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特開2024-57764NFT取引における課税額算出システム及びプログラム
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  • 特開-NFT取引における課税額算出システム及びプログラム 図1
  • 特開-NFT取引における課税額算出システム及びプログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057764
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】NFT取引における課税額算出システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240418BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164647
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】721008408
【氏名又は名称】藤井 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 鏡子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 淳匡
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克英
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB63
5L055BB63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】NFT取引者が容易に、かつ、任意のタイミングで課税額・納税額を知ることができるシステムを提供する。
【解決手段】各利用者端末内又はNFT課税計算サーバーのAPI実施環境に設けられているNFT課税計算部であって、各利用者が所属する所属行政区情報、利用者が所属する行政区における法定通貨情報、NFT購入日時情報及び/又はNFT購入金額情報並びにNFT売却日時情報及び/又はNFT売却金額情報の提供をうけるか又はNFT購入金額、NFT売却金額に替えて、NFT購入・売却に関与した暗号資産数量の提供をうける。NFT課税計算部は、これら情報に基づいて各利用者の売却損益を計算し、売却損益に基いて各行政区における税率に従う税額を計算し、税額を、各利用者端末において各利用者の指定した法定通貨によって表示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信技術により互いに接続された相場情報提供部、タイムスタンプ発行部、取引所情報提供部、及び複数の利用者端末からなるNFT課税計算システムであって、
各利用者端末内、又は、API実施環境にNFT課税計算部が設けられており、
NFT課税計算部に、各利用者が所属する所属行政区情報、利用者が所属する行政区における法定通貨情報、NFT購入日時情報及び/又はNFT購入金額情報、NFT売却日時情報及び/又はNFT売却金額情報が提供されるよう構成されており、又は、NFT課税計算部に、NFT購入金額、NFT売却金額に替えて、NFT購入・売却に関与した暗号資産数量が提供されるよう構成されており、
NFT課税計算部において、これら提供された情報に基づいて各利用者の売却損益が計算され、当該売却損益に基づき各行政区における税率にしたがう税額が計算され、当該税額が、各利用者端末において各利用者の指定した法定通貨によって表示されることを特徴とするNFT課税計算システム。
【請求項2】
NFT課税計算部に対して、
利用者が賃借したNFTの運用により暗号資産が取得された場合、暗号資産を取得した日時に関する情報、つまり暗号資産取得日時情報と、暗号資産数量情報が提供され、及び/又は、
暗号資産が別の暗号資産と交換され、及び/又は、法定通貨へと換金された場合、当該交換、及び/又は、換金が行われた日時に関する情報と、交換が行われた暗号資産数量情報、及び/又は換金が行われた法定通貨額情報が提供され、
これらに基づき、取得損益、交換損益、及び/又は、換金損益が計算され、
当該計算の結果に基づき、各行政区における税率にしたがう税額が計算されることを特徴とする請求項1に記載のNFT課税計算システム。
【請求項3】
NFT課税計算部に、入力・取得情報判定換算出力が設けられており、
当該入力・取得情報判定換算出力には、取得情報処理部が設けられており、
取得情報処理部が、NFT購入日時情報、NFT購入金額情報、NFT売却日時情報、NFT売却金額情報、及び/又は、NFT購入・売却に関与した暗号資産数量をNFT取引システムから取得するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のNFT課税計算システム。
【請求項4】
入力・取得情報判定換算出力には、入力情報処理部が設けられており、
当該入力情報処理部が、NFT取引システムから取得する情報に替えて、代替情報を入力することが可能であるよう構成されていることによって、当該代替情報に基づき、実際にNFT取引が行われない状況においても、これから行おうとしているNFT取引により生じる税額をシミュレーションすることが可能であるよう構成されていることを特徴とする請求項3に記載のNFT課税計算システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のNFT課税計算システムにおいて使用されるNFT課税計算プログラムであって、当該プログラムが、二層式に構成されており、第一のプログラム層が、NFT生成・取引等における税額等の計算基準・方法及び税計算を担うプログラム層であって、及び、第二のプログラム層が、利用者の対応を行い、及び/又はNFT情報の取得を行うプログラム層であることを特徴とするNFT課税計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NFT取引における課税額算出システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、NFTや暗号資産は比較的新しい技術(ブロックチェーンなど)を用いて、人々の間で取引され及び/又は流通しており、また更に、それらの取引形態・流通形態も日々新しい形態が生み出され続けている。そのような状況下で、各行政区の行政機関、税務当局においては、それら新しい取引形態・流通形態に対応する法整備や課税基準等の策定が間に合っていないのが現状である。
【0003】
そのため、税務当局においては、税の公平性に則った課税基準に基づく徴税義務を遂行すること、納税者においては、その基準における納税義務を遂行することが困難となっている。
【0004】
また、NFTや暗号資産が利用者間で流通する際に、各運用・取引の個々の時点における情報を逐次保存、又は遡って保存し、これらに基づき取引の際に生じた課税額を計算することができるシステムは存在してない。
【0005】
よって、NFT取引の各利用者は、各行政区の行政機関、税務当局等が規定する課税基準に対応した納税額を認知すらできていないことも多い。
【0006】
このような状況に起因して、NFT取引者は、NFTや暗号資産の取引の際に、その都度、又は任意のタイミングで納税額を把握することは不可能である。NFT取引の際に、必要な納税額を自動で税務当局に納税するシステムもまた同様に存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2022-514768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上述したような問題点を克服し、NFT取引者が容易にかつ任意のタイミングで課税額・納税額を知ることができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、情報通信技術により互いに接続された相場情報提供部、タイムスタンプ発行部、取引所情報提供部、及び複数の利用者端末からなるNFT課税計算システムであって、
各利用者端末内、又は、API実施環境にNFT課税計算部が設けられており、
NFT課税計算部に、各利用者が所属する所属行政区情報、利用者が所属する行政区における法定通貨情報、NFT購入日時情報及び/又はNFT購入金額情報、NFT売却日時情報及び/又はNFT売却金額情報が提供されるよう構成されており、又は、NFT課税計算部に、NFT購入金額、NFT売却金額に替えて、NFT購入・売却に関与した暗号資産数量が提供されるよう構成されており、
NFT課税計算部において、これら提供された情報に基づいて各利用者の売却損益が計算され、当該売却損益に基づき各行政区における税率にしたがう税額が計算され、当該税額が、各利用者端末において各利用者の指定した法定通貨によって表示されることを特徴とするNFT課税計算システムにより解決される。
【0010】
好ましくは、NFT課税計算部に対して、
利用者が賃借したNFTの運用により暗号資産が取得された場合、暗号資産を取得した日時に関する情報、つまり暗号資産取得日時情報と、暗号資産数量情報が提供され、及び/又は、
暗号資産が別の暗号資産と交換され、及び/又は、法定通貨へと換金された場合、当該交換、及び/又は、換金が行われた日時に関する情報と、交換が行われた暗号資産数量情報、及び/又は換金が行われた法定通貨額情報が提供され、
これらに基づき、取得損益、交換損益、及び/又は、換金損益が計算され、
当該計算の結果に基づき、各行政区における税率にしたがう税額が計算されることが可能である。
【0011】
またmNFT課税計算部に、入力・取得情報判定換算出力が設けられており、
当該入力・取得情報判定換算出力には、取得情報処理部が設けられており、
取得情報処理部が、NFT購入日時情報、NFT購入金額情報、NFT売却日時情報、NFT売却金額情報、及び/又は、NFT購入・売却に関与した暗号資産数量をNFT取引システムから取得するよう構成されていることも可能である。
【0012】
別の実施形では、入力・取得情報判定換算出力には、入力情報処理部が設けられており、
当該入力情報処理部が、NFT取引システムから取得する情報に替えて、代替情報を入力することが可能であるよう構成されていることによって、当該代替情報に基づき、実際にNFT取引が行われない状況においても、これから行おうとしているNFT取引により生じる税額をシミュレーションすることが可能であるよう構成されていることも可能である。
【0013】
更に、上述のNFT課税計算システムにおいては、使用されるNFT課税計算プログラムが、二層式に構成されており、第一のプログラム層が、NFT生成・取引等における税額等の計算基準・方法及び税計算を担うプログラム層であって、及び、第二のプログラム層が、利用者の対応を行い、及び/又はNFT情報の取得を行うプログラム層であることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかるNFT課税計算システムの概要を示す図。
図2】NFT課税計算システム中のNFT課税計算部の詳細図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明にかかるNFT課税計算システムの概要を示す。図1に見て取れるように、本発明にかかるNFT課税計算システムは、相場情報提供部、取引所情報提供部、タイムスタンプ発行部、利用者端末、及びこれらの間での情報の交換を可能とする情報通信網からなっている。
【0016】
相場情報提供部は、例えばWebサーバーとして構成されていることが可能である。このため、相場情報提供部は、サーバーとして機能するためのソフトウェア的及びハードウェア的基本構成を有している。
【0017】
相場情報提供部は、データ記憶部(データベース)を有しており、データ記憶部(データベース)には、行政区情報、各行政区の行政機関による金融に関する法律情報、税に関する法律情報が蓄積されている。各法律情報には、法改正に関する情報が含まれていることが可能である。また、税に関する法律情報には、その行政区における税基準や税率が含まれている。
【0018】
相場情報提供部は、これら情報を、例えば利用者端末から指示に基づくなどして適時に利用者端末に提供することが可能であるよう構成されている。
【0019】
取引所情報提供部もまた、例えばWebサーバーとして構成されていることが可能である。このため、取引情報提供部は、サーバーとして機能するためのソフトウェア的及びハードウェア的基本構成を有している。
【0020】
取引情報提供部は、NFT取引システム(NFTマーケットプレイス、NFT取引所、NFTを扱うウォレットなど)と接続されており、NFT取引システムにおいて、NFTの生成や取引が行われると、当該生成や取引に関する情報(NFT取引情報)をNFT取引システムから取得しし、提供可能な状態で保存しておくことが可能であるよう構成されている。
【0021】
当該生成や取引に関する情報(NFT取引情報)には、NFT購入日時情報、NFT売却日時情報、NFT購入金額情報、NFT売却金額情報、NFT購入・売却に関与した暗号資産数量情報、賃借したNFTの運用により取得される暗号資産数量情報、当該取得に関する暗号資産取得日時情報、暗号資産が別の暗号資産と交換された際の当該交換に関する日時・数量情報、暗号資産が法定通貨に換金された際の当該換金に関する日時・数量情報が含まれることが可能である。
【0022】
取引所情報提供部は、これら情報を、例えば利用者端末から指示に基づくなどして適時に利用者端末に提供することが可能であるよう構成されている。
【0023】
図1に見て取れるように、本発明にかかるNFT課税計算システムには、複数の利用者端末が含まれていることが可能である。各利用者端末は、図1に見て取れるように、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット端末、スマートフォン等であることが可能である。これらの利用者端末と、上述した、相場情報提供部、取引所情報提供部、タイムスタンプ発行部は、情報通信網(例えばインターネット回線など)により有線的・無線的に接続されていることが可能である。
【0024】
次に図2に基づいて利用者端末についてさらに詳しく説明する。図2に見て取れるように、各利用者端末は、NFT課税計算部を有している。この例においては、NFT課税計算部はNFT課税計算サーバーとして構成されている。
【0025】
NFT課税計算部には更に、通信・処理情報送受信制御部、入力・取得情報判定換算出力部、課税額演算部、情報表示出力制御部、記憶部(データベース)が設けられている。
【0026】
通信・処理情報送受信制御部は、情報通信網を介してNFT取引システムと情報の交換が可能であるよう構成されている。通信・処理情報送受信制御部は更に、NFT取引システムから取得した情報を、後述する入力・取得情報判定換算出力部に提供可能に構成されている。
【0027】
入力・取得情報判定換算出力部には、取得情報処理部、入力情報処理部、換算部、換算値処理部が設けられている。
【0028】
取得情報処理部は、上述した通信・処理情報送受信制御部を介してNFT取引システムから取得した情報を処理することができるよう構成されている。
【0029】
入力情報処理部は、NFT取引システムから取得する情報の代替情報を入力することが可能であるよう構成されている。これにより利用者は、実際にNFT取引を行わない状況においても、これから行おうとしているNFT取引により生じる税額をシミュレーションすることが可能となる。
【0030】
換算部及び換算値処理部は、取得情報処理部又は入力情報処理部から取得したNFT取引に関する諸情報に基づき、暗号資産と法定通貨間の換算処理などを行い、処理結果を課税額演算部に引き渡すことが可能であるよう構成されている。
【0031】
課税額演算部は、上述した通信・処理情報送受信制御部、入力・取得情報判定換算出力部からNFT取引に関する諸情報を受け取り、課税額を計算、計算結果を情報表示出力制御部に引き渡すことが可能であるよう構成されている。
【0032】
課税額の計算は、各利用者が所属する所属行政区情報、利用者が所属する行政区における法定通貨情報、NFT購入日時情報及び/又はNFT売却日時情報、NFT購入金額情報及び/又はNFT売却金額情報に基づいて各利用者の売却損益が計算され、当該売却損益に基づき各行政区における税率にしたがう税額が計算される方式により行われる。
【0033】
課税演算部に、NFT購入金額、NFT売却金額に替えて、NFT購入・売却に関与した暗号資産数量が提供される場合には、当該暗号資産数量に基づいて売却損益が計算され、当該売却損益に基づき各行政区における税率にしたがう税額が計算されることも可能である。
【0034】
利用者が賃借したNFTの運用により暗号資産が取得された場合には、暗号資産を取得した日時に関する情報、つまり暗号資産取得日時情報と、暗号資産数量情報が、課税演算部に提供され、及び/又は、暗号資産が別の暗号資産と交換され、及び/又は、法定通貨へと換金された場合、当該交換、及び/又は、換金が行われた日時に関する情報と、交換が行われた暗号資産数量情報、及び/又は換金が行われた法定通貨額情報が課税演算部に提供され、これらに基づき、取得損益、交換損益、及び/又は、換金損益が計算され、当該計算の結果に基づき、各行政区における税率にしたがう税額が計算されることも可能である。
【0035】
本発明にかかるNFT課税計算システムにおける主幹プログラムは、例えば二層式に構成されていることが可能である。二層は、例えば、NFT生成・取引等における税額等の計算基準・方法及び税計算を担うプログラム層(税計算プログラム層、Aプログラム)と、エンドユーザー(利用者)の対応を行い、及び/又はNFT情報の取得を行うプログラム層(Bプログラム)からなっていることが可能である。
【0036】
Aプログラム層は、NFTの生成・取引態様に応じて、行政区毎に異なる課税基準や課税方法に応じて、及び/又は、税制度変更に応じて、課税額を計算し、結果を出力することが可能に構成されている層である。
【0037】
Bプログラム層は、NFT取引システム(NFTマーケットプレイス、NFT取引所、NFTを扱うウォレット等)で実際にNFTを生成し取引する環境からの情報を取得し、これを課税演算部に引き渡す役割を担う層である。
【0038】
Bプログラム層は、更に、税計算プログラム層における税計算に用いる、取引等を行ったNFTの情報、又は、生成や取引に用いられた暗号資産の情報がNFTに存在しなければ、その暗号資産自体の情報を取得し、その量と時間から、各行政区の法定通貨に換算した情報から、税計算のために必要な情報を引数として、取引等を行った各種ブロックチェーン、分散型台帳自体や、取引所サーバー等からの取得を行い、税計算プログラム層に引き渡すプログラム層として構成さていることが可能である。なお、上述したAプログラム層は、図2においては入力取得情報判定換算出力部から記憶部(データベース)までの構成、Bプログラム層は、図2の通信・処理情報送受信制御部の構成がこれらに相当するう。
【0039】
これらプログラムは、上述した実施例においては、利用者端末にダウンロード・インストールされるソフトウェアの形式で説明したが、APIとして開発・実施されることももちろん可能である。APIとして実施される場合、図2に記載したNFT課税計算サーバー以下の構成はAPI実施環境(API導入元、API実施元とも称する)に実現される。APIの導入、実施環境は大規模なシステムの一部や、アプリケーションの一部等、多様な実施環境が考慮されるからである。
【0040】
本発明にかかるNFT課税計算システムは、実際のNFT生成・取引時における間接税・源泉徴収等の様々な課税方法に対応可能である。取引所やマーケットプレイスにおける手数料と同様に、生成や取引の決済時と、納税期日における税額を計算し、これに基づき直接納税が可能となるよう構成されていることも考えられる。


図1
図2