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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057804
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/78 20060101AFI20240418BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240418BHJP
   B29C 45/73 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B29C45/78
B29C45/17
B29C45/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164712
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高松 俊輔
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AK01
4F202AK13
4F202AR06
4F202CA11
4F202CN01
4F202CN14
4F202CN30
4F206AK01
4F206AK13
4F206AR06
4F206JA07
4F206JL02
4F206JN44
4F206JP30
4F206JQ81
4F206JQ90
4F206JT13
(57)【要約】
【課題】射出成形機内の部品の温度にかかわらず、発生した熱を再利用できる。
【解決手段】
射出材料を金型へと射出して成形品を成形する射出成形機である。第1部品と、第2部品と、作動流体が循環可能に構成されている第1流体回路とを備える。第1流体回路は、圧縮機と、第1部品を加熱する第1熱交換器と、減圧装置と、第2部品の熱を吸熱する第2熱交換器とを含み、圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の順に作動流体が循環可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出材料を金型へと射出して成形品を成形する射出成形機であって、
加熱対象である第1部品と、
吸熱対象である第2部品と、
作動流体が循環可能に構成されている第1流体回路とを備え、
前記第1流体回路は、
圧縮機と、
前記第1部品を加熱する第1熱交換器と、
減圧装置と、
前記第2部品の熱を吸熱する第2熱交換器とを含み、
前記圧縮機、前記第1熱交換器、前記減圧装置、および前記第2熱交換器の順に前記作動流体が循環可能に構成されている、射出成形機。
【請求項2】
前記金型は、射出材料が通過するランナと、前記ランナを加熱するヒータを含み、
前記第1部品は、前記金型、射出材料を加熱する加熱シリンダ、または、熱エネルギーを再利用可能であるように保持可能な蓄熱部材のうちのいずれかである、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記第2部品は、射出成形処理に用いられるサーボモータ、前記サーボモータに電力を供給するサーボアンプ、射出材料を前記金型へ注入する射出ノズルの位置を変化させる油圧装置、可塑化される前の射出材料を保持するホッパ、または、プロセッサを搭載した制御基板のうちのいずれかである、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記制御基板は、ノイズフィルタとして機能するリアクトルを含む、請求項3に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記金型の温度を調整する金型温調器と、
前記金型の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサと接続された制御基板とをさらに備え、
前記金型温調器は、
熱媒体を前記金型へ供給する供給管と、
熱媒体を前記金型から排出する排出管とを含み、
前記制御基板は、前記温度センサの検出値に基づいて前記金型の予熱期間であるか否かを判定し、
前記予熱期間である場合、前記第1部品として前記供給管を加熱し、
前記予熱期間ではない場合、前記第2部品として前記排出管から熱を吸熱する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項6】
射出材料の可塑化、および可塑化された射出材料を前記金型へ射出する射出装置と、
射出材料が射出された前記金型を型締する型締装置と、
前記射出装置および前記型締装置に含まれる構成を制御する制御ユニットとをさらに備え、
前記第1流体回路は、前記型締装置と前記射出装置との間、前記型締装置と前記制御ユニットとの間、および前記制御ユニットと前記射出装置との間のいずれかを接続する第1管を含み、
前記第1管は可撓性を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項7】
加熱対象であって、前記第1部品と異なる第3部品をさらに備え、
前記第1流体回路は、前記作動流体の循環により前記第3部品を加熱する第3熱交換器を含む、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項8】
吸熱対象であって、前記第2部品と異なる第4部品をさらに備え、
前記第1流体回路は、前記作動流体の循環により前記第4部品の熱を吸熱する第4熱交換器を含む、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項9】
作動流体が循環可能に構成されている第2流体回路と、
吸熱対象であって、前記第2部品と異なる第5部品とをさらに備え、
前記第2流体回路は、
前記第2部品を加熱する加熱部と、
前記第5部品を吸熱する吸熱部と、
前記加熱部において凝縮された前記作動流体を毛細管現象により前記吸熱部へと移動させる第1部材と、
前記吸熱部において蒸発した前記作動流体を前記加熱部へと移動させるための第1空間とを含み、
前記吸熱部、前記第1空間、前記加熱部および前記第1部材の順に前記作動流体が循環可能に構成されている、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項10】
射出材料を金型へと射出して成形品を成形する射出成形機であって、
加熱対象である第1部品と、
吸熱対象である第2部品と、
作動流体が循環可能に構成されている第2流体回路とを備え、
前記第2流体回路は、
前記第1部品を加熱する加熱部と、
前記第2部品を吸熱する吸熱部と、
前記加熱部において凝縮された前記作動流体を毛細管現象により前記吸熱部へと移動させる第1部材と、
前記吸熱部において蒸発した前記作動流体を前記加熱部へと移動させるための第1空間とを含み、
前記吸熱部、前記第1空間、前記加熱部および前記第1部材の順に前記作動流体が循環可能に構成されている、射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
工場において、プラスチックの樹脂等を基材とする成形品を成形するために射出成形機が用いられている。特許文献1(特開2011-005640号公報)には、金型の温度を調整するための金型温調器を備える射出成形機が記載されている。
【0003】
特許文献1の金型温調器は、熱媒体供給管および熱媒体戻り管の2つの管を介して金型と接続されている。熱媒体供給管は、金型温調器から金型へと水などの熱媒体を送るための管である。金型へと送られた熱媒体は、金型との間で熱交換をする。金型との間で熱交換をした熱媒体は、熱媒体戻り管を介して送液ポンプへと戻り、再利用される。また、特許文献1の射出成形機では、金型と熱交換をした後に熱媒体が有する熱エネルギーをホッパの予熱のために再利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-005640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、熱媒体を循環させることにより、金型の温度よりも低い温度を有するホッパへと金型の熱を伝熱させることが記載されている。特許文献1に記載されているような熱媒体の循環を用いた熱交換では、加熱シリンダなどの高温の部品に対して加熱を行う場合、加熱シリンダの温度よりもさらに高い温度の部品を熱源とする必要がある。すなわち、加熱対象となる加熱シリンダよりも低い温度の部品における発熱は、加熱シリンダを加熱するために用いることができず、廃熱として処理される。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、射出成形機内の部品の温度にかかわらず、発生した熱を再利用できる射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る射出成形機は、射出材料を金型へと射出して成形品を成形する射出成形機である。第1部品と、第2部品と、作動流体が循環可能に構成されている第1流体回路とを備える。第1流体回路は、圧縮機と、第1部品を加熱する第1熱交換器と、減圧装置と、第2部品の熱を吸熱する第2熱交換器とを含み、圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の順に作動流体が循環可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る射出成形機によれば、射出成形機内の部品の温度にかかわらず、発生した熱を再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】射出成形機の外観図である。
図2】実施の形態1における流体回路を説明するための図である。
図3】実施の形態2における流体回路を説明するための図である。
図4】実施の形態3における射出成形機の外観図である。
図5】実施の形態3における流体回路を説明するための第1図である。
図6】実施の形態3における流体回路を説明するための第2図である。
図7】実施の形態4における流体回路を説明するための図である。
図8】実施の形態5における流体回路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[実施の形態1]
<射出成形機の構成>
以下では、図1を用いて射出成形機100について説明する。図1は、射出成形機100の外観図である。本実施の形態における射出成形機100では、流体回路を用いて、所定の部品から発生した熱を吸熱し、吸熱した熱を加熱すべき部品へと伝熱させることによって廃熱を再利用する。以下では、吸熱の対象となる部品を「吸熱対象」と称し、加熱の対象となる部品を「加熱対象」と称する。図1を用いて、射出成形機100の構成を説明しつつ、吸熱対象および加熱対象について言及する。
【0012】
射出成形機100は、XY平面上に載置されている。XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。以下では、図1におけるZ軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。なお、図1に示される射出成形機100は横型の射出成形機として示されているが、本実施の形態の射出成形機100は横型に限られず、竪型の射出成形機であってもよい。
【0013】
射出成形機100によって実行される射出成形処理は、型閉工程、射出工程、保圧工程、型開工程、冷却工程、突出工程、および可塑化工程を含む。射出成形機100は、上記の射出成形処理のサイクルを繰り返し実行する。射出成形機100は、種々の形状、材質の成形品を成形可能であり、成形品の形状および材質の種類に応じた射出成形処理を行う。
【0014】
射出成形機100は、金型を型締めする型締装置10と、射出材料を溶融して射出する射出装置20と、操作盤30と、制御ユニット60とを備える。制御ユニット60は、ベッド11と基台21とを含む。型締装置10は、ベッド11のZ軸の正方向側に配置されている。射出装置20は、基台21のZ軸の正方向側に配置されている。型締装置10は、射出装置20に対して、X軸の負方向側に配置されている。
【0015】
<型締装置>
本実施の形態の型締装置10は、固定盤12と、型締ハウジング13と、可動盤14と、タイバー15と、型締機構16と、金型17,18と、ボールねじ19と、サーボモータ80C,80Dとを備える。型締ハウジング13および可動盤14の各々は、ベッド11上をX軸方向にスライド可能に構成されている。
【0016】
タイバー15は、固定盤12と型締ハウジング13との間に配置され、固定盤12と型締ハウジング13とを連結する。図1に示されるタイバー15は4本のバーを含む。なお、タイバー15が有するバーの数は、4本に限られず、たとえば5本以上であってもよい。
【0017】
可動盤14は、固定盤12と型締ハウジング13との間でX軸方向にスライド可能に構成される。型締機構16は、型締ハウジング13と可動盤14との間に設けられる。本実施の形態における型締ハウジング13は、トグル機構を含んで構成される。なお、型締機構16は、直圧式の型締機構を含んで構成されてもよい。直圧式の型締機構とは、すなわち型締シリンダを意味する。
【0018】
サーボモータ80Cは、型締ハウジング13内に設けられている。サーボモータ80Cは、ボールねじ19を介して型締機構16を駆動させる。ボールねじ19は、サーボモータ80Cからの回転運動を直線運動に変換して型締機構16を駆動させる。金型17,18は、固定盤12と可動盤14との間に設けられている。金型17,18は、型締機構16が駆動することにより開閉される。すなわち、金型17はボールねじ19によって可動する金型であり、金型18は固定盤12によって固定されている金型である。以下では、金型17を可動側の金型と称し、金型18を固定側の金型と称する場合がある。
【0019】
金型17,18とが離れている状態から密着する状態へと移行する工程を「型閉工程」と称する。また、金型17,18とが密着している状態から離れている状態へと移行する工程を「型開工程」と称する。サーボモータ80Cは、型閉工程および型開工程に用いられるモータである。
【0020】
射出成形機100は、型開工程の後に「突出工程」と称される工程を行う。突出工程は、金型17,18内に充填された後に固化された樹脂などの射出材料を金型17から取り外す工程である。具体的には、図示されないピンなどがサーボモータ80Dが回転により突出することによって、金型17に密着している成形品は取り外される。可動盤14内に設けられているサーボモータ80Dは、突出工程に用いられるモータである。金型17内部または金型17の近傍には、温度センサHs1が配置されている。温度センサHs1は、金型17の温度を測定する。射出成形機100では、温度センサHs1の検出値を用いて、金型17が後述する予熱期間中であるか否かを判断する。
【0021】
本実施の形態における金型18は、ランナRn1を加熱するヒータHt1とからなる、いわゆるホットランナと呼ばれる構造を有する。金型18は断熱構造を有する。射出成形機100では、固定側の金型18の内部におけるランナRn1が設定温度に保持される。ランナRn1の設定温度は、射出材料の材質等に応じて変更される。設定温度は、たとえば180℃~350℃である。ランナRn1がヒータHt1によって加熱されることで、ランナRn1内の溶融樹脂は冷却固化されず融解した状態が保持される。図1では、ヒータHt1が1つのヒータとして示されているが、ある局面においては、ランナRn1の周囲に複数のヒータが配置され得る。
【0022】
これにより、射出成形機100では、ランナRn1の形状で冷却固化された廃棄物が製造されてしまうことを抑制できる。このように、ホットランナの構造を有する金型18は、ランナRn1内の射出材料の温度を上昇させている。本実施の形態においては、ヒータHt1以外の熱源を用いてランナRn1の温度を上昇させることによって、ヒータHt1によって消費される電力を低減できる。本実施の形態においてランナRn1を有する金型18は加熱されるべき部品であり、加熱対象である。
【0023】
金型17には、金型温調器M1が接続されている。金型温調器M1は、供給管P1を介して、たとえば、水、オイルまたは空気などの熱媒体を金型17へと供給する。以下では、単に「熱媒体」と記載する場合、金型温調器M1において用いられる熱媒体を意味する。金型17の内部を通過した後の熱媒体は、排出管B1を介して金型温調器M1へと戻る。熱媒体は、金型温調器M1および金型17の間を循環する。
【0024】
このように、金型17と熱媒体との間で熱交換がされることよって金型17の温度は熱媒体の温度に近づくように調整される。金型温調器M1に用いられる熱媒体の温度は、たとえば、40℃~150℃である。射出成形処理を開始した直後または射出成形処理が実行されていない状態において、金型17の温度は、室温内の空気と熱交換するため室温に近い温度となる。一方で、射出成形処理が実行された後の状態において、上述したように180℃~350℃に昇温された射出材料がランナRn1を介して金型17へと注入されるため、金型17の温度は、射出成形処理が実行されていない場合よりも上昇する。
【0025】
金型温調器M1は、射出成形処理を開始した直後または射出成形処理が実行される前において金型17の予熱のために用いられる。以下では、金型17が射出材料の射出により温度が所定の温度に上昇するまでの期間を「予熱期間」と称する。上述したように、射出成形機100では、金型17近傍に設けられた温度センサHs1を用いて予熱期間か否かを判断する。より具体的には、温度センサHs1の検出値が予め定められた閾値より低い値である場合、射出成形機100は、金型17が予熱期間であると判定する。一方で、温度センサHs1の検出値が予め定められた閾値以上の値である場合、射出成形機100は、金型17が予熱期間ではないと判定する。予熱期間において、供給管P1内の熱媒体は金型17の温度を上昇させるために金型17へと供給される。すなわち、金型17の予熱の目的で金型温調器M1を駆動させる場合、熱媒体の温度は高いことが望ましいため、供給管P1は加熱対象となる。
【0026】
一方で、射出成形処理が実行されているときには熱媒体よりもさらに高温の射出材料が注入されるため、金型17の温度は、金型温調器M1の熱媒体の温度よりも上昇する。この場合、金型温調器M1の熱媒体は、金型17の温度が過昇温とならないように金型17の温度を低下させる目的で金型17へと供給される。金型17の過昇温防止の目的で金型温調器M1を駆動させる場合、金型17へと供給される熱媒体の温度は低いことが望ましい。高温の金型17との間で熱交換をした後に排出管B1を通過する熱媒体の温度を低下させれば、供給管P1へと戻る熱媒体の温度が低下することとなるため、排出管B1は吸熱対象となる。
【0027】
図1では、可動側の金型17にだけ金型温調器M1が熱媒体を供給し循環させている例が図示しているが、金型温調器M1は、可動側の金型17に加えて固定側の金型18にも熱媒体を供給して循環させてもよい。
【0028】
型締ハウジング13内には、蓄熱部材Sh1が格納されている。蓄熱部材Sh1は、熱エネルギーを再利用可能に保持することが可能な部材である。蓄熱部材Sh1は、潜熱蓄熱材が封入されることで構成されており、潜熱蓄熱材は、たとえばパラフィンなどで構成されている。なお、蓄熱部材Sh1は、断熱構造を有するレンガ、セラミックス、コンクリートなどの保温性の高い部材であってもよい。
【0029】
また、蓄熱部材Sh1の配置箇所は、型締ハウジング13内に限られず、制御ユニット60の内部または射出装置20の内部、もしくは型締ハウジング13、制御ユニット60および射出装置20と別体に設けられてもよい。蓄熱部材Sh1に熱を蓄熱させる場合、蓄熱部材Sh1は加熱対象となる。蓄熱部材Sh1が蓄熱する熱を他の構成へと伝熱させる場合、蓄熱部材Sh1は吸熱対象となる。すなわち、蓄熱部材Sh1は、加熱対象および吸熱対象の両方になり得る。
【0030】
<射出装置>
射出装置20は、加熱シリンダ22と、スクリュ23と、駆動機構24と、ホッパ25と、射出ノズル26と、ノズルタッチ装置27と、熱電対29A~29Cと、サーボモータ80A,80Bとを備える。
【0031】
スクリュ23は、加熱シリンダ22内に配置されている。射出成形機100は、スクリュ23を用いて「可塑化工程」と称される工程を行う。可塑化工程は、加熱シリンダ22による加熱とスクリュ23の回転とによって、射出する樹脂を混錬する工程である。加熱シリンダ22は、たとえば180℃~350℃の温度を有し、射出材料を融解する。本実施の形態においては、射出成形機100にて生じる廃熱を利用して加熱シリンダ22の温度を直接的または補助的に上昇させる。これにより、加熱シリンダ22のヒータにて消費される消費電力は低減する。加熱シリンダ22は加熱対象である。なお、射出ノズル26の近傍にノズルヒータが設けられている場合、当該ノズルヒータも加熱対象となり得る。
【0032】
駆動装置24内のサーボモータ80BはX軸方向を中心軸としてスクリュ23を回転させる。すなわち、サーボモータ80Bは可塑化工程に用いられるモータである。射出成形機100は「射出工程」と称される工程と「保圧工程」と称される工程とを行う。射出工程は、可塑化工程によって可塑化された樹脂を金型17,18内へと射出する工程である。保圧工程とは、射出工程によって射出された樹脂を金型17,18内に保持するために圧力を加える工程である。サーボモータ80Aの駆動によって、スクリュ23はX軸方向の負方向側にスライドする。これにより、可塑化された樹脂は金型17,18内へと射出される。サーボモータ80Aは射出工程または保圧工程に用いられるモータである。
【0033】
サーボモータ80A~80Dは駆動されることによって発熱する。サーボモータ80A~80Dの駆動によって発生する熱は、再利用されない場合、廃熱として空気中に放出されてしまう。そのため、本実施の形態の射出成形機100においては、サーボモータ80A~80Dから発生する熱を吸熱して、加熱対象へと伝熱させる。すなわち、サーボモータ80A~80Dは吸熱対象である。
【0034】
ホッパ25は、加熱シリンダ22のZ軸の正方向側に設けられており、可塑化前の射出材料を保持している。すなわち、ホッパ25内には、粒形状の射出材料が含まれている。射出成形処理が実行されている間において、ホッパ25の温度は40℃~60℃まで上昇する。さらに、加熱シリンダ22などからホッパ25へと熱が伝熱されてしまう場合、ホッパ25内の射出材料は意図せずに融解してしまう場合がある。ホッパ25内の射出材料が融解すると、ホッパ25内にて詰まりなどの不具合が生じ得る。本実施の形態では、このような射出材料の意図しない融解を抑制するため、ホッパ25の温度を低下させる。すなわち、ホッパ25は吸熱対象の部品である。
【0035】
射出ノズル26は、加熱シリンダ22のX軸の負方向側における端部に設けられている。ノズルタッチ装置27は、射出装置20をX軸方向にスライドさせて、射出ノズル26を金型18のスプルーブッシュに接触させる。熱電対29A~29Cは、射出ノズル26の近傍および加熱シリンダ22の近傍に配置され得る。熱電対29A~29Cは、配置された箇所の温度を検出する温度センサである。
【0036】
<制御ユニット>
上述したように、制御ユニット60は、ベッド11と基台21とを備える。ベッド11は、固定盤12、型締ハウジング13、可動盤14等を保持する。基台21は、ベッド11のX軸の正方向側に配置され、駆動機構24等を保持する。
【0037】
ベッド11は、内部に油圧装置Ou1を含む。油圧装置Ou1は、ノズルタッチ装置27をX軸方向において伸縮させ、射出ノズル26を金型18のスプルーブッシュに接触させる。ノズルタッチ装置27はシリンダを含み、当該シリンダに油圧装置Ou1からオイルが注入されることによって、射出ノズル26の位置はX軸方向において変化する。
【0038】
油圧装置Ou1は、切換バルブ、油圧ポンプ、タンク等の構成を含み、制御基板40によって制御される。油圧装置Ou1の温度は、オイルの圧力損失、ポンプの駆動などによって上昇する。射出成形処理が実行されている期間において、油圧装置Ou1はたとえば60℃まで上昇する。油圧装置Ou1において発生する熱は、再利用されない場合、廃熱として空気中に放出されてしまう。本実施の形態において油圧装置Ou1は吸熱対象とし、油圧装置Ou1にて発生する熱を再利用する。
【0039】
基台21は、内部に制御基板40と、サーボアンプ50A~50Dとを備える。以下では、サーボアンプ50A~50Dを総称して「サーボアンプ50」と称する。サーボアンプ50A~50Dは、サーボモータ80A~80Dに電力をそれぞれ供給する。より具体的には、サーボアンプ50A~50Dは、三相交流電圧を生成し、対応するサーボモータ80A~80Dに対して当該三相交流電力を供給する。射出成形処理が実行されている期間において、サーボアンプ50A~50Dは、100℃まで上昇し得る。サーボアンプ50A~50Dの熱は、再利用されない場合、廃熱として空気中に放出されてしまう。本実施の形態においてサーボアンプ50A~50Dを吸熱対象とし、サーボアンプ50A~50Dにて発生する熱を再利用する。
【0040】
制御基板40は、サーボアンプ50A~50Dおよび油圧装置Ou1を制御して、成形サイクルを実行する。制御基板40は、プロセッサ、メモリなどに加えてノイズフィルタとして機能するリアクトル40Rが含まれている。制御基板40は、プロセッサの駆動およびリアクトル40Rの電気抵抗などによって発熱する。本実施の形態では制御基板40を吸熱対象とし、制御基板40にて発生する熱を再利用する。
【0041】
<操作盤>
操作盤30は、射出成形機100に関連する情報を表示し、ユーザからの操作を受け付ける。操作盤30は、制御基板40と電気的に接続されている。図1の例では、操作盤30は、射出成形機100のY軸の負方向側に設けられている。ある局面では、操作盤30は、射出成形機100と別体として設けられてもよく、たとえば、射出成形機100が配置されている部屋と異なる部屋に配置されてもよい。
【0042】
操作盤30は、ディスプレイ31と入力装置32とを備える。入力装置32は、たとえば、複数のボタンを含んで構成される。ある局面では、ディスプレイ31および入力装置32がタッチパネルとして一体的に設けられてもよい。また、操作盤30は、マイクおよびスピーカを含み、音声を用いてユーザからの操作を受け付けてもよい。
【0043】
本実施の形態における射出成形機100では、作動流体を循環させる流体回路を備える。当該流体回路を用いて、射出成形機100は、吸熱対象の熱を加熱対象へと伝熱させることによって廃熱を再利用する。
【0044】
[実施の形態1における流体回路]
図2は、実施の形態1における流体回路を説明するための図である。図2に示されているように実施の形態1の射出成形機100は、流体回路としてヒートポンプ回路Cy1を有する。ヒートポンプ回路Cy1は、循環流路内の冷媒を循環させる冷凍サイクルである。ヒートポンプ回路Cy1には、作動流体として冷媒が封入されている。実施の形態1のヒートポンプ回路Cy1は、サーボモータ80Aの熱を吸熱し、吸熱した熱を加熱シリンダ22へ伝熱させる。なお、ヒートポンプ回路Cy1は、本開示における「第1流体回路」に対応し得る。
【0045】
ヒートポンプ回路Cy1は、圧縮機Cm1と、熱交換器Cd1と、減圧装置Dc1と、熱交換器Ev1とを備える。ヒートポンプ回路Cy1内の冷媒は、圧縮機Cm1、熱交換器Cd1、減圧装置Dc1、および熱交換器Ev1の順に循環する。実施の形態1において、熱交換器Cd1は、加熱シリンダ22と直接的または間接的な熱交換が可能な位置に配置されている。ヒートポンプ回路Cy1に含まれている各構成は、冷媒を通過させるホース、配管などによって接続されている。
【0046】
直接的を行う熱交換の場合、熱交換器Cd1は加熱シリンダ22と少なくとも一部が接触するように配置されている。すなわち、熱交換器Cd1は、熱伝導により加熱シリンダ22を加熱する。間接的な熱交換の場合、熱交換器Cd1は加熱シリンダ22の周囲の空気と熱交換を行うように配置されている。すなわち、熱交換器Cd1は、加熱シリンダ22の周囲の空気の温度を上昇させて補助的に加熱シリンダ22を加熱する。同様に、熱交換器Ev1もサーボモータ80Aと直接的または間接的な熱交換が可能な位置に配置されている。以下では、熱交換器Cd1および熱交換器Ev1は、加熱シリンダ22およびサーボモータ80Aと間接的な熱交換を行う位置にそれぞれ配置されている例を説明する。なお、熱交換器Cd1および熱交換器Ev1は、本開示における「第1熱交換器」および「第2熱交換器」にそれぞれ対応し得る。
【0047】
<ヒートポンプ回路における冷媒の流れ>
以下では、実施の形態1におけるヒートポンプ回路Cy1の構成の詳細について、冷媒が流れる順番で説明する。
【0048】
圧縮機Cm1は、ヒートポンプ回路Cy1内の冷媒を圧縮するように構成されている。圧縮機Cm1は、たとえば、圧縮容量が可変のインバーター圧縮機である。インバーター圧縮機は、回転数を制御可能に構成されている。具体的には、インバーター圧縮機は、制御基板40からの指示に基づいて駆動周波数が変更される。実施の形態1の例ではヒートポンプ回路Cy1は1つの圧縮機を備えるが、ある局面では複数の圧縮機が設けられてもよい。なお、圧縮機Cm1は圧縮容量が一定である定速圧縮機であってもよい。
【0049】
圧縮機Cm1から吐出された冷媒は、高温高圧の過熱ガス状となる。これにより、冷媒の温度は加熱シリンダ22の周囲の空気の温度よりも高くなる。方向Dは、圧縮機Cm1が冷媒を吐出する方向を示す。以下では、ヒートポンプ回路Cy1において、任意の位置から冷媒が流れて行く方向を「下流」と称し、「下流」の逆側であって冷媒が流れ込んでくる方向を「上流」と称する。たとえば、圧縮機Cm1は、熱交換器Cd1の上流に配置されており、熱交換器Cd1は、圧縮機Cm1の下流に配置されている。
【0050】
圧縮機Cm1から吐出された冷媒は、熱交換器Cd1へと流れ込む。熱交換器Cd1は、凝縮器として機能し、過熱ガス状の冷媒を凝縮させる。加熱シリンダ22の周囲に配置された図示されない送風機が生じさせる強制対流により、熱交換器Cd1を通過する冷媒は、加熱シリンダ22の周囲の空気との間で熱交換をする。これにより、加熱シリンダ22の周囲の空気は、熱交換器Cd1によって加熱される。すなわち、加熱シリンダ22は、熱交換器Cd1によって補助的に加熱される。なお、熱交換器Cd1を通過する冷媒の温度が加熱シリンダ22よりも高い場合、上述したように熱交換器Cd1は加熱シリンダ22との間で直接的に熱交換を行ってもよい。
【0051】
熱交換器Cd1と加熱シリンダ22との間における熱交換によって凝縮された液冷媒は、熱交換器Cd1から減圧装置Dc1へと流れ込む。減圧装置Dc1は、液冷媒を膨張させる。減圧装置Dc1によって膨張された冷媒は、低温低圧の気液二相状態となる。減圧装置Dc1は、たとえば、膨張弁である。
【0052】
熱交換器Ev1は、蒸発器として機能する。熱交換器Ev1は、低温低圧の気液二相状態の冷媒を蒸発させる。これにより、冷媒の温度はサーボモータ80Aの周囲の空気の温度よりも低くなる。サーボモータ80Aの周囲に配置された図示されない送風機が生じさせる強制対流により、熱交換器Ev1を通過する冷媒は、サーボモータ80Aの周囲の空気との間で熱交換をする。これにより、サーボモータ80Aの周囲の空気は、熱交換器Ev1によって冷却される。すなわち、サーボモータ80Aは、熱交換器Ev1によって補助的に冷却される。なお、熱交換器Ev1を通過する冷媒の温度がサーボモータ80Aの温度よりも低い場合、上述したように熱交換器Ev1はサーボモータ80Aとの間で直接的に熱交換を行ってもよい。
【0053】
熱交換器Ev1により蒸発された冷媒は、低圧の過熱ガス状態となる。低圧の過熱ガス状態の冷媒は、圧縮機Cm1へと戻り、再度圧縮された後に熱交換器Cd1へと吐出され、加熱シリンダ22を補助的に加熱する。すなわち、サーボモータ80Aから吸熱した熱は、冷媒の循環によって加熱シリンダ22の加熱に用いられる。このように、ヒートポンプ回路Cy1では、サーボモータ80Aにて発生した熱を再利用するために、冷媒が循環する循環流路が形成されている。
【0054】
これにより、サーボモータ80Aにて発生した熱を加熱シリンダ22の加熱のために再利用できる。なお、実施の形態1において、加熱シリンダ22を加熱対象とし、サーボモータ80Aを吸熱対象とする例を説明したが、加熱対象は図1にて説明した他の部品であってもよく、また、吸熱対象も図1にて説明した他の部品であってもよい。
【0055】
[実施の形態2における流体回路]
実施の形態1では、1つの加熱対象と1つの吸熱対象とを有するヒートポンプ回路Cy1について説明した。しかしながら、ヒートポンプ回路Cy1によって加熱、吸熱される対象は1つに限られず複数であってもよい。実施の形態2においては、複数の加熱対象への加熱および複数の吸熱対象への吸熱を行うヒートポンプ回路Cy2について説明する。なお、実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成について説明を繰り返さない。
【0056】
図3は、実施の形態2における流体回路を説明するための図である。図3には、射出成形処理が実行されているときのヒートポンプ回路Cy2が図示されている。実施の形態2におけるヒートポンプ回路Cy2は、凝縮器として機能する熱交換器Cd1に加えて、同様に凝縮器として機能する熱交換器Cd2,Cd3,Cd4を有する。また、実施の形態2におけるヒートポンプ回路Cy2は、蒸発器として機能する熱交換器Ev1に加えて、同様に蒸発器として機能する熱交換器Ev2~熱交換器Ev9を有する。
【0057】
ヒートポンプ回路Cy2内の冷媒は、圧縮機Cm1、熱交換器Cd1~Cd3、減圧装置Dc1を通過した後に、並列に接続された熱交換器Ev2~Ev9へと流入して、循環する。熱交換器Cd4には、予熱期間において冷媒が流れ込む。また、熱交換器Ev1には、予熱期間でない期間において冷媒が流れ込む。これにより、射出成形機100では、予熱期間には供給管P1を加熱し、予熱期間ではない期間には排出管B1の熱を吸熱することができる。供給管P1と排出管B1とについては後述にて説明する。
【0058】
熱交換器Cd2および熱交換器Cd3は、ホットランナを有する金型18、蓄熱部材Sh1と直接的または間接的な熱交換が可能な位置にそれぞれ配置されている。また、熱交換器Ev2~熱交換器Ev9は、サーボモータ80C、サーボモータ80D、油圧装置Ou1、制御基板40、サーボモータ80B、サーボモータ80A、ホッパ25、サーボアンプ50と直接的または間接的な熱交換が可能な位置にそれぞれ配置されている。実施の形態2の熱交換器Ev1は、実施の形態1の熱交換器Ev1と異なり、排出管B1と直接的または間接的な熱交換が可能な位置に配置されている。
【0059】
このように、ヒートポンプ回路Cy2では、凝縮器として機能する複数の熱交換器と、蒸発器として機能する複数の熱交換器とを有することによって、複数の加熱対象への加熱と、複数の吸熱対象への吸熱を行う。すなわち、実施の形態2では、1つのヒートポンプ回路Cy2によって、複数の対象の加熱および吸熱を行う。
【0060】
図3に示されているように、凝縮器として機能する熱交換器Cd1~Cd3は、ヒートポンプ回路Cy2上に直列に接続されている。熱交換器Cd1~Cd3は、加熱対象の加熱の負荷が大きい順番で圧縮機Cm1からヒートポンプ回路Cy2上に接続されている。
【0061】
加熱シリンダ22の温度は蓄熱部材Sh1の温度よりも高い。加熱シリンダ22の加熱対象となる面積は、ホットランナを有する金型18の加熱対象となる面積よりも大きい。このため、加熱シリンダ22を加熱する負荷は、蓄熱部材Sh1および金型18を加熱する負荷よりも大きい。また、ホットランナを有する金型18の温度は、蓄熱部材Sh1よりも高い。このため、金型18を加熱する負荷は、蓄熱部材Sh1を加熱する負荷よりも大きい。すなわち、加熱シリンダ22、金型18、および蓄熱部材Sh1の加熱負荷のうち、加熱シリンダ22の加熱負荷が最も大きく、蓄熱部材Sh1の加熱負荷が最も小さい。図3に示されるように、ヒートポンプ回路Cy2には、加熱負荷が大きい順番で熱交換器が接続されているため、実施の形態2の射出成形機100では、加熱負荷が高い対象から順番に効率的な加熱を行うことができる。
【0062】
なお、凝縮器として機能する熱交換器Cd1~Cd3は、蒸発器として機能する熱交換器と同様にヒートポンプ回路Cy2上に並列に配置されてもよい。また、蒸発器として機能する熱交換器Ev1~Ev9は、凝縮器として機能する熱交換器と同様にヒートポンプ回路Cy2上に、吸熱負荷に応じて直列に配置されてもよい。なお、熱交換器Cd2および熱交換器Ev3は、本開示における「第3熱交換器」に対応し得る。また、熱交換器Ev2~Ev9の各々は、「第4熱交換器」に対応し得る。
【0063】
このように、実施の形態2においても、圧縮機Cm1と減圧装置Dc1とを含む1つのヒートポンプ回路Cy2が設けられることによって、吸熱対象の熱を吸熱し、吸熱した熱を用いて加熱対象を加熱できる。すなわち、射出成形機100内の部品の温度にかかわらず、発生した熱を再利用できる。また、実施の形態2においては、凝縮器として機能する複数の熱交換器と、蒸発器として機能する複数の熱交換器とを含むことによって、1つのヒートポンプ回路Cy2によって複数の対象の加熱および吸熱を行うことができる。
【0064】
<配管について>
図3において、ヒートポンプ回路Cy2に接続されている各構成が制御ユニット60、型締装置10、および射出装置20のいずれに配置されているかが破線によって示されている。型締装置10には、熱交換器Cd2、熱交換器Cd3、熱交換器Cd4、減圧装置Dc1、熱交換器Ev1、熱交換器Ev2、熱交換器Ev3が含まれている。制御ユニット60には、熱交換器Ev4、熱交換器Ev5、熱交換器Ev9、および圧縮機Cm1が含まれている。射出装置20には、熱交換器Ev6、熱交換器Ev7、熱交換器Ev8、および熱交換器Cd1が含まれている。
【0065】
配管Wr1~Wr5は、型締装置10と射出装置20と制御ユニット60とのうちのいずれか2つの構成を接続するための配管である。配管Wr1は、制御ユニット60に含まれる圧縮機Cm1と、射出装置20に含まれる熱交換器Cd1とを接続する。配管Wr2は、射出装置20に含まれる熱交換器Cd1と、型締装置10に含まれる熱交換器Cd2とを接続する。
【0066】
配管Wr3,Wr4,Wr5の各々は、蒸発器として機能する熱交換器Ev1~Ev9に流入する前の冷媒を通過させる配管と、蒸発器として機能する熱交換器Ev1~Ev9に流入した後の冷媒を通過させる配管とを含む。配管Wr3は、型締装置10に含まれる熱交換器Ev3と、制御ユニット60に含まれる熱交換器Ev4との間の配管である。配管Wr4は、制御ユニット60に含まれる熱交換器Ev5と、射出装置20に含まれる熱交換器Ev6との間の配管である。配管Wr5は、射出装置20に含まれる熱交換器Ev8と、制御ユニット60に含まれる熱交換器Ev9との間の配管である。
【0067】
実施の形態2において、型締装置10と射出装置20と制御ユニット60とのうちのいずれか2つの構成を接続する配管Wr1~Wr5の各々は可撓性を有する。たとえば、配管Wr1~Wr5は冷媒ホースである。これにより、実施の形態2では、型締装置10と射出装置20と制御ユニット60とのうちのいずれか2つの構成を接続する配管Wr1~Wr5が可撓性を有する配管を用いることによってヒートポンプ回路Cy2を容易に設置することができる。配管Wr1~Wr5は、本開示における「第1管」に対応し得る。
【0068】
<予熱期間>
上述したように予熱期間において金型温調器M1を駆動させる場合、熱媒体の温度は高いことが望ましいため、供給管P1は加熱対象となる。また、予熱期間ではない期間において金型温調器M1を駆動させる場合、熱媒体の温度は低いことが望ましいため、排出管B1は吸熱対象となる。以下では、予熱期間および予熱期間ではない期間における制御の一例を説明する。
【0069】
温度センサHs1と接続されている制御基板40は、温度センサHs1の検出値に基づいて、切換装置Sw1,Sw2を切り換える。切換装置Sw1,Sw2は、冷媒が通過可能な開放状態と、冷媒が通過できない閉鎖状態とに流路の状態を切り換える。温度センサHs1の検出値が予め定められた閾値より低い場合、制御基板40は、予熱期間であるとして、切換装置Sw1を切り換えて流路を開放状態にし、切換装置Sw2を切り換えて流路を閉鎖状態にする。
【0070】
温度センサHs1の検出値が予め定められた閾値以上である場合、制御基板40は、予熱期間ではないとして、切換装置Sw1を切り換えて流路を閉鎖状態にし、切換装置Sw2を切り換えて流路を開放状態にする。これにより、予熱期間には供給管P1が加熱され、予熱期間ではない期間には排出管B1の熱が吸熱される。
【0071】
なお、予熱期間においては、サーボモータ80A~80Dなどの構成が十分な温度を有していない場合が考えられる。そのため、ある局面において、実施の形態2のヒートポンプ回路Cy2は、吸熱用の熱交換器をさらに備え、当該吸熱用の熱交換器は、射出成形機100以外の外部の熱を有する構成または蓄熱部材Sh1から熱を吸熱してもよい。これにより、実施に形態2の射出成形機100では、予熱期間においても供給管P1を加熱することができる。
【0072】
[実施の形態3]
以下では、図4~6を用いて実施の形態3における射出成形機100Aについて説明する。図4は、実施の形態3における射出成形機100Aの外観図である。なお、実施の形態3において、実施の形態1,2と同様の構成について説明を繰り返さない。
【0073】
実施の形態3では、サーボアンプ50A~50Dの配置が異なる。サーボアンプ50A,50Bは、基台21内ではなく射出装置20の駆動装置24内に配置されている。また、サーボアンプ50Cは、型締ハウジング13内に配置されている。サーボアンプ50Dは、可動盤14に配置されている。
【0074】
実施の形態3では、実施の形態1,2と異なり、2つのヒートポンプ回路を備える。図5は、実施の形態3における流体回路を説明するための第1図である。図5には、型締装置10に含まれる構成だけを接続するヒートポンプ回路Cy1Aが示されている。図6は、実施の形態3における流体回路を説明するための第2図である。図6には、射出装置20に含まれる構成だけを接続するヒートポンプ回路Cy1Bが示されている。
【0075】
図5に示されるように、ヒートポンプ回路Cy1A内の冷媒は、圧縮機Cm1A、熱交換器Cd1A、熱交換器Cd2Aを通過した後に、減圧装置Dc1Aを介して、並列に接続された熱交換器Ev1A、熱交換器Ev2A~熱交換器Ev5Aへと流入して、循環する。
【0076】
熱交換器Cd1Aおよび熱交換器Cd2Aは、ホットランナを有する金型18、蓄熱部材Sh1と直接的または間接的な熱交換が可能な位置にそれぞれ配置されている。また、熱交換器Ev1Aは、サーボモータ80Cと直接的または間接的な熱交換が可能な位置に配置されている。熱交換器Ev2A~熱交換器Ev5Aは、サーボモータ80D、サーボアンプ50C、サーボアンプ50D、排出管B1と直接的または間接的な熱交換が可能な位置にそれぞれ配置されている。
【0077】
図6に示されるように、ヒートポンプ回路Cy1B内の冷媒は、圧縮機Cm1B、熱交換器Cd1Bを通過した後に、減圧装置Dc1Bを介して、並列に接続された熱交換器Ev1B~熱交換器Ev5Bへと流入して循環する。
【0078】
熱交換器Cd1Bは、加熱シリンダ22と直接的または間接的な熱交換が可能な位置に配置されている。また、熱交換器Ev1B~熱交換器Ev5Bは、サーボモータ80A、サーボモータ80B、サーボアンプ50A、サーボアンプ50B、ホッパ25と直接的または間接的な熱交換が可能な位置にそれぞれ配置されている。
【0079】
このように、実施の形態3においては、型締装置10内において1つのヒートポンプ回路Cy1Aが設けられており、射出装置20内において1つのヒートポンプ回路Cy1Bが設けられている。これにより、実施の形態3では、各ヒートポンプ回路Cy1A,Cy1Bのメンテナンス時または修理時において、型締装置10および射出装置20ごとにメンテナンスまたは修理を行うことが可能となり、作業負担を軽減できる。
【0080】
[実施の形態4における流体回路]
実施の形態1では、圧縮機Cm1と減圧装置Dc1とを有するヒートポンプ回路Cy1について説明した。しかしながら、流体回路はヒートポンプ回路に限られず他の種類の流体回路であってもよい。実施の形態4においては、ヒートポンプ回路ではなくヒートパイプを用いて熱交換を促す構成について説明する。なお、実施の形態4において、実施の形態1と同様の構成について説明を繰り返さない。
【0081】
図7は、実施の形態4における流体回路を説明するための図である。図7に示されているように実施の形態4の射出成形機100は、流体回路として、吸熱部Gc1と加熱部Gh1とを有するヒートパイプ回路Cy3を備える。ヒートパイプ回路Cy3は、サーボモータ80Aと蓄熱部材Sh1とを熱的に接続している。ヒートパイプ回路Cy3の吸熱部Gc1は、サーボモータ80Aと熱交換可能である位置に配置されている。ヒートパイプ回路Cy3の加熱部Gh1は、蓄熱部材Sh1と熱交換可能である位置に配置されている。なお、実施の形態4におけるヒートパイプ回路Cy3は、本開示における「第2流体回路」に対応し得る。
【0082】
より具体的には、ヒートパイプ回路Cy3には、作動流体として純水などの液体が封入されている。ヒートパイプ90内の液体は、サーボモータ80Aからの熱により蒸発する。すなわち、ヒートパイプ回路Cy3内の液体は、サーボモータ80Aから蒸発潜熱を吸収し、サーボモータ80Aを冷却する。吸熱部Gc1において、ヒートパイプ回路Cy3内の液体は蒸発した後、空間Vc1を通過して加熱部Gh1側に移動する。空間Vc1は、減圧された空間または真空の空間である。空間Vc1は、本開示における「第1空間」に対応し得る。
【0083】
加熱部Gh1側に移動したヒートパイプ回路Cy3内の液体は、蓄熱部材Sh1に蒸発潜熱を放出し凝縮する。ヒートパイプ回路Cy3の毛細管構造(ウイック)を含む内壁Cp1を有する。内壁Cp1は、本開示における「第1部材」に対応し得る。凝縮したヒートパイプ回路Cy3内の液体は、毛細管構造を有する内壁Cp1により、吸熱部Gc1側に戻る。
【0084】
このように、サーボモータ80Aと蓄熱部材Sh1とは、ヒートパイプ回路Cy3により熱的に接続されている。これにより、実施の形態4の射出成形機100では、金型18を通過した熱媒体によって高温となったサーボモータ80Aを冷却できるとともに、蓄熱部材Sh1を加熱することができる。
【0085】
[実施の形態5における流体回路]
実施の形態1では、圧縮機Cm1と減圧装置Dc1とを含むヒートポンプ回路Cy1を有する構成について説明し、実施の形態4では、ヒートパイプ回路Cy3を有する構成について説明した。実施の形態5においては、ヒートポンプ回路、ヒートパイプ回路の両方有する構成について説明する。なお、実施の形態5において、実施の形態1~4と同様の構成について説明を繰り返さない。
【0086】
図8は、実施の形態5における流体回路を説明するための図である。図8に示されているように実施の形態5の射出成形機100は、流体回路として、ヒートポンプ回路Cy1と、複数のヒートパイプ回路を備える。図8には、複数のヒートパイプ回路の一例としてヒートパイプ回路Cy3A,Cy3Bとが示されている。
【0087】
実施の形態5における構成では、ヒートパイプ回路Cy3A,Cy3Bは、サーボモータ80A,80Bの熱を吸熱して蓄熱部材Sh1を加熱する。なお、図8の例では、複数のヒートパイプ回路の一例として、ヒートパイプ回路Cy3A,Cy3Bの2つのヒートパイプ回路だけが示されているが、3つ以上のヒートパイプ回路が設けられてもよい。このように、図8の例では、複数のヒートパイプ回路によって吸熱対象となる部品から吸熱した熱を用いて、蓄熱部材Sh1は加熱される。
【0088】
さらに、実施の形態5では、ヒートポンプ回路Cy1における圧縮機Cm1の駆動によって、蓄熱部材Sh1の熱が用いられて、加熱シリンダ22は加熱される。このように、実施の形態5の例では、ヒートパイプ回路とヒートポンプ回路との両方を用いて加熱シリンダ22が加熱されている。これにより、実施の形態5における射出成形機100では、吸熱用の熱交換器が複数設けられなくとも、複数の構成の熱を吸熱して、加熱対象となる構成を加熱できる。すなわち、実施の形態5における射出成形機100では、高価な熱交換器の数を少なくすることができ、ヒートポンプ回路Cy1を構成するためのコストを低減することができる。さらに、ヒートポンプ回路Cy1に接続される熱交換器の数が少なくなることから、冷媒を循環させるために必要となる圧縮機Cm1の消費電力は低減する。すなわち、実施の形態5の射出成形機100では、ヒートポンプ回路Cy1内で冷媒を循環させるために必要となる電力を低減させることができる。
【0089】
[付記]
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0090】
(第1項) 本開示における射出成形機は、射出材料を金型へと射出して成形品を成形する射出成形機であって、加熱対象である第1部品と、吸熱対象である第2部品と、作動流体が循環可能に構成されている第1流体回路とを備える。第1流体回路は、圧縮機と、第1部品を加熱する第1熱交換器と、減圧装置と、第2部品の熱を吸熱する第2熱交換器とを含み、圧縮機、第1熱交換器、減圧装置、および第2熱交換器の順に作動流体が循環可能に構成されている。
【0091】
第1項に記載の射出成形機100によれば、射出成形機100内の部品の温度にかかわらず、発生した熱を再利用できる。
【0092】
(第2項) 第1項に係る金型は、射出材料が通過するランナと、ランナを加熱するヒータを含み、第1部品は、金型、射出材料を加熱する加熱シリンダ、または、熱エネルギーを再利用可能であるように保持可能な蓄熱部材のうちのいずれかである。
【0093】
第2項に記載の射出成形機100によれば、加熱すべき部品に対して加熱することができる。
【0094】
(第3項) 第1項または第2項に係る第2部品は、射出成形処理に用いられるサーボモータ、サーボモータに電力を供給するサーボアンプ、射出材料を金型へ注入する射出ノズルの位置を変化させる油圧装置、可塑化される前の射出材料を保持するホッパ、または、プロセッサを搭載した制御基板のうちのいずれかである。
【0095】
第3項に記載の射出成形機100によれば、廃熱として処理されていた熱を吸熱することができる。
【0096】
(第4項) 第3項に係る制御基板は、ノイズフィルタとして機能するリアクトルを含む。
【0097】
第4項に記載の射出成形機100によれば、リアクトルによる発熱を吸熱し、再利用できる。
【0098】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項に係る射出成形機は、金型の温度を調整する金型温調器と、金型の温度を検出する温度センサと、温度センサと接続された制御基板とをさらに備える。金型温調器は、熱媒体を金型へ供給する供給管と、熱媒体を金型から排出する排出管とを含み、制御基板は、温度センサの検出値に基づいて金型の予熱期間であるか否かを判定し、予熱期間である場合、第1部品として供給管を加熱し、予熱期間ではない場合、第2部品として排出管から熱を吸熱する。
【0099】
第5項に記載の射出成形機100によれば、金型温調器を加熱対象または吸熱対象にすることができる。
【0100】
(第6項) 第1項~第5項のいずれか1項に係る射出成形機は、射出材料の可塑化、および可塑化された射出材料を金型へ射出する射出装置と、射出材料が射出された金型を型締する型締装置と、射出装置および型締装置に含まれる構成を制御する制御ユニットとをさらに備える。第1流体回路は、型締装置と射出装置との間、型締装置と制御ユニットとの間、および制御ユニットと射出装置との間のいずれかを接続する第1管を含み、第1管は可撓性を有する。
【0101】
第6項に記載の射出成形機100によれば、各装置、ユニット間の構成を接続するヒートポンプ回路Cy1であっても容易に設置することができる。
【0102】
(第7項) 第1項に係る射出成形機は、加熱対象であって、第1部品と異なる第3部品をさらに備え、第1流体回路は、作動流体の循環により第3部品を加熱する第3熱交換器を含む。
【0103】
第7項に記載の射出成形機100によれば、複数の部品を加熱することができる。
(第8項) 第1項に係る射出成形機は、吸熱対象であって、第2部品と異なる第4部品をさらに備え、第1流体回路は、作動流体の循環により第4部品の熱を吸熱する第4熱交換器を含む。
【0104】
第8項に記載の射出成形機100によれば、複数の部品の熱を吸熱することができる。
(第9項) 第1項~第8項のいずれか1項に係る射出成形機は、作動流体が循環可能に構成されている第2流体回路と、吸熱対象であって第2部品と異なる第5部品とをさらに備える。第2流体回路は、第2部品を加熱する加熱部と、第5部品を吸熱する吸熱部と、加熱部において凝縮された作動流体を毛細管現象により吸熱部へと移動させる第1部材と、吸熱部において蒸発した作動流体を加熱部へと移動させるための第1空間とを含み、吸熱部、第1空間、加熱部および第1部材の順に作動流体が循環可能に構成されている。
【0105】
第9項に記載の射出成形機100によれば、設けられる熱交換器の数を少なくすることができ、コストを低減することができる。さらに、熱交換器の数が少なくなることから圧縮機Cm1の消費電力も低減することができる。
【0106】
(第10項) 他の態様の射出成形機100は、射出材料を金型17,18へと射出して成形品を成形する射出成形機100である。射出成形機100は、加熱対象となる部品と、吸熱対象となる部品と、作動流体が循環可能に構成されているヒートパイプ回路Cy3とを備える。ヒートパイプ回路Cy3は、加熱対象となる部品を加熱する加熱部Gh1と、吸熱対象となる部品を吸熱する吸熱部Gc1と、加熱部Gh1において凝縮された作動流体を毛細管現象により吸熱部Gc1へと移動させる内壁Cp1と、吸熱部Gc1において蒸発した作動流体を加熱部Gh1へと移動させるための空間Vc1とを含み、吸熱部Gc1、空間Vc1、加熱部Gh1および内壁Cp1の順に作動流体が循環可能に構成されている。
【0107】
第10項に記載の射出成形機100によれば、ヒートパイプ回路を用いた熱交換をすることができる。
【符号の説明】
【0108】
10 型締装置、11 ベッド、12 固定盤、13 型締ハウジング、14 可動盤、15 タイバー、16 型締機構、17,18 金型、19 ボールねじ、20 射出装置、21 基台、22 加熱シリンダ、23 スクリュ、24 駆動機構、25 ホッパ、26 射出ノズル、27 ノズルタッチ装置、29A~29C 熱電対、30 操作盤、31 ディスプレイ、32 入力装置、40 制御基板、40R リアクトル、50,50A~50D サーボアンプ、60 制御ユニット、80A~80D サーボモータ、100,100A 射出成形機、B1 排出管、Cd1~Cd3,Cd1A~Cd2A,Cd1B,Ev1~Ev9,Ev1A~Ev5A,Ev1B~Ev5B 熱交換器、Cm1,Cm1A,Cm1B 圧縮機、Cp1 内壁、Cy1A,Cy1B,Cy1,Cy2 ヒートポンプ回路、Cy3 ヒートパイプ回路、D 方向、Dc1 減圧装置、Gc1 吸熱部、Gh1 加熱部、Ht1 ヒータ、Hs1 温度センサ、M1 金型温調器、Ou1 油圧装置、P1 供給管、Rn1 ランナ、Sh1 蓄熱部材、Vc1 空間、Wr1~Wr5 配管。
図1
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