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特開2024-57783受信装置、通信装置、および通信システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057783
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】受信装置、通信装置、および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/67 20130101AFI20240418BHJP
   H04B 10/11 20130101ALI20240418BHJP
【FI】
H04B10/67
H04B10/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164680
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
(72)【発明者】
【氏名】今井 浩
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA23
5K102AL23
5K102PB01
5K102PC12
5K102PH01
5K102PH33
5K102PH34
5K102PH38
5K102RB02
5K102RD26
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を正確に検知できる受信装置等を提供する。
【解決手段】ボールレンズと、ボールレンズの周囲を取り囲む第1環状体と、第1環状体の内周側面に配置された複数の第1受光素子を含む複数の受光ユニットとを有する第1受光器と、第1環状体の外周を取り囲む第2環状体と、第2環状体の外周側面に配置された複数の第2受光素子とを有する第2受光器とを備える。複数の第1受光素子は、ボールレンズに受光部を向けて、第1環状体の内周側面に配置される。複数の第2受光素子は、ボールレンズとは反対向きに受光部を向けて、第2環状体の外周側面に配置される受信装置とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールレンズと、
前記ボールレンズの周囲を取り囲む第1環状体と、前記第1環状体の内周側面に配置された複数の第1受光素子を含む複数の受光ユニットとを有する第1受光器と、
前記第1環状体の外周を取り囲む第2環状体と、前記第2環状体の外周側面に配置された複数の第2受光素子とを有する第2受光器とを備え、
複数の前記第1受光素子は、
前記ボールレンズに受光部を向けて、前記第1環状体の内周側面に配置され、
複数の前記第2受光素子は、
前記ボールレンズとは反対向きに受光部を向けて、前記第2環状体の外周側面に配置される受信装置。
【請求項2】
複数の前記第2受光素子は、
前記第2環状体の外周側面に等間隔で配置される請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
複数の前記受光ユニットは、
前記第1環状体の円周方向に沿って移動可能に配置される請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
複数の前記第2受光素子によって受光された空間光信号の強度のパターンに応じて、前記空間光信号の到来方向を検知する方向検知回路と、
到来方向が検知された前記空間光信号に複数の前記受光ユニットのうちいずれかを対応付け、前記空間光信号に対応付けられた前記受光ユニットの受光面が前記空間光信号の到来方向に向くように、前記受光ユニットの位置を移動させる制御回路と、
前記空間光信号に対応付けられた前記受光ユニットに含まれる複数の前記第1受光素子によって受光された光信号をデコードする受信回路と、を有する通信制御部を備える請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記方向検知回路は、
複数の前記第2受光素子のいずれかに対応付けられ、対応付けられた前記第2受光素子によって受光された前記空間光信号に由来する信号を積分し、積分された前記信号を通信対象ごとの周波数に分離する複数の検知回路と、
複数の前記検知回路によって分離された周波数ごとの前記信号のプロファイルに応じて、前記空間光信号の到来方向を判定する方向判定回路と、を有する請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記検知回路は、
対応付けられた前記第2受光素子によって受光された前記空間光信号に由来する前記信号を積分する積分回路と、
前記積分回路によって積分された前記信号をデジタル信号に変換する変換器と、
前記変換器によってデジタル信号に変換された前記信号を、前記通信対象ごとの周波数に分離するデジタルフィルタと、を有する請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の受信装置と、
空間光信号を送信する複数の送信ユニットを有する送信装置と、
前記受信装置および前記送信装置を制御する通信制御装置と、を備える通信装置。
【請求項8】
前記通信制御装置は、
前記受信装置によって検知された空間光信号の到来方向に向けて、前記送信装置から送信される前記空間光信号の送信方向を変更する請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信制御装置は、
前記受信装置が備える第2受光器に含まれる複数の第2受光素子によって受光された光信号に基づいて、前記光信号に対応する前記空間光信号の到来方向を検知し、
前記受信装置が備える第1受光器に含まれる複数の第1受光素子によって受光された光信号に基づいて、前記空間光信号の送信元の通信対象との間で前記空間光信号を送受信し合うことによって、前記通信対象の正確な位置を特定する請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の通信装置を複数備え、
複数の前記通信装置が、
空間光信号を互いに送受信し合うように配置された通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光空間通信に用いられる受信装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
光空間通信においては、光ファイバなどの媒体を介さずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号)を用いて通信が行われる。送信装置を中心として複数の方向に空間光信号を送信できれば、空間光信号を用いた通信ネットワークを構築できる。任意の方向の通信装置と光空間通信を行うためには、その通信対象との間で空間光信号の送受信方向を合わせる必要がある。
【0003】
特許文献1には、空間光信号を受光する受光装置について開示されている。特許文献1の装置は、複数の受光器を含むセンサアレイで、レンズによって集光された空間光信号を受光する。特許文献1の装置は、複数の受光器の各々が受光した空間光信号に由来する電気信号の電圧値の積算値に応じて、空間光信号を受光する受光器を選択する。特許文献1の装置は、複数の通信対象からの空間光信号を一括して受光する。特許文献1の装置は、それらの空間光信号の送信元を一括で区別することによって、多様な方向から到来する空間光信号を効率的に受光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2022/004106号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置のセンサアレイを構成する複数の受光器は、同一面上にアレイ状に配置される。複数の受光器の受光面は、同一方向に向けられる。特許文献1の装置を用いる場合、多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を検知できないため、受光器の受光面の向きを、手動で調整する必要があった。
【0006】
本開示の目的は、多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を正確に検知できる受信装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の受信装置は、ボールレンズと、ボールレンズの周囲を取り囲む第1環状体と、第1環状体の内周側面に配置された複数の第1受光素子を含む複数の受光ユニットとを有する第1受光器と、第1環状体の外周を取り囲む第2環状体と、第2環状体の外周側面に配置された複数の第2受光素子とを有する第2受光器とを備える。複数の第1受光素子は、ボールレンズに受光部を向けて、第1環状体の内周側面に配置される。複数の第2受光素子は、ボールレンズとは反対向きに受光部を向けて、第2環状体の外周側面に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を正確に検知できる受信装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る受信装置の構成の一例を示す概念図である。
図2】第1の実施形態に係る受信装置が備える受信器の構成の一例を示す概念図である。
図3】第1の実施形態に係る受信装置が備える受信器に含まれる第1受光器の構成の一例を示す概念図である。
図4】第1の実施形態に係る受信装置が備える受信器に含まれる第2受光器の構成の一例を示す概念図である。
図5】第1の実施形態に係る受信装置に到来する空間光信号の受信例について説明するための概念図である。
図6】第1の実施形態に係る受信装置による空間光信号の到来方向の推定について説明するためのグラフである。
図7】第1の実施形態に係る受信装置が備える通信制御部の構成の一例を示す概念図である。
図8】第1の実施形態に係る受信装置が備える通信制御部に含まれる方向検知回路の構成の一例を示す概念図である。
図9】第1の実施形態に係る受信装置が備える通信制御部に含まれる方向検知回路が有する検知回路の構成の一例を示す概念図である。
図10】第1の実施形態に係る受信装置が備える通信制御部に含まれる受信回路の構成の一例を示す概念図である。
図11】第2の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12】第2の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す概念図である。
図13】第2の実施形態に係る通信装置が備える受信器の構成の一例を示す概念図である。
図14】第2の実施形態に係る通信装置が備える受信器に含まれる受光ユニットの移動機構の一例を示す概念図である。
図15】第2の実施形態に係る通信装置が備える受信器に含まれる受光ユニットの移動機構の一例を示す概念図である。
図16】第2の実施形態に係る通信装置が備える受信器に含まれる受光ユニットの位置を検出するための位置パターンの一例を示す概念図である。
図17】第2の実施形態に係る通信装置が備える受信器に含まれる受光ユニットの位置を検出するための位置パターンを読み取るエンコーダの構成の一例を示す概念図である。
図18】第2の実施形態に係る通信装置が備える送信器の構成の一例を示す概念図である。
図19】第2の実施形態に係る通信装置が備える送信器に含まれる送信ユニットの構成の一例を示す概念図である。
図20】第2の実施形態に係る通信装置が備える送信器に含まれる送信ユニットの内部構成の一例を示す概念図である。
図21】第2の実施形態に係る通信装置が備える通信制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図22】第2の実施形態に係る通信装置の送信器が送信する第1スキャン信号について説明するための概念図である。
図23】第2の実施形態に係る通信装置が第1スキャン範囲をスキャンする一例について説明するための概念図である。
図24】第2の実施形態に係る通信装置が通信対象をスキャンしている状況を示す概念図である。
図25】第2の実施形態に係る通信装置が通信対象から第1スキャン信号を受信した状況を示す概念図である。
図26】第2の実施形態に係る通信装置が受光ユニットおよび送信ユニットの位置を変更する一例を示す概念図である。
図27】第2の実施形態に係る通信装置が第2スキャン範囲をスキャンする一例について説明するための概念図である。
図28】第2の実施形態に係る通信装置が通信対象から第2スキャン信号を受信した状況を示す概念図である。
図29】第2の実施形態に係る通信装置が受光ユニットおよび送信ユニットの位置を変更する一例を示す概念図である。
図30】第2の実施形態に係る通信装置が第2スキャン範囲をスキャンする一例について説明するための概念図である。
図31】第2の実施形態に係る通信装置が通信対象との間で第2スキャン信号を送受信している状況を示す概念図である。
図32】第2の実施形態に係る通信装置が第3スキャン範囲をスキャンする一例について説明するための概念図である。
図33】第2の実施形態の適用例に係る通信ネットワークの一例について説明するための概念図である。
図34】第3の実施形態に係る受信装置の構成の一例を示す概念図である。
図35】各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0011】
以下の実施形態の説明に用いる全図において、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、光や信号の向きを限定するものではない。図面中の光の軌跡を示す線は、概念的なものであり、実際の光の進行方向や状態を正確に表すものではない。例えば、図面においては、空気と物質との界面における屈折や反射、拡散などによる光の進行方向や状態の変化を省略したり、光束を一本の線で表現したりすることがある。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る受信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受信装置は、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う光空間通信に用いられる。本実施形態の受信装置は、空間を伝搬する光を受光する用途であれば、光空間通信以外の用途に用いられてもよい。本実施形態において、空間光信号は、十分に離れた位置から到来するために、平行光とみなす。本実施形態の説明で用いられる図面は、概念的なものであり、実際の構造を正確に描写したものではない。
【0013】
(構成)
図1図2は、本実施形態に係る受信装置10の構成の一例を示す概念図である。受信装置10は、ボールレンズ11、第1受光器12、第2受光器13、および通信制御部14を備える。ボールレンズ11、第1受光器12、および第2受光器13は、受信器100を構成する。図1は、受信器100を斜め上方の視座から見た図である。図2は、受信器100を上方の視座から見下ろした概念図である。
【0014】
ボールレンズ11、第1受光器12、および第2受光器13は、支持体(図示しない)によって、互いの位置関係が固定される。本実施形態においては、支持体を省略する。また、通信制御部14の位置については、空間光信号の受信に影響がなければ、特に限定しない。例えば、通信制御部14は、受信器100を支持する支持体に配置される。
【0015】
ボールレンズ11は、球形のレンズである。ボールレンズ11は、外部から到来した空間光信号を集光する光学素子である。ボールレンズ11は、任意の角度から見て、球形である。ボールレンズ11は、入射する空間光信号を集光する。ボールレンズ11によって集光された空間光信号に由来する光(光信号とも呼ぶ)は、そのボールレンズ11の集光領域に向けて集光される。ボールレンズ11は、球形であるため、任意の方向から到来する空間光信号を集光する。すなわち、ボールレンズ11は、任意の方向から到来する空間光信号に対して、同様の集光性能を示す。ボールレンズ11に入射した光は、ボールレンズ11の内部に進入する際に屈折される。また、ボールレンズ11の内部を進行する光は、ボールレンズ11の外部に出射する際に、再度屈折される。ボールレンズ11から出射される光の大部分は、集光領域において集光される。
【0016】
例えば、ボールレンズ11は、ガラスや結晶、樹脂などの材料で構成できる。可視領域の空間光信号を受光する場合、可視領域の光を透過/屈折するガラスや結晶、樹脂などの材料が、ボールレンズ11に適用できる。例えば、クラウンガラスやフリントガラスなどの光学ガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、BK(Boron Kron)などのクラウンガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、LaSF(Lanthanum Schwerflint)などのフリントガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、石英ガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、サファイア等の結晶が、ボールレンズ11に適用できる。例えば、アクリル等の透明樹脂が、ボールレンズ11に適用できる。
【0017】
空間光信号が近赤外領域の光(以下、近赤外線とも呼ぶ)である場合、ボールレンズ11には、近赤外線を透過する材料が用いられる。例えば、1.5マイクロメートル(μm)程度の近赤外領域の空間光信号を受光する場合、ボールレンズ11には、ガラスや結晶、樹脂などに加えて、シリコンなどの材料を適用できる。空間光信号が赤外領域の光(以下、赤外線とも呼ぶ)である場合、ボールレンズ11には、赤外線を透過する材料が用いられる。例えば、空間光信号が赤外線である場合、ボールレンズ11には、シリコンやゲルマニウム、カルコゲナイド系の材料を適用できる。空間光信号の波長領域の光を透過/屈折できれば、ボールレンズ11の材質には限定を加えない。ボールレンズ11の材質は、求められる屈折率や用途に応じて、適宜選択されればよい。
【0018】
第1受光器12は、複数の受光ユニット120と、第1環状体125とによって構成される。第1環状体125は、円環状である。第1環状体125は、ボールレンズ11の周囲を取り囲むように配置される。第1環状体125の環の内周側面には、複数の受光ユニット120が配置される。複数の受光ユニット120は、それらの受光面をボールレンズ11に向けて、第1環状体125の内周側面に配置される。複数の受光ユニット120は、それらの受光面がボールレンズ11の集光領域に位置するように、配置される。本実施形態において、第1受光器12は、6個の受光ユニット120を含む。図2の例の場合、6個の受光ユニット120は、正6角形の頂点の位置に配置される。第1受光器12に含まれる受光ユニット120の数については、特に限定しない。第1受光器12に含まれる受光ユニット120の数は、通信対象の数などに応じて設定されればよい。
【0019】
例えば、受光ユニット120は、移動機構(図示しない)を介して、第1環状体125の周方向に沿って移動可能に配置される。そのように構成された場合、空間光信号の到来方向に応じて、受光効率の良い位置に受光ユニット120を移動できる。
【0020】
図3は、ボールレンズ11の視座から見た第1受光器12の一部分の概念図である。第1環状体125の環の内周側面に配置された受光ユニット120は、複数の第1受光素子121を含む。第1受光素子121は、通信対象から送信された空間光信号の受信に用いられる。図3の例において、受光ユニット120は、3行×1列で配置された3つの第1受光素子121を含む。受信装置10と通信対象の高さが垂直方向において一致していない場合、空間光信号の到来方向が垂直方向にずれることがある。複数の第1受光素子121が垂直方向に沿って並べられていれば、垂直方向における空間光信号の到来方向のずれを補償できる。受光ユニット120に含まれる第1受光素子121の数は、3つに限定されない。3つの第1受光素子121だけでは空間光信号の到来方向のずれを補償できない場合、第1受光素子121の数が4つ以上であってもよい。例えば、複数の第1受光素子121は、複数の列で構成されたアレイ状に配置されてもよい。複数の受光ユニット120に含まれる第1受光素子121の種類や数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1環状体125の環の内周側面に、複数の第1受光素子121が環状に配置されてもよい。例えば、受光ユニット120は、第1環状体125に対して垂直方向に移動可能に配置されてもよい。例えば、第1環状体125が、垂直方向に移動可能に配置されてもよい。
【0021】
受光ユニット120に含まれる第1受光素子121は、それらの受光面をボールレンズ11に向けて配置される。第1受光素子121の受光面は、ボールレンズ11に向けられる。第1受光素子121の受光面は、受光部122と不感部123を含む。複数の第1受光素子121の各々には、ボールレンズ11によって集光された光信号が入射する。受光部122に集光された光信号は、第1受光素子121によって受光される。一方、不感部123に集光された光信号は、第1受光素子121によって受光されない。複数の第1受光素子121の各々は、受光した光信号を電気信号に変換する。複数の第1受光素子121の各々は、変換後の電気信号を、通信制御部14に出力する。
【0022】
第1受光素子121は、受信対象である空間光信号の波長領域の光を受光する。例えば、第1受光素子121は、可視領域の光に感度を有する。例えば、第1受光素子121は、赤外領域の光に感度を有する。第1受光素子121は、例えば1.5μm(マイクロメートル)帯の波長の光に感度を有する。なお、第1受光素子121が感度を有する光の波長帯は、1.5μm帯に限定されない。第1受光素子121が受光する光の波長帯は、送信装置(図示しない)から送信される空間光信号の波長に合わせて、任意に設定できる。第1受光素子121が受光する光の波長帯は、例えば0.8μm帯や、1.55μm帯、2.2μm帯に設定されてもよい。また、第1受光素子121が受光する光の波長帯は、例えば0.8~1μm帯であってもよい。波長帯が短い方が、大気中の水分による吸収が小さいので、降雨時における光空間通信には有利である。また、第1受光素子121は、強烈な太陽光で飽和してしまうと、空間光信号に由来する光信号を読み取ることができない。そのため、第1受光素子121の前段に、空間光信号の波長帯の光を選択的に通過させる色フィルタが設置されてもよい。
【0023】
例えば、第1受光素子121は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの素子によって実現できる。例えば、第1受光素子121は、アバランシェフォトダイオードによって実現される。アバランシェフォトダイオードによって実現された第1受光素子121は、高速通信に対応できる。なお、第1受光素子121は、光信号を電気信号に変換できさえすれば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード以外の素子によって実現されてもよい。通信速度を向上させるために、第1受光素子121の受光部は、できるだけ小さい方が好ましい。例えば、第1受光素子121の受光部は、一辺が5mm(ミリメートル)程度の正方形の受光面を有する。例えば、第1受光素子121の受光部は、直径0.1~0.3mm程度の円形の受光面を有する。第1受光素子121の受光部の大きさや形状は、空間光信号の波長帯や通信速度などに応じて選定されればよい。
【0024】
第2受光器13は、複数の第2受光素子131と、第2環状体135とによって構成される。第2受光器13は、環状である。第2環状体135は、第1環状体125の外周側面を取り囲むように配置される。図1図2のように、第1環状体125と比べて、第2環状体135の方が、円環の直径が大きい。すなわち、第1環状体125の円環よりも、第2環状体135の円環の方が、口径が大きい。口径とは、具体的な円環の口径ではなく、第1環状体125や第2環状体135が形成する環の大きさの相対的な大小関係を表す。
【0025】
第2環状体135は、第1環状体125の外周を取り囲む。第2環状体135の環の外周側面には、複数の第2受光素子131が配置される。第2受光素子131は、空間光信号の送信元である通信対象の方向を特定するために用いられる。複数の第2受光素子131は、それらの受光面をボールレンズ11の反対側に向けて、第2環状体135の外周側面に配置される。複数の第2受光素子131は、第2環状体135の直径方向に対して受光面が垂直になるように配置される。本実施形態において、第2受光器13は、8個の第2受光素子131を含む。例えば、8個の第2受光素子131は、等間隔で配置される。図2の例の場合、8個の第2受光素子131は、正8角形の頂点の位置に配置される。第2受光器13に含まれる第2受光素子131の数については、特に限定しない。第2受光器13に含まれる第2受光素子131の数は、通信対象の数などに応じて設定されればよい。第2受光素子131の数を増やせば、通信対象の方向検知の精度が向上する。第2環状体135の環の外周側面に配置された第2受光素子131は、複数の第2受光素子131を含む受光ユニット(図示しない)で置換されてもよい。例えば、受光ユニットに含まれる複数の第2受光素子131は、複数の行および列によって構成されたアレイ状に配置されてもよい。
【0026】
図4は、ボールレンズ11とは反対側の視座から見た第2受光器13の一部分の概念図である。第2受光器13に含まれる第2受光素子131の受光面は、受光部132と不感部133を含む。複数の第2受光素子131の各々には、通信対象から送信された空間光信号が入射する。受光部132に集光された光信号は、第2受光素子131によって受光される。一方、不感部133に集光された光信号は、第2受光素子131によって受光されない。複数の第2受光素子131の各々は、受光した光信号を電気信号に変換する。複数の第2受光素子131の各々は、変換後の電気信号を、通信制御部14に出力する。第2受光器13によって受信された空間光信号に由来する電気信号は、通信対象の方向検知に用いられる。
【0027】
第2受光素子131は、第1受光素子121と同様に、受信対象である空間光信号の波長領域の光を受光する。例えば、第2受光素子131は、可視領域の光に感度を有する。例えば、第2受光素子131は、赤外領域の光に感度を有する。第2受光素子131は、例えば1.5μm(マイクロメートル)帯の波長の光に感度を有する。なお、第2受光素子131が感度を有する光の波長帯は、1.5μm帯に限定されない。第2受光素子131が受光する光の波長帯は、送信装置(図示しない)から送信される空間光信号の波長に合わせて、任意に設定できる。第2受光素子131が受光する光の波長帯は、例えば0.8μm帯や、1.55μm帯、2.2μm帯に設定されてもよい。また、第2受光素子131が受光する光の波長帯は、例えば0.8~1μm帯であってもよい。波長帯が短い方が、大気中の水分による吸収が小さいので、降雨時における光空間通信には有利である。また、第2受光素子131は、強烈な太陽光で飽和してしまうと、空間光信号に由来する光信号を読み取ることができない。そのため、第2受光素子131の前段に、空間光信号の波長帯の光を選択的に通過させる色フィルタが設置されてもよい。
【0028】
例えば、第2受光素子131は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの素子によって実現できる。例えば、第2受光素子131は、アバランシェフォトダイオードによって実現される。アバランシェフォトダイオードによって実現された第2受光素子131は、高速通信に対応できる。なお、第2受光素子131は、光信号を電気信号に変換できさえすれば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード以外の素子によって実現されてもよい。通信速度を向上させるために、第2受光素子131の受光部は、できるだけ小さい方が好ましい。例えば、第2受光素子131の受光部は、一辺が5mm(ミリメートル)程度の正方形の受光面を有する。例えば、第2受光素子131の受光部は、直径0.1~0.3mm程度の円形の受光面を有する。第2受光素子131の受光部の大きさや形状は、空間光信号の波長帯や通信速度などに応じて選定されればよい。
【0029】
通信制御部14(通信制御手段ともよぶ)は、複数の第2受光素子131から出力された信号を取得する。通信制御部14は、複数の第2受光素子131の各々からの信号を増幅する。通信制御部14は、増幅した信号を積分する。通信制御部14は、積分された信号をアナログ-デジタル変換(AD変換)する。通信制御部14は、AD変換された信号を、通信対象ごとに設定された周波数に分離する。通信制御部14は、通信対象ごとに割り当てられた周波数に関して、第2受光素子131ごとの出力を用いて、通信対象の方向を計算する。
【0030】
図5は、多様な方向から受信装置10に到来する空間光信号について説明するための概念図である。図5には、通信対象から送信された探索用の空間光信号(スキャン信号LS)が、6方向から受信装置10に到来する様子を示す。6方向から到来するスキャン信号LSは、異なる通信対象から送信される。スキャン信号LSは、通信対象ごとに、固有の周波数(f1~f6)で変調されている。それぞれのスキャン信号LSは、複数の第2受光素子131によって受光される。また、スキャン信号LSの到来方向によっては、単一の第2受光素子131が複数の通信対象からのスキャン信号LSを同時に受信する場合もある。
【0031】
スキャン信号LSは、複数の第2受光素子131によって受光される。第2受光素子131によって受光される空間光信号に由来する信号の強度は、空間光信号の到来方向に応じて変化する。第2受光素子131の受光面に対して垂直に近い角度で空間光信号が入射するほど、その空間光信号に由来する信号の強度が大きい。それに対し、第2受光素子131の受光面に対して垂直から離れた角度で空間光信号が入射するほど、その空間光信号に由来する信号の強度が小さい。そのため、ある周波数の空間光信号に関して、複数の第2受光素子131によって受信された空間光信号に由来する信号の強度を比較すれば、その空間光信号の到来方向を計算できる。
【0032】
図6は、スキャン信号LSの到来方向を特定する一例について説明するためのグラフである。図6は、周波数f4で変調されたスキャン信号LS4と、周波数f5で変調されたスキャン信号LS5とを分離する例である。図6の例では、複数の第2受光素子131(PD1、PD2、PD3、PD4)によって、スキャン信号LS4およびスキャン信号LS5が受信される例を示す。図6の例では、スキャン信号LSが平行光であるとみなす。図6に示すドットは、スキャン信号LSに由来する信号の積分強度を示す。曲線(実線)は、スキャン信号LS4(周波数f4)の強度分布を示す。曲線(破線)は、スキャン信号LS5(周波数f5)の強度分布を示す。図6には、スキャン信号LS4(周波数f4)の強度分布の最大値P4と、スキャン信号LS5(周波数f5)の強度分布の最大値P5とを示す。スキャン信号LSの強度が最大値を示す方向が、その空間光信号の到来方向に相当する。このように、複数の通信対象から送信された空間光信号が同時に受信された場合、空間光信号を周波数で分離することによって、それらの空間光信号の送信元である通信対象の方向を特定できる。第2受光素子131が単一の周波数のスキャン信号LSを受信している場合は、そのスキャン信号LSの強度分布に応じて、送信元である通信対象の方向を特定できる。
【0033】
通信制御部14は、特定された通信対象の方向に向けて、その通信対象の送信する空間光信号の受信に用いられる受光ユニット120の位置を変更する。通信制御部14は、特定された通信対象の方向に、その通信対象との通信に用いられる受光ユニット120の受光面が向くように、受光ユニット120を移動させる。方向が特定された通信対象から送信された空間光信号は、ボールレンズ11によって集光されて、その通信対象に対応付けられた受光ユニット120によって受信される。
【0034】
通信制御部14は、複数の第1受光素子121から出力された信号を取得する。通信制御部14は、複数の第1受光素子121の各々からの信号を増幅する。通信制御部14は、増幅された信号をデコードし、通信対象からの信号を解析する。例えば、通信制御部14は、同じ受光ユニット120に含まれる複数の第1受光素子121の信号をまとめて解析する。複数の第1受光素子121の信号をまとめて解析する場合、単一の通信対象と通信するシングルチャンネルの受信装置10を実現できる。例えば、通信制御部14は、同じ受光ユニット120に含まれる第1受光素子121ごとに、個別に信号を解析するように構成される。第1受光素子121ごとに信号を解析する場合、複数の通信対象と同時に通信するマルチチャンネルの受信装置10を実現できる。通信制御部14によってデコードされた信号は、任意の用途に使用される。通信制御部14によってデコードされた信号の使用については、特に限定を加えない。
【0035】
〔通信制御部〕
図7は、通信制御部14の構成の一例を示す概念図である。通信制御部14は、方向検知回路15、制御回路16、および受信回路17を有する。図7は、通信制御部14の構成の一例であって、通信制御部14の構成を限定するものではない。
【0036】
方向検知回路15は、複数の第2受光素子131-1~mに接続される(mは自然数)。方向検知回路15は、複数の第2受光素子131-1~mから出力された信号に関する周波数ごとの強度のプロファイルに応じて、その周波数の空間光信号の到来方向を検知する。方向検知回路15は、検知した空間光信号の到来方向を、制御回路16に出力する。
【0037】
制御回路16は、到来方向が特定された空間光信号の周波数に、複数の受光ユニット120のうちいずれかを対応付ける。すなわち、その受光ユニット120には、通信対象が対応付けられる。制御回路16は、その空間光信号の到来方向に、その空間光信号の周波数に対応付けられた受光ユニット120の受光面が向くように、その受光ユニット120の位置を移動させる。制御回路16は、通信対象が対応付けられた受光ユニット120に含まれる第1受光素子121によって受光される光信号を受光するように、受信回路17を制御する。
【0038】
受信回路17は、第1受光素子121によって受光された光信号に由来する信号を受信する。受信回路17は、通信対象が対応付けられた受光ユニット120に含まれる第1受光素子121によって受光された光信号に由来する信号を受信する。受信回路17は、受光ユニット120ごとに信号をデコードする。
【0039】
〔方向検知回路〕
図8は、通信制御部14に含まれる方向検知回路15の構成の一例を示す概念図である。方向検知回路15は、複数の検知回路150-1~mおよび方向判定回路159を有する。図8は、方向検知回路15の構成の一例であって、方向検知回路15の構成を限定するものではない。
【0040】
複数の検知回路150-1~mの各々は、複数の第2受光素子131-1~mの各々に接続される。検知回路150は、第2受光素子131からの信号を増幅する。検知回路150は、増幅した信号を積分する。検知回路150は、積分された信号をアナログ-デジタル変換(AD変換)する。検知回路150は、AD変換された信号を、通信対象ごとに設定された周波数に分離する。
【0041】
方向判定回路159は、通信対象ごとに割り当てられた周波数の強度に関する第2受光素子131ごとのプロファイルに応じて、通信対象の方向を計算する。方向判定回路159は、算出された通信対象の方向を、その通信対象が送信した空間光信号の周波数に対応付けて、制御回路16に出力する。
【0042】
〔検知回路〕
図9は、方向検知回路15に含まれる検知回路150の構成の一例を示す概念図である。検知回路150は、積分器151、AD変換器156、およびデジタルフィルタ157を有する。積分器151は、抵抗器152、コンデンサ153、演算増幅器154、およびスイッチ155を含む。図9は、検知回路150の構成の一例であって、検知回路150の構成を限定するものではない。
【0043】
抵抗器152の第1端(左側)は、第2受光素子131の出力に接続される。抵抗器152の第2端(右側)は、コンデンサ153の第1端(左側)、演算増幅器154の反転入力端子(-)、およびスイッチ155の第1端(左側)に接続される。
【0044】
コンデンサ153の第1端(左側)は、抵抗器152の第2端(右側)、コンデンサ153の第1端(左側)、演算増幅器154の反転入力端子(-)、およびスイッチ155の第1端(左側)に接続される。コンデンサ153の第2端(右側)は、抵抗器152の第2端(右側)、コンデンサ153の第2端(右側)、演算増幅器154の出力端子(右側)、スイッチ155の第2端(右側)、およびAD変換器156の入力端(左側)に接続される。
【0045】
演算増幅器154の反転入力端子(-)は、抵抗器152の第2端(右側)、コンデンサ153の第1端(左側)、およびスイッチ155の第1端(左側)に接続される。演算増幅器154の非反転入力端子(+)は、接地される。演算増幅器154の出力端(右側)は、コンデンサ153の第2端(右側)、スイッチ155の第2端(右側)、およびAD変換器156の入力端(左側)に接続される。
【0046】
スイッチ155は、コンデンサ153に蓄積された電荷のリセットに用いられる。例えば、スイッチ155は、FET(Field Effect Transistor)によって実現される。スイッチ155の第1端(左側)は、抵抗器152の第2端(右側)、コンデンサ153の第1端(左側)、および演算増幅器154の反転入力端子(-)に接続される。スイッチ155の第2端(右側)は、コンデンサ153の第2端(右側)、演算増幅器154の出力端(右側)、およびAD変換器156の入力端に接続される。スイッチ155のゲートには、制御回路16の制御に応じて、ゲート閾値電圧を越える電圧が印加される。スイッチ155のゲートにゲート閾値電圧を越える電圧が印加されると、スイッチ155の第1端と第2端が導通して、コンデンサ153に蓄積された電荷がリセットされる。
【0047】
AD変換器156(変換器とも呼ぶ)は、積分器151の出力に接続される。AD変換器156は、予め設定された積分周期で、積分器151から出力された信号を読み出す。AD変換器156は、読み出した信号をアナログからデジタルに変換して、積分周期ごとに切り出す。AD変換器156は、切り出した信号をデジタルフィルタ157に出力する。デジタルフィルタ157の替わりに、アナログフィルタが検知回路150に実装されてもよい。
【0048】
デジタルフィルタ157は、AD変換器156の出力に接続される。デジタルフィルタ157には、AD変換器156から出力されたデジタル信号が入力される。デジタルフィルタ157は、入力されたデジタル信号を、通信対象ごとの周波数に分離する。図9の例において、デジタル信号は、6つの周波数(f1、f2、f3、f4、f5、f6)に分離される。デジタルフィルタ157は、通信対象ごとの周波数に分離された信号を、方向判定回路159に出力する。
【0049】
〔受信回路〕
図10は、受信回路17の構成の一例を示すブロック図である。図10の例では、複数の第1受光素子121の数をn個とする(nは自然数)。受信回路17は、受信制御部171、光学制御部175、および信号処理部177を有する。図10は、受信回路17の構成の一例であって、受信回路17の構成を限定するものではない。
【0050】
受信制御部171には、複数の第1受光素子121-1~nが接続される。受信制御部171には、複数の第1受光素子121-1~nから出力された信号が入力される。受信制御部171は、入力された信号を増幅する。受信制御部171には、増幅された信号を信号処理部177に出力する。
【0051】
図10の例において、受信制御部171は、複数の第1増幅器172と複数の第2増幅器173とを含む。第1増幅器172は、複数の第1受光素子121-1~nのうちいずれか一つに接続される。第1増幅器172は、入力された信号を増幅する。第1増幅器172は、増幅された信号を第2増幅器173に出力する。複数の第1受光素子121-1~nは、複数の受光ユニット120のうちいずれかに割り当てられる。図10の例の場合、1つの受光ユニット120は、3個の第1受光素子121によって構成される。複数の第2増幅器173の各々は、いずれかの受光ユニット120に割り当てられる。第2増幅器173には、割り当てられた受光ユニット120に属する複数の第1増幅器172から出力された信号が入力される。第2増幅器173は、入力された信号を、受光ユニット120ごとにまとめて増幅する。第2増幅器173は、受光ユニット120ごとに増幅された信号を、信号処理部177に出力する。図10は、受信制御部171の構成の一例であって、受信制御部171の構成を限定するものではない。例えば、受信制御部171は、複数の第1受光素子121-1~nからの信号を、受光ユニット120ごとにまとめずに、個別に出力するように構成されてもよい。
【0052】
例えば、受信制御部171には、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタ(図示しない)が設けられてもよい。太陽光に由来する光は、電気信号に変換しても、受信対象である空間光信号の周波数帯の信号に変調されない。そのため、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタが設けられれば、太陽光などの環境光に由来する信号がカットされ、空間光信号の周波数帯に相当する高周波成分の信号を選択的に通過させる。例えば、受信制御部171には、バンドパスフィルタ(図示しない)が設けられてもよい。
【0053】
光学制御部175は、受信制御部171に接続される。光学制御部175は、受信制御部171によって増幅された信号の出力値を取得する。光学制御部175は、信号の出力値をモニタする。例えば、光学制御部175は、複数の第1増幅器172の出力をモニタして、出力の大きい第1増幅器172を選択してもよい。また、光学制御部175は、複数の第1受光素子121の信号強度をモニタして、信号強度の大きい第1受光素子121に接続された第1増幅器172を選択してもよい。
【0054】
信号処理部177は、受信制御部171に接続される。信号処理部177は、受信制御部171によって増幅された信号を取得する。例えば、信号処理部177は、受光ユニット120ごとにまとめて増幅された信号を取得する。例えば、信号処理部177は、複数の第1受光素子121-1~nの各々が受光した光信号に由来する信号を取得する。信号処理部177は、取得された信号をデコードする。例えば、信号処理部177は、デコードされた信号に何らかの信号処理を加える。例えば、信号処理部177は、デコードされた信号を外部の信号処理装置等(図示しない)に出力する。
【0055】
以上のように、本実施形態の受信装置は、ボールレンズ、第1受光器、第2受光器、および通信制御部を備える。ボールレンズは、球形のレンズである。第1受光器は、第1環状体と、複数の受光ユニットとを有する。第1環状体は、ボールレンズの周囲を取り囲む。受光ユニットは、第1環状体の内周側面に配置された複数の第1受光素子によって構成される。複数の第1受光素子は、ボールレンズに受光部を向けて、第1環状体の内周側面に配置される。第2受光器は、第2環状体と、複数の第2受光素子とを有する。第2環状体は、第1環状体の外周を取り囲む。複数の第2受光素子は、第2環状体の外周側面に配置される。複数の第2受光素子は、ボールレンズとは反対向きに受光部を向けて、第2環状体の外周側面に配置される。
【0056】
通信制御部は、方向検知回路、制御回路、および受信回路を有する。方向検知回路は、複数の第2受光素子によって受光された空間光信号の強度のパターンに応じて、空間光信号の到来方向を検知する。制御回路は、到来方向が検知された空間光信号に複数の受光ユニットのうちいずれかを対応付ける。受信回路は、空間光信号に対応付けられた受光ユニットに含まれる複数の第1受光素子によって受光された光信号をデコードする。
【0057】
本実施形態の受信装置は、第2環状体の外周側面に配置された複数の第2受光素子によって、多様な方向から到来する空間光信号を受光する。本実施形態の受信装置は、複数の第2受光素子によって受光された空間光信号の強度のパターンに応じて、その空間光信号の到来方向を検知する。そのため、本実施形態の受信装置によれば、多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を正確に検知できる。
【0058】
本実施形態の一態様において、複数の第2受光素子は、第2環状体の外周側面に等間隔で配置される。本態様によれば、等間隔で配置された複数の第2受光素子によって受光される空間光信号によって、多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を正確に検知できる。
【0059】
本実施形態の一態様において、複数の受光ユニットは、第1環状体の円周方向に沿って移動可能に配置される。制御回路は、空間光信号に対応付けられた受光ユニットの受光面が空間光信号の到来方向に向くように、受光ユニットの位置を移動させる。本態様によれば、通信対象から送信された空間光信号の到来方向に、受光ユニットの受光面を自動的に向けることができる。そのため、本実施形態によれば、通信対象から送信される空間光信号の受光効率を向上できる。
【0060】
本実施形態の一態様において、方向検知回路は、複数の検知回路と、方向判定回路とを有する。検知回路は、複数の第2受光素子のいずれかに対応付けられる。検知回路は、対応付けられた第2受光素子によって受光された空間光信号に由来する信号を積分する。検知回路は、積分された信号を、通信対象ごとの周波数に分離する。方向判定回路は、複数の検知回路によって分離された周波数ごとの信号のプロファイルに応じて、空間光信号の到来方向を判定する。本態様では、通信対象ごとの周波数に分離された信号のプロファイルに応じて、空間光信号の到来方向を通信対象ごとに判定する。本態様では、空間光信号に由来する信号を積分することによって、空間光信号の検出精度を向上させる。そのため、本態様によれば、空間光信号の到来方向に応じて、通信対象の方向を正確に検知できる。
【0061】
本実施形態の一態様において、検知回路は、積分回路、変換器、およびデジタルフィルタを有する。積分回路は、対応付けられた第2受光素子によって受光された空間光信号に由来する信号を積分する。変換器は、積分回路によって積分された信号をデジタル信号に変換する。デジタルフィルタは、変換器によってデジタル信号に変換された信号を、通信対象ごとの周波数に分離する。本態様では、通信対象ごとの周波数に分離された信号のプロファイルに応じて、空間光信号の到来方向を通信対象ごとに判定する。本態様では、空間光信号に由来する信号を積分することによって、空間光信号の検出精度を向上させる。そのため、本態様によれば、空間光信号の到来方向に応じて、通信対象の方向を正確に検知できる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る通信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の通信装置は、第1の実施形態に係る受信装置を備える。また、本実施形態の通信装置は、空間光変調器を有する送信装置を備える。
【0063】
図11は、本実施形態に係る通信装置2の構成の一例を示すブロック図である。通信装置2は、受信装置20、送信装置27、および通信制御装置29を備える。受信装置20は、第1の実施形態に係る受信装置10が備える受信器100の機能を有する。第1の実施形態に係る受信装置10が備える通信制御部14の機能は、通信制御装置29に実装される。第1の実施形態に係る受信装置10が備える通信制御部14の機能は、受信装置20に実装されてもよい。
【0064】
図12は、通信装置2の構成の一例を示す概念図である。図12は、通信装置2の斜視図である。受信装置20は、送信装置27の上に重ねて配置される。受信装置20と送信装置27の位置関係は、図12の例に限定されない。例えば、送信装置27の上に、受信装置20が重ねて配置されてもよい。図12には、通信制御装置29を図示しない。通信制御装置29の位置については、空間光信号の受信に影響がなければ、特に限定しない。以下においては、受信装置20、送信装置27、および通信制御装置29について、個別に説明する。
【0065】
〔受信器〕
図13は、通信装置2が備える受信装置20の構成の一例を示す概念図である。図13は、受信装置20を斜め上方の視座から見た図である。受信装置20は、ボールレンズ21、第1受光器22、第2受光器23、および支持体24を有する。第1受光器22は、複数の受光ユニット220と、第1環状体225とによって構成される。第2受光器23は、複数の第2受光素子231と、第2環状体235とによって構成される。支持体24は、支持台241と支持柱242によって構成される。
【0066】
ボールレンズ21、第1受光器22、および第2受光器23は、支持体24によって、互いの位置関係が固定される。例えば、支持第241には、通信制御装置29が配置される。例えば、支持台241に配置された通信制御装置29は、支持柱242の内部の配線(図示しない)を介して、受信装置20および送信装置27に接続される。ボールレンズ21、第1受光器22、および第2受光器23は、第1の実施形態の対応する構成と同様である。以下においては、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0067】
図14図15は、第1環状体225の環内に、受光ユニット220を移動可能に支持する移動機構の一例について説明するための概念図である。図14は、第1環状体225の直径方向に沿って、受光ユニット220を含む部分を切断した断面図である。図15は、第1環状体225の内側円内の上方に当たる視座から、受光ユニット220の受光面の側を見た斜視図である。
【0068】
受光ユニット220は、複数の第1受光素子221を有する。各々の第1受光素子221の受光面には、バンドパスフィルタ223が配置される。バンドパスフィルタ223は、受信対象の空間光信号の波長を選択的に通過させる。受光ユニット220の受光面には、遮光壁224が配置される。遮光壁224は、受光ユニット220の受光面を取り囲むように配置される。遮光壁224は、受光ユニット220の受光面に向けて、開口面積が小さくなる。例えば、受光ユニット220の受光面に到来する空間光信号に雑音光が含まれないように、遮光壁224の内側には、黒色塗料などの散乱防止加工が施される。遮光壁224は、受光ユニット220の受光面に到来する空間光信号の乱反射を軽減させる。また、遮光壁224は、ある受光ユニット220の受光面に到来した空間光信号が、他の受光ユニット220の受光面に到達することを防ぐ。
【0069】
第1環状体225の上面には、第1基板245と第2基板248が配置される。第1基板245の上面には、受信回路240が配置される。受信回路240は、図14で図示した位置とは異なる位置に配置されてもよい。受信回路240は、信号線249によって、通信制御装置29に接続される。
【0070】
第1基板245の左端部は、受光ユニット220の中央付近に接続される。第1基板245の下部には、タイヤ246とモーター247が配置される。タイヤ246の回転軸は、第1環状体225の直径方向である。第1基板245は、タイヤ246によって、第1環状体225の上面を移動可能に配置される。受光ユニット220を駆動させる機構は、第1環状体225の円周方向に沿って受光ユニット220が移動できれば、タイヤ246およびモーター247を含む構成でなくてもよい。
【0071】
第1環状体225の下面には、第1環状体225の周方向に沿って、凹んだ軌道が形成される。第1基板245の下方には、第1環状体225を挟んで、脱落防止治具226が配置される。脱落防止治具226の上部には、第1環状体225の下面に形成された軌道の内部に嵌入される凸部が形成される。第1環状体225の下面の軌道と、脱落防止治具226の凸部との間には、潤滑被膜LFが形成される。脱落防止治具226の左端部は、受光ユニット220の下部に接続される。受光ユニット220と第1環状体225との間には、潤滑被膜LFが形成される。
【0072】
モーター247は、制御回路(図示しない)による制御に応じて駆動する。タイヤ246は、モーター247の駆動に応じて、回転する。第1基板245は、タイヤ246の回転に応じて、第1環状体225の上面を、第1環状体225の周方向に沿って移動する。第1基板245の移動に応じて、受光ユニット220の受光面の向きが変化する。
【0073】
第2基板248の周縁(左端)の上面には、位置パターンPTが形成される。位置パターンPTは、受光ユニット220の位置を読み取るためのパターンである。図16は、位置パターンPTの一例を示す概念図である。第1基板245の右側周縁には、窓Wが開口する。窓Wは、位置パターンPTの上方に合わせて、開口する。窓Wの上方には、エンコーダ260が配置される。エンコーダ260は、位置パターンPTを読み取り、受光ユニット220の位置を特定する。
【0074】
図17は、エンコーダ260の構成の一例を示す概念図である。図17は、第1環状体225の直径方向に沿って切断されたエンコーダ260の断面図である。エンコーダ260は、光源262、レンズ263、および受光素子265を含む。光源262、レンズ263、および受光素子265は、エンコーダ260の筐体261の下面に配置される。光源262は、斜め下方の位置パターンPTに向けて、受光ユニット220の位置を読み取るための光を出射する。位置パターンPTの位置で反射された反射光は、レンズ263によって、受光素子265の受光面に集光される。受光素子265は、レンズ263によって集光される光を受光する。受光素子265によって受光された光は、電気信号に変換されて、制御回路(図示しない)に出力される。制御回路は、電気信号のパターンに応じて、受光ユニット220の位置を特定する。
【0075】
〔送信器〕
図18は、送信装置27の構成の一例を示す概念図である。送信装置27は、複数の送信ユニット270を含む。複数の送信ユニット270は、可動台281の上部に配置される。可動台281は、円柱状の台である。個々の送信ユニット270は、円柱状の可動台281の円周方向に沿って移動可能に配置される。可動台281の上面の移動機構については、詳細な説明を省略する。可動台281の上面の中心には、支柱282が配置される。支柱282の上面には、受信装置20が配置される。例えば、送信装置27は、支柱282の内部に配置された配線を介して、通信制御装置29と接続される。
【0076】
図19図20は、送信ユニット270の構成について説明するための概念図である。図19は、送信ユニット270の筐体271の内部を示す断面図である。図19には、光の経路の目安を、破線で示す。図20は、送信ユニット270の筐体271の内部構成を示す斜視図である。図19図20は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0077】
送信ユニット270は、光源272、コリメータレンズ273、反射鏡274、および空間光変調器275を有する。光源272、コリメータレンズ273、反射鏡274、および空間光変調器275は、送信ユニット270の筐体271の内部に配置される。光源272および空間光変調器275は、基板276を介して、筐体271の内部に固定される。光源272および空間光変調器275は、基板276に接続された信号線279を介して、通信制御装置29に接続される。筐体271の外部(左側)には、ヒートシンク277が配置される。ヒートシンク277は、複数の冷却フィンを有する。ヒートシンク277は、光源272や空間光変調器275から発生した熱を外部に放出するための放熱機構である。筐体271の下部には、移動機構278が配置される。移動機構278は、可動台281の上面の円周方向に沿って移動可能に、送信ユニット270を支持する。
【0078】
光源272は、通信に用いられる光を出射する。図20の例では、送信ユニット270は、2つの光源272を含む。送信ユニット270に含まれる光源272の数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。光源272は、通信対象に送信する信号のパターンに応じて変調された光を出射する。光源272から出射された光は、コリメータレンズ273によって、平行光(照明光)に変換される。コリメータレンズ273を通過した照明光は、反射鏡274の反射面で反射されて、空間光変調器275の変調部に向けて進行する。
【0079】
光源272は、通信制御装置29の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光を出射する。光源272から出射されるレーザ光の波長は、特に限定されず、用途に応じて選定されればよい。例えば、光源272は、可視や赤外の波長帯のレーザ光を出射する。例えば、800~900ナノメートル(nm)の近赤外線であれば、レーザクラスを上げられるので、他の波長帯よりも1桁くらい感度を向上できる。例えば、1.55マイクロメートル(μm)の波長帯の赤外線ならば、高出力のレーザ光源を用いることができる。1.55μmの波長帯のレーザ光源としては、アルミニウムガリウムヒ素リン(AlGaAsP)系レーザ光源や、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)系レーザ光源などを用いることができる。レーザ光の波長が長い方が、回折角を大きくでき、高いエネルギーに設定できる。
【0080】
空間光変調器275は、変調部を有する。変調部には、変調領域が設定される。変調部の変調領域には、通信制御装置29の制御に応じて、投射光によって表示される画像に応じたパターン(位相画像とも呼ぶ)が設定される。変調部には、反射鏡274の反射面で反射された照明光が照射される。図20には、変調部に照射された照明光の照射範囲を、破線の円で示す。変調部に入射した照明光は、変調部に設定されたパターン(位相画像)に応じて変調される。変調部で変調された変調光は、空間光信号として送信される。
【0081】
例えば、空間光変調器275は、強誘電性液晶やホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などを用いた空間光変調器によって実現される。例えば、空間光変調器275は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって実現できる。また、空間光変調器275は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によって実現されてもよい。位相変調型の空間光変調器275では、投射光を投射する箇所を順次切り替えるように動作させることによって、エネルギーを像の部分に集中することができる。そのため、位相変調型の空間光変調器275を用いる場合、光源272の出力が同じであれば、その他の方式と比べて画像を明るく表示させることができる。
【0082】
変調部の変調領域は、複数の領域に分割される(タイリングとも呼ぶ)。例えば、変調部の変調領域は、所望のアスペクト比を有する四角形の領域(タイルとも呼ぶ)に分割される。複数のタイルの各々には、位相画像が割り当てられる。複数のタイルの各々は、複数の画素によって構成される。複数のタイルの各々には、投射される画像に対応する位相画像が設定される。複数のタイルの各々に設定される位相画像は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0083】
変調部の変調領域に割り当てられた複数のタイルの各々には、位相画像がタイリングされる。例えば、複数のタイルの各々には、予め生成された位相画像が設定される。複数のタイルに位相画像が設定された状態で、変調部に照明光が照射されると、各タイルの位相画像に対応する画像を形成する変調光が出射される。変調部に設定されるタイルが多いほど、鮮明な画像を表示させることができる。変調部に設定されるタイルが多すぎると、各タイルの画素数が少なくなり、解像度が低下する。そのため、変調部の変調領域に設定されるタイルの大きさや数は、用途に応じて設定される。
【0084】
例えば、空間光変調器275の後段に、曲面ミラーが配置されてもよい。曲面ミラーは、曲面状の反射面を有する反射鏡である。曲面ミラーの反射面は、投射光の投射角に応じた曲率を有する。曲面ミラーの反射面は、曲面であればよい。例えば、曲面ミラーの反射面は、円柱の側面の形状を有する。例えば、曲面ミラーの反射面は、自由曲面や球面でもよい。例えば、曲面ミラーの反射面は、単一の曲面ではなく、複数の曲面を組み合わせた形状であってもよい。例えば、曲面ミラーの反射面は、曲面と平面を組み合わせた形状であってもよい。曲面ミラーは、空間光変調器275の変調部に、反射面を向けて配置される。曲面ミラーは、変調光の光路上に配置される。曲面ミラーの反射面には、変調部で変調された変調光が照射される。曲面ミラーの反射面で反射された光(投射光)は、空間光信号として投射される。投射光は、曲面ミラーの反射面における変調光の照射範囲の曲率に応じて拡大される。また、送信装置27には、曲面ミラーの替わりに、フーリエ変換レンズや投射レンズ等を含む投射光学系が設けられてもよい。
【0085】
例えば、空間光変調器275の後段に、遮蔽器(図示しない)が配置されてもよい。遮蔽器は、変調光に含まれる不要な光成分を遮蔽し、投射光の表示領域の外縁を規定する枠体である。例えば、遮蔽器は、アパーチャである。そのようなアパーチャには、所望の画像を形成する光を通過させる部分に、スリット状の開口が形成される。遮蔽器は、所望の画像を形成する光を通過させ、不要な光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器は、変調光に含まれる0次光やゴースト像を遮蔽する。遮蔽器の詳細については、説明を省略する。
【0086】
〔通信制御装置〕
次に、通信制御装置29の構成について図面を参照しながら説明する。図21は、通信制御装置29の構成の一例について説明するためのブロック図である。通信制御装置29は、条件記憶部291、送信条件生成部292、送信制御部293、信号取得部295、信号解析部296、および信号生成部297を有する。例えば、通信制御装置29は、プロセッサとメモリを含むマイクロコンピュータによって実現される。例えば、通信制御装置29は、受信装置20および送信装置27に実装されてもよい。例えば、通信制御装置29は、受信装置20および送信装置27にネットワーク経由で接続されたサーバやクラウドに実装されてもよい。図21は、通信制御装置29の構成の一例であって、通信制御装置29の構成を限定するものではない。
【0087】
条件記憶部291は、送信装置27に送光させる投射光(空間光信号)に対応する位相画像やシフト画像、仮想レンズ画像などのパターンを記憶する。条件記憶部291に記憶されたパターンは、送信装置27の空間光変調器275の変調部に設定される。また、条件記憶部291は、送信装置27の光源272を制御するための光源制御条件や、送信装置27の空間光変調器275を制御するための変調器制御条件を含む投射条件を記憶する。光源制御条件は、送信装置27の光源272からレーザ光を出射させるタイミングを含む条件である。変調器制御条件は、空間光変調器275の変調部にパターンを設定するための条件である。光源制御条件と変調器制御条件を協調させることによって、空間光変調器275の変調部に設定されたパターンに応じた投射光が投射される。
【0088】
送信条件生成部292は、信号生成部297から信号を取得する。送信条件生成部292は、条件記憶部291に記憶された条件に基づいて、取得した信号に含まれる情報を送光するための送光条件を生成する。例えば、送信条件生成部292は、条件記憶部291に記憶された投射条件に基づいて、取得した信号に含まれる情報を送光するためのパターンを選択する。例えば、送信条件生成部292は、取得した信号に含まれる情報を送光するために投射される像に対応するパターンを、空間光変調器275の変調部に設定する送光条件を生成する。例えば、送信条件生成部292は、空間光変調器275の変調部に設定された変調領域のアスペクト比に合わせて、投射される像に対応する位相画像を、空間光変調器275の変調部に設定する送光条件を生成する。
【0089】
送信制御部293は、送信条件生成部292によって設定された送光条件に基づいて、送信装置27の光源272および空間光変調器275を制御するための送光指示を送信装置27に出力する。
【0090】
信号取得部295は、受信装置20によってデコードされた信号を、受信装置20から取得する。また、信号取得部295は、受信装置20によって信号処理が加えられた信号を、受信装置20から取得する。例えば、信号取得部295が取得する信号には、通信装置2から送信された空間光信号に応じて、スキャンされた通信対象や、通信中の通信対象から送信された応答が含まれる。信号取得部295は、取得した信号を信号解析部296に出力する。
【0091】
信号解析部296は、信号取得部295によって取得された信号を解析する。例えば、信号解析部296は、信号の種別に応じて、信号に含まれる情報を解析する。例えば、信号の種別には、スキャン信号や通信信号が含まれる。スキャン信号は、通信対象の探索に用いられる信号である。通信信号は、探索された通信対象との通信に用いられる信号である。信号解析部296が解析する信号の種別に関しては、特に限定を加えない。信号解析部296は、信号の解析結果を信号生成部297に出力する。
【0092】
信号生成部297は、信号解析部296による信号の解析結果を取得する。信号生成部297は、信号の解析結果に応じた送信信号を生成する。送信信号は、通信対象との通信内容や、通信対象のスキャンに用いられる内容を含む。信号生成部297は、通信対象ごとに送信信号を生成する。信号生成部297は、生成した信号を送信条件生成部292に出力する。
【0093】
通信制御装置29は、複数の第2受光素子231によって受光された空間光信号の強度のパターンに応じて、空間光信号の到来方向を検知する。通信制御装置29は、到来方向が検知された空間光信号に複数の受光ユニット220のうちいずれかを対応付ける。通信制御装置29は、空間光信号に対応付けられた受光ユニット220の受光面がその空間光信号の到来方向に向くように、受光ユニット220の位置を移動させる。通信制御装置29は、空間光信号に対応付けられた受光ユニット220に含まれる複数の第1受光素子221によって受光された光信号をデコードする。これらの処理は、受信回路240によって実行されてもよい。
【0094】
〔通信確立〕
次に、通信装置2による通信対象との通信確立の一例について、図面を参照しながら説明する。ここでは、通信装置2Aと通信装置2Bとの間における通信確立について、一例をあげて説明する。以下の通信確立は、一例であって、本実施形態の通信装置2による通信確立を限定するものではない。
【0095】
通信装置2は、第1スキャンモード、第2スキャンモード、および通信モードで、異なる処理を実行する。第1スキャンモードは、第1スキャン用の空間光信号(第1スキャン信号LS1)を送信して、通信対象を探索するモードである。第1スキャンモードにおいて、通信装置2は、第2受光器23に含まれる複数の第2受光素子231によって受光された光信号を用いて、通信対象の位置を検知する。第2スキャンモードは、通信対象から送信された第1スキャン信号の受信に応じて、第2スキャン用の空間光信号(第2スキャン信号LS2)を送信して、その通信対象との間で通信を確立させるモードである。第2スキャンモードにおいて、通信装置2は、第1受光器22に含まれる複数の第1受光素子221によって受光された光信号を用いて、通信対象の正確な位置を特定する。通信モードは、通信が確立された通信対象との間で、通信用に変調された空間光信号(通信信号)を送受信し合って、相互に通信を行うモードである。
【0096】
図22は、第1スキャンモードにおいて、通信装置2の送信装置27が第1スキャン信号LS1を送信する一例を示す概念図である。図22は、上方の視座から通信装置2を見下ろした図である。第1スキャン信号LS1は、通信装置2に固有の周波数で変調される。図22には、送信装置27に含まれる送信ユニット270を示す。送信ユニット270は、第1スキャン信号LS1の送信方向を変化させて、通信対象をスキャンする。第1スキャン信号LS1の送信方向を変化させるだけでは通信対象をスキャンできない場合、通信装置2は、送信ユニット270の位置を変化させて、再度スキャンを行う。例えば、通信対象がいないことが予め判明している方向に対応する送信ユニット270に関しては、第1スキャン信号LS1を送信させなくてもよい。以下において、通信装置2Aが送信する第1スキャン信号LS1をLS1Aと表記する。同様に、通信装置2Bが送信する第1スキャン信号LS1をLS1Bと表記する。
【0097】
図23は、第1スキャンモードにおいて、通信装置2が第1スキャン範囲RS1をスキャンする一例について説明するための概念図である。第1スキャン範囲RS1は、第1スキャン信号LS1の送信範囲である。第1スキャン信号LS1は、通信対象に対して、通信装置2の位置を知らせるための空間光信号である。図23には、通信装置2Bの第1スキャン範囲RS1を示す。本実施形態では、6つの送信ユニット270を用いて、水平面内における360度の範囲内をスキャンする。図23は、単一の送信ユニット270の第1スキャン範囲RS1である。図23の例において、単一の送信ユニット270の第1スキャン範囲RS1は、水平方向が60度、垂直方向が6度である。図23は一例であって、通信装置2の第1スキャン範囲RS1は、任意に設定できる。
【0098】
図23のように、通信装置2Bは、第1スキャン範囲RS1において、第1スキャン信号LS1Bの送信方向を変化させる。図23の例において、通信装置2Bは、第1スキャン範囲RS1の左上の照射範囲S11を始点とし、水平方向の右側に向けて、第1スキャン信号LS1Bの送信方向を変化させる。第1スキャン信号LS1Bの送信方向が第1スキャン範囲RS1の右端の照射範囲S1zに到達すると、通信装置2Bは、第1スキャン信号LS1Bの送信方向を第1スキャン範囲RS1の左端の照射範囲S21に移動させる(zは自然数)。このように、通信装置2Bは、第1スキャン信号LS1Bの送信方向を変化させる。例えば、第1スキャン範囲RS1の右下の照射範囲Szzに到達した段階で通信対象からの応答がなかった場合、通信装置2Bは、送信ユニット270の位置を変化させる。図23には、通信装置2Bから送信された第1スキャン信号LS1Bが、通信装置2Bの通信対象である通信装置2Aに到達した様子を示す。
【0099】
図24図25は、通信装置2Aおよび通信装置2Bが通信対象をスキャンしている様子を示す。通信装置2Aは、第1スキャン信号LS1Aを送信する。通信装置2Bは、第1スキャン信号LS1Bを送信する。図24の段階では、通信装置2Aおよび通信装置2Bともに、通信対象から送信された第1スキャン信号LS1を受信していない。そのため、図24の段階では、通信装置2Aおよび通信装置2Bともに、お互いの方向を特定していない。
【0100】
図25の段階において、通信装置2Bは、通信装置2Aから送信された第1スキャン信号LS1Aを受信していない。それに対し、図25の段階において、通信装置2Aは、通信装置2Bから送信された第1スキャン信号LS1Bを受信している。そのため、図25の段階において、通信装置2Aは、通信装置2Bの方向を検知できる。
【0101】
図26は、通信装置2Bから送信された第1スキャン信号LS1Bの受信に応じて、通信装置2Aが第1スキャンモードから第2スキャンモードに移行する例を示す概念図である。第1スキャン信号LS1Bの受信に応じて、通信装置2Aは、第1スキャン信号LS1Aの送信を停止して、第1スキャン信号LS1Bの到来方向を計算する。通信装置2Aは、算出された第1スキャン信号LS1Bの到来方向に合わせて、受光ユニット220および送信ユニット270の位置を変更する。図26のように、通信装置2Aは、受光ユニット220の受光面を、第1スキャン信号LS1Bの到来方向に向ける。また、通信装置2Aは、送信ユニット270による空間光信号の送信方向を、第1スキャン信号LS1Bの到来方向に向ける。通信装置2Aは、第1スキャン信号LS1Bの到来方向に向けて、通信を確立するための空間光信号(第2スキャン信号LS2)を送信する。以下において、通信装置2Aが送信する第2スキャン信号LS2をLS2Aと表記する。同様に、通信装置2Bが送信する第2スキャン信号LS2をLS2Bと表記する。
【0102】
図27は、第2スキャンモードにおいて、通信装置2Aが第2スキャン範囲RS2をスキャンする一例について説明するための概念図である。第2スキャン範囲RS2は、第2スキャン信号LS2の送信範囲である。第2スキャン信号LS2は、第1スキャン信号LS1の受信に応じて、その第1スキャン信号LS1の送信元の通信対象に向けて、通信装置2の位置を知らせる信号である。図27は、通信装置2Aの第2スキャン範囲RS2である。第2スキャン範囲RS2は、通信装置2Bの方向に合わせて絞り込まれた範囲である。図27の例において、第2スキャン範囲RS2は、水平方向が2度、垂直方向が6度である。
【0103】
図27のように、通信装置2Bからの第1スキャン信号LS1Bを受信した通信装置2Aは、第2スキャン範囲RS2において、第2スキャン信号LS2Aの送信方向を変化させる。図23の例と同様に、通信装置2Aは、第2スキャン範囲RS2の左上の照射範囲を始点とし、水平方向の右側に向けて、第2スキャン信号LS2Aの送信方向を変化させる。第2スキャン信号LS2Aの送信方向が第2スキャン範囲RS2の右端の照射範囲に到達すると、通信装置2Aは、第2スキャン信号LS2Aの送信方向を第2スキャン範囲RS2の左端の照射範囲に移動させる。このように、第2スキャン信号LS2Aの送信方向を順次変化させながら、通信装置2Aは、通信対象の正確な方向を特定する。
【0104】
図28は、通信装置2Aが、通信装置2Bに向けて、第2スキャン信号LS2Aを送信した様子を示す概念図である。図28の段階において、通信装置2Bは、自装置から送信された第1スキャン信号LS1Bが通信装置2Aに受信されたことを検知する。そのため、図28の段階において、通信装置2Bは、未だ第1スキャン信号LS1Bを送信している。
【0105】
図29は、通信装置2Aから送信された第2スキャン信号LS2Aの受信に応じて、通信装置2Bが第1スキャンモードから第2スキャンモードに移行する例を示す概念図である。第2スキャン信号LS2Aの受信に応じて、通信装置2Bは、第1スキャン信号LS1Bの送信を停止して、第2スキャン信号LS2Aの到来方向を計算する。通信装置2Bは、算出された第2スキャン信号LS2Aの到来方向に合わせて、受光ユニット220および送信ユニット270の位置を変更する。図29のように、通信装置2Bは、受光ユニット220の受光面を、第2スキャン信号LS2Aの到来方向に向ける。また、通信装置2Bは、送信ユニット270による空間光信号の送信方向を、第2スキャン信号LS2Aの到来方向に向ける。通信装置2Bは、通信を確立するための空間光信号(第2スキャン信号LS2)を送信する。
【0106】
図30は、第2スキャンモードにおいて、通信装置2Bが第2スキャン範囲RS2をスキャンする一例について説明するための概念図である。第2スキャン範囲RS2は、第2スキャン信号LS2の送信範囲である。図30の場合、第2スキャン信号LS2は、第2スキャン信号LS2の受信に応じて、その第2スキャン信号LS2の送信元の通信対象に向けて、通信装置2の位置を知らせる信号である。図30は、通信装置2Bの第2スキャン範囲RS2である。第2スキャン範囲RS2は、通信装置2Aの方向に合わせて絞り込まれた範囲である。図30の例において、第2スキャン範囲RS2は、水平方向が2度、垂直方向が6度である。
【0107】
図30のように、通信装置2Aからの第2スキャン信号LS2Aを受信した通信装置2Bは、第2スキャン範囲RS2において、第2スキャン信号LS2Aの送信方向を変化させる。図27の例と同様に、通信装置2Bは、第2スキャン範囲RS2の左上の照射範囲を始点とし、水平方向の右側に向けて、第2スキャン信号LS2Bの送信方向を変化させる。第2スキャン信号LS2Bの送信方向が第2スキャン範囲RS2の右端の照射範囲に到達すると、通信装置2Bは、第2スキャン信号LS2Bの送信方向を第2スキャン範囲RS2の左端の照射範囲に移動させる。このように、第2スキャン信号LS2Bの送信方向を変化させながら、通信装置2Bは、通信対象の正確な方向を特定する。
【0108】
図31は、通信装置2Aおよび通信装置2Bが、第2スキャン信号LS2を用いて、通信対象の正確な位置を特定している様子を示す概念図である。通信装置2Aは、第2スキャン信号LS2Aによって、通信対象の正確な位置を特定する。同様に、通信装置2Bは、第2スキャン信号LS2Bによって、通信対象の正確な位置を特定する。
【0109】
図32は、第2スキャンモードから第3スキャンモードに移行して、通信装置2が通信対象の位置を詳細にスキャンする一例を示す概念図である。第3スキャンモードでは、空間光信号(スキャン信号)の照射範囲およびスキャン範囲(第3スキャン範囲RS3)が、第2スキャンモードと比べて小さい面積に設定される。第3スキャンモードにおいて、通信装置2は、詳細な第3スキャンに用いられる空間光信号(第3スキャン信号)を送信する。第3スキャン信号の照射範囲は、第1スキャン信号および第2スキャン信号の照射範囲と比べて面積が小さい。例えば、第3スキャン信号の照射範囲は、通信用の空間光信号(通信信号)照射範囲と同じ面積に設定される。
【0110】
例えば、第3スキャンモードにおいて、通信装置2は、自装置の位置を示す位置情報を含む第3スキャン信号を、第2スキャンモードで特定された方向に向けて送信する。第3スキャン信号を受信した通信対象は、その第3スキャン信号の送信元である通信装置2の位置を特定できる。このように構成されれば、第3スキャン信号に含まれる位置情報に応じて、2つの通信装置2は互いの位置を正確に特定できる。
【0111】
例えば、第3スキャンモードにおいて、通信装置2は、送信方向のアドレスを含む第3スキャン信号を、第2スキャンモードで特定された方向に向けて送信する。第3スキャン信号を受信した通信対象は、その第3スキャン信号の送信元である通信装置2による空間光信号(第3スキャン信号)の送信方向を特定できる。第3スキャン信号を受信した通信対象は、その第3スキャン信号の送信方向に関する情報を含む第3スキャン信号を、その第3スキャン信号の送信元である通信装置2に向けて送信する。このように構成されれば、自装置から送信された第3スキャン信号の送信方向に関する情報の受信に応じて、どのアドレスに向けて送信した第3スキャン信号が通信対象によって受信されたのかを、通信装置2で判別できる。すなわち、通信装置2は、通信対象から送り返されたアドレスの方向に、通信対象が位置することを特定できる。
【0112】
第3スキャンモードで通信対象の位置を正確に特定すると、通信装置2は、通信モードに移行する。通信モードは、通信が確立された通信対象との間で、通信用に変調された空間光信号(通信信号)を送受信し合って、相互に通信を行うモードである。通信モードでは、通信が確立し合った通信装置2の間で、通信信号を用いた光空間通信が行われる。通信モードにおける光空間通信の手法については、特に限定を加えない。
【0113】
〔適用例〕
次に、本実施形態の適用例について図面を参照しながら説明する。以下の適用例では、複数の通信装置2が、空間光信号を送受信する例をあげる。図33は、本適用について説明するための概念図である。本適用例では、街中に配置された電柱や街灯などの柱の上部(柱上空間)に、複数の通信装置2が配置された通信ネットワークの一例(通信システム)をあげる。
【0114】
柱上空間には障害物が少ない。そのため、柱上空間は、通信装置2の設置に適している。また、同程度の高さに通信装置2を設置すれば、空間光信号の到来方向が水平方向に限定される。そのため、受信装置20を構成する受光ユニット220の受信面積を小さくできるため、装置を小型化できる。空間光信号を送受信し合う通信装置2のペアは、少なくとも一方の通信装置2が、他方の通信装置2から送信された空間光信号を受光できる位置に配置される。通信装置2のペアは、空間光信号を互いに送受信するように配置されてもよい。複数の通信装置2で空間光信号の通信ネットワークが構成される場合、中間に位置する通信装置2は、他の通信装置2から送信された空間光信号を、別の通信装置2に中継するように構成されてもよい。
【0115】
本適用例によれば、柱上空間に配置された複数の通信装置2の間で、空間光信号を用いた光空間通信が可能になる。例えば、通信装置2の間における光空間通信とともに、自動車や家屋などに設置された無線装置や基地局と通信装置2との間で、電波を用いた無線通信による通信が行われてもよい。例えば、柱に設置された通信ケーブル等を介して、通信装置2がインターネットに接続されてもよい。
【0116】
以上のように、本実施形態の通信装置は、受信装置、送信装置、および通信制御装置を備える。受信装置は、第1の実施形態に係る受信装置の受信器の構成を有する。送信装置は、空間光信号を送信する複数の送信ユニットを有する。例えば、送信装置は、位相変調型の空間光変調器を含む。通信制御装置は、受信装置および送信装置を制御する。通信制御装置は、第1の実施形態に係る受信装置の通信制御部の機能を有する。
【0117】
本実施形態の通信装置が備える受信装置は、第2環状体の外周側面に配置された複数の第2受光素子によって、多様な方向から到来する空間光信号を受光する。本実施形態の受信装置は、複数の第2受光素子によって受光された空間光信号の強度のパターンに応じて、その空間光信号の到来方向を検知する。そのため、本実施形態によれば、多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を正確に検知することによって、空間光信号の受信状況に応じて、フレキシブルに対応できる通信装置を実現できる。
【0118】
本実施形態の一態様の通信システムは、上記の通信装置を複数備える。通信システムにおいて、複数の通信装置は、空間光信号を互いに送受信し合うように配置される。本態様によれば、空間光信号を送受信する通信ネットワークを実現できる。
【0119】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る受信装置について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の受信装置は、第1~第2の実施形態の受信装置を簡略化した構成である。本実施形態の受信装置は、第1~第2の実施形態の受信装置から、通信制御部を省いた構成である。
【0120】
図34は、本実施形態に係る受信装置30の構成の一例を示す概念図である。図34は、斜め上方の視座から、受信装置30を見下ろした図である。
【0121】
受信装置は、ボールレンズ、第1受光器、および第2受光器を備える。ボールレンズは、球形のレンズである。第1受光器は、第1環状体と、複数の受光ユニットとを有する。第1環状体は、ボールレンズの周囲を取り囲む。受光ユニットは、第1環状体の内周側面に配置された複数の第1受光素子によって構成される。複数の第1受光素子は、ボールレンズに受光部を向けて、第1環状体の内周側面に配置される。第2受光器は、第2環状体と、複数の第2受光素子とを有する。第2環状体は、第1環状体の外周を取り囲む。複数の第2受光素子は、第2環状体の外周側面に配置される。複数の第2受光素子は、ボールレンズとは反対向きに受光部を向けて、第2環状体の外周側面に配置される。
【0122】
本実施形態の受信装置は、第2環状体の外周側面に配置された複数の第2受光素子によって、多様な方向から到来する空間光信号を受光する。複数の第2受光素子によって受光された空間光信号の強度のパターンを解析すれば、その空間光信号の到来方向を正確に検知できる。そのため、本実施形態の受信装置によれば、多様な方向から到来する空間光信号の到来方向を正確に検知できる。
【0123】
(ハードウェア)
次に、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図面を参照しながら説明する。ここでは、そのようなハードウェア構成の一例として、図35の情報処理装置90(コンピュータ)をあげる。図35の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0124】
図35のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。図35においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0125】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラム(命令)を、主記憶装置92に展開する。例えば、プログラムは、各実施形態の制御や処理を実行するためのソフトウェアプログラムである。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。プロセッサ91は、プログラムを実行することによって、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0126】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magneto resistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0127】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0128】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。外部機器と接続されるインターフェースとして、入出力インターフェース95と通信インターフェース96とが共通化されてもよい。
【0129】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。入力機器としてタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルの機能を有する画面がインターフェースになる。プロセッサ91と入力機器とは、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0130】
情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器が備え付けられてもよい。表示機器が備え付けられる場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられる。情報処理装置90と表示機器は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0131】
情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体に格納されたデータやプログラムの読み込みや、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みを仲介する。情報処理装置90とドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0132】
以上が、本発明の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。図35のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0133】
各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も、本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0134】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせられてもよい。各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよい。各実施形態の構成要素は、回路によって実現されてもよい。
【0135】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0136】
2 通信装置
10、20、30 受信装置
11、21、31 ボールレンズ
12、22、32 第1受光器
13、23、33 第2受光器
14 通信制御部
15 方向検知回路
16 制御回路
17 受信回路
24 支持体
27 送信装置
29 通信制御装置
100 受信器
120、220、320 受光ユニット
121、221 第1受光素子
125、225、325 第1環状体
131、231、331 第2受光素子
135、235、335 第2環状体
150 検知回路
151 積分器
152 抵抗器
153 コンデンサ
154 演算増幅器
155 スイッチ
156 AD変換器
157 デジタルフィルタ
159 方向判定回路
171 受信制御部
175 光学制御部
177 信号処理部
223 バンドパスフィルタ
224 遮光壁
226 脱落防止治具
240 受信回路
241 支持台
242 支持柱
245 第1基板
246 タイヤ
247 モーター
248 第2基板
249 信号線
260 エンコーダ
261 筐体
262 光源
263 レンズ
265 受光素子
270 送信ユニット
271 筐体
272 光源
273 コリメータレンズ
274 反射鏡
275 空間光変調器
276 基板
277 ヒートシンク
278 移動機構
279 信号線
281 可動台
282 支柱
291 条件記憶部
292 送信条件生成部
293 送信制御部
295 信号取得部
296 信号解析部
297 信号生成部
図1
図2
図3
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図33
図34
図35