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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057865
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】排気装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20240418BHJP
   F01N 13/00 20100101ALI20240418BHJP
【FI】
F01N13/08 B
F01N13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164828
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】都築 裕介
(72)【発明者】
【氏名】戸市 進之介
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA03
3G004CA13
3G004DA01
3G004DA23
3G004DA24
3G004EA02
(57)【要約】
【課題】排気ガスの流量が多いときの背圧上昇を抑制しつつ、凝縮水を下流側に移動させやすくする技術を提供する。
【解決手段】車両に搭載される排気装置は、流路部材と、バルブと、駆動機構と、連通部と、を備える。流路部材は、排気流路を形成し、上方に曲がる曲げ部を有する。バルブは、排気流路内において曲げ部、又は、曲げ部の上流側であって曲げ部の付近に配置され、閉位置と開位置との間で変位可能な弁体を有する。駆動機構は、排気ガスの流量が多いときに、弁体を開位置に向かって変位させ、排気ガスの流量が少ないときに、弁体を閉位置に向かって変位させて、排気流路の開度を変更する。連通部は、弁体に設けられ、弁体が閉位置にあるときに、排気ガスの流れ方向と直交する排気流路の流路断面の中心よりも下方に位置し、弁体よりも上流側の排気流路及び弁体よりも下流側の排気流路を連通する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される排気装置であって、
排気ガスが流れる排気流路を形成し、上方に曲がる曲げ部を有する流路部材と、
前記排気流路内において前記曲げ部、又は、前記曲げ部の上流側であって前記曲げ部の付近に配置され、前記排気流路が最も閉じた閉位置と前記排気流路が最も開いた開位置との間で変位可能な弁体を有するバルブと、
前記排気ガスの流量が多いときに、前記弁体を前記開位置に向かって変位させ、前記排気ガスの流量が少ないときに、前記弁体を前記閉位置に向かって変位させて、前記排気流路の開度を変更するための駆動機構と、
前記弁体に設けられ、前記弁体が前記閉位置にあるときに、前記排気ガスの流れ方向と直交する前記排気流路の流路断面の中心よりも下方に位置し、前記弁体よりも上流側の前記排気流路及び前記弁体よりも下流側の前記排気流路を連通する連通部と、
を備える、排気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気装置であって、
前記バルブは、前記排気ガスの流れ方向に略垂直な方向に延びる軸部を有し、
前記軸部は、前記流路断面の中心よりも上方に位置し、
前記弁体は、前記軸部を中心に回転することで変位する、排気装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記連通部は、前記弁体が前記閉位置にあるときに、前記弁体の最下部に位置する、排気装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記弁体は、板状であり、前記開位置にあるときに対面する前記流路部材の側壁に沿った形状を有する、排気装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の排気装置であって、
前記弁体が前記開位置にあるときに、当該弁体を格納する格納部を更に備え、
前記格納部は、前記流路部材の側壁の一部が外側に向かって突出することで設けられる、排気装置。
【請求項6】
請求項5に記載の排気装置であって、
前記弁体は、内部空間を有し、
前記内部空間には、吸音材が収容される、排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される排気装置では、排気ガス中の水分が凝縮した凝縮水等が排気装置内に溜まる。このような凝縮水は、排気装置の腐食の原因になり得る。このため、排気装置内に溜まった水は、排気装置外に排出されることが望ましい。しかし、排気ガスの流量が少ないと、特に鉛直方向上方に曲がるような曲げ部を有する構成では、曲げ部の下流側に凝縮水を移動させにくいため、曲げ部の上流側に凝縮水が溜まりやすくなる。その結果、排気装置外に凝縮水が排出されにくくなる。
【0003】
特許文献1には、直管部と、当該直管部の下流側に連結され、上方に曲がる曲げ部と、を備え、直管部に当該直管部の上壁の一部が内部に突出した低上壁部が設けられる排気装置が開示されている。この排気装置では、低上壁部によって曲げ部の上流の排気流路を狭めて排気ガスの流速を高め、曲げ部の上流側に溜まった凝縮水を、曲げ部を乗り越えて排出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-085990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した排気装置では、排気ガスの流量が多いときに、低上壁部が流れを妨げる障害物となり、排気流路内の背圧が高くなるという問題があった。
本開示の一局面は、排気ガスの流量が多いときの背圧上昇を抑制しつつ、凝縮水を下流側に移動させやすくする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載される排気装置であって、流路部材と、バルブと、駆動機構と、連通部と、を備える。流路部材は、排気ガスが流れる排気流路を形成し、上方に曲がる曲げ部を有する。バルブは、排気流路内において曲げ部、又は、曲げ部の上流側であって曲げ部の付近に配置され、排気流路が最も閉じた閉位置と排気流路が最も開いた開位置との間で変位可能な弁体を有する。駆動機構は、排気ガスの流量が多いときに、弁体を開位置に向かって変位させ、排気ガスの流量が少ないときに、弁体を閉位置に向かって変位させて、排気流路の開度を変更する。連通部は、弁体に設けられ、弁体が閉位置にあるときに、排気ガスの流れ方向と直交する排気流路の流路断面の中心よりも下方に位置し、弁体よりも上流側の排気流路及び弁体よりも下流側の排気流路を連通する。
【0007】
このような構成では、排気流路を流れる排気ガスの流量が多いときに、弁体が開位置に向かって変位すると、排気流路が広がる。このため、排気ガスの流量が多いときでも排気流路内の背圧が上昇しにくい。また、排気流路を流れる排気ガスの流量が少ないときに、弁体が閉位置に変位すると、連通部が形成された状態で、曲げ部、又は、曲げ部の上流側であって曲げ部の付近の排気流路が狭まる。このため、排気ガスの流量が少ないときでも排気ガスの流速が高まり、凝縮水が曲げ部を通過しやすくなる。したがって、排気ガスの流量が多いときの背圧上昇を抑制しつつ、凝縮水を曲げ部の下流側に移動させやすくできる。
【0008】
本開示の一態様では、バルブは、排気ガスの流れ方向に略垂直な方向に延びる軸部を有してもよい。軸部は、排気ガスの流れ方向と直交する排気流路の流路断面の中心よりも上方に位置してもよい。弁体は、軸部を中心に回転することで変位してもよい。このような構成では、軸部が凝縮水と接触しにくい位置にあるため、曲げ部の上流側に溜まった凝縮水が、排気流路におけるバルブが配置された位置を通過する際に、軸部が凝縮水の流れの妨げになりにくい。このため、凝縮水を曲げ部の下流側に移動させやすい。
【0009】
本開示の一態様では、連通部は、弁体が閉位置にあるときに、弁体の最下部に位置してもよい。このような構成によれば、曲げ部の上流側に溜まった凝縮水が少ない場合でも、凝縮水が連通部を通過しやすい。
【0010】
本開示の一態様では、弁体は、板状であり、開位置にあるときに対面する流路部材の側壁に沿った形状を有してもよい。このような構成では、弁体が開位置にあるとき、弁体が流路部材の側壁に沿って配置されやすい。これにより、弁体が排気流路内に張り出すことが抑制されるため、弁体が排気流路内において流れを妨げる障害物となりにくい。したがって、排気ガスの流量が多いときの背圧上昇をより抑制することができる。
【0011】
本開示の一態様は、弁体が開位置にあるときに、当該弁体を格納する格納部を更に備えてもよい。格納部は、流路部材の側壁の一部が外側に向かって突出することで設けられてもよい。このような構成では、開位置に変位した弁体が格納部に格納されるため、弁体が排気流路内に張り出すことが抑制される。このため、弁体が排気流路内において流れを妨げる障害物となりにくい。したがって、排気ガスの流量が多いときの背圧上昇をより抑制することができる。
【0012】
本開示の一態様では、弁体は、内部空間を有してもよい。内部空間には、吸音材が収容されてもよい。このような構成によれば、当該弁体の内部空間に収容された吸音材によって特定周波数帯の音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】弁体が閉位置にあるときの排気装置の斜視図である。
図2】弁体が閉位置にあるときの排気装置の正面図である。
図3】弁体が閉位置にあるときの排気装置の上面図である。
図4】弁体が閉位置にあるときの排気装置の左側面図である。
図5】弁体が開位置にあるときの排気装置の斜視図である。
図6】弁体が開位置にあるときの排気装置の正面図である。
図7】弁体が開位置にあるときの排気装置の上面図である。
図8】弁体が開位置にあるときの排気装置の左側面図である。
図9】内部空間を有する弁体を格納する格納部を備える排気装置において、弁体が閉位置にある状態を模式的に示す断面図である。
図10】内部空間を有する弁体を格納する格納部を備える排気装置において、弁体が開位置にある状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1図8に示す排気装置100は、車両に搭載される装置であって、流路部材1と、バルブ2と、駆動機構3と、連通部4と、を備える。以下の説明では、図1を基準に上下方向、左右方向及び前後方向を表現するが、あくまでも説明の便宜上の表現である。なお、図1図8に示す排気装置100では、当該排気装置100の内部構造をわかりやすく示すために、バルブ2が透過的に示されている。
【0015】
<流路部材>
流路部材1は、排気ガスGを車両の外部へ導くための排気流路の一部を形成する。本実施形態では、流路部材1は、排気装置100が車両に対して取り付けられた状態において、車両の前後方向に延びる。流路部材1は、曲がった形状の円筒状の部材である。流路部材1は、単一の部材であってもよいし、複数の異なる部材により形成されていてもよい。流路部材1は、当該流路部材1の中心軸Aと直交する流路断面が円形である。流路部材1は、排気ガスGの流れ方向において上流側から順に、上流部11と、曲げ部12と、下流部13と、を有する。
【0016】
上流部11は、上流側の排気流路を形成する。上流部11は、前後方向に延びる、直管状の部分である。
下流部13は、上流部11よりも下流側の排気流路を形成する。下流部13は、斜め前下方から斜め後上方向に延びる、直管状の部分である。
【0017】
曲げ部12は、上流部11よりも下流側かつ下流部13よりも上流側の曲がった排気流路を形成する。曲げ部12は、上流部11と下流部13とを連結する、流路断面積がほぼ一定の湾曲した管状の部分である。流路断面積とは、排気流路における排気ガスGの流れ方向に直交する断面、すなわち排気流路の流路断面の面積である。本実施形態において、上流部11の直径、曲げ部12の直径及び下流部13の直径はほぼ等しい。つまり、上流部11、曲げ部12及び下流部13の流路断面積はほぼ等しい。本実施形態では、曲げ部12は、排気装置100が車両に対して取り付けられた状態において、上方に曲がる。なお、曲げ部は、上下方向に対して左右方向に傾いた状態で、上方に向かって曲がっていてもよい。この場合、下流部は、斜め前下方から斜め後上方向、かつ、右方向又は左方向に延びる。
【0018】
<バルブ>
バルブ2は、流路部材1の内部に配置され、排気流路の開度を変更可能に構成されている。本実施形態では、バルブ2は、排気流路内において、曲げ部12の上流側であって、当該曲げ部12の付近に配置される。バルブ2は、軸部21と、弁体22と、を有する。
【0019】
軸部21は、排気ガスGの流れ方向に略垂直な方向に延びる棒状の部材である。本実施形態では、軸部21は、左右方向に延び、排気流路の流路断面の中心よりも上方に位置する。換言すると、軸部21は、流路部材1の中心軸Aを通りかつ排気流路の流路断面を上下方向に分割する図2及び図6に示す中心線Bと略平行に延び、当該中心線Bよりも上方に位置する。具体的には、軸部21は、排気流路におけるバルブ2が設けられる位置の鉛直方向最上部に位置するように、流路部材1を左右方向に貫通する。軸部21の一方の端部は、後述する駆動機構3に接続し、駆動機構3によって軸部21が回転する。
【0020】
弁体22は、板状の部材であり、当該弁体22の上方端部221が軸部21に固定されている。弁体22は、図1図4に示す排気流路が最も閉じた閉位置と、図5図8に示す排気流路が最も開いた開位置と、の間で変位可能に構成されている。本実施形態では、開位置は、排気流路が最大開度となる弁体22が開ききった位置である。また、閉位置は、排気流路が最小開度となる弁体22が閉じきった位置である。弁体22は、軸部21の回転により、閉位置から開位置、又は、開位置から閉位置へと向かって回転変位する。本実施形態では、弁体22は、閉位置から軸部21を中心に下流側に向かって回転することで、開位置に変位する。
【0021】
弁体22は、閉位置にあるときの図2に示す正面視において、排気流路の流路断面と同様な略円形状に形成されている。なお、排気流路内において、弁体22が上述したように変位する際に、当該弁体22が流路部材1の内面と干渉しないように、弁体22と流路部材1の内面との間には、流路部材1の周方向において隙間が形成されていてもよい。更に、弁体22は、開位置にあるときに対面する流路部材1の側壁に沿って湾曲した形状を有する。本実施形態では、弁体22は、流路部材1の側壁における周方向の湾曲に沿って湾曲し、かつ、曲げ部12の側壁における排気ガスGの流れ方向への曲げに沿って湾曲する。換言すると、弁体22は、閉位置にあるときに、左方端部及び右方端部に対して中央部分が下流側に突出するように湾曲し、かつ、下方端部222、すなわち軸部21に固定されている側とは反対側の端部が上方端部221よりも下流側に位置するように湾曲する。このため、図8に示すように、弁体22が開位置にあるとき、当該弁体22は、排気流路の側壁に沿って配置される。本実施形態では、弁体22が開位置にあるとき、当該弁体22は、流路部材1の内面と全面において当接する。なお、弁体は、開位置にあるときに、流路部材1の内面と隙間を有して、排気流路の側壁に沿って配置されてもよい。
【0022】
<駆動機構>
駆動機構3は、軸部21を回転させることで、上述したように軸部21を中心に弁体22を回転変位させるための装置である。本実施形態では、駆動機構3として、モータ等のアクチュエータが用いられる。駆動機構3は、排気流路を流れる排気ガスGの流量が多いときに、弁体22を開位置に向かって変位させ、排気流路を流れる排気ガスGの流量が少ないときに、弁体22を閉位置に向かって変位させて、排気流路の開度を変更する。具体的には、駆動機構3は、車両の内燃機関の運転状態により、弁体22を開位置と閉位置との間で変位させるような制御を実行する。例えば、駆動機構3は、内燃機関が低回転にあるときに、弁体22を閉位置に向かって変位させる制御を実行し、内燃機関が高回転にあるときに、弁体22を開位置に向かって変位させる制御を実行する。なお、駆動機構3は、排気流路内の温度変化により、弁体22を開位置と閉位置との間で変位させるような制御を実行してもよい。
【0023】
<連通部>
連通部4は、弁体22に設けられ、弁体22が閉位置にあるときに、弁体22よりも上流側の排気流路及び弁体22よりも下流側の排気流路を連通する。連通部4は、排気装置100が車両に対して取り付けられた状態において、弁体22が閉位置にあるときに、排気流路の流路断面の中心よりも下方に位置する。換言すると、連通部4は、弁体22が閉位置にあるときに、上述した中心線Bよりも下方に位置する。具体的には、連通部4は、弁体22が閉位置にあるときに、弁体22の鉛直方向最下部に位置する。本実施形態では、連通部4は、弁体22の下方端部222に設けられた切欠きによって形成される。つまり、弁体22が閉位置にあるときに、当該弁体22に設けられた切欠きによって流路部材1の内面との間に形成される隙間が、連通部として機能する。
【0024】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、排気流路内において曲げ部12の上流側であって曲げ部12の付近に配置されたバルブ2が有する弁体22が、駆動機構3によって、閉位置と開位置との間で軸部21を中心に回転変位可能に構成されている。そして、排気流路を流れる排気ガスGの流量が多いときには、駆動機構3によって、弁体22が開位置に向かって変位し、排気流路が広がる。このため、排気ガスGの流量が多いときでも排気流路内の背圧が上昇しにくい。
【0025】
また、排気流路を流れる排気ガスGの流量が少ないときには、駆動機構3によって、弁体22が閉位置に変位し、連通部4が形成された状態で、曲げ部12の上流側であって曲げ部12の付近の排気流路が狭まる。このため、排気ガスGの流量が少ないときでも排気ガスGの流速が高まり、曲げ部の上流側に溜まった凝縮水が曲げ部12を通過しやすくなる。したがって、排気ガスGの流量が多いときの背圧上昇を抑制しつつ、凝縮水を曲げ部12の下流側に移動させやすくできる。すなわち、排気ガスGの流量が少ないときに、曲げ部12の上流側に凝縮水が溜まりにくくなる。その結果、排気装置100における凝縮水の排出を促すことができる。
【0026】
(2b)本実施形態では、排気ガスGの流量が少ないときに、弁体22が閉位置に変位する。これにより、閉位置にある弁体22が、排気流路を閉じる壁として機能するため、排気流路内を音が伝わりにくくなる。その結果、定在波や脈動圧の抑制効果が見込める。
【0027】
(2c)本実施形態では、軸部21が、排気流路におけるバルブ2が設けられる位置の鉛直方向最上部に位置する。凝縮水は、流路部材1の側壁のうち下方側に位置する部分に沿って流れるため、軸部21は、凝縮水と接触しにくい位置にある。このため、曲げ部12の上流側に溜まった凝縮水が、排気流路におけるバルブ2が配置された位置を通過する際に、軸部21が凝縮水の流れの妨げになりにくい。したがって、軸部が凝縮水と接触しやすい位置に配置される場合と比較して、凝縮水を曲げ部12の下流側に移動させやすい。
【0028】
(2d)本実施形態では、弁体22が閉位置にあるときに、連通部4が弁体22の鉛直方向最下部に位置する。このため、曲げ部12の上流側に溜まった凝縮水が少ない場合でも、凝縮水が連通部4を通過しやすい。
【0029】
(2e)本実施形態では、弁体22が、開位置にあるときに対面する流路部材1の側壁に沿って湾曲する。このため、弁体22が開位置にあるとき、弁体22が流路部材の側壁に沿って配置されやすい。これにより、弁体22が排気流路内に張り出すことが抑制されるため、弁体22が排気流路内において流れを妨げる障害物となりにくい。また、弁体22が、開位置にあるときに排気流路の内面と全面において当接する。このため、排気流路内に弁体22が配置された状態において、排気流路の開度を最大限広げることができる。したがって、排気ガスGの流量が多いときの背圧上昇をより抑制することができる。
【0030】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0031】
(3a)上記実施形態では、バルブ2が排気流路内において、曲げ部12の上流側であって当該曲げ部12の付近に配置されていた。しかし、排気流路内においてバルブが配置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、バルブは、曲げ部12に配置されていてもよい。バルブが曲げ部12に配置される場合、当該バルブは、曲げ部12における上流端部寄りに配置されることが好ましい。
【0032】
(3b)上記実施形態では、駆動機構3としてアクチュエータが用いられる構成を例示したが、駆動機構の構成はこれに限定されるものではない。例えば、駆動機構として、バネが用いられてもよい。駆動機構としてバネが用いられる場合、バルブが有する弁体は、当該バネによって閉位置へ向かう方向へ付勢される。具体的には、弁体は、排気流路を流れる排気ガスGの流量が多いときは、当該排気ガスGによって押され、当該バネの付勢力に抗して開位置に向かって変位する。そして、弁体は、排気ガスGの流量が少ないときは、当該バネ付勢力によって、閉位置に向かって変位する。
【0033】
(3c)上記実施形態では、弁体22が閉位置にあるときに、連通部4が弁体22の鉛直方向最下部に位置していたが、連通部の位置はこれに限定されるものではない。例えば、連通部は、弁体が閉位置にあるときに、排気流路の流路断面の中心よりも下方に位置していれば、弁体の鉛直方向最下部からずれて位置するように、弁体に設けられていてもよい。
【0034】
(3d)上記実施形態では、弁体22が閉位置にあるときに、連通部4が弁体22の下方端部222に設けられた切欠きによって形成されていた。しかし、弁体が閉位置にあるときに形成される連通部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、連通部は、弁体に設けられる貫通孔によって形成されていてもよい。当該貫通孔によって形成される連通部は、弁体が閉位置にあるときに、排気流路の流路断面の中心よりも下方に位置するように弁体に設けられる。
【0035】
また、例えば、弁体の下方端部が排気ガスGの流れ方向に略垂直な方向に沿った直線状であることによって、弁体が閉位置にあるときに、弁体の下方端部と流路部材1の内面との間に形成される隙間が連通部として機能してもよい。また、例えば、弁体が閉位置にあるときに、排気流路の流路断面の円形より弁体が小さい円形状であることによって、弁体の下方端部と流路部材1の内面との間に形成される隙間が連通部として機能してもよい。
【0036】
(3e)上記実施形態では、軸部21が、排気ガスGの流れ方向に略垂直な方向として、左右方向に延びていたが、軸部の延びる方向はこれに限定されるものではない。例えば、軸部は、上下方向に延びていてもよい。
【0037】
(3f)上記実施形態では、軸部21が、排気流路におけるバルブ2が設けられる位置の鉛直方向最上部に位置していたが、軸部の位置はこれに限定されるものではない。例えば、軸部は、排気流路の流路断面の中心よりも上方であって、排気流路におけるバルブ2が設けられる位置の鉛直方向最上部よりも下方において、流路部材1を貫通していてもよい。このような構成でも、凝縮水が少ない場合には、軸部が凝縮水の流れの妨げになりにくい。このため、凝縮水を曲げ部の下流側に移動させやすい。
【0038】
(3g)上記実施形態では、弁体22が、流路部材1の側壁における周方向の湾曲に沿って湾曲し、かつ、曲げ部12の側壁における排気ガスGの流れ方向への曲げに沿って湾曲していたが、弁体の形状はこれに限定されるものではない。例えば、弁体は、流路部材1の側壁における周方向の湾曲に沿ってのみ湾曲していてもよい。また、例えば、弁体は、曲げ部12の側壁における排気ガスGの流れ方向への曲げに沿ってのみ湾曲していてもよい。上述した2つの構成でも、弁体が湾曲を有しない構成と比較して、弁体が排気流路内に張り出すことが抑制される。したがって、排気ガスGの流量が多いときの背圧上昇を抑制することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、弁体22が排気流路の側壁に沿って配置された位置が開位置であったが、弁体が排気流路の側壁に沿って配置されない位置、すなわち、弁体が最大限開ききっていない位置を、開位置としてもよい。
【0040】
(3h)上記実施形態では、排気装置100が流路部材1、バルブ2、駆動機構3及び連通部4を備える構成を例示したが、排気装置の構成はこれに限定されるものではない。例えば、排気装置は、開位置にある弁体を格納可能な格納部を更に備える構成であってもよい。
【0041】
具体的には、図9及び図10に示すように、排気装置100aは、流路部材1aと、バルブ2aと、駆動機構3と、連通部4と、格納部5と、吸音材6と、を備えてもよい。流路部材1aは、上記実施形態の流路部材1と同様に、上流部11と、曲げ部12と、下流部13と、を有する。バルブ2aは、上記実施形態のバルブ2と同様な軸部21と、弁体22aと、を有する。
【0042】
弁体22aは、上記実施形態の弁体22と同様に、駆動機構3による軸部21の回転によって、図9に示す閉位置と、図10に示す開位置と、の間で回転変位が可能に構成されている。弁体22aは、内部空間を有するように、排気ガスGの流れ方向に沿って厚みがある形状である。弁体22aの内部空間には、吸音材6が収容される。弁体22aには、上記実施形態と同様な連通部4が設けられている。なお、閉位置において排気流路の上流側に面する弁体22aの上流面は、以下に示す格納部5が設けられた位置よりも上流側であって格納部5の付近における流路部材1の側壁から排気ガスGの流れ方向に沿って広がるように湾曲することが好ましい。これにより、弁体22aが格納部5から排気流路内に張り出すことが抑制される。
【0043】
格納部5は、弁体22aが開位置にあるときに、当該弁体22aを格納する。格納部5は、流路部材1aの側壁の一部が外側に向かって突出することで設けられる。格納部5は、流路部材1aにおいて、軸部21の下流側であって当該軸部21の付近に形成される。図9及び図10に示す例では、格納部5は、曲げ部12における上方の側壁が外側に向かって突出することで設けられている。
【0044】
排気装置100aの構成では、排気流路を流れる排気ガスGの流量が多いときに、開位置に変位した弁体22aが格納部5に格納されるため、排気流路が広がり、弁体22aが排気流路内に張り出すことが抑制される。このため、弁体22aが排気流路内において流れを妨げる障害物となりにくい。したがって、排気ガスGの流量が多いときでも排気流路内の背圧が上昇しにくい。また、排気流路を流れる排気ガスGの流量が少ないときに、弁体22aが閉位置に変位すると、連通部4が形成された状態で、曲げ部12の上流側であって曲げ部12の付近の排気流路が狭まる。このため、排気ガスGの流量が少ないときでも排気ガスGの流速が高まり、凝縮水が曲げ部12を通過しやすくなる。したがって、排気ガスGの流量が多いときの背圧上昇を抑制しつつ、凝縮水を曲げ部12の下流側に移動させやすくできる。また、弁体22aの内部空間に収容された吸音材6によって、特定周波数帯の音を低減することができる。
【0045】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0046】
[4.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
車両に搭載される排気装置であって、
排気ガスが流れる排気流路を形成し、上方に曲がる曲げ部を有する流路部材と、
前記排気流路内において前記曲げ部、又は、前記曲げ部の上流側であって前記曲げ部の付近に配置され、前記排気流路が最も閉じた閉位置と前記排気流路が最も開いた開位置との間で変位可能な弁体を有するバルブと、
前記排気ガスの流量が多いときに、前記弁体を前記開位置に向かって変位させ、前記排気ガスの流量が少ないときに、前記弁体を前記閉位置に向かって変位させて、前記排気流路の開度を変更するための駆動機構と、
前記弁体に設けられ、前記弁体が前記閉位置にあるときに、前記排気ガスの流れ方向と直交する前記排気流路の流路断面の中心よりも下方に位置し、前記弁体よりも上流側の前記排気流路及び前記弁体よりも下流側の前記排気流路を連通する連通部と、
を備える、排気装置。
【0047】
[項目2]
項目1に記載の排気装置であって、
前記バルブは、前記排気ガスの流れ方向に略垂直な方向に延びる軸部を有し、
前記軸部は、前記流路断面の中心よりも上方に位置し、
前記弁体は、前記軸部を中心に回転することで変位する、排気装置。
【0048】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の排気装置であって、
前記連通部は、前記弁体が前記閉位置にあるときに、前記弁体の最下部に位置する、排気装置。
【0049】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の排気装置であって、
前記弁体は、板状であり、前記開位置にあるときに対面する前記流路部材の側壁に沿った形状を有する、排気装置。
【0050】
[項目5]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の排気装置であって、
前記弁体が前記開位置にあるときに、当該弁体を格納する格納部を更に備え、
前記格納部は、前記流路部材の側壁の一部が外側に向かって突出することで設けられる、排気装置。
【0051】
[項目6]
項目5に記載の排気装置であって、
前記弁体は、内部空間を有し、
前記内部空間には、吸音材が収容される、排気装置。
【符号の説明】
【0052】
1,1a…流路部材、2,2a…バルブ、3…駆動機構、4…連通部、5…格納部、6…吸音材、11…上流部、12…曲げ部、13…下流部、21…軸部、22,22a…弁体、100,100a…排気装置、221…上方端部、222…下方端部、A…中心軸、B…中心線、G…排気ガス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10