(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057743
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】送信装置、通信システム、人工衛星、送信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/50 20130101AFI20240418BHJP
H04B 10/118 20130101ALI20240418BHJP
【FI】
H04B10/50
H04B10/118
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164605
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】杉保 昌彦
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA21
5K102AB07
5K102AL23
5K102AL28
5K102PC12
5K102PH12
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】 受信機までの距離が変化する場合の、通信可能な距離の範囲を拡大できる送信装置等を提供する。
【解決手段】 本開示の一態様に係る送信装置は、受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する算出部と、出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する選択部と、前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する算出部と、
出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する選択部と、
前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する制御部と、
を備える送信装置。
【請求項2】
前記選択光源装置が発信する信号光を、前記受信装置に発信する発信部
をさらに備える請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記移動経路の情報を用いて、前記信号光が発信される方向を前記受信装置が前記信号光を受信可能な方向になるように制御する方向制御部
をさらに備える請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記複数の光源装置は、異なる複数の距離範囲のいずれかに関連付けられ、
前記選択部は、算出された前記距離が含まれる距離範囲に関連付けられている前記光源装置を前記選択光源装置として選択する
請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項5】
前記受信装置と、
請求項1又は2に記載の送信装置と
を含む通信システム。
【請求項6】
前記受信装置は、受信側人工衛星に搭載され、
前記受信装置の移動経路は、前記受信装置を搭載する前記受信側人工衛星の軌道の情報である
請求項1又は2に記載の送信装置を含む人工衛星。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の光源装置のうち、出力される前記信号光の強度が最も高い基準光源装置とは異なる前記選択光源装置が選択された場合、前記基準光源装置が出力する前記信号光と同じ強度の、前記複数の光源装置が発信する前記信号光の波長とは異なる波長の付加用光を出力する付加用光源からの前記付加用光と、前記選択光源装置からの前記信号光とが合波された合波信号光が、前記受信装置に送信される前記信号光として送信されるように制御し、
前記受信装置は、前記付加用光の波長の光を減衰させるバンドパスフィルタを介して、前記信号光を受信する
請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項8】
受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出し、
出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択し、
前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する、
送信方法。
【請求項9】
前記選択光源装置が発信する信号光を、前記受信装置に発信する
請求項8に記載の送信方法。
【請求項10】
受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する算出処理と、
出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する選択処理と、
前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する制御処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号を送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
静止衛星(すなわち、静止軌道(GEO、Geostationary Earth Orbit)を回る人工衛星)及び低高度周回衛星(すなわち、地球低軌道(LEO、Low Earth Orbit)を回る人工衛星)の間の衛星間光通信では、衛星間の距離が大きく変わらない。そのため、このような衛星間光通信は、衛星間の通信に用いられる受信装置が10dB(decibel)程度のダイナミックレンジを持つことで実現可能である。
【0003】
特許文献1には、光増幅器を備える送信機を含む通信システムの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、信号光を用いた通信を行うことができる。一般に、そのような通信では、受信機までの距離が変化する場合の、通信可能の距離の範囲は限られる。特許文献1の技術では、通信可能の距離の範囲を拡大することはできない。
【0006】
本開示の目的の1つは、受信機までの距離が変化する場合の、通信可能な距離の範囲を拡大できる送信装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る送信装置は、受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する算出部と、出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する選択部と、前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する制御部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る送信方法は、受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出し、出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択し、前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する算出処理と、出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する選択処理と、前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する制御処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示には、受信機までの距離が変化する場合の、通信可能な距離の範囲を拡大できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る送信装置の構成の例を表すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る送信装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の第2の実施形態に係る人工衛星システムの構成の例を表す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第2の実施形態に係る送信装置の構成の例を表す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第2の実施形態に係る送信装置の動作の例を表すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本開示の第2の実施形態の第1の変形例に係る送信装置の構成の例を表すブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示の第2の実施形態の第2の変形例に係る通信システムの構成の例を表すブロック図である。
【
図8】
図8は、開示の実施形態に係る送信装置を実現するために使用できる、コンピュータのハードウェア構成の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
まず、本開示の第1の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0014】
<構成>
図1は、本開示の第1の実施形態に係る送信装置の構成の例を表すブロック図である。
図1に示す例では、本実施形態に係る送信装置100Aは、算出部120と、選択部130と、制御部140と、を備える。算出部120は、受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する。選択部130は、出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する。制御部140は、前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する。
【0015】
受信装置の移動経路の情報は、受信装置の位置の情報と、受信装置がその位置にある時刻の情報とを含む。受信装置は、経路を予定に従って移動する移動体に搭載されていてもよい。移動体は、例えば、人工衛星、航空機又はドローンなどの飛翔体、自動車等の車両、船舶等のいずれかであってよい。この場合、算出部120は、移動体を搭載する受信装置の位置が移動体の位置であるとみなす。算出部120は、受信装置の移動経路の情報を予め保持する。なお、算出部120は、送信装置100Aの位置の情報を予め保持する。送信装置100Aの位置は、時間の経過に伴って変化してもよい。送信装置100Aも、移動体に搭載されていてもよい。この場合、算出部120は、受信装置の位置が受信装置を搭載する移動体の位置であるとみなす。送信装置100Aを搭載する移動体は、経路を予定に従って移動してもよい。送信装置100Aを搭載する移動体は、既存の技術を使用した、移動体の現在位置を特定する機能を備えていてもよい。その場合、算出部120は、送信装置100Aの位置の情報と、送信装置100Aがその位置にある時刻の情報とを予め保持する。算出部120は、受信装置の移動経路の情報と、送信装置100Aの位置とから、例えば距離を算出する時刻における、送信装置100Aから受信装置までの距離を算出する。
【0016】
選択部130は、例えば、距離が第1の距離である場合に選択される光源装置の信号光の強さが、距離が第1の距離よりも長い第1の距離である場合に選択される光源装置の信号光の強さ以上になるように、光源装置を選択する。
【0017】
制御部140は、例えば、選択された光源装置(すなわち選択光源装置)に電力が供給され、選択光源装置以外の、信号光を発信する光源装置に電力が供給されないように、電力の供給を制御してよい。制御部140は、このように電力の供給を制御することによって、選択光源装置が発信する信号光が受信装置に送信されるように制御してよい。
【0018】
なお、信号光を発信する光源装置の他に、HPA(High Power Amplifier)用の光源装置(以下、増幅用光源装置及び付加用光源とも表記)が存在していてよい。複数の光源装置が発信する信号光と、増幅用光源装置が発する光(以下、増幅用光及び付加用光と表記)は、例えば、それらの信号光を合波する構成の光カプラと、ファイバアンプを介して、送信光学系に導かれ、送信光学系から受信装置に送信されてよい。光源装置が発信する信号光の波長は、増幅用光源装置が発する増幅用光の波長とは異なる。制御部140は、例えば、最も強度の高い信号光を発信する光源装置(以下、基準光源装置とも表記)が選択された場合、増幅用光源装置に電力が供給されないように制御してよい。制御部140は、さらに、基準光源装置以外の光源装置が選択された場合、増幅用光源装置に電力が供給されるように制御してよい。
【0019】
<動作>
図2は、本開示の第1の実施形態に係る送信装置100Aの動作の例を表すブロック図である。
図2に示す例では、算出部120が、受信装置の移動経路の情報を用いて、受信装置までの距離を算出する(ステップS11)。次に、選択部130が、信号光の強度が異なる複数の光源装置から、算出された距離に応じて、受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する(ステップS12)。そして、制御部140が、選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する(ステップS13)。
【0020】
<効果>
上述のように、静止衛星及び低高度周回衛星の間の衛星間光通信では、衛星間の距離が大きく変わらない。そのため、このような衛星間光通信は、衛星間の通信に用いられる受信装置が10dB程度のダイナミックレンジを持つことで実現可能である。
【0021】
さらにダイナミックレンジを広げるためには、受信装置の入力光を減衰するND(Neutral Density)フィルタを機械的に切り替える方法が考えられる。しかし、このような方法を採用する場合、ダイナミックレンジを広げるための構造が、大規模となる。また、送信機に、例えば数W程度のファイバアンプを用いて、励起用レーザダイオードの電流を変化させることにより、信号光のパワーを変えることが可能である。しかし、安定して変化させることができる信号光の強度の範囲は10dB程度であり、これ以上のダイナミックレンジをファイバアンプのみを用いて実現することは難しい。
【0022】
しかし、軌道によっては、LEOコンステレーションの衛星間では数10km(kilometer)から数1000kmの範囲で、距離が変わる場合がある。GEO/準天頂衛星軌道コンステレーションの衛星間では100km程度から数10000kmの範囲で距離が変わる場合がある。これらの衛星間の光通信では、40から60dB程度のダイナミックレンジが必要となる。言い換えると、ファイバアンプによって対応可能なダイナミックレンジを超えるダイナミックレンジが必要になる。
【0023】
本実施形態には、受信機までの距離が変化する場合の、通信可能な距離の範囲を拡大できるという効果がある。
【0024】
本実施形態では、選択部130が、強度の異なる信号光を発信する複数の光源装置から、距離に応じて、送信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する。そして、制御部140が、選択光源装置が発信する信号光が受信装置に送信されるように制御する。複数の光源装置が発信する信号光の強度は、光源装置によって異なる。従って、本実施形態では、受信装置に送信される信号光の強度を変更できる範囲は、1つの光源とファイバアンプを使用した場合の強度を変更できる範囲よりも広くなる。そのため、本実施形態では、受信機までの距離が変化する場合の、通信可能な距離の範囲は、1つの光源とファイバアンプを使用した場合に通信可能な距離の範囲よりも広くなる。言い換えると、本実施形態では、受信機までの距離が変化する場合の、通信可能な距離の範囲を拡大できる。
【0025】
例えば、1つの光源装置が使用され、送信される信号光のファイバアンプによるダイナミックレンジが10dBであり、受信装置が含む増幅器によるダイナミックレンジが10dBであるとする。この場合、送信装置が同一の強度の光信号を送信した場合の、受信装置に届く信号光のダイナミックレンジが、20dBになるような距離の変化が生じても、通信が可能である。しかし、これよりも大きい距離の変化が生じる場合は、通信を行うことができない。
【0026】
例えば、本実施形態において、発信する信号光の強度の差が20dBである2つの光源装置が使用され、送信される信号光のファイバアンプによるダイナミックレンジが10dBであり、受信装置が含む増幅器によるダイナミックレンジが10dBであるとする。この場合、本実施形態では、送信装置が同一の強度の光信号を送信した場合の、受信装置に届く信号光のダイナミックレンジが、40dBになるような距離の変化が、送信装置と受信装置との間の距離に生じる場合であっても、通信が可能になる。
【0027】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0028】
<構成>
図3は、本開示の第2の実施形態に係る人工衛星システムの構成の例を表す図である。
図3に示す例では、本実施形態の人工衛星システム1は、人工衛星10(以下、送信側人工衛星10とも表記)と、人工衛星20(以下、受信側人工衛星20と表記)とを含む。
【0029】
なお、人工衛星10及び人工衛星20は、一般的な人工衛星が備えている機構(例えば、人工衛星の姿勢の情報を取得する機構、人工衛星の姿勢を制御する機構、地上の基地と通信を行う機構等)を備える。人工衛星10及び人工衛星20は、一般的な、観測用の人工衛星が備える機構をさらに備えていてもよい。人工衛星10及び人工衛星20は、一般的な、通信用の人工衛星が備える機構をさらに備えていてもよい。例えば、人工衛星10は、
図3の人工衛星20の構成をさらに備え、人工衛星20としても動作するように構成されていてもよい。人工衛星20は、
図3の人工衛星10の構成をさらに備え、人工衛星10としても動作するように構成されていてもよい。
【0030】
人工衛星10は、送信装置100と、ファイバアンプ101と、送信光学系102と、方向制御部103とを含む。人工衛星20は、受信光学系202と、受信装置200とを含む。受信光学系202は、バンドパスフィルタ201を含む。
【0031】
<送信装置100>
送信装置100は、発信制御部160と、光源装置170と、光源装置171と、増幅用光源装置180とを含む。発信制御部160については、後で詳細に説明する。光源装置170及び光源装置171は、異なる強度の信号光を発信する光源装置である。光源装置170及び光源装置171は、第1の実施形態における複数の光源装置に対応する。本実施形態では、例えば、光源装置171は、光源装置170の信号光よりも、例えば、20dB程度レベルの低い(すなわち、強度の弱い)信号光を発信する。本実施形態では、光源装置170が、上述の基準光源装置に対応する。増幅用光源装置180は、増幅用光を発信する光源装置である。増幅用光源装置180は、第1の実施形態における増幅用光源装置に対応する。光源装置170、光源装置171、及び、増幅用光源装置180は、レーザダイオードによって実現できる。
【0032】
<ファイバアンプ101>
ファイバアンプ101は、入力された信号光を増幅する。ファイバアンプ101に入力される信号光は、後述のように、光源装置170が発信する信号光、又は、光源装置171が発信する信号光と増幅用光源装置180が発する増幅用光とが合波された信号光である。ファイバアンプ101は、第1の実施形態の説明におけるファイバアンプに対応する。
図3の例では、ファイバアンプ101は、送信装置100と別に描かれているが、ファイバアンプ101は、送信装置100に含まれていてもよい。言い換えると、送信装置100は、ファイバアンプ101を含むように構成されていてもよい。
【0033】
<送信光学系102>
送信光学系102は、ファイバアンプ101から出力された信号光(すなわち、ファイバアンプ101によって増幅された信号光)を、人工衛星20(すなわち、受信装置200)に向けて送信する。本開示の説明では、送信光学系102は、送信部とも表記される。
【0034】
<方向制御部103>
方向制御部103は、送信装置100(具体的には、発信制御部160、さらに具体的には、発信制御部160の後述の制御部140)の制御により、送信光学系102の方向を変更することによって、送信光学系102が送信する信号光の方向を制御する。発信制御部160(具体的には制御部140)は、送信光学系102が送信する信号光の方向が、人工衛星20への方向(すなわち、受信光学系202が信号光を受信可能な方向)になるよう送信光学系102の方向を変更するように、方向制御部103を制御する。発信制御部160(具体的には制御部140)は、人工衛星10の位置及び姿勢と、人工衛星20の位置とから、人工衛星10から人工衛星20へ向かう方向を算出し、送信光学系102が送信する信号光の方向を、算出した方向に向けるように、方向制御部103に指示する。方向制御部103は、指示に従って、送信光学系102の方向を変更する。
【0035】
<受信光学系202>
受信光学系202は、人工衛星10(具体的には、送信光学系102)から送信された信号光を受信し、受信した信号光を、バンドパスフィルタ201を介して、受信装置200に送出する。
【0036】
<バンドパスフィルタ201>
バンドパスフィルタ201は、光源装置170及び光源装置171が発信する信号光の波長の光を透過させ、増幅用光源装置180が発する増幅用光を減衰させるように構成されたバンドパスフィルタである。この場合、「光を透過させる」とは、「光を減衰させる」場合と比較して、バンドパスフィルタ201に入射する光に対する、その光がバンドパスフィルタを通った後の光の減衰が少ないことを表す。バンドパスフィルタ201は、光源装置170が発信し、送信光学系102から送信され、受信光学系202が受信した信号光を、透過させる。バンドパスフィルタ201は、光源装置170が発信した信号光と増幅用光源装置180が発した増幅用光とが合波され、送信光学系102から送信され、受信光学系202が受信した信号光の、光源装置170が発信した信号光の波長の成分を透過させる。光源装置170が発信した信号光と増幅用光源装置180が発した増幅用光とが合波され、送信光学系102から送信され、受信光学系202が受信した信号光の、増幅用光源装置180が発した増幅用光の波長の成分を減衰させる。
【0037】
図3において、光源装置170、光源装置171、及び、増幅用光源装置180から受信装置200に向かう実線の矢印は、光源装置170が発信する信号光の経路、及び、光源装置171が発信する信号光の経路と、増幅用光源装置180が発する増幅用光と、光源装置171が発信する信号光と増幅用光源装置180が発する増幅用光とが合波された信号光の経路とを表す。光源装置170及び光源装置171の右側から受信装置200に向かう、輪郭によって描かれた太い矢印は、光源装置170が発信する信号光と、光源装置171が発信する信号光とが、バンドパスフィルタ201を透過し、受信装置200に届いていることを表す。増幅用光源装置180の右側からバンドパスフィルタ201に向かう、輪郭によって描かれた太い矢印は、増幅用光源装置180が発する増幅用光が、バンドパスフィルタ201を透過せず、受信装置200に届かないことを表す。
【0038】
<受信装置200>
受信装置200は、受信光学系202が受け取り、バンドパスフィルタ201を透過した信号光を受け取る。受信装置200は、受け取った信号光を増幅する、ファイバアンプなどの増幅器を含んでいてよい。また、受信装置200は、信号光を受信する、光通信用の一般的な受信装置の機能を備える。受信装置200は、例えば、人工衛星20が搭載する処理装置、及び、人工衛星20が搭載する送信装置の少なくともいずれかに、受け取った信号光、又は、受け取った信号光を変換した電気信号を送信してよい。
【0039】
次に、送信装置100について、さらに詳細に説明する。
【0040】
<送信装置100の詳細>
上述のように、送信装置100は、発信制御部160と、光源装置170と、光源装置171と、増幅用光源装置180とを含む。発信制御部160は、位置情報受取部110と、算出部120と、選択部130と、制御部140と、データ受取部150とを含む。言い換えると、位置情報受取部110と、算出部120と、選択部130と、制御部140と、データ受取部150とが、まとめて、発信制御部160と表記される。以下では、発信制御部160に含まれる構成要素(すなわち、各部)について説明する。
【0041】
<位置情報受取部110>
位置情報受取部110は、例えば地上の基地から定期的に、人工衛星20の軌道の情報を受け取る。位置情報受取部110は、受け取った人工衛星20の軌道の情報を保持する。
【0042】
また、位置情報受取部110は、人工衛星10の位置及び姿勢を取得する。位置情報受取部110は、人工衛星10の位置及び姿勢を、例えば、人工衛星10が搭載する、人工衛星10の位置及び姿勢を特定するシステムから取得してもよい。位置情報受取部110は、例えば地上の基地から定期的に、人工衛星10の軌道の情報を受け取ってもよい。人工衛星10の軌道の情報を受け取った場合は、位置情報受取部110は、受け取った人工衛星10の軌道の情報を保持する。
【0043】
人工衛星20の軌道の情報は、人工衛星20の予測される軌道の情報である。言い換えると、人工衛星20の軌道の情報は、人工衛星の予測された軌道、すなわち、人工衛星20がどの時刻にどこに存在するかを特定する情報である。人工衛星10の軌道の情報は、人工衛星10の予測される軌道の情報である。言い換えると、人工衛星10の軌道の情報は、人工衛星の予測された軌道、すなわち、人工衛星10がどの時刻にどこに存在するかを特定する情報である。
【0044】
位置情報受取部110は、人工衛星20の軌道の情報から、現在の(すなわち、人工衛星20の位置を特定する処理を開始する時刻における)、人工衛星20の位置を特定する。
【0045】
位置情報受取部110は、受け取った人工衛星20の軌道の情報から、現在の人工衛星20の位置を特定する。 人工衛星10の軌道の情報を受け取っている場合、受け取った人工衛星10の軌道の情報から、現在の人工衛星10の位置を特定する。
【0046】
位置情報受取部110は、人工衛星20の位置の情報と、人工衛星10の位置の情報を、算出部120に送出する。位置情報受取部110は、人工衛星10の姿勢の情報を、例えば、算出部120と選択部130とを介して、制御部140に送出する。位置情報受取部110は、人工衛星10の姿勢の情報を、制御部140に直接送出してもよい。
【0047】
なお、人工衛星10の位置の情報、及び、人工衛星20の位置の情報は、同一の三次元座標系における座標によって表されていてよい。人工衛星20の軌道の情報に含まれる、人工衛星20の時刻に応じた位置の情報は、同じ三次元座標系における座標によって表されている。人工衛星10の軌道の情報に含まれる、人工衛星10の時刻に応じた位置の情報は、同じ三次元座標系における座標によって表されている。また、人工衛星10の姿勢の情報は、同じ座標系における、人工衛星10にあらかじめ定められた2軸の方向を表すベクトルによって表されていてよい。
【0048】
<算出部120>
算出部120は、位置情報受取部110から、人工衛星20の位置の情報と、人工衛星10の位置の情報とを受け取る。
【0049】
算出部120は、人工衛星20の位置の情報と、人工衛星10の位置の情報とから、人工衛星10から人工衛星20までの距離を算出する。算出部120は、人工衛星10から人工衛星20までの距離を、送信装置100から受信装置200までの距離(言い換えると、光信号が送信光学系102から送信されてから受信光学系202によって受信されるまでの距離)とする。
【0050】
算出部120は、算出した距離の情報を、選択部130に送出する。
【0051】
算出部120は、
また、算出部120は、人工衛星20の位置の情報と、人工衛星10の位置の情報とから、人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を算出する。人工衛星10から人工衛星20への方向の情報は、上述の三次元座標系における、人工衛星10から人工衛星20への方向を示すベクトルによって表されていてよい。算出部120は、直接、又は、選択部130を介して、人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を、制御部140に送出する。算出部120が、選択部130を介して、人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を制御部140に送出する場合、選択部130は、人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を算出部120から受け取る。そして、選択部130は、受け取った人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を、制御部140に送出する。
【0052】
さらに、算出部120は、位置情報受取部110から、人工衛星10の姿勢の情報を受け取ってよい。算出部120は、受け取った人工衛星10の姿勢の情報を、選択部130に送出する。
【0053】
<選択部130>
選択部130は、算出部120から、算出された距離の情報を受け取る。受け取った距離の情報は、上述のように、送信装置100から受信装置200までの距離とみなされる距離(具体的には、算出された人工衛星10から人工衛星20までの距離)である。
【0054】
選択部130は、受け取った距離に応じて、光源装置170及び光源装置171から、信号光を発信する光源装置を選択する。上述のように、選択された光源装置は、選択光源装置とも表記される。
【0055】
上述のように、本実施形態では、光源装置170が発信する信号光の強度は、光源装置171が発信する信号光の強度よりも高い。言い換えると、光源装置170が発信する信号光は、光源装置171が発信する信号光よりも強い。
【0056】
選択部130は、受け取った距離、すなわち、送信装置100から受信装置200までの距離(具体的には、算出された人工衛星10から人工衛星20までの距離)が、所定距離以上である場合、光源装置170を選択光源装置として選択する。選択光源装置は、受信装置200に送信される信号光を発信する光源装置として選択された光源装置である。選択部130は、受け取った距離が、所定距離よりも短い場合、光源装置171を選択光源装置として選択する。
【0057】
この場合、距離は、上述の所定距離よりも短い距離の範囲と、上述の所定距離以上の距離の範囲とに分けられる。上述の選択光源装置の選択を言い換えると、選択部130は、受け取った距離が上述の所定距離よりも短い距離の範囲に含まれる場合、光源装置170を選択光源装置として選択する。選択部130は、受け取った距離が上述の所定距離以上の距離の範囲に含まれる場合、光源装置171を選択光源装置として選択する。
【0058】
選択部130は、選択光源装置を示す情報を、制御部140に送出する。
【0059】
また、選択部130は、人工衛星10の姿勢の情報を受け取ってもよい。選択部130は、受け取った、人工衛星10の姿勢の情報を、制御部140に送出する。
【0060】
<制御部140>
<<信号光を発信する光源装置の制御>>
制御部140は、選択部130から、選択光源装置を示す情報を受け取る。
【0061】
また、制御部140は、人工衛星10の姿勢の情報を受け取る。制御部140は、位置情報受取部110が人工衛星10の姿勢の情報を制御部140に送出するように構成されている場合、位置情報受取部110から人工衛星10の姿勢の情報を受け取る。位置情報受取部110が算出部120と選択部130とを介して人工衛星10の姿勢の情報を制御部140に送出するように送信装置100が構成されている場合、制御部140は、選択部130から人工衛星10の姿勢の情報を受け取る。
【0062】
制御部140は、光源装置170が選択された場合(すなわち、光源装置170が選択光源装置である場合)、光源装置170が信号光を発信するように制御する。具体的には、制御部140は、光源装置170に電力が供給されるように電力の供給を制御する。この場合、制御部140は、光源装置171が信号光を発信しないように制御する。具体的には、制御部140は、光源装置170に電力が供給されないように電力の供給を制御する。また、この場合、制御部140は、増幅用光源装置180が増幅用光を発しないように制御する。具体的には、制御部140は、増幅用光源装置180に電力が供給されないように電力の供給を制御する。制御部140が電力の供給を制御する技術として、既存の様々な技術の1つが用いられてよい。
【0063】
<<方向の制御>>
また、制御部140は、算出部120から、人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を受け取る。なお、算出部120が選択部130を介して人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を制御部140に送出するように送信装置100が構成されている場合、制御部140は、人工衛星10から人工衛星20への方向の情報を選択部130から受け取る。
【0064】
制御部140は、方向制御部103に対して、送信光学系102が信号光を送信する方向が人工衛星10から人工衛星20への方向になるように、送信光学系102が信号光を送信する方向を制御する指示を送信する。
【0065】
具体的には、制御部140は、例えば、人工衛星10に定められている2軸の方向基準とした、送信光学系102が信号光を送信する方向の情報を、例えば、方向制御部103から取得する。方向制御部103は、例えばセンサ等を用いて送信光学系102の向きを測定し、測定した結果を用いて、人工衛星10に定められている2軸の方向基準とした、送信光学系102が信号光を送信する方向の情報をするように構成される。また、制御部140は、人工衛星10から人工衛星20への方向と、送信光学系102が信号光を送信する方向との差異を算出する。制御部140は、例えば、人工衛星10の姿勢の情報(例えば、上述の三次元座標系における上述の2軸の方向を表すベクトル)と、人工衛星10から人工衛星20への方向の情報と、を用いて、上述の差異を算出する。制御部140は、上述の差異が無くなるように、送信光学系102が信号光を送信する方向を変更する指示を生成する。言い換えると、制御部140は、送信光学系102が信号光を送信する方向が、人工衛星10から人工衛星20への方向になるように、送信光学系102の訪欧を変更する指示を生成する。制御部140は、生成した指示を方向制御部103に送出する。方向制御部103は、指示に従って、送信光学系102の方向を、送信光学系102が信号光を送信する方向が人工衛星10から人工衛星20への方向になるように変更する。
【0066】
なお、以上で説明した、送信光学系102が信号光を発信する方向が人工衛星10から人工衛星20になるように送信光学系102の方向を制御する方法は、説明のための一例である。送信光学系102の方向を制御する方法として、既存の様々な方法を使用することができる。
【0067】
<<信号光の制御>>
また、制御部140は、信号光によって受信装置200に向けて送信されるデータ(以下、送信データと表記)を、後述のデータ受取部150から受け取る。そして、制御部140は、受け取った送信データを表す信号光を選択光源装置が発信するように、選択光源装置を制御する。
【0068】
なお、制御部140は、算出された距離に応じて、ファイバアンプ101における増幅率を決定してもよい。
【0069】
<データ受取部150>
データ受取部150は、送信装置100が信号光によって受信装置200に送信する送信データを受け取る。データ受取部150は、例えば、地上の基地から、送信データを受け取ってもよい。データ受取部150は、例えば、他の人工衛星から、送信データを受け取ってもよい。データ受取部150は、例えば、測定対象の測定を行う測定装置から、送信データを受け取ってもよい。測定対象は、地中、地表、空中、水中及び宇宙空間の少なくともいずれかに存在する対象であってよい。測定装置は、様々なセンサの少なくともいずれかであってよい。
【0070】
<動作>
次に、本開示の第2の実施形態に係る送信装置100の動作について説明する。
【0071】
図5は、本開示の第2の実施形態に係る送信装置100の動作の例を表すブロック図である。
図5に示す例では、算出部120が、受信装置の移動経路の情報を用いて、受信装置までの距離を算出する(ステップS101)。次に、選択部130が、信号光の強度が異なる複数の光源装置から、算出された距離に応じて、受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する(ステップS102)。そして、制御部140が、選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する(ステップS103)。そして、送信光学系102が、選択光源装置が発信する信号光を送信する(ステップS104)。
【0072】
<効果>
本実施形態には、第1の実施形態と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果が生じる理由と同じである。
【0073】
<第2の実施形態の第1の変形例>
図6は、本開示の第2の実施形態の第1の変形例に係る送信装置100Bの構成の例を表すブロック図である。
図6に示す送信装置100Bの構成は、光源装置171の代わりに、N台の光源装置171~光源装置17Nを含む点を除いて、第2の実施形態の送信装置100の構成と同じである。なお、本変形例では、Nは、2以上の自然数である。
【0074】
本変形例の選択部130は、これらの複数の光源装置170~光源装置17Nから、算出された送信装置100と受信装置200との間の距離(以下、通信距離とも表記)に応じた、1つの光源装置を選択光源装置として選択する。
【0075】
本変形例では、発信される信号光の強さによる光源装置の順番は、信号が強い方から、光源装置170、光源装置171、・・・、光源装置17Nである。
【0076】
そして、通信距離に対するN個の閾値があらかじめ定められる。本変形例では、順番の早い閾値ほど、値が大きい。選択部130は、通信距離が1番目の閾値以上である場合、光源装置170を選択光源装置として選択する。選択部130は、通信距離が1番目の閾値よりも小さく2番目の閾値以上である場合、光源装置171を選択光源装置として選択する。選択部130は、通信距離がn番目(nは1以上N-1以下の自然数)の閾値よりも小さくn番目の閾値以上である場合、光源装置17nを選択光源装置として選択する。選択部130は、通信距離がN番目の閾値以上である場合、光源装置17Nを選択光源装置として選択する。
【0077】
言い換えると、これらの複数の閾値によって区切られた複数の距離範囲の各々に、距離範囲に含まれる距離が長いほど発信する光信号が強い光源装置が関連付けられるように、1つの光源装置を予め関連付けておく。そして、選択部130は、通信距離が含まれる距離範囲に関連付けられている光源装置を、選択光源装置として選択する。
【0078】
例えば、1番目の閾値以上である距離の範囲を第1の距離範囲、1番目の閾値よりも小さく2番目の閾値以上である距離の範囲を第2の距離範囲、n番目(nは1以上N-1以下の自然数)の閾値よりも小さくn+1番目の閾値以上である距離の範囲を第n+1の距離範囲、第N番目の閾値よりも小さい距離範囲を、第N+1の距離範囲とする。そして、第1の距離範囲に光源装置170が関連付けられ、第2の距離範囲に光源装置171が関連付けられ、第n+1の距離範囲(nは、1以上N以下の自然数)に、光源装置17nが関連づけられ、第N+1の距離範囲に、光源装置17Nが関連付けられる。
【0079】
例えば、光源装置17n-1(nは、1以上N以下の自然数)が発信する信号光の強度と、光源装置17nが発信する信号光の強度との差が20dBであるとする。そして、送信される信号光のファイバアンプによるダイナミックレンジが10dBであり、受信装置が含む増幅器によるダイナミックレンジが10dBであるとする。この場合、本変形例では、送信装置が同一の強度の光信号を送信した場合の、受信装置に届く信号光のダイナミックレンジが、20+20(N-1)dBになるような距離の変化が、送信装置と受信装置との間の距離に生じる場合であっても、通信が可能になる。例えばNが3である場合、送信装置が同一の強度の光信号を送信した場合の、受信装置に届く信号光のダイナミックレンジが、60dBになるような距離の変化が、送信装置と受信装置との間の距離に生じる場合であっても、通信が可能になる。このように、複数の光源装置が発信する信号光の強さの差が大きくなるように光源装置の数を増やすことによって、ダイナミックレンジを拡大することができる。言い換えると、送信装置から受信装置へ信号光を送信できるな、送信装置と受信装置との間の距離の変化の大きさを拡大できる。
【0080】
<第2の実施形態の第2の変形例>
受信装置200は、経路を予定に従って移動する、人工衛星以外の移動体に搭載されていてもよい。人工衛星以外の移動体は、例えば、航空機又はドローンなどの飛翔体、自動車等の車両、船舶等のいずれかである。送信装置100は、経路を予定に従って移動する、人工衛星以外の移動体に搭載されていてもよい。人工衛星以外の移動体は、例えば、航空機又はドローンなどの飛翔体、自動車等の車両、船舶等のいずれかである。なお、送信装置100が搭載される移動体は、受信装置200が搭載される移動体とは異なる。
【0081】
図7は、本開示の第2の実施形態の第2の変形例に係る通信システム2の構成の例を表すブロック図である。
図7に示す例では、通信システム2は、送信装置100と受信装置200とを含む。本変形例の送信装置100及び受信装置200は、第2の実施形態の送信装置100及び受信装置200と同じである。ただし、本変形例の送信装置100は、移動体11に搭載される。本変形例の受信装置200は、移動体21に搭載される。移動体11及び移動体12は、上述の移動体である。なお、人工衛星10に搭載されている送信装置100と、人工衛星20に搭載されている受信装置200も、通信システムと表記され得る。
【0082】
<第2の実施形態の第3の変形例>
複数の光源装置の少なくともいずれかが発信する光の強度は、例えば制御部140の制御によって、変更可能であってもよい。そして、複数の光源装置の各々が発信可能な信号光の強度の範囲は、他の光源装置が発信可能な信号光の強度の範囲のいずれにも含まれない範囲を含むように構成されていてよい。この場合、選択部130は、算出された距離に応じて、算出された距離の通信が可能な光源装置を選択してよい。算出された距離に応じた光源装置の選択の方法は、第2の実施形態における方法と同じでよい。制御部140は、信号光の強度を変更できる選択光源装置の強度を、算出された距離に応じて、算出された距離の通信が可能なように決定してよい。そして、制御部140は、その選択光源装置の強度を、決定した強度になるように制御する。ファイバアンプ101による増幅率の制御が可能である場合、制御部140は、信号光の強度を変更できる選択光源装置の強度とファイバアンプ101による増幅率とを、算出された距離に応じて、算出された距離の通信が可能なように決定してよい。選択光源装置の強度と増幅率との組み合わせが複数存在する場合、制御部140は、予め適宜定められた方法に従って、選択光源装置の強度と増幅率とを決定してよい。そして、制御部140は、選択光源装置の強度とファイバアンプ101による増幅率とを、決定された組み合わせの強度と増幅率とになるように制御する。
【0083】
<他の実施形態>
本開示の実施形態に係る送信装置は、メモリにロードされたプログラムを実行するプロセッサを含むコンピュータを用いて実現できる。本開示の実施形態に係る送信装置は、専用のハードウェアによって実現できる。本開示の実施形態に係る送信装置は、前述のコンピュータと専用のハードウェアとの組み合わせによっても実現できる。
【0084】
図8は、本開示の実施形態に係る送信装置を実現するために使用できる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。
図8に示す例では、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記憶媒体である。記憶装置1003が記憶媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、他の装置にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係る送信装置として動作させるプログラムが格納されている。
【0085】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、本開示の実施形態に係る送信装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、本開示の実施形態に係る送信装置として動作する。
【0086】
位置情報受取部110、算出部120、選択部130、制御部140、データ受取部150、方向制御部103は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001により実現できる。位置情報受取部110、算出部120、選択部130、制御部140、データ受取部150、方向制御部103の一部又は全部を、各部の機能を実現する専用の回路によって実現することもできる。
【0087】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0088】
(付記1)
受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する算出部と、
出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する選択部と、
前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する制御部と、
を備える送信装置。
【0089】
(付記2)
前記選択光源装置が発信する信号光を、前記受信装置に発信する発信部
をさらに備える付記1に記載の送信装置。
【0090】
(付記3)
前記移動経路の情報を用いて、前記信号光が発信される方向を前記受信装置が前記信号光を受信可能な方向になるように制御する方向制御部
をさらに備える付記1又は2に記載の送信装置。
【0091】
(付記4)
前記複数の光源装置は、異なる複数の距離範囲のいずれかに関連付けられ、
前記選択部は、算出された前記距離が含まれる距離範囲に関連付けられている前記光源装置を前記選択光源装置として選択する
付記1又は2に記載の送信装置。
【0092】
(付記5)
前記受信装置と、
付記1又は2に記載の送信装置と
を含む通信システム。
【0093】
(付記6)
前記受信装置は、受信側人工衛星に搭載され、
前記受信装置の移動経路は、前記受信装置を搭載する前記受信側人工衛星の軌道の情報である
付記1又は2に記載の送信装置を含む人工衛星。
【0094】
(付記7)
前記制御部は、前記複数の光源装置のうち、出力される前記信号光の強度が最も高い基準光源装置とは異なる前記選択光源装置が選択された場合、前記基準光源装置が出力する前記信号光と同じ強度の、前記複数の光源装置が発信する前記信号光の波長とは異なる波長の付加用光を出力する付加用光源からの前記付加用光と、前記選択光源装置からの前記信号光とが合波された合波信号光が、前記受信装置に送信される前記信号光として送信されるように制御し、
前記受信装置は、前記付加用光の波長の光を減衰させるバンドパスフィルタを介して、前記信号光を受信する
付記1又は2に記載の送信装置。
【0095】
(付記8)
受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出し、
出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択し、
前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する、
送信方法。
【0096】
(付記9)
前記選択光源装置が発信する信号光を、前記受信装置に発信する
付記8に記載の送信方法。
【0097】
(付記10)
前記移動経路の情報を用いて、前記信号光が発信される方向を前記受信装置が前記信号光を受信可能な方向になるように制御する
付記8又は9に記載の送信方法。
【0098】
(付記11)
前記複数の光源装置は、異なる複数の距離範囲のいずれかに関連付けられ、
算出された前記距離が含まれる距離範囲に関連付けられている前記光源装置を前記選択光源装置として選択する
付記8又は9に記載の送信方法。
【0099】
(付記12)
前記受信装置は、受信側人工衛星に搭載され、
前記受信装置の移動経路は、前記受信装置を搭載する前記受信側人工衛星の軌道の情報である
付記8又は9に記載の送信方法。
【0100】
(付記13)
前記複数の光源装置のうち、出力される前記信号光の強度が最も高い基準光源装置とは異なる前記選択光源装置が選択された場合、前記基準光源装置が出力する前記信号光と同じ強度の、前記複数の光源装置が発信する前記信号光の波長とは異なる波長の付加用光を出力する付加用光源からの前記付加用光と、前記選択光源装置からの前記信号光とが合波された合波信号光が、前記受信装置に送信される前記信号光として送信されるように制御し、
前記受信装置は、前記付加用光の波長の光を減衰させるバンドパスフィルタを介して、前記信号光を受信する
付記8又は9に記載の送信方法。
【0101】
(付記14)
受信装置の移動経路の情報を用いて、前記受信装置までの距離を算出する算出処理と、
出力される信号光の強度が異なる複数の光源装置から、前記距離に応じて、前記受信装置に送信する信号光を発信する選択光源装置を選択する選択処理と、
前記選択光源装置が発信する信号光が送信されるように制御する制御処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0102】
(付記15)
前記選択光源装置が発信する信号光は、前記受信装置に発信される
付記14に記載のプログラム。
【0103】
(付記16)
前記移動経路の情報を用いて、前記信号光が発信される方向を前記受信装置が前記信号光を受信可能な方向になるように制御する方向制御処理
をさらにコンピュータに実行させる付記14又は15に記載のプログラム。
【0104】
(付記17)
前記複数の光源装置は、異なる複数の距離範囲のいずれかに関連付けられ、
前記選択処理は、算出された前記距離が含まれる距離範囲に関連付けられている前記光源装置を前記選択光源装置として選択する
付記14又は15に記載のプログラム。
【0105】
(付記18)
前記受信装置は、受信側人工衛星に搭載され、
前記受信装置の移動経路は、前記受信装置を搭載する前記受信側人工衛星の軌道の情報である
付記14又は15に記載のプログラム。
【0106】
(付記19)
前記制御処理は、前記複数の光源装置のうち、出力される前記信号光の強度が最も高い基準光源装置とは異なる前記選択光源装置が選択された場合、前記基準光源装置が出力する前記信号光と同じ強度の、前記複数の光源装置が発信する前記信号光の波長とは異なる波長の付加用光を出力する付加用光源からの前記付加用光と、前記選択光源装置からの前記信号光とが合波された合波信号光が、前記受信装置に送信される前記信号光として送信されるように制御し、
前記受信装置は、前記付加用光の波長の光を減衰させるバンドパスフィルタを介して、前記信号光を受信する
付記14又は15に記載のプログラム。
【0107】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 人工衛星システム
2 通信システム
10 人工衛星
11 移動体
20 人工衛星
21 移動体
100 送信装置
100A 送信装置
100B 送信装置
101 ファイバアンプ
102 送信光学系
103 方向制御部
110 位置情報受取部
120 算出部
130 選択部
140 制御部
150 データ受取部
160 発信制御部
170 光源装置
171 光源装置
17N 光源装置
180 増幅用光源装置
200 受信装置
201 バンドパスフィルタ
202 受信光学系
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 I/Oインタフェース
1005 記憶媒体