IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-物品搬送装置 図1
  • 特開-物品搬送装置 図2
  • 特開-物品搬送装置 図3
  • 特開-物品搬送装置 図4
  • 特開-物品搬送装置 図5
  • 特開-物品搬送装置 図6
  • 特開-物品搬送装置 図7
  • 特開-物品搬送装置 図8
  • 特開-物品搬送装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057869
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164841
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 颯
(72)【発明者】
【氏名】山本 芳裕
【テーマコード(参考)】
3F021
【Fターム(参考)】
3F021BA02
3F021CA01
3F021DA05
(57)【要約】
【課題】隣接する各一対の可動子の間に必要以上の間隔を保持することなく、リニア搬送路に沿って効率良く搬送できる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】一対の可動子21a,21bの各々には、搬送平面Pに垂直な支持部回転軸11aを中心として回転可能に取り付けられた、グリッパ部16を支持する回転支持部材11が設けられている。一対の回転支持部材11は、これらの間に取り付けられた接続部材12を介して互いに連結されている。接続部材12の一対の接続脚部13a.13bは、一端部13c同士が、搬送方向Xと垂直な脚部回転連結軸14を中心として、回転可能に連結されており、各々の他端部13dが、回転支持部材11に、脚部回転連結軸14と平行な中心軸15を中心に回転可能に接続されていることで、接続部材12を介して互いに連結されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線部及び曲線部を有すると共に電磁石を備える、搬送平面に沿って配設されたリニア搬送路と、磁性体を備えることにより前記リニア搬送路を移動可能な可動子とを含んで構成され、一対の可動子に各々支持させて設けられた一対のグリッパ部の間に物品を挟み込んだ状態で、当該物品を搬送可能な物品搬送装置であって、
前記一対の可動子には、前記搬送平面に垂直な支持部回転軸を中心として回転可能に取り付けられた、前記一対のグリッパ部を支持する一対の回転支持部材が設けられていると共に、該一対の回転支持部材は、当該一対の回転支持部材の間に取り付けられた接続部材を介して互いに連結されており、
該接続部材は一対の接続脚部からなり、該一対の接続脚部は、各々の一端部同士が、前記搬送平面を上面視して前記リニア搬送路による搬送方向と垂直な脚部回転連結軸を中心として、回転可能に連結されており、各々の他端部が、各々の前記回転支持部材に対して、前記脚部回転連結軸と平行な中心軸を中心に回転可能に接続されていることで、前記一対の回転支持部材が、前記接続部材を介して互いに連結されている物品搬送装置。
【請求項2】
前記接続部材は、前記一対の接続脚部を連結する前記脚部回転連結軸を、前記回転支持部材の上方に配置した状態で設けられており、前記一対のグリッパ部は、一対の前記回転支持部材から立設する各々の支持脚部から、前記リニア搬送路による搬送方向と交差する方向に張り出して設けられている請求項1記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記接続部材は、前記一対の接続脚部を連結する前記脚部回転連結軸を、前記回転支持部材の下方に配置した状態で設けられており、前記一対のグリッパ部は、前記一対の接続脚部の各々の前記他端部から上方に延設して設けられた一対の支持ロッド部から、前記リニア搬送路による搬送方向と交差する方向に張り出して設けられている請求項1記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記一対の可動子の間隔が狭まるように付勢する、付勢手段が設けられている請求項1~3のいずれか1項記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記一対のグリッパ部の各々の内側面に、アタッチが取り付けられている請求項1~3のいずれか1項記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置に関し、特に、リニア搬送路と可動子とを含んで構成され、一対の可動子に支持させたグリッパ部の間に挟み込んだ状態で、物品を搬送可能な物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば日用品等の物品の製品化工場では、所定の製品化ラインにおいて、物品を搬送移動させながら各種の作業工程を実施できるようにする物品搬送装置として、リニアモータを利用したリニア搬送装置が採用される場合がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。リニア搬送装置は、好ましくは水平な搬送平面に沿って配設された、電磁石を備えるリニア搬送路と、該リニア搬送路を移動可能な、磁性体を備える複数の可動子とを含んで構成される、公知の搬送装置であって、例えば電磁石を形成する多数のコイルに電流を流すことで、可動子の推進力を生みだすと共に、電流値で磁極を制御することによって、各々の可動子を、リニア搬送路に案内させながら、所定の搬送速度で好ましくはループ状(無端状)に移動させることができる。
【0003】
また、リニアモータを利用したリニア搬送装置では、各々の可動子を好ましくはループ状(無端状)に移動させるために、リニア搬送路は、例えば長円形状等の、直線部及び曲線部を有する形状を備えるように配設されており、搬送される物品は、各一対の可動子に各々支持させて取り付けた各一対の保持部材の間に、挟み込むようにして把持された状態で、リニア搬送路に沿って移動することになる。このため、リニア搬送路の直線部では、好ましくは平行に配置されていた各一対の保持部材は、可動子が曲線部を通過する際に、例えば末広がりの状態に変化することになって(図9(a)、(b)参照)、物品を安定した状態で把持し続けることができなくなる。
【0004】
特許文献1や特許文献2では、一対の可動子がリニア搬送路において直線部から曲線部に移行したり、曲線部から直線部に移行した際に、一対の保持部材が、例えば末広がりの状態に変化しないようにして、物品を安定した状態で把持(保持)し続けながら搬送できるようにする工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0176659号明細書
【特許文献2】特開2021-160909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1に記載のリニア搬送装置では、一対の可動子に各々回転可能に支持された一対の保持部材を、一本の接続ロッドにより角度を規制することで、可動子が例えば直線部から曲線部に移行した際に、一対の保持部材が平行を維持するようにしている。このように物品把持を可能にしているが、引用文献1に記載のリニア搬送装置では、接続ロッドの長さを変更することができない。そのため、一対の保持部材によって把持される物品が小さなものであっても、物品を把持した複数の一対の可動子を、リニア搬送路に沿って連続して移動させる際には、隣接する各一対の可動子の間に、接続ロッドの長さの分、必要以上の間隔が保持されることになる。そうすると、限られた数の複数の一対の可動子しかリニア搬送路に沿って移動させることができなくなって、効率良く物品を搬送することが難しくなる。
【0007】
また、引用文献2に記載のリニア搬送装置では、搬送される物品は、一対の可動子に各々支持された一対の保持部材によって、直接挟み込まれて把持されるのではなく、これらの間に挟み込まれた搬送ケースに配置された状態で、搬送されるようになっている。そのため物品の形状の大小に応じて、異なるサイズの搬送ケースをその都度入れ替えて用いる必要を生じることから、やはりリニア搬送路に沿って効率良く物品を搬送することが難しくなる。
【0008】
本発明は、小さな物品を把持する場合でも、隣接する各一対の可動子の間に必要以上の間隔を保持することなく、また物品の形状の大小に応じて入替が必要な搬送ケースを用いることなく、リニア搬送路に沿って安定した状態で効率良く物品を搬送することのできる物品搬送装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、直線部及び曲線部を有すると共に電磁石を備える、搬送平面に沿って配設されたリニア搬送路と、磁性体を備えることにより前記リニア搬送路を移動可能な可動子とを含んで構成され、一対の可動子に各々支持させて設けられた一対のグリッパ部の間に物品を挟み込んだ状態で、当該物品を搬送可能な物品搬送装置であって、前記一対の可動子には、前記搬送平面に垂直な支持部回転軸を中心として回転可能に取り付けられた、前記一対のグリッパ部を支持する一対の回転支持部材が設けられていると共に、該一対の回転支持部材は、当該一対の回転支持部材の間に取り付けられた接続部材を介して互いに連結されており、該接続部材は一対の接続脚部からなり、該一対の接続脚部は、各々の一端部同士が、前記搬送平面を上面視して前記リニア搬送路による搬送方向と垂直な脚部回転連結軸を中心として、回転可能に連結されており、各々の他端部が、各々の前記回転支持部材に対して、前記脚部回転連結軸と平行な中心軸を中心に回転可能に接続されていることで、前記一対の回転支持部材が、前記接続部材を介して互いに連結されている物品搬送装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の物品搬送装置によれば、小さな物品を把持する場合でも、隣接する各一対の可動子の間に必要以上の間隔を保持することなく、また物品の形状の大小に応じて入替が必要な搬送ケースを用いることなく、リニア搬送路に沿って安定した状態で効率良く物品を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の好ましい第1実施形態に係る物品搬送装置を説明する部分平面図である。
図2図2は、本発明の好ましい第1実施形態に係る物品搬送装置のリニア搬送路及び可動子を説明する部分斜視図である。
図3図3は、本発明の好ましい第1実施形態に係る物品搬送装置の要部を説明する、図1のA部拡大図である。
図4図4は、図3をB方向から見た側面図である。
図5図5は、第1実施形態の係る物品搬送装置を構成する、一対の可動子、回転支持部材、及び接続部材を説明する要部斜視図である。
図6図6(a)は、第1実施形態の係る物品搬送装置を構成する回転支持部材の斜視図、図6(b)は、接続部材の斜視図である。
図7図7は、第2実施形態の係る物品搬送装置を構成する、一対の可動子、回転支持部材、及び接続部材を説明する要部斜視図である。
図8図8(a)は、第2実施形態の係る物品搬送装置を構成する回転支持部材の斜視図、図8(b)は、接続部材の斜視図である。
図9図9(a)、(b)は、従来のリニア搬送装置において、一対の可動子が、リニア搬送路において直線部から曲線部に移行した際の不具合を説明する要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい第1実施形態に係る物品搬送装置10(図1参照)は、例えば物品の製品化工場において、例えば日用品である物品として、液体洗剤等を収容したボトル容器22を製品化する際に、所定の製品化ラインにおいて、物品22を搬送移動させながら各種の作業工程を実施できるようにする搬送装置として採用されたものである。本第1実施形態の物品搬送装置10は、図1及び図2に示すように、公知のリニア搬送装置と同様の、搬送平面を形成するように配設されたリニア搬送路20、及びリニア搬送路に案成されて搬送平面に沿って移動する複数の可動子21を備えている。さらに、各一対の可動子21によって物品22を保持(把持)するための保持機構を改良したことによって、リニア搬送路20に沿って物品22を搬送する際に、各々の物品22を、安定した状態で保持しながら搬送できる。
【0013】
ここで、本第1実施形態の物品搬送装置10を構成するリニア搬送路20及び複数の可動子21は、リニア搬送路20が、例えば内部に多数のコイルによる電磁石を備えると共に、好ましくはリニア搬送路20の上面部は、水平な面となっている搬送平面P(図4参照)に沿って配設されており、電磁石を形成する多数のコイルに電流を流すことで、各々の可動子21の推進力を生みだすことができる。各々の可動子21は、例えばリニア搬送路20における電磁石による磁極を電流値で制御することによって、好ましくは直線部20aと曲線部20bとを有するループ状(無端状)のリニア搬送路20の、上面部と垂直な側面部に案内させながら、好ましくは一対が組になって所定の搬送速度で移動できる。
【0014】
また、リニア搬送路20及び複数の可動子21による、従来のリニア搬送装置を用いて物品22を搬送する場合、例えば図9(a)、(b)に示すように、各一対の可動子21によって各々支持された一対のグリッパ部(保持部材)16’の間に、物品22を挟み込んで把持した状態で、当該物品22をリニア搬送路20に沿って搬送する。各一対の可動子21がリニア搬送路20の直線部20a(図9(a)参照)を通過して曲線部20b(図9(b)参照)に移行した際に、一対のグリッパ部(保持部材)16’は、例えば平行に配置された状態から、末広がりの状態に変化することになって、物品22を安定した状態で把持し続けることができなくなる。
【0015】
本第1実施形態の物品搬送装置10は、このような従来のリニア搬送装置の課題を解決するものである。各一対の可動子21によって物品22を保持するための、保持機構に改良を加えたことによって、例えば各一対の可動子21がリニア搬送路20の直線部20aを通過して曲線部20bに移行した際に、一対のグリッパ部(保持部材)16によって物品22を保持し続けることができるようにした。すなわち本第1実施形態の物品搬送装置10は、リニア搬送路20に沿って物品22を、各一対の可動子21により安定した状態で効率良く搬送できる。
【0016】
そして、本第1実施形態の物品搬送装置10は、図1に示すように、直線部20a及び曲線部20bを有すると共に電磁石(図示せず)を備える、好ましくは水平な面となっている搬送平面P(図4参照)に沿って上面部が配設されたリニア搬送路20と、磁性体を備えることによりリニア搬送路20を移動可能な可動子21(図2参照)とを含んで構成される。可動子21は、2つが組となった一対の可動子21a,21bとして使用される。一対の可動子21a,21bに各々支持させて設けられた一対のグリッパ部16の間に、物品である例えばボトル容器22を挟み込んだ状態で、当該物品22を搬送可能である。図3図5に示すように、一対の可動子21a,21bを構成する各々の可動子21には、搬送平面Pに垂直な支持部回転軸11aを中心として回転可能に取り付けられた、各々がグリッパ部16を支持する一対の回転支持部材11が設けられている。また、これらの一対の回転支持部材11は、当該一対の回転支持部材11の間に取り付けられた接続部材12を介して互いに連結されている。接続部材12は一対の接続脚部13a,13bからなり、これらの一対の接続脚部13a,13bは、各々の一端部13c同士が、搬送平面Pを上面視してリニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な脚部回転連結軸14(図5参照)を中心として、回転可能に連結されている。また各々の他端部13dが、各々の回転支持部材11に対して、脚部回転連結軸14と平行な中心軸15(図5参照)を中心に回転可能に接続されていることで、一対の回転支持部材11が、接続部材12を介して互いに連結されている。
【0017】
また、本第1実施形態の物品搬送装置10は、接続部材12が、一対の接続脚部13a,13bを連結する脚部回転連結軸14を、回転支持部材11の上方に配置した状態で設けられており(図5参照)、保持部であるグリッパ部16は、一対の回転支持部材11から立設する各々の支持脚部17から、リニア搬送路20による搬送方向Xと交差する方向に張り出して設けられている。本第1実施形態では、保持部であるグリッパ部16は、リニア搬送路20による搬送方向Xと交差する方向として、ループ状の搬送路20の外側に好ましくは搬送方向Xと垂直に交差する方向に、張り出して設けられている。グリッパ部16は、ループ状の搬送路20の内側に張り出して設けることもできる。
【0018】
本第1実施形態の物品搬送装置10では、リニア搬送路20は、直線部20a及び曲線部20bを有する平面形状として、好ましくは長円形状の平面形状を有するように配設されており(図1参照)、またリニア搬送路20には、複数対の可動子21が、当該リニア搬送路20の側面部に案内させて移動可能に設置されている(図2参照)。搬送される物品22であるボトル容器は、各一対の可動子21a,21bに各々支持させて設けられた一対のグリッパ部16を保持部として、これらのグリッパ部16のくの字状把持部16aの間に挟み込まれた状態で保持(把持)されて、各一対の可動子21a,21bの移動に伴って、リニア搬送路20に案内されつつ搬送される。各一対の可動子21a,21bには、物品22を保持(把持)する保持(把持)機構として、各々、上述の一対のグリッパ部16、一対の回転支持部材11、及びこれらの一対の回転支持部材11を接続する接続部材12が取り付けられている。
【0019】
把持機構を構成する一対の回転支持部材11は、図6(a)に示すように、各々、支持部本体部18、支持脚部17、及びグリッパ部16を備えている。支持部本体部18は、可動子21の先端部(上端部)に回転支持部材11を一体として接合するための接合部分となっており、支持部回転軸11aが設けられた基台部18aと、後述する接続部材12の接続脚部13a,13bの他端部13dが連結される張出部18bとを備えている。本第1実施形態では、各々の張出部18bは、基台部18aから好ましくは同じ側に張り出して設けられている。支持部本体部18が、基台部18aの支持部回転軸11aを介して可動子21の先端部に接合されることで、一対の回転支持部材11は、各々の可動子21a,21bに、搬送平面P(図4参照)に垂直な当該支持部回転軸11aを中心として、回転可能に取り付けられる。各々の張出部18bには、リニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な方向に貫通形成された、ピン孔18cが設けられている。
【0020】
支持脚部17は、一対の回転支持部材11の支持部本体部18の各々の基台部18aにおける側縁部から、好ましくは垂直に、例えば100mm程度の相当の高さで立設して設けられた部分となっている。支持脚部17は、本第1実施形態では、各々、基台部18a側の立設基端部から先端側に向けて横幅を縮小させた、略三角形状の正面形状を有している。支持脚部17の先端部分には、保持部となるグリッパ部16が、例えば固定ビス等を用いることで、リニア搬送路20から離れる側に各々張り出した状態で固定されて、リニア搬送路20よりも、相当程度(例えば100mm程度)上方に位置して設けられている(図4参照)。保持部となるグリッパ部16が、支持脚部17を介して、リニア搬送路20よりも上方に位置して設けられていることで、一対の可動子21は、例えば当該リニア搬送路20に隣接して配設された他のリニア搬送路(図示せず)に乗り換えることができる。
【0021】
本第1実施形態では、一対のグリッパ部16は、支持脚部17の先端部分への固定基端部16bとは反対の先端側部分に、各々、くの字状に折れ曲がったくの字状把持部16aを有している。一対のくの字状把持部16aは、くの字による凹部を対向させた状態で配置されている。グリッパ部16の先端側部分のこれらのくの字状把持部16aによって、物品22であるボトル容器を、より安定した状態で挟み込んで、把持することが可能になる。また、大きさが異なる複数種類の容器を保持可能であり、さらに、把持したボトル容器22の大きさに関わらず、搬送方向Xに直交する方向における中心位置が、一定となるように位置決め(センタ出し)することもできる。
【0022】
また、一対のグリッパ部16には、好ましくは各々のくの字状把持部16aの内側面に、弾性材料16cが、アタッチとして取り付けられている。アタッチとして取り付けられた弾性材料16cは、弾性変形して物品22の外周形状に沿わせ易くなる材質を備えるものとして、例えばシリコンゴム等の材料を用いて形成することができる。弾性材料16cは、保持する物品22に対して、点ではなく、面で接触できる形状とすることが好ましく、例えば、ふくらみを持った曲面形状とすることができる。弾性材料16cは、くの字状把持部16aにおける、好ましくはくの字の中央部分の定位置に物品22を誘導し易くするためには、ポリエチレン等の低摩擦の材料を用いて形成することができ、把持した物品22のズレを防止したい場合には、高摩擦の材料を用いて形成することもできる。
【0023】
一対の回転支持部材11を接続する接続部材12は、図6(b)に示すように、一対の接続脚部13a,13bとして、第1接続脚部13aと、第2接続脚部13bとからなる。これらの第1接続脚部13a及び第2接続脚部13bは、各々の一端部13c同士が、搬送平面Pを上面視してリニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な脚部回転連結軸14を中心として、回転可能に連結されている。すなわち、本第1実施形態では、第1接続脚部13aの一端部13cは、二股状に枝別れして形成されていると共に、第2接続脚部13bの一端部13cもまた、第1接続脚部13aの一端部13cの二股状部分の間隔幅と同様の二股状部分として形成されている。第1接続脚部13aの一端部13cの枝別れした二股状部分の間に、第2接続脚部13bの一端部13cの二股状部分を差し込み、これらの二股状部分に各々形成されたピン孔の軸を合致させた状態で、例えばピン部材を挿通する。好ましくは外側の二股状部分に対してはピン部材を固定し、内側の二股状部分はピン部材に回転可能に支持されるようにすることで、ピン部材を脚部回転連結軸14として、第1接続脚部13aと第2接続脚部13bとを、回転可能に連結できる。外側の二股状部分に対するピン部材の固定方法としては、ピン部材の交換が容易となるように、セットボルトで固定するのが好ましく、また、外側の二股状部分のピン孔の径とピン部材の径がしまりばめの関係となるように加工して組み立てることによって、ピン部材を固定してもよい。
【0024】
また、本第1実施形態では、第1接続脚部13a及び第2接続脚部13bの一端部13c同士の回転可能な連結部分には、一対の可動子21a,21b(図5参照)の間隔が狭まるように付勢する、付勢手段19が設けられている。付勢手段19は、本第1実施形態では、脚部回転連結軸14の外周部分に装着された、好ましくはトーションバネとなっている。トーションバネによる付勢手段19は、一対の接続脚部13a、13bを接続する脚部回転連結軸14において、例えば一対の接続脚部13a、13bの間の角度が小さくなるように付勢する、角度付勢手段として機能することで、一対の可動子21a,21bの間隔が狭まるように付勢する。
【0025】
一対の可動子21a,21bは、装置に電源が供給されている間は可動子同士の間隔が一定となるように制御されるが、電源が遮断されると該制御が失われ、各々の可動子21a,21bは把持している物品22からの反力を受けて、可動子21a,21b同士の間隔が広がることがある。そうすると物品22の保持が困難になることがある。一対の可動子21a,21bの間隔が狭まるように付勢する付勢手段19が設けられていることで、例えば電源が遮断されて、リニア搬送路20による一対の可動子21a,21bの推進力が得られなくなった場合でも、物品22を保持し続けることが可能になる。
【0026】
さらに、図6(b)を参照して、本第1実施形態では、第1接続脚部13aの他端部13dは、一端部13c側の部分から、直線状に平坦に延設する部分となっており、この他端部13dには、リニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な方向として、一端部13cの脚部回転連結軸14と平行に延設するようにして貫通形成された、ピン孔13eが設けられている。第2接続脚部13bの他端部13dにもまた、リニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な方向として、一端部の脚部回転連結軸14と平行に延設するようにして貫通形成された、ピン孔13eが設けられている。
【0027】
第1接続脚部13aや第2接続脚部13bは、これらの他端部13dを、一対の回転支持部材11の支持部本体部18の張出部18bに側面を重ね合わせるようにして、搬送方向Xにおける同じ側から支持部本体部18に係着させると共に、各々のピン孔13eの軸を、支持部本体部18の張出部18bに形成されたピン孔の軸と合致させた状態で、例えばピン部材を挿通することによって、一対の回転支持部材11の支持部本体部18に各々連結される。これによって、接続部材12の第1接続脚部13aや第2接続脚部13bは、該ピン部材を脚部回転連結軸14と平行な中心軸15(図5参照)として、一対の回転支持部材11の支持部本体部18に、各々回転可能に連結される。
【0028】
上述の構成を備える本第1実施形態の物品搬送装置10では、例えばリニア搬送路20における電磁石による磁極を電流値で制御することによって、図1に示すように、各一対の可動子21が所定の間隔をおいて配置されるように設定することで、回転支持部材11による一対のグリッパ部16の間に、物品22であるボトル容器を把持した状態とすることができる。この状態で、さらに電磁石に流す電流を制御することによって、一対のグリッパ部16の間に物品22を把持(保持)したまま、当該物品をリニア搬送路20に沿って案内させながら移動させて、搬送することが可能になる。
【0029】
そして、本第1実施形態の物品搬送装置10では、一対の可動子21a,21bの各々に、搬送平面Pに垂直な支持部回転軸11aを中心として回転可能に一対の回転支持部材11が設けられており、一対の回転支持部材11は、これらの間に取り付けられた接続部材12を介して互いに連結されている。接続部材12の一対の接続脚部13a,13bは、各々の一端部13c同士が、リニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な脚部回転連結軸14を中心として、回転可能に連結されている。各々の他端部13dが、各々の回転支持部材11に対して、同様に搬送方向Xと垂直な、脚部回転連結軸14と平行な中心軸15(図5参照)を中心に回転可能に接続されていることで、一対の回転支持部材11は、接続部材12を介して互いに連結されている。
【0030】
これによって、本第1実施形態の物品搬送装置10によれば、物品22を保持した一対の可動子21が、例えばリニア搬送路20に沿って直線部20aを通過して曲線部20bに移行した際に、例えば直線部20aにおいて一対のグリッパ部16が好ましくは平行に配置されていた状態を、図3に示すように、曲線部20bにおいても、末広がりの状態に変化させることなく、そのまま保持することを可能にして、物品22を安定した状態で把持し続けることが可能になる。
【0031】
また、本第1実施形態の物品搬送装置10によれば、グリッパ部16を支持する一対の回転支持部材11は、これらの間の部分に取り付けられた接続部材12を介して連結されており、一対のグリッパ部16で把持される物品22の形状の大小によって、一対の可動子21a,21bの間隔を変化させる場合でも、一対の回転支持部材11の間に取り付けられた接続部材12の、回転可能に連結された接続脚部13a,13bの角度を変化させることで、一対の可動子21の間隔の変化を吸収する。これによって、小さな物品を把持する場合でも、隣接する各一対の可動子21の間に必要以上の間隔を保持することなく、また物品22の形状の大小に応じて搬送ケースを入れ替える必要を生じることなく、リニア搬送路20に沿って安定した状態で、効率良く物品22を搬送することが可能なる。
【0032】
さらに、本第1実施形態の物品搬送装置10によれば、一対のグリッパ部16は、一対の回転支持部材11に各々支持されて取り付けられており、一対のグリッパ部16の相対的な角度を好ましくは平行に保持するための接続部材12は、一対の回転支持部材11とは独立した部材となっているので、グリッパ部16の位置に依存することなく、部品レイアウトの自由度を高めることが可能になる。また一対のグリッパ部16の開閉動作が直線運動となるため、後述する第2実施形態のものと比較して、物品22のサイズの影響による把持位置のズレ(垂直方向のズレ)を、解消することが容易になる。さらに、接続部材12などの装置10を構成する部品を、搬送平面Pより上方に配置できるので、一対の可動子21は、例えば当該リニア搬送路20に隣接して配設された他のリニア搬送路(図示せず)に乗り換えることができる。
【0033】
図7は、本発明の好ましい第2実施形態に係る物品搬送装置を構成する、一対の可動子21、回転支持部材31、及び接続部材32を説明する要部斜視図である。本第2実施形態によれば、リニア搬送路20(図1参照)及び可動子21(図2参照)は、上記の第1実施形態のリニア搬送路20や可動子21と、同様のものとなっている。その一方で、物品22を保持(把持)する保持(把持)機構を構成する、一対の回転支持部材31を連結する接続部材32は、これらの回転支持部材31の間の部分に取り付けられると共に、当該接続部材32の一対の接続脚部33a,33bの一端部33cを連結する脚部回転連結軸34を、回転支持部材31の下方に配置した状態で設けられている。本第2実施形態では、各々の脚部回転連結軸34は、他端部33dを有しており、他端部33dを境界としてこれの上方に延設する支持ロッド部37と接続されている。さらに、各々の支持ロッド部37には、グリッパ部36が設けられている。詳細にはグリッパ部36は、接続部材32の一対の接続脚部33aの各々の他端部33dから上方に延設して設けられた、一対の支持ロッド部37の各々から、リニア搬送路20による搬送方向Xと交差する方向として、例えばループ状の搬送路20の外側に、好ましくは搬送方向Xと垂直に交差する方向に張り出して設けられている。
【0034】
すなわち、本第2実施形態では、把持機構を構成する一対の回転支持部材31は、図8(a)に示すように、各々、厚板形状の接合部材となっており、支持部回転軸31aが設けられた基台部38aと、張出部38bとを備えている。張出部38bは、後述する接続部材32の接続脚部33a,33bの他端部33dである、支持ロッド部37との境界部分が装着される凹部を形成する。本第2施形態では、各々の張出部38bは、基台部38aの側面部から、搬送平面Pを上面視して搬送方向Xと垂直にL字形状に張り出すと共に、張り出したL字形状による一対の凹部を対向させた状態で、基台部38aに一体として設けられている。一対の回転支持部材31は、基台部38aが支持部回転軸31aを介して可動子21の先端部に接合されることで、各々の可動子21a,21bに、搬送平面P(図4参照)に垂直な当該支持部回転軸31aを中心として、回転可能に取り付けられる。各々の張出部38bの先端側折れ曲がり部及び基台部38aの側面部には、リニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な方向に貫通形成された、ピン孔38cが設けられている。
【0035】
一対の回転支持部材31を接続する接続部材32は、図8(b)に示すように、一対の接続脚部33a,33bとして、第1接続脚部33aと、第2接続脚部33bとからなる。これらの第1接続脚部33a及び第2接続脚部33bは、各々の一端部33c同士が、搬送平面Pを上面視してリニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な脚部回転連結軸34を中心として、回転可能に連結されている。すなわち、本第2実施形態では、第1接続脚部33aの一端部33cは、二股状に枝別れして形成されていると共に、第2接続脚部33bの一端部33cは、第1接続脚部33aの一端部33cの二股状部分の間隔幅と同様の横幅を有する、帯板状部分として形成されている。第1接続脚部33aの一端部33cの枝別れした二股状部分の間に、第2接続脚部33bの一端部33cの帯板状部分を差し込み、これらの一端部33cに各々形成されたピン孔の軸を合致させた状態で、例えばピン部材を挿通して、定法によって抜けないようにすることで、ピン部材を脚部回転連結軸34として、第1接続脚部33aと第2接続脚部33bとを、回転可能に連結できる。第2接続脚部33bの一端部33cも、二股状部分として形成することができる。これによって、上述の第1実施形態と同様に、例えばトーションバネによる付勢手段19を、第1接続脚部33aと第2接続脚部33bとの連結部分に取り付けることができる。
【0036】
また、本第2実施形態では、接続部材32の一対の接続脚部33a,33bの他端部33dを境界部分として、当該他端部33dから上方に延設して、一対の支持ロッド部37が設けられている。一対の支持ロッド部37の先端部分には、保持部となるグリッパ部36が、例えば固定ビス等を用いることで、リニア搬送路20から離れる側に各々張り出した状態で固定されて、リニア搬送路20よりも相当程度(例えば100mm程度)上方に位置して設けられている。一対のグリッパ部36は、上述の第1実施形態のグリッパ部16と同様に、くの字状把持部36aを有している。一対のグリッパ部36には、上述の第1実施形態のグリッパ部16と同様に、好ましくは各々のくの字状把持部36aの内側面に、弾性変形可能な弾性材料36cを、アタッチとして取り付けておくこともできる。
【0037】
さらに、本第2実施形態では、接続部材32の一対の接続脚部33a,33bにおける、一対の支持ロッド部37との境界部分である他端部33dには、各々、リニア搬送路20による搬送方向Xと垂直な方向として、一端部33cの脚部回転連結軸34と平行に延設するようにして貫通形成された、ピン孔33eが設けられている。第1接続脚部33aや第2接続脚部33bは、他端部33dを、一対の回転支持部材31の張出部38bによる凹部に、各々嵌め込むようにして装着する。詳細には、ピン孔33eの軸を、回転支持部材31における張出部38bの先端側折れ曲がり部及び基台部38aの側面部に貫通形成されたピン孔38cの軸に合致させた状態で、例えばピン部材を挿通することによって、一対の回転支持部材31と連結する。これによって、接続部材32の第1接続脚部33aや第2接続脚部33bは、ピン部材を、脚部回転連結軸34と平行な中心軸35(図7参照)として、一対の回転支持部材31に、各々回転可能に連結される。
【0038】
上述の構成を備える第2実施形態の物品搬送装置によっても、物品22を保持した一対の可動子21a,21bが、例えばリニア搬送路20に沿って直線部20aを通過して曲線部20bに移行した際に、上述の第1実施形態の物品搬送装置10と同様の作用効果が奏される。
【0039】
また、本第2実施形態の物品搬送装置によれば、一対のグリッパ部36は、一対の回転支持部材31を連結する接続部材32に、各々支持されて取り付けられているので、一対のグリッパ部36と接続部材32とを、一部品として一体として形成することができる。また、回転の支点となるピン孔33eの位置を調整することによって、任意のレバー比となるように適宜調整することが可能になると共に、一対の可動子21a,21bの相対的な移動量よりも大きくグリッパ部36を開閉させることも可能になる。グリッパ部36が僅かに旋回運動をすることになって、物品22のサイズの影響によっては、把持位置の特に垂直方向のズレを生じることが考えられるが、例えば一対のグリッパ部36内側面に弾性材料によるアタッチを取り付けておくことで、このような位置ズレの影響を解消することが可能になる。弾性材料によるアタッチは、上述の第1実施形態のものと同様に、保持する物品22に対して、点ではなく、面で接触できるようにする形状として、好ましくはふくらみを持った曲面形状とすることができる。
【0040】
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、一対の可動子の間隔が狭まるように付勢する、付勢手段が設けられている必要は必ずしも無く、グリッパ部の各々の内側面に、弾性変形可能な弾性材料が取り付けられている必要は必ずしも無い。搬送平面は、水平な面から傾いた面となっていても良い。
【符号の説明】
【0041】
10 物品搬送装置
11,31 回転支持部材
11a,31a 支持部回転軸
12,32 接続部材
13a,33a 第1接続脚部
13b,33b 第2接続脚部
13c,33c 一端部
13d,33d 他端部
13e,33e ピン孔
14,34 脚部回転連結軸
15,35 中心軸
16,36 グリッパ部
16a,36a くの字状把持部
16b 固定基端部
16c 弾性材料(アタッチ)
17 支持脚部
18 支持部本体部
18a,38a 基台部
18b,38b 張出部
18c,38c ピン孔
19 付勢手段(トーションバネ
20 リニア搬送路
20a 直線部
20b 曲線部
21,21a,21b 可動子
22 物品(ボトル容器)
37 支持ロッド部
P 搬送平面
X 搬送後方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9