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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057791
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】サイドノック式多色・多機能筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 24/12 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B43K24/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164691
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】月岡 之博
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353HA02
2C353HA07
2C353HE01
2C353HE14
(57)【要約】
【課題】スライダの構造を工夫することにより、筒状ケースの後端部側のスライダが配置された箇所に空間を作ることができ、筒状ケースの後端部近傍までリフィールを配置することができるなどの多様な利用が可能な空間を有する多色・多機能筆記具を提供することを課題とする。
【解決手段】筒状ケース内に複数のリフィールを有する多色・多機能筆記具であって、前記複数のリフィールには、それぞれ、サイドノックが取り付けられ、前記サイドノックのそれぞれは、他の前記サイドノックと互いに当接する当接部を備え、前記当接部の少なくとも1つは、2つの分割当接部を有することを特徴とする多色・多機能筆記具。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケース内に複数のリフィールを有する多色・多機能筆記具であって、
前記複数のリフィールには、それぞれ、サイドノックが取り付けられ、
前記サイドノックのそれぞれは、他の前記サイドノックと互いに当接する当接部を備え、
前記当接部の少なくとも1つは、2つの分割当接部を有することを特徴とする多色・多機能筆記具。
【請求項2】
少なくとも1つの前記2つの分割当接部は互いに空間を空けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載された多色・多機能筆記具。
【請求項3】
前記2つの分割当接部の間の空間の少なくとも1つには、前記リフィールが配置されていることを特徴とする請求項2に記載された多色・多機能筆記具。
【請求項4】
前記2つの分割当接部は、少なくとも前記筒状ケースの中心に空間ができるような形状とされていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載された多色・多機能筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数色のボールペン用リフィールから1つのボールペン用リフィールを択一的に選択して使用できる多色筆記具、ボールペン、シャープペンシルなどの複数のリフィールから1つのリフィールを択一的に選択して使用できる多機能筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多色筆記具や多機能筆記具(以下、まとめて「多色・多機能筆記具」という。)では、筒状ケースの後端部側に、1つの筆記具を択一的に選択するリフィール選択機構を配置している。
(特許文献1、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-25616号公報
【特許文献2】特開2013-223972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から多色・多機能筆記具では、筒状ケースの後端部側は、リフィールを択一的に筒状ケースの先端から出没させるスライダが配置されているため、短いリフィールが使われていた。
【0005】
そこで、本発明は、スライダの構造を工夫することにより、筒状ケースの後端部側のスライダが配置された箇所に空間を作ることができ、筒状ケースの後端部近傍までリフィールを配置することができるなどの多様な利用が可能な空間を有する多色・多機能筆記具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
筒状ケース内に複数のリフィールを有する多色・多機能筆記具であって、
前記複数のリフィールには、それぞれ、サイドノックが取り付けられ、
前記サイドノックのそれぞれは、他の前記サイドノックと互いに当接する当接部を備え、
前記当接部の少なくとも1つは、2つの分割当接部を有することを特徴とする多色・多機能筆記具。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多色・多機能筆記具は、筒状ケースの後端部のスライダが配置された箇所に空間を作ることにより、筒状ケースの後端部近傍までリフィールを配置することができるなどの多様な利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の縦断面図である。
図2】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の要部拡大縦断面図である。
図3】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の、(a)第1スライダ31及び(b)第2スライダ41の図である。
図4】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の横断面図であり、(a)図1のIIa-IIa線断面図、(b)図1のIIb-IIb線断面図である。
図5】本発明に係る実施形態の多色筆記具1の変形例の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の多色筆記具1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
[全体構成]
図1は、本実施形態における多色筆記具1の縦断面図であり、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5がいずれも筒状ケース2の先端から突出していない状態を示す(ただし、第3ボールペン用リフィール5は、省略されている。)とともに、点線は、第1ボールペン用リフィール3が筒状ケース2の先端から突出した状態を示している。
図2は、本実施形態の多色筆記具1の要部拡大縦断面図であり、第1ボールペン用リフィール3が、筒状ケース2の先端から突出している状態を示す。ただし、第3ボールペン用リフィール5は、省略されている。
多色筆記具1は、筒状ケース2、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4及び第3ボールペン用リフィール5、クリップ6などを有している。
筒状ケース2は、長軸方向中央部付近で、前側ケース21と後側ケース22の2つの部材に分けられている。前側ケース21と後側ケース22は、ネジにより着脱自在に結合されている。なお、以降、筒状ケース2の長軸方向を、単に「軸方向」という。また、後側ケース22の軸方向に直交する横断面を、単に「横断面」といい、横断面の中心を、単に「中心」という。
なお、筒状ケース2は、3つ以上の部材に分けたものでもよい。また、複数の部材を分離結合する手段としては、ネジのほか、他の任意の係合手段、嵌合手段などを採用してもよい。
【0011】
筒状ケース2内には、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5が、それぞれ、交換可能に収納されている。
後側ケース22内には、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5をそれぞれ貫通する3つの貫通部を有する貫通支持部材221が設けられており、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5は、貫通支持部材221により、互いに離間した状態を維持するように支持されている。
第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5は、それぞれ、サイドノックとしての第1スライダ31、第2スライダ41、第3スライダ51を軸方向先端側にスライドすることにより、先端開口211から突出する。
【0012】
なお、本実施形態では、多色筆記具を例としているが、ボールペン用リフィールとシャープペンシル用リフィールを有する多機能筆記具でもよく、多色・多機能筆記具として使用するリフィールは、種々の色のボールペン用リフィール、シャープペンシル用リフィール、サインペンやマーカーなどの他の筆記具のほか、タッチペン、電子ペンなどの電子デバイスへの入力手段でもよい。そして、多色・多機能筆記具は、これらの色や種類の異なるリフィールから自由に選択して組み合わせることができる。同じ色や同じ種類のリフィールを複数選択することもできる。
また、本実施形態では、第1ボールペン用リフィール3は、サイドノックとして、クリップ6のようなバネなどを有するバインダ機能付きクリップと連結した第1スライダ31により操作される構成となっているが、これに限らず、バインダ機能を有さないクリップと一体のスライダ、第2ボールペン用リフィール4と同様のスライダなどで操作するように構成してもよい。
【0013】
[ボールペン用リフィール]
第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5の後端部には、それぞれ、第1スライダ31、第2スライダ41、第3スライダ51が固定されている。そして、第1スライダ31の後端部側には、クリップ6が取り付けられている。
第1スライダ31と貫通支持部材221との間には、互いに離間する方向に付勢されるように、第1ボールペン用コイルバネ222が設置されている。同様に、第2スライダ41及び第3スライダ51と、貫通支持部材221との間にも、コイルバネ(図示していない)が設置されている。
【0014】
[スライダ]
図3は、本発明に係る実施形態の多色筆記具1の、(a)第1スライダ31及び(b)第2スライダ41の図である。なお、第2スライダ41と第3スライダ51は同じ形状である。
第1スライダ31は、第1スライダ後側当接部311及び第1スライダ前側当接部を備えている。同様に、第2スライダ41、第3スライダ51も、それぞれ、後側当接部と前側当接部を備えている。なお、後側当接部と前側当接部に分けずに、1つの当接部としてもよい。
【0015】
また、第1スライダ後側当接部311と第1スライダ前側当接部の間の空間において、第1スライダ突起313が、第1スライダ後側当接部311に、第1スライダ前側当接部側に向けて形成されている。また、第1スライダ突起313が、第1ボールペン用リフィール3の後端部に挿入されることにより、第1スライダ31が、第1ボールペン用リフィール3に取り付けられている。(図2参照)
同様に、第2スライダ41、第3スライダ51も、それぞれ、第2スライダ突起413、第3スライダ突起513が形成されており、各突起が各ボールペン用リフィールの後端部に挿入されることにより、各スライダが各ボールペン用リフィールに取り付けられている。
なお、取付手段は、これに限られず、第1スライダ31、第2スライダ41、第3スライダ51に形成した挿入孔に、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5の後端部を挿入することにより取り付けるなどの他の取付手段を採用してもよい。
【0016】
[リフィール選択機構]
図4は、本発明に係る実施形態の多色筆記具1の横断面図であり、(a)図1のIIa-IIa線断面図、(b)図1のIIb-IIb線断面図である。
第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4、第3ボールペン用リフィール5は、リフィール選択機構により、択一的に先端開口211から突出する。
リフィール選択機構は、第1スライダ31、第2スライダ41及び第3スライダ51を有する。
第1スライダ前側当接部は、互いに空間を介して後側ケース22の周方向に離間する2つの第1スライダ前側分割当接部312a、312bからなっている。第2スライダ前側当接部、第3スライダ前側当接部も、同様に、それぞれ、2つの第2スライダ前側分割当接部412a、412b、2つの第3スライダ前側分割当接部512a、512bからなっている。
第1スライダ前側分割当接部312a、312b、第2スライダ前側分割当接部412a、412b、第3スライダ前側分割当接部512a、512bが、それぞれ、隣接する前側分割当接部と、中心付近に空間を形成するように当接している。図4に示すように、第1スライダ前側分割当接部312bは第2スライダ前側分割当接部412aと、第2スライダ前側分割当接部412bは第3スライダ前側分割当接部512aと、第3スライダ前側分割当接部512bは第1スライダ前側分割当接部312aと、それぞれ、互いに当接している。
【0017】
そして、従来の多色筆記具と同様、これら後側当接部と前側当接部、第1スライダ31と貫通支持部材221との間の第1ボールペン用コイルバネ222、第2スライダ41及び第3スライダ51と貫通支持部材221との間のコイルバネにより、3つのリフィールのうちの1つが、択一的に先端開口211から出没する。
【0018】
[空間]
本実施形態では、2つの第1スライダ前側分割当接部312a、312b間、2つの第2スライダ前側分割当接部412a、412b間、2つの第3スライダ前側分割当接部512a、512b間、及び、後側ケース22の中心部分には、空間が形成されている。
2つの分割当接部間の空間には、各ボールペン用リフィールが、後側ケース22の後端部付近まで延長されていて、各スライダの突起部に嵌合している。この構成により、従来の多色筆記具のボールペン用リフィールよりも長くでき、インク量を増やすことができる。
【0019】
なお、多色筆記具が、第1ボールペン用リフィール3と第2ボールペン用リフィール4の2本のリフィールを有する場合、第1スライダ31は第1スライダ前側分割当接部312a、312bを、第2スライダ41は第2スライダ前側分割当接部412a、412bを有し、第1スライダ前側分割当接部312aは第2スライダ前側分割当接部412bと、第2スライダ前側分割当接部412aは第1スライダ前側分割当接部312bと、それぞれ、当接して、中心付近に空間が形成される。また、2つ以上の異なる種類のリフィールを有する多機能筆記具でも同様である。
【0020】
[変形例]
図5は、本発明に係る実施形態の多色筆記具1の変形例の横断面図であり、図1のIIa-IIa線に相当する位置での横断面図である。
実施形態のように、第1ボールペン用リフィール3、第2ボールペン用リフィール4及び第3ボールペン用リフィール5のすべてを後側ケース22の後端部まで伸ばす必要はなく、一部のボールペン用リフィールを後端部まで伸ばすだけでもよい。
例えば、使用頻度の高い黒色の第1ボールペン用リフィール3だけを後側ケース22の後端部まで伸ばすために、第1スライダ31では、2つの第1スライダ前側分割当接部312a、312bからなるように形成するが、第2スライダ41と第3スライダ51では、それぞれ、第2スライダ前側当接部412と第3スライダ前側当接部512の1つの当接部からなるように形成する。
このように、すべての前側当接部を2つの前側分割当接部に分けて形成する必要はなく、一部の前側当接部のみを2つの前側分割当接部に分けて形成してもよい。
【0021】
以上、本発明に係る実施形態の多色筆記具1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 多色筆記具
2 筒状ケース
21 前側ケース
211 先端開口
22 後側ケース
221 貫通支持部材
222 第1ボールペン用コイルバネ
3 第1ボールペン用リフィール
31 第1スライダ
311 第1スライダ後側当接部
312a、312b
第1スライダ前側分割当接部
313 第1スライダ突起
4 第2ボールペン用リフィール
41 第2スライダ
411 第2スライダ後側当接部
412 第2スライダ前側当接部
412a、412b
第2スライダ前側分割当接部
413 第2スライダ突起
5 第3ボールペン用リフィール
51 第3スライダ
512 第3スライダ前側当接部
512a、512b
第3スライダ前側分割当接部
513 第3スライダ突起
6 クリップ
図1
図2
図3
図4
図5