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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057715
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】トンネル掘削機の位置姿勢測定装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/093 20060101AFI20240418BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240418BHJP
   G01C 11/02 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
E21D9/093 B
G01C15/00 104A
G01C15/00 104D
G01C11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164559
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514018238
【氏名又は名称】株式会社きんそく
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 政美
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 太三
(72)【発明者】
【氏名】山崎 友誉
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 憲二
(72)【発明者】
【氏名】▲土▼本 裕之
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AA01
2D054AA02
2D054AC01
2D054AD02
2D054GA02
2D054GA04
2D054GA62
2D054GA82
2D054GA94
(57)【要約】
【課題】測定用機器を盛り替える必要がないトンネル掘削機の位置姿勢測定装置を提供すること。
【解決手段】掘進中に進行する掘進進行部に掘進進行マーカ21が、掘進中に停止する掘進停止部に掘進停止マーカ22がそれぞれ配置され、マーカ画像を撮像する撮像手段23がシールド掘進機1に配置され、相対位置関係情報取得手段201がマーカ画像に基づいて掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対位置関係情報を取得し、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202が掘進停止マーカ絶対位置情報を取得し、掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203が掘進停止マーカ絶対位置情報と相対位置関係情報に基づき掘進進行マーカ絶対位置情報を取得し、トンネル掘削機位置姿勢測定手段205が掘進進行マーカ絶対位置情報に基づいてシールド掘進機1の位置と姿勢の少なくともいずれかを求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘進中に進行する掘進進行部と掘進中に停止している掘進停止部とを有するトンネル掘削機の位置姿勢測定装置であって、
制御部と、
前記掘進進行部に配置される掘進進行マーカと、
前記掘進停止部に配置される掘進停止マーカと、
前記トンネル掘削機に配置されるとともに前記掘進進行マーカと前記掘進停止マーカとを含むマーカ画像を撮像可能な撮像手段と、を有し、
前記制御部は、
前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記撮像制御手段によって前記撮像手段が撮像したマーカ画像に基づいて、前記掘進進行マーカと前記掘進停止マーカとの相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得する相対位置関係情報取得手段と、
前記掘進停止マーカの絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報を取得する掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段と、
前記掘進停止マーカ絶対位置情報と前記相対位置関係情報とに基づいて前記掘進進行マーカの絶対的な位置を示す掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段と、
前記掘進進行マーカ絶対位置情報に基づいてトンネル掘削機の位置または姿勢の少なくともいずれかを求めるトンネル掘削機位置姿勢測定手段と、を備える
ことを特徴とするトンネル掘削機の位置姿勢測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、掘進中に前記撮像制御手段の制御により前記撮像手段が撮像した掘進中マーカ画像を取得し、
前記相対位置関係情報取得手段は、前記掘進中マーカ画像に基づいて前記相対位置関係情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機の位置姿勢測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、掘進していないときであって前記掘進停止部が停止しているときに、前記撮像制御手段の制御により前記撮像手段が撮像した掘進停止中マーカ画像を取得し、
前記相対位置関係情報取得手段は、前記掘進停止中マーカ画像に基づいて前記相対位置関係情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機の位置姿勢測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、掘進していないときの前記掘進進行マーカの絶対的な位置を示す掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段を備えるとともに、前記掘進していないときであって前記掘進停止部が停止しているときに前記撮像制御手段の制御により前記撮像手段が撮像した掘進停止中マーカ画像を取得し、
前記相対位置関係情報取得手段は、前記掘進停止中マーカ画像に基づいて前記相対位置関係情報を取得し、
前記掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段は、前記掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報と前記相対位置関係情報とに基づいて前記掘進停止マーカ絶対位置情報を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル掘削機の位置姿勢測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法において地山を掘削するシールド掘進機をはじめとするトンネル掘削機の位置姿勢測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法等により、所定のトンネル線形に合わせて地山を掘削するには、トンネル掘削機の位置や姿勢を把握し、トンネル掘削機の位置及び姿勢を随時修正する必要がある。
【0003】
トンネル掘削機の位置や姿勢を測量するには、既設トンネル内にトータルステーション等の測量機器を設置し、後方の基準点を視準して測量機器の位置を把握し、次いで、トンネル掘削機に設けたターゲットを視準するのが一般的である。
【0004】
また、特許文献1には、トンネル内に設置した2台のCCDカメラによりシールド機に設けたターゲットを撮像し、撮像したターゲットを画像処理してターゲットの位置を求め、シールド機が進行するにしたがって、2台のCCDカメラを順次盛り替えつつシールド機の位置を測定するシールド機の自動測量方法が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献2には、掘進機の複数個所に設けたターゲットを既設トンネル内に設置したカメラで撮影し、カメラからの画像信号を処理してターゲットの位置座標を検出し、ターゲットの位置座標の初期値及び掘進機の屈伸距離から求められるターゲットの間隔及びカメラにより撮影された画像から検出されたターゲット画像の間隔に基づいて掘進機の偏向角度を求める掘進機の測量システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-137069号公報
【特許文献2】特許第4871163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のようなシールド機の自動測量方法や、特許文献2に記載のような掘進機の測量システムは、カメラを備えた測量機器がトンネル内に設置されるので、トンネル径が小さい場合は、坑内を運行する配管材運搬用台車、セグメント、掘削度搬出用車両との間隔を取りにくく、トンネルが湾曲している個所では、掘削機後方の機器類が邪魔になって掘進中の測量ができない。
また、掘進が進行するのに伴って測量機器を盛り替えなければならず、この盛り替え作業に多大な時間と手間を要した。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、トンネルが小径であったり湾曲していたりしても、トンネル掘削機の位置と姿勢の少なくとも一方を測定でき、測定のための機器を盛り替える必要がないトンネル掘削機の位置姿勢測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1に係る発明は、掘進中に進行する掘進進行部と掘進中に停止している掘進停止部とを有するトンネル掘削機の位置姿勢測定装置であって、制御部と、前記掘進進行部に配置される掘進進行マーカと、前記掘進停止部に配置される掘進停止マーカと、前記トンネル掘削機に配置されるとともに前記掘進進行マーカと前記掘進停止マーカとを含むマーカ画像を撮像可能な撮像手段と、を有し、前記制御部は、前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、前記撮像制御手段によって前記撮像手段が撮像したマーカ画像に基づいて、前記掘進進行マーカと前記掘進停止マーカとの相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得する相対位置関係情報取得手段と、前記掘進停止マーカの絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報を取得する掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段と、前記掘進停止マーカ絶対位置情報と前記相対位置関係情報とに基づいて前記掘進進行マーカの絶対的な位置を示す掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段と、前記掘進進行マーカ絶対位置情報に基づいてトンネル掘削機の位置または姿勢の少なくともいずれかを求めるトンネル掘削機位置姿勢測定手段と、を備えることを特徴とするトンネル掘削機の位置姿勢測定装置である。
【0010】
本願請求項2に係る発明は、前記制御部は、掘進中に前記撮像制御手段の制御により前記撮像手段が撮像した掘進中マーカ画像を取得し、前記相対位置関係情報取得手段は、前記掘進中マーカ画像に基づいて前記相対位置関係情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機の位置姿勢測定装置である。
【0011】
本願請求項3に係る発明は、前記制御部は、掘進していないときであって前記掘進停止部が停止しているときに、前記撮像制御手段の制御により前記撮像手段が撮像した掘進停止中マーカ画像を取得し、前記相対位置関係情報取得手段は、前記掘進停止中マーカ画像に基づいて前記相対位置関係情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機の位置姿勢測定装置である。
【0012】
本願請求項4に係る発明は、前記制御部は、掘進していないときの前記掘進進行マーカの絶対的な位置を示す掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段を備えるとともに、前記掘進していないときであって前記掘進停止部が停止しているときに前記撮像制御手段の制御により前記撮像手段が撮像した掘進停止中マーカ画像を取得し、前記相対位置関係情報取得手段は、前記掘進停止中マーカ画像に基づいて前記相対位置関係情報を取得し、前記掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段は、前記掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報と前記相対位置関係情報とに基づいて前記掘進停止マーカ絶対位置情報を取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトンネル掘削機の位置姿勢測定装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定のための撮像手段が、トンネル内面ではなく、トンネル掘削機の掘進進行部に取り付けられているので、トンネル径が小さい場合であっても、トンネル坑内を搬送用車両等が運行するのを阻害することはなく、トンネルが湾曲していても、トンネル掘削機の後方に設置された機器類にさえぎられて撮像不能になることもない。
また、撮像手段は、トンネル掘削機の掘進中も掘進進行部とともに進行するので、トンネル掘削の進行に伴って盛り替える必要がなく、盛り替え作業に要する手間と時間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るトンネル掘削機の斜視図である。
図2】本発明の実施形態を示すトンネル掘削機の位置姿勢測定装置のブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るマーカ画像の概略図である。
図4】本発明の実施形態に係るトンネル掘削機の掘進前の要部断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るトンネル掘削機の掘進開始時の要部断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るトンネル掘削機の掘進中の要部断面図である。
図7】本発明の実施形態に係るトンネル掘削機の掘進完了時の要部断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るトンネル掘削機のセグメント組立中の要部断面図である。
図9】本発明の実施形態に係るメイン制御のフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係るサブ制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0016】
図1は実施形態に係るトンネル掘削機の斜視図、図2は実施形態を示すトンネル掘削機の位置姿勢測定装置のブロック図、図3は実施形態に係るマーカ画像の概略図、図4は実施形態に係るトンネル掘削機の掘進前の要部断面図、図5は実施形態に係るトンネル掘削機の掘進開始時の要部断面図、図6は実施形態に係るトンネル掘削機の掘進中の要部断面図、図7は実施形態に係るトンネル掘削機の掘進完了時の要部断面図、図8は実施形態に係るトンネル掘削機のセグメント組立中の要部断面図、図9は実施形態に係るメイン制御のフローチャート、図10は実施形態に係るサブ制御のフローチャートである。
【0017】
本実施形態は、シールド掘進機1の位置姿勢測定装置2であって、シールド掘進機1の位置及び姿勢を測定する。シールド掘進機1の姿勢とは、シールド掘進機1の中心軸に対する回転量、上下方向の傾き、幅方向の傾きを指す。
なお、以下の説明において、前とはシールド掘進機1が進行する方向であり、後とはその逆方向である。
【0018】
図1に示すように、シールド掘進機1は、前胴部10と、カッタヘッド11と、後胴部12と、スキンプレート13と、セグメント組立足場14と、リングガータ15と、シールドジャッキ16と、を備える。
【0019】
前胴部10の前端にはカッタヘッド11が回転可能に設置され、カッタヘッド11がモータで駆動されて地山を掘削する。
後胴部12は前胴部10の後端部内側に屈曲可能に嵌め込まれ、前胴部10及び後胴部12の外周面には、シールド掘進機1の外殻となる円筒形のスキンプレート13が設けられる。
【0020】
セグメント組立足場14は、後胴部12の内部に固定されているフレーム状のもので、リングガータ15は、後胴部12にトンネルの周方向に沿って設置される。
シールド掘進機1が所定距離前進して停止すると、後胴部12の内部に設けられた図示しないエレクタによりセグメントピースが既設のセグメント3の前端に組み立てられる。セグメントピースの組み立ての際には、作業員がセグメント組立足場14を用いられる。
【0021】
シールドジャッキ16は、後胴部12に複数設けられ、周方向に間隔をあけて配置される。
シールドジャッキ16は、後胴部12に固定されたシリンダ160、シリンダ160の後端から伸縮するロッド161、及び、ロッド161の後端に設けられたスプレッダ162を備える。
【0022】
シールドジャッキ16のスプレッダ162をセグメント3の前端面に当接し、カッタヘッド11を回転させながら、シールドジャッキ16のロッド161を伸長させることにより、シールド掘進機1が掘進する。
シールド掘進機1が所定距離前進したら、カッタヘッド11を停止し、シールドジャッキ16のロッド161を退縮させた部分において、既設のセグメント3の前端に新たなセグメントピースを取り付ける。
【0023】
すなわち、前胴部10、カッタヘッド11、後胴部12、スキンプレート13、セグメント組立足場14、リングガータ15、及び、シールドジャッキ16のシリンダ160は、シールド掘進機1の掘進中に進行する掘進進行部に含まれ、シールドジャッキ16のロッド161及びスプレッダ162は、シールド掘進機1の掘進中に停止している掘進停止部に含まれる。
【0024】
図1及び図2に示すように、シールド掘進機1の位置姿勢測定装置2は、制御部20、掘進進行部に配置される掘進進行マーカ21、掘進停止部に配置される掘進停止マーカ22、及び、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とを含むマーカ画像を撮像可能な撮像手段23を有する。
【0025】
掘進進行マーカ21は、例えば、直径30mm程度の反射シートが設けられたものであり、シールド掘進機1の掘進進行部に取り付けられる。
本実施形態では、掘進進行マーカ21は、リングガータ15の後面の3か所に、周方向に間隔をあけて配置される。
【0026】
掘進停止マーカ22は、例えば、直径30mm程度の反射シートが設けられたものであり、シールド掘進機1の掘進停止部に取り付けられる。
本実施形態では、掘進停止マーカ22は、3本のシールドジャッキ16におけるロッド161の後端面に各々取り付けられる。
【0027】
シールドジャッキ16のスプレッダ162がセグメント3の前端面に当接され、シールド掘進機1の掘進も停止している状態では、掘進進行マーカ21及び掘進停止マーカ22はいずれも停止している。
シールド掘進機1の掘進が開始すると、シールドジャッキ16のロッド161の後端面に取り付けられた掘進停止マーカ22は停止しているが、掘進進行部に取り付けられた掘進進行マーカ21は前進する。
【0028】
シールド掘進機1の掘進が停止すると、いったん掘進進行マーカ21及び掘進停止マーカ22が停止する。さらに、セグメント3の前端にセグメントピースを取り付けるセグメントを組み立ての際には、シールドジャッキ16のロッド161を退縮させるので、掘進進行マーカ21は停止し、掘進停止マーカ22は前進する。
【0029】
撮像手段23は、光学式モーションキャプチャ等に用いられるステレオカメラなどの3Dカメラであって、本実施形態では、3台のカメラが掘進進行部であるセグメント組立足場14に固定される。
従って、撮像手段23は、掘進進行マーカ21と一体に掘進に応じて移動する。
【0030】
撮像手段23は、掘進前後に渡って掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とを撮像できる範囲の画角を備えたもので、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とを同時に撮像できる位置に配置されている。
【0031】
制御部20は、撮像手段23と接続されるコンピュータに内蔵され、撮像制御手段200と、相対位置関係情報取得手段201と、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202と、掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203と、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204と、トンネル掘削機位置姿勢測定手段205とを有する。
【0032】
撮像制御手段200は、撮像手段23を制御し、シールドジャッキ16のストローク或いはタイマーなどをトリガーとして、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とを含むマーカ画像(図3参照)を撮像させる。
【0033】
撮像制御手段200は、シールド掘進機1の掘進中(掘進進行マーカ21が前進し、掘進停止マーカ22が停止している時)に撮像手段23を作動させて、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とを含んだ掘進中のマーカ画像である掘進中マーカ画像を撮像させる。
【0034】
また、撮像制御手段200は、シールド掘進機1が掘進していないときであって掘進停止部が停止しているとき(掘進進行マーカ21及び掘進停止マーカ22が停止している時)に撮像手段23を作動させて、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とを含んだ掘進停止中のマーカ画像である掘進停止中マーカ画像を撮像させる。
【0035】
なお、マーカ画像上で掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22を識別しやすいように、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とは色或いは形を変えて形成するのが望ましい。
【0036】
相対位置関係情報取得手段201は、撮像手段23が撮像したマーカ画像に基づいて、画像解析により、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得する。
相対的な位置関係情報とは、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す情報であって、例えば、座標値やベクトルで示されるものである。
【0037】
相対位置関係情報取得手段201は、シールド掘進機1の掘進中に撮像手段23が撮像した掘進中マーカ画像に基づいて掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対位置関係情報を取得する。
相対位置関係情報取得手段201は、シールド掘進機1が掘進していないときであって掘進停止部が停止しているときに、撮像手段23が撮像した掘進停止中マーカ画像に基づいて掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対位置関係情報を取得する。
【0038】
掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202は、掘進停止マーカ22の絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報を取得する。掘進停止マーカ絶対位置情報とは、例えば所定の座標系における座標値で示されるものである。
【0039】
シールド掘進機1の掘進中、及び、シールド掘進機1が所定距離進行した直後において、掘進しておらずシールドジャッキ16のロッドが伸縮していないときには、シールドジャッキ16のスプレッダ162がセグメント3の前端面に当接し、ロッド161の後端に取り付けられた掘進停止マーカ22の絶対的な位置は変化しない。
【0040】
掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203は、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202が取得した掘進停止マーカ絶対位置情報と、相対位置関係情報取得手段201が取得した相対位置関係情報とに基づいて、掘進進行マーカ21の絶対的な位置を示す掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する。掘進進行マーカ絶対位置情報とは、例えば所定の座標系における座標値で示されるものである。
【0041】
掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203は、シールド掘進機1の掘進中に、停止している掘進停止マーカ22の掘進停止マーカ絶対位置情報と、掘進中マーカ画像に基づいた相対位置関係情報とから、掘進進行マーカ21の掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する。
一方、掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203は、シールド掘進機1が掘進していないときであって掘進停止部が停止しているときは、掘進停止マーカ22の掘進停止マーカ絶対位置情報と、掘進停止中マーカ画像に基づいた相対位置関係情報とから、掘進進行マーカ21の掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する。
【0042】
掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204は、シールド掘進機1が掘進していないときの掘進進行マーカ21の絶対的な位置を示す掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する。
シールド掘進機1が掘進していないとき掘進進行マーカ21は停止しているので、シールドジャッキ16のロッドが伸縮して掘進停止マーカ22が移動しても、掘進進行マーカ21の絶対位置は変わらない。
【0043】
トンネル掘削機位置姿勢測定手段205は、掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203あるいは掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204が取得した掘進進行マーカ絶対位置情報に基づいて、シールド掘進機1の位置及び姿勢を求める。
掘進進行マーカ21は、シールド掘進機1の掘進進行部にシールド掘進機1との相対的な位置関係が予め既知となるように取り付けられているので、掘進進行マーカ21の絶対位置によって掘進進行部、すなわちシールド掘進機1の位置及び姿勢を知ることができる。
【0044】
相対位置関係情報取得手段201、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202、掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204、及び、トンネル掘削機位置姿勢測定手段205は、記憶部24に接続され、記憶部24には、相対位置関係情報、掘進停止マーカ絶対位置情報、掘進進行マーカ絶対位置情報、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報が保存される。
また、記憶部24は、撮像手段23に接続され、記憶部24には、撮像手段23が取得したマーカ画像が保存される。
【0045】
位置姿勢測定装置2は、次のようにしてシールド掘進機1の位置及び姿勢を測定する。
図4に示すような、シールドジャッキ16のロッド161が縮んで、あるリングのセグメント3の組み立てが完了した状態から次の状態から測定が行われるものとして説明する。
【0046】
図5に示すように、掘進を開始するために、シールドジャッキ16のスプレッダ162が反力を得るための押圧部である組み立てられたセグメント3の前端面に当接される。
【0047】
この状態で掘進進行マーカ21の絶対位置情報(絶対座標)を取得する。この絶対位置情報は、掘進していないときの掘進進行マーカ21の絶対的な位置を示す掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報であり、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204に取得されるものである。
最初の掘進進行マーカ21の絶対位置情報は、既存の測量などにより与えられる。
【0048】
例えば、シールド掘進機1を既存の測量によって、シールド掘進機1の後胴部12の中心など管理点の位置及びローリングなど姿勢の絶対位置情報が得られれば、掘進進行マーカ21のシールド掘進機1に対する相対的位置が既知であるので、測量結果に基づいて最初の掘進進行マーカ21の掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報を算出して取得することができる。具体的には、測量によって得られた最初のシールド掘進機1の位置や姿勢の絶対位置情報を記憶部24に入力、保存され、当該情報に基づいて掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204が最初の掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報を取得する。
【0049】
また、図5に示す状態(トンネル掘削開始前の掘進していないときであって掘進停止部が停止しているとき)において、制御部20は、撮像制御手段200を制御して撮像手段23に掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22を撮像させ、掘進停止中マーカ画像を取得する。
相対位置関係情報取得手段201が、撮像手段23が撮像した掘進停止中マーカ画像に基づいて、画像解析により、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得する。
【0050】
そして、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202が、最初の掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報と、最初の掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報とに基づいて、掘進していないときであって掘進停止部が停止しているときの掘進停止マーカの絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報を算出し取得し、記憶部24に保存する。
【0051】
次いで、図6に示すように、シールド掘進機1の掘進を開始し、カッタヘッド11を回転させながら、シールドジャッキ16のロッド161を伸長させる。
この時、掘進進行マーカ21及び撮像手段23は前進するが、掘進停止マーカ22は停止したままであり、その絶対位置は変化しない。
【0052】
シールド掘進機1の掘進中には、例えばシールドジャッキ16のストロークにおける所定のピッチ毎に制御部20の撮像制御手段200によって撮像手段23を制御し、掘進進行マーカ21及び掘進停止マーカ22を含む掘進中マーカ画像を撮像する。
【0053】
相対位置関係情報取得手段201は、撮像された掘進中マーカ画像に基づいて掘進中の掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得し記憶部24に保存する。
【0054】
掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203は、記憶部24から読み出した掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報と、先の掘進していないときであって掘進停止部が停止しているときの掘進停止マーカ22の絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報とに基づいて、掘進中に進行する掘進進行マーカ21の絶対的な位置(絶対座標)を示す掘進進行マーカ絶対位置情報を取得して、記憶部24に保存する。
【0055】
トンネル掘削機位置姿勢測定手段205は、掘進中の掘進進行マーカ絶対位置情報を記憶部24から読み取り、これに基づいてシールド掘進機1の位置及び姿勢を求める。
トンネル掘削機位置姿勢測定手段205が求めたシールド掘進機1の位置及び姿勢は、制御部20に接続されたモニタ25に表示される。
【0056】
このように、掘進中にシールド掘進機1の位置・姿勢をリアルタイムに測定することができる。
予め記憶部24にトンネルの線形計画や予想される姿勢を入力しておき、測定結果との対比もモニタ25に表示するようにしても良い。この場合には、計画と実際の差にいち早く気づくことができる。
【0057】
シールド掘進機1が1リング分の距離だけ前進して停止すると、図7に示すように掘進進行マーカ21、掘進停止マーカ22及び撮像手段23が停止することになる。
この時、撮像制御手段200が撮像手段23を制御し、掘進進行マーカ21及び掘進停止マーカ22を含む掘進停止中マーカ画像が撮像される。
【0058】
相対位置関係情報取得手段201は、撮像された掘進停止中マーカ画像に基づいて、掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対位置関係情報を算出する。
【0059】
掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204は、算出された相対位置関係情報と掘進停止マーカ22の絶対座標とに基づいて、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報(停止している掘進進行マーカ21の絶対座標)を取得し記憶部24に保存する。
この掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報を取得することで、セグメント3の組み立て工程におけるロッド161の縮小によって掘進停止マーカ22が移動しても次の掘進に際して既存の測量を用いることなく、掘進停止マーカ絶対位置情報を復旧させることができる。
【0060】
次に、図8に示すように、セグメント3の組み立て工程となる。シールドジャッキ16のロッド161を退縮させ、既設のセグメント3の前端に新たなセグメントピース3aを取り付ける。
セグメント組立中は、撮像手段23によるマーカ画像の撮像は行わない。
【0061】
セグメントの組み立てが終了したら、シールドジャッキ16のロッド161を伸長し、スプレッダ162をセグメント3の前端に当接させて、図5で示したようなシールドジャッキ16の状態として、次のリングの掘進を開始できる状態にする。
【0062】
スプレッダ162がセグメント3に当接して掘進停止マーカ22が停止すると、撮像手段23が掘進進行マーカ21及び掘進停止マーカ22を含む掘進停止中マーカ画像を撮像する。
この掘進停止中マーカ画像は記憶部24へ送られ、相対位置関係情報取得手段201は、記憶部24から読み出した掘進停止中マーカ画像に基づいて掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対位置関係情報を算出する。
【0063】
掘進停止中マーカ画像から算出した相対位置関係情報、及び、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報は記憶部24へ送られ、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202は、記憶部24から読み出した相対位置関係情報と掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報とに基づいて新たな掘進停止マーカ絶対位置情報を取得する。
そして次のリングの掘進を開始して、同様に、掘進停止マーカ絶対位置情報と、掘進中に取得される掘進中マーカ画像から算出される相対位置関係情報とに基づいて掘進進行マーカ絶対位置情報を取得し、シールド掘進機1の位置、姿勢が測定される。
以降これが繰り返される。
【0064】
本発明によれば、測定のための撮像手段23が、トンネル内面ではなく、シールド掘進機1の掘進進行部(セグメント組立足場14)に取り付けられているので、トンネル径が小さい場合であっても、トンネル坑内を搬送用車両等が運行するのを阻害することはなく、トンネルが湾曲していても、シールド掘進機1の後方に設置される機器類にさえぎられて撮像不能になることもない。
また、撮像手段23は、シールド掘進機1の掘進中も掘進進行部(セグメント組立足場14)とともに進行するので、トンネル掘削の進行に伴って盛り替える必要がなく、盛り替え作業に要する手間と時間を省くことができる。
【0065】
位置姿勢測定装置2によるシールド掘進機1の位置及び姿勢測定の流れを図9及び図10に示す。
【0066】
まず、図9に示すように、測定を開始すると、制御部20はメイン制御を開始し、ステップ1(S1)において、図5に示された状態のように、掘進を開始するために、シールドジャッキ16のスプレッダ162が反力を得るための押圧部である組み立てられたセグメント3の前端面に当接されたことを検知する。当該検知は公知の手段で行えば良い。
【0067】
次に、ステップ2(S2)において、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204が、最初の掘進進行マーカ21の絶対位置情報(絶対座標)を取得する。この絶対位置情報は、掘進していないときの掘進進行マーカ21の絶対的な位置を示す掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報であり、上述したように、最初の掘進進行マーカ21の絶対位置情報は、既存の測量などに基づいて与えられる。
【0068】
次に、ステップ3(S3)において、サブ制御を行う。
【0069】
サブ制御は、図10に示すように、ステップ100(S100)において、撮像手段23によってマーカ画像を撮像し、次いで、ステップ101(S101)において、相対位置関係情報取得手段201がマーカ画像に基づいて掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得して終了する。
【0070】
ここでのサブ制御では、掘進開始前であって、シールド掘進機1が掘進しておらず、掘進停止部も停止しているので、撮像手段23は掘進停止中マーカ画像を撮像し(ステップ100(S100))、相対位置関係情報取得手段201が掘進停止中マーカ画像に基づいて掘進開始前の掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得する(ステップ101(S101))。
【0071】
メイン制御に戻り、図9に示すように、ステップ4(S4)において、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202が、ステップ2(S2)で取得した最初の掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報と、ステップ3(S3)で取得した最初の掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報とに基づいて、掘進していないときであって掘進停止部が停止しているときの掘進停止マーカの絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報を算出し取得する。
【0072】
次に、シールドジャッキ16のロッド161を伸長させてシールド掘進機1を掘進させる(図6)と、ステップ5(S5)において、制御部20は、掘進が開始されたことを検知し、シールドジャッキ16のストロークにおける所定のピッチ毎に達することをトリガーにして撮像手段23を作動させ、掘進中のシールド掘進機1の位置姿勢測定を開始する。当該掘進が開始されたことの検知は公知の手段で行えば良い。
【0073】
次いで、ステップ6(S6)で、シールド掘進機1が1リング分のジャッキストロークのうち例えば所定のピッチだけ掘進したかを判断し、所定のピッチだけ掘進していなければステップ6(S6)の判断を繰り返し、所定のピッチだけ掘進していれば、ステップ7(S7)に進む。
【0074】
次に、ステップ7(S7)において、サブ制御を行う。
【0075】
サブ制御は、図10に示すように、ステップ100(S100)において、撮像手段23によってマーカ画像を撮像し、次いで、ステップ101(S101)において、相対位置関係情報取得手段201がマーカ画像に基づいて掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得して終了する。
【0076】
ここでのサブ制御では、シールド掘進機1が掘進中で、掘進停止部が停止しているので、撮像手段23は掘進中マーカ画像を撮像し(ステップ100(S100))、相対位置関係情報取得手段201が掘進中マーカ画像に基づいて掘進中の掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得する(ステップ101(S101))。
【0077】
メイン制御に戻り、図9に示すように、ステップ8(S8)において、掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段203が、ステップ4(S4)で取得した掘進停止マーカの絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報と、ステップ6(S6)で取得した掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報とに基づいて、掘進中の掘進進行マーカの絶対的な位置を示す掘進進行マーカ絶対位置情報を算出し取得する。
【0078】
その後、ステップ9(S9)において、トンネル掘削機位置姿勢測定手段205が、掘進進行マーカ絶対位置情報に基づいてシールド掘進機1の位置及び姿勢を求めた後、ステップ10(S10)において、制御部20が測定結果を任意の表示でモニタ25に表示する。
【0079】
次いで、ステップ11(S11)で、シールド掘進機1が1リング分の掘進が完了したかを判断し、1リング分の掘進が完了していなければステップ6(S6)の前に戻って次の所定のピッチの掘進を判断し、同様の掘進中の計測処理を繰り返し、1リング分の掘進が完了していれば、シールド掘進機1の掘進停止中の処理のステップ12(S12)に進む。
【0080】
次に、ステップ12(S12)において、サブ制御を行う。
【0081】
サブ制御は、図10に示すように、ステップ100(S100)において、撮像手段23によってマーカ画像を撮像し、次いで、ステップ101(S101)において、相対位置関係情報取得手段201がマーカ画像に基づいて掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得して終了する。
【0082】
ここでのサブ制御では、シールド掘進機1が先の1リングを掘進完了しており、掘進しておらず、掘進停止部が停止しているので、撮像手段23は掘進停止中マーカ画像を撮像し(ステップ100(S100))、相対位置関係情報取得手段201が掘進停止中マーカ画像に基づいて掘進完了後の掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報を取得する(ステップ101(S101))。
【0083】
メイン制御に戻り、図9に示すように、ステップ13(S13)において、掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段204が、ステップ4(S4)で取得した掘進停止マーカの絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報と、ステップ12(S12)で取得した掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報とに基づいて、掘進停止中の掘進進行マーカの絶対的な位置を示す掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報を算出し取得する。
【0084】
次に、ステップ14(S14)において、制御部20はセグメントの組み立てが開始されたことを公知の手段により検知する。シールド掘進機1では、シールドジャッキ16のロッド161が退縮され、セグメント3の前端にセグメントピース3aを組み立てる作業が行われる。
【0085】
次に、ステップ15(S15)において、制御部20はセグメント組立作業が完了したかを公知の手段により判断する。組立中であればステップ15(S15)の前に戻って処理を繰り返し、組立が完了していればステップ16(S16)に進む。
【0086】
ステップ16(S16)では、測定終了を示す信号などにより測定を終了するか否かを判断する。測定が終了していれば処理を終了する。
測定が終了していなければステップ17(S17)に進む。
【0087】
次にステップ17(S17)において、ステップ1(S1)と同様に、掘進を再び開始するために、シールドジャッキ16のスプレッダ162が反力を得るための押圧部である組み立てられたセグメント3の前端面に当接されたことを検知する。
次に、ステップ3(S3)の前に戻り、ステップ3(S3)処理が行われる。
【0088】
この後に続くステップ4(S4)の処理では、掘進停止マーカの絶対位置を取得するために、ステップ13(S13)で取得した掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報が用いられる。すなわち、掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段202が、ステップ13(S13)で取得した掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報と、ステップ3(S3)で取得した掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22との相対的な位置を示す相対位置関係情報とに基づいて、掘進していないときであって掘進停止部が停止しているときの掘進停止マーカの絶対的な位置を示す掘進停止マーカ絶対位置情報を算出し取得する。以降繰り返される。
【0089】
掘進進行マーカ21と掘進停止マーカ22とを含むマーカ画像を撮像可能に撮像手段23は、両マーカを一つの画像に収めて撮像可能な位置に配置されているため、両マーカの相対位置関係情報を得ることができ、撮像手段の位置情報を求める必要がない。
【0090】
掘進中でもリアルタイムにシールド掘進機の位置、姿勢を測定することができる。
【0091】
セグメント組立て中に掘進停止マーカが移動することになるが、その際に、掘進進行マーカが移動しないことを利用して、掘進進行マーカ絶対位置情報を取得するので、従前の人による測量などにより仮ベンチマークから再び絶対位置情報を戻す必要がない。
【0092】
なお、それぞれのステップで取得したデータは、都度、記憶部24に保存されて後に記憶部24から読み込まれて使用されるようにしても良い。
【0093】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0094】
本実施形態では、シールド掘進機の位置姿勢測定装置について説明したが、推進ジャッキを備えたTBM工法の掘削機のような他のトンネル掘削機における位置姿勢測定装置であってもよい。
【0095】
本実施形態では、シールド掘進機の位置姿勢測定装置は、シールド掘進機の位置及び姿勢を共に測定しているが、位置または姿勢のいずれか一方であってもよい。すなわち本発明における「掘削機の位置姿勢測定装置」は、トンネル掘削機の位置または姿勢の少なくともいずれかを測定するものである。
【0096】
本実施形態では、シールド掘進機の後胴部における位置姿勢を測定するものであったが、前胴部と後胴部との相対位置を把握して前胴部における位置姿勢を測定するようにしても良い。
【0097】
本実施形態では、シールド機の掘進中に位置姿勢を測定しているが、掘進停止中にも測定するようにしても良い。
【0098】
本実施形態では、掘進進行マーカ、掘進停止マーカ及び撮像手段はそれぞれ3個ずつ設置しているが、この数に限定されるものではなく、例えば、撮像手段を2個或いは4個以上にしても良い。また、掘進進行マーカ、掘進停止マーカも2個或いは4個以上にしても良い。さらに撮像手段とマーカとの組み合わせについても同じ個数でなくても良い。
すなわち、掘進進行マーカ、掘進停止マーカ及び撮像手段の個数や組み合わせは、諸条件に合わせて設定すれば良い。例えば、トンネル掘削機の位置のみを測定する場合は、掘進進行マーカ及び掘進停止マーカをそれぞれ一つずつ設けるなどである。
【0099】
本実施形態では、精度をあげるために3台のカメラを用いているが台数は限られず、また、各カメラが3つの掘進進行マーカと3つの掘進停止マーカとを一つの画像に収めるように撮像したが、これに限られない。1台のカメラが3つのうちの1組の掘進進行マーカと掘進停止マーカとを一つの画像に収めるようにしても良い。
また、カメラについてもステレオカメラなどの3Dカメラであったが、ステレオカメラでなくても良い。例えば、複数のカメラで一組(一つの掘進進行マーカと一つの掘進停止マーカ)を撮像する光学式のモーションキャプチャのごとく構成するようにしても良い。
【0100】
本実施形態では、掘進進行マーカ及び掘進停止マーカは反射シートであるが、発光体とすることもできる。
【0101】
本実施形態では、複数の掘進停止マーカをそれぞれ別のシールドジャッキのスプレッダに設けたが、これに限られない。複数の掘進停止マーカを一つのシールドジャッキのスプレッダに設けるようにしても良い。この場合には、当該掘進停止マーカが設けられたシールドジャッキが動かないときには測定が可能となるので、他のシールドジャッキの部位におけるセグメント組立て中であっても測定をすることができる。
【0102】
本実施形態では、掘進進行マーカがリングガータに取り付けられているが、掘削作業の邪魔にならない掘進進行部の他の位置に配置することもできる。
また、撮像手段は、セグメント組立足場に取り付けられているが、掘進進行マーカ及び掘進停止マーカを同時に撮像できる位置であれば、掘進進行部のどの位置に配置してもよい。
【0103】
変形例を含むいずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0104】
1 シールド掘進機
10 前胴部
11 カッタヘッド
12 後胴部
13 スキンプレート
14 セグメント組立足場
15 リングガータ
16 シールドジャッキ
160 シリンダ
161 ロッド
162 スプレッダ
2 位置姿勢測定装置
20 制御部
200 撮像制御手段
201 相対位置関係情報取得手段
202 掘進停止マーカ絶対位置情報取得手段
203 掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段
204 掘進停止中掘進進行マーカ絶対位置情報取得手段
205 トンネル掘削機位置姿勢測定手段
21 掘進進行マーカ
22 掘進停止マーカ
23 撮像手段
24 記憶部
25 モニタ
3 セグメント
3a セグメントピース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10