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特開2024-57849食品切断装置およびこの食品切断装置と食品移載用のロボットを備えた食品切断移載システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057849
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】食品切断装置およびこの食品切断装置と食品移載用のロボットを備えた食品切断移載システム
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20240418BHJP
   A22C 17/00 20060101ALI20240418BHJP
   A22C 17/02 20060101ALI20240418BHJP
   B26D 7/28 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B26D3/28 610Q
A22C17/00
A22C17/02
B26D7/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164805
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】三輪 保生
(72)【発明者】
【氏名】野村 純一
(72)【発明者】
【氏名】野本 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】武智 賢治
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕
【テーマコード(参考)】
3C021
4B011
【Fターム(参考)】
3C021KA02
4B011EA02
(57)【要約】
【課題】食品片の集合体における重量のばらつきを少なくして生産能率を高めることのできる食品切断装置と食品切断移載システムを実現すること。
【解決手段】塊状食品をその先端部から設定厚ごとに切断し、切断された設定数の食品片を、その一部が互いに重なるようにコンベア上に並べて集合体を形成する食品切断装置であって、コンベア上の集合体の撮像結果から得られた集合体の横幅に基づいて、以後に形成される集合体ごとの重量のばらつきが小さくなるように、設定数を自動的に変更する自動変更手段を設ける。また、集合体をコンベア上から採取して設定領域に移載するロボットを備え、このロボットに備えた第1制御装置によって設定数を演算し、この演算結果を自動変更手段を有する食品切断装置側の第2制御装置に送信する構成とする。
【選択図】図14


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状食品をその先端部から設定厚ごとに切断し、切断された設定数の食品片を、少なくともその一部が互いに重なるようにコンベア上に並べて集合体を順次形成する食品切断装置であって、前記コンベア上の集合体を撮像する撮像手段を設け、この撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅に基づいて、以後に形成される集合体ごとの重量のばらつきが小さくなるように、前記設定数を自動的に変更する自動変更手段を設けたことを特徴とする食品切断装置。
【請求項2】
前記塊状食品の先端部の縦幅を検出する縦幅検出手段を設け、この縦幅検出手段によって検出された塊状食品の先端部の縦幅と、前記撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅とに基づいて、前記設定数を自動的に変更する構成とした請求項1に記載の食品切断装置。
【請求項3】
前記撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅のみに基づいて、前記設定数を自動的に変更する第1状態と、前記縦幅検出手段によって検出された塊状食品の先端部の縦幅と、前記撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅とに基づいて、前記設定数を自動的に変更する第2状態とに切り替え可能に構成した請求項2に記載の食品切断装置。
【請求項4】
前記設定数の変更に応じて各食品片を並べるピッチを自動的に変更し、各集合体の全長を設定された長さに形成する構成とした請求項1または請求項2または請求項3に記載の食品切断装置。
【請求項5】
前記撮像手段自体に、撮像した集合体の横幅を演算してその演算結果を出力する機能を備えた請求項4に記載の食品切断装置。
【請求項6】
前記撮像手段による複数の撮像結果から得られた各集合体の横幅の変化傾向に基づいて、以後の集合体を形成すべき食品片の数を予測し、この予測結果に基づいて前記設定数を変更する構成とした請求項4に記載の食品切断装置。
【請求項7】
前記集合体を自動的にコンベア上から採取して設定領域に移載するロボットを備え、このロボットに備えた第1制御装置によって前記設定数を演算し、この演算結果を前記自動変更手段を有する食品切断装置側の第2制御装置に送信する構成とした請求項4に記載の食品切断装置と食品移載用のロボットを備えた食品切断移載システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品を切断する食品切断装置、および、この食品切断装置と食品移載用のロボットを備えた食品切断移載システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品加工工場では、生の部分肉等の塊状食品を食品切断装置によってその先端部から所定間隔で切断し、これによって所定の厚さに形成された複数の薄肉片等の食品片を、その一部が互いに重なるようにコンベア上に並べて集合体を順次形成する。
このようにして形成された各集合体は、手作業によってコンベア上から掬い上げられ、食品用のトレーに盛り付けられる。
トレーに盛り付けられた集合体は、トレーごと包装され、食品の種類、盛り付け後に計測された総重量、価格等のラベルが貼られて、商品として出荷される。
【0003】
近年、このような集合体の形成を自動化する試みがなされており、特許文献1には、塊状食品をその先端部から切断し、切断された設定数の食品片を、その一部が互いに重なるようにコンベア上に並べて集合体を順次形成する食品切断装置が記載されている。
また、特許文献2には、コンベア上の食品をロボットアームに備えたハンドによって採取し、設定位置まで移動させて移載し、これを繰り返して設定位置に集合体を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7021739号公報
【特許文献2】特許第6626411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塊状食品には、先端部から後端部まで均一な断面形状ではなく、この断面形状や断面積が変化するものが多く存在する。
このような塊状食品として畜肉の部分肉があるが、例えば豚バラ肉は全体的に縦幅(厚み)が小さく(薄く)、この縦幅は、先端部から後端部にかけても大きく変化しない傾向がある。
しかしながら、この豚バラ肉は全体的に横幅が大きく、この横幅が先端部から後端部にかけて大きく変化している傾向がある。
また、例えば豚ロースは、先端部から後端部にかけての横幅の変化は比較的小さいが、縦幅が大きく変化する傾向がある。
【0006】
したがって、このような塊状食品を設定厚ごとに切断しても、切断された食品片の幅や面積、および重量は均一にならない。
このため、切断された同一数の食品片から集合体を形成した場合、この集合体ごとの重量がばらつく。
このように集合体ごとの重量がばらついた場合、商品としての表示重量帯やこれに伴う表示価格帯等を揃えることが難しくなるため、手作業での重量調整(食品片の追加等)を要することとなり、生産能率が低下する問題が生じうる。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決し、集合体を形成する食品片の数を自動的に変更し、集合体ごとの重量のばらつきを少なくして生産能率を高めることのできる食品切断装置と食品切断移載システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、塊状食品をその先端部から設定厚ごとに切断し、切断された設定数の食品片を、少なくともその一部が互いに重なるようにコンベア上に並べて集合体を順次形成する食品切断装置であって、前記コンベア上の集合体を撮像する撮像手段を設け、この撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅に基づいて、以後に形成される集合体ごとの重量のばらつきが小さくなるように、前記設定数を自動的に変更する自動変更手段を設けたことを特徴とする食品切断装置とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記塊状食品の先端部の縦幅を検出する縦幅検出手段を設け、この縦幅検出手段によって検出された塊状食品の先端部の縦幅と、前記撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅とに基づいて、前記設定数を自動的に変更する構成とした請求項1に記載の食品切断装置とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅のみに基づいて、前記設定数を自動的に変更する第1状態と、前記縦幅検出手段によって検出された塊状食品の先端部の縦幅と、前記撮像手段による撮像結果から得られた集合体の横幅とに基づいて、前記設定数を自動的に変更する第2状態とに切り替え可能に構成した請求項2に記載の食品切断装置とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記設定数の変更に応じて各食品片を並べるピッチを自動的に変更し、各集合体の全長を設定された長さに形成する構成とした請求項1または請求項2または請求項3に記載の食品切断装置とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記撮像手段自体に、撮像した集合体の横幅を演算してその演算結果を出力する機能を備えた請求項4に記載の食品切断装置とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記撮像手段による複数の撮像結果から得られた各集合体の横幅の変化傾向に基づいて、以後の集合体を形成すべき食品片の数を予測し、この予測結果に基づいて前記設定数を変更する構成とした請求項4に記載の食品切断装置とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記集合体を自動的にコンベア上から採取して設定領域に移載するロボットを備え、このロボットに備えた第1制御装置によって前記設定数を演算し、この演算結果を前記自動変更手段を有する食品切断装置側の第2制御装置に送信する構成とした請求項4に記載の食品切断装置と食品移載用のロボットを備えた食品切断移載システムとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、形成される集合体の重量を設定範囲内に自動的に調整でき、手作業での重量調整を少なくして生産能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態における食肉切断装置(食品切断装置)の側面図。
図2】実勢形態における食肉切断装置の平面図。
図3】実施形態における食肉切断装置の伝動機構を示す側面図。
図4】実施形態における食肉切断装置の伝動機構説を示す平面図。
図5】実施形態における食肉切断装置の供給部の側面図。
図6】実施形態における食肉切断装置の供給部の平面図。
図7】実施形態における食肉切断装置の要部の作動状態説明用の側面図。
図8】実施形態における食肉切断装置の要部の説明用平面図。
図9】実施形態におけるロボットの概略側面図。
図10】実施形態における食品切断移載システムの概略平面図。
図11】実施形態における食品移載用のロボットに備えたハンド装置の説明用左側面図。
図12】実施形態における食品移載用のロボットに備えたハンド装置の説明用右側面図。
図13】実施形態における食品移載用のロボットに備えたハンド装置の説明用平面図。
図14】実施形態における食品移載用のロボットに備えたハンド装置の説明用底面図。
図15】実施形態における食品移載用のロボットに備えたハンド装置の説明用背面図。
図16】帯状部材の平面図。
図17】実施形態における一部の作用状態を示す図であって、(a)は集合体の両端部を折り畳む前の状態の説明用正面図、(b)は集合体の両端部を折り畳んだ状態の説明用正面図。
図18】着脱装置の平面図。
図19】着脱装置の底面図。
図20】着脱装置の一部を断面して示す背面図。
図21】着脱装置の右側面図。
図22】着脱装置の左側面図。
図23】実施形態における食品切断移載システムのブロック図。
図24】実施形態におけるスライサーコントローラによる並列制御のフローチャートの前段部。
図25】実施形態におけるスライサーコントローラによる並列制御のフローチャートの後段部。
図26】実施形態における集合体形成状態の説明用平面図。
図27】実施形態における集合体形成状態の説明用側面図。
図28】薄肉の縦幅と集合体の重量との関係を概念的に示す説明図。
図29】ロボットコントローラによる第1状態の並列枚数演算を示すフローチャート。
図30】ロボットコントローラによる第2状態の並列枚数演算を示すフローチャート。
図31】集合体を形成する薄肉の調整枚数の説明図であって、(a)は第1状態における調整枚数の説明図、(b)は第2状態における調整枚数の説明図。
図32】集合体の最大横幅と集合体の重量との関係を概念的に示す説明図。
図33】実施形態におけるロボットによる移載作業開始準備制御のフローチャート。
図34】実施形態におけるロボットによる移載制御のメインフローチャート。
図35】実施形態における移載制御のサブフローチャート。
図36】実施形態におけるハンド装置の軌道説明用の側面図。
図37】集合体の移載状態の説明図であって、(a)は移載開始状態の説明用平面図、(b)は移載途中の状態の説明用平面図。
図38】洗浄モードのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態において、食品切断装置の一例として、チルド状態の生の塊状肉(豚バラ、豚ロース等。請求項の「塊状食品」)を切断加工するスライサー1を例示して説明する。
この塊状肉をスライサー1によって所定の厚みに切断して薄肉(請求項の「食品片」)mtが形成される。
そして、順次形成される薄肉mtを少なくともその一部が互いに重なるようにコンベア上に並列させて、薄肉mtの集合体MTが形成される。
なお、薄肉mtは、スライサー1によって、切断後に二つ折りに折り畳まれたとしてもよい。
なお、この食品は、塊状肉に限定されず、他の食品であってもよく、柔軟性や粘着性を有する食品生地等であってもよい。
【0018】
(スライサーの基本構成)
図1図2に示すように、スライサー(請求項の「食品切断装置」)1は、供給部2と、切断部3と、引継部4と、折り畳み部5と、搬送部6と、これらを制御する制御部7を備える。
なお、切断部3の上方には、タッチパネル式の操作画面を備えた操作ボックス1Aを配置し、この操作ボックス1Aを支持する支持フレーム1Bの基部近傍の部位から、後述するエアシリンダーへ圧縮空気の供給を行なう供給管1Cを立設する。
この供給管1Cの上端は、食肉切断装置1を設置した工場内の圧縮空気供給設備へ接続
する。
【0019】
上述の供給部2は、作業者による塊状肉の投入を受けて前方へ搬送するものであり、切断部3は、供給部2の前端部から前方へ突出した塊状肉の前端部を所定の厚さに切断するものである。
搬送部6は、切断部3で切断され並列した集合体MTを、前方へ搬送するコンベアである。
制御部7は、各部を駆動する電動モーターやエアシリンダー等の作動状態を制御するものである。
なお、衛生上の観点から、各部は主にステンレス鋼を用いて構成し、ステンレス製のカバーで覆っている。
図4図8は、このカバーを取り外した状態を示す。
【0020】
(供給部)
図3図6に示すように、供給部2は、平面視で矩形に枠組みされた枠体8と、この枠体8に対して取り付けられ、手作業で供給された塊状肉を前方へ搬送する塊状肉搬送装置9を備える。
この塊状肉搬送装置9には、枠体8の左右両側部に左右の側壁10,10を立設し、この左右の側壁10,10の後端部から、左右の支点軸11,11の夫々を外側方へ突出する姿勢で固定する。
この左右の支点軸11,11は、同一軸心上に配置し、その両端部を、左右のベアリング12,12を介して機台KD側に支持する。
【0021】
(供給部の揺動機構)
図4に示すように、機台KDにおける枠体8の下方の部位に揺動用電動モーター13を取り付け、この揺動用電動モーター13の出力軸14にクランクアーム15の一端部を取り付ける。
そして、このクランクアーム15の他端部に軸支したベアリング16と、枠体8における支点軸11,11よりも前側下方の部位に支持したベアリング17を、連動ロッド18の両端に備えた円筒部(図示省略)に篏合して固定する。
これによって、供給部2は、搬送終端側となる前端部ほど低くなるように、前下がりに傾斜した姿勢で支持される。
揺動用電動モーター13を駆動すると、供給部2が支点軸11を中心として斜め上下方向に揺動し、供給部2の前端部は、支点軸11を中心とする円弧軌跡上を往復移動する。
【0022】
(供給部の搬送通路)
図4図6に示すように、枠体8には、左右両端部に有した側壁10,10の間に1つの仕切壁19を一体的に備える。
これら2つの側壁10,10と1つの仕切壁19の間に2つの搬送通路20,20が形成される。
なお、図6に示すように、左右両端部に有した側壁10,10を、その前部と後部において、2つの搬送通路20,20の上方を跨いで配置された門型またはアーチ形状の補強フレーム21,21で連結し、枠体8の剛性を確保する。
【0023】
(供給部のコンベア)
図3図4図6に示すように、塊状肉搬送装置9は、2つの搬送通路20,20のそれぞれに、塊状肉搬送用の広幅の下部コンベア22を設けて構成する。
この下部コンベア22は、2つの搬送通路20,20の底部を形成し、塊状肉を載せて搬送するものである。
下部コンベア22は、前端ローラー23および後端ローラー24と、これら前端ローラー23と後端ローラー24に巻き掛けられる粗雑面を有した下部無端ベルト25と、この下部無端ベルト25に張力を付与する前後方向中間部のテンションローラー26とから構成する。
【0024】
前端ローラー23は、左右のフレーム(図示省略)の前端部に固定された左右方向の軸に対して、回転自在に支持する。
この左右のフレームは一体的に構成され、枠体8の下部に着脱自在な構成とする。
後端ローラー24は、左右のフレームの後端部に軸受された左右方向の下部駆動軸27に固定する。
テンションローラー26は、枠体8の前後方向中間部に配置し、下部無端ベルト25の下側巻回域の上面に当接させ、下方へ弾発付勢する。これによって、下部無端ベルト25に、搬送に適した張力が付与される。
また、テンションローラー26を弾発付勢する構成に代えて、テンションローラー26の高さを調節して固定する構成としてもよい。
【0025】
なお、前端ローラー23、後端ローラー24、テンションローラー26、下部無端ベルト25は、左右の側壁10,10の内側面間隔よりも幅広に形成し、その左右両端部の夫々を、左右の側壁10,10の下側に入り込ませる。
また、枠体8における前端ローラー23とテンションローラー26の間、および、テンションローラー26と後端ローラー24の間には、下部無端ベルト25の上側巻回域の下面を摺接支持する摺接板体(図示省略)を取り付ける。この摺接板体は、左右の側壁10,10の内側面間にわたる広幅に形成する。
また、下部無端ベルト25の上面は、仕切壁19の直下に、当接しない程度の隙間を有した状態で配置する。
これにより、下部無端ベルト25の上面は、上述の2つの搬送通路20,20の底部を形成するものとなる。
【0026】
(供給部の押圧板)
図4図6に示すように、左右の支点軸11,11における側壁10,10とベアリング12,12の間の部位には、左右の押圧アーム28,28の基部を軸受支持する。
これによって、左右の押圧アーム28,28は左右の側壁10,10の外側に上下揺動自在に配置される。
この左右の押圧アーム28,28の前端には、搬送通路20,20の前端部上側に臨む押圧板29,29をそれぞれ取り付ける。
この押圧板29,29は、左右の押圧アーム28,28の前端部に取り付けた取付ステー30,30に対してノブボルト30N,30Nで締結固定する。
【0027】
なお、この取付ステー30,30は、押圧アーム28,28の前端部(自由端部)から上方へ延出した後、搬送通路20,20の上方へ向けて屈折する。
押圧板29,29は、取付ステー30,30に締結固定される上面部と、この上面部の前端から前下がり傾斜する斜面部と、この斜面部の前端から前方へ延出する押圧面部を有する板体である。
また、図3図5に示すように、枠体8における左右の側壁10,10からステー30T,30Tを立ち上げ、このステー30T,30Tに左右のエアシリンダー30S,30Sのシリンダー部を左右方向の軸30Y,30Yで回動自在に軸支する。これによって、エアシリンダー30S,30Sは上下方向の姿勢として取り付けられる。
【0028】
そして、このエアシリンダー30S,30Sのピストンの先端を、左右の押圧アーム28,28の前部に左右方向の軸心回りに回動自在に軸支する。
このエアシリンダー30S,30Sが伸長作動すると、押圧アーム28が下方回動し、押圧板29,29が下方の下部無端ベルト25の上面に向けて押圧され、この押圧板29,29の押圧面部によって搬送通路20,20の前部まで搬送された塊状肉の前端部を押圧する。
すなわち、このエアシリンダー30S,30Sの伸長および短縮のタイミングを、支点軸11を中心とする供給部3の揺動に同調するように制御する。
これにより、供給部2の上昇揺動によって塊状肉の前端部が切断部3で切断される直前に、エアシリンダー30S,30Sが伸長して、この塊状肉の前端部を押圧し、切断時の位置ずれを防止する。
切断後、このエアシリンダー30S,30Sが短縮して塊状肉の押圧が解除され、下部無端ベルト25の駆動によって、塊状肉の前端が後述する受板に当接するまで送り出される。
【0029】
(供給部の伝動)
図4に示すように、供給部2における枠体8の下面側に、搬送用電動モーター31を左右方向に向けて取り付け、この搬送用電動モーター31の左右方向の出力軸に出力ギヤ32を固定する。
そして、この出力ギヤ32を、枠体8の後部に軸受された中間ギヤ33に噛み合わせ、この中間ギヤ33を、下部駆動軸27の左側端部に固定した入力ギヤ34に噛み合わせる。
【0030】
(供給部における切断関連部)
図5図6に示すように、供給部2における枠体8の前端部に、2つの開口部35,35を有する枠部材36をボルト37で締結固定する。
この枠部材36は、左右両端部にボルト孔を有した取付部を備え、この左右の取付部の間に、2つの矩形の開口部35,35を貫通させて形成する。
これら2つの矩形の開口部35,35の間には、上下方向の桟部が形成される。
この桟部の前面を含み、枠部材36における左右の開口部35,35の外側前面には、各開口部35の左右側縁と底部側縁の3縁を連続的に囲う摺接縁部40,40を前方へ隆起させて形成する。
【0031】
この摺接縁部40,40の前面は、側面視で供給部2の支点軸11を中心とした円弧状に形成する。
また、この摺接縁部40,40の上部前面は後上がりした傾斜面とし、供給部2の上昇揺動時に、後述する無端状帯刃を摺接縁部40,40上に摺接案内する。
なお、各開口部35,35の底部側縁の上縁は刃物状に形成する。
【0032】
(切断部の受板)
図3図7に示すように、上述の枠部材36の揺動軌跡の前側に対向する位置に、2つの開口部35,35から送り出される塊状肉の前端部を受ける受板43を配置する。
この受板43の後面の全面またはその一部の面を、側面視で供給部2の支点軸11を中心とした円弧に沿う曲率に形成する。
これにより、上述の枠部材36の摺接縁部40,40の前面と、受板43の後面は、側面視において同一または近似した曲率の円弧形状となる。
【0033】
(切断刃)
図4に示すように、切断部3には、切断用電動モーター44と、この切断用電動モーター44の出力軸45に取り付けた駆動プーリー46と、従動軸47に取り付けた従動プーリー48と、駆動プーリー46と従動プーリー48にわたって巻き掛けられる鋼製の無端状帯刃49を備える。
切断刃用電動モーター44は、2つの開口部35,35から左側方へ離れた部位に固定する。
一方、従動軸47は、2つの開口部35,35から右側方へ離れた位置にベアリング50を介して回転自在に支持し、エアシリンダー(図示省略)の作動によって左右方向へ位置調節できるように機台KD側に支持する。
なお、出力軸45と従動軸47は、同一の前上がり傾斜姿勢として平行に保持する。
これにより、エアシリンダーを作動させて駆動プーリー46と従動プーリー48の間隔を縮小すれば、この2つのプーリー46,48に無端状帯刃49の巻き掛け作業および取り外し作業を容易に行うことができる。
【0034】
無端状帯刃49を駆動プーリー46と従動プーリー48に巻き掛けた状態で切断用電動モーター44を起動すると、出力軸45における軸心の前上方延長線方向から見て、駆動プーリー46が反時計回りに駆動回転する。
また、無端状帯刃49を介して従動プーリー48も反時計方向に従動回転する。
これによって、無端状帯刃49の下側巻回域では、無端状帯刃49が従動プーリー48側から駆動プーリー46側へ(右から左へ)周回移動する。
したがって、この下側巻回域では、無端状帯刃49は緊張状態で周回移動することとなり、この無端状帯刃49の下側巻回域を塊状肉の切断作用域として使用する。
また、このように周回移動する無端状帯刃49に塊状肉の切断抵抗等によって過負荷が掛かった場合には、従動軸47に出力軸45側へ向かう方向の力が掛かるが、この従動軸47を移動調節するエアシリンダー内の空気が圧縮されることによって、過負荷による破損を防止することができる。
【0035】
なお、無端状帯刃49の一側縁を鋭利な刃縁に形成する。
また、無端状帯刃49を案内する案内部材を、駆動プーリー46と従動プーリー48の間における受板43の上方の位置に配置する。
この案内部材は、左右方向に長尺の板体の下縁部に、下向きに開口した左右方向の溝を形成し、この溝に、無端状帯刃49の刃縁のない側縁部分を左右方向へ摺動自在に嵌入させるものである。
そして、この案内部材の姿勢を固定することで、無端状帯刃49の巻き掛け面が後下がり傾斜した設定姿勢に保持され、この無端状帯刃49の刃縁と受板43の上端との間に間隔部が形成される。
なお、案内部材によって無端状帯刃49の内面と外面が摺接支持されるため、周回移動時の傾斜姿勢が安定する。
【0036】
(切断部の支持、第1支持部材、第3支持部材)
図3に示すように、機台KDの上部左右両側に、2つの平板状のレール52,52を、前後方向に向け、左右方向に間隔をおいて固設する。
また、平面視で矩形に枠組み形成した第3支持部材53の下部には、その前部の左右両側に、各2個のローラー54を天秤揺動式に支持する。
また、この第3支持部材53の下部における後部の左右両側には、各1個のローラー54を軸支する。
第3支持部材53を機台KD上に搭載した状態で、全6個のローラー54が左右のレール52,52の上面に載置され、第3支持部材53が機台KDに対して前後方向へ移動自在に支持される。
【0037】
この第3支持部材53の上側に、平面視で矩形に枠組み形成した第1支持部材55を配置し、この第1支持部材55の前後左右の4箇所に、4つの上部リンクアーム56の上端部を左右方向の上部軸57回りに回動自在に軸着する。
この4つの上部リンクアーム56の下端部は、第3支持部材53における前後方向中央部と後部に軸受支持した左右方向の下部軸58,58の左右両端部にそれぞれ固定し、左右の上部リンクアーム56,56が下部軸58,58回りに一体的に回動するように構成する。
また、これら4つの上部リンクアーム56の下端部には、下部リンクアーム59の上端部を連結固定する。これにより、下部リンクアーム59と上部リンクアーム56は、左側面視で逆く字形状を呈する。
【0038】
また、前後の下部リンクアーム59,59の下端部に設けた左右方向の軸59P,59Pと第3支持部材53前部と後部に設けた軸53P,53Pの間を、前後の引張スプリング60,60で夫々連結し、この引張スプリング60,60の収縮方向への弾発力で第1支持部材55を上昇方向へ付勢する。
そして、第3支持部材53に、電動モーター61の基部を左右方向の軸心回りに軸支し、この電動モーター61によって回転駆動される螺子軸63に雌螺子部材64を螺合する。
また、この雌螺子部材64と共に移動する中間部材64aの先端部を、第1支持部材55の前後方向中間部に備えた左右方向のフレーム55a側のステー55bに、左右方向の軸65で回動自在に軸着する。
【0039】
この電動モーター61の駆動によって螺子軸63が回転すると、これに螺合する雌螺子部材64が螺子軸63の軸心方向に移動し、中間部材64aを介して第1支持部材55のフレーム55aを押し引きし、第1支持部材55が第3支持部材53に対して移動する。
この第1支持部材55の移動軌跡は、前後の上部リンクアーム56の上端部の揺動軌跡の設定によって決定される。
すなわち、4つの上部リンクアーム56の長さは全て同じ長さに形成し、第3支持部材53に対する前側の下部軸58の軸受位置を、第3支持部材53に対する後側の下部軸58の軸受位置よりも高く設定する。
そして、前側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜を、後側の左右の上部リンクアーム56,56の後下がり傾斜よりも緩く設定する。
これによって、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
【0040】
しかして、第1支持部材55の後部には、左右の側板66,66を有した後部支持台67の下端部をボルト締結によって固定する。
また、この左右の側板66,66の下部間は、左右方向の丸棒状のフレーム68,68で連結して補強する。
また、左右の側板66,66の上方延出部の間は、左右方向のフレームで連結する。
図3に示すように、左右の側板66,66の上部後側の部位に、前上がり傾斜した斜辺部を形成し、この斜辺部に、上述の受板43の前面における左右両端部から前方へ突設したステー70,70をナット71で締結して固定する。
これによって、受板43が第1支持部材55上の定位置に固定される。
なお、第3支持部材53を機台KDに対して前方へ移動させると、受板43が開口部35から離間し、この受板43と開口部35の間にメンテナンス用の空間が形成され、この空間を利用して切断部3および後述する搬送部6等のメンテナンスを行なうことができる。
【0041】
(切断される薄肉の厚さ調節)
電動モーター61を駆動すると、第1支持部材55およびこれに一体的に支持された受板43が、上部リンクアーム56,56の揺動軌跡に拘束される方向に移動する。
すなわち、切断される薄肉mtの厚さを厚くする場合には、第1支持部材55を前方へ移動させることになるが、このとき、第1支持部材55が前下がりに傾斜しながら前側下方へ移動する。
このとき、第1支持部材55に支持された受板43の後面は、前方へ傾倒するように姿勢変化する。
この結果、摺接縁部40,40の前面と受板43の後面との間隔変化に拘らず、側面視において、受板43の後面が、摺接縁部40,40の揺動中心である支点軸11を中心とする円弧(仮想上の円弧)上に位置する状態が維持される。
【0042】
すなわち、支点軸11から受板43の後面の上端までの距離と、支点軸11から受板43の後面の下端までの距離が等しい状態を維持しながら、摺接縁部40,40の前面と受板43の後面との間隔が調節される。
これによって、切断される薄肉mtの厚さが全面にわたって略均一な厚さで調節される。
なお、側面視における摺接縁部40,40の前面の曲率と、受板43の後面の曲率を略等しくしている。
このため、厳密には、上述の厚さ調節を行なうと、支点軸11から受板43の後面の上端および下端までの各距離と、支点軸11から受板43の後面の上下方向中間部までの距離とが僅かに相違したものとなる。
【0043】
しかしながら、この僅かな相違は、切断された薄肉mtの商品価値に影響するほどのものとはならない。
また、このように受板43を前方へ傾倒させながら前側下方へ移動させる構成は、この実施例のように、支点軸11を中心とする摺接縁部40,40の円弧軌跡の下側領域で塊状肉を切断する構成の場合に適用される。
【0044】
(切断部の引継回転体)
図3図4図7に示すように、左右の側板66,66の上部間には、同一軸心上で独立して回転する左右の引継回転体72,72を設ける。
この左右の引継回転体72,72は、胴体73の外周部に、多数の鋭利な突起を形成した環状板74を、互いに間隔をおいて多数配列したものであり、この胴体73,73を、左右の側板66,66にわたって架設した支持軸75上に回転自在に軸受支持する。
なお、この環状板74の周縁部に形成される突起は、切断後の薄肉mtに突き刺さるほどに尖った尖端を有する。
また、図4に示すように、左右の側板66,66の上部外側面に引継用電動モーター76,76を取り付け、この引継用電動モーター76,76によって駆動される出力軸77,77を、左右の側板66,66に穿設した孔を通して各側板66,66の内側方へ突出させる。
【0045】
この出力軸77,77の突出端部に出力ギヤ78,78を固定し、左右の胴体73,73の外側端部に入力ギヤ79,79を固定し、この出力ギヤ78,78と入力ギヤ79,79を噛み合わせる。
なお、環状板74の周縁部の一部を、受板43の上部に形成した上下方向のスリットに侵入させ、この周縁部に形成した突起を切断中および切断後の薄肉mtに突き刺すようにして引継回転体72,72上に引き継ぐ。
この際の開口部35,35の上動速度と引継回転体72,72の環状板74,74の外周速度を同方向および同速度に設定することで、切断された薄肉mtを円滑に引継搬送することができる。
【0046】
(折り畳み装置)
図3図4図7に示すように、上述の支持軸75の前側下方に、左右の揺動用電動モーター80,80によって往復回転する左右の棒状体81,81を配置する。
この左右の棒状体81,81には、長手方向に所定の間隔をおいて多数の細杆82,82を植設する。
この多数の細杆82,82は、支持軸75の回動開始前において、上述の隣接する環状板74,74の間に侵入し、この環状板74,74の上側周面に係止されて搬送される薄肉mtに干渉しない待機位置に格納される。
また、左右の揺動用電動モーター80,80と左右の棒状体81,81をユニット化する。
【0047】
そして、図7に示すように、この左右のユニット83,83を、左右の側板66,66の外側部に前上がりに傾斜させて平行に取り付けた2本の丸棒状の案内レール83L,83Lに対して、その長手方向に摺動自在に支持する。
更に、左右の側板66,66の外側部に取り付けた左右の出退用電動モーター84,84から動力が供給されるギヤケース84G,84Gの出力軸に、クランクアーム85,85の一端部を取り付け、このクランクアーム85,85の他端部とユニット83,83にターンバックル式のロッド86,86の両端部を軸着する。
これにより、左右の棒状体81,81に植設された多数の細杆82,82は、左右の揺動用電動モーター80,80の作動によって傾斜姿勢が前後方向へ反転するように往復揺動する。
また、これら多数の細杆82,82は、左右の出退用電動モーター84,84の作動によって、ユニットごと案内レール83L,83Lに案内されながら、前上がり傾斜方向へ往復摺動する。
【0048】
(押圧装置)
図4図7に示すように、左右の側板66,66の上部間を連結する左右方向のフレーム69の中央部に、エアシリンダー87のシリンダー部を斜め上下方向に向けて取り付ける。
そして、このエアシリンダー87のピストン先端部に、左右方向に延在する押圧部材88の左右方向中央部を取り付ける。
この押圧部材88には、弾性を有した線材を山型に湾曲させて形成した4つの線状押圧部材89を、その一端を押圧部材88に固定し、他端を押圧部材88に穿設した孔に摺動自在に挿入して取り付ける。
【0049】
この状態において、各2つの線状押圧部材89どうしが交錯し、4つの線状押圧部材89の湾曲部が下端に位置する姿勢となる。
エアシリンダー87の伸長作動によって押圧部材88が下方へ移動すると、この線状押圧部材89の下縁によって、折り畳まれた薄肉mtの上面が押圧される。
この後、エアシリンダー87の短縮作動によって押圧部材88が上方へ移動するとき、4つの線状押圧部材89の湾曲部によって、折り畳まれた2列の薄肉mtの夫々を、2点で同時に押圧する構成である。
【0050】
(薄肉の折り畳みと集合体の形成)
上述の揺動用電動モーター80,80が作動して多数の細杆82が待機位置から前方へ揺動すると、引継回転体72の環状板74の上側周面に載って搬送されてくる薄肉mtが、この多数の細杆82の先端部で環状板74の周面から剥ぎ取られる。
このとき、左右方向に並ぶ多数の細杆82の先端部が薄肉mtの下面の前後方向中央部に当接し、この薄肉mtの前後方向中央部を押し上げ、更に前方へ揺動する。
これによって、薄肉mtの前後両端部が自重で垂れ下ることにより、この薄肉mtは多数の細杆82の先端部が当接した位置で折り曲がり、二つ折りとなって、後述する搬送方向上手側(後側)の搬送作用部上に置かれる。
このとき、エアシリンダー87が伸長作動し、押圧部材88が下方へ移動し、この押圧部材88の下縁によって、二つ折りになった薄肉mtが押圧される。
【0051】
この押圧状態で、出退用電動モーター84,84が作動し、左右の棒状体81,81が、左右の揺動用電動モーター80,80ごと後側下方へ摺動し、二つ折りの薄肉mtに挟まれていた多数の細杆82が瞬時に抜き出される。
この後、線状押圧部材89の湾曲部で二つ折りの薄肉mtの上面を下方へ押し離しながら、押圧部材88が上方へ退避する。
このような薄肉mtの折り畳みを繰り返すことによって、図8に示すように、折り畳まれた複数の薄肉mt(図8では6枚の薄肉mt)が、その一部どうしが上下に重なるように、搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、薄肉mtの集合体MTが形成される。
また、後述する搬送部6の搬送速度を断続的に増減速する制御、または、引継回転体72の回転速度と細杆82の揺動タイミングが同期した状態を保ちながら、この細杆82が揺動する時間間隔を断続的に変更する制御等によって、一つの集合体MTと次の集合体MTとの間に所定の間隔が形成される。
【0052】
(搬送部)
図3図4に示すように、搬送部6は、後端部従動ローラー90と、後部従動ローラー群91と、駆動ローラー92及びこの前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93と、駆動ローラー92の上方に配置した上部従動ローラー92Uと、後述する往復移動コンベア95を形成する従動ローラー群とにわたって無端ベルト(請求項の「コンベア」)96を巻き掛けて構成する。
なお、無端ベルト96の上側巻回域における各ローラー間には、この無端ベルト96の内周面を摺接支持する摺接支持板体(図示省略)を設ける。
これによって、搬送始端部から搬送終端部にわたる一連の搬送作用域が形成される。
【0053】
(搬送方向上手側の搬送作用部)
図3に示すように、第1支持部材55の前後方向中間部上に左右の非対称形状の板体97,97からなる中間支持台98を搭載する。
すなわち、この左右の板体97,97の下端部に前後方向の軸受穴を有したボス部材を固定し、第1支持部材55の左右両側面部に丸棒状の摺動案内杆の前後両端部を固定し、ボス部材を摺動案内杆に対して前後方向に摺動可能に篏合させる。(ボス部材、摺動案内杆は、いずれも図示省略)
また、摺動案内杆に対するボス部材の摺動位置を固定および固定解除するロック装置(図示省略)を設ける。
左右の板体97,97からなる中間支持台98を摺動範囲の後端まで摺動させ、この位置でロック装置をロックすると、無端ベルト96の巻き掛け周長が拡大し、この無端ベルト96が張られて搬送可能な状態となる。
一方、ロック装置をロック解除し、中間支持台98を前方へ摺動させると、無端ベルト96の巻き掛け周長が縮小して無端ベルト96が弛み、この無端ベルト96を脱着可能な状態となる。
【0054】
しかして、中間支持台98における左右の板体97,97の前部に、左右の支持ステー101,101の基部を固定し、この左右の支持ステー101,101の後方延出端部に、左右方向長尺の支持軸102の左右両端部を上下回動自在に軸受支持する。
図3図4に示すように、この支持軸102には、左右方向に広幅に形成した上述の後端部従動ローラー90を回転自在に支持する。
これによって、後端部従動ローラー90は、上述の切断部3における間隔部の前側下方に位置する。
また、この支持軸102の左右両端部には、上辺部と下辺部に分岐形成した揺動アーム103,103の頂部を、それぞれ上下回動自在に軸受支持する。
この揺動アーム103,103における左右の上辺部の間には、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URを回転自在に軸支し、揺動アーム103,103における左右の下辺部の間に、2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRを回転自在に軸支する。
これによって、上述の後部従動ローラー群91が形成され、この後部従動ローラー群91が、後端部従動ローラー85の前側に配置される。
【0055】
また、右側の揺動アーム103の頂部から作動アーム104を一体的に垂下させて設ける。
一方、中間支持台98における右側の板体97の右側面に、上下動用電動モーター105から伝動されるギヤケース106を固定し、このギヤケース106の出力軸107にクランクアーム108の一端部を取り付ける。
そして、作動アーム104の先端部(下端部)とクランクアーム108の他端部を、ターンバックル式の連動ロッド109で軸着連結する。
この構成により、上下動用電動モーター105が正転駆動すると、クランクアーム108と作動アーム104が連動して回動し、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として上方回動する。
【0056】
これによって、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが上昇して無端ベルト96の上側巻回域の内面を押し上げ、一連の搬送作用域における搬送方向上手側の搬送作用部6Fの搬送始端部(後端部)に、前上がりに傾斜する急傾斜面が形成される。
この後、上下用電動モーター105が逆転駆動すると、左右の揺動アーム103,103が支持軸102の軸心を中心として下方回動し、2つの後部上側従動ローラー91UF,91URが下降して元の位置に復帰する。
これによって、無端ベルト96の前部が元の位置まで下がり、搬送作用部6Fの搬送始端部は緩傾斜面に復帰する。
このとき、下降する2つの後部下側従動ローラー91DF,91DRによって無端ベルト96の下側巻回域の内面を押し下げることによって、無端ベルト96の弛みが防止される。
【0057】
駆動ローラー92は、中間支持台98における左右の板体97,97の間に配置し、その回転軸110の左右両端部を、ベアリング111,111を介して左右の板体97,97に軸受支持する。
右側の板体97の右側面に、搬送駆動モーター112から動力が供給されるギヤケース113を固定し、このギヤケース113の出力軸に駆動ローラー92の回転軸を連結する。
駆動ローラー92の前後に近接して配置した2つの従動ローラー93,93は、駆動ローラー92よりも高い位置に配置し、左右のベアリング114,114で左右の板体97,97間に軸受支持する。
【0058】
そして、無端ベルト96を、この2つの従動ローラー93,93の上側周面に巻き掛け、更にこの2つの間に配置した駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けることによって、駆動ローラー92の下側周面に巻き掛けられる無端ベルト96の巻き掛け周長を長くする。
これによって、駆動ローラー92に対する無端ベルト96の滑りが少なくなる。
また、上述の上部従動ローラー92Uは、中間支持台98における左右の板体97の上部間に取り付けた左右方向の軸(図示省略)に回転自在に軸受支持し、駆動ローラー92の上方に配置する。
しかして、上述の後端部従動ローラー90から上部従動ローラー92Uにわたる部位を主体として、搬送方向上手側の搬送作用部6Fが形成される。
【0059】
(第2支持部材)
図3に示すように、上述の第3支持部材53の後端部に、左右の板体115,115からなる前部支持台116を固設する。
すなわち、左右の板体115,115の下端部を第3支持部材53の後端部にボルト117,117で締結固定し、この左右の板体115,115の上端部を上述の中間支持台98における左右の板体97,97の上端部と同等の高さまで延設する。
なお、この前部支持台116は、上述の第1支持部材55との間に前後方向の空間を隔てて配置されており、この第1支持部材55および中間支持台98との直接的な連結関係はない。
【0060】
(搬送方向下手側の搬送作用部)
しかして、図3図4に示すように、前部支持台116(左右の板体115,115)の上部から、後方へ上下方向が狭幅の左右の延設板体118,118を、後方へ向けて一体的に延設する。
また、この左右の延設板体118,118の各内側面には、この内側面と間隔をおいて、前後方向の丸棒状のガイドレール119,119を配置し、この左右のガイドレール119,119の各前端部と後端部を、延設板体118,118の内側面にステー120,120を介して取り付ける。
そして、前後方向の左右の移動板体121,121と、この左右の移動板体121,121の前後両端部間を連結する前側連結棒および後側連結棒から、枠組みされた移動枠124を形成する。
この移動枠124における左右の移動板体121,121の前部上縁には前下がりに傾斜する傾斜縁部を形成する。
【0061】
そして、この傾斜縁部に沿って傾斜する前後方向の左右の斜設板体125,125の後端部を、左右の移動板体121,121間に架設した後部支持軸126の左右両端部に上下回動自在に軸支する。
この後部支持軸126には、左右方向に広幅の屈折部従動ローラー127を回転自在に篏合する。
また、左右の移動板体121,121の前端部に、上下方向の円弧状の長孔を形成し、この長孔にボルトを外側から挿通し、このボルトの先端部を左右の斜設板体125,125に設けたウエルドナット129に差し込んで、移動板体121と斜設板体125を共締めして固定する。
【0062】
このボルトを緩めることで、左右の斜設板体125,125の前下がり傾斜角度を調節することができる。
さらに、左右の斜設板体125,125の前端部外側に、左右の支持アームを取り付け、この左右の支持アームの前端部間を連結軸で連結する。
そして、この連結軸に左右方向に広幅の前端部従動ローラー133を回転自在に軸受支持する。
また、左右の移動板体121,121の後部下側の部位を前下方へ延設し、この左右の延設端部間に架設した軸に、左右方向に広幅の移動ローラー150を回転自在に軸支する。
この移動ローラー150は、移動枠124と共に移動し、前端部従動ローラー133の前後移動によって生じる無端ベルト96の巻き掛け周長の変化を吸収する。
【0063】
しかして、左右の移動板体121,121の外側面における前後2箇所にボス部材134,134を取り付け、このボス部材134,134を上述の左右のガイドレール119,119に前後方向摺動自在に篏合する。
そして、前部支持台116における右側の板体115の右側面に伸縮用電動モーター135から動力が供給されるギヤケース136を固定する。
このギヤケース136の出力軸137における右側の板体115の内側への突出端部に、上下方向姿勢の揺動アーム138の下端部を固定する。
この揺動アーム138の上端部と、前側連結棒における移動板体121から外側への突出端部に、ターンバックル式の連動ロッド139,139の前後両端部を軸着連結する。
以上により、伸縮用電動モーター135が駆動すると、移動枠124側に支持された屈折部従動ローラー127と前端部従動ローラー133が一体で前後方向に移動し、無端ベルト96の搬送終端部(前端部)が前後方向に位置変更する。
【0064】
この無端ベルト96における屈折部従動ローラー127から前端部従動ローラー133にわたる部位を、上述の往復移動コンベア95と称する。
また、図4に示すように、前部支持台116における左右の板体115の上部後側の部位に、テンションアーム140,140の基部(後端部)を回動軸141,141を中心として上下回動自在に軸支する。
このテンションアーム140,140の自由端部(前端部)には、広幅のテンションローラー142,142を回転自在に軸支する。
図示省略しているが、このテンションアーム140,140を前方へ水平に延出する姿勢に固定するロック装置を設けており、このロック装置をロック解除すると、テンションアーム140,140が下方回動する構成としている。
これにより、ロック解除してテンションアーム140,140を下方回動させると、テンションローラー142,142を含めた無端ベルト96の巻き掛け周長が短縮され、無端ベルト96が弛む。
【0065】
また、前部支持台116の後部における上下方向中間の部位に、無端ベルト96の内周面を転動案内する内側案内ローラー143と、無端ベルト96の外周面を転動案内する外側案内ローラー144を設ける。
そして、上述の第1支持部材55の前端部左右両側の部位に、支持ステー145,145をボルト146,146で締結固定し、この左右の支持ステー145,145間に架設された軸147に、左右方向に広幅の下部従動ローラー148を軸受支持する。
前述のように、切断される薄肉mtの厚さが増すように調節するとき、第1支持部材55が第3支持部材53に対して接近するほど(下降するほど)、この第1支持部材55の前部側が後部側よりも大きく下降し、第1支持部材55が前下がりに傾斜していく。
このとき、無端ベルト96の巻き掛け周長が短縮され、無端ベルト96が弛むことになるが、この第1支持部材55の前端部に設けられた下部従動ローラー148が前下方へ移動することで、無端ベルト96の周長変化が吸収される。
【0066】
しかして、上述の往復移動コンベア95を主体として、搬送部6における搬送方向下手側の搬送作用部6Rが形成される。
なお、搬送方向上手側の搬送作用部6Fから、この搬送方向下手側の搬送作用部6Rにわたって、無端ベルト96による一連の搬送作用域が形成される。
なお、上述の各ローラー間には、無端ベルト96における上側巻回域の下面を下から支える摺接板体(図示省略)を設けている。
【0067】
(スライサーの切断作動)
しかして、上述のように構成したスライサー1の切断作動について説明する。
まず、切断する塊状肉の種類や状態等に応じて作動条件を設定し、各部の設定条件等を変更し、後述する起動スイッチを操作する。
これによって、切断部3の無端状帯刃49の周回移動と、搬送部6の搬送駆動が開始される。
この初期状態において、供給部2は揺動範囲の下限に位置しており、この状態で供給部2に塊状肉を投入し、フィードスイッチをON操作すると、塊状肉搬送装置9が駆動を開始する。
これによって、投入された塊状肉は塊状肉搬送装置9の搬送作用を受けて前方へ搬送され、この塊状肉の前端部が受板43の後面に当接し、塊状肉の前端部の位置が規制される。
【0068】
そして、この状態から供給部2が上昇揺動するにつれて、塊状肉における左右の開口部35から突出した前端部に、右側から左側へ周回移動する無端状帯刃49の刃縁が上側から切り込んでいく。
このとき、塊状肉の前端部が受板43によって位置規制されているので、無端状帯刃49によって塊状肉の前端部が均一な厚みに切断される。
供給部2が揺動範囲の上限近くの位置まで上昇揺動すると、塊状肉の前端部が無端状帯刃49によって切り離される。
そして、この所定の厚さに切断された薄肉mtが、受板43の上端と無端状帯刃49の下端との間に形成された間隔部を通過して、受板43の前側に配置された左右の引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれる。
そして、供給部2は揺動範囲の下限位置まで下降揺動して初期状態に復帰し、この後、供給部2は再び上昇揺動し、上述の塊状肉の切断が繰り返される。
【0069】
このようにして引継回転体72,72の環状板74,74の上側周面に引き継がれた薄肉mtは、揺動する多数の細杆82の先端部によってその中間部が突き上げられ、自重で二つ折りになりながら、環状板74の周面から剥ぎ取られる。
なお、細杆82の揺動タイミングを制御することで、薄肉mtを二つ折りにせずに環状板74の周面から剥ぎ取る状態に切り替えることができる。
後述する薄肉mtの並列制御では、薄肉mtを二つ折りにしない状態を主体として説明する。
以上のようにして、薄肉mtの一部どうしが上下に重なるように搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、2列の薄肉mt,mtの集合体MT,MTが形成される。
この2列の集合体MT,MTにおいて、各列における集合体MTと次の集合体MTとの間には、所定の間隔(集合体間隔)Pが形成される。
【0070】
このような切断作動において、切断される薄肉mtの厚さを調節するために、肉厚調節用の電動モーター61を作動させて受板43を開口部35に対して位置調節すると、この受板43と、搬送方向上手側の搬送作用部6Fを支持する第1支持部材55が前後方向に移動する。
しかし、搬送方向下手側の搬送作用部6Rを支持する前部支持台116は、機台KD側の第3支持部材53に一体的に取り付けられているため、受板43の位置調節の影響を受けて前後方向に移動することはない。
このため、切断する薄肉mtの厚さを調節しても、搬送部6における搬送方向下手側の搬送作用部6Rの位置は変化しない。
すなわち、受板43と、搬送部6における搬送方向上手側の搬送作用部6Fとの位置関係が変化しないので、切断されて折り畳まれた薄肉mtは、搬送作用部6Fに円滑に引き継がれて搬送される。
【0071】
なお、後述する切断移載制御では、供給部2における2つの搬送通路20,20のうちの左側の搬送通路20だけに塊状肉を供給し、無端ベルト96上における左側寄りの位置に1列の集合体MTが形成される状態を前提として説明する。
【0072】
(スライサーの制御装置)
図23に示すように、スライサー1の制御部7に備えたスライサーコントローラ(請求項の「第2制御装置」)200に対して、その入力側に、起動スイッチ201と、薄肉縦幅自動設定入り切りスイッチ202と、塊状肉縦幅手動設定スイッチ203と、並列長さ手動設定スイッチ204と、並列枚数手動設定スイッチ205と、並列枚数自動制御入り切りスイッチ206と、左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ(請求項の「縦幅検出手段」)207Lと、右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ(請求項の「縦幅検出手段」)207Rと、供給部揺動角度計測用ポテンショメータ208と、下部無端ベルト移動距離計測用センサ209と、左側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ210Lと、右側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ210Rと、左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ211Lと、右側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ211Rと、押圧部材作動用エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ212と、揺動アーム揺動角度検出用ポテンショメータ213と、コンベア移動距離計測用センサ214と、コンベア後端部進退位置計測用センサ215とを接続する。
【0073】
なお、スライサーコントローラ200の入力側に接続するスイッチ類は、操作ボックス1Aに備えたタッチパネルに図形、数字、文字等で表示され、タッチ操作によって操作されるものとする。
また、供給部2における左側の搬送通路20だけに塊状肉を供給する場合、左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Lの計測値のみが有効となり、右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Rの計測値は無視される。
【0074】
一方、コントローラ200の出力側には、切断用モータードライバ220と、揺動用モータードライバ221と、搬送用モータードライバ222と、左側引継用モータードライバ223Lと、右側引継用モータードライバ223Rと、左側揺動用モータードライバ224Lと、右側揺動用モータードライバ224Rと、左側出退用モータードライバ225Lと、右側出退用モータードライバ225Rと、エアシリンダー用バルブソレノイド226と、搬送駆動用モータードライバ227と、上下動用モータードライバ228と、伸縮用モータードライバ229とを接続する。
なお、供給部2における左側の搬送通路20だけに塊状肉を供給するため、右側専用の各ドライバへの出力は停止状態となる。
【0075】
(入力側に接続されたスイッチ/センサ類の説明)
上述のスライサーコントローラ200の入力側に接続された起動スイッチ201は、スライサー1全体を起動するためのものであり、スライサーコントローラ200の出力側からモータードライバ等へ指令信号を出力可能な状態に切り替えるためのものである。
この起動スイッチ201の入り操作によって、スライサーコントローラ200の出力側から、まず、切断用モータードライバ220と、揺動用モータードライバ221と、搬送用モータードライバ222と、左側引継用モータードライバ223Lと、右側引継用モータードライバ223Rへ指令信号が出力され、切断部3と供給部2と搬送部6の駆動が開始される。
【0076】
薄肉縦幅自動設定入り切りスイッチ202は、後述する薄肉縦幅自動設定を入り切りする(有効/無効に切り換える)ためのものである。
塊状肉縦幅手動設定スイッチ203は、切断前の塊状肉の縦幅を作業者が目視等で判断して入力(設定)するためのものである。
並列長さ手動設定スイッチ204は、切断作業を開始する前に、切断後の薄肉mtの並列長さ(集合体MTの全長。後述する並列長さ手動設定値E)を手動で変更設定するためのものである。
並列枚数手動設定スイッチ205は、切断作業を開始する前に、一つの集合体MTを形成する薄肉mtの枚数を手動で設定するためのものである。
並列枚数自動制御入り切りスイッチ206は、後述する並列枚数自動制御を入り切りする(有効/無効に切り換える)ためのものである。
【0077】
左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Lは、左側の塊状肉の搬送通路20の前部に配置された左側の押圧板29の上下動位置を計測するためのものであり、これによって左側の搬送通路20に供給された塊状肉の先端部の縦幅が計測される。
右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Rは、右側の塊状肉の搬送通路20の前部に配置された右側の押圧板29の上下動位置を計測するためのものであり、これによって右側の搬送通路20に供給された塊状肉の先端部の縦幅が計測される。
供給部揺動角度計測用ポテンショメータ208は、供給部2の上下揺動角度を計測するものである。
下部無端ベルト移動距離計測用センサ209は、搬送用電動モーター31の回転数等から、供給部2における下部無端ベルト25の移動距離(塊状肉の搬送距離)を計測するものである。
【0078】
左側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ210Lは、左側の引継回転体72の回転角度(ないし回転位相)を計測するものである。
右側引継回転体回転位相計測用ポテンショメータ210Rは、右側の引継回転体72の回転角度(ないし回転位相)を計測するものである。
左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ211Lは、左側の棒状体81の回転角度(ないし回転位相)を計測するものである。
右側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ211Rは、右側の棒状体81の回転角度(ないし回転位相)を計測するものである。
押圧部材作動用エアシリンダー伸縮位置計測用ポテンショメータ212は、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させるエアシリンダー87の伸縮量(ないし伸縮位置)を計測するものである。
【0079】
揺動アーム揺動角度検出用ポテンショメータ213は、搬送部6の始端部に設けられた揺動アーム103の上下揺動角度(ないし上下揺動位相)を計測するものである。
コンベア移動距離計測用センサ214は、搬送駆動モーター112の回転数等から、搬送部6における無端ベルト96の移動距離(ないし移動位置)を計測するものである。
コンベア後端部進退位置計測用センサ215は、伸縮用電動モーター135の回転数等から、搬送部6の搬送方向下手側の搬送作用部(第2搬送作用部)6Rの搬送終端部の移動位置を計測するものである。
【0080】
(出力側に接続されたドライバ等の説明)
また、上述のスライサーコントローラ200の出力側に接続された切断用モータードライバ220は、切断用電動モーター44に電力を供給して、無端状帯刃49を駆動制御するものである。
揺動用モータードライバ221は、揺動用電動モーター80に電力を供給して、供給部2を斜め上下方向に揺動駆動制御するものである。
搬送用モータードライバ222は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部6を駆動制御するものである。
左側引継用モータードライバ223Lは、左側の引継用電動モーター76に電力を供給して、左側の引継回転体72を駆動制御するものである。
右側引継用モータードライバ223Rは、右側の引継用電動モーター76に電力を供給して、右側の引継回転体72を駆動制御するものである。
左側揺動用モータードライバ224Lは、左側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた左側の棒状体81を揺動制御するものである。
右側揺動用モータードライバ224Rは、右側の揺動用電動モーター80に電力を供給して、多数の細杆82を備えた右側の棒状体81を揺動制御するものである。
【0081】
左側出退用モータードライバ225Lは、左側の出退用電動モーター84に電力を供給して、左側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
右側出退用モータードライバ225Rは、右側の出退用電動モーター84に電力を供給して、右側の棒状体81ごと細杆82を出退駆動制御するものである。
エアシリンダー用バルブソレノイド226は、エアシリンダー87に給排するエアー量を制御するバルブを作動させて、線状押圧部材89を備えた押圧部材88を上下動させるものである。
搬送駆動用モータードライバ227は、搬送駆動モーター112に電力を供給して、搬送部6の無端ベルト96を駆動制御するものである。
上下動用モータードライバ228は、上下動用電動モーター105に電力を供給して、揺動アーム103を上下揺動制御するものである。
伸縮用モータードライバ229は、伸縮用電動モーター135に電力を供給して、搬送部6の搬送方向下手側の搬送作用部6Rの搬送終端部を前後方向に移動制御するものである。
【0082】
(カメラ)
図9及び図10に示すように、スライサー1の無端ベルト96上の所定位置に、この無端ベルト96によって搬送されてきた集合体MTを後述するロボットによって採取する採取位置Tを設定する。
そして、この採取位置Tよりも上流側の上方の位置に、採取位置Tに搬送される前(採取される前)の集合体MTを撮像するカメラ(請求項の「撮像手段」)230を配置する。
このカメラ230は、スライサー1または後述するロボットのいずれに支持してもよい。
このカメラ230は、撮像した集合体MTの横幅(最大幅)を、画素数等から内蔵のプロセッサによって演算し、その演算結果を出力する機能を備える。これにより、このカメラ230が接続される制御装置側で演算処理する必要がなく、処理を高速化できる。
【0083】
(方向の定義)
以下の説明では、上述の搬送部6の搬送方向において、スライサー1側を上流側とし、その反対側を下流側とする。
また、各図において、「-Y」は上流側の方向を示し、「+Y」は下流側の方向を示す。
「+X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での右手側の方向を示し、「-X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での左手側の方向を示す。
「+Z」は上方向、「-Z」は下方向を示す。
X、Y、Zで示す方向は相互に直交し、それぞれが三次元座標軸となる。
【0084】
(ロボットの構成)
図9図10に示すように、ロボット240は、スライサー1の搬送部6に対して、その下流側の左側の位置に配置する。
このロボット240にはロボットアーム241が備えられ、このロボットアーム241は、複数の能動関節の軸J1~J6を中心として、全体の旋回および各部の回動を自在に構成する。
この能動関節の軸J1~J6の全てに、サーボモーター242~247を備え、これらのサーボモーター242~247のそれぞれに、回転位置検出器としてのエンコーダ248~253を備える。
また、このロボットアーム241は、基台241A、旋回ベース241B、ロアアーム241C、アッパアーム241D、リスト241E、及びハンド取付座241Fから構成する。
【0085】
基台241Aは、加工工場のフロアまたはスライサー1側に連結された支持台254上に固定し、この基台241Aには、鉛直方向の軸J1周りに旋回ベース241Bを旋回自在に設ける。
この旋回ベース241Bには、水平方向の軸J2周りにロアアーム241Cを上下回動自在に軸支し、このロアアーム241Cの上端には、水平方向の軸J3周りにアッパアーム241Dの基部241DAを上下方回動自在に軸支する。
この基部241DAの先端に取り付ける回転体241DBは、基部241DAの軸線に沿う軸J4の周りに回転自在に支持する。なお、軸J4は、軸J3と直交する。
そして、回転体241DBの先端には、リスト241Eを横方向の軸J5周りに回動自在に支持する。この軸J5は、軸J4と直交する。
このリスト241Eの先端には、後述するハンド装置取付用のハンド取付座241Fを上下方向の軸J6周りに旋回自在に装着する。
しかして、各軸J1~J6に備えたサーボモーター242~247は、後述するロボットコントローラからの出力によって駆動するように構成する。
【0086】
(ハンドの構成)
図11図15に、スライサー1によって形成された薄肉(豚バラ肉)mtの集合体MTを移載するためのハンド装置255を示す。
このハンド装置255には、上部ベルト256Uおよび下部ベルト256Dを含む採取部を備える。
すなわち、図14に示すように、左右の側板257L,257Rにおける前後方向中間部の間を、上下の丸棒状の連結部材258U,258Dで連結して枠組みする。
そして、平面視で矩形に形成した上側の支持板259Uの後端部から起立する左右の起立部260UL,260URの各外側面を、左右の側板257L,257Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
また、平面視で矩形に形成した下側の支持板259Dの後端部から垂下する左右の垂下部261DL,261DRの各外側面を、左右の側板257L,257Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
【0087】
これによって、上側の支持板259Uと下側の支持板259Dは、上下方向に所定の隙間をおいて平行な姿勢で配置される。
また、上側の支持板259Uと下側の支持板259Dの各前端部は、左右の側板257L,257Rに対して大きく前方へ突出する。
なお、図11図12に示すように、上側の支持板259Uの前端部が、下側の支持板259Dの前端部よりも前方に延在する。
また、左右の側板257L,257Rにおける前後方向中間部の間には、上側の回転枠体262Uの回転軸263Uと、下側の回転枠体262Dの回転軸263Dの各両端部を、ベアリング264,264を介して回転自在に軸受する。
これら上下の回転枠体262U,262Dは、各回転軸263U,263Dの両端部に円形の支持盤265UL,265UR,265DL,265DRを固定する。
【0088】
これら上側の左右の支持盤265UL,265URの間、および下側の左右の支持盤265DL,265DRの間に、上側の複数の棒状部材266Uと下側の複数の棒状部材266Dの夫々を溶接固定して構成する。
この棒状部材266U,266Dの夫々は、回転軸263U,263Dを中心とする円弧上に、この回転軸263U,263Dと平行な姿勢で、かつ、略等しいピッチで配置する。
また、図11図15に示すように、上下の回転枠体262U,262Dにおいて、左側の支持盤265UL,265DLの外周部の一部を切り欠き、切り欠き部267USP,267DSPを形成する。
そして、棒状部材266U,266Dのうちの一つの係止用棒状部材266UK,266DKを片持ち状態とし、この係止用棒状部材266UK,266DKの先端部を、上述の切り欠き部267USP,267DSPの夫々に臨ませる。
この切り欠き部267USP,267DSPと係止用棒状部材266UK,266DKの先端部との間の隙間を介して、上部ベルト256U および下部ベルト256Dの着脱が行なえる構成とする。
【0089】
また、図11図13図14に示すように、上下のテンションアーム268U,268Dの各前端部に、上下のテンションローラー269U,269Dを支持軸270US,270DSで回転自在に軸支する。
この上下のテンションアーム268U,268Dの後端部は、上述の上下の回転軸263U,263Dと同軸心で上下揺動自在に支持する。
なお、上下のテンションアーム268U,268Dは、右側の側板257Rの内側面に沿わせて配置する。
【0090】
また、支持軸270US,270DSの右側端部を、各テンションアーム268U,268Dを貫通させて外側へ突出させ、各突出端部を、上述の右側の側板257Rの前部に形成した上方向および下方向の上下の切り欠き溝271UC,271DCに夫々侵入させる。
そして、各支持軸270US,270DSの突出端部に雌螺子部材272UC,272DCを螺合し、各雌螺子部材272UC,272DCの回転操作によって各テンションアーム268U,268Dと右側の側板257Rとを締結固定する。
この各雌螺子部材272UC,272DCを逆方向に回転操作して締結状態を緩め、テンションアーム268U,268Dを揺動操作して、各テンションローラー269U,269Dの上下位置を調節することができる。
【0091】
また、右側の側板257Rの外側面に伝動ケース273R1を取り付け、この伝動ケース273R1の右側面にサーボモーター274R2を取り付ける。
そして、図12に示すように、伝動ケース273R1の内部において、サーボモーター274R2の出力軸に固定した出力ギヤ275R3と、上述の上側の回転軸263Uの突出端部に固定した入力ギヤ276RUとを噛み合わせる。
また、この入力ギヤ276RUと、下側の回転軸263Dの突出端部に固定した入力ギヤ276RDとを噛み合わせる。
これにより、サーボモーター274R2の出力によって、上側の回転軸263Uと下側の回転軸263Dとが互いに逆方向に回転駆動される。
【0092】
また、図15に示すように、右側の側板257Rの後部を上方へ延在させた後に左側方へ屈折させて延在させ、取付部257R5を形成する。
この取付部257R5の上面に、側面視において直角三角形状のスペーサ277R6の底辺部を固定し、このスペーサ277R6の斜面部とロボットアーム241側のハンド取付座241Fとの間に、後述する着脱装置278を設ける。
この着脱装置278によって、ハンド装置255がロボットアーム241のリスト241Eに装着される。
【0093】
(上部ベルトと下部ベルトの構成)
図16に示すように、上述の上部ベルト256Uおよび下部ベルト256Dを、薄肉mtおよびその集合体MTを移載可能な帆布等で形成し、その長さ方向での両端側に、切り欠き部279と幅狭部280を幅方向に隣接させて形成する。
そして、上部ベルト256Uおよび下部ベルト256Dの一端側に形成した切り欠き部279の幅B1を、この上部ベルト256Uおよび下部ベルト256Dの他端側に形成した幅狭部280の幅B2よりも大きく設定する。
同様に、上部ベルト256Uおよび下部ベルト256Dの他端側に形成した切り欠き部279の幅A2を、この上部ベルト256Uおよび下部ベルト256Dの一端側に形成した幅狭部280の幅A1よりも大きく設定する。
また、一端側および他端側の幅狭部280,280には、ループ状の係合部281R,281Lをそれぞれ形成する。
【0094】
(ベルトの巻回し構成)
しかして、図14図15に示すように、上述の上部ベルト256Uにおけるループ状の係合部281Rを、上述の上側の係止用棒状部材266UKの基部側の部位に貫通状態で装着する。
そして、この上部ベルト256Uの他端側を、上側の支持板259Uの上面側から、この支持板259Uの先端部で折り返して支持板259Uの下面側へ巻回す。
さらに、この他端側の幅狭部280の端部に形成したループ状の係合部281Lを、上側の係止用棒状部材266UKの先端側の部位に貫通状態で装着する。
これにより、上部ベルト256Uの一端側の幅狭部280と他端側の幅狭部280が、互いの間に左右方向の隙間282を形成した状態で、上側の回転枠体262Uにおける回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
すなわち、上部ベルト256Uの一端側の幅狭部280と他端側の幅狭部280の巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0095】
なお、図11図14に示すように、上側の回転枠体262Uに対する上部ベルト256Uの一端側の巻き掛け方向と他端側の巻き掛け方向を逆方向とし、回転枠体262Uの回転による上部ベルト256Uの一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定する。
すなわち、上部ベルト256Uの両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
なお、図13に示すように、上側の回転枠体262Uの直前の位置において、上部ベルト256Uの一端側の幅狭部280の上面に上側のテンションローラー269Uを当接させ、上部ベルト256Uに張力を与える。
このテンションローラー269Uの上下位置を調節することにより、上部ベルト256Uの張力を調節することができ、また、作業によって生じる上部ベルト256Uの伸びを吸収することができる。
【0096】
なお、以上は上部ベルト256Uの巻回し構成について説明したが、下部ベルト256Dの巻回し構成については、この上部ベルト256Uの巻回し構成と上下対称であるため説明を省略する。
これにより、上部ベルト256Uと下部ベルト256Dとは、上下に近接配置されるとともに斜め下方へ向かって延在し、互いに逆方向に駆動するように構成される。
以上により、移載装置283が構成される。
【0097】
(折り畳み装置の構成)
また、図11図12図17に示すように、スペーサ277R6の前面に側面視でクランク形状に屈折した吊持部材284の基部を固定し、この吊持部材284の先端部(前端部)に、折り畳み装置285を取り付ける。
まず、側面視で下向きコ字状に形成した支持枠体286の内部に、左右のエアシリンダー287L,287Rを、前後方向の位置をずらせて固定する。
すなわち、右側のエアシリンダー287Rは、左側のエアシリンダー287Lよりも前側に偏倚した位置に配置されている。
この左側のエアシリンダー287Lに備えた上下一対のピストン288LP,288LPは、右側方へ延在し、その先端部に固定したプレート289LTに、スペーサ290LSを介して平面視L字形状の作動板291LAを固定する。
また、右側のエアシリンダー287Rに備えた上下一対のピストン288RP,288RPは、左側方へ延在し、その先端部に固定したプレート289RTに、スペーサ290RSを介して平面視L字形状の作動板291RAを固定する。
【0098】
これら左右の作動板291LA,291RAの夫々には、上下方向の長孔292L1,292R1を形成する。
そして、支持枠体286に対して逆T字形状の支持板293X1の上部を固定し、この支持板293X1の下辺部の左右両端に、左右の支点軸294LJ,294RJを介して左右の回動アーム295LM,295RMの上部に形成した内側突出端部を回動自在に軸着する。
さらに、左右の回動アーム295LM,295RMの各上端部に固定したピン296L1P,296R1Pを、左右の作動板291LA,291RAの夫々に形成した長孔292L1,292R1に挿通させる。
そして、左右の回動アーム295LM,295RMの各下端部内側面に、夫々内側方へ延在する左右の支持部材297LSP,297RSPの基部を固定し、この左右の支持部材297LSP,297RSPの上面に、前後方向に沿う左右各3本の細い棒状部材298LSB,298RSBを固定する。
【0099】
以上の構成により、左右のエアシリンダー287L,287Rのピストン288LP,288RPが短縮作動すると、左右の回動アーム295LM,295RMが互いの間隔を拡大するように回動して開き、左右の棒状部材298LSB,298RSBは移載装置283の下側から外側方へ退避する。
この状態では、移載装置283上に支持されている集合体MTの左右両端部が垂れ下がる。(図17(a)参照)
そして、左右のエアシリンダー287L,287Rのピストン288LP,288RPが伸長作動すると、左右の回動アーム295LM,295RMが互いの間隔を縮小するように回動して閉じ、左右の棒状部材298LSB,298RSBは移載装置283の下面へ接近する。
これによって、移載装置283に支持されることで垂れ下がっていた集合体MTの左右両端部が、この移載装置283の下面側へ持ち上げられ、この集合体MTの左右両端部が折り畳まれる。(図17(b)参照)
以上の移載装置283と折り畳み装置285等により、ハンド装置255が構成される。
【0100】
なお、カメラ230で得られた集合体MTの大きさ(横幅または面積)に基づいて、この集合体MTの両端部を折り畳み装置285によって折り畳む第1状態と、集合体MTの一端部のみを折り畳み装置285によって折り畳む第2状態とを自動的に選択される構成とする。第1状態と第2状態を手動スイッチ(図示省略)によって切り替え可能に構成してもよい。
そして、第1状態が選択された場合には、集合体MTの長さ方向での中心部を上部ベルト256Uで掬い上げ、第2状態が選択された場合には、集合体MTの長さ方向での中心部から設定距離偏倚した部位を上部ベルト256Uで掬い上げるように各部を制御する。
【0101】
(着脱装置)
上述の着脱装置278は、ロボットアーム241のリスト241Eの下端のハンド取付座241Fに固定される上側の保持部材278Aと、ハンド装置255の上部に固定される被保持部材278Bから構成される。
保持部材278Aは、その上面部にハンド取付座241Fとの連結座278Cを形成し、その左右両側部に、内側方へ下がり傾斜した傾斜面278Dを有する左右の摺動支持部278E,278Eを左右対称に形成する。
この左右の摺動支持部278E,278Eのうちの一側の摺動支持部278Eにおいて、傾斜面278Dを前後方向の中間部で分割して隙間を形成し、この隙間に、摺動支持部278Eの傾斜面278Dと同じ傾斜角度の傾斜面278D1を形成した移動部材278Fを嵌合する。
また、摺動支持部278E側の雌螺子部278Gに螺合する雄螺子部材278Hを有した操作ハンドル278Iを設け、雄螺子部材278Hの先端部を移動部材278Fの外側面に当接させる。
操作ハンドル278Iを一方側に回転操作することによって、雄螺子部材278Hが締め込まれ、この雄螺子部材278Hの先端部で移動部材278Fが押されて内側方へ移動する。
また、ロックハンドル278Jを、雄螺子部材278Hと一体の軸278Kの外周に螺合し、このロックハンドル278Jの一方側への回転操作によって、操作ハンドル278Iを回転操作不能な状態に固定できる構成とする。
【0102】
また、左右の摺動支持部278E,278Eのうちの他側の摺動支持部278Eにおいて、上述の移動部材278Fと対向する側の部位に貫通孔278Lを形成し、この貫通孔278Lにプランジャピン278Mを挿通する。
このプランジャピン278Mは、内側方へ突出する方向へ常時弾性付勢し、このプランジャピン278Mの外側端部には引き操作用の環状部材278Nを取り付ける。
なお、保持部材278Aの上面の一部を開放する切り欠き部278Pを形成し、平面視において左右の摺動支持部278E,278Eの端部を露出させる。
一方、上述の被保持部材278Bは、その下面にハンド装置255との連結座278Qを形成し、その左右両側部に、上述の保持部材278A側の傾斜面278Dと同等の傾斜角度で外側方へ上がり傾斜した傾斜面278Rを形成する。
また、被保持部材278Bの他側の部位における長さ方向の中心部に、嵌合穴278Sを形成する。
【0103】
以上の構成により、ハンド装置255をリスト241Eに装着する際には、まず、ハンド装置255を持ち上げ、被保持部材278B側の左右の傾斜面278Dを、切り欠き部278Pから下方向に侵入させて、保持部材278A側の左右の傾斜面278D1に載せて支持する。
そして、この被保持部材278Bを保持部材278Aの奥側に摺動させると、保持部材278A側のプランジャピン278Mの先端部が、被保持部材278B側の嵌合穴278Sに係合して位置決めされる。
この状態で、操作ハンドル278Iを回転操作し、移動部材278Fを内側方へ移動させて、移動部材278F側の傾斜面278D1を、被保持部材278B側の傾斜面278Rに押し当てて固定する。
さらに、ロックハンドル278Jを回転操作して、操作ハンドル278Iの回転を固定し、振動等によるゆるみを防止する。
なお、ハンド装置255をリスト241Eから取り外す際には、上述の装着時と逆の手順で行なえばよい。
この着脱装置278により、ハンド装置255をリスト241Eから離脱して行う洗浄作業や、形態の異なるハンド装置255への交換等の作業を容易に行なうことができる。
【0104】
(トレー搬送装置の構成)
図10に示すように、スライサー1の搬送部6の終端に近接する位置に、食品用のトレー299を搬送するトレーコンベア300を、平面視で搬送部6の搬送方向と直交する方向に配置する。
このトレーコンベア300は、トレー搬送用電動モーター301で駆動される一端側の駆動ローラーと他端側の従動ローラーにわたって無端状のコンベアベルト302を巻き掛けて構成する。
また、駆動ローラーまたは従動ローラーの回転数ないし回転位相から、コンベアベルトの搬送面の移動量を検出するトレー移動量センサ303を設ける。
このトレー移動量センサ303とトレー搬送用電動モーター301は、後述するロボットコントローラの入力側と出力側にそれぞれ接続する。
【0105】
(ロボットの制御装置)
図23に示すように、演算部、記憶部、通信部等を備えたロボットコントローラ(請求項の「第1制御装置」)305に対して、その入力側に、タッチパネル306と、上述のエンコーダ248~253と、カメラ230と、左右のエアシリンダー287L,287Rの伸縮位置を検出する左右のポジションセンサ(ないしストロークセンサ)308L,308Rと、トレー移動量センサ303とを接続する。
なお、図10に示すように、タッチパネル306は、支持台254の上部における-Y側の部位に設ける。
一方、ロボットコントローラ305の出力側には、上述のサーボモーター242~247のモータードライバ242V~247Vと、左右のエアシリンダー287L,287Rへ作動用のエアを供給および排出する左右のバルブソレノイド309L,309Rと、サーボモーター274R2のモータードライバ274R2Vと、トレー搬送用電動モーター301のモータードライバ301Vとを接続する。
なお、左右のバルブソレノイド309L,309Rを介して左右のエアシリンダー287L,287Rへエアを供給する空圧源は、工場内の圧縮空気供給設備、または、スライサー1に備えたエアポンプである。
【0106】
(食品切断移載システム)
そして、ロボットコントローラ305とスライサーコントローラ200を、通信線SLを介して相互通信可能に接続し、制御システム310を構成する。
しかして、上述のスライサー1と、ロボット240と、制御システム310とによって、食肉切断移載システム(請求項の「食品切断移載システム」)MCSが構成される。
【0107】
(スライサーコントローラによる集合体の形成制御)
しかして、図24図25に示すフローチャートに沿い、集合体MTの形成制御について説明する。
なお、図10に示すように、以下では、供給部2の左右の搬送通路20,20のうちの左側の搬送通路20のみに塊状肉を供給する状態について説明する。
なお、本実施例における「薄肉縦幅」とは、上下方向に切断して形成された薄肉(食品片)mtが無端ベルト96によって搬送される際の、この搬送方向における薄肉mtの長さを意味する。
また、この薄肉縦幅は、横向き姿勢で供給される塊状肉の先端部の縦幅(高さ)に略等しいものとなる。
【0108】
(第1フロー)
図24に示す第1フローに基づいて説明する。
まず、スライサー1にて切断する塊状肉の種類(この実施例では豚バラ肉)や状態等に応じて作動条件を設定し、起動スイッチ201を操作する。
これによって、各センサ類207L~215の測定結果に基づき、スライサーコントローラ200から、各モータードライバ220~225R,227~229とエアシリンダー用バルブソレノイド226へ制御出力がなされ、上述の切断部3の駆動と、供給部2の揺動および駆動と、搬送部6の駆動が開始される(STEP1)。
なお、この駆動が開始された後には、上述の塊状肉の切断(スライス)と、切断された薄肉mtの折り畳みが開始され、折り畳まれた複数の薄肉mtの少なくとも一部どうしが上下に重なるように、搬送作動中の無端ベルト96の搬送始端部上に順次置かれ、薄肉mtの集合体MTが形成される。
このように順次形成される集合体MTと次の集合体MTとの間には、後述する所定の間隔(集合体間隔)Pが形成される。
【0109】
上述の駆動の開始に際して、スライサーコントローラ200とロボットコントローラ305とが通信線SLを介して通信を行い、スライサー1とロボット240との連繋が有効になっているか否か(スライサー1にロボット240が接続されているか否か)の判定(STEP2)が行われる。
この結果、連繋が有効になっていない場合(スライサー1にロボット240が接続されていない場合)には、スライサー1単独での切断作動が行われ、上述のような薄肉mtの集合体MTの形成が行われる。
このような集合体MTの形成において、薄肉縦幅自動設定入り切りスイッチ202が入り側(ON)に操作されたか否かが判定される(STEP3)。
この結果、薄肉縦幅の自動設定が入り(有効状態)に切り換えられていると判定された場合、塊状肉の縦幅計測(STEP4)に移行する。
【0110】
この塊状肉の縦幅計測(厚さ計測)では、塊状肉を供給している左側のポテンショメータ207Lによって、この塊状肉の先端部の縦幅(厚さ)が計測され、塊状肉縦幅計測値Xが得られる。
これに基づき、薄肉mtの縦幅(搬送方向での長さ)の算出(STEP5)が行われる。
すなわち、暫時算出される薄肉縦幅算出値Aは、塊状肉縦幅計測値Xと、変数Yから、次の算定式で算出される。
A=X×Y
Yの値は薄肉mtの折り畳み位置によって変化し、薄肉縦幅の中心位置で折り畳む場合はY=0.5となり、折り畳まない場合はY=1となる。
【0111】
このようにして算出された薄肉縦幅算出値Aと、並列長さ手動設定スイッチ204の操作で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した並列枚数手動設定値Fから、並列形態の手動設定が成立する(STEP6)。
なお、並列長さ手動設定値Eは、各集合体MTの搬送方向での長さを、使用するトレー299の縦幅(搬送方向での長さ)に合わせて並列長さ手動設定スイッチ204で変更設定したものである。また、並列枚数手動設定値Fは、各集合体MTを形成する薄肉mtの基準枚数を、並列枚数手動設定スイッチ205の操作で任意に変更設定したものである。
そして、並列枚数自動制御入り切りスイッチ206が入り側(ON)に操作されているか否かの判定(STEP7)がなされる。
並列枚数自動制御入り切りスイッチ206が入り側に操作されていると、この自動制御入り時点T0で行われる並列基準値自動設定(STEP8)に移行する。
【0112】
この並列基準値自動設定では、T0時点での薄肉mtの縦幅算出値A0が、薄肉縦幅基準値Gに置き換えられて記憶されると共に、並列枚数手動設定値Fが、並列枚数基準値Hに置き換えられて記憶され、並列枚数Iの演算(STEP9)に移行する。
この並列枚数Iは、薄肉縦幅算出値Aと、薄肉縦幅基準値Gと、並列枚数基準値Hから、次の算定式で算出し、この算出値から小数点以下を切り捨て、整数として取得する。
算出値=(G/A)×H
例えば、上式による算出値が5.1の場合と5.9の場合とでは、いずれも並列枚数は5枚となる。
薄肉縦幅算出値Aは常時算出されているが、小数点以下が切り捨てられることで取得される整数値が変化しない間、枚数変更は起こらない。
【0113】
また、並列ピッチKは、並列長さ手動設定値Eと、薄肉縦幅算出値Aと、並列枚数Iから、次の算定式で算出される(STEP10)。
K=(E-A)/(I-1)
そして、コンベア移動距離計測用センサ214の計測結果に基づいて、この並列ピッチKに等しい距離だけ搬送部6のコンベアを形成する無端ベルト96を駆動しながら(STEP11)、切断部3から切り出されて折り畳まれた薄肉mtを1枚ごとに無端ベルト96上に載置する動作を反復して実行する(STEP12)。
なお、一つの集合体を形成している途中で並列ピッチKの算出値が変化しても、並列した枚数がSTEP9で取得された整数に達するまで、並列ピッチの変更は禁止される。
【0114】
無端ベルト96上に載置し並列した枚数は、左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ211Lの往復回動回数から算出し、この並列した枚数が上述の並列枚数Iに一致するか否かが判定される(STEP13)。
この結果、並列した枚数が上述の並列枚数Iに一致した時点で、集合体間隔形成用のコンベア移動量の演算(STEP14)に移行する。
この集合体間隔形成用のコンベア移動量Pは、無端ベルト96の搬送有効長(コンベア有効長)Lと、並列長さ手動設定値Eと、集合体の数Rから、次の算定式で算出される。
P=(L-E×R)/(R-1)
このコンベア移動量Pは、隣接する集合体MT,MTの間隔となるものであり、コンベア移動距離計測用センサ214によって計測される。
【0115】
以上のようにして、集合体MTが、無端ベルト96上に集合体間隔Pを置きながら断続的に形成されて搬送される。
図26図27には、上述のSTEP5においてY=1とし、折り畳まずに並列させて形成された薄肉mtの集合体MTを示す。
形成された集合体MTは、ロボット240または作業者の手作業によってトレー299に移載される。
【0116】
(第2フロー)
一方、STEP7において、並列枚数自動制御入り切りスイッチ206が切り側(OFF)に操作されると(または操作されていると)、上述の並列基準値自動設定には移行せず、並列ピッチの演算(STEP16)に移行する。
この並列ピッチKは、並列長さ手動設定値Eと、薄肉縦幅算出値Aと、並列枚数手動設定値Fから、次の算定式で算出される。
K=(E-A)/(F-1)
そして、コンベア移動距離計測用センサ214の計測結果に基づいて、この並列ピッチKに等しい距離だけ搬送部6のコンベアを形成する無端ベルト96を駆動しながら(STEP17)、切断部3から切り出されて折り畳まれた薄肉mtを1枚ごとに無端ベルト96上に載置する動作を反復して実行する(STEP18)。
【0117】
無端ベルト96上に載置し並列した枚数は、左側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ211Lないし右側棒状体回動角度検出用ポテンショメータ211Rの往復回動回数によって検出し、この並列した枚数が上述の並列枚数手動設定値Fに一致したか否かを判定する(STEP19)。
そして、この並列した枚数が並列枚数手動設定値Fに一致した時点で、集合体間隔形成用のコンベア移動量の演算(STEP14)に移行する。
以降は第1フローと共通であるため、説明を省略する。
【0118】
(第3フロー)
また、STEP3において、薄肉縦幅自動設定入り切りスイッチ202が切り側(OFF)に操作されると(または操作されていると)、薄肉縦幅の算出(STEP5)を経ることなく、並列形態の手動設定に移行する。
ここで、塊状肉縦幅手動設定スイッチ203で設定した薄肉縦幅設定値Jと、並列長さ手動設定スイッチ204の操作で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した並列枚数手動設定値Fから、並列形態の手動設定が成立し、並列ピッチの演算(STEP21)に移行する。
この並列ピッチKは、STEP16と同様に、並列長さ手動設定値Eと、薄肉縦幅算出値Aと、並列枚数手動設定値Fから、次の算定式で算出される。
K=(E-A)/(F-1)
以降は、第2フローと共通であるため、説明を省略する。
【0119】
(集合体の形成状態)
しかして、図26図27に、上述のようにして形成される集合体MTの状態を例示する。
この例では、5枚の薄肉mtを、少なくともその一部が重なるように並列させて形成した集合体MT1,MT2と、6枚の薄肉mtを同様に並列させて形成した集合体MT3を、無端ベルト96上に順次形成されるものとして示している。
しかして、集合体MT1は、縦幅Aの薄肉mt1をピッチKAで5枚並列して、全長Eの集合体を形成したものである。
また、集合体MT2も、同様にして、全長Eの集合体を形成したものである。
そして、集合体MT3は、薄肉mt1,mt2よりも小さい縦幅Bの薄肉mt3を、集合体MT1,MT2のピッチよりも短いピッチKBで6枚並列して、全長Eの集合体を形成している。
このように、薄肉mtの縦幅に応じて、並列させる枚数とピッチを変更することで、各集合体MTの全長と重量をほぼ揃えることができる。
【0120】
すなわち、豚バラ肉などの塊状肉は、通常、所定の長さを有し、その前端部から後端部にわたる縦幅は大きく変化しないが、その横幅は次第に狭く、または、次第に大きくなる特徴がある。
このため、上下方向に一定の厚さで切断(スライス)した場合、切断する部位によって横幅の異なる薄肉が形成され、この切断された薄肉の重量は均一にならない。
これに対して、上述ように、並列ピッチの制御に加え、並列させる枚数の制御を行うことによって、図28に示すように、薄肉の縦幅(塊状肉先端部の縦幅)に対する集合体MTの重量のばらつきを、設定範囲α内に収束させるなど、各集合体MTの重量のばらつきを少なくすることができる。
【0121】
(第4フロー)
図24のステップ2に戻り、食肉切断移載システムMCSによる切断制御について説明する。
まず、上述のスライサー1の駆動開始に際して、スライサーコントローラ200とロボットコントローラ305とが通信線SLを介して通信を行い、スライサー1とロボット240との連繋が有効になっているか否か(スライサー1にロボット240が接続されているか否か)の判定(STEP2)が行われる。
この結果、連繋が有効になっていない場合には、第1フローのSTEP3へ移行する。
一方、連繋が有効になっている場合(スライサー1にロボット240が接続されている場合)に、塊状肉の縦幅の計測が有効な状態にあるか否かが判定される(STEP22)。
【0122】
この塊状肉の計測が有効な状態とは、左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Lと右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Rが装備されたスライサーであること、または、このスライサー1が、左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Lおよび右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Rによる塊状肉の縦幅計測値を使用して並列枚数の制御を行う状態に切り替えられていることを指す。
このように塊状肉の計測有効な状態にあると判定された場合には、左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Lまたは右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Rのいずれか一方(塊状肉が供給された側のポテンショメータ)によって、塊状肉の縦幅計測値Xが取得される。
そして、この塊状肉縦幅計測値Xが、スライサーコントローラ200から通信線SLを介してロボットコントローラ305へ送信される(STEP23)。
【0123】
そして、このようにして取得された塊状肉の縦幅計測値Xを薄肉縦幅算出値Aとし、並列長さ手動設定スイッチ204の操作で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した並列枚数手動設定値Fから、並列形態の設定が成立する(STEP24)。
続いて、ロボットコントローラ305による並列枚数の自動制御が入りになっているか否かが判定され(STEP27)、入りになっている場合には、この自動制御入り時点T0で行われる並列基準値自動設定(STEP28)に移行する。
この並列基準値自動設定では、並列枚数手動設定値Fが、並列枚数基準値Hに置き換えられて記憶され、並列枚数Iの演算(STEP29)に移行する。
この並列枚数Iの演算では、スライサーコントローラ200がロボットコントローラ305から枚数調整値B(-1、0、+1のいずれか)を取得し、上述の並列枚数基準値Hにこの枚数調整値Bを加算して並列枚数Iを算出する。(このSTEP29が、請求項の「設定数を自動的に変更する自動変更手段」である。)
そして、この並列枚数Iを基に第1フローのSTEP10へ移行し、上述の集合体MTの形成および集合体間隔Pの形成が行われる。
【0124】
一方、上述のSTEP22において、塊状肉の縦幅の計測が有効な状態にないと判定された場合には、塊状肉の縦幅設定が行われる。
すなわち、作業者の目視等によって塊状肉の縦幅を判断し、塊状肉縦幅手動設定スイッチ203の操作によって塊状肉縦幅設定値Jを設定する(STEP25)。
そして、この塊状肉縦幅設定値Jと、並列長さ手動設定スイッチ204の操作で設定した並列長さ手動設定値Eと、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した並列枚数手動設定値Fから、並列形態の設定が成立する(STEP26)。
続いて、ロボットコントローラ305による並列枚数の自動制御が入りになっているか否かの判定(STEP27)へ移行し、以後、上述と同様の処理が行われる。
なお、上述のSTEP27でロボットコントローラ305による並列枚数自動制御が入りになっていない場合には、第1フローのSTEP3へ移行し、スライサー1単独での切断作動が行われ、上述のような薄肉mtの集合体MTの形成が行われる。
【0125】
(ロボットコントローラによる枚数決定)
図29は、カメラ230による撮像結果から得られた集合体MTの横幅のみに基づいて、以後の集合体MTを形成する薄肉mtの枚数を自動的に変更する状態(請求項の「第1状態」)の第1フローチャートである。
なお、上述の「以後の集合体MT」とは、カメラ230で撮像した集合体よりも遅れて無端ベルト96上に順次形成される別の集合体を意味する。本実施例では、カメラ230で撮像した集合体から、上流側(-Y方向)へ数えて2つ目以降の集合体を指す。
また、図30は、縦幅検出手段によって検出された塊状肉の先端部の縦幅と、カメラ230による撮像結果から得られた集合体の横幅とに基づいて、以後の集合体MTを形成する薄肉mtの枚数を自動的に変更する状態(請求項の「第2状態」)の第2フローチャートである。
なお、この図29のフローチャートに基づく処理(第5フロー)と、図30のフローチャートに基づく処理(第6フロー)は、ロボットコントローラ305に接続されたタッチパネル306の操作によって択一的に切り替えて実行できるものとする。
【0126】
しかして、各フローチャートに基づく処理について説明する。
(第5フロー)
図29に示す第5フローでは、塊状肉の先端部の高さに関係なく、集合体MTの最大横幅のみに基づいて、集合体MTを形成する薄肉mtの枚数が演算される。
すなわち、スライサー1による集合体MTの形成が開始されると(STEP1)、無端ベルト96上に集合体MTが形成される。
そして、コンベア移動距離計測用センサ214による検出結果によって、この集合体MTがカメラ230による撮像位置に到達したか否かの判定がなされる(STEP2)。
この結果、集合体MTが撮像位置に到達したと判定された場合に、この集合体MTがカメラ230によって撮像され、その撮像結果から集合体MTの最大横幅と面積が算出される(STEP3)。
なお、この集合体MTの最大横幅と面積は、カメラ230に内蔵されたプロセッサによって画素数等から演算され、ロボットコントローラ305へ出力される。
そして、この集合体MTの最大横幅と面積が、最大横幅の基準値と面積の基準値を共に満たすか否かがロボットコントローラ305によって判定される(STEP4)。
この判定の結果、集合体MTの最大横幅と面積の両方が各基準値を満たす場合、この集合体MTを、予め設定された最大横幅の閾値によって長/中/短の3つのクラスに分類され(STEP5)、次のステップへ移行する。
【0127】
図31(a)は、第1状態における調整枚数の説明図であり、並列枚数手動設定スイッチ205によって基準枚数を5枚に設定した例を示す。
この図に示すように、この集合体MTの最大横幅が長いクラス3に分類された場合には、上述の並列枚数手動設定スイッチ205で設定した基準枚数(並列枚数手動設定値F)5枚に対して、枚数調整値Bとして-1が選択され、通信線SLを介してスライサーコントローラ200へ送信される(STEP6)。
そして、この枚数調整値Bが上述の第4フロー(図24参照)におけるSTEP29の並列枚数Iの算出に加味される。
すなわち、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した基準枚数5枚に対して、1枚少ない並列枚数4枚にて、以後の集合体MTが形成される。
なお、同様にして、集合体MTの最大横幅が中等のクラス2に分類された場合には、枚数調整値Bとして±0が選択され、スライサーコントローラ200へ送信される。
この場合には、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した基準枚数5枚のまま、以後の集合体MTが形成される。
【0128】
また、集合体MTの最大横幅が短いクラス1に分類された場合には、枚数調整値Bとして+1が選択され、スライサーコントローラ200へ送信される。
この場合には、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した基準枚数5枚に対して、1枚多い並列枚数6枚にて、以後の集合体MTが形成される。
以上のようにして集合体MTを形成する薄肉mtの並列枚数を調整することで、図32に示すように、集合体MTの最大横幅に対する集合体MTの重量を、ばらつき幅βに収束させ、各集合体MTの重量のばらつきを少なくすることができる。
なお、上述のSTEP4において、集合体MTの最大横幅の基準値と面積の基準値とのいずれか一方でも満たさないと判定された場合には、この集合体MTは屑肉の集合体であると判定され、ロボット240による採取対象から除外される。
これにより、屑肉の集合体は、無端ベルト96の終端から、別途備えた容器等へ排出される。
【0129】
(第6フロー)
図30に示す第6フローでは、塊状肉の先端部の縦幅と、集合体MTの最大横幅とに基づいて、以後の集合体MTを形成する薄肉mtの枚数が演算される。
すなわち、スライサー1による集合体MTの形成が開始されると(STEP1)、無端ベルト96上に集合体MTが形成される。
そして、コンベア移動距離計測用センサ214による検出結果によって、この集合体MTがカメラ230による撮像位置に到達したか否かの判定がなされる(STEP2)。
この結果、集合体MTが撮像位置に到達したと判定された場合に、この集合体MTがカメラ230によって撮像され、その撮像結果から集合体MTの最大横幅と面積が算出される(STEP3)。
そして、この集合体MTの最大横幅と面積が、最大横幅の基準値と面積の基準値を共に満たすか否かがロボットコントローラ305によって判定される(STEP4)。
【0130】
この判定の結果、集合体MTの最大横幅と面積の両方が各基準値を満たす場合、スライサーコントローラ200からの塊状肉の先端部の縦幅に関する情報(左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Lと右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ207Rのうち、塊状肉が供給された側のポテンショメータによる計測値)が通信線SLを介してロボットコントローラ305へ受信される。
そして、この縦幅が、予め設定された閾値によって長/中/短の3つのクラスに分類される。
また、この集合体MTが、予め設定された最大横幅の閾値によって長/中/短の3つのクラスに分類され(STEP5)、次のステップへ移行する。
【0131】
図31(b)は、第2状態における調整枚数の説明図であり、並列枚数手動設定スイッチ205によって基準枚数10枚に設定した場合を示す。
この図に示すように、塊状肉の先端部の縦幅が長いクラス3に分類され、かつ、この集合体MTの最大横幅も長いクラス3に分類された場合には、上述の並列枚数手動設定スイッチ205で設定した基準枚数(並列枚数手動設定値F)10枚に対して、枚数調整値Bとして-2が選択され、通信線SLを介してスライサーコントローラ200へ送信される(STEP6)。
そして、この枚数調整値Bが上述の第4フロー(図24参照)におけるSTEP29の並列枚数Iの算出に加味される。
すなわち、並列枚数手動設定スイッチ205で設定した基準枚数10枚に対して、2枚少ない並列枚数8枚にて、以後の集合体MTが形成される。
【0132】
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が長いクラス3に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅が中等のクラス2に分類された場合には、枚数調整値Bとして-1が選択され、基準枚数10枚に対して1枚減じた並列枚数9枚にて、以後の集合体MTが形成される。
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が長いクラス3に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅が短いクラス1に分類された場合には、枚数調整値Bとして±0が選択され、基準枚数10枚のままで、以後の集合体MTが形成される。
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が中等のクラス2に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅が長いクラス3に分類された場合には、枚数調整値Bとして-1が選択され、基準枚数10枚に対して1枚減じた並列枚数9枚にて、以後の集合体MTが形成される。
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が中等のクラス2に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅も中等のクラス2に分類された場合には、枚数調整値Bとして±0が選択され、基準枚数10枚のままで、以後の集合体MTが形成される。
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が中等のクラス2に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅が短いクラス1に分類された場合には、枚数調整値Bとして+1が選択され、基準枚数10枚に対して1枚増した並列枚数11枚にて、以後の集合体MTが形成される。
【0133】
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が短いクラス1に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅が長いクラス3に分類された場合には、枚数調整値Bとして±0が選択され、基準枚数10枚のままで、以後の集合体MTが形成される。
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が短いクラス1に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅が中等のクラス2に分類された場合には、枚数調整値Bとして+1が選択され、基準枚数10枚に対して1枚増した11枚にて、以後の集合体MTが形成される。
同様にして、塊状肉の先端部の縦幅が短いクラス1に分類され、かつ、集合体MTの最大横幅も短いクラス1に分類された場合には、枚数調整値Bとして+2が選択され、基準枚数10枚に対して2枚増した12枚にて、以後の集合体MTが形成される。
以上のようにして集合体MTを形成する薄肉mtの枚数を調整することで、図32に示すように、集合体MTの最大横幅に対する集合体MTの重量を、ばらつき幅βに収束させ、各集合体MTの重量のばらつきを少なくすることができる。
なお、上述のSTEP7において、集合体MTの最大横幅の基準値と面積の基準値とのいずれか一方でも満たさないと判定された場合には、この集合体MTは屑肉の集合体であると判定され、ロボット240による採取対象から除外される。
これにより、この集合体MTは、無端ベルト96の終端から、別途備えた容器等へ排出される。
【0134】
(最大幅の変化傾向による枚数調整)
なお、カメラ230による複数の撮像結果から得られた各集合体MTの横幅の変化傾向に基づいて、以後の集合体MTを形成すべき薄肉mtの枚数を予測し、この予測結果に基づいて、集合体MTを形成する薄肉mtの設定枚数を自動的に変更(調整)するように構成してもよい。
すなわち、無端ベルト96上に形成されて搬送される複数の集合体MTを、カメラ230によって撮像し、この撮像結果から演算された各集合体MTの最大横幅の変化傾向(変化履歴)を取得する。
そして、この変化傾向を基準として、以後に集合体MTを形成すべき薄肉mtの枚数の増減調整値を予測値として算出し、この予測値に整合するように設定枚数を自動調整する構成とする。
【0135】
(ロボットによる移載作業)
上述のようにして形成された薄肉mtの集合体MTを、ロボット240によってトレー299に盛り付ける作業(移載する作業)について説明する。
なお、ロボットアーム241に装着するハンド装置255として、図11図17に示したハンド装置以外に、スライサー1によって無端ベルト96上に切り出された薄肉mtを、摘み上げてトレー299内にねかせるように移載する形態のハンド装置や、無端ベルト96上の薄肉mtを掬い上げながら馬蹄形に変形させた状態でトレー299内に移載する形態のハンド装置など、種々のハンド装置が想定される。
【0136】
しかして、図33に示すように、ロボットアーム241に着脱装置278を介してハンド装置255を装着し、タッチパネル306を操作して、この装着したハンド装置255の形態を選択する(STEP1)。
そして、タッチパネル306上の始動スイッチをON操作すると(STEP2)、ロボットコントローラ305からモータードライバ242Vへの出力によってサーボモーター242が駆動され、旋回ベース241Bが軸J1周りに所定角度だけ旋回する。
これによって、ロボットアーム241が図10に示す撮像位置PSまで旋回し、リスト241Eに装着されたハンド装置255がカメラ230の撮像領域へ進入する(STEP3)。
なお、旋回ベース241Bの旋回に加え、ロボットアーム241の各能動関節J1~J6をも回動させて、ハンド装置255が撮像位置PSに到達するように構成してもよい。
このようにして撮像領域に進入した時点で、このハンド装置255がカメラ230で撮像され、この撮像結果からハンド装置255の形態が判定される(STEP4)。
なお、ハンド装置255の形態を示す情報として、各ハンド装置255の少なくとも一部に、形態ごとに異なる色で着色を施しておき、カメラ230での撮像による色の識別結果から、ハンド装置255の形態を判定する構成としてもよい。
例えば、各ハンド装置255に着脱操作用の把持部を設け、この把持部に、赤色、紫色、黄色、緑色の4色(いずれも無端ベルト96の色(青色)とは異なる色)のうちの2色を組み合わせた塗装を施す。
すなわち、各ハンド装置255ごとに、この2色の組み合わせを変えることで、装着されているハンド装置255の形態をカメラ230による撮像結果から判定するように構成する。
なお、この色による識別以外に、カメラ230による撮像結果から取得されるハンド装置255の外形形状(全体形状または特徴的な一部の形状)によって、装着されているハンド装置255の形態を判定するように構成してもよい。
【0137】
しかして、この判定結果が、タッチパネル306で選択した形態と一致した場合に(STEP5)、ロボットコントローラ305からモータードライバ242Vへの出力によってサーボモーター242が所定量だけ駆動される。
これによって、ロボットアーム241が作業開始位置へ旋回し、ハンド装置255が初期位置P0に移動して(STEP6)、盛り付け処理(移載作業)が開始される。
なお、上述のSTEP5において、判定結果が、タッチパネル306で選択した形態と一致しない場合には、ロボット240が自動停止すると共に、タッチパネル306に異常情報が表示される(STEP7)。
この表示に加え、警告灯を点灯させたり、警報音を発するように構成してもよい。
また、ロボット240と共にスライサー1を自動停止させる構成としてもよい。
なお、図10に示すハンド交換位置PCにおいて、ハンド装置255の交換作業を行うことができる。
【0138】
(盛り付け領域)
図10に示すように、トレーコンベア300によって無端ベルト96の終端よりも下流側に離間する位置に待機させたトレー299の底面上に、設定領域(盛り付け領域)Rを設定する。
この設定領域Rは、Y軸方向長さをr1とし、X軸方向長さをr2とする矩形の領域として設定する。
また、この設定領域Rを設定する位置は、トレー299の底面上以外に、スライサー1周辺の固定位置など、適宜の位置に設定可能としてもよい。
この設定領域R内に設定数の集合体MTが置かれることで、盛り付けが完了する。
なお、この設定領域Rにおいて、集合体MTを設定領域Rにおける前後方向の一端から他端まで連続的に盛り付けていく方向を「列」と定義し、この「列」と直交する方向(左右方向)を「行」と定義する。
これにより、集合体MTが1つの列に全て置かれた後に、次の列頭への盛り付けが開始される。これを反復して、設定領域R内の全ての列および全ての行に、盛り付けを完了する。
なお、本実施形態においては、Y軸方向に「列」を設定し、X軸方向に「行」を設定する。これにより、複数の「列」がX軸方向に間隔をおいて平行に並ぶ。
【0139】
(トレーへの盛付処理)
ロボット240による盛付処理(移載処理)について説明する。
まず、集合体MTを盛り付けるトレー299の種別(大きさ、形状等)に応じて、このトレー299の底面に設定される上述の「行」と「列」をロボットコントローラ305に予め記憶させておく。
これにより、使用するトレー299の種別をタッチパネル306の操作によって選択すると、選択されたトレー299の種別に応じた「行」と「列」(行数と列数を含む)が決定される(STEP1)。
【0140】
しかして、図34に盛付処理のメインフローを示す。
このフローに示すように、盛り付け処理の開始時に、ハンド装置255は初期位置P0から移動を開始する(STEP2)。なお、この初期位置P0は、採取位置Tにおいて、無端ベルト96の上面から直上方へ所定距離離間した位置に設定される。
この移動開始後、スライサー1側の無端ベルト96の駆動によって集合体MTが採取位置Tに到達したか否かが、コンベア移動距離計測用センサ214の検出結果から判定される(STEP3)。
この結果、集合体MTが採取位置Tに到達したと判定されたときに、スライサーコントローラ200から通信線SLを介してロボットコントローラ305へ採取開始信号が出力される(STEP4)。
これにより、無端ベルト96による集合体MTの移動と、ハンド装置255による集合体MTの採取タイミングとが同期する。
【0141】
しかして、ロボットコントローラ305により、行カウンタのカウント値m及び列カウンタのカウント値nにそれぞれ1をセットし(STEP5)、後述する集合体盛付処理(STEP6)に移行する。
このSTEP6の集合体盛付処理の詳細については後述する。
なお、本実施形態では、(m,n)=(1,1),(2,1),(3,1),(1,2),(2,2),(3,2)…,(M,N)のように最も+Y側の第1行から列順に薄肉盛り付け処理がなされ、1つの列が終了すると、この列に対して-X側に隣接する次の列において同様の盛り付け処理がなされる。
第1行を意味する「m=1」は、トレー299の内底面において、最も+Y側の位置に配置され、第1列を意味する「n=1」は、トレー299の内底面において、最も+X側の位置に配置される。
図34に示すフローチャートにおいて、後述するSTEP7、STEP9、STEP11によって列n及び行mが更新される毎に、後述するポイントP4のX軸座標値及びY軸座標値は、更新後の集合体降下点RmnのX軸座標値およびY軸座標値となる。
なお、集合体降下点Rmnとは、ハンド装置255が集合体MTを設定領域Rに下ろすために下降を開始するm行n列目の位置である。
【0142】
上述のようにして集合体降下点Rmnに対する1つの集合体MTの盛り付け処理が終了した後、行カウンタのカウント値mをインクリメントする(STEP7)。
そして、ロボットコントローラ305によって、行カウンタのカウント値mが所定行数Mに達しているか否かを判定する(STEP8)。
カウント値mが所定行数Mに達していない場合には、STEP6にリターンして、現在の列nにおいて、次の行の肉降下点Rmnに対する集合体MTの盛り付け処理を行なう。
従って、この集合体MTの盛り付け処理は、1列当たりM回実行される。
カウント値mが所定行数Mに達した場合には、STEP9に移行する。
このSTEP9では、列カウンタのカウント値nをインクリメントし、STEP10へ移行する。
【0143】
このSTEP10では、列カウンタのカウント値nが、所定列数Nに達していない場合には、STEP11に移行し、列カウンタのカウント値nが所定列数Nに達した場合に、このフローの処理を一旦終了する。
なお、上述のSTEP11では、行カウンタのカウント値mを1にセットし、STEP6にリターンする。
STEP6にリターンすると、次の列の最初の行の肉降下点Rmnに対する集合体MTの盛り付け処理が開始される。
以上の処理を反復し、所定行数M及び所定列数Nにおける全ての肉降下点Rmnへの集合体MTの盛り付けが完了する。
【0144】
(集合体盛付処理)
しかして、上述の集合体盛付処理(STEP6)について、図35のフローチャートにも続いて詳述する。
まず、ロボットコントローラ305によって「採取目標位置設定処理」および「軌道生成処理」を実行する(STEP100)。
採取目標位置設定処理では、カメラ230から得られた集合体MTの最大横幅に基づいて、この集合体MTの長さ方向(X軸方向)での中心部または中心部の近傍の位置を、採取時の目標点BPとして設定する。
この実施形態における制御点は、ハンド装置255に備えた上部ベルト256Uの先端部における幅方向の中心位置である。
また、軌道生成処理では、図36に示すポイントP0からP7への移動、およびポイントP7からP0へ戻る軌道を生成する。
【0145】
ポイントP0はハンド装置255の制御点の初期位置であり、固定値として設定される。このポイントP0は、スライサー1の搬送部6に備えた無端ベルト96の左右幅の中心線tの直上方に設定される。
ポイントP1は、ポイントP0の下方に位置し、採取位置Tにおいて目標点BPから-Y側へ偏倚した位置にハンド装置255の制御点を位置付ける点として設定される。
なお、このポイントP1は、上部ベルト256Uの先端が無端ベルト96の上面に対して摺動可能な高さに設定される。
ポイントP2は、ポイントP1のX軸座標およびZ軸座標と同じ座標を有し、ポイントP1のY軸座標よりも下流側(+Y側)の位置に設定する。
このポイントP1からポイントP2までハンド装置255が移動することによって、採取位置Tにある集合体MTを上部ベルト256Uの上面に掬い上げる。
【0146】
ポイントP3のX軸座標およびY軸座標は、ポイントP2と同一の座標に設定し、ポイントP3のZ軸座標はポイントP2のZ軸座標よりも大きく(高く)設定される。
このポイントP3の無端ベルト96上面からの高さは、ハンド装置255が集合体MTを掬い上げた状態で、この集合体MTの両端が垂れ下がっても無端ベルト96の上面に接触しない高さに設定する。
ポイントP5は、設定領域Rの上方に離間した位置に配置し、ハンド装置255に保持した集合体MTの載置開始位置として設定する。
なお、ポイントP4はポイントP5の直上方の位置に設定される。
ポイントP6は、ポイントP5のY軸座標よりも-Y側に位置し、集合体MTの載置終了位置として設定する。
ポイントP7はポイントP6の直上方の位置に設定される。
【0147】
図35のフローにおいて、STEP100に続く処理について説明する。
ロボットコントローラ305は、スライサーコントローラ200から、集合体MTが採取位置Tに位置した際に出力される採取開始信号の受信を待つ(STEP101)。
この採取信号を受信するとSTEP102に移行する。
STEP102では、ロボットコントローラ305によって、ポイントP1のX軸座標値をSTEP100で得られた採取目標位置のX軸座標値に変更する。
続いて、ロボットコントローラ305によってロボットアーム241を制御し、ハンド装置255に備えた上部ベルト256Uの左右幅方向での中心点である制御点をポイントP0からポイントP1へ下降させて、上部ベルト256Uの先端を無端ベルト96の上面に接触ないし近接させる(STEP103)。
【0148】
続いて、ロボットコントローラ305によってロボットアーム241を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2まで移動させる。
すなわち、ハンド装置255に備えた移載装置283の先端部における上部ベルト256Uの制御点が、目標点BPに一致する状態で、ハンド装置255をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、移載装置283を集合体MT側へ進出させる。
このとき、ロボットコントローラ305からサーボモーター274R2のモータードライバ274R2Vへ出力がなされ、上部ベルト256Uが正方向へ駆動して(このとき下部ベルト256Dは上部ベルト256Uに対して逆方向へ駆動される)、集合体MTの掬い上げ作動を開始する(STEP104)。
これによって、集合体MTを掬い上げて上部ベルト256Uの駆動を停止した後、または、上部ベルト256Uの駆動継続によって集合体MTを掬い上げながら、ロボットコントローラ305によってロボットアーム241を制御して制御点をポイントP2から上昇させ、ポイントP3に移動させる。
【0149】
このとき、ロボットコントローラ305からモータードライバ242V~247Vへの出力によってサーボモーター242~247を駆動し、ロボットアーム241の各能動関節等を制御し、ハンド装置255を、一旦上昇させた後に、トレー299の底部上面に形成された設定領域R上の1行・1列目の設定位置へ移動させる(STEP105)。
この間に、ロボットコントローラ305から左右のエアシリンダー287L,287R側へ出力がなされ、左右のエアシリンダー287L,287Rのピストン288LP,288RPが伸長作動する。
これによって、左右の回動アーム295LM,295RMが互いの間隔を縮小するように回動して閉じ、左右の棒状部材298LSB,298RSBは移載装置283の下面へ接近する(STEP105)。
これにより、移載装置283に支持されて垂れ下がっていた集合体MTの左右両端部が、この移載装置283の下面側へ持ち上げられ、この集合体MTの左右両端部が折り畳まれる。
【0150】
そして、ロボットコントローラ305からの出力によってロボットアーム241を制御し、制御点をポイントP3からポイントP4へ移動させる(STEP106)。
そして、ロボットコントローラ305からの出力によってロボットアーム241を制御し、ハンド装置255を+Y方向へ向けた姿勢のまま、制御点をポイントP4からポイントP5へ移動させる(STEP107)。
そして、ロボットコントローラ305からの出力によってロボットアーム241を制御し、制御点をポイントP5からポイントP6へ移動させる。
このとき、移載装置283の上部ベルト256Uおよび下部ベルト256Dを逆方向へ駆動しながら(リリース作動させながら)、ハンド装置255を-Y方向へ移動(後退)させる(STEP108)。
これによって、図37(a)に示すように、1行・1列目の集合体MTが、その両端部を下側に折り畳まれた状態で設定領域R内に移載される。
【0151】
続いて、ロボットコントローラ305からの出力によってロボットアーム241を制御し、制御点をポイントP6からポイントP7へ移動させる(STEP109)。
制御点がポイントP7へ移動した後に、ロボットコントローラ305からの出力によって左右のエアシリンダー287L,287Rのピストン288LP,288RPを短縮作動させ、折り畳み装置285の左右の回動アーム295LM,295RMを開き回動させる(STEP110)。
この後、ロボットコントローラ305からの出力によってロボットアーム241を制御し、制御点をポイントP7から初期位置であるポイントP0へ復帰移動させる。
本実施例では、上述の図34のフローに従い、このような移載動作を、設定領域R上の1行・1列目の設定位置から3行・2列目の設定位置にわたって反復して行なうことで、図37(b)に示すように、2列目の集合体MTが、その両端部を下側に折り畳まれた状態で、1列目の集合体MTの左端部に重なるようにして盛り付けられる。
この2列目の設定位置に対する盛り付けが完了した時点で、設定領域Rへの集合体MTの盛り付けを完了する。
【0152】
なお、トレーコンベア300は、トレー299への設定数の集合体MTの盛り付けが完了するまでは、このトレー299の搬送を停止している。
そして、トレー299への集合体MTの盛り付けが完了した後に、トレーコンベア300を駆動してこのトレー299を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出すように構成する。
しかして、図32を用いて上述したように、薄肉mtの枚数を制御することによって各集合体MTの重量はばらつき幅βに収束している。
このため、この集合体MTを盛り付けたトレー299の重量は、集合体MTの単体重量に、盛り付けられた集合体MTの数を掛けて得られるものとなる。
これによって、順次生産されるトレー盛付品の総重量のばらつきを小さくすることができる。
【0153】
(洗浄モード)
切断移載作業終了後のスライサー1は、食品衛生管理上、機体の各部を洗浄する必要がある。
しかしながら、ロボット240に洗浄水がかかることは好ましくない。
そこで、図38に示す洗浄モードを設け、ロボットアーム241を所定の位置まで自動的に退避させるように構成する。
すなわち、タッチパネル306に表示された移動スイッチをON操作すると(STEP1)、ロボットコントローラ305からの出力によってロボットアーム241がカメラ230による撮像位置へ自動的に旋回し、ハンド装置255が撮像領域へ進入する(STEP2)。
この状態で、カメラ230によってリスト241E付近が撮像され、この撮像結果から、ロボットアーム241にハンド装置255が装着されているか否かが判定される(STEP3・STEP4)。
【0154】
なお、ハンド装置255を示す情報として、ハンド装置255の少なくとも一部に着色を施しておき、カメラ230での撮像による色の識別結果から、ハンド装置255の有無を判定する構成としてもよい。
そして、ハンド装置255が装着されていない(離脱している)と判定された場合に、ロボットアーム241を、包囲壁体BK(図10参照))の内側の洗浄位置まで自動的に旋回および短縮させて格納する(STEP5)。
なお、この包囲壁体BKのうち、搬送部6に臨む側に開閉可能な扉BKOを設け、盛り付け作業時にはこの扉BKOを開放し、スライサー1の洗浄時には、ロボットアーム241が包囲壁体BK内に格納されてから、この扉BKOを閉じればよい。
このようにすれば、スライサー1の洗浄時にロボット240への洗浄水の飛散を防止でき、ロボット240の電装系の故障等を少なくすることができる。
なお、上述のSTEP4において、ハンド装置255が装着されていると判定された場合には、タッチパネル306に異常情報が表示される(STEP6)。
この表示に加え、警告灯を点灯させたり、警報音を発するように構成してもよい。
また、ロボット240と共にスライサー1の起動が牽制される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0155】
1 スライサー(食品切断装置)
96 無端ベルト(コンベア)
200 スライサーコントローラ(第2制御装置)
207L 左側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ(縦幅検出手段)
207R 右側塊状肉縦幅計測用ポテンショメータ(縦幅検出手段)
230 カメラ(撮像手段)
240 ロボット
241 ロボットアーム
255 ハンド装置
305 ロボットコントローラ(第1制御装置)
310 制御システム
mt 薄肉(食品片)
MT 集合体
SL 通信線
R 設定領域
MCS 食肉切断移載システム(食品切断移載システム)



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38