(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057857
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ポジティブ感情推定方法、装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240418BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164815
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松原 惇高
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】ポジティブ感情を容易に定量化する。
【解決手段】本発明の一実施形態であるポジティブ感情推定方法は、ユーザの脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得するステップと、前記取得した前記脳活動と前記生理的パラメータとの少なくとも一方から、推定モデルを用いて、前記ユーザのポジティブ感情を推定するステップと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得するステップと、
前記取得した前記脳活動と前記生理的パラメータとの少なくとも一方から、推定モデルを用いて、前記ユーザのポジティブ感情を推定するステップと
を含むポジティブ感情推定方法。
【請求項2】
前記ユーザの個人特性データを取得するステップと、
前記取得した前記脳活動と前記生理的パラメータとの少なくとも一方、および、前記取得した前記個人特性データから、推定モデルを用いて、前記ユーザのポジティブ感情を改善するためのリコメンド情報を推定するステップと
をさらに含む、請求項1に記載のポジティブ感情推定方法。
【請求項3】
前記推定した前記ポジティブ感情を前記ユーザに提示するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載のポジティブ感情推定方法。
【請求項4】
前記推定した前記リコメンド情報を前記ユーザに提示するステップ、
をさらに含む、請求項2に記載のポジティブ感情推定方法。
【請求項5】
前記ユーザのポジティブ感情を推定することは、前記ユーザの安らぎ度合いを推定することである、請求項1から4のいずれか一項に記載のポジティブ感情推定方法。
【請求項6】
前記ポジティブ感情は、安らぎ、満足、喜び、興味、誇り、鼓舞、畏敬、愛情、感謝、希望、愉快、和み、意気込み、感嘆、尊敬のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のポジティブ感情推定方法。
【請求項7】
前記推定モデルは、機械学習モデルまたは統計モデルである、請求項1から4のいずれか一項に記載のポジティブ感情推定方法。
【請求項8】
ユーザの脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得する取得部と、
前記取得した前記脳活動と前記生理的パラメータとの少なくとも一方から、推定モデルを用いて、前記ユーザのポジティブ感情を推定する推定部と
を備えた装置。
【請求項9】
コンピュータを
ユーザの脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得する取得部、
前記取得した前記脳活動と前記生理的パラメータとの少なくとも一方から、推定モデルを用いて、前記ユーザのポジティブ感情を推定する推定部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジティブ感情推定方法、装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポジティブ感情の効果について提唱された「拡張-形成理論」が知られている。具体的には、ポジティブ感情は、新しい考え方の創出・新たな活動の増加・新たな関係の構築を生み、その結果、技術の向上・知識の増加・サポートの増加・レジリエンスの増加を生み、その結果、健康の増進・生存能力の向上・物事の成就を生み、その結果、ポジティブ感情を生む、という正のスパイラルを引き起こすという理論である。
【0003】
ネガティブ感情のストレスを解消するだけでなく、より多くのポジティブ感情を生み、正のスパイラルを加速させ、ウェルビーイングを促進することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、人間の感情は主観的なものであり、従来、ポジティブ感情を定量化することは容易ではなかった。
【0006】
そこで、本発明では、ポジティブ感情を容易に定量化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態であるポジティブ感情推定方法は、ユーザの脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得するステップと、前記取得した前記脳活動と前記生理的パラメータとの少なくとも一方から、推定モデルを用いて、前記ユーザのポジティブ感情を推定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポジティブ感情を容易に定量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る全体の構成例である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る推定装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る全体の処理のフローチャートの一例である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るポジティブ感情を推定する処理のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るリコメンド情報を推定する処理のフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る機械学習処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る推定装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
<用語の説明>
・本明細書において、「ポジティブ感情」とは、安らぎ、満足、喜び、興味、誇り、鼓舞、畏敬、愛情、感謝、希望、愉快、和み、意気込み、感嘆、尊敬、joy、gratitude、serenity、contentment、interest、hope、pride、amusement、inspiration、awe、loveのうちの少なくとも1つを含む。
・本明細書において、「ユーザのポジティブ感情を推定する」とは、ユーザの安らぎ度合いを推定することである。なお、ユーザは、現在の状況に一体感、快適さ、安心感がある際に、安らぎを感じる。
【0012】
<全体の構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る全体の構成例である。
【0013】
推定システム1は、推定装置10と、脳活動計測装置21と、生理的パラメータ計測装置22と、を含む。以下、それぞれについて説明する。
【0014】
<<推定装置>>
推定装置10は、ユーザ30のポジティブ感情を推定する装置である。推定装置10は、脳活動計測装置21が計測した結果を取得することができる。また、推定装置10は、生理的パラメータ計測装置22が計測した結果を取得することができる。例えば、推定装置10は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、AIスピーカーやスマートウォッチ等のスマートデバイス等である。
【0015】
具体的には、推定装置10は、ユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得して、取得した脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方から、推定モデルを用いて、ユーザ30のポジティブ感情を推定する。さらに、推定装置10は、ユーザ30の個人特性データも取得して、取得した脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、取得した個人特性データから、推定モデルを用いて、ユーザ30のポジティブ感情を改善するための情報(以下、リコメンド情報ともいう)を推定することができる。
【0016】
なお、推定装置10をサーバおよびユーザ30が操作する端末(例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、AIスピーカーやスマートウォッチ等のスマートデバイス等)で実装してもよい。具体的には、端末が、ポジティブ感情およびリコメンド情報の推定をサーバに要求し、サーバが、ポジティブ感情およびリコメンド情報を推定し、端末が、サーバが推定したポジティブ感情およびリコメンド情報をサーバから取得するようにしてもよい。
【0017】
<<脳活動計測装置>>
脳活動計測装置21は、ユーザ30の脳の活動を計測する装置である。
【0018】
ここで、脳の活動について説明する。本発明の一実施形態では、ポジティブ感情であるときとポジティブ感情ではないときとで変化する脳の活動に基づいて、ポジティブ感情を推定する。例えば、脳の活動は、脳波、脳の血流等の少なくとも1つにより示される。
【0019】
<<生理的パラメータ計測装置>>
生理的パラメータ計測装置22は、ユーザ30の生理的パラメータを計測する装置である。例えば、生理的パラメータ計測装置22は、ユーザ30が装着するウェアラブルセンサ、ユーザ30を撮影するカメラ等である。
【0020】
ここで、生理的パラメータについて説明する。生理的パラメータは、脳以外の身体の状態を示す情報である。本発明の一実施形態では、ポジティブ感情であるときとポジティブ感情ではないときとで変化する生理的パラメータに基づいて、ポジティブ感情を推定する。例えば、生理的パラメータは、心拍数、血圧、肌温度、肌電気伝導度、唾液含有因子(コルチゾール等)等の少なくとも1つを含む。
【0021】
<機能ブロック>
図2は、本発明の一実施形態に係る推定装置10の機能ブロック図である。推定装置10は、脳活動情報取得部101と、生理的パラメータ情報取得部102と、個人特性データ情報取得部103と、個人特性データ記憶部104と、ポジティブ感情推定部105と、ポジティブ感情推定モデル記憶部106と、リコメンド情報推定部107と、リコメンド情報推定モデル記憶部108と、提示部109と、を備える。推定装置10は、プログラムを実行することで、脳活動情報取得部101、生理的パラメータ情報取得部102、個人特性データ情報取得部103、ポジティブ感情推定部105、リコメンド情報推定部107、提示部109、として機能する。以下、それぞれについて説明する。
【0022】
脳活動情報取得部101は、脳活動計測装置21が計測した脳活動(例えば、脳波、脳の血流等の情報)を脳活動計測装置21から取得する。
【0023】
生理的パラメータ情報取得部102は、生理的パラメータ計測装置22が計測した生理的パラメータ(例えば、心拍数、血圧、肌温度、肌電気伝導度、唾液含有因子(コルチゾール等)等)を生理的パラメータ計測装置22から取得する。
【0024】
個人特性データ情報取得部103は、ユーザ30が推定装置10に入力した個人特性データ、または、個人特性データ記憶部104に記憶されている個人特性データを取得する。
【0025】
個人特性データ記憶部104には、ユーザ30の個人特性データ(既にユーザ30が入力した個人特性データ)が記憶されている。
【0026】
ここで、個人特性データについて説明する。個人特性データは、ポジティブ感情の度合い(感度、頻度等)に影響を与える、ユーザ30が有する特有の性質である。例えば、個人特性データは、ユーザ30の過去の記憶に関する情報、現在の趣味思考、現在の性格等の少なくとも1つを含む。例えば、個人特性データは、性格診断の結果、心理的診断の結果、教育環境、生育環境、趣味、価値観、ストレス解消法、ストレスに対する心理的方略、性別、年齢、普段の運動量や運動能力(例えば、加速度センサー等によって計測された歩数や移動距離)等の少なくとも1つを含む。
【0027】
ポジティブ感情推定部105は、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方から、ポジティブ感情推定モデル記憶部106に記憶されている推定モデルを用いて、ポジティブ感情を推定する。なお、ポジティブ感情推定部105は、ユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、ユーザ30の個人特性データから、推定モデルを用いて、ポジティブ感情を推定してもよい。
【0028】
ポジティブ感情推定モデル記憶部106には、ポジティブ感情を推定する(例えば、ユーザの安らぎ度合いを推定する)機械学習モデルまたは統計モデルが記憶されている。なお、機械学習モデルは、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方が入力されると、ポジティブ感情を出力するように機械学習された学習済みモデルであり、統計モデルは、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方からポジティブ感情を導出する数理モデルである。
【0029】
リコメンド情報推定部107は、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、個人特性データから、リコメンド情報推定モデル記憶部108に記憶されている推定モデルを用いて、ポジティブ感情を改善するためのリコメンド情報を推定する。
【0030】
リコメンド情報推定モデル記憶部108には、リコメンド情報を推定する機械学習モデルまたは統計モデルが記憶されている。なお、機械学習モデルは、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、個人特性データが入力されると、リコメンド情報を出力するように機械学習された学習済みモデルであり、統計モデルは、活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、個人特性データからリコメンド情報を導出する数理モデルである。
【0031】
ここで、リコメンド情報について説明する。リコメンド情報は、ユーザ30の五感に刺激を与える任意の情報(物の情報であってもよいし、サービスの情報であってもよい)であってよい。例えば、リコメンド情報は、ユーザ30の安らぎ度合いを向上させる美術館での芸術に関する体験、ユーザ30の安らぎ度合いを向上させる旅行、ユーザ30の安らぎ度合いを向上させるイベント、ユーザ30の安らぎ度合いを向上させる移動手段(例えば、航空、鉄道等)、ユーザ30の安らぎ度合いを向上させるスマートシティ内のイベントや空間等のスマートシティに関する情報等の種々のジャンルのリコメンド情報であってよい。このように、一人一人に最適化された安らぎの空間を提示することができる。
【0032】
提示部109は、ポジティブ感情推定部105が推定したポジティブ感情、および、リコメンド情報推定部107が推定したリコメンド情報をユーザ30に提示(例えば、推定装置10の画面上に表示、音声や振動を出力)する。
【0033】
<方法>
以下、まず
図3を参照しながら全体の処理について説明し、
図4を参照しながらポジティブ感情の推定の処理について説明し、
図5を参照しながらリコメンド情報の推定の処理について説明し、
図6を参照しながら機械学習の処理について説明する。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係る全体の処理のフローチャートの一例である。
【0035】
ステップ1(S1)において、推定装置10(脳活動情報取得部101および生理的パラメータ情報取得部102)は、ユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得する。なお、脳活動、生理的パラメータが正しく計測されていない場合には、推定装置10は、再計測された脳活動、生理的パラメータを再取得してもよい。
【0036】
ステップ2(S2)において、推定装置10(ポジティブ感情推定部105)は、S1で取得した脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方から、ポジティブ感情推定モデル記憶部106に記憶されている推定モデルを用いて、ポジティブ感情を推定する。
【0037】
ステップ3(S3)において、推定装置10(提示部109)は、S2で推定したポジティブ感情をユーザ30に提示(例えば、画面上に表示、音声や振動を出力)する。
【0038】
ステップ4(S4)において、推定装置10(個人特性データ情報取得部103)は、ユーザ30の個人特性データを取得済みか(つまり、既にユーザ30の個人特性データが個人特性データ記憶部104に記憶されているか)を判断する。未だユーザ30の個人特性データが取得されていない場合には、ステップ5へ進み、既にユーザ30の個人特性データが取得されている場合には、個人特性データ記憶部104に記憶されているユーザ30の個人特性データを取得(参照)してステップ6へ進む。
【0039】
ステップ5(S5)において、推定装置10(個人特性データ情報取得部103)は、ユーザ30の個人特性データを取得する。具体的には、推定装置10(個人特性データ情報取得部103)は、ユーザ30が推定装置10に入力した個人特性データを取得する。なお、個人特性データが正しく入力されていない場合には、推定装置10は、再入力された個人特性データを再取得してもよい。
【0040】
ステップ6(S6)において、推定装置10(リコメンド情報推定部107)は、S1で取得した脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、S4またはS5で取得した個人特性データから、リコメンド情報推定モデル記憶部108に記憶されている推定モデルを用いて、ポジティブ感情を改善するためのリコメンド情報を推定する。
【0041】
ステップ7(S7)において、推定装置10(提示部109)は、S6で推定したリコメンド情報をユーザ30に提示(例えば、画面上に表示、音声や振動を出力)する。
【0042】
ステップ8(S8)において、推定装置10(提示部109)は、S7で表示したリコメンド情報が選択されたか否か(具体的には、ユーザ30が当該リコメンド情報の提供を受けることを選択したか否か)を判断する。リコメンド情報が選択された場合には、ステップ9へ進み、リコメンド情報が選択されなかった場合には、ステップ6へ戻って別のリコメンド情報(例えば、別のジャンルのリコメンド情報)を推定する。
【0043】
ステップ9(S9)において、S8で選択されたリコメンド情報がユーザ30に提供される(つまり、ユーザ30は、実際に、美術館での芸術に関する体験、旅行、イベント、移動手段(例えば、航空、鉄道等)、スマートシティ等を経験する)。
【0044】
ステップ10(S10)において、推定装置10(脳活動情報取得部101および生理的パラメータ情報取得部102)は、S9のリコメンド情報の提供を受けた後のユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得する。
【0045】
ステップ11(S11)において、推定装置10(ポジティブ感情推定部105)は、S10で取得した脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方から、ポジティブ感情推定モデル記憶部106に記憶されている推定モデルを用いて、ポジティブ感情を推定する。
【0046】
ステップ12(S12)において、推定装置10(提示部109)は、S11で推定したポジティブ感情をユーザ30に提示(例えば、画面上に表示、音声や振動を出力)する。
【0047】
なお、ステップ13(S13)において、推定装置10は、ユーザ30の脳活動、生理的パラメータ、個人特性データ、ユーザ30が提供を受けたリコメンド情報(つまり、ユーザ30が実際に経験したリコメンド情報)、ユーザ30が当該リコメンド情報の提供を受ける前後のポジティブ感情をデータセンターへ送信することができる。データセンターでは、推定装置10から収集した情報やデータをもとに、どのようなユーザがどのようなリコメンド情報の提供を受けるとどのようにポジティブ感情が変化するかを分析することができる。
【0048】
図4は、本発明の一実施形態に係るポジティブ感情を推定する処理のフローチャートである。
【0049】
ステップ101(S101)において、推定装置10(脳活動情報取得部101および生理的パラメータ情報取得部102)は、ユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方を取得する。具体的には、推定装置10(脳活動情報取得部101)は、脳活動計測装置21が計測した脳活動を脳活動計測装置21から取得する。また、推定装置10(生理的パラメータ情報取得部102)は、生理的パラメータ計測装置22が計測した生理的パラメータを生理的パラメータ計測装置22から取得する。
【0050】
ステップ102(S102)において、推定装置10(ポジティブ感情推定部105)は、S101で取得した脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方から、ポジティブ感情推定モデル記憶部106に記憶されている推定モデルを用いて、ポジティブ感情を推定する。
【0051】
ステップ103(S103)において、推定装置10(提示部109)は、S102で推定したポジティブ感情をユーザ30に提示する。
【0052】
なお、
図4では、ユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方からポジティブ感情を推定する場合を説明したが、ユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、ユーザ30の個人特性データからポジティブ感情を推定してもよい。
【0053】
図5は、本発明の一実施形態に係るリコメンド情報を推定する処理のフローチャートである。
【0054】
ステップ201(S201)において、推定装置10(脳活動情報取得部101および生理的パラメータ情報取得部102および個人特性データ情報取得部103)は、ユーザ30の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、個人特性データを取得する。具体的には、推定装置10(脳活動情報取得部101)は、脳活動計測装置21が計測した脳活動を脳活動計測装置21から取得する。また、推定装置10(生理的パラメータ情報取得部102)は、生理的パラメータ計測装置22が計測した生理的パラメータを生理的パラメータ計測装置22から取得する。また、推定装置10(個人特性データ情報取得部103)は、ユーザ30が推定装置10に入力した個人特性データ、または、個人特性データ記憶部104に記憶されている個人特性データを取得する。
【0055】
ステップ202(S202)において、推定装置10(リコメンド情報推定部107)は、S201で取得した脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、個人特性データから、リコメンド情報推定モデル記憶部108に記憶されている推定モデルを用いて、ポジティブ感情を改善するためのリコメンド情報を推定する。
【0056】
ステップ203(S203)において、推定装置10(提示部109)は、S202で推定したリコメンド情報をユーザ30に提示する。
【0057】
図6は、本発明の一実施形態に係る機械学習処理のフローチャートである。具体的には、ポジティブ感情推定モデル記憶部106に記憶されている機械学習モデル、および、リコメンド情報推定モデル記憶部108に記憶されている機械学習モデルの生成方法について説明する。
【0058】
ステップ1001(S1001)において、推定装置10(あるいは、推定装置10とは別の装置であってもよい)は、学習データを取得する。
【0059】
ステップ1002(S1002)において、推定装置10(あるいは、推定装置10とは別の装置であってもよい)は、S1001で取得した学習データを用いて機械学習して、機械学習モデルを生成する。なお、モデルの構築においては、取得したデータを訓練データと試験データに分け、クロスバリデーションを行い、過学習しないモデルを採用してもよい。
【0060】
[ポジティブ感情の推定モデル]
ポジティブ感情の推定モデルの場合、被験者の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方と、当該被験者の感情を表すデータ(例えば、被験者がアンケート(具体的には、脳活動と生理的パラメータの計測時の自身の感情を回答するアンケート)に回答したポジティブ感情(例えば、安らぎ度合い)、当該被験者の性格診断の結果等)と、を学習データとする。そして、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方が入力されると、ポジティブ感情(例えば、安らぎ度合い)が出力されるモデルが生成される。なお、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方、および、個人特性データが入力されると、ポジティブ感情(例えば、安らぎ度合い)が出力されるモデルを生成するようにしてもよい。
【0061】
[リコメンド情報の推定モデル]
リコメンド情報の推定モデルの場合、被験者の脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方および個人特性データと、当該被験者がリコメンド情報の提供を受ける前よりも後のほうがポジティブ感情が改善される(つまり、より多くのポジティブ感情を生じさせる)リコメンド情報と、を学習データとする。そして、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方および個人特性データが入力されると、リコメンド情報が出力されるモデルが生成される。なお、リコメンド情報のジャンル(例えば、美術館での芸術に関する体験、旅行、イベント、移動手段(例えば、航空、鉄道等)、スマートシティ等)ごとにモデルが生成されてもよい。
【0062】
なお、
図3のS13のデータセンターが収集した情報やデータ(具体的には、ユーザ30の脳活動、生理的パラメータ、個人特性データ、ユーザ30が提供を受けたリコメンド情報、ユーザ30が当該リコメンド情報の提供を受ける前後のポジティブ感情)をもとに、脳活動と生理的パラメータとの少なくとも一方および個人特性データと、リコメンド情報の提供を受ける前よりも後のほうがポジティブ感情が改善されるリコメンド情報と、からなる学習データを生成することができる。
【0063】
<効果>
このように、本発明の一実施形態では、ユーザのポジティブ感情を容易に定量化する(例えば、当該ユーザの安らぎ度合いを推定する)ことができる。また、ユーザの個人特性データも用いることで、当該ユーザに適したリコメンド情報を推定することができる。
【0064】
<ハードウェア構成>
図7は、本発明の一実施形態に係る推定装置10のハードウェア構成図である。推定装置10は、制御部1001と、主記憶部1002と、補助記憶部1003と、入力部1004と、出力部1005と、インタフェース部1006と、を備えることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0065】
制御部1001は、補助記憶部1003にインストールされている各種プログラムを実行するプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)など)である。
【0066】
主記憶部1002は、不揮発性メモリ(ROM(Read Only Memory))および揮発性メモリ(RAM(Random Access Memory))を含む。ROMは、補助記憶部1003にインストールされている各種プログラムを制御部1001が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する。RAMは、補助記憶部1003にインストールされている各種プログラムが制御部1001によって実行される際に展開される作業領域を提供する。
【0067】
補助記憶部1003は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。
【0068】
入力部1004は、推定装置10の操作者が推定装置10に対して各種指示を入力する入力デバイスである。
【0069】
出力部1005は、推定装置10の内部状態等を出力する出力デバイスである。
【0070】
インタフェース部1006は、ネットワークに接続し、他の装置と通信を行うための通信デバイスである。
【0071】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 推定システム
10 推定装置
21 脳活動計測装置
22 生理的パラメータ計測装置
30 ユーザ
101 脳活動情報取得部
102 生理的パラメータ情報取得部
103 個人特性データ情報取得部
104 個人特性データ記憶部
105 ポジティブ感情推定部
106 ポジティブ感情推定モデル記憶部
107 リコメンド情報推定部
108 リコメンド情報推定モデル記憶部
109 提示部
1001 制御部
1002 主記憶部
1003 補助記憶部
1004 入力部
1005 出力部
1006 インタフェース部