搬送コンベヤ(10)で搬送されるトレー(11)の列数と同数の前記供給源(16,17)、回転供給体(18)、切断手段(19)および持上げ手段(21)を、トレー(11)の各列と対応して設けたことを特徴とする。
請求項２の発明によれば、複数の切断オブラートを複数のトレーに一度に供給することができ、処理能力を向上することができる。

【0008】

請求項３に係る発明では、前記トレー(11)に供給した切断オブラート(15a)を、前記物品収容部(12a)に収容されている物品(14)に押し付ける押付け手段(36)を備えることを特徴とする。
請求項３の発明によれば、トレーに収容されている物品と切断オブラートとを密着させることができ、物品の乾燥を抑制できる。

【0009】

請求項４に係る発明では、前記供給源(16,17)と回転供給体(18)との間の帯状オブラート(15)の移送路に、該帯状オブラート(15)を吸着ベルト(24a)で吸着移送する補助コンベヤ(24)を備えたことを特徴とする。
請求項４の発明によれば、供給源から引き出される際に帯状オブラートに加わる引っ張り力が分散され、該帯状オブラートが破断するのを抑制できる。

【0010】

請求項５に係る発明では、前記切断手段(19)は、前記回転供給体(18)に対して進退移動するナイフ(30)を備え、該ナイフ(30)を回転供給体(18)に設けた溝(18a)に突入して帯状オブラート(15)を切断するようにしたことを特徴とする。
請求項５の発明によれば、軟質な帯状オブラートの切断を良好に行うことができる。

【発明の効果】

【0011】

本発明によれば、切断オブラートをトレーに平な状態で供給できるので、切断オブラートがカールするのを防ぐことができ、トレーに収容した物品の乾燥を防ぐと共に、後工程での不具合の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】オブラート供給装置を示す概略正面図である。

【図2】搬送コンベヤを示す要部概略平面図である。

【図3】複数のロール支持部の配置関係を示す概略平面図である。

【図4】回転供給体、切断手段および押付け手段を示す概略縦断側面図である。

【図5】回転供給体と持上げ手段とを示す要部概略側面図である。

【図6】持上げ手段を示す概略側面図である。

【図7】回転供給体と切断手段とを示す要部概略平面図である。

【図8】押付け手段を示す要部概略側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

次に、本発明に係るオブラート供給装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。

【実施例0014】

図１に示す実施例のオブラート供給装置は、製造機などの前工程から搬送コンベヤ１０によって搬送されてきたトレー１１の物品収容部１２ａに、該物品収容部１２ａのサイズに対応したサイズの切断オブラート１５ａを供給する装置である。トレー１１は、図２、図４に示す如く、矩形状の物品収容部１２ａが画成された本体１２と、該本体１２の外周から外方に延出するフランジ１３が形成された容器であって、物品収容部内に、グミ等の粘着性を有する物品１４が複数個(実施例では６個)単位で収容される。オブラート供給装置は、トレー１１における物品収容部１２ａの幅寸法に対応した幅の帯状オブラート１５を所定直径で巻回した原反ロール１６を、回転自在に支持するロール支持部１７と、該ロール支持部１７に支持された原反ロール１６からの帯状オブラート１５を外面に吸着し、回転することで原反ロール１６から帯状オブラート１５を引き出す回転供給体１８と、該回転供給体１８の外面に吸着されている帯状オブラート１５を、トレー１１における物品収容部１２ａの長さに応じた長さで切断する切断手段１９と、回転供給体１８の外面に設けられ、帯状オブラート１５または切断手段１９によって帯状オブラート１５から切り離された切断オブラート１５ａを吸着可能で平坦に形成された複数の保持部２０と、搬送コンベヤ１０によって回転供給体１８の下方まで搬送されたトレー１１を、回転供給体１８に接近する受取り位置Ｍまで持ち上げる持上げ手段２１と、を備える。ロール支持部１７と、該ロール支持部１７に支持された原反ロール１６とから、帯状オブラート１５の供給源が構成される。

【0015】

図１、図２に示す如く、前記回転供給体１８の下方に配置された前記搬送コンベヤ１０は、トレー搬送方向と交差する幅方向に離間する一対の無端チェン２２,２２間に、トレー搬送方向に離間して複数の支持ステー２３が平行に架設されたコンベヤであって、トレー搬送方向に隣り合う支持ステー２３,２３間に、幅方向に複数(実施例では９個)のトレー１１を支持して搬送するよう構成される。各支持ステー２３には、幅方向に９個の受部２３ａが設けられ、トレー搬送方向で対向する受部２３ａ,２３ａで、トレー１１の本体１２からトレー搬送方向の前後に延出するフランジ１３を下方から支持する。搬送コンベヤ１０は、前工程において支持ステー２３,２３間にロボット等によって供給されたトレー１１を複数列(９列)で間欠搬送し、各行のトレー１１を、前記回転供給体１８の下方に臨む持上げ位置Ｎで間欠停止するよう構成される。

【0016】

図１に示す如く、前記搬送コンベヤ１０の上方には、前記原反ロール１６を回転自在に支持する前記ロール支持部１７が、搬送コンベヤ１０で搬送されるトレー１１の列数と同数だけ配設されている。実施例の原反ロール１６は、胴部の軸方向両端に一対のフランジが形成されたボビン形状の巻取体１６ａの胴部に、帯状オブラート１５が巻回されたものであって、各フランジから外方に突出する端部が、ロール支持部１７に設けられた軸受け部に回転自在に支持される。図３に示す如く、９つのロール支持部１７は、トレー搬送方向に離間して分散して配置されている。実施例では、幅方向の中央位置に１つのロール支持部１７が配置され、その下流側に離間して４つのロール支持部１７が幅方向に並んで配置され、更にその下流に４つのロール支持部１７が幅方向に並んで配置されており、これら９つのロール支持部１７の夫々が、搬送コンベヤ１０で搬送される各トレー１１の列に対応して配置されている。各ロール支持部１７の下流側(回転供給体１８までの間の帯状オブラート１５の移送路)に、帯状オブラート１５の下面を吸着可能な吸着ベルト２４ａを走行可能に備えた吸着コンベヤからなる補助コンベヤ２４が配設され、該補助コンベヤ２４によってロール支持部１７に支持した原反ロール１６から帯状オブラート１５を引き出すよう構成される。なお、補助コンベヤ２４は、前記回転供給体１８の間欠回転に合わせて吸着ベルト２４ａを間欠走行する。

【0017】

図１に示す如く、前記各ロール支持部１７に対応して、予備の原反ロール１６を支持するロール支持部１７が配置されると共に、補助コンベヤ２４の上方に、ロール支持部１７に支持されて使用中の旧帯状オブラート１５に、予備のロール支持部１７に支持されている原反ロール１６の新帯状オブラート１５の先端部を繋ぎ合わせるためのスプライサ２５が配設されている。スプライサ２５は、新帯状オブラート１５の先端部上面を吸着する吸着部材２６を上下動可能に備え、補助コンベヤ２４の上方に離間する待機位置に位置する吸着部材２６に新帯状オブラート１５の先端部を吸着すると共に、該先端部の下面に両面テープを貼着した状態で待機し、吸着部材２６を下降して新帯状オブラート１５に貼着されている両面テープを旧帯状オブラート１５の後端上面に押し付けることで、新旧の帯状オブラート１５,１５を接合するよう構成される。なお、新旧の帯状オブラート１５,１５の接合部は、スプライサ２５による接合位置から回転供給体１８までの帯状オブラート１５の経路長と、回転供給体１８の回転系に設けられたエンコーダ等の回転検出器とによって追跡されて、該接合部を含む切断オブラート１５ａを吸着した保持部Ｓが供給位置Ｓに至る時期を得ることができる。そして、接合部を含む切断オブラート１５ａが供給されて搬送コンベヤ１０で配設されるトレー１１を不良品として、後述する押付け手段３６より下流側で系外に排出するよう構成される。

【0018】

図１、図５に示す如く、前記搬送コンベヤ１０の上方には、最下流のロール支持部１７より下流側に、前記回転供給体１８が回転自在に支持されている。実施例では、幅方向に離間する機枠２７,２７間に、中空の回転軸２８が回転可能に支持され、該回転軸２８に、搬送コンベヤ１０によって多列で搬送されるトレー１１の列数と同数の回転供給体１８が軸方向に並んで一体的に回転するよう配設されている。回転供給体１８は、図４に示す如く、回転軸２８の軸方向と直交する断面が多角形状に形成されている。実施例では、回転供給体１８は、帯状オブラート１５から切り離された切断オブラート１５ａの略全体を平に支持可能な６つの平坦な保持部２０が周方向に等間隔で離間して形成された略６角形状に形成されている。保持部２０は、トレー１１における物品収容部１２ａの開口寸法と概ね同じ外形寸法に設定されている。また、各保持部２０に、複数の吸引孔２０ａが形成されると共に、回転軸２８には負圧源が接続されており、吸引孔２０ａに作用する負圧によって保持部２０の外面に帯状オブラート１５や切断オブラート１５ａを吸着した状態で、回転軸２８と共に回転供給体１８を回転することで、前記原反ロール１６から帯状オブラート１５を引き出すと共に、切断オブラート１５ａをトレー１１への供給位置Ｓに移動するよう構成される。なお、回転供給体１８は、多角形の角部が、搬送コンベヤ１０に支持されているトレー１１に接触することなく回転可能な高さ位置に配置されている。

【0019】

図５に示す如く、前記回転軸２８に、該回転軸２８を間欠回転する駆動モータ２９が連繋されており、該駆動モータ２９は、前記回転供給体１８に設けた保持部２０の数に対応する６０°毎の角度間隔で回転軸２８を間欠回転することで、回転供給体１８における各保持部２０が、下を向く供給位置Ｓで間欠停止し、この間欠停止時に供給位置Ｓの保持部２０に吸着している切断オブラート１５ａの吸着を解除することで、該切断オブラート１５ａをトレー１１に落下供給するよう構成される。また、駆動モータ２９は、回転軸２８を、回転供給体１８の保持部２０が、前記搬送コンベヤ１０によるトレー搬送方向の下流側から上流側に向けて回転して供給位置Ｓに位置付く方向に回転する。なお、保持部２０が下を向く供給位置Ｓに対し、図４に示す如く、該供給位置Ｓより回転方向の上流側の１つ前の保持部２０が臨む位置を第１吸着位置Ｓ１、２つ前の保持部２０が臨む位置を第２吸着位置Ｓ２と称するものとする。

【0020】

図４、図７に示す如く、前記各回転供給体１８に対応する外方に、前記切断手段１９が夫々配設されている。すなわち、切断手段１９は、搬送コンベヤ１０により搬送されるトレー１１の列数と同じ数(９基)だけ幅方向(回転軸２８の軸方向)に等間隔で配置されている。切断手段１９は、ナイフ３０と、該ナイフ３０を回転供給体１８に対して進退移動するエアシリンダ等の駆動手段３１と、を備える。切断手段１９は、回転供給体１８の間欠停止状態において、前記第１吸着位置Ｓ１と第２吸着位置Ｓ２とに位置する周方向に隣り合う保持部２０,２０の境(間)に対向してナイフ３０が配置される。また、回転供給体１８には、周方向に隣り合う保持部２０,２０の間の夫々に、ナイフ３０を受け入れ可能な軸方向に延在する溝１８ａが、回転中心に向けて凹設されている。すなわち、回転供給体１８の間欠停止時に、ナイフ３０を回転供給体１８に向けて前進することで、該ナイフ３０が溝１８ａに突入して帯状オブラート１５が幅方向に切断され、帯状オブラート１５の先端から前記トレー１１における物品収容部１２ａの長さに対応する長さで切り離された切断オブラート１５ａは、切断位置より回転方向下流の保持部２０の外面に吸着される。実施例の切断手段１９は、回転供給体１８の外面に吸着されている帯状オブラート１５の先端から物品収容部１２ａの長さに対応する長さの位置で、該帯状オブラート１５を切断する位置に配置されている。また、切断手段１９には、ナイフ３０と一体で進退移動する一対の支え部材３２,３２を、ナイフ３０を挟む上下に備え、該ナイフ３０で帯状オブラート１５を切断するのに先立ち、両支え部材３２,３２が、帯状オブラート１５における切断位置の上下位置を保持部２０,２０に押し付けて支えるよう構成される。

【0021】

図５に示す如く、前記回転軸２８の軸端部には、回転供給体１８の間欠停止状態で、前記供給位置Ｓと、第１吸着位置Ｓ１と、第２吸着位置Ｓ２とに位置する保持部２０の吸引孔２０ａに負圧源を連通する吸着状態と、第１吸着位置Ｓ１と、第２吸着位置Ｓ２とに位置する保持部２０の吸引孔２０ａに負圧源を連通すると共に、供給位置Ｓに位置付いた保持部２０の吸引孔２０ａに対しては負圧源を非連通状態とする解除状態とに切り替える切替え手段３３が配設される。そして、前記切断位置において帯状オブラート１５から切り離された切断オブラート１５ａを吸着している保持部２０が、第１吸着位置Ｓ１から移動して供給位置Ｓに至ると共に、前記持上げ手段２１でトレー１１が受取り位置Ｍまで持ち上げられたタイミングで、切替え手段３３によって吸着状態から解除状態に切り替えることで、供給位置Ｓに位置付けられた保持部２０の吸着が解除されて切断オブラート１５ａがトレー１１に落下供給される。

【0022】

図５、図６に示す如く、前記搬送コンベヤ１０の上部走行部の下方には、搬送コンベヤ１０により搬送されるトレー１１が回転供給体１８の下方(真下)で間欠停止される持上げ位置Ｎに対応して、トレー１１の前記持上げ手段２１が配設される。持上げ手段２１は、搬送コンベヤ１０により搬送されるトレー１１の列数と同じ数(９基)だけ幅方向に等間隔で配置される。各持上げ手段２１は、搬送コンベヤ１０における各支持ステー２３,２３間を通過可能で幅方向に離間する一対の押上げ部３４ａ,３４ａを備えた押上げ体３４と、該押上げ体３４を昇降するエアシリンダ等の昇降手段３５とを備え、該昇降手段３５は、押上げ体３４を、押上げ部３４ａ,３４ａが搬送コンベヤ１０の上部走行部を搬送されるトレー１１の下面より下方に退避する退避位置(図６の実線参照)と、トレー１１のフランジ１３における幅方向に延出する部分を下方から支持して該トレー１１の上面を、前記回転供給体１８の供給位置Ｓに位置付けられた保持部２０に接近させる上昇位置(図６の二点鎖線参照)との間を昇降する。

【0023】

図４、図８に示す如く、前記回転供給体１８の配設位置よりトレー搬送方向の下流側に、各トレー１１に供給された切断オブラート１５ａを、トレー１１に収容されている物品１４に押し付ける押付け手段３６が配設されている。押付け手段３６は、搬送コンベヤ１０により搬送されるトレー１１の列数と同じ数(９基)だけ幅方向に等間隔で配置される。各押付け手段３６は、切断オブラート１５ａに接触可能な複数の押部３７ａを下向きに突出して備える押付け体３７と、該押付け体３７を昇降するエアシリンダ等の昇降手段３８とを備え、該昇降手段３８は、押付け体３７を、押部３７ａが搬送コンベヤ１０の上部走行部を搬送されるトレー１１の上面より上方に退避する退避位置(図６の実線参照)と、トレー１１に供給されている切断オブラート１５ａを押部３７ａが物品１４に押し付ける押付け位置(図６の二点鎖線参照)との間を昇降する。

【0024】

次に、実施例に係るオブラート供給装置の作用について説明する。
図４に示す如く、前記各原反ロール１６から前記補助コンベヤ２４を経て引き回されている帯状オブラート１５の先端部分は、対応する前記回転供給体１８における第１吸着位置Ｓ１および第２吸着位置Ｓ２に位置する保持部２０の外面に吸着されている。回転供給体１８の間欠停止時に、前記切断手段１９のナイフ３０が回転供給体１８に向けて前進され、該ナイフ３０が回転供給体１８の溝１８ａに突入することで、帯状オブラート１５は、第１吸着位置Ｓ１と第２吸着位置Ｓ２とに位置する保持部２０,２０の境で幅方向に切断される。帯状オブラート１５から切り離された切断オブラート１５ａは、第１吸着位置Ｓ１に位置する保持部２０の外面に平な状態で吸着されている。そして、回転供給体１８が間欠回転され、第１吸着位置Ｓ１の保持部２０が供給位置Ｓまで移動することで、当該保持部２０に吸着されている切断オブラート１５ａは、供給位置Ｓにおいて平な状態で下向き姿勢となる。また、回転供給体１８が回転することで第２吸着位置Ｓ２に位置する保持部２０に吸着されている帯状オブラート１５が引っ張られ、対応する原反ロール１６から帯状オブラート１５が引き出される。なお、帯状オブラート１５は、回転供給体１８の間欠回転に合わせて間欠走行される前記補助コンベヤ２４の吸着ベルト２４ａによっても移送され、原反ロール１６から引き出される帯状オブラート１５には、先端部のみに引っ張り力が加わらない。

【0025】

前記搬送コンベヤ１０には、図２に示す如く、物品１４が収容されたトレー１１が、前工程からトレー搬送方向に隣り合う支持ステー２３,２３間の夫々に９列で供給される。そして、各行のトレー１１が前記持上げ位置Ｎまで至って、搬送コンベヤ１０が間欠停止すると、前記各持上げ手段２１の押上げ体３４が昇降手段３５によって退避位置から上昇され、一対の押上げ部３４ａ,３４ａによってトレー１１の幅方向に延出するフランジ１３が下方から支持され、該トレー１１の上面が回転供給体１８の供給位置Ｓに位置付けられている保持部２０に接近する受取り位置Ｍまでトレー１１が持ち上げられる(図４の二点鎖線参照)。トレー１１が受取り位置Ｍに持ち上げられると、前記切替え手段３３によって回転供給体１８は吸着状態から解除状態に切り替えられ、供給位置Ｓに位置する保持部２０の切断オブラート１５ａの吸着は解除され、該切断オブラート１５ａは受取り位置Ｍのトレー１１の物品収容部１２ａに落下供給される。また、回転供給体１８の間欠停止時に、前述したように前記切断手段１９のナイフ３０により回転供給体１８の外周に位置する帯状オブラート１５は、第１吸着位置Ｓ１と第２吸着位置Ｓ２とに位置する保持部２０,２０の境で幅方向に切断される。なお、切替え手段３３による解除状態において、第１吸着位置Ｓ１および第２吸着位置Ｓ２に位置する各保持部２０での帯状オブラート１５および切断オブラート１５ａの吸着は維持されるので、第１吸着位置Ｓ１の保持部２０から切断オブラート１５ａが脱落することはない。

【0026】

前記持上げ手段２１の昇降手段３５によって押上げ体３４が受取り位置Ｍから退避位置まで下降すると、切断オブラート１５ａが供給されたトレー１１は、搬送コンベヤ１０における支持ステー２３,２３間の元の位置に支持される。また、前記切替え手段３３によって回転供給体１８は、解除状態から吸着状態に切り替えられると共に、回転供給体１８は、前記駆動モータ２９により間欠回転され、第１吸着位置Ｓ１の保持部２０の外面に吸着されている切断オブラート１５ａが供給位置Ｓまで移動して位置付けられる。また、第２吸着位置Ｓ２の保持部２０に吸着されている帯状オブラート１５が引っ張られて原反ロール１６から引き出され、第１吸着位置Ｓ１と第２吸着位置Ｓ２とに亘って帯状オブラート１５が臨む。そして、回転供給体１８の間欠停止時に、前記切断手段１９のナイフ３０によって帯状オブラート１５が幅方向に切断される。

【0027】

前記切断オブラート１５ａが供給されたトレー１１が、前記押付け手段３６の下方まで搬送されて間欠停止すると、該押付け手段３６は、図４に示す如く、昇降手段３８によって押付け体３７を退避位置から押付け位置まで下降し、トレー１１に供給されている切断オブラート１５ａを物品１４に押し付ける。これにより、粘着性を有する物品１４に切断オブラート１５ａが粘着し、該切断オブラート１５ａは、トレー１１に収容されている複数の物品１４を覆う状態に維持される。そして、押付け手段３６によって切断オブラート１５ａが物品１４に押し付けられたトレー１１は、搬送コンベヤ１０によって包装工程等の次工程に搬送される。

【0028】

実施例のオブラート供給装置は、前記回転供給体１８における平坦な保持部２０に帯状オブラート１５を吸着して引き出すと共に、該帯状オブラート１５から切り離された切断オブラート１５ａを保持部２０に平に吸着して供給位置Ｓに位置付けることができるので、切断オブラート１５ａをトレー１１の物品収容部１２ａに平な状態で供給することができる。すなわち、回転供給体１８の回転によって原反ロール１６から引き出される帯状フィルム１５に円弧の癖が付くことはなく、トレー１１に収容されている物品１４に対して切断オブラート１５ａの一部のみが先に接触するのを抑制でき、該切断オブラート１５がカールするのを防ぐことができる。従って、トレー１１に収容した物品１４の乾燥を切断オブラート１５ａで防ぐことができると共に、トレー１１に供給された切断オブラート１５ａに起因する後工程での不具合の発生を防ぐことができる。また、切断オブラート１５ａをトレー１１に供給する際には、トレー１１を搬送コンベヤ１０から持ち上げて供給位置Ｓに位置付けた保持部２０に接近させるので、吸着の解除により保持部２０から離れた切断オブラート１５ａを、トレー１１の物品収容部１２に対して適切な位置に供給することができる。すなわち、軽量な切断オブラート１５ａの落下中の前後・左右への変移を抑えて、該切断オブラート１５ａを物品収容部１２の適切な位置に供給できる。

【0029】

実施例のオブラート供給装置は、帯状オブラート１５の原反ロール１６を支持するロール支持部１７、回転供給体１８、切断手段１９、持上げ手段２１、押付け手段３６を、搬送コンベヤ１０で搬送されるトレー１１の列数と同数だけ備えているので、複数の切断オブラート１５ａを複数のトレー１１に一度に供給することができ、処理能力を向上することができる。また、各回転供給体１８に対応して切断手段１９を配設しているので、各回転供給体１８の外面に吸着されている帯状オブラート１５の張り具合等が異なっている場合であっても、対応する帯状オブラート１５を適切に切断できる。更に、切断手段１９は、回転供給体１８の溝１８ａにナイフ３０を突入して帯状オブラート１５を切断するので、軟質な帯状オブラート１５の切断を良好に行うことができる。更にまた、切断手段１９は、帯状オブラート１５における切断位置を挟む両側で、該帯状オブラート１５を支え部材３２,３２で保持部２０に押し付けた状態でナイフ３０によって切断するので、帯状オブラート１５の切断をより良好に行うことができる。

【0030】

実施例のオブラート供給装置は、前記ロール支持部１７と回転供給体１８との間の帯状オブラート１５の移送路に、帯状オブラート１５を移送可能な補助コンベヤ２４を配設し、該補助コンベヤ２４と回転供給体１８とによって原反ロール１６から帯状オブラート１５を引き出すので、該帯状オブラート１５に加わる引っ張り力が分散され、帯状オブラート１５が破断するのを抑制できる。また、搬送コンベヤ１０で搬送されるトレー１１の列数に対応する数のロール支持部１７をトレー搬送方向に分散して配置したので、トレー１１の列数に対応する全てのロール支持部１７を横方向に並べて配置する場合に比べて横幅寸法を小さくすることができ、オブラート供給装置を小型化することができる。また、トレー１１に供給された切断オブラート１５ａを、押付け手段３６によって物品１４に粘着するように押し付けるよう構成したので、物品１４と切断オブラート１５ａとを密着させることができ、物品１４の乾燥を抑制できる。また、切断オブラート１５ａを物品１４に密着させることで、トレー１１の次工程への搬送に際して切断オブラート１５ａが捲れ上がるのを防ぐことができる。

【0031】

(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 回転供給体１８に設ける保持部２０の数は、６つに限らず３つ以上の複数であってもよい。また、回転供給体１８は、周方向に隣り合う保持部２０,２０の間の外周が弧状に形成された形状であったり、あるいは回転軸２８に放射状に設けた支持部に保持部２０を設けると共に、周方向に隣り合う保持部２０,２０の間の空所にナイフ３０の受部を設ける等、周方向に離間して設けた各保持部２０に帯状オブラート１５を吸着すると共に、周方向に隣り合う保持部２０,２０の間で帯状オブラート１５を切断することができる各種の形状を採用することができる。
(2) ロール支持部１７(供給源)、回転供給体１８、切断手段１９、持上げ手段２１、押付け手段３６の配設数は、搬送コンベヤ１０で搬送されるトレー１１の列数に対応していればよく、１つまたは２つ以上の複数であってもよい。
(3) 押付け手段３６は、物品１４の性状やトレー１１における物品収容部１２ａの形状等の条件に応じて設けられるものであればよく、条件によっては省略することができる。
(4) 回転供給体１８における保持部２０の吸着を解除する際に、該保持部２０から切断オブラート１５ａを離間させる方向にエアを吹き出すエア吹き出し手段を保持部２０に設け、該エア吹き出し手段によって保持部２０から切断オブラート１５ａを積極的に落下させる構成を採用することができる。

【符号の説明】

【0032】

１０ 搬送コンベヤ，１１ トレー，１２ａ 物品収容部，１４ 物品
１５ 帯状オブラート，１５ａ 切断オブラート，１６ 原反ロール(供給源)
１７ ロール支持部(供給源)，１８ 回転供給体，１８ａ 溝，１９ 切断手段
２０ 保持部，２１ 持上げ手段，２４ 補助コンベヤ，２４ａ 吸着ベルト
３０ ナイフ，３６ 押付け手段，Ｓ 供給位置

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】