(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057902
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】フランジ
(51)【国際特許分類】
F16L 15/04 20060101AFI20240418BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
F16L15/04 Z
F16L23/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164882
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】松坂 太智
(72)【発明者】
【氏名】讃岐 拓人
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H013
3H016
【Fターム(参考)】
3H013JC01
3H013JC02
3H013JC03
3H013JC05
3H016AA05
3H016AC01
3H016AD00
3H016AE02
(57)【要約】
【課題】施工性を向上できるフランジを提供すること。
【解決手段】フランジは、テーパ雄ネジ及びボディを有する管継手又は配管の前記テーパ雄ネジが螺合するテーパ雌ネジ部と、前記テーパ雌ネジ部の先端に設けられ、前記テーパ雌ネジ部及び前記テーパ雄ネジの間に介在するシールがシール性を発揮する前記テーパ雄ネジのねじ込み量で、前記ボディと当接する突起部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパ雄ネジ及びボディを有する管継手又は配管の前記テーパ雄ネジが螺合するテーパ雌ネジ部と、
前記テーパ雌ネジ部の先端に設けられ、前記テーパ雌ネジ部及び前記テーパ雄ネジの間に介在するシールがシール性を発揮する前記テーパ雄ネジのねじ込み量で、前記ボディと当接する突起部と、
を有するフランジ。
【請求項2】
前記突起部は、前記テーパ雌ネジ部の先端の全周に渡って形成される環状の突起である、請求項1に記載のフランジ。
【請求項3】
前記突起部は、前記テーパ雌ネジ部の先端に、周方向に配置された複数の突起を有する、請求項1に記載のフランジ。
【請求項4】
前記突起部の先端は、平面状に形成される、請求項2又は請求項3に記載のフランジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手が接続されるフランジに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ポンプ配管施工時において、配管をポンプに接続するときに、ポンプのフランジ部に管継手が接続されるフランジを固定し、このフランジに固定された管継手に配管を接続する技術が知られている。また、ポンプのフランジ部にフランジを接続する等、フランジ同士の接続において、介在させるシール部材がシール機能を発揮するか否かを視認できる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ポンプに配管を施工する方法は、例えば、ポンプにフランジをボルト等で固定し、管継手のテーパ雄ネジにシールテープを巻き付け、テーパ雄ネジをフランジのテーパ雌ネジに螺合させることで、管継手を水密にフランジに固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したフランジは、テーパ雌ネジに管継手のテーパ雄ネジを螺合させることで、フランジに管継手を接合する。このため、適正なねじ込みトルク管理を行う必要がある。しかしながら、トルク管理を行うことが難しい現場も多い。特に、過剰にねじ込みを行うと、配管、管継手及びフランジが破損する虞がある。トルク管理が難しい場合には、破損防止のために、配管、管継手及びフランジの強度を向上させる必要があり、過剰強度の材料の選定や、肉厚化等の大型化が必要となる。このため、ねじ込みのトルク管理を行うことなく、配管施工が可能に、施工性の向上が可能なフランジが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、施工性を向上できるフランジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、フランジは、テーパ雄ネジ及びボディを有する管継手又は配管の前記テーパ雄ネジが螺合するテーパ雌ネジ部と、前記テーパ雌ネジ部の先端に設けられ、前記テーパ雌ネジ部及び前記テーパ雄ネジの間に介在するシールがシール性を発揮する前記テーパ雄ネジのねじ込み量で、前記ボディと当接する突起部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、施工性を向上できるフランジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフランジの構成を示す正面図。
【
図3】同フランジ及びフランジにねじ込まれる管継手の構成を示す断面図。
【
図4】同フランジをポンプ装置に取り付けた一例を示す斜視図。
【
図5】本発明の他の実施形態に係るフランジの構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るフランジ1について、
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフランジ1の構成を示す正面図であり、フランジ1の構成を示す断面図である。
図3は、フランジ1及び管継手100の構成を示す断面図であり、
図4は、フランジ1をポンプ装置200に取り付けた一例を示す斜視図である。
【0011】
フランジ1は、管継手100が接続され、管継手100を介して配管が接続されるか、又は、配管が直接接続される。先ず、管継手100について説明する。
【0012】
管継手100は、ボディ111と、テーパ雄ネジ112と、管部113と、を備える。管継手100は、金属材料又は樹脂材料により形成される。管継手100は、内部に流体が流通可能に中空状、換言すると、管状に形成される。管継手100は、例えば、配管に一体に形成されるか、または、配管が接続される。例えば、配管に一体に形成される場合には、塩ビ管等の端部に設けられる。
【0013】
ボディ111は、テーパ雄ネジ112及び管部113と一体に形成される。ボディ111は、テーパ雄ネジ112の最大外径よりも大きい外形状を有する。ボディ111は、例えば、六角形状等の板状に形成され、管継手100を回転させる工具と係合可能に形成される。なお、ボディ111は、円形状であって、平面状に二面が形成された形状であってもよく、正方形状に形成されていてもよい。
【0014】
テーパ雄ネジ112は、フランジ1に螺合する。テーパ雄ネジ112は、例えば、シールテープ等が巻かれた状態で、フランジ1に螺合することで、フランジ1に液密に固定される。
【0015】
管部113は、例えば、配管の一部を構成するか、又は、配管を接続可能に、円筒状、又は、雄ネジ、テーパ雄ネジ状、雌ネジ若しくはテーパ雌ネジ等のネジ状に形成される。なお、管部113は、配管であってもよい。
【0016】
次に、フランジ1について説明する。
図1乃至
図3に示すように、フランジ1は、フランジ部11と、テーパ雌ネジ部12と、突起部13と、複数のリブ14と、を備える。フランジ1は、樹脂材料又は金属材料で成形される。
【0017】
フランジ部11は、菱形状、円形状、矩形状等に形成される。実施形態において、フランジ部11は、所謂菱形フランジである。フランジ部11は、
図4に示すように、ポンプ装置200の吸込部201や吐出部202等に、ボルト等の締結部材203により固定される。フランジ部11は、締結部材203が挿入される開口11a及び締結部材203の頭部を支持する座部11bを有する。また、フランジ部11は、ポンプ装置200と対向する面に、Oリング等のシール部材210が配置される、シール溝11cが形成される。
【0018】
テーパ雌ネジ部12は、円筒状に形成される筒部12aと、筒部12aの内周面に形成されたテーパ雌ネジ12bと、を有する。筒部12aの外径は、例えば、同一径に形成される。筒部12aの外径は、例えば、管継手100のボディ111の外面のうち、対となる二面間の幅以下である。
【0019】
突起部13は、テーパ雌ネジ部12の筒部12aの先端に設けられる。突起部13は、管継手100のテーパ雄ネジ112がテーパ雌ネジ部12に螺合したときに、管継手100のボディ111の軸方向の端面と当接する。突起部13は、ボディ111の端面と当接したときに、テーパ雄ネジ112及びテーパ雌ネジ12bが、適正なねじ込み量となる高さに設定される。即ち、突起部13は、ボディ111と当接することで、管継手100のねじ込み量が適正な状態において、管継手100の移動(螺合)を規制するとともに、ボディ111と当接したことを視認可能に形成される。
【0020】
ここで、適正なねじ込み量とは、テーパ雌ネジ12b及びテーパ雄ネジ112が螺合したときに、間に介在するテープシールがシール機能を発揮し、且つ、テーパ雌ネジ12b及びテーパ雄ネジ112が過剰なねじ込みによって破損しないねじ込み量である。換言すると、適正なねじ込み量とは、フランジ1及び管継手100の適正なねじ込みトルクとなるねじ込み量である。
【0021】
図2及び
図3に示すように、突起部13は、例えば、円筒状に形成され、テーパ雌ネジ部12の筒部12aの先端の全周に渡って形成される。また、突起部13の先端は、平面状に形成される。
【0022】
複数のリブ14は、例えば、フランジ部11及びテーパ雌ネジ部12の筒部12aに連続して設けられる。リブ14は、板状の突起であり、テーパ雌ネジ部12の強度を向上させるために、適宜設けられる。本実施形態において、リブ14は、テーパ雌ネジ部12の外周面に周方向に等間隔で8つ設けられる。
【0023】
このように構成されたフランジ1は、管継手100のボディ111がテーパ雌ネジ部12の先端に形成された突起部13が当接するまで、テープシール等が巻き付けられた管継手100のテーパ雄ネジ112がフランジ1のテーパ雌ネジ12bにねじ込まれる。これにより、テーパ雌ネジ12b及びテーパ雄ネジ112が、適正なねじ込み量で螺合する。また、ボディ111と突起部13との当接は、目視により可能となる。このため、フランジ1は、トルク管理を行うことなく、目視により管継手100と適正なねじ込み量で螺合されるため、トルク管理を行う為の計測機器や工具を要さず、配管施工が容易となり、施工性を向上することができる。また、ねじ込み量は、突起部13にボディ111が当接することで管理できる、即ち、突起部13に当接した後のボディ111の締め付け方向への移動を規制できることから、管継手100の過度なねじ込みを防止できる。よって、フランジ1は、フランジ1及び管継手100の過度なねじ込みによる破損を防止できる。
【0024】
また、管継手100の過度なねじ込みによる破損を防止できることから、フランジ1は、過剰な強度とする必要が無く、過剰強度な材料や形状を選定することを要さず、また、肉厚を薄くできる。よって、フランジ1は、製造コストを安価とすることができるとともに、重量の低減及び成形性の向上も可能となる。
【0025】
また、突起部13は、先端が平面状に形成されることから、ボディ111と当接する面積を確保できる。よって、突起部13は、管継手100のねじ込み時に突起部13の先端に過度に応力が印加されることを防止できるため、繰り返し使用による突起部13の摩耗を防止できる。また、突起部13は、ボディ111と面で当接することで、ボディ111と突起部13との当接の視認性が向上する。
【0026】
また、突起部13を平面とすることで、例えば、ポンプ装置200にフランジ1を用いたときに、ポンプ装置200の出荷試験や性能試験として行われる耐圧試験において、耐圧試験器の配管を密封するためのパッキンの当たり面とすることもできる。
【0027】
上述したように本発明の一実施形態に係るフランジ1によれば、配管の施工性を向上することができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、フランジ1は、
図5に示すように、テーパ雌ネジ部12の筒部12aの先端に形成される突起部13を複数の突起13aにより形成される構成としてもよい。例えば、複数の突起13aは、周方向に間欠的に配置される。
【0029】
また、上述した例では、突起部13の先端を平面状とする例を説明したが、これに限定されず、曲面状としてもよい。即ち、突起部13の先端形状は、少なくともボディ111と当接可能であって、且つ、ボディ111と当接したことを視認可能であれば適宜設定できる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0031】
1…フランジ、11…フランジ部、11a…開口、11b…座部、11c…シール溝、12…テーパ雌ネジ部、12a…筒部、12b…テーパ雌ネジ、13…突起部、13a…突起、14…リブ、100…管継手、111…ボディ、112…テーパ雄ネジ、113…管部、200…ポンプ装置、201…吸込部、202…吐出部、203…締結部材、210…シール部材。