(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057778
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H02M3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164674
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】谷野 光平
(72)【発明者】
【氏名】長野 昌明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智紀
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730BB26
5H730DD04
5H730FD11
5H730VV03
5H730XC09
(57)【要約】
【課題】発熱及び損失をあまり増大させることなく、逆極性の入力電圧から当該装置を保護する。
【解決手段】ダイオードD1は、直流電源2及びスイッチング素子TR1,TR2の間に接続され、直流電源2からスイッチング素子TR1,TR2に向かって順方向を有する。リレー11は、ダイオードD1に並列に接続される。リレー制御回路は、電力変換装置1に入力電圧VINを印加し始めるときにリレー11がオフされているように、かつ、ダイオードD1に順方向電圧が印加されているときにリレー11をオンするようにリレー11を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から供給される入力電圧を所定の出力電圧に変換する電力変換装置であって、
少なくとも1つのスイッチング素子と、
前記直流電源及び前記スイッチング素子の間に接続され、前記直流電源から前記スイッチング素子に向かって順方向を有する第1のダイオードと、
前記第1のダイオードに並列に接続されたリレーと、
前記電力変換装置に前記入力電圧を印加し始めるときに前記リレーがオフされているように、かつ、前記第1のダイオードに順方向電圧が印加されているときに前記リレーをオンするように前記リレーを制御するリレー制御回路とを備える、
電力変換装置。
【請求項2】
前記リレー制御回路は、前記スイッチング素子及び前記リレーの間のノードにおける電圧が予め決められたしきい値を超えたとき、前記リレーをオンする、
請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電力変換装置は、前記スイッチング素子に接続された一次巻線と、二次巻線と、前記一次巻線及び前記二次巻線に電磁的に結合した補助巻線とを有するトランスをさらに備え、
前記リレー制御回路は、前記補助巻線に生じる電圧が予め決められたしきい値を超えたとき、前記リレーをオンする、
請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記電力変換装置は、
前記第1のダイオード又は前記リレーを介して、前記直流電源から前記入力電圧が印加されるように接続されたキャパシタと、
前記第1のダイオードに直列に接続された抵抗とをさらに備え、
前記リレーは、前記第1のダイオード及び前記抵抗に並列に接続される、
請求項1~3のうちの1つに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記キャパシタに並列に接続された第2のダイオードをさらに備える、
請求項4記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、供給された交流電力から直流電力を発生する電源回路を開示している。この電源回路は、供給された交流電力を両波整流するために、ダイオードブリッジを含む整流器を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイオードは、その順方向に電流が流れる場合であっても所定の抵抗値を有する。従って、特許文献1のように回路がダイオードブリッジを備える場合、ダイオードブリッジが発熱し、損失が生じるおそれがある。このため、例えば、交流配電網に代えて直流配電網を用いることにより、配電網に接続された各電気装置の入力段における整流(すなわち、ダイオードブリッジ)が不要になり、発熱及び損失を低減することができる。
【0005】
しかしながら、供給された直流電力により動作する電気装置は、誤った極性の入力電圧から電気装置を保護するためにダイオードを備えることがある。このようなダイオードにおいても、発熱及び損失が生じるおそれがある。従って、発熱及び損失をあまり増大させることなく、逆極性の入力電圧から電気装置を保護することが求められる。
【0006】
本開示の目的は、直流電源から供給される入力電圧を所定の出力電圧に変換する電力変換装置であって、発熱及び損失をあまり増大させることなく、逆極性の入力電圧から当該装置を保護することができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の側面に係る電力変換装置は、
直流電源から供給される入力電圧を所定の出力電圧に変換する電力変換装置であって、
少なくとも1つのスイッチング素子と、
前記直流電源及び前記スイッチング素子の間に接続され、前記直流電源から前記スイッチング素子に向かって順方向を有する第1のダイオードと、
前記第1のダイオードに並列に接続されたリレーと、
前記電力変換装置に前記入力電圧を印加し始めるときに前記リレーがオフされているように、かつ、前記第1のダイオードに順方向電圧が印加されているときに前記リレーをオンするように前記リレーを制御するリレー制御回路とを備える。
【0008】
これにより、発熱及び損失をあまり増大させることなく、逆極性の入力電圧から当該装置を保護することができる。
【0009】
本開示の第2の側面に係る電力変換装置によれば、第1の側面に係る電力変換装置において、
前記リレー制御回路は、前記スイッチング素子及び前記リレーの間のノードにおける電圧が予め決められたしきい値を超えたとき、前記リレーをオンする。
【0010】
これにより、第1のダイオードに順方向電圧が印加されているとき、リレーをオンすることができる。
【0011】
本開示の第3の側面に係る電力変換装置によれば、第1の側面に係る電力変換装置において、
前記電力変換装置は、前記スイッチング素子に接続された一次巻線と、二次巻線と、前記一次巻線及び前記二次巻線に電磁的に結合した補助巻線とを有するトランスをさらに備え、
前記リレー制御回路は、前記補助巻線に生じる電圧が予め決められたしきい値を超えたとき、前記リレーをオンする。
【0012】
これにより、第1のダイオードに順方向電圧が印加されているとき、リレーをオンすることができる。
【0013】
本開示の第4の側面に係る電力変換装置によれば、第1~第3のうちの1つの側面に係る電力変換装置において、
前記電力変換装置は、
前記第1のダイオード又は前記リレーを介して、前記直流電源から前記入力電圧が印加されるように接続されたキャパシタと、
前記第1のダイオードに直列に接続された抵抗とをさらに備え、
前記リレーは、前記第1のダイオード及び前記抵抗に並列に接続される。
【0014】
これにより、リップル電圧を低減することができ、また、キャパシタへの突入電流を緩和することができる。
【0015】
本開示の第5の側面に係る電力変換装置によれば、第4の側面に係る電力変換装置において、
前記キャパシタに並列に接続された第2のダイオードをさらに備える。
【0016】
これにより、キャパシタ及び他の構成要素への逆耐圧を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一側面に係る電力変換装置によれば、発熱及び損失をあまり増大させることなく、逆極性の入力電圧から当該装置を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る電力変換装置1の構成の一例を示す回路図である。
【
図2】
図1の電力変換装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】実施形態の第1の変形例に係る電力変換装置1Aの構成の一例を示す回路図である。
【
図4】実施形態の第2の変形例に係る電力変換装置1Bの構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
以下、本開示の一側面に係る実施形態を、図面に基づいて説明する。各図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0020】
[実施形態の構成例]
図1は、実施形態に係る電力変換装置1の構成の一例を示す回路図である。電力変換装置1は、直流電源2から供給される入力電圧VINを所定の出力電圧VOUTに変換して負荷装置3に供給する。直流電源2は、例えば、蓄電池であってもよく、交流電源及び整流装置の組み合わせであってもよく、又は、直流配電網であってもよい。負荷装置3は、例えば、直流電力で動作する電気装置である。
【0021】
電力変換装置1は、リレー11、比較器12、駆動回路13、整流回路14、キャパシタC1、キャパシタC2、ダイオードD1、基準電圧源E1、抵抗R1~R5、トランスT1、及びスイッチング素子TR1~TR3を備える。
【0022】
スイッチング素子TR1,TR2は、直流電源2の正極に接続された正極バスと、直流電源2の負極に接続された負極バスとの間にわたって、互いに直列に接続される。スイッチング素子TR1,TR2は、例えば、ハーフブリッジ型回路として構成される。スイッチング素子TR1,TR2は、例えば、電界効果トランジスタである。
【0023】
ダイオードD1及び抵抗R1は、直流電源2及びスイッチング素子TR1,TR2の間において互いに直列に接続される。ダイオードD1は、直流電源2からスイッチング素子TR1,TR2に向かって順方向を有する。
図1は、ダイオードD1及び抵抗R1が正極バスに挿入された例を示す。リレー11は、ダイオードD1及び抵抗R1に並列に接続される。リレー11は、スイッチSWと、スイッチSWの可動接点を移動させるコイルLとを備える。スイッチSWがオフされているとき、ダイオードD1及び抵抗R1を介して電流I1が流れる。一方、スイッチSWがオンされているとき、リレー11を介して電流I2が流れる。リレー11は、スイッチSWがオンされているとき、ダイオードD1の順方向の抵抗よりもずっと小さい抵抗を有する。
【0024】
キャパシタC1は、ダイオードD1及び抵抗R1を介して、又は、リレー11を介して直流電源2から入力電圧VINが印加されるように、正極バス及び負極バスの間にわたって接続される。キャパシタC1は、例えば、電解コンデンサである。
【0025】
トランスT1は、スイッチング素子TR2の両端に接続された一次巻線w1と、整流回路14に接続された二次巻線w2とを有する。キャパシタC2は、スイッチング素子TR2と、トランスT1の一次巻線w1との間に接続される。整流回路14は、トランスT1の二次巻線w2に生じた交流電圧を整流して出力電圧VOUTを発生する。
【0026】
抵抗R2,R3は、スイッチング素子TR1,TR2及びリレー11の間のノードにおける電圧V1を分圧した電圧V2を発生して、比較器12の非反転入力端子に印加する。基準電圧源E1は、所定の基準電圧Vrefを発生して、比較器12の反転入力端子に印加する。基準電圧Vrefは、スイッチング素子TR1,TR2に印加すべき電圧V1の最小値を示す予め決められたしきい値電圧Vthに対応して設定される。入力電圧VINが380Vである場合、しきい値電圧Vthは、例えば、370Vに設定されてもよい。比較器12は、電圧V2が基準電圧Vrefより高いか否か、すなわち、電圧V1がしきい値電圧Vthより高いか否かを示す信号S0を出力する。V2≦Vrefである場合、信号S0はローレベルになり、V2>Vrefである場合、信号S0はハイレベルになる。
【0027】
駆動回路13は、スイッチング素子TR1,TR2を所定のデューティ比で交互にオンするように制御信号S1,S2を発生して、スイッチング素子TR1,TR2の制御端子(ゲート)に印加する。駆動回路13は、信号S0に従って、電力変換装置1に入力電圧VINを印加し始めた直後にはスイッチング素子TR1,TR2の両方をオフのままに維持し、電圧V1がしきい値電圧Vthより高くなった後、スイッチング素子TR1,TR2の動作を開始するように、制御信号S1,S2を発生してもよい。
【0028】
抵抗R4,R5は、信号S0を分圧してスイッチング素子TR3の制御端子に印加する。スイッチング素子TR3がオンされたとき、リレー11のコイルLに電流が流れてスイッチSWがオンされる。一方、スイッチング素子TR3がオフされたとき、スイッチSWもオフされる。スイッチング素子TR3は、例えば、バイポーラトランジスタである。
【0029】
抵抗R4,R5及びスイッチング素子TR3は、信号S0に従ってリレー11を制御するリレー制御回路の一例である。
【0030】
[実施形態の動作]
図2は、
図1の電力変換装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0031】
時間t1において、直流電源2から電力変換装置1に入力電圧VINが印加し始められる。電力変換装置1に入力電圧VINが印加し始められた直後にはV1≦Vthであるので、信号S0はローレベルである。このとき、スイッチング素子TR1,TR2の両方はオフのままに維持される。また、このとき、リレー11のスイッチSWはオフされ、ダイオードD1及び抵抗R1を介して電流I1が流れる。電流I1によりキャパシタC1が充電されるにつれて、電圧V1は次第に増大し、電流I1は次第に減少する。
【0032】
時間t2において電圧V1がしきい値電圧Vthに達したとき、信号S0はローレベルからハイレベルに遷移する。このとき、スイッチング素子TR1,TR2は、制御信号S1,S2に従って、所定のデューティ比で交互にオンされる。また、このとき、リレー11のスイッチSWはオンされ、電流I1に代えて、リレー11を介して電流I2が流れる。時間t2以後では電力変換装置1から負荷装置3に電力供給されるので、電流I2は、リレー11のスイッチSWをオンする直前における電流I1よりも大きくなる。厳密には、電流I2はリップル成分を含むが、
図2では図示の簡単化のためにリップル成分による変動を省略する。
【0033】
リレー制御回路は、電力変換装置1に入力電圧VINが印加されていないとき、及び、電力変換装置1に入力電圧VINを印加し始めるときにリレー11がオフされているように、リレー11を制御する。その後、リレー制御回路は、ダイオードD1に順方向電圧が印加されているときにリレー11をオンするように、リレー11を制御する。詳しくは、リレー制御回路は、電力変換装置1に正しい極性の入力電圧VINが印加され、その結果、キャパシタC1にある程度の電荷が蓄積され、電圧V1がしきい値電圧Vthを超えたとき、リレー11をオンする。電力変換装置1に逆極性の入力電圧VINが印加されているとき、電力変換装置1はダイオードD1によって保護される。また、前述したように、リレー11は、スイッチSWがオンされているとき、ダイオードD1の順方向の抵抗よりもずっと小さい抵抗を有する。従って、電力変換装置1に正しい極性の入力電圧VINが印加されているとき、リレー11をオンすることにより、ダイオードD1及び抵抗R1を介して電流I1が流れる場合よりも発熱及び損失を低減することができる。このように、電力変換装置1は、ダイオードD1及びリレー11を用いることにより、発熱及び損失をあまり増大させることなく、逆極性の入力電圧VINから当該装置を保護することができる。
【0034】
[実施形態の変形例]
図3は、実施形態の第1の変形例に係る電力変換装置1Aの構成の一例を示す回路図である。電力変換装置1Aは、
図1の電力変換装置1の各構成要素に加えて、キャパシタC1に並列に接続されたダイオードD2を備える。ダイオードD2を備えることにより、キャパシタC1及び他の構成要素への逆耐圧を向上させることができる。
【0035】
図4は、実施形態の第2の変形例に係る電力変換装置1Bの構成の一例を示す回路図である。電力変換装置1Bは、
図1のトランスT1に代えてトランスT2を備え、さらに、キャパシタC3及びダイオードD3を備える。トランスT2は、一次巻線w1及び二次巻線w2に加えて、一次巻線w1及び二次巻線w2に電磁的に結合した補助巻線w3を有する。補助巻線w3の一端はダイオードD3を介して抵抗R4に接続され、他端は接地される。ダイオードD3及び抵抗R4の間のノードは、キャパシタC3を介して接地される。ダイオードD3、キャパシタC3、抵抗R4,R5、及びスイッチング素子TR3は、補助巻線w3に生じる電圧に従ってリレー11を制御するリレー制御回路の一例である。電力変換装置1Bに入力電圧VINを印加し始めるとき、スイッチング素子TR1,TR2の両方はオフのままに維持されるので、補助巻線w3に生じる電圧はゼロであり、リレー制御回路はリレー11をオフする。その後、電圧V1がしきい値電圧Vthに達したとき、スイッチング素子TR1,TR2の動作が開始され、補助巻線w3に生じる電圧が次第に増大する。リレー制御回路は、補助巻線w3に生じる電圧が予め決められたしきい値を超えたとき、リレー11をオンする。言いかえると、リレー制御回路は、ダイオードD1に順方向電圧が印加されてスイッチング素子TR1,TR2が動作しているとき、リレー11をオンする。
図4の電力変換装置1Bによれば、補助巻線w3に生じる電圧を検出することにより、リレー11を制御することができる。
【0036】
[実施形態の効果]
実施形態に係る電力変換装置1は、ダイオードD1を備えることにより、逆極性の入力電圧から当該装置を保護することができる。例えば、電力変換装置1と直流電源2との誤接続に起因して、電力変換装置1に逆極性の入力電圧が印加されることがある。逆極性の入力電圧が印加されている場合、リレー11がオンされることはなく、電流はダイオードD1によって阻止される。
【0037】
実施形態に係る電力変換装置1は、キャパシタC1を備えることにより、リップル電圧を低減することができる。また、実施形態に係る電力変換装置1は、抵抗R1を備えることにより、キャパシタC1への突入電流を緩和することができる。
【0038】
ダイオードD1に順方向の電流が流れる場合、また、抵抗R1に電流が流れる場合、ダイオードD1及び抵抗R1が発熱し、損失が生じるおそれがある。実施形態に係る電力変換装置1は、リレー11を備え、ダイオードD1に順方向電圧が印加されてスイッチング素子TR1,TR2が動作しているときにリレー11をオンすることにより、発熱及び損失を低減することができる。例えば、抵抗R1が熱ヒューズを有する場合であっても、電力変換装置1に入力電圧VINを印加し始めた直後(すなわち、キャパシタC1に充電するとき)にのみ抵抗R1に電流が流れるので、抵抗R1が溶断されることはない。
【0039】
実施形態に係る電力変換装置1によれば、スイッチング素子TR1,TR2は、電圧V1が十分に大きいとき(V1>Vth)にのみ動作するので、過電流を防止することができる。
【0040】
実施形態に係る電力変換装置1は、直流電源2から供給された直流電力により動作するので、入力段にダイオードブリッジを設けることを必要とせず、ダイオードブリッジによる発熱及び損失を回避することができ、また、回路サイズを削減することができる。
【0041】
100~200Vの交流電圧による動作する従来の電気装置に代えて、300~400Vの直流電圧による動作する電気装置及び直流配電網を提供することにより省エネルギーを実現する「DCインダストリー」と呼ばれる技術が提案されている。実施形態に係る電力変換装置1は、例えば、DCインダストリーのための電気装置に適用可能である。実施形態に係る電力変換装置1は、交流及び直流の両方の入力電圧を所定の出力電圧に変換する電力変換装置に比較して、サイズを削減し、効率を向上することができる。また、実施形態に係る電力変換装置1は、直流の入力電圧を所定の出力電圧に変換する従来の電力変換装置に比較して、サイズを削減することができる。
【0042】
以上説明したように、実施形態に係る電力変換装置1は、発熱及び損失をあまり増大させることなく、逆極性の入力電圧から当該装置を保護することができる。
【0043】
[他の変形例]
以上、本開示の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0044】
電力変換装置は、抵抗R3に並列に追加キャパシタを備えてもよい。これにより、キャパシタC1に突入電流が流れてから所定時間が経過した後に、スイッチング素子TR1,TR2の動作を開始し、また、リレー11をオンすることができる。例えば、入力電圧VINが390Vであり、かつ、基準電圧VrefがVth=370Vに対応する値に設定されている場合、追加キャパシタの遅延により、電圧V1が390Vに達したときに信号S0はローレベルからハイレベルに遷移する。
【0045】
キャパシタC1及び抵抗R1は省略されてもよい。
【0046】
ダイオードD1、抵抗R1、及びリレー11は、正極バスに挿入されることに代えて、負極バスに挿入されてもよい。
【0047】
電力変換装置は、直流電力で動作する負荷装置に代えて、交流電力で動作する負荷装置に出力電圧を供給してもよい。この場合、トランスの二次側の整流回路14を除去することができる。
【0048】
電力変換装置は、複数の電界効果トランジスタ又はバイポーラトランジスタを含む同期整流型コンバータに代えて、少なくとも1つのスイッチング素子及びダイオードを含む非同期整流型コンバータとして構成されてもよい。
【0049】
電力変換装置は、ハーフブリッジ型回路として構成されたスイッチング素子TR1,TR2に代えて、フォワード型回路、フライバック型回路、又はフルブリッジ型回路として構成された1つ又は複数のスイッチング素子を備えてもよい。
【0050】
電力変換装置は、トランスを含む絶縁型コンバータに代えて、トランスを含まない非絶縁型コンバータとして構成されてもよい。
【0051】
[まとめ]
本開示の各側面に係る電力変換装置は、以下のように表現されてもよい。
【0052】
本開示の一側面に係る電力変換装置1は、直流電源2から供給される入力電圧VINを所定の出力電圧VOUTに変換する電力変換装置1であって、少なくとも1つのスイッチング素子TR1,TR2と、直流電源2及びスイッチング素子TR1,TR2の間に接続され、直流電源2からスイッチング素子TR1,TR2に向かって順方向を有するダイオードD1と、ダイオードD1に並列に接続されたリレー11と、リレー11を制御するリレー制御回路とを備える。リレー制御回路は、電力変換装置1に入力電圧VINを印加し始めるときにリレー11がオフされているように、かつ、ダイオードD1に順方向電圧が印加されているときにリレー11をオンするようにリレー11を制御する。
【0053】
本開示の一側面に係る電力変換装置1によれば、リレー制御回路は、スイッチング素子TR1,TR2及びリレー11の間のノードにおける電圧が予め決められたしきい値を超えたとき、リレー11をオンする。
【0054】
本開示の一側面に係る電力変換装置1Bは、スイッチング素子TR1,TR2に接続された一次巻線w1と、二次巻線w2と、一次巻線w1及び二次巻線w2に電磁的に結合した補助巻線w3とを有するトランスT2をさらに備える。リレー制御回路は、補助巻線w3に生じる電圧が予め決められたしきい値を超えたとき、リレー11をオンする。
【0055】
本開示の一側面に係る電力変換装置1は、ダイオードD1又はリレー11を介して、直流電源2から入力電圧VINが印加されるように接続されたキャパシタC1と、ダイオードD1に直列に接続された抵抗R1とをさらに備える。リレー11は、ダイオードD1及び抵抗R1に並列に接続される。
【0056】
本開示の一側面に係る電力変換装置1Aによれば、キャパシタC1に並列に接続されたダイオードD2をさらに備える。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の各側面に係る電力変換装置は、直流電源から供給される直流電力により動作する電気装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,1A,1B 電力変換装置
2 直流電源
3 負荷装置
11 リレー
12 比較器
13 駆動回路
14 整流回路
C1~C3 キャパシタ
D1~D3 ダイオード
E1 基準電圧源
R1~R5 抵抗
T1,T2 トランス
TR1~TR3 スイッチング素子