(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057744
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置及びブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B60T 15/36 20060101AFI20240418BHJP
B60T 17/04 20060101ALI20240418BHJP
B60T 17/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B60T15/36 Z
B60T17/04 Z
B60T15/36 A
B60T17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164606
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】染谷 貴司
【テーマコード(参考)】
3D049
【Fターム(参考)】
3D049BB21
3D049CC03
3D049HH04
3D049HH05
3D049HH17
3D049HH19
3D049HH21
3D049HH45
3D049PP05
(57)【要約】
【課題】排気音を低減する。
【解決手段】ブレーキ制御装置は、所定の圧力の圧縮空気を基礎ブレーキ装置に供給可能、かつ、前記圧縮空気を排出可能な排出口を有するブレーキ制御装置本体と、前記排出口から排出される前記圧縮空気が導入される消音装置と、を備え、前記消音装置は、前記排出口に一端が接続された導入管と、前記導入管の他端に対して複数の異なる方向に延びつつ、同一構造を有する複数の接続管と、一つの前記接続管に対応して一つのみが接続され、同一構造を有する複数の消音器とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の圧力の圧縮空気を基礎ブレーキ装置に供給可能、かつ、前記圧縮空気を排出可能な排出口を有するブレーキ制御装置本体と、
前記排出口から排出される前記圧縮空気が導入される消音装置と、を備え、
前記消音装置は、
前記排出口に一端が接続された導入管と、
前記導入管の他端に対して複数の異なる方向に延びつつ、同一構造を有する複数の接続管と、
一つの前記接続管に対応して一つのみが接続され、同一構造を有する複数の消音器とを有するブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記導入管と複数の前記接続管との間に配置され、前記導入管を流通してきた前記圧縮空気の流れ方向に対して直交する複数の異なる方向に延びる枝管を有する分岐管をさらに備え、
各前記接続管は、各前記枝管に対応するようにそれぞれ接続されている請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記消音器の口径は、前記排出口の開口径よりも小さい請求項1又は2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記消音器は、鉛直方向の下方を向いている請求項1又は2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記導入管は、L字型の配管継手であり、
前記分岐管は、二方向に分岐するT字型の配管継手である請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のブレーキ制御装置と、
前記ブレーキ制御装置に前記圧縮空気を供給する空気タンクと、
前記ブレーキ制御装置から所定の圧力の前記圧縮空気が供給される基礎ブレーキ装置とを備えるブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブレーキ制御装置及びブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通手段として、車輪によってレール上を走行する鉄道車両や、ゴムタイヤを装着した走行輪によって軌道を走行する軌道系交通システムが知られている。軌道系交通システムには、車両の中央や側方に案内輪が配置された案内式の軌道系交通システムがある。このような鉄道や軌道系交通システムの車両には、車輪やゴムタイヤに制動力を与えるブレーキシステムが設けられている。車両のブレーキシステムには、一般に、空気タンクに蓄えた空気の圧力を用いてブレーキシリンダ等を制御することで制動力を調整する空気ブレーキが採用されている。ブレーキシステムは、このような空気ブレーキを制御するために、ブレーキ制御装置を有している。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のブレーキ制御装置は、外装であるケーシングと、ケーシングと車体に固定されたフレームとを接続する管座と、弁ブロックと、ケーシングに覆われた複数の電磁弁を有する電空プレートと、制動に関する各種制御として複数の電磁弁を制御するコントローラとを備えている。また、管座には、排気口から排気する際の騒音を抑制する消音器が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなブレーキ制御装置では、ブレーキを緩解する際に、排出口から多くの圧縮空気が外部の大気中へ排気される。その際、高圧の圧縮空気が大量に流出することで、大きな排気音が生じてしまう。このような排気音を低減することは、ブレーキ制御装置において、常に課題となっている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、排気音を低減可能なブレーキ制御装置及びブレーキシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るブレーキ制御装置は、所定の圧力の圧縮空気を基礎ブレーキ装置に供給可能、かつ、前記圧縮空気を排出可能な排出口を有するブレーキ制御装置本体と、前記排出口から排出される前記圧縮空気が導入される消音装置と、を備え、前記消音装置は、前記排出口に一端が接続された導入管と、前記導入管の他端に対して複数の異なる方向に延びつつ、同一構造を有する複数の接続管と、一つの前記接続管に対応して一つのみが接続され、同一構造を有する複数の消音器とを有する。
【0008】
また、本開示に係るブレーキシステムは、上述したブレーキ制御装置と、前記ブレーキ制御装置に前記圧縮空気を供給する空気タンクと、前記ブレーキ制御装置から所定の圧力の圧縮空気が供給される基礎ブレーキ装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のブレーキ制御装置及びブレーキシステムによれば、排気音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るブレーキシステムを備えた車両の構成を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係るブレーキシステムを示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る消音装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示によるブレーキ制御装置30及びブレーキシステム20を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
(車両の構成)
図1に示すように、車両1は、鉄道や案内式の軌道系交通システムで使用される。本実施形態における車両は、1両以上を1編成として運行される。複数両の車両1を1編成とする場合、車両1同士は、連結装置(図示無し)により互いに連結される。車両1は、軌道上を走行可能な車両本体10と、車両本体10に配置されたブレーキシステム20とを備えている。
【0013】
(ブレーキシステムの構成)
ブレーキシステム20は、車両本体10の車輪に付与する制動力を制御する。ブレーキシステム20は、車両本体10の床下又は床上に配置されている。
図2に示すように、本実施形態のブレーキシステム20は、空気圧縮機21と、空気タンク22と、基礎ブレーキ装置23と、ブレーキ制御装置30とを備えている。空気圧縮機21は、外部から供給された流体(空気)を圧縮して高圧流体(圧縮空気)を生成する。空気タンク22は、空気圧縮機21から供給された圧縮空気を貯留する。基礎ブレーキ装置23は、圧縮空気を利用して車両1の車輪に制動力を付与する。基礎ブレーキ装置23は、例えば増圧シリンダを有するディスクブレーキや、路面ブレーキ等である。なお、基礎ブレーキ装置23は、例えば車両本体10ごとに設けられてもよいし、車輪ごとに設けられてもよい。
【0014】
(ブレーキ制御装置の構成)
ブレーキ制御装置30は、空気タンク22から供給された圧縮空気の圧力を所定の圧力に調整した後、調整された圧力の圧縮空気を基礎ブレーキ装置23に供給する。本実施形態に係るブレーキ制御装置30は、ブレーキ制御装置本体40と、消音装置50とを有している。
【0015】
ブレーキ制御装置本体40は、所定の圧力の圧縮空気をブレーキに供給可能、かつ、圧縮空気を排出可能とされている。ブレーキ制御装置本体40は、ケーシング41(
図3参照)と、コントロール部42と、電空変換弁43と、応荷重弁44と、非常電磁弁45と、中継弁46と、を備えている。
【0016】
図3及び
図4に示すように、ケーシング41は、ブレーキ制御装置本体40の外装を構成している。ケーシング41は、例えば、アルミ材のような金属材料で形成されている。ケーシング41の内部には、コントロール部42と、電空変換弁43と、応荷重弁44と、非常電磁弁45と、中継弁46とが収容されている。ケーシング41は、圧縮空気をケーシング41の外部に排出可能な排出口411を有している。排出口411は、ケーシング41の表面で開口するように形成されている。排出口411は、ケーシング41の外部で消音装置50と接続されている。
【0017】
図2に示すように、コントロール部42は、ブレーキ制御装置30の動作全体を司る制御ユニットである。コントロール部42は、車両1を運転する運転士の操作やATCからの指令等に基づいて、通常運転時に、電気信号としてのブレーキ指令を生成する。生成したブレーキ指令は、電空変換弁43に送られる。また、コントロール部42は、運転中の車両1に対して緊急停止指令が発せられた場合のような緊急停止時に、非常電磁弁45に向けて電気信号としての緊急停止指令を出力する。
【0018】
電空変換弁43は、空気タンク22と中継弁46とに接続されている。電空変換弁43は、空気タンク22から供給された圧縮空気を、コントロール部42から入力されたブレーキ指令に応じた圧力の圧縮空気を出力する。電空変換弁43は、圧縮空気を中継弁46に送出する。電空変換弁43は、一以上の電空変換弁のみで構成されていてもよく、一組以上の供給電磁弁及び排気電磁弁で構成されていてもよい。
【0019】
応荷重弁44は、空気タンク22と非常電磁弁45とに接続されている。応荷重弁44は、空気タンク22から供給された圧縮空気を用いて車両本体10の重量に応じた圧力の圧縮空気を出力する。応荷重弁44は、圧縮空気を非常電磁弁45に送出する。例えば、多くの乗客が車両本体10に乗車している場合、その荷重に従い応荷重弁44からの出力圧力が高くなる。そのため、緊急停止指令が出力された際には、非常電磁弁45からより高い圧力の圧縮空気が供給されることとなり、基礎ブレーキ装置23でより強い制動力が働く。これにより、緊急停止時における車両1の制動特性を、乗車率によらず一定にしている。
【0020】
非常電磁弁45は、応荷重弁44と中継弁46とに接続されている。非常電磁弁45は、コントロール部42から出力される緊急停止指令に従って開閉動作する。具体的には、非常電磁弁45は、緊急停止指令が入力された場合には、直ちに全開状態となる。非常電磁弁45が開放され、応荷重弁44によって調節された圧縮空気が中継弁46に供給される。その結果、中継弁46を通じて、基礎ブレーキ装置23に対し、緊急停止指令に応じた圧力が印加される。これにより、車両1において、非常ブレーキがかけられる。また、非常電磁弁45から排出される圧縮空気の圧力は、電空変換弁43から排出される圧縮空気の圧力よりも大きい。
【0021】
中継弁46は、指令圧力に応じた圧力に変換し、容量を増幅させ、基礎ブレーキ装置23に向けて出力するパイロット式の弁である。中継弁46は、電空変換弁43及び非常電磁弁45に接続されている。中継弁46は、指令圧力に応じた圧力の圧縮空気を基礎ブレーキ装置23に送出する。具体的には、中継弁46は、電空変換弁43又は非常電磁弁45から供給された圧縮空気の圧力を指令圧力とし、この指令圧力に応じた圧力に変換し、容量を増幅された圧縮空気を基礎ブレーキ装置23に送出する。したがって、中継弁46は、電空変換弁43からブレーキ指令に応じた圧力となった圧縮空気を受け付けて、より高圧な圧縮空気を基礎ブレーキ装置23に出力する。また、中継弁46は、非常電磁弁45から緊急停止指令に応じた圧力となった圧縮空気を受け付けて、より高圧な圧縮空気を基礎ブレーキ装置23に出力する。つまり、中継弁46から基礎ブレーキ装置23に送出される圧縮空気の圧力は、電空変換弁43から中継弁46に供給される圧縮空気の圧力や、非常電磁弁45から中継弁46に供給される圧縮空気の圧力よりも大きい。さらに、非常電磁弁45から圧縮空気が供給された場合(緊急停止時)の中継弁46から基礎ブレーキ装置23へ供給する圧縮空気の圧力は、電空変換弁43から圧縮空気が供給された場合(通常運転時)の中継弁46から基礎ブレーキ装置23へ供給する圧縮空気の圧力よりも大きい。
【0022】
また、中継弁46は、ケーシング41の内部で配管と通じて、排出口411と繋がっている。したがって、中継弁46は、基礎ブレーキ装置23から戻された圧縮空気を排出口411に排出可能とされている。また、基礎ブレーキ装置23から中継弁46に戻される圧縮空気の圧力は、ブレーキ制御装置30において最も圧力が高くなっている。
【0023】
消音装置50は、ブレーキ制御装置本体40に接続されている。
図3及び
図4に示すように、消音装置50は、排出口411から排出された圧縮空気が導入される。消音装置50は、排出口411から排出された圧縮空気の排気音を減少させる。消音装置50は、ケーシング41の外部で、排出口411に接続されている。消音装置50は、ケーシング41に対して移動不能な状態で固定されている。消音装置50は、導入管51と、分岐管52と、接続管53と、消音器54とを有している。
【0024】
導入管51は、排出口411と分岐管52とを接続している。導入管51の一端(上端)は、排出口411に接続されている。導入管51の他端(下端)は、分岐管52に接続されている。本実施形態の導入管51は、一定の内径で直角に湾曲したL字型の配管継手(エルボ)である。導入管51は、排出口411の開口径と同等の径の配管である。導入管51は、排出口411から水平方向に延びた後に、鉛直方向の下方に向かって湾曲している。
【0025】
分岐管52は、導入管51を流通してきた圧縮空気の流れ方向に対して複数の異なる直交する方向に圧縮空気を供給する。分岐管52は、導入管51と複数の接続管53との間に配置されている。本実施形態の分岐管52は、一定の内径で形成されている。本実施形態の分岐管52は、二方向に分岐するT字状の継手配管である。分岐管52は、根本管521と、複数(本実施形態では二つ)の枝管522とを有している。根本管521の一端(上端)は、導入管51に接続されている。根本管521は、導入管51と同じ径で伸びている。根本管521は、導入管51の下端から鉛直方向の下方に伸びている。二つの枝管522は、複数の異なる方向に延びている。枝管522は、根本管521の他端(下端)に対して直角に延びている。つまり、本実施形態の枝管522は、根本管521に対して垂直になるように、根本管521の下端から水平方向に延びている。枝管522は、根本管521と同じ径で伸びている。複数の枝管522は、同じ構造を有している。複数の枝管522は、根本管521と一体に形成されている。また、分岐管52は、衝突面520を有している。衝突面520は、導入管51を流通してきた圧縮空気の流れに対して直交する面である。衝突面520は、根本管521と二つの枝管522との接続部分の内周面に形成されている。したがって、根本管521を流通した圧縮空気は、衝突面520に衝突した後に二つの枝管522に分岐して流れていく。
【0026】
接続管53は、導入管51の他端に対して複数の異なる方向に延びている。本実施形態の各接続管53は、各枝管522に対応するようにそれぞれ接続されている。したがって、一つの枝管522に対して、一つの接続管53のみが接続されている。また、本実施形態の接続管53は、分岐管52を介して間接的に導入管51に接続されている。複数の接続管53は、同一構造を有している。接続管53は、一定の内径で直角に湾曲したL字型の配管継手(エルボ)である。本実施形態の接続管53は、導入管51と同じ部材である。接続管53は、枝管522と同等の内径の配管である。接続管53は、枝管522から水平方向に延びた後に、鉛直方向の下方に向かって湾曲している。
【0027】
消音器54は、ブレーキ制御装置本体40から排気される際の圧縮空気の排気音を低減する。消音器54は、接続管53と同数(本実施形態では二つ)が配置されている。つまり、消音器54は、一つの接続管53に対応して一つのみが接続されている。複数の消音器54は、同一構造を有している。消音器54は、例えば、内部にガラスウール等の吸音材を有する吸音式の装置である。消音器54の口径は、排出口411の開口径よりも小さく形成されている。また、全ての消音器54は、鉛直方向の下方を向くように配置されている。
【0028】
(作用効果)
上記実施形態のブレーキ制御装置30を備えたブレーキシステム20では、ブレーキ時には中継弁46から基礎ブレーキ装置23に供給された大容量の高圧の圧縮空気は、基礎ブレーキ装置23を駆動させる。そして、ブレーキ緩解時には基礎ブレーキ装置23の圧縮空気が中継弁46に戻される。その後、中継弁46を介して排出口411から消音装置50に送られる。消音装置50に送られた圧縮空気は、導入管51、分岐管52、及び接続管53の順に通過して消音器54に送られる。そして、消音器54を介して外部に排出(排気)される。
【0029】
その際、排出口411から排出された圧縮空気は、導入管51から異なる方向に延びる二つの同一構造の接続管53に分散されて、同一構造を有する二つの消音器54に送られる。そのため、一つの消音器54のみに、排出口411から排出された圧縮空気の全てを送る場合に比べて、一つの消音器54で排気する圧縮空気の流量を低減させることができる。したがって、一つの消音器54で生まれる排気音の発生を抑えることができる。さらに、同一構造の接続管53及び消音器54に送られることで、排出口411から排出された圧縮空気は、均等に分散されてそれぞれの消音器54に送られる。したがって、複数の消音器54に供給される圧縮空気の流量及び圧損に差が生じないことで、消音器54ごとに発生する排気音を抑えることができる。そのため、複数の消音器54から生じる排気音を低減できる。これらにより、消音装置50から生じる排気音を低減することができる。
【0030】
また、導入管51を経た圧縮空気は、分岐管52を介して、接続管53に送られている。分岐管52では、導入管51を流通してきた圧縮空気は、その流れ方向に対して直交する異なる方向に延びる枝管522に送られる。そのため、根本管521と枝管522との接続部分の内周面に形成された衝突面520に、導入管51を流通してきた圧縮空気は衝突する。その結果、導入管51から接続管53に直接送られた場合の圧縮空気の圧損に比べて、分岐管52を介して接続管53に供給された場合の圧縮空気の圧損が大きくなる。さらに、衝突面520に一度衝突することで圧縮空気の流れに滞留が生じ、異なる方向に延びる枝管522に圧縮空気が均等に分散されやすくなる。これにより、複数の消音器54に供給される圧縮空気の流量及び圧損に差をより抑えることができる。そのため、複数の消音器54から生じる排気音をより低減できる。これらにより、消音装置50から生じる排気音をより低減することができる。
【0031】
また、仮に排出口411からそれぞれの消音器54までの流路が、全く異なる流路長や流路径の経路となっている場合には、複数の消音器54に供給される圧縮空気の流量及び圧損に差が生じてしまう。そのため、消音器54ごとに発生する排気音の音が低減されない。その結果、複数の消音器54から生じる排気音を十分に低減できない。これは、単純に消音器54の数を増加させた場合も同様である。しかしながら、本実施形態では、排出口411からそれぞれの消音器54までの流路が、導入管51から分岐管52を通って接続管53を通過することで、完全に同じ流路長及び流路径となる。その結果、複数の消音器54に供給される圧縮空気の流量及び圧損に差が生じないことで、消音器54ごとに発生する排気音を高い精度で抑えることができる。そのため、複数の消音器54から生じる排気音を大きく低減できる。
【0032】
また、消音器54の口径は、排出口411の開口径よりも小さく形成されている。そのため、排出口411の開口径と同径の消音器54を使用する場合と比べて、消音器54での圧損を増加させ、排気音をより一層抑えることができる。
【0033】
さらに、排出口411から、導入管51、分岐管52、接続管53までが同等の内径とされ、圧縮空気が流通する流路の流路断面が消音器54に到達するまで絞られていない。特に分岐管52で流路が分岐する前で、流路が絞られていない。そのため、排気にかかる時間の増加を抑えることができる。したがって、基礎ブレーキ装置23での応答性を低下させることなく、排気音を低減することができる。
【0034】
また、消音器54が鉛直方向の下方を向いている。そのため、消音器54から排出された圧縮空気は地面に向かって送り出される。したがって、消音器54から生じる音も地面に向かうように生じるため、地面を介して排気音をさらに低減することができる。
【0035】
また、導入管51及び接続管53がL字型の配管継手で形成され、分岐管52がT字型の配管継手で形成されている。このようにL字型の配管継手やT字型の配管継手を使用することで、排出口411から消音器54までの径が一定の流路を市販の簡易な構成で容易に作成することができる。したがって、安価に簡易な構成で消音装置50が得られる。
【0036】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0037】
なお、ブレーキシステム20は上述した構造に限定されるものではない。ブレーキシステム20は、例えば、主空気タンク及び補助空気タンクのように、複数の空気タンク22を有していてもよい。また、ブレーキシステム20では、電空変換弁43や非常電磁弁45は、中継弁46に直接接続される構造に限定されるものではない。例えば、電空変換弁43や非常電磁弁45の後に切替電磁弁が配置されていてもよい。つまり、電空変換弁43や非常電磁弁45が切替電磁弁を介して中継弁に空気を送出する構成であってもよい。
【0038】
また、消音装置50は、上述した構造に限定されるものではない。例えば、消音装置50は、分岐管52を有していなくてもよい。つまり、導入管51と接続管53とか直接接続されていてもよい。
【0039】
また、接続管53は、導入管51に対して直交する方向で接続されることに限定されるものではない。接続管53は、導入管51に対して斜めに延びてY字に分岐するように、導入管51に対して直交しない方向に延びていてもよい。
【0040】
また、枝管522や接続管53は、複数配置されていれば、二つでなくてもよい。したがって、枝管522や接続管53は、三つ以上であってもよい。
【0041】
また、消音器54の配置される向きは、鉛直方向の下方であることに限られない。消音器54は、水平方向や、鉛直方向及び水平方向に対して傾斜した方向を向くように配置されていてもよい。
【0042】
さらに、複数の消音器54は、本実施形態のようにすべてが同じ方向を向いて配置されることに限定されるものではない。複数の消音器54は、それぞれが異なる方向を向いて配置されていてもよい。
【0043】
また、消音器54の構造は、本実施形態の構造であることに限定されるものではない。例えば、消音器54の口径は、排出口411の開口径と同等か大きくてもよい。また、消音器54は、吸音式の装置でなくてもよい。
【0044】
<付記>
実施形態に記載のブレーキ制御装置30及びブレーキシステム20は、例えば以下のように把握される。
【0045】
(1)第1の態様に係るブレーキ制御装置30は、所定の圧力の圧縮空気を基礎ブレーキ装置23に供給可能、かつ、前記圧縮空気を排出可能な排出口411を有するブレーキ制御装置本体40と、前記排出口411から排出される前記圧縮空気が導入される消音装置50と、を備え、前記消音装置50は、前記排出口411に一端が接続された導入管51と、前記導入管51の他端に対して複数の異なる方向に延びつつ、同一構造を有する複数の接続管53と、一つの前記接続管53に対応して一つのみが接続され、同一構造を有する複数の消音器54とを有する。
【0046】
このブレーキ制御装置30では、排出口411から排出された圧縮空気は、導入管51から異なる方向に延びる二つの同一構造の接続管53に分散されて、同一構造を有する二つの消音器54に送られる。そのため、一つの消音器54のみに、排出口411から排出された圧縮空気の全てを送る場合に比べて、一つの消音器54で排気する圧縮空気の流量を低減させることができる。したがって、一つの消音器54で生まれる排気音の発生を抑えることができる。さらに、同一構造の接続管53及び消音器54に送られることで、排出口411から排出された圧縮空気は、均等に分散されてそれぞれの消音器54に送られる。したがって、複数の消音器54に供給される圧縮空気の流量及び圧損に差が生じないことで、消音器54ごとに発生する排気音を抑えることができる。そのため、複数の消音器54から生じる排気音を低減できる。これらにより、消音装置50から生じる排気音を低減することができる。
【0047】
(2)第2の態様に係るブレーキ制御装置30は、(1)のブレーキ制御装置30であって、前記導入管51と複数の前記接続管53との間に配置され、前記導入管51を流通してきた前記圧縮空気の流れ方向に対して直交する複数の異なる方向に延びる枝管522を有する分岐管52をさらに備え、各前記接続管53は、各前記枝管522に対応するようにそれぞれ接続されていてもよい。
【0048】
これにより、分岐管52では、導入管51を流通してきた圧縮空気は、その流れ方向に対して直交する異なる方向に延びる枝管522に送られる。そのため、根本管521と枝管522との接続部分に、導入管51を流通してきた圧縮空気は衝突する。その結果、導入管51から接続管53に直接送られた場合の圧縮空気の圧損に比べて、分岐管52を介して接続管53に供給された場合の圧縮空気の圧損が大きくなる。さらに、分岐管52に一度衝突することで圧縮空気の流れに滞留が生じ、異なる方向に延びる枝管522に圧縮空気が均等に分散されやすくなる。これにより、複数の消音器54に供給される圧縮空気の流量及び圧損に差をより抑えることができる。そのため、複数の消音器54から生じる排気音をより低減できる。これらにより、消音装置50から生じる排気音をより低減することができる。
【0049】
(3)第3の態様に係るブレーキ制御装置30は、(1)又は(2)のブレーキ制御装置30であって、前記消音器54の口径は、前記排出口411の開口径よりも小さくてもよい。
【0050】
これにより、排出口411の開口径と同径の消音器54を使用する場合と比べて、消音器54での圧損を増加させ、排気音をより一層抑えることができる。
【0051】
(4)第4の態様に係るブレーキ制御装置30は、(1)から(3)の何れか一つのブレーキ制御装置30であって、前記消音器54は、鉛直方向の下方を向いていてもよい。
【0052】
これにより、消音器54から排出された圧縮空気は地面に向かって送り出される。したがって、消音器54から生じる音も地面に向かうように生じるため、地面を介して排気音をさらに低減することができる。
【0053】
(5)第5の態様に係るブレーキ制御装置30は、(2)のブレーキ制御装置30であって、前記導入管51は、L字型の配管継手であり、前記分岐管52は、二方向に分岐するT字型の配管継手であってもよい。
【0054】
これにより、L字型の配管継手やT字型の配管継手を使用することで、排出口411から消音器54までの径が一定の流路を市販の簡易な構成で容易に作成することができる。したがって、安価で簡易な構成で消音装置50が得られる。
【0055】
(6)第6の態様に係るブレーキシステム20は、(1)から(5)のいずれか一つのレーキ制御装置と、前記ブレーキ制御装置30に前記圧縮空気を供給する空気タンク22と、前記ブレーキ制御装置30から所定の圧力の前記圧縮空気が供給される基礎ブレーキ装置23とを備える。
【符号の説明】
【0056】
1…車両
10…車両本体
20…ブレーキシステム
21…空気圧縮機
22…空気タンク
23…基礎ブレーキ装置
30…ブレーキ制御装置
40…ブレーキ制御装置本体
41…ケーシング
411…排出口
42…コントロール部
43…電空変換弁
44…応荷重弁
45…非常電磁弁
46…中継弁
50…消音装置
51…導入管
52…分岐管
520…衝突面
521…根本管
522…枝管
53…接続管
54…消音器