(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057723
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 602
G06F3/041 650
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164571
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 賢智
(57)【要約】
【課題】複数の検出素子に電気的に接続された複数の配線の断線を抑制することが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、検出領域、接続領域及び検出領域と接続領域との間の配線領域を有する基板と、基板の検出領域に配置された複数の検出素子と、基板の接続領域に配置され、複数の検出素子と電気的に接続される複数の端子と、基板の配線領域で、間隔を有して並んで配置され、複数の検出素子と複数の端子とを電気的に接続する複数の接続配線と、基板の配線領域に設けられ、複数の接続配線を覆う絶縁層と、基板の配線領域に設けられ、複数の接続配線の間で、基板及び絶縁層を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域、接続領域及び前記検出領域と前記接続領域との間の配線領域を有する基板と、
前記基板の前記検出領域に配置された複数の検出素子と、
前記基板の前記接続領域に配置され、複数の前記検出素子と電気的に接続される複数の端子と、
前記基板の前記配線領域で、間隔を有して並んで配置され、複数の前記検出素子と複数の前記端子とを電気的に接続する複数の接続配線と、
前記基板の前記配線領域に設けられ、複数の前記接続配線を覆う絶縁層と、
前記基板の前記配線領域に設けられ、複数の前記接続配線の間で、前記基板及び前記絶縁層を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を有する
検出装置。
【請求項2】
曲面を有する筐体と、
前記筐体に設けられ、平坦面を有する台座と、を有し、
前記基板の前記検出領域及び前記配線領域は、前記筐体の前記曲面に設けられ、
前記接続領域は、前記台座の前記平坦面に設けられる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
複数の前記貫通孔は、前記接続配線の延在方向に沿って配列される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
複数の前記貫通孔は、隣り合う前記接続配線の間隔が大きいほど開口面積が大きく形成される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
複数の前記貫通孔は、隣り合う前記接続配線の間隔が大きいほど複数の前記貫通孔の数が多く形成される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
複数の前記貫通孔は、円形状、長円形状又は四角形状である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
複数の前記貫通孔は、スリット状である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項8】
複数の前記貫通孔は、スリット状であり、
前記接続配線の延在方向に沿って延在する第1スリット部と、
前記第1スリット部と交差する第2スリット部と、を含む
請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
複数の前記接続配線は、第1方向で間隔を有して並んで配置され、
前記貫通孔の前記第1方向での開口幅は、前記第1方向で隣り合う前記接続配線の間隔と実質的に等しい
請求項1に記載の検出装置。
【請求項10】
複数の前記接続配線は、それぞれミアンダ状又はジグザグ線状である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項11】
複数の前記接続配線は、第1方向で間隔を有して並んで配置され、
前記第1方向で隣り合う前記接続配線の間隔は、前記基板の前記配線領域の前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の外縁側で大きく形成される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項12】
複数の前記接続配線は、第1方向で間隔を有して並んで配置され、
前記第1方向で隣り合う前記接続配線の間に設けられる前記貫通孔の数は、前記基板の前記配線領域の前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の外縁側で多く形成される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項13】
複数の前記検出素子は、それぞれに加えられる力を検出する圧力センサである
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項14】
複数の前記検出素子は、それぞれに照射される光を検出する光センサである
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リジッド基板と、リジッド基板に積層配置されるストレッチャブル基板と、ストレッチャブル基板上に設けられるストレッチャブル配線と、を含む配線デバイスが記載されている。特許文献1の配線デバイスはひずみセンサに適用される。特許文献2には、反ったり伸びたりしても画像表示が可能なストレッチャブル表示装置が記載されている。特許文献3には、曲げ可能領域を備えたOLED表示装置について記載されている。
【0003】
特許文献4には、互いに隙間を空けて配置された複数の電極を有する圧力センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-029514号公報
【特許文献2】特開2021-103298号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0174304号明細書
【特許文献4】特開2018-146489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1から特許文献3では、変形可能な部分(例えばストレッチャブル基板)と、変形しない部分(例えばリジッド基板)とが接続されている。変形可能な部分の変形の状態によって応力が発生し、配線が断線する可能性がある。あるいは、変形可能な部分と変形しない部分との接続状態によって応力が大きくなり、配線が断線する可能性がある。
【0006】
また、特許文献4に記載されている圧力センサ等の検出装置において、曲面を有する部材に貼り付けて押圧等の物理量を検出する要求がある。この場合、複数の圧力センサから引き出された接続配線に応力が作用し、断線が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、複数の検出素子に電気的に接続された複数の配線の断線を抑制することが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の検出装置は、検出領域、接続領域及び前記検出領域と前記接続領域との間の配線領域を有する基板と、前記基板の前記検出領域に配置された複数の検出素子と、前記基板の前記接続領域に配置され、複数の前記検出素子と電気的に接続される複数の端子と、前記基板の前記配線領域で、間隔を有して並んで配置され、複数の前記検出素子と複数の前記端子とを電気的に接続する複数の接続配線と、前記基板の前記配線領域に設けられ、複数の前記接続配線を覆う絶縁層と、前記基板の前記配線領域に設けられ、複数の前記接続配線の間で、前記基板及び前記絶縁層を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検出装置を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の使用例を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る圧力センサの回路構成を示す回路図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る圧力センサの、圧力入力前の状態の断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る圧力センサの、圧力入力後の状態の断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る検出装置の、配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図12】
図12は、第1変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図13】
図13は、第2変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図14】
図14は、第3変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図15】
図15は、第4変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図16】
図16は、第5変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図17】
図17は、第6変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図18】
図18は、第7変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図19】
図19は、第8変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図20】
図20は、第9変形例に係る配線領域の、接続配線を拡大して示す平面図である。
【
図21】
図21は、第10変形例に係る配線領域の、接続配線を拡大して示す平面図である。
【
図22】
図22は、第11変形例に係る配線領域の、接続配線を拡大して示す平面図である。
【
図23】
図23は、第12変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
【
図24】
図24は、第13変形例に係る圧力センサであって、平行型の電極を備える圧力センサの断面図である。
【
図25】
図25は、第14変形例に係る圧力センサであって、ハイブリッド型の電極を備える圧力センサの断面図である。
【
図26】
図26は、第15変形例に係る圧力センサであって、圧力入力前の状態の断面図である。
【
図27】
図27は、第15変形例に係る圧力センサであって、圧力入力後の状態の断面図である。
【
図28】
図28は、第16変形例に係る圧力センサであって、圧力入力前の状態の断面図である。
【
図29】
図29は、第16変形例に係る圧力センサであって、圧力入力後の状態の断面図である。
【
図30】
図30は、第17変形例に係る検出装置を示す断面図である。
【
図31】
図31は、第18変形例に係る検出装置を示す平面図である。
【
図32】
図32は、第19変形例に係る検出装置を示す平面図である。
【
図33】
図33は、第19変形例に係る検出装置の使用例を示す平面図である。
【
図35】
図35は、第2実施形態に係る検出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を模式的に示す平面図である。第1実施形態に係る検出装置1は、入力面1a(
図6参照)に作用した圧力を検出する押圧センサである。
図1に示すように、検出装置1は、アレイ基板2(基板21)と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、配線基板110と、制御基板101と、駆動IC(Integrated Circuit)102と、を有する。
【0013】
基板21には、配線基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。配線基板110は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。制御基板101には、駆動IC102が設けられている。駆動IC102は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。また、駆動IC102は、電源信号等の電圧信号をセンサ部10及びゲート線駆動回路15に供給する駆動回路を備えていてもよい。また、駆動IC102は、複数の圧力センサ3から出力された検出信号を受け取って、検出信号の信号処理を行う検出回路を備えていてもよい。
【0014】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAと、配線領域WAと、接続領域CAと、を有する。検出領域AAは、複数の圧力センサ3が設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、基板21の外周との間の領域であり、複数の圧力センサ3が設けられない領域である。ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、基板21の周辺領域GAに設けられる。
図1に示す例では、周辺領域GAは検出領域AAの周囲を囲む枠状に設けられる。
【0015】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、基板21の法線方向である。また、「平面視」とは、基板21と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0016】
複数の圧力センサ3(検出素子)は、検出領域AAにマトリクス状に配列される。言い換えると、複数の圧力センサ3は、検出領域AAに第1方向Dx及び第2方向Dyに並んで配列される。ここで、センサ部10の複数の圧力センサ3は、検出領域AAを分割した複数の個別検出領域に入力された力を検出する装置である。複数の圧力センサ3は、それぞれに入力された力に応じた検出信号Vdetを出力する。複数の圧力センサ3は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号に従って検出を行う。また、複数の圧力センサ3は、それぞれに入力された力に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。圧力センサ3の詳細な構成については、
図6にて後述する。
【0017】
ゲート線駆動回路15は、駆動IC102からの制御信号に基づいて複数のゲート線GL(
図5参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GLにゲート駆動信号を供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GLに接続された複数の圧力センサ3を選択する。
【0018】
信号線選択回路16は、複数の信号線SL(
図5参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、駆動IC102から供給される選択信号に基づいて、信号線SLを選択する。これにより、信号線選択回路16は、選択された信号線SLに接続された圧力センサ3と接続配線17とを電気的に接続する。これにより、圧力センサ3からの検出信号Vdetは、接続配線17、配線基板110を介して駆動IC102に出力される。
【0019】
検出領域AA及び周辺領域GAと、配線領域WAと、接続領域CAと、は第2方向Dyに並んで配置される。基板21の接続領域CAには、信号線選択回路16及び接続配線17を介して複数の圧力センサ3と電気的に接続される複数の端子Tが配置される。基板21の接続領域CAは、複数の端子Tを介して配線基板110と接続される。接続領域CAの第1方向Dxでの幅は、検出領域AA及び周辺領域GAの第1方向Dxでの幅よりも小さい。
【0020】
配線領域WAは、第2方向Dyで、検出領域AAと接続領域CAとの間に配置される。配線領域WAには、複数の圧力センサ3と複数の端子Tとを電気的に接続する複数の接続配線17が設けられる。
図1では、配線領域WAと、検出領域AA及び周辺領域GAとの境界を、仮想的に一点鎖線で示す。配線領域WAと、接続領域CAとの境界を、仮想的に一点鎖線で示す。
図1に示す例では、配線領域WAは、検出領域AA及び周辺領域GA側の辺が長く、接続領域CA側の辺が短い台形状に形成される。配線領域WAの詳細な構成については、
図9にて後述する。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の使用例を説明するための説明図である。
図3は、
図2のIII-III’断面図である。
図4は、
図2のIV-IV’断面図である。
図2から
図4に示すように、第1実施形態の検出装置1は、筐体120の外周面に巻き付けて用いられる。筐体120は中実の円柱状であり、外周面が曲面で構成される。ただし、筐体120は円柱状に限定されず、少なくとも一部が曲面を有していればよい。筐体120は、一例として階段の手すりや、スポーツ用品や方向訓練機のグリップ等である。検出装置1は、使用者が筐体120を握ったときに加えられる力の大きさ及び力の分布を検出する。
【0022】
より詳細には、
図3に示すように、基板21の検出領域AA及び周辺領域GAは、筐体120の曲面に設けられ、外周面に沿って湾曲した状態で貼り付けられる。基板21は、図示しない接着剤あるいは両面テープ等によって筐体120に貼り付けられる。検出装置1は、
図1における第2方向Dyが筐体120の延在方向(軸方向)に沿って配置され、
図1における第1方向Dxが筐体120の周方向に沿って配置される。また、検出装置1の
図1における第3方向Dz(基板21の法線方向)は、筐体120の径方向となる。
【0023】
図4に示すように、筐体120の外周面には台座121が設けられる。基板21の接続領域CAは、筐体120の台座121の平坦面の上に貼り付けられる。これにより、接続領域CAは平坦な状態で筐体120の外周面に設けられるので、配線基板110との良好な接続を確保することができる。
【0024】
図2に示すように、基板21の配線領域WAは、湾曲した状態の検出領域AA及び周辺領域GAと、平坦な状態の接続領域CAとを接続するように変形して設けられる。配線領域WAの検出領域AA側の辺は、筐体120の外周面に沿って湾曲する。また、配線領域WAの接続領域CA側の辺は、台座121の平坦面に沿った平坦な状態となる。
【0025】
なお、
図2から
図4に示す筐体120はあくまで一例であり、例えば、円錐形状等であってもよい。また、検出装置1は、筐体120の外周面に貼り合わされる場合に限定されず、他の形状の筐体に貼り合わされてもよい。例えば、検出装置1は、凸曲面に貼り合わされる場合に限定されず、凹曲面に貼り合わされてもよい。なお、
図1から
図4では、基板21の接続領域CAに配線基板110が接続される例を示したが、これに限定されず、基板21の接続領域CAに駆動IC102が実装されていてもよい。
【0026】
次に、検出装置1の回路構成例及び動作例について説明する。
図5は、第1実施形態に係る圧力センサの回路構成を示す回路図である。
図5に示すように、複数のゲート線GLは、それぞれ第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに配列される。複数の信号線SLは、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに配列される。そのほか、特に図示しないが、検出装置1は、周辺領域GAに沿って延在する共通配線を有している。共通配線は、駆動IC102から基準電位Vrefが供給されている。
【0027】
駆動トランジスタTrは、圧力センサ3のそれぞれに対応して設けられる。駆動トランジスタTrは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0028】
駆動トランジスタTrのゲートはゲート線GLに接続される。駆動トランジスタTrのソース(ソース電極52(
図6参照))は圧力センサ3に接続される。駆動トランジスタTrのドレイン(ドレイン電極53(
図6参照))は、信号線SLに接続される。
【0029】
これにより、ゲート線駆動回路15がゲート線GLを走査すると、圧力センサ3に入力された力に応じた検出信号Vdetが信号線SLを介して得られる。そして、信号線SL経由で得られた検出信号Vdetの大きさで、圧力センサ3のそれぞれに対応する個別検出領域に作用した圧力値が求められる。
【0030】
なお、駆動トランジスタTrは、n型TFTに限定されず、p型TFTで構成されてもよい。また、1つの圧力センサ3に対応して、複数のトランジスタが設けられていてもよい。
【0031】
次に、検出装置1の積層構成について説明する。
図6は、
図2のVI-VI’断面図である。以下の説明では、押圧方向A1を「下方」又は単に「下」と表し、押圧方向A1と反対方向を「上方」又は単に「上」と表す場合がある。
【0032】
図6に示すように、検出領域AA、周辺領域GA、配線領域WA及び接続領域AAは、共通の連続した基板21と、回路層55と、を有する。基板21は、絶縁性と可撓性を備えている基板である。基板21は、例えば樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられる。回路層55は、駆動トランジスタTr等の回路素子、回路素子に接続された各種配線、ゲート絶縁膜22、22A及び絶縁層23を含み構成される。
【0033】
検出領域AAでは、基板21の上に、駆動トランジスタTr、絶縁層23、圧力センサ3及び保護層33が積層されて構成される。周辺領域GAでは、基板21の上に、トランジスタTr-S及び絶縁層23が設けられる。すなわち、周辺領域GAでは、絶縁層23の上に圧力センサ3が形成されていない。また、周辺領域GAのトランジスタTr-Sは、信号線選択回路16等の周辺回路を構成するトランジスタであり、例えば複数の信号線SLと、接続配線17との接続と非接続とを切り替えるスイッチング素子である。
【0034】
配線領域WA及び接続領域CAでは、基板21の上に、接続配線17及び絶縁層23が設けられる。配線領域WA及び接続領域CAの基板21及び絶縁層23は、検出領域AA及び周辺領域GAの基板21及び絶縁層23と共通の材料で連続して形成される。
【0035】
接続配線17は、周辺領域GAから、配線領域WA及び接続領域CAまで連続して設けられる。接続配線17は、複数の圧力センサ3(検出素子)と複数の端子Tとを電気的に接続する。具体的には、接続配線17の一端側は、周辺領域GAで信号線選択回路16(トランジスタTr-S)に接続され、信号線選択回路16(トランジスタTr-S)及び信号線SLを介して圧力センサ3に電気的に接続される。また、接続領域CAでは、絶縁層23の接続配線17と重なる領域にコンタクトホールCHが設けられる。接続領域CAの端子Tは、コンタクトホールCHの底部で露出する接続配線17により形成される。
【0036】
検出領域AAでは、駆動トランジスタTrは、半導体層51、ソース電極52、ドレイン電極53及びゲート電極54を含む。半導体層51は、基板21の上に設けられる。ゲート電極54は、ゲート絶縁膜22を介して半導体層51の上に設けられる。ソース電極52は半導体層51のソース領域に接続される。ソース電極52は、絶縁層23に設けられたコンタクトホールを介して圧力センサ3の検出電極31と電気的に接続される。ドレイン電極53は、半導体層51のドレイン領域に接続される。また、ドレイン電極53は、信号線SL(
図5参照)と電気的に接続される。
【0037】
周辺領域GAのトランジスタTr-Sは、駆動トランジスタTrと同様に、半導体層51A、ソース電極52A、ドレイン電極53A及びゲート電極54Aを含む。ゲート電極54Aは、ゲート絶縁膜22Aを介して半導体層51Aの上に設けられる。なお、トランジスタTr-Sの積層構造は、上述した駆動トランジスタTrと同様であり、繰り返しの説明は省略する。
【0038】
絶縁層23は、駆動トランジスタTrを覆って基板21の上に設けられる。絶縁層23は、上述したように、検出領域AAで駆動トランジスタTrを覆うとともに、周辺領域GA、配線領域WA及び接続領域AAに連続して設けられる。なお、
図6では説明を分かりやすくするために、回路層55の絶縁層としてゲート絶縁膜22及び絶縁層23の2層のみ示しているが、3層以上の複数の絶縁層が積層されていてもよい。
【0039】
圧力センサ3は、回路層55の絶縁層23の上に設けられる。圧力センサ3は、センサ層30と、検出電極31と、共通電極32と、を有する。検出電極31は、絶縁層23の上に設けられる。検出電極31は、導電性を有する金属材料で形成される。あるいは、検出電極31は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料で形成されてもよい。検出電極31は、複数の圧力センサ3ごとに離隔して配置される。すなわち、検出電極31は、検出領域AAにマトリクス状に配列される(
図1参照)。
【0040】
共通電極32は、複数の検出電極31と対向して配置される。共通電極32は、保護層33の下方の面に成膜されたベタ膜である。つまり、共通電極32は、検出領域AAの全域と重なり、複数の圧力センサ3に共通して設けられる。共通電極32は、導電性を有する金属材料で形成される。あるいは、共通電極32は、ITO等の透光性を有する導電材料で形成されてもよい。共通電極32は、図示しない配線により共通配線(不図示)と接続され、駆動IC102から基準電位Vrefが供給される。
【0041】
センサ層30は、検出電極31と共通電極32との間に設けられる。本実施形態では、センサ層30は、共通電極32の下方の面(検出電極31と対向する面)に設けられている。センサ層30は、検出領域AAの全域と重なっている。センサ層30は、導電性樹脂により製造されている。センサ層30の下方の面(検出電極31と対向する面)には、複数の凸部30aが設けられている。各凸部30aは、入力面1aに力が加えられていない状態で、検出電極31及び絶縁層23と空間を有して離隔している。
【0042】
保護層33は、共通電極32を覆って設けられる。保護層33の上面が検出装置1の入力面1aである。保護層33は、基板21と同様に、絶縁性と可撓性を備えている基板である。保護層33は、例えば樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられる。
【0043】
図7は、第1実施形態に係る圧力センサの、圧力入力前の状態の断面図である。
図8は、第1実施形態に係る圧力センサの、圧力入力後の状態の断面図である。なお、
図7及び
図8では、回路層55を省略して示している。
図7に示すように、圧力入力前の状態で、複数の凸部30aのうち一部は、検出電極31と接触している。ただし、接触している凸部30aの数が少なく、センサ層30を挟んで対向する検出電極31と共通電極32とは絶縁状態を保持している。なお、
図7はあくまで一例であり、圧力入力前の状態で、複数の凸部30aは、検出電極31と離れて非接触であってもよい。
【0044】
圧力センサ3の入力面1aが押圧されると、保護層33及び共通電極32が変形し、検出電極31側に近づく。センサ層30が押圧方向A1に移動し、センサ層30の凸部30aが検出電極31に接触する。これにより、検出電極31と共通電極32とがセンサ層30を介して電気的に接続され、検出電極31に電流が流れる。
【0045】
また、センサ層30に作用する圧力が大きくなると、検出電極31に接触する凸部30aの数が増加し、検出電極31とセンサ層30との接触面積が増加する。また、凸部30aは、検出電極31に押し付けられて平坦化することで、検出電極31との接触面積が増加する。このような理由から、センサ層30は、圧力の増加(接触面積の増加)に応じて検出電極31との間の接触抵抗が小さくなり、検出電極31に流れる電流量が大きくなる。よって、圧力センサ3は、電流値の大きさに基づいて圧力値を検出することができる。
【0046】
次に配線領域WAの詳細な構成について説明する。
図9は、第1実施形態に係る検出装置の、配線領域を拡大して示す平面図である。
図10は、
図9のX-X’断面図である。
図11は、
図9のXI-XI’断面図である。
【0047】
図9に示すように、基板21の配線領域WAは、周辺領域GA(及び検出領域AA)と接続領域CAとを接続する台形状に形成される。すなわち、配線領域WAは、第1方向Dxの外縁側の辺が第2方向Dyに対して傾斜して設けられる。配線領域WAの、接続領域CA側の辺の第1方向Dxでの幅は、配線領域WAの、周辺領域GA(及び検出領域AA)側の辺の第1方向Dxでの幅よりも小さい。
【0048】
配線領域WAに設けられた複数の接続配線17は、それぞれ直線状に設けられ、間隔を有して第1方向Dxに並んで配列される。複数の接続配線17は、配線領域WAの第1方向Dxの中央部で第2方向Dyに沿って延在する。また、複数の接続配線17は、配線領域WAの第1方向Dxの外縁側に近づくにしたがって、第2方向Dyに対する傾斜角度が大きくなるように配置される。言い換えると、複数の接続配線17の配置ピッチは、第2方向Dyでの位置に応じて異なる。接続領域CA側での複数の接続配線17の配置ピッチは、周辺領域GA(及び検出領域AA)側での複数の接続配線17の配置ピッチよりも小さい。また、第2方向Dyでの所定の位置で、第1方向Dxに配列された複数の接続配線17の配置ピッチは実質的に一定に設けられる。
【0049】
基板21の配線領域WAには、複数の接続配線17の間に複数の貫通孔THが設けられる。複数の貫通孔THは、それぞれ円形状である。複数の貫通孔THは、第1方向Dxで、複数の接続配線17ごとに配置される。第1方向Dxに配列された複数の貫通孔THの直径は、それぞれ同じ大きさで形成される。また、複数の貫通孔THは、複数の接続配線17の延在方向に沿って配列される。複数の貫通孔THは、第1方向Dxで隣り合う接続配線17の間隔が大きいほど開口面積(直径)が大きく形成される。すなわち、複数の貫通孔THの開口面積(直径)は、複数の接続配線17の延在方向に沿って、周辺領域GA(及び検出領域AA)側で大きく形成され、接続領域CA側で小さく形成される。
【0050】
複数の接続配線17及び複数の貫通孔THは、配線領域WAの第1方向Dxの中央を通り第2方向Dyに平行な対称軸AXに対して線対称になるように配置される。
【0051】
図10に示すように、絶縁層23は複数の接続配線17を覆って設けられる。複数の貫通孔THは、基板21及び絶縁層23を貫通して設けられる。すなわち、複数の貫通孔THは、絶縁層23の上面に開口するとともに、基板21の下面に開口する。
図11に示すように、複数の貫通孔THが設けられていない部分では、基板21及び絶縁層23は複数の接続配線17の間で連続して設けられる。
【0052】
図2から
図4で上述したように、基板21の検出領域AA、周辺領域GA及び配線領域WAは、第1方向Dxが周方向となるように筐体120の曲面に設けられ、接続領域CAは台座121の平坦面に設けられる。この場合、配線領域WAでは、周方向に沿って、基板21の筐体120の外周面と対向する下面側に圧縮応力が作用し、反対側の絶縁層23の上面側では引っ張り応力が作用する。これらの応力は、配線領域WAの第1方向Dxの中央部で相対的に小さく、第1方向Dxの外縁側に近いほど相対的に大きくなる。これにより、配線領域WAには、複数の接続配線17が配列される方向(第1方向Dx)において応力の分布が生じる。また、配線領域WAは、筐体120の外周面に沿って変形する部分と、接続領域CA側の、平坦に設けられ部分とを有する。これにより、配線領域WAには、複数の接続配線17の延在方向(第2方向Dy)においても応力の分布が生じる。
【0053】
本実施形態では配線領域WAに複数の貫通孔THが設けられているので、基板21及び絶縁層23に発生する応力を緩和させることができる。例えば、複数の貫通孔THが設けられた部分で、基板21及び絶縁層23は変形の自由度を有するので、基板21及び絶縁層23に応力が発生した場合に、応力を小さくするように基板21及び絶縁層23が変形する。これにより、本実施形態では、貫通孔THが設けられない場合に比べて、配線領域WAの基板21及び絶縁層23に発生する応力を抑制することができる。この結果、配線領域WAの複数の接続配線17の断線を抑制することができる。
【0054】
上述したように、複数の貫通孔THは、複数の接続配線17が配列される方向(第1方向Dx)に配列されているので、複数の接続配線17が配列される方向(第1方向Dx)での配線領域WAの応力を抑制することができる。また、複数の貫通孔THは、複数の接続配線17の延在方向に沿って配列されているので、複数の接続配線17の延在方向で生じる応力も効果的に抑制することができる。
【0055】
(変形例)
図9に示した貫通孔THの形状、数、配置等はあくまで一例であり、適宜変形することができる。また、接続配線17の形状、数、配置等はあくまで一例であり、適宜変形することができる。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0056】
図12は、第1変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図13は、第2変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図12に示すように、第1変形例では、貫通孔THaは四角形状である。あるいは、
図13に示すように、第2変形例では、貫通孔THbは長円状である。このように、貫通孔TH、THa、THbの形状は適宜変更できる。また、第1変形例及び第2変形例に示す例に限定されず、貫通孔THは、多角形状等であってもよい。あるいは、1つの配線領域WAに異なる形状の複数の貫通孔TH、THa、THbが組み合わされて配置されてもよい。
【0057】
図14は、第3変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図14に示すように、第3変形例では、接続配線17の延在方向に沿って配列された複数の貫通孔THcは同じ形状、同じ開口面積(直径)を有して設けられる。複数の貫通孔THcは、第1方向Dxで隣り合う接続配線17の間隔が大きいほど複数の貫通孔THcの数が多く形成される。より詳細には、複数の貫通孔THcは、複数の接続配線17の延在方向に沿って、周辺領域GA(及び検出領域AA)側で単位面積あたりの数が多く配置され、接続領域CA側で単位面積あたりの数が少なく配置される。
【0058】
図14では、周辺領域GA(及び検出領域AA)側で、隣り合う接続配線17の間に4つの貫通孔THcがひとまとまりに配置される。接続配線17の延在方向の中央部で、隣り合う接続配線17の間に2つの貫通孔THcがひとまとまりに配置される。また、接続領域CA側で隣り合う接続配線17の間に1つの貫通孔THcが配置される。なお、
図14に示す貫通孔THcの数は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。
【0059】
図15は、第4変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図15に示すように、第4変形例では、貫通孔THdはスリット状に形成される。貫通孔THdは、接続配線17の延在方向に沿って延在する。第4変形例では、隣り合う接続配線17の間に1つの貫通孔THdが設けられる。ただし、スリット状の貫通孔THdの数、形状、配置等は適宜変更することができる。
【0060】
図16は、第5変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図16に示すように、第5変形例では、接続配線17の延在方向に沿って複数の貫通孔THeが配列される。接続配線17の延在方向に沿って、複数の貫通孔THeは、スリットが設けられない基板21aにより離隔される。
図16では、接続配線17の間に3つの貫通孔THeが設けられている。ただし、これに限定されず、接続配線17の延在方向に沿って配列される貫通孔THeの数は適宜変更できる。また、貫通孔THeの数は第1方向Dxの位置に応じて異ならせてもよい。
【0061】
図17は、第6変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図17に示すように、第6変形例では、隣り合う接続配線17の間に2つの貫通孔THfが隣り合って配列される。
図17では、接続配線17の間に2つの貫通孔THfが設けられているが、貫通孔THfの数は3つ以上であってもよい。あるいは、貫通孔THfの数は第1方向Dxの位置に応じて異ならせてもよい。例えば、配線領域WAの第1方向Dxの中央部では隣り合う接続配線17の間に1つの貫通孔THfが設けられ、配線領域WAの第1方向Dxの外縁側に近づくにしたがって貫通孔THfの数を多くしてもよい。
【0062】
図18は、第7変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図18に示すように、第7変形例では、貫通孔THgは、接続配線17の延在方向に沿って延在する第1スリット部THgaと、第1スリット部THgaと交差する第2スリット部THgbとを有する。1つの第1スリット部THgaに対して3つの第2スリット部THgbが設けられる。ただし、これに限定されず、1つの第1スリット部THgaに設けられる第2スリット部THgbの数は適宜変更できる。
【0063】
図19は、第8変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図19に示すように、第8変形例では、貫通孔THhは、隣り合う接続配線17のほとんどの領域の基板21及び絶縁層23を除去するように設けられる。言い換えると、貫通孔THhの第1方向Dxでの開口幅は、第1方向Dxで隣り合う接続配線17の間隔と実質的に等しい。また、1つの接続配線17について、接続配線17の延在方向と交差する方向での幅と、接続配線17が設けられる基板21の幅とは、実質的に等しい。本変形例では、基板21に発生する応力を抑制するとともに、基板21に設けられた複数の接続配線17のそれぞれについて、変形の自由度を向上させることができる。
【0064】
図20は、第9変形例に係る配線領域の、接続配線を拡大して示す平面図である。
図20に示すように、第9変形例では、接続配線17aはジグザグ線状に形成される。より詳細には、接続配線17aは複数の直線部18aを有し、複数の直線部18aが屈曲部18bで接続されてジグザグ線状に延在する。
【0065】
図21は、第10変形例に係る配線領域の、接続配線を拡大して示す平面図である。
図21に示すように、第10変形例では、接続配線17bはミアンダ状に形成される。より詳細には、接続配線17bは複数の円弧部18cと、複数の直線部18dと、を有し、複数の円弧部18cと、複数の直線部18dとが交互に接続されてミアンダ状に延在する。
【0066】
図22は、第11変形例に係る配線領域の、接続配線を拡大して示す平面図である。
図22に示すように、第11変形例では、接続配線17cはミアンダ状に形成される。より詳細には、接続配線17cは複数の円弧部18e、18fと、複数の直線部18gと、を有する。円弧部18eと円弧部18fとがS字状に連結され、連結された複数の円弧部18e、18fが直線部18gで接続されてミアンダ状に延在する。
【0067】
なお、
図20(第9変形例)から
図22(第11変形例)では、それぞれ1つの接続配線17a、17b、17cを示すが、
図9等と同様に、配線領域WAには複数の接続配線17a、17b、17cが配列される。第9変形例から第11変形例に示した接続配線17a、17b、17cは、それぞれ、上述した第1実施形態及び第1変形例から第8変形例に適用できる。
【0068】
また、1つの配線領域WAで、直線状の接続配線17と、接続配線17a、17b、17cの少なくとも1つを組み合わせて構成してもよい。例えば、比較的応力が小さい配線領域WAの第1方向Dxの中央部では直線状の接続配線17を設け、比較的応力が大きい配線領域WAの第1方向Dxの外縁側では、ジグザグ線状の接続配線17aあるいはミアンダ状の接続配線17b又は接続配線17cを設けることができる。これにより、検出装置1は、効果的に接続配線17に作用する応力を抑制することができる。
【0069】
図23は、第12変形例に係る配線領域を拡大して示す平面図である。
図23に示すように、第12変形例では、第1方向Dxで隣り合う接続配線17の間隔は、基板21の配線領域WAの第1方向Dxの中央部よりも第1方向Dxの外縁側で大きく形成される。
図23では、接続配線17の間隔は、基板21の配線領域WAの第1方向Dxの中央部から第1方向Dxの外縁側に近づくにしたがって、徐々に大きくなる。また、第1方向Dxで隣り合う接続配線17の間に設けられる貫通孔THの数は、基板21の配線領域WAの第1方向Dxの中央部よりも第1方向Dxの外縁側で多く形成される。
【0070】
言い換えると、接続配線17の配置密度は、基板21の配線領域WAの第1方向Dxの中央部よりも第1方向Dxの外縁側で小さくなる。また、貫通孔THの配置密度は、基板21の配線領域WAの第1方向Dxの中央部よりも第1方向Dxの外縁側で大きくなる。
【0071】
これにより、第12変形例では、配線領域WAの第1方向Dxの外縁側で、基板21に発生する応力を効果的に緩和させることができ、かつ、接続配線17に作用する応力を抑制することができる。なお、
図23の構成は、上述した第1変形例から第11変形例と組み合わせることができる。
【0072】
図24は、第13変形例に係る圧力センサであって、平行型の電極を備える圧力センサの断面図である。なお、
図24から
図29では、回路層55(駆動トランジスタTr及び絶縁層23)を省略して示している。
図24に示すように、第13変形例の圧力センサ3Aは、検出電極31Aと共通電極32Aとが同一面上に配置される並行型の電極を有する。この並行型の電極(検出電極31A及び共通電極32A)によれば、電流は、センサ層30A内を平面方向に流れる(
図24の矢印を参照)。検出電極31A及び共通電極32Aの平面形状はどのような形状であってもよい。例えば検出電極31A及び共通電極32Aは、櫛歯形状を採用することができる。
【0073】
図25は、第14変形例に係る圧力センサであって、ハイブリッド型の電極を備える圧力センサの断面図である。
図25に示すように、第14変形例の圧力センサ3Bは、対向型と並行型とを組み合わせたハイブリッド型の電極である。ハイブリッド型の電極は、基板21の上方の面に、検出電極31Bと共通電極32Bが配置されている。また、保護層33の下方の面に、中間電極34が配置されている。中間電極34は、検出電極31Bと共通電極32Bに対向している。
【0074】
このハイブリッド型の電極を備える圧力センサ3Bは、圧力が入力されると、最初に共通電極32Bから中間電極34に電流が流れる。そして、電流は、中間電極34に沿って平面方向に流れる。その後、センサ層30Bを介して検出電極31Bに電流が流れる。検出電極31B、共通電極32B及び中間電極34の平面形状はどのような形状であってもよい。例えば検出電極31A及び共通電極32Aは、櫛歯形状を採用することができる。中間電極34は検出領域AAに亘って延在するベタ膜とすることができる。
【0075】
図26は、第15変形例に係る圧力センサであって、圧力入力前の状態の断面図である。
図27は、第15変形例に係る圧力センサであって、圧力入力後の状態の断面図である。
図26に示すように、第15変形例の圧力センサ3Cのセンサ層30Cは、共通電極32Cの下方の面(検出電極31Cと対向する面)に設けられている。センサ層30Cは、導電性樹脂により製造されている。センサ層30Cは、上述したセンサ層30、30A、30Bとは異なり、凸部30aを有さず、検出電極31Cと対向する面が平坦に形成される。また、センサ層30Cは、圧力入力前の状態で、検出電極31Cと空間を有して対向しており、検出電極31Cと接触していない。
【0076】
図27に示すように、圧力が入力されると、センサ層30Cは、押圧方向A1に窪むように変形し、検出電極31Cと接触する。これにより、検出電極31Cに電流が流れる。また、圧力が大きくなり、センサ層30Cと検出電極31Cとの接触面積が大きくなると、検出電極31Cに流れる電流も大きくなる。
【0077】
図28は、第16変形例に係る圧力センサであって、圧力入力前の状態の断面図である。
図29は、第16変形例に係る圧力センサであって、圧力入力後の状態の断面図である。
図28に示すように、第16変形例の圧力センサ3Dのセンサ層30Dは、樹脂層35と、樹脂層35に分散された導電性フィラー36とを含む。センサ層30Dの樹脂層35は、対向する検出電極31Dと共通電極32Dとの間の空間を充填して設けられ、検出電極31D及び共通電極32Dに接する。
【0078】
センサ層30Dの導電性フィラー36のほとんどは、圧力入力前の状態で、検出電極31D及び共通電極32Dと接していない。一部の導電性フィラー36は検出電極31D及び共通電極32Dと接触しているものの、検出電極31Dと共通電極32Dとの間の導通経路が形成されず、センサ層30Dを挟んで対向する検出電極31Dと共通電極32Dとは絶縁状態を保持している。
【0079】
図29に示すように、圧力が入力されると、保護層33及び共通電極32Dは、押圧方向A1に移動し、センサ層30Dの導電性フィラー36は、検出電極31D及び共通電極32Dと接触する。また、複数の導電性フィラー36も互いに接触する。これにより、検出電極31Dと共通電極32Dとの導通経路が形成され、検出電極31Dに電流が流れる。また、圧力が大きくなり、センサ層30Dの導電性フィラー36と、検出電極31D及び共通電極32Dとの接触面積が大きくなると、検出電極31Dに流れる電流も大きくなる。
【0080】
図30は、第17変形例に係る検出装置を示す断面図である。
図30に示すように、第17変形例に係る検出装置1Aは、配線領域WAに設けられた樹脂層24、25を有する。樹脂層24、25は、伸縮性を有する樹脂材料で形成される。樹脂層24は、配線領域WAで絶縁層23の上面に設けられる。樹脂層25は、配線領域WAで基板21の下面に設けられる。押圧方向A1で、樹脂層24と樹脂層25との間に、基板21、接続配線17及び絶縁層23が設けられる。
【0081】
図30では図示を省略するが、貫通孔THは樹脂層24、25も貫通して形成される。これにより、本変形例では、伸縮性を有する樹脂層24、25が設けられているので、配線領域WAで発生する応力を抑制しつつ、接続配線17を保護することができる。なお、必ずしも樹脂層24、25の両方を設ける必要はなく、いずれか一方のみ設けられていてもよい。また、
図30では樹脂層24、25は配線領域WAのみに設けられているが、周辺領域GA及び接続領域CAの一部にも設けられていてもよい。
【0082】
図31は、第18変形例に係る検出装置を示す平面図である。
図31に示すように、第18変形例に係る検出装置1Bは、2つの配線領域WAa、WAbと、2つの接続領域CAa、CAbと、を有する。2つの配線領域WAa、WAbは、周辺領域GAの一辺に設けられ、第1方向Dxで間隔を有して隣り合って配置される。接続領域CAa、CAbは、それぞれ配線領域WAa、WAbと接続される。本変形例では、第2方向Dyで、配線領域WAaは、検出領域AA及び周辺領域GAと、接続領域CAaとの間に配置される。また、第2方向Dyで、配線領域WAbは、検出領域AA及び周辺領域GAと接続領域CAbとの間に配置される。また、検出領域AA、周辺領域GA、2つの配線領域WAa、WAb及び2つの接続領域CAa、CAbは、共通の基板21で形成される。
【0083】
基板21の接続領域CAaは、複数の端子Taを介して配線基板110aと接続される。基板21の接続領域CAbは、複数の端子Tbを介して配線基板110bと接続される。これにより、本変形例の検出装置1Bは、外部の配線基板110a、110bとの接続の自由度を向上させることができる。なお、接続領域CAa、CAbに、それぞれ配線基板110a、110bが接続される例を示したが、これに限定されず、接続領域CAa、CAbの少なくとも一方に駆動IC102(
図1参照)が実装されてもよい。
【0084】
図32は、第19変形例に係る検出装置を示す平面図である。
図32に示すように、第19変形例に係る検出装置1Cは、2つの配線領域WAc、WAdと、2つの接続領域CAc、CAdと、を有する。なお、
図32では図面を見やすくするために配線領域WAc、WAdに斜線を付けて示す。
【0085】
第2方向Dyで、検出領域AA及び周辺領域GA、配線領域WAc、接続領域CAc、配線領域WAd、接続領域CAdの順に配置される。言い換えると、第2方向Dyで、配線領域WAcは、検出領域AA及び周辺領域GAと、接続領域CAcとの間に配置される。配線領域WAcは、接続領域CAcに対して第1方向Dxに隣り合う部分にも設けられる。接続領域CAcには駆動IC102が実装される。
【0086】
また、第2方向Dyで、配線領域WAdは、接続領域CAcと接続領域CAdとの間に配置される。配線領域WAdは、接続領域CAdに対して第1方向Dxに隣り合う部分にも設けられる。また、接続領域CAdは、複数の端子Tを介して配線基板110と接続される。また、配線領域WAc、接続領域CAc、配線領域WAd、接続領域CAdの順に第1方向Dxでの幅が小さくなる。
【0087】
図33は、第19変形例に係る検出装置の使用例を示す平面図である。
図33に示すように、第19変形例に係る検出装置1Cは、中空に形成された筒状の筐体120Aに貼り合わされる。基板21の検出領域AA及び周辺領域GAは、筐体120Aの外周面に沿って湾曲した状態で貼り付けられる。
【0088】
基板21の配線領域WAcは、筐体120Aの開口端部で折り返して設けられる。すなわち、配線領域WAcの一端側は、筐体120Aの外周面側で周辺領域GAと接続され、配線領域WAcの他端側は、筐体120Aの内周面側で接続領域CAcと接続される。基板21の接続領域CAc、配線領域WAd及び接続領域CAdは、筐体120Aの内部に配置される。すなわち、接続領域CAcに実装された駆動IC102及び接続領域CAdに接続された配線基板110も筐体120Aの内部に配置される。
【0089】
図34は、
図33のXXXIV-XXXIV’断面図である。
図34に示すように、筐体120Aの内周面に台座121Aが設けられる。基板21の接続領域CAdは、台座121Aの平坦面の上に貼り付けられる。これにより、接続領域CAdは平坦な状態で筐体120の内周面に設けられるので、配線基板110との良好な接続を確保することができる。
【0090】
(第2実施形態)
図35は、第2実施形態に係る検出装置を示す断面図である。上述した第1実施形態及び各変形例では、検出素子として複数の圧力センサ3を有する例について説明したが、検出素子は圧力センサ3に限定されない。
図35に示すように、第2実施形態に係る検出装置1Dは、検出領域AAに設けられ、それぞれに照射される光を検出する光センサ4(検出素子)を有する。なお、第2実施形態に係る検出装置1Dにおいて、周辺領域GA、配線領域WA及び接続領域CAは、上述した第1実施形態及び各変形例で説明した構成を採用することができる。
【0091】
光センサ4は、回路層55の絶縁層23の上に設けられる。光センサ4は、センサ層40と、検出電極41と、共通電極42と、を有する。検出電極41及び共通電極42の少なくとも一方は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料で形成される。センサ層40は、光電変換材料で形成される。センサ層40として、例えば電子輸送層、発光層及び正孔輸送層からなる有機光センサが用いられる。あるいは、センサ層40として、シリコン等の半導体層で形成されたPIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードであってもよい。
【0092】
保護層43は、共通電極42を覆って設けられる。外部からの光は、保護層43の上面、すなわち入力面1aから光センサ4のセンサ層40に照射される。
【0093】
図示は省略するが、複数の光センサ4は、平面視で検出領域AAにマトリクス状に配列される。また、検出電極41は、平面視で検出領域AAにマトリクス状に配列され、複数の光センサ4ごとに離隔して配置される。また、共通電極42は、複数の光センサ4を覆って検出領域AAの全面に設けられる。
【0094】
本実施形態の検出装置1Dも、第1実施形態及び各変形例と同様に、中実の筐体120あるいは中空の筒状の120Aに貼り合わされて使用される。検出装置1Dは、被検出体が筐体120、120Aを握ったグリップ状態での脈拍計測や静脈認証に活用できる。
【0095】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0096】
1、1A、1B、1C、1D 検出装置
2 アレイ基板
3、3A、3B、3C、3D 圧力センサ
4 光センサ
17、17a、17b、17c 接続配線
21、21a 基板
22、22A ゲート絶縁膜
23 絶縁層
30、30A、30B、30C、30D、40 センサ層
30a 凸部
31、31A、31B、31C、31D、41 検出電極
32、32A、32B、32C、32D、42 共通電極
55 回路層
120、120A 筐体
121、121A 台座
AA 検出領域
GA 周辺領域
CA、CAa、CAb、CAc、CAd 接続領域
WA、WAa、WAb、WAc、WAd 配線領域
SL 信号線
GL ゲート線
TH、THa、THb、THc、THd、THe、THf、THg、THh 貫通孔
THga 第1スリット部
THgb 第2スリット部