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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057832
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】包装箱、及び包装箱の組立方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20240418BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20240418BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B65D5/54 301B
B65D5/02 F
B65D5/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164772
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】清水 らな
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 雅子
(72)【発明者】
【氏名】宮下 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】菅野 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅史
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA06
3E060BB03
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA15
3E060DA16
3E060EA06
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】購入時の美観を維持した状態で包装箱を再利用することができる包装箱、及び包装箱の組立方法を提供する。
【解決手段】本発明は、未開封状態において、第2蓋片(5)、被固定片(4)、第1蓋片(3)の順に重なり、第1蓋片(3)の未断裂の一対のミシン目(34)の外側が被固定片(4)に接着されることにより上側開口部(OP1)が閉塞され、開封状態において、一対のミシン目(34)が断裂されて連結状態が解除された被固定片(4)及び第1蓋片(3)が相互に重なり、さらにその上に第2蓋片(5)が重なり、差込片(54)が胴部(1)の内側に差し込まれることによって上側開口部(OP1)が閉塞される構成となっている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1面及び第2面と、前記第1面と前記第2面との間において対向する第3面及び第4面と、を含む複数の面が連なって形成され、上端部に開口部を有する有底筒状に形成された胴部と、
前記開口部において前記第1面から延設され、前記第2面側へ折り曲げられる被固定片と、
前記開口部において前記第2面から延設され、前記第1面側へ折り曲げられる第1蓋片と、
前記開口部において前記第3面から延設され、前記第4面側へ折り曲げられ、前記開口部に対応する平面形状をもって前記開口部を閉塞可能な蓋部を有し、前記蓋部の先端縁から延設された差込片が折り曲げられて前記胴部の前記第4面の内側に差し込まれる第2蓋片と、
を備え、
前記第2蓋片は、前記第1面側の端縁に設けられた凸状の把持部と、前記把持部の基端部両側から前記第2面側へ向かって形成された一対のミシン目と、を有し、
未開封状態において、前記第2蓋片の上に前記被固定片が重なり、前記被固定片の上に前記第1蓋片が重なり、前記第1蓋片の未断裂の前記一対のミシン目の外側が前記被固定片に接着されることにより、前記開口部が閉塞され、
開封状態において、前記一対のミシン目が断裂されることによって連結状態が解除された前記被固定片及び前記第1蓋片が相互に重なり、さらにその上に前記第2蓋片が重なり、前記差込片が前記胴部の前記第4面の内側に差し込まれることにより、前記開口部が閉塞される、
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記第2蓋片における前記差込片の前記第3面側の端縁の一部に切り込み部が設けられていて、
前記切り込み部により、前記差込片の前記第3面側の端縁に、前記第2蓋片における前記差込片の折り曲げ状態において前記第4面側へ突出し、かつ前記開口部における前記第4面の端縁に係止可能な突出片が形成されている、
ことを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記胴部の側面視において前記第2面側から見たとき、前記第1蓋片と接続される前記第2面の端縁が、下方へ凹む円弧状に形成されている、
ことを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項3に記載の包装箱であって、
前記第2面の端縁における前記円弧の頂点が、前記第2面の幅方向の一方側に偏移している、
ことを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項4に記載の包装箱であって、
前記開口部は、前記第1面及び前記第2面と、前記第3面及び前記第4面とによって構成され、平面視が四角形を呈し、
前記胴部は、前記第1面及び前記第2面と、前記第3面及び前記第4面とがそれぞれ非直角に連なることによって前記開口部が平面視において平行四辺形状となるとき、
前記第2面の端縁における前記円弧の頂点は、前記第2面の幅方向において前記第3面側又は前記第4面側に偏移して設けられ、
前記第1蓋片は、前記第2面の幅方向において、前記円弧の頂点とは異なる側に傾くように折れ曲がる、
ことを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記第2蓋片は、前記開口部を閉塞する内側面に、内容物に係る情報が記載された情報記載部を有する、
ことを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項1に記載の包装箱の組立方法であって、
前記胴部を形成する第1工程と、
前記第2蓋片を前記第4面側へ折り曲げ、前記差込片を前記第4面の内側に差し込む第2工程と、
前記被固定片を前記第2面側へ折り曲げる第3工程と、
前記被固定片の前記第1蓋片と重なり合う面に上方から接着剤を塗布した後、前記第1蓋片を前記第1面側へ折り曲げて前記第1蓋片を前記被固定片の表面に接着する第4工程と、
を含むことを特徴とする包装箱の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品などバージン性を要する商品の包装箱に適用され、不可逆的な開封を担保しながら、開封後も良好な美観を維持して再利用可能な包装箱、及び包装箱の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の包装箱の一例として、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この包装箱は、上端部に開口部を有する矩形筒状の胴部と、胴部の開口部において対向して折り曲げられる係止フラップ及び蓋部と、を有する。係止フラップは、蓋部側に向けて折り曲げられ、基端部の中央位置に差込口を有する。蓋部は、係止フラップ側に向けて折り曲げられ、先端部に係止フラップの差込口に差し込まれて係止可能な差込片を有する。また、蓋部の先端部には、差込片が差込口に係止した状態で差込片の基端部に設けられた切込みによって形成される開封ハンドル部が設けられると共に、開封ハンドル部の両端部から蓋部の基端部側に向かって延びる一対のミシン目が形成されている。
【0004】
かかる包装箱では、商品を胴部の内部に収容し、蓋部が係止フラップの上に重なるように折り曲げられ、かつ差込片が差込口に係止した状態で商品を包装する。そして、当該包装箱は、開封ハンドル部を上方へ引き上げてミシン目に沿って蓋部を断裂させることによって開封される。このように、当該包装箱は、差込片やミシン目に傷跡を残さずに差込片を差込口から引き抜くことを困難にすることにより、蓋部を接着することなくバージン性を担保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3235080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の包装箱の開封に際しては、前記差込片の変形や、前記ミシン目の断裂を伴う。このため、開封後に包装箱を再利用する場合には、断裂したミシン目が露出し、また、変形した差込片を再度差込口に差し込んで蓋部を閉塞することとなる。このように、開封後に包装箱を再利用する際には購入時と比べて包装箱の美観が低下してしまい、購入時の美観を維持した状態で包装箱を再利用することが困難である点で、改善の余地が残されていた。
【0007】
そこで、本発明は、前記従来の包装箱の技術的課題に鑑みて案出されたものであり、購入時の美観を維持した状態で包装箱を再利用することができる包装箱、及び包装箱の組立方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装箱は、その一態様として、対向する第1面及び第2面と、前記第1面と前記第2面との間において対向する第3面及び第4面と、を含む複数の面が連なって形成され、上端部に開口部を有する有底筒状に形成された胴部と、前記開口部において前記第1面から延設され、前記第2面側へ折り曲げられる被固定片と、前記開口部において前記第2面から延設され、前記第1面側へ折り曲げられる第1蓋片と、前記開口部において前記第3面から延設され、前記第4面側へ折り曲げられ、前記開口部に対応する平面形状をもって前記開口部を閉塞可能な蓋部を有し、前記蓋部の先端縁から延設された差込片が折り曲げられて前記胴部の前記第4面の内側に差し込まれる第2蓋片と、を備え、前記第2蓋片は、前記第1面側の端縁に設けられた凸状の把持部と、前記把持部の基端部両側から前記第2面側へ向かって形成された一対のミシン目と、を有し、未開封状態において、前記第2蓋片の上に前記被固定片が重なり、前記被固定片の上に前記第1蓋片が重なり、前記第1蓋片の未断裂の前記一対のミシン目の外側が前記被固定片に接着されることにより、前記開口部が閉塞され、開封状態において、前記一対のミシン目が断裂されることによって連結状態が解除された前記被固定片及び前記第1蓋片が相互に重なり、さらにその上に前記第2蓋片が重なり、前記差込片が前記胴部の前記第4面の内側に差し込まれることにより、前記開口部が閉塞される、ことを特徴としている。
【0009】
このように、本発明によれば、未開封状態において、第2蓋片、被固定片、第1蓋片の順に重なり、第1蓋片の未断裂の一対のミシン目の外側が被固定片に接着されることによって開口部が閉塞され、開封状態において、前記一対のミシン目が断裂されて連結状態が解除された被固定片及び第1蓋片が相互に重なり、その上に第2蓋片が重なり、差込片が胴部の内側に差し込まれることにより、開口部が閉塞される構成となっている。これにより、未開封状態においては、被固定片に固定された第1蓋片のミシン目の未断裂をもってバージン性が担保される。
【0010】
一方で、開封状態においては、被固定部及び第1蓋片を覆うように重なる第2蓋片の蓋部によって、断裂されたミシン目が残存する被固定部及び第1蓋片を覆うことが可能となり、前記断裂されたミシン目が外部に露出することなく、未開封時のような整然とした美観を維持した状態で包装箱を再利用することができる。
【0011】
さらには、上記のように包装箱を再利用可能とすることにより、例えば化粧品に別添されるスパチュラ(ヘラ)など、内容物である商品に付随する器具等についても、商品と一緒に収納して保管することが可能となる。これにより、上記商品に付随する器具等についても紛失するおそれがなく、容易かつ適切に管理することができる。
【0012】
また、本発明では、第1蓋片が被固定片に接着され、ミシン目が断裂されていないことをもって、包装箱のバージン性を担保している。このため、包装箱を外装フィルム等の外装部材で覆うことによってバージン性を担保する場合に比べて、外装部材により包装箱を包装する作業を省略することが可能となり、製造工程の人員削減、及び製造工程の簡素化を図ることができる。これにより、包装箱に収容される商品のコスト低減が図れる。
【0013】
また、前記包装箱の別の態様として、前記第2蓋片における前記差込片の前記第3面側の端縁の一部に切り込み部が設けられていて、前記切り込み部により、前記差込片の前記第3面側の端縁に、前記第2蓋片における前記差込片の折り曲げ状態において前記第4面側へ突出し、かつ前記開口部における前記第4面の端縁に係止可能な突出片が形成されている、ことが望ましい。
【0014】
このように、本発明によれば、差込片の第3面側の端縁の一部が切り込まれていることにより、差込片の第3面側の端縁に、差込片の折り曲げに伴い第4面側へ突出して第4面の端縁に係止可能な突出片が形成される。これにより、第4面に係止して当該第4面よりも外側へ突出する突出片を把持して第2蓋片を引き上げることにより第2蓋片を容易に開くことが可能となるうえ、差込片と胴部の間に指を差し込んで第2蓋片を引き上げる必要がなくなるため、差込片及び胴部の変形を伴うおそれがなく、再利用時における包装箱の美観を維持することができる。
【0015】
また、商品の包装時には、第2蓋片を第4面側へ折り曲げて差込片を第4面の内側に差し込む際に、突出片を第4面の端縁に係止させることが可能となる。これにより、差込片が必要以上に深く差し込まれることが抑制され、包装箱の組立作業性(商品の包装作業性)を向上させることができる。
【0016】
また、前記包装箱のさらに別の態様として、前記胴部の側面視において前記第2面側から見たとき、前記第1蓋片と接続される前記第2面の端縁が、下方へ凹む円弧状に形成されている、ことが望ましい。
【0017】
このように、本発明によれば、胴部の側面視において第2面側から見たとき、第1蓋片と接続される第2面の端縁が、下方へ凹む円弧状に形成されている。これにより、第1蓋片と接続される第2面側の端縁が水平状、すなわち直線状に形成されている場合に比べて、第1蓋片を根元からきれいに折り曲げることが可能となり、包装箱の美観の向上が図れる。
【0018】
また、前記包装箱のさらに別の態様として、前記第2面の端縁における前記円弧の頂点が、前記第2面の幅方向の一方側に偏移している、ことが望ましい。
【0019】
このように、本発明によれば、第1蓋片と接続される第2面の端縁に設けられた円弧状部の頂点が、第2面の幅方向の一方側に偏移している。例えば厚紙を折り曲げて矩形筒状の胴部を形成する場合、胴部形成時の折り曲げの強弱によって胴部の開口部は平面視がきれいな矩形状(各隅の内角がそれぞれ90°となる四角形)とならず、多少歪んだ形状、すなわち平面視が平行四辺形となる場合が多い。そこで、この開口部の歪みに合わせて前記円弧状部の頂点の位置を偏移させることにより、第1蓋片を前記開口部の歪みに沿って斜めに倒す(折り曲げる)ことが可能となる。これにより、第1蓋片を折り曲げたときの開口部に対する第1蓋片の位置ずれが抑制され、包装箱の美観の向上を図ることができる。
【0020】
また、前記包装箱のさらに別の態様として、前記開口部は、前記第1面及び前記第2面と、前記第3面及び前記第4面とによって構成され、平面視が四角形を呈し、前記胴部は、前記第1面及び前記第2面と、前記第3面及び前記第4面とがそれぞれ非直角に連なることによって前記開口部が平面視において平行四辺形状となるとき、前記第2面の端縁における前記円弧の頂点は、前記第2面の幅方向において前記第3面側又は前記第4面側に偏移して設けられ、前記第1蓋片は、前記第2面の幅方向において、前記円弧の頂点とは異なる側に傾くように折れ曲がる、ことが望ましい。
【0021】
このように、本発明によれば、第2面の端縁における前記円弧の頂点が第2面の幅方向において第3面側又は第4面側に偏移して設けられていて、第2蓋片が第2面の幅方向において前記円弧の頂点と反対側に傾くように折れ曲がる構成となっている。このように、胴部の開口部の歪みに合わせて円弧の頂点を偏移して配置することによって、前記開口部の歪みに応じて第1蓋片を傾けることが可能となる。これにより、第1蓋片を折り曲げた際、前記開口部の歪みに起因して発生する、開口部に対する第1蓋片の位置ずれが効果的に抑制され、包装箱の美観の向上を図ることができる。
【0022】
また、前記包装箱のさらに別の態様として、前記第2蓋片は、前記開口部を閉塞する内側面に、内容物に係る情報が記載された情報記載部を有する、ことが望ましい。
【0023】
このように、本発明によれば、第2蓋片のうち、開口部を閉塞する内側面に、内容物に係る情報が記載されている。このように、開口部を閉塞可能な比較的大きな面積を有する第2蓋片の内側面に内容物の情報を記載することによって、当該内容物の情報を紙面等で別添する必要がなく、商品の包装作業の簡素化を図ることができる。これにより、製造者においては、商品の包装時に前記別添の紙面を同封し忘れるおそれがなく、商品の包装作業性の向上が図れる。他方、商品の使用者(エンドユーザー)においても、前記別添の紙面を内容物と一緒に保管しておく必要がなく、当該別添の紙面により包装箱に対する商品の出し入れが煩雑になってしまう不具合を回避できると共に、前記別添の紙面を紛失するおそれもなく、商品を容易に管理することができる。
【0024】
また、前記包装箱の組立方法の一態様として、前記胴部を形成する第1工程と、前記第2蓋片を前記第4面側へ折り曲げ、前記差込片を前記第4面の内側に差し込む第2工程と、前記被固定片を前記第2面側へ折り曲げる第3工程と、前記被固定片の前記第1蓋片と重なり合う面に上方から接着剤を塗布した後、前記第1蓋片を前記第1面側へ折り曲げて前記第1蓋片を前記被固定片の表面に接着する第4工程と、を含むことが望ましい。
【0025】
このように、本発明によれば、胴部を形成した後、上方に開口する開口部から商品を収容し、第2蓋片を閉じて開口部を閉塞し、この第2蓋片の上に重ねて折り曲げた被固定片の上に接着剤を塗布し、この接着剤が塗布された被固定片の上に第1蓋片を重ね合わせることにより、包装箱の組立が完了する。このように、胴部の形成後、商品の収容から包装箱を閉じるまでの工程を全て上方から作業することが可能となる。これにより、包装箱の組立作業を効率よく行うことができ、包装箱の組立作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、未開封状態においては、被固定片に固定された第1蓋片のミシン目の未断裂をもってバージン性が担保される。一方で、開封状態においては、被固定部及び第1蓋片を覆うようにして重なる第2蓋片の蓋部によって、断裂されたミシン目が残存する被固定部及び第1蓋片を覆うことが可能となり、前記断裂されたミシン目が外部に露出することなく、未開封時のような整然とした美観を維持した状態で包装箱を再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る包装箱の展開図である。
図2】本発明に係る包装箱の未開封状態の斜視図である。
図3】本発明に係る包装箱の再利用状態の斜視図である。
図4】本発明に係る包装箱を胴部の第2面側から見た包装箱の側面図であって、(a)は本発明の第1実施形態に係る包装箱の側面図、(b)は同図(a)の他例に係る包装箱の側面図である。
図5】本発明に係る包装箱の組立方法を示す図であって、(a)は組立前、(b)は第1工程、(c)は第2工程、(d)は第3工程、(e)は第4工程、を示す図である。
図6】本発明に係る包装箱の開封手順を示す包装箱の斜視図であって、(a)は開封前、(b)は第1蓋片の開封途中、(c)は第1蓋片の開放状態、(d)は被固定片の開放状態、(e)は第2蓋片の開放状態、を示す図である。
図7】本発明に係る包装箱の再利用時の閉塞手順を示す包装箱の斜視図であって、(a)は開封状態、(b)は被固定片の折り曲げ状態、(c)は第1蓋片の折り曲げ状態、(d)は第2蓋片の折り曲げ状態、を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る包装箱の開口部の平面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱を胴部の第2面側から見た包装箱の側面図であって、(a)は第2蓋片の基端縁の円弧の中心が左側に偏移した包装箱の側面図、(b)は第2蓋片の基端縁の円弧の中心が右側に偏移した包装箱の側面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱の作用効果を示す図であって、(a)は包装箱を第2面側から見た斜視図、(b)は第2実施形態に係る包装箱の第1蓋片の閉塞状態を示す開口部の平面図、(c)は第1実施形態に係る包装箱の第1蓋片の閉塞状態を示す開口部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る包装箱の実施形態について、図面に基づき詳述する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る包装箱を化粧品の包装箱に適用したものを例示する。また、各図の説明においては、便宜上、紙面の上方を「上」、紙面の下方を「下」として説明する。
【0029】
[第1実施形態]
(包装箱の構成)
図1は、本実施形態に係る包装箱Bの展開図を示している。図2は、包装箱Bの組立状態であって、未開封状態の包装箱Bの斜視図を示している。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る包装箱Bは、各片を折り曲げることによって組み立て可能な材質、例えば厚紙によって形成される。すなわち、包装箱Bは、所定の柄や文字等が印刷された厚紙を図1に示す展開図の形状に打ち抜いたものを、各糊付け部G同士を糊付けすることにより接合し、これを図2に示すような立方体形状に組み立てることによって形成される。
【0031】
具体的には、包装箱Bは、図1ないし図2に示すように、4つの平面である、第1面11、第2面12、第3面13、及び第4面14が連なって形成される角筒状(矩形筒状)の胴部1を有する。第1面11は、第2面12と対向する。第3面13は、第1面11及び第2面12と隣接し、第4面14と対向する。また、第4面14の側縁部には、糊代となる小片状の連結片15が延設されている。この連結片15は、第1面11の側縁部の近傍に形成された糊付け部Gに糊付けされる。
【0032】
このように、胴部1は、連結片15が第1面11の内側面に糊付けされることにより、横断面が矩形をなす四角柱状の内部空間を有する矩形筒状を呈する。胴部1の上側は、上側開口部OP1を介して上方へ開口し、第1蓋片3ないし第2蓋片5によって閉塞される。胴部1の下側は、下側開口部OP2を介して下方へ開口し、底部2によって閉塞される。
【0033】
また、胴部1の第4面14は、後述する第2蓋片5の差込片54が差し込まれる上側開口部OP1側の端縁に、底部2側へ向かって円弧状に凹む切欠き部140が形成されている。この切欠き部140は、第4面14の内側へと差し込まれる後述する差込片54を引き出す際に、後述する突出片532への指や爪の引っかかりを容易化し、差込片54の引出作業を容易化する。
【0034】
底部2は、いわゆるワンタッチ底として機能する4つの底部フラップである、第1底部フラップ21、第2底部フラップ22、第3底部フラップ23、及び第4底部フラップ24によって構成される。具体的には、第1底部フラップ21は、第1面11から延設される。第2底部フラップ22は、第2面12から延設される。第3底部フラップ23は、第3面13から延設される。第4底部フラップ24は、第4面14から延設される。そして、第1底部フラップ21、第2底部フラップ22、第3底部フラップ23、及び第4底部フラップ24のうち、隣接する第1底部フラップ21と第3底部フラップ23とが糊付け部Gを介して互いに貼り付けられることによって、第1底部片25が構成される。同様に、隣接する第2底部フラップ22と第4底部フラップ24とが糊付け部Gを介して互いに貼り付けられることによって、第2底部片26が構成される。第1底部片25及び第2底部片26は、胴部1を開いて組み立てた状態では、互いに係合して強固な底部2を形成する一方、前記係合が解除されて互いに離間した状態では、胴部1を偏平状に折りたたむことによってノックダウン可能となっている。
【0035】
第1蓋片3は、第2面12から延設され、胴部1の上側開口部OP1に相当する矩形状に形成されたものであり、第2面12側の端縁である基端縁31に沿って折り曲げられ、第1面11側の端部である先端部32が被固定片4に接着されることにより、当該被固定片4と協働して胴部1の上側開口部OP1を閉塞する。具体的には、第1蓋片3は先端部32に設けられた凸状の把持部33と、把持部33の基端部両側から第1蓋片3の両側端縁に向かって形成された一対のミシン目34,34と、を有する。このような構成から、第1蓋片3は、未開封状態において、第2蓋片5の上に重なるように被固定片4と互い違いに折り曲げられ、先端部32の両側端部、すなわち一対のミシン目34,34の両外側部35,35がそれぞれ被固定片4の基端縁41の近傍に接着されることにより、一対のミシン目34,34の未断裂をもって商品のバージン性を担保する。
【0036】
把持部33は、第1蓋片3を折り曲げた状態において、すなわち被固定片4に接着された未開封状態において、第1面11から僅かに突出可能な突出量を有し、開封時の開封操作に供する開封ハンドルとして機能する。このように、把持部33を第1面11よりも水平方向外側へ向かって僅かに突出させることにより、当該把持部33を指又は爪で引き上げる開封操作を容易化することが可能となっている。
【0037】
一対のミシン目34,34は、第1蓋片3において、把持部33の基端部の両側からそれぞれ対向する側縁部36,36へ向かって斜行する直線状に形成されていて、当該各側縁部36,36に臨んでいる。この一対のミシン目34,34は、第1蓋片3が被固定片4に接着され、かつ当該一対のミシン目34,34が未断裂であることをもって、商品のバージン性を担保している。
【0038】
被固定片4は、第1面11から延設され、概ね矩形状を呈し、第1面11側の端縁である基端縁41に沿って折り曲げられ、第1蓋片3の内側に当該第1蓋片3と互い違いに重なるように配置されて、未開封状態において第1蓋片3と接着される。この被固定片4は、第1蓋片3の固定部として機能するものであって、胴部1の上側開口部OP1を閉塞する蓋部として機能するものでないため、第1蓋片3を固定可能な領域を有すれば足りる。そこで、本実施形態に係る被固定片4は、一例として、第1蓋片3よりも若干小さい面積となるように形成されている。なお、被固定片4は、第1蓋片3の一対のミシン目34,34の両外側部35,35を接着可能な領域を有していれば足り、その形状や大きさ等については、包装箱Bの仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0039】
第2蓋片5は、第3面13から延設され、胴部1の上側開口部OP1を閉塞可能な蓋部51を有する。蓋部51は、胴部1の上側開口部OP1に相当する矩形状に形成されていて、第3面13側の端縁である基端縁52に沿って折り曲げられることにより、上側開口部OP1を閉塞する。また、蓋部51の先端側には、当該蓋部51の先端縁53に沿って折り曲げられて第4面14の内側に差し込み可能な差込片54が延設されている。
【0040】
差込片54は、幅方向の両側に、それぞれ円弧状に面取りされた面取り部541,541を有する。面取り部541,541は、差込片54を胴部1の第4面14の内側に差し込む際の胴部1の第1面11及び第2面12に対する差込片54の引っかかりを抑制し、差込片54の差込作業を容易化する。また、差込片54は、幅方向の中間部に、蓋部51側へ概ねV字状に窪む凹部542を有する。凹部542は、蓋部51側へ窪むことで、内容物、すなわち包装箱Bに収容される商品(図示外)との干渉を抑制し、当該商品の良好な保護に供する。
【0041】
また、蓋部51の先端縁53であって差込片54の根元部には、第2蓋片5の幅方向の中間部に、概ね矩形状の切り込み部531が形成されている。すなわち、この切り込み部531が設けられていることにより、差込片54を折り曲げた際に、蓋部51の一部が突出する概ね矩形状の突出片532を構成する。この突出片532は、差込片54を折り曲げて胴部1の第4面14の内側へと差し込んだ際に第4面14側へ突出して第4面14の端縁に係止可能な突出量を有する。すなわち、突出片532は、第4面14の端縁に係止して当該第4面14よりも外側へ突出することにより、胴部1(第4面14)の内側に差し込まれた差込片54の過度な潜り込みを規制すると共に、胴部1(第4面14)の内側に差し込まれた差込片54を引き出す際の把持部(ハンドル)として機能する。
【0042】
また、第2蓋片5は、上側開口部OP1を閉塞可能な、比較的大きな面積を有する蓋部51の内側面に、内容物に係る情報が記載された情報記載部510を有する。この情報記載部510には、従来慣例として商品に同封される別添の紙面に記載されるような、内容物に係る必要な情報が記載されている。換言すれば、情報記載部510は、ミシン目34,34を介して分離されてしまう第1蓋片3及び被固定片4ではなく、比較的大きな面積を有し、かつ再利用時において最も外側に配置される第2蓋片5の蓋部51の内側面に、例えば印刷等によって設けられている。
【0043】
図4は、包装箱Bの第2面12側から見た図を示しており、図4(a)は本実施形態に係る包装箱Bの第2面12側から見た図を示し、図4(b)は図4(a)に示す包装箱Bの他例を示している。
【0044】
図4(a)に示すように、本実施形態に係る包装箱Bは、第2面12に延設された第1蓋片3の基端縁31が、第1蓋片3の幅方向に沿う直線状ではなく、第2面12側へ僅かに窪む円弧状に形成されている。このように、基端縁31が第2面12側へ窪む円弧状に形成されていることで、第1蓋片3が根元から基端縁31に沿ってきれいに折れ曲がる構成となっている。
【0045】
また、上記円弧凹状の基端縁31では、前記円弧の頂点Pが、第1蓋片3の幅方向の中央部に位置するように設定されている。すなわち、前記円弧の頂点Pは、第1蓋片3の幅方向の両端から等しい距離に位置している。このように、前記円弧の頂点Pが第1蓋片3の幅方向の中央位置に配置されることで、第1蓋片3が基端縁31に対して垂直に折れ曲がる構成となっている。
【0046】
なお、具体的な図示は省略するが、第1蓋片3の基端縁31に係る上記円弧凹状の構成は、第1蓋片3のみならず、被固定片4の基端縁41や第2蓋片5の基端縁52に適用することも可能である。
【0047】
また、本実施形態では、好ましい一例として、図4(a)に示すような第1蓋片3の基端縁31を円弧状に形成した態様を例示したが、本実施形態の他例として、例えば図4(b)に示すような第1蓋片3の幅方向に沿った直線状に形成してもよい。
【0048】
(包装箱の組立方法)
図5は、本実施形態に係る包装箱Bの組立方法を示しており、(a)は組立前、(b)は第1工程、(c)は第2工程、(d)は第3工程、(e)は第4工程を、それぞれ示している。
【0049】
まず、胴部1及び底部2が図5(a)に示すように偏平状に折りたたまれた状態から、包装箱Bの組立作業が開始される。この図5(a)に示す組立前の状態では、連結片15(図示外)が第1面11の内側に貼り付けられると共に、第1底部フラップ21及び第2底部フラップ22が第3底部フラップ23及び第4底部フラップ24に貼り付けられた状態で、胴部1及び底部2が偏平状に折りたたまれている。
【0050】
最初に、包装箱Bの組立方法の第1工程として、図5(b)に示すように、上側開口部OP1及び下側開口部OP2が概ね矩形状となるように胴部1を広げると共に、第1底部片25と第2底部片26とを互いに係合させることにより、胴部1及び底部2を形成する。
【0051】
次に、包装箱Bの組立方法の第2工程として、胴部1に商品を収容した後、図5(c)に示すように、第2蓋片5を基端縁52に沿って折り曲げて、蓋部51によって上側開口部OP1を閉塞する。そして、蓋部51の先端側に延設された差込片54を蓋部51の先端縁53に沿って折り曲げて、差込片54を胴部1の第4面14の内側に差し込む。
【0052】
続いて、包装箱Bの組立方法の第3工程として、図5(d)に示すように、第2蓋片5の蓋部51の上に重ねるかたちで被固定片4を基端縁41に沿って折り曲げる。その後、この折り曲げられた第2蓋片5の蓋部51の上面(外側面)であって被固定片4の幅方向両側における基端縁41の近傍に、接着剤Gを塗布する。
【0053】
最後に、包装箱Bの組立方法の第4工程として、図5(e)に示すように、被固定片4の上に重ねるかたちで第1蓋片3を基端縁31に沿って折り曲げて、被固定片4に塗布された接着剤Gを介して第1蓋片3を被固定片4に接着する。これにより、包装箱B内に商品が封入され、包装箱Bの組立が完了する。
【0054】
このように、包装箱Bは、胴部1の組立後、第2蓋片5の折り曲げ及び差込片54の差し込み作業、被固定片4の折り曲げ及び接着剤Gの塗布作業、並びに被固定片4に対する第1蓋片3の接着作業など、包装箱Bの組立に係る全ての作業が、胴部1の上方から行える構成となっている。
【0055】
(包装箱の開封方法)
図6は、本実施形態に係る包装箱Bの開封手順を表した包装箱Bの斜視図を示しており、(a)は未開封の状態、(b)は第1蓋片3の開封途中の状態、(c)は第1蓋片3の開放状態、(d)は被固定片4の開放状態、(e)は第2蓋片5の開放状態を、それぞれ示している。
【0056】
包装箱Bを開封する場合には、まず、図6(a)に示す未開封の状態から、図6(b)に示すように、把持部33をつまんでそのまま上方へ引き上げる。すると、図6(c)に示すように、ミシン目34,34に沿って第1蓋片3が断裂し、第1蓋片3が開放される。そして、第1蓋片3が開放されたことで、図6(d)に示すように、第1蓋片3に固定されていた被固定片4についても、同時に開放される。その後、図6(e)に示すように、第1蓋片3及び被固定片4をそれぞれ開放した状態で、第2蓋片5の差込片54を胴部1の内側から引き抜いて、第2蓋片5の蓋部51を開放する。これにより、包装箱Bが開封され、図示外の商品を取り出すことが可能となる。
【0057】
(包装箱の再利用方法)
図7は、本実施形態に係る包装箱Bの再利用時の閉塞手順を示す包装箱Bの斜視図を示しており、(a)は開封状態、(b)は被固定片4の折り曲げ状態、(c)は第1蓋片3の折り曲げ状態、(d)は第2蓋片5の折り曲げ状態を、それぞれ示している。
【0058】
包装箱Bを再利用する場合には、まず、図7(a)に示すように上側開口部OP1が開放された状態、すなわち第1蓋片3、被固定片4及び第2蓋片5が開放された状態から、商品を収容後、図7(b)に示すように、被固定片4を基端縁41に沿って折り曲げる。続いて、図7(c)に示すように、被固定片4の上に重ねるかたちで第1蓋片3を基端縁31に沿って折り曲げる。最後に、第2蓋片5を基端縁52に沿って折り曲げて蓋部51を第1蓋片3の上に重ねると共に、差込片54を胴部1の第4面14の内側に差し込む。これにより、包装箱Bの再利用時における上側開口部OP1の閉塞が完了する。
【0059】
このように、包装箱Bの再利用時には、最上層(最外層)に第2蓋片5が配置されることにより、第2蓋片5の蓋部51が、断裂したミシン目34,34を有する第1蓋片3及び被固定片4を覆い隠す構成となっている。さらには、第2蓋片5は、差込片54を介して胴部1の第4面14の内側に弾接(圧接)して保持されるため、開封後においても、包装箱Bの新品と同様の整然とした美観が維持される構成となっている。
【0060】
(本実施形態の作用効果)
前記従来の包装箱では、包装箱の開封に際して、差込片の変形やミシン目の断裂を伴う。このため、開封後に包装箱を再利用する場合に、断裂したミシン目が露出してしまい、また、変形した差込片を再度差込口に差し込んで蓋部を閉塞することとなる。このように、開封後に包装箱を再利用する際には購入時と比べて包装箱の美観が低下してしまい、購入時の美観を維持した状態で包装箱を再利用することが困難である点で、改善の余地が残されていた。
【0061】
これに対して、本実施形態に係る包装箱B及び包装箱Bの組立方法によれば、以下の効果が奏せられることにより、前記従来の包装箱の課題を解決することができる。
【0062】
すなわち、本実施形態に係る包装箱Bによれば、対向する第1面11及び第2面12と、第1面11と第2面12との間において対向する第3面13及び第4面14と、を含む複数の面が連なって形成され、上端部に開口部(本実施形態に係る上側開口部OP1に相当)を有する有底筒状に形成された胴部1と、上側開口部OP1において第1面11から延設され、第2面12側へ折り曲げられる被固定片4と、上側開口部OP1において第2面12から延設され、第1面11側へ折り曲げられる第1蓋片3と、上側開口部OP1において第3面13から延設され、第4面14側へ折り曲げられ、上側開口部OP1に対応する平面形状をもって上側開口部OP1を閉塞可能な蓋部51を有し、蓋部51の先端縁53から延設された差込片54が折り曲げられて胴部1の第4面14の内側に差し込まれる第2蓋片5と、を備え、第2蓋片5は、第1面11側の端縁に設けられた凸状の把持部33と、把持部33の基端部両側から第2面12側へ向かって形成された一対のミシン目34,34と、を有し、未開封状態において、第2蓋片5の上に被固定片4が重なり、被固定片4の上に第1蓋片3が重なり、第1蓋片3の未断裂の一対のミシン目34,34の外側が被固定片4に接着されることにより、上側開口部OP1が閉塞され、開封状態において、一対のミシン目34,34が断裂されることによって連結状態が解除された被固定片4及び第1蓋片3が相互に重なり、さらにその上に第2蓋片5が重なり、差込片54が胴部1の第4面14の内側に差し込まれることにより、上側開口部OP1が閉塞される。
【0063】
このように、本実施形態によれば、未開封状態において、第2蓋片5、被固定片4、第1蓋片3の順に重なり、第1蓋片3の未断裂の一対のミシン目34,34の外側が被固定片4に接着されることにより上側開口部OP1が閉塞され、開封状態において、一対のミシン目34,34が断裂されて連結状態が解除された被固定片4及び第1蓋片3が相互に重なり、さらにその上に第2蓋片5が重なり、差込片54が胴部1の内側に差し込まれることによって上側開口部OP1が閉塞される構成となっている。これにより、未開封状態においては、被固定片4に固定された第1蓋片3のミシン目34,34の未断裂をもってバージン性が担保される。一方で、開封状態においては、被固定片4及び第1蓋片3を覆うように重なる第2蓋片5の蓋部によって、断裂されたミシン目34,34が残存する被固定片4及び第1蓋片3を覆うことが可能となり、断裂されたミシン目34,34が外部に露出することがなく、未開封時のような整然とした美観を維持した状態で包装箱Bを再利用することができる。
【0064】
さらには、上記のように包装箱Bを再利用可能とすることで、例えば化粧品に別添されるスパチュラ(ヘラ)など、内容物である商品に付随する器具等についても、商品と共に収納して保管することが可能となる。これにより、上記商品に付随する器具等についても紛失するおそれがなく、容易かつ適切に管理することができる。
【0065】
また、本実施形態では、第1蓋片3が被固定片4に接着され、ミシン目34,34が断裂していないことをもって、包装箱Bのバージン性を担保している。このため、例えば包装箱を外装フィルム等の外装部材で覆うことによってバージン性を担保する場合に比べて、外装部材により包装箱を包装する作業を省略することが可能となり、包装箱Bの製造工程の人員削減、及び製造工程の簡素化を図ることができる。これにより、包装箱Bに収容される商品のコスト低減が図れる。
【0066】
また、本実施形態では、第2蓋片5における差込片54の第3面13側の端縁(蓋部51の先端縁53)の一部に切り込み部531が設けられていて、切り込み部531により、差込片54の第3面13側の端縁(蓋部51の先端縁53)に、第2蓋片5における差込片54の折り曲げ状態において第4面14側へ突出し、かつ上側開口部OP1における第4面14の端縁に係止可能な突出片532が形成されている。
【0067】
このように、本実施形態では、差込片54の根元部に相当する、第3面13側の端縁(蓋部51の先端縁53)の一部が切り込まれることで、差込片54の第3面13側の端縁(蓋部51の先端縁53)に、差込片54を折り曲げて胴部1の第4面14の内側へ差し込んだ際に第4面14側へ突出して第4面14の端縁に係止可能な突出片532が形成される。このため、突出片532が、胴部1の第4面14の内側に差し込まれた差込片54を引き出す際の把持部(ハンドル)として機能する。かかる構成によれば、胴部1の内側に差し込まれた差込片54を引き出す際に突出片532を把持することにより、胴部1の内側から差込片54を容易に引き出すことが可能となるうえ、差込片54と胴部1との間に指や爪を差し込んで差込片54を引き出す必要がなくなる。その結果、第2蓋片5を開く際に差込片54や胴部1の変形を伴うおそれがなく、包装箱Bの再利用時に、包装箱Bの美観をより良好に維持することができる。
【0068】
また、突出片532は、差込片54を折り曲げて胴部1の第4面14の内側へと差し込んだ際、第4面14の端縁に係止可能となっている。これにより、商品の包装時には、差込片54を折り曲げて第4面14の内側に差し込む際、突出片532を第4面14の端縁に係止させることが可能となる。その結果、差込片54が必要以上に深く差し込まれてしまうことが抑制され、包装箱Bの組立作業性(商品の包装作業性)を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、胴部1の側面視において第2面12側から見たとき、第1蓋片3と接続される第2面12の端縁が、下方へ凹む円弧状に形成されている。
【0070】
このように、本実施形態では、第1蓋片3の基端縁31が、下方(底部2側)へ凹む円弧状に形成されていることにより、第1蓋片3の基端縁31が水平状、すなわち直線状に形成されている場合に比べて、第1蓋片3を根元からきれいに折り曲げることが可能となり、包装箱Bの美観の向上が図れる。
【0071】
また、本実施形態では、第2蓋片5は、上側開口部OP1を閉塞する内側面に、内容物に係る情報が記載された情報記載部510を有する。
【0072】
このように、本実施形態では、第2蓋片5のうち、上側開口部OP1を閉塞する内側面に、内容物に係る情報が記載された情報記載部510を有している。このように、上側開口部OP1を閉塞可能な程度の比較的大きな面積を有する第2蓋片5の蓋部51の内側面に内容物の情報を記載することによって、当該内容物の情報を紙面等により別添する必要がなく、商品の包装作業の簡素化を図ることができる。これにより、製造者においては、商品の包装時に前記別添の紙面を同封し忘れるおそれがなく、商品の包装作業性の向上が図れる。他方、商品の使用者(エンドユーザー)においても、前記別添の紙面を内容物と一緒に保管しておく必要がなく、当該別添の紙面によって包装箱Bに対する商品の出し入れが煩雑になってしまう不具合を回避できると共に、前記別添の紙面を紛失するおそれもなく、商品を容易に管理することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る包装箱Bの組立方法は、胴部1を形成する第1工程と、第2蓋片5を第4面14側へ折り曲げ、差込片54を第4面14の内側に差し込む第2工程と、被固定片4を第2面12側へ折り曲げる第3工程と、被固定片4の第1蓋片3と重なり合う面に上方から接着剤Gを塗布した後、第1蓋片3を第1面11側へ折り曲げて第1蓋片3を被固定片4の表面に接着する第4工程と、を含む。
【0074】
このように、本実施形態では、胴部1を形成した後、上側開口部OP1から商品を収容し、第2蓋片5を閉じて上側開口部OP1を閉塞し、この第2蓋片5の上に重ねて折り曲げた被固定片4の上(外表面)に接着剤Gを塗布して、この接着剤Gが塗布された被固定片4の上に第1蓋片3を重ね合わせることにより、包装箱Bの組立が完了する。このように、胴部1の形成後、商品の収容から包装箱Bを閉じるまでの工程を全て上方から作業することが可能となる。これにより、包装箱Bの組立作業を効率よく行うことができ、包装箱Bの組立作業性を向上させることができる。
【0075】
[第2実施形態]
図8図10は本発明に係る包装箱の第2実施形態を示し、本実施形態は、前記第1実施形態に係る第1蓋片3の基端縁31の構成を変更したものである。なお、かかる変更点以外の基本的な構成については、前記第1実施形態と同様である。そのため、前記第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0076】
(包装箱の構成)
図8は、本実施形態に係る包装箱Bの開口部の平面図を示している。図9は、本実施形態に係る包装箱Bを胴部1の第2面12側から見た包装箱Bの側面図であって、(a)は第2蓋片5の基端縁52の円弧の頂点Pが図中の左側に偏移した包装箱Bの側面図、(b)は第2蓋片5の基端縁52の円弧の頂点Pが図中の右側に偏移した包装箱Bの側面図を示している。
【0077】
包装箱Bは、前記第1実施形態で述べた通り、組立前は、胴部1及び底部2が偏平状に折りたたまれていて、胴部1を開いて第1底部片25と第2底部片26とを互いに係合させることによって胴部1が形成される(図5(a)(b)参照)。このため、包装箱Bは、例えば図8に示すように、上側開口部OP1が歪んでしまうおそれがある。すなわち、包装箱Bの上側開口部OP1について、四隅の内角θが直角(90°)となる正方形又は長方形ではなく、四隅の内角θが非直角となる平行四辺形となってしまう。
【0078】
そこで、本実施形態に係る包装箱Bでは、図9に示すように、第1蓋片3の基端縁31の円弧の頂点Pが、前記第1実施形態のような幅方向の中央部ではなく、幅方向の一方側(図9(a)参照)ないし他方側(図9(b)参照)に偏移するように構成されている。すなわち、本実施形態に係る包装箱Bでは、第1蓋片3の基端縁31の円弧の頂点Pが、前記平行四辺形となる上側開口部OP1の歪みに応じて偏移して配置されていて、この頂点Pの偏移構造により第1蓋片3が基端縁31に対して斜めに折れ曲がるように構成され、前記平行四辺形となる上側開口部OP1と過不足なく重なる構成となっている(図10(b)参照)。換言すれば、第1蓋片3の基端縁31における前記円弧の頂点Pの位置は、前記平行四辺形となる上側開口部OP1の歪み量(内角θの大きさ)と歪みの方向に応じて決定される。
【0079】
なお、具体的な図示は省略するが、被固定片4についても、第1蓋片3と同様、基端片41が第1面11側へ僅かに窪む円弧状に形成されていて、基端縁41の円弧の頂点が、幅方向において第1蓋片3の基端縁31の円弧の頂点Pとは反対側に偏移して設けられていることが望ましい。これにより、被固定片4についても、前記平行四辺形となる上側開口部OP1の歪みに対応して基端縁41に対して斜めに折れ曲がり、当該被固定片4を折り曲げた際に幅方向において第1蓋片3と概ね過不足なく重ねることができる。
【0080】
(本実施形態の作用効果)
図10は、本実施形態に係る包装箱Bの作用効果を示す図であって、(a)は包装箱Bを第2面12側から見た斜視図を示し、(b)は本実施形態に係る包装箱Bの第1蓋片3の閉塞状態を示す上側開口部OP1の平面図を示し、(c)は第1実施形態に係る包装箱Bの第1蓋片3の閉塞状態を示す上側開口部OP1の平面図を示している。
【0081】
図10に示すように、本実施形態では、上側開口部OP1が、第1蓋片3の幅方向において、第1蓋片3の基端縁31側から見て左側に倒れるように歪んでいる場合を例示する。
【0082】
ここで、前記第1実施形態のように、第1蓋片3の基端縁31の円弧の頂点Pが、基端縁31の幅方向の中央部に位置する場合、第1蓋片3は基端縁31に対してほぼ垂直に折れ曲がるため、図10(c)に示すように、第1蓋片3の基端縁31に対して左側に歪んでなる前記平行四辺形となる上側開口部OP1とずれて重なることとなる。これにより、第1蓋片3により上側開口部OP1を的確に閉塞することができず、包装時の包装箱Bについて良好な美観を維持することが困難である点で、改善の余地が残されていた。
【0083】
これに対し、本実施形態では、第1蓋片3の基端縁31の円弧の頂点Pが、胴部1の上側開口部OP1が倒れる(歪む)側(図10(a)の左側)と反対側(図10(b)の右側)に偏移して配置されている。これにより、第1蓋片3を基端縁31に沿って折り曲げることで、第1蓋片3が図10(a)の左側へ倒れるように折れ曲がる。その結果、図10(b)に示すように、第1蓋片3の基端縁31に対して左側に歪んだ前記平行四辺形となる上側開口部OP1と過不足なく重なることとなる。
【0084】
このように、本実施形態では、第2面12の端縁(第1蓋片3の基端縁31)における前記円弧の頂点Pが、前記第2面12の幅方向一方側に偏移している。これにより、例えば厚紙を折り曲げて矩形筒状の胴部1を形成する場合、胴部1の形成時における折り曲げの強弱によって胴部1の上側開口部OP1は平面視がきれいな矩形状(各隅の内角がそれぞれ90°となる四角形)とはならず、第1蓋片3の基端縁31に対して多少歪んだ形状、すなわち平面視が平行四辺形となる場合が多い。そこで、本実施形態では、前記上側開口部OP1の歪みに合わせて前記円弧の頂点Pの位置を偏移させることによって、第1蓋片3を上側開口部OP1の歪みに沿って斜めに倒す(折り曲げる)ことが可能となる。これにより、第1蓋片3を折り曲げた際の上側開口部OP1に対する第1蓋片3の位置ずれが抑制され、包装箱Bの美観の向上を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態では、上側開口部OP1は、第1面11及び第2面12と、第3面13及び第4面14とによって構成され、平面視が四角形を呈し、胴部1は、第1面11及び第2面12と、第3面13及び第4面14とがそれぞれ非直角に連なることによって上側開口部OP1が平面視において平行四辺形状となるとき、第2面12の端縁における前記円弧の頂点Pは、第2面12の幅方向において第3面13側又は第4面14側に偏移して設けられ、第1蓋片3は、第2面12の幅方向において、前記円弧の頂点Pとは異なる側に傾くように折れ曲がる。
【0086】
このように、本実施形態では、第2面12の端縁における前記円弧の頂点Pが第2面12の幅方向において第3面13側又は第4面14側に偏移して設けられていて、第1蓋片3が第2面12の幅方向において前記円弧の頂点Pとは反対側に傾くように折れ曲がる。すなわち、胴部1の上側開口部OP1の歪みに合わせて前記円弧の頂点Pを偏移して配置することによって、上側開口部OP1の歪みに応じて第1蓋片3を傾けることが可能となる。これにより、第1蓋片3を折り曲げた際の、上側開口部OP1の歪みに起因して発生する、上側開口部OP1に対する第1蓋片3の位置ずれが効果的に抑制され、包装箱Bの美観の向上を図ることができる。
【0087】
本発明は、前記各実施形態で例示した構成や態様に限定されるものではなく、前述した本発明の作用効果を奏し得るような形態であれば、適用対象の仕様やコスト等に応じて自由に変更可能である。
【0088】
特に、本発明に係る包装箱は、前記各実施形態にて例示した化粧品を含む、あらゆる商品の包装箱として利用可能であることはいうまでもない。
【0089】
また、本発明に係る包装箱は、前記各実施形態にて例示した胴部1が横断面四角形のものに限定されるものではなく、横断面が四角形よりも角の多い多角形について適用することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…胴部
11…第1面
12…第2面
13…第3面
14…第4面
2…底部
21…第1底部フラップ
22…第2底部フラップ
23…第3底部フラップ
24…第4底部フラップ
25…第1底部片
26…第2底部片
3…第1蓋片
31…基端縁
32…先端部
33…把持部
34…ミシン目
35…外側部
4…被固定片
41…基端縁
5…第2蓋片
51…蓋部
510…情報記載部
52…基端縁
53…先端縁
531…切り込み部
532…突出片
54…差込片
541…面取り部
542…凹部
OP1…上側開口部
OP2…下側開口部
B…包装箱
図1
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図10