(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057909
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
H01H 3/46 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H01H3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164892
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝
(72)【発明者】
【氏名】篠遠 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】西出 秀一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 倫明
(72)【発明者】
【氏名】上島 章
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 隆大
(72)【発明者】
【氏名】中村 亘
【テーマコード(参考)】
5G025
【Fターム(参考)】
5G025AA05
5G025BA06
5G025CA06
5G025DA01
5G025FA01
(57)【要約】
【課題】押し込み部の力を検知部に伝え、押し込み部の力で検知部をオン・オフする場合に比べて、カバーを開閉する際の操作性の低下を抑制する。
【解決手段】筐体と、筐体に対して開閉するカバーと、カバーの開閉をオン・オフにより検知する検知部と、回転可能に支持され、検知部をオン・オフする回転部と、カバーが閉まる際に、回転部に当接して回転部を回転させる押し込み部と、カバーが閉まる際に、押し込み部が回転させた回転部に対して、検知部をオンする方向に回転力を付与する回転付与部と、を備える装置である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して開閉するカバーと、
前記カバーの開閉をオン・オフにより検知する検知部と、
回転可能に支持され、前記検知部をオン・オフする回転部と、
前記カバーが閉まる際に、前記回転部に当接して当該回転部を回転させる押し込み部と、
前記カバーが閉まる際に、前記押し込み部が回転させた前記回転部に対して、前記検知部をオンする方向に回転力を付与する回転付与部と、
を備える装置。
【請求項2】
前記回転部と前記検知部と前記回転付与部との間の累積公差は、前記押し込み部と当該回転部との間の累積公差よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検知部と、前記回転部と、前記回転付与部とは前記筐体側に設けられ、前記押し込み部は前記カバー側に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記回転付与部は長手方向に伸びる弾性体であり、当該弾性体の一端が前記回転部に接続され、
前記回転部は回転軸を中心に回転し、
前記検知部と前記回転軸と前記弾性体の他端は、同一部材により保持される
ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転部は、当該回転部の一端に前記検知部を押下する押下部と、当該回転部の他端に前記押し込み部から押し込む力を受ける受け部と、を備え、
前記押下部が前記検知部を押下し当該検知部をオンとしているときに、前記押し込み部は、前記受け部に接触していない
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記受け部は、前記回転付与部が前記回転部に回転力を付与すると、前記押し込み部が移動する方向から交差する方向へ移動し退避する
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記検知部は、押し下げられることでオンになるプッシュボタンと、弾性変形し前記プッシュボタンを押し込む操作アームとを備え、
前記カバーが閉まる際に、前記回転付与部が前記回転部に対して、前記検知部をオンする方向に回転力を付与する前に、前記押下部が前記操作アームに接触し、前記押し込み部と前記受け部との接触が解除された後に、当該操作アームを介して前記プッシュボタンを押し込む
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記回転部が前記検知部をオンとしているときに、前記押し込み部は当該回転部に接触していない
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気機器におけるカバーの開閉スイッチの力が、カバーを開けようとする力として働きにくいようにするために、開閉カバーが閉じた際に開閉スイッチから受ける力の向きを、開閉カバーの回転軸の方に向かうようにすることでカバーが開く方向に反力を受けにくくする構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筐体に対して開閉するカバー備える装置において、開閉するカバーに設けられた押し込み部によりもたらされる力を伝えて検知部のオン・オフを切り替えることで、開閉するカバーの開閉状態を検知するものがある。押し込み部が検知部に与える力は、例えば、押し込み部と検知部との間の公差によるズレや、操作者がカバーを閉める力の加減により、一定ではない。そのため、押し込み部から検知部へ過度な力が及ばないように、例えば、圧縮ばねや板バネなどの弾性体を用いて、押し込み部がもたらす過度な力を緩衝する構成が利用されている。この場合、開閉カバーを開閉する際に、検知部へ過度な力が及ばないようにするために設けられた弾性体からの反力を受けて、開閉カバーの操作性が低下する。
【0005】
本発明は、押し込み部の力を検知部に伝え、押し込み部の力で検知部をオン・オフする場合に比べて、カバーを開閉する際の操作性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、筐体と、前記筐体に対して開閉するカバーと、前記カバーの開閉をオン・オフにより検知する検知部と、回転可能に支持され、前記検知部をオン・オフする回転部と、前記カバーが閉まる際に、前記回転部に当接して当該回転部を回転させる押し込み部と、前記カバーが閉まる際に、前記押し込み部が回転させた前記回転部に対して、前記検知部をオンする方向に回転力を付与する回転付与部と、を備える装置である。
請求項2に記載の発明は、前記回転部と前記検知部と前記回転付与部との間の累積公差は、前記押し込み部と当該回転部との間の累積公差よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置である。
請求項3に記載の発明は、前記検知部と、前記回転部と、前記回転付与部とは前記筐体側に設けられ、前記押し込み部は前記カバー側に設けられることを特徴とする請求項2に記載の装置である。
請求項4に記載の発明は、前記回転付与部は長手方向に伸びる弾性体であり、当該弾性体の一端が前記回転部に接続され、前記回転部は回転軸を中心に回転し、前記検知部と前記回転軸と前記弾性体の他端は、同一部材により保持されることを特徴とする請求項3に記載の装置である。
請求項5に記載の発明は、前記回転部は、当該回転部の一端に前記検知部を押下する押下部と、当該回転部の他端に前記押し込み部から押し込む力を受ける受け部と、を備え、前記押下部が前記検知部を押下し当該検知部をオンとしているときに、前記押し込み部は、前記受け部に接触していないことを特徴とする請求項1に記載の装置である。
請求項6に記載の発明は、前記受け部は、前記回転付与部が前記回転部に回転力を付与すると、前記押し込み部が移動する方向から交差する方向へ移動し退避することを特徴とする請求項5に記載の装置である。
請求項7に記載の発明は、前記検知部は、押し下げられることでオンになるプッシュボタンと、弾性変形し前記プッシュボタンを押し込む操作アームとを備え、前記カバーが閉まる際に、前記回転付与部が前記回転部に対して、前記検知部をオンする方向に回転力を付与する前に、前記押下部が前記操作アームに接触し、前記押し込み部と前記受け部との接触が解除された後に、当該操作アームを介して前記プッシュボタンを押し込むことを特徴とする請求項6に記載の装置である。
請求項8に記載の発明は、前記回転部が前記検知部をオンとしているときに、前記押し込み部は当該回転部に接触していないことを特徴とする請求項1に記載の装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、押し込み部の力を検知部に伝え、押し込み部の力で検知部をオン・オフする場合に比べて、カバーを開閉する際の操作性の低下を抑制できる。
請求項2の発明によれば、回転部と検知部と回転付与部との間の累積公差が押し込み部と回転部との間の累積公差よりも小さい構成を採用しない場合に比べて、公差設計の負担を軽減できる。
請求項3の発明によれば、検知部と、回転部と、回転付与部とは筐体側に設けられ、押し込み部はカバー側に設けられる構成を採用しない場合に比べて、筐体側の公差設計の負担を軽減できる。
請求項4の発明によれば、回転付与部は長手方向に伸びる弾性体であり、弾性体の一端が回転部に接続され回転部は回転軸を中心に回転し検知部と回転軸と弾性体の他端は同一部材により保持される構成を採用しない場合に比べて、筐体に設けられる部品間の累積公差を小さくすることができる。
請求項5の発明によれば、回転部は、回転部の一端に検知部を押下する押下部と、回転部の他端に押し込み部から押し込む力を受ける受け部と、を備え、押下部が検知部を押下し検知部をオンとしているときに、押し込み部は、受け部に接触していない構成を採用しない場合に比べて、検知部への衝撃を抑制できる。
請求項6の発明によれば、受け部は、回転付与部が回転部に回転力を付与すると、押し込み部が移動する方向から交差する方向へ移動し退避する構成を採用しない場合に比べて、押し込み部の押し込み過剰による影響を抑制することができる。
請求項7の発明によれば、検知部は、押し下げられることでオンになるプッシュボタンと、弾性変形しプッシュボタンを押し込む操作アームとを備え、カバーが閉まる際に、回転付与部が回転部に対して、検知部をオンする方向に回転力を付与する前に、押下部が操作アームに接触し、押し込み部と受け部との接触が解除された後に、操作アームを介してプッシュボタンを押し込む構成を採用しない場合に比べて、衝突音の発生を抑制できる。
請求項8の発明によれば、回転部が検知部をオンとしているときに、押し込み部は回転部に接触していない構成を採用しない場合に比べて、検知部を押す力が変動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す図である。
【
図2】検知ユニット及び押し込み部材を説明するための斜視図である。
【
図3】
図2の検知ユニットと押し込み部材とを、
図2の右側から左方向に見た図である。
【
図4】検知部と回転部と回転付与部と押し込み部材との関係を示す模式図である。
【
図5】検知部と回転部と回転付与部と押し込み部材との関係を示す模式図である。
【
図6】従来の開閉検知機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本実施の形態を説明する前に、従来の技術について、図面を用いて説明する。
図6は、従来の開閉検知機構を説明するための図である。
図6は、筐体108に対してカバー109が閉まっている状態を示している。
筐体108は、検知部120を備えている。検知部120は、レバーが押されるとプッシュボタンの移動により検知するインターロックスイッチで構成している。カバー109は、押し込み部材107を備えている。
【0010】
カバー109が閉まる際に、押し込み部材107が検知部120のプッシュボタンを押すと、検知部120はそれを検知する。検知部120のプッシュボタンが押されているか否かにより、カバー109の開閉が把握される。
【0011】
ここで、例えば、押し込み部材107と検知部120との間の累積公差が大きい場合、両者間の位置関係にばらつきが生じることで、押し込み部材107が検知部120のプッシュボタンを押し込む力が一律でなくなり、押し込み不足や過剰な押し込みが発生する可能性がある。ここで、累積公差とは、複数の部品の公差を積み上げたものであり、例えば、単純に各部品の公差を足し合わせる算出方法や、積み上げた公差を満足する確率に基づいて算出する方法がある。従来技術では、押し込み不足や押し込み過剰の発生を抑制するために、弾力性を有する圧縮コイルばね141を用いていた。
【0012】
図6のように、圧縮コイルばね141を用いた場合、カバー109を閉める途中および閉じた状態で、圧縮コイルばね141がカバー109を開く方向に力を働かせるため、カバー109を閉めるときに必要な力が大きくなったり、閉じているカバー109が圧縮コイルばね141の力で開いてしまったりするおそれがある。
【0013】
本実施の形態が適用される画像形成装置1は、筐体に対してカバーを開閉する際の操作性の低下を抑制するための構成を備える。以下、本実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1を示す図である。
図1に示す画像形成装置1は、例えば用紙Pなどの記録媒体に対して電子写真方式等を用いて画像を形成する装置である。本実施の形態に係る画像形成装置1は、装置の一例である。
【0015】
画像形成装置1は、画像形成装置1の外面を覆う外装である筐体8と、その筐体8に対して開閉可能なカバー9とを備える。筐体8とカバー9とは、筐体8とカバー9とを回転可能に接続するカバー回転軸81を介して接続されている。
筐体8は、カバー9の開閉を検知するための検知ユニット2を備える。
【0016】
カバー9は、例えば用紙Pが画像形成装置1内の搬送経路で紙詰まりを起こした場合に、この紙詰まりを処理するためにユーザにより開閉される等、装置内部への作業を行う際に開閉される。また、カバー9は、検知ユニット2に作用する押し込み部材7を備えている。この押し込み部材7は、カバー9を閉じた際に、検知ユニット2に対向する位置に設けられている。
【0017】
筐体8の内部には、用紙Pに画像を形成するための種々の機器が設けられている。画像形成装置1は、用紙Pを収容する用紙収容部11、12、13と、用紙Pに画像を形成する画像形成部14と、画像が形成された用紙Pを排出する排出ロール15と、画像形成装置1の動作を制御する本体制御部16とを備える。
【0018】
画像形成部14は、用紙収容部11、12、13から搬送されてくる用紙Pに画像を形成する。画像形成部14としては、例えば、感光体に付着させたトナーを用紙Pに転写して像を形成する電子写真方式や、インクを用紙P上に吐出して像を形成するインクジェット方式などが採用される。
【0019】
本体制御部16は、画像形成装置1の動作を制御する。また、本体制御部16は、検知ユニット2から信号を受け付け、受け付けた信号に応じた処理を行う。受け付けた信号に応じた処理の一例としては、印刷中にカバー9が開いていることを示す信号を受け付けた場合に、印刷を停止させる等の制御である。
【0020】
次に、
図2及び
図3を参照して、検知ユニット2(
図1参照)と押し込み部材7とを説明する。
図2は、検知ユニット2及び押し込み部材7を説明するための斜視図である。
図3は、
図2の検知ユニット2と押し込み部材7とを、
図2の右側から左方向に見た図である。
【0021】
検知ユニット2は、スイッチのオン・オフによりカバー9の開閉を検知する検知部20と、検知部20に接触して検知部20のスイッチをオン・オフする回転部30と、回転部30に回転力を付与する回転付与部40と、を備える。更に、検知ユニット2は、検知部20、回転部30および回転付与部40を保持する保持部50を備える。
【0022】
検知部20は、オン・オフを検知する回路を備える検知部本体21と、押し下げられることによってオン・オフを切り替えるプッシュボタン22と、プッシュボタン22の押し下げを補助する操作アーム23とを備える。
【0023】
検知部本体21は、略直方体の形状の外形を有し、プッシュボタン22が押し下げられたことを検知する電子回路を検知部本体21の内部に有する。
図2に示すように、検知部本体21の上方向にある面にプッシュボタン22と操作アーム23とが配置されている。また、検知部本体21は、上方向にある面に斜面を有する。この斜面は、後方向にいくにつれて下方向に下がっている。これにより、操作アーム23が押し下げられた場合に、操作アーム23と検知部本体21の上方向にある面とが干渉しないようになる。
【0024】
プッシュボタン22は、
図2の下方向に力を加えられると、押し下げられる。プッシュボタン22が押し下げられると、検知部本体21は、プッシュボタン22が押し下げられたことを示す信号、言い換えるとカバー9が閉まったことを示す信号を本体制御部16(
図1参照)に送る。
【0025】
操作アーム23は、検知部本体21の上方向にある面の前方向側から立ち上がり、後方向に向かって伸びる板状部材である。操作アーム23の立ち上がり部分は弾力性を有し、操作アーム23の板面がプッシュボタン22を覆うように配置される。また、操作アーム23は、後方向にいくにつれて、上方向に上がっている。操作アーム23は、後述するスイッチ押下部39が下降する軌跡に対して交差する位置に配置される。
スイッチ押下部39が下降すると操作アーム23が押し下げられ、プッシュボタン22を操作アーム23の板面で押し下げる。
【0026】
回転部30は、押し込み部71に押される受け部31と、回転部30の回転中心となる回転軸32と、回転付与部40が備えるフック42を取り付けるためのフック掛け部35と、受け部31と回転軸32とフック掛け部35とを有するレバー36と、を備える。また、回転部30は、被引き込み部72を引き込む引き込み部37と、プッシュボタン22を押すスイッチ押下部39と、を備える。
【0027】
図2及び
図3に示すように、本実施の形態では、レバー36は、互いに対向する円弧状の2つのレバー部を有し、2つのレバー部の間に受け部31とフック掛け部35が位置する。
図3に示すように、レバー36の一端側に受け部31が設けられ、他端側にフック掛け部35が設けられている。
受け部31は、押し込み部71を受ける。
フック掛け部35は、回転付与部40が備えるフック42が掛けられる部材である。
【0028】
回転軸32は、互いに外径が異なる回転軸基部33及び回転軸先部34が一体に構成された段形状であり、レバー36における2つのレバー部の各々に設けられている。より詳細には、2つのレバー部の対向する面を内面とすると、その反対側の面である外面にそれぞれ回転軸32が設けられている。2つの回転軸32は、同一軸上に位置する。
さらに説明すると、回転軸基部33は、レバー部と回転軸先部34との間に位置する。
【0029】
回転軸32は、後述の回転軸保持部53により保持される。より詳細には、回転軸基部33の外径は回転軸保持部53よりも大きく、回転軸先部34の外径は回転軸保持部53よりも小さい。
回転軸基部33は、回転部30を保持部50に取り付けた場合に、保持部50により回転部30の左方向及び右方向への移動が規制される。
なお、回転軸先部34は、端面の一部が切り落とされた形状であり、これにより、回転軸先部34を回転軸保持部53に挿入しやすくなる。
【0030】
引き込み部37は、本実施の形態では、レバー36の2つのレバー部に跨って設けられており、フック掛け部35側に位置する。引き込み部37の形状および配置は、カバー9側に設けられた部材の位置等を考慮して設計される。
【0031】
本実施の形態では、スイッチ押下部39は、引き込み部37から連続して設けられ、
図2の右方向に伸びる直方体形状を有する棒である。スイッチ押下部39は、検知部20の操作アーム23を介してプッシュボタン22を押すためにプッシュボタン22の上方向の領域まで伸びている。
スイッチ押下部39は、カバー9を閉める際に、回転部30が回転するのにともない回転軸25を中心として移動し、検知部20のプッシュボタン22を押下げる。スイッチ押下部39の形状及び配置は、プッシュボタン22の配置等を考慮して設計される。
【0032】
回転付与部40は、引張コイルばね41と、引張コイルばね41の両端に引張コイルばね41を取り付けるためのフック42とを有し、回転部30に回転力を付与する。回転付与部40は、回転付与部40の一端が回転部30のフック掛け部35に取り付けられ、回転付与部40の他端が保持部50のフック掛け部57(後述)に取り付けられる。回転付与部40は、フック掛け部35の移動にともない伸び縮みし、フック掛け部35に対して回転付与部40が縮む方向に力を与える弾性体である。回転付与部40は、例えば、長手方向に伸び、長手方向の両端を引っ張る力に応じて、伸びるように変形し、変形に応じて縮む力を発生する部材が用いられる。回転付与部40は、例えば、引張コイルばねや、弾性力を有するゴム等が一例として挙げられる。
【0033】
保持部50は、保持部50の基部となる保持基板51と、回転部30を保護する回転部保護壁52と、回転部30の回転軸32を保持する回転軸保持部53と、回転部30が突き当たるストッパー56と、引張コイルばね41を固定するためのフック掛け部57と、保持部50を補強するための補強部58と、検知部20を保持するためのスイッチ保持部61とを備える。
【0034】
回転部保護壁52は、カバー9が開いている場合に、誤操作によって回転部30が回転しないように、回転部30を覆う。
【0035】
回転部保護壁52の側面には、回転軸32を回転可能に支持する回転軸保持部53が設けられている。回転軸保持部53は、軸挿入切り抜き54と軸台座55とを備える。軸挿入切り抜き54は、回転部保護壁52の側面の一部の切り抜きである。そして、回転軸先部34を通すことができる程度の開口を残して、軸挿入切り抜き54を覆うように軸台座55が設けられる。軸台座55は、開口に挿入された回転軸先部34が後方向に移動しないように回転軸先部34を支える。
【0036】
回転部保護壁52の上部には、回転部保護壁52と保持基板51とに跨って配置される補強部58が設けられる。補強部58は、直角三角形の板状部材であり、回転部保護壁52の左右に設けられている。
【0037】
スイッチ保持部61は、検知部20と面で接触するスイッチ保持面62と、検知部20を挟み固定するスイッチ把持部63と、検知部20の下方向の面を支えるスイッチ支え部64とを備える。スイッチ保持部61は、検知部20を固定し、検知部20の位置決めを行う。
【0038】
本実施の形態が適用される検知ユニット2において、検知部20と回転部30が保持部50により保持されている。押し込み部材7と回転部30とは、少なくともカバー9を介して接続されるため、押し込み部材7と回転部30との間の累積公差は、少なくともカバー9の公差が加わる。そのため、回転部30と検知部20との間の累積公差は、押し込み部材7と回転部30との間の累積公差より小さい。回転部30が検知部20のプッシュボタン22を押し込むため、プッシュボタン22を押す力のばらつきは少ない。そのため、本実施の形態が適用される検知ユニット2では、
図6に示された従来の技術のような圧縮コイルばね141を用いて、プッシュボタン22を押す力のばらつきを低減する必要性が低い。
【0039】
カバー9の押し込み部材7は、押し込み部71と被引き込み部72とを有する。
押し込み部71は、カバー9が閉まる際に、回転部30の受け部31を押し込み、
図3の紙面垂直方向からみて回転部30を反時計回りに回転させる。
被引き込み部72は、カバー9が開く際に、回転部30の引き込み部37に接触し、
図3の紙面垂直方向からみて回転部30を時計回りに回転させる。
【0040】
(作用)
次に、
図3、
図4及び
図5を用いて、カバー9が閉まる際に、検知部20のプッシュボタン22を押す流れを説明する。
上述したように、
図3は、
図2の押し込み部材7と検知ユニット2とを、
図2の右側から左方向に見た場合の概略図であり、
図4及び
図5は、検知部20と回転部30と回転付与部40と押し込み部材7との関係を示す模式図である。
図3、
図4及び
図5は、カバー9が閉まる際の時系列順に並んでいる。なお、破線A1は、回転軸32の中心とフック掛け部57とを結ぶ直線であり、回転付与部40が回転部30に付与する回転力の方向が切り替わる位置である。
【0041】
図3では、回転部30は、引張コイルばね41から、力を受けている。引張コイルばね41は、回転部30のフック掛け部35に対して、引張コイルばね41が縮む方向、すなわちフック掛け部35からフック掛け部57に向かう方向に力を付与している。また、引張コイルばね41が回転部30に付与する力の回転軸32を中心としたモーメントの向きは、回転軸32とフック掛け部35とフック掛け部57との位置関係により定まる。以下、引張コイルばね41が回転部30に付与する力の回転軸32を中心としたモーメントの向きを、引張コイルばね41が付与する回転力の向きと称する。
【0042】
本実施の形態では、回転軸32の位置と、フック掛け部57の位置との位置関係は、保持部50によって決まっているため、フック掛け部35の位置によって、引張コイルばね41が付与する回転力の向きが定まる。引張コイルばね41が付与する回転力の向きは、
図3に示す破線A1より下側にフック掛け部35が位置する場合は、紙面を垂直方向から見て反時計回り方向の向きとなる。その一方で、
図3に示す破線A1より上側にフック掛け部35が位置する場合は、引張コイルばね41が付与する回転力の向きは、紙面を垂直方向から見て時計回り方向の向きとなる。
【0043】
引張コイルばね41は、回転軸32を中心として時計回りに回す回転力を、回転部30に付与している。回転部30は、引張コイルばね41から時計回りの回転力を受けているが、回転部30の受け部31が保持部50のストッパー56に突き当たり、回転部30は停止している。
【0044】
そして、カバー9が更に閉まると、押し込み部材7は、後方向に移動し、押し込み部71は、受け部31に突き当たる。回転部30は、押し込み部71と受け部31とが接触した状態で、押し込み部71によって押し込まれて反時計回りに回転する。
【0045】
図4では、押し込み部71によって回転させられた回転部30によって、引張コイルばね41が最も伸ばされた状態になっている。この状態では、引張コイルばね41が回転部30に付与する力は、回転軸32方向に向かう力のみであり、回転部30は、引張コイルばね41から回転力を受けない。
【0046】
ここで、押し込み部材7が更に後方向に進み、回転部30を反時計回りに回転させると、引張コイルばね41が回転部30に付与する力が与える回転力の向きが切り替わり、回転軸32を中心として反時計回り方向への回転力となる。反時計回り方向への回転力を受けた回転部30は、反時計回りに回転し、受け部31が押し込み部71から離れ、引き込み部37が被引き込み部72に接触する。
【0047】
そして、カバー9の閉まりに応じて押し込み部材7が後方向に移動すると、被引き込み部72の面も後方向に移動し、それにともなって被引き込み部72に接触している回転部30が反時計回りに回転する。
【0048】
これにより、スイッチ押下部39が引張コイルばね41の力によって下方向に移動し検知部20のプッシュボタン22に接近する。言い換えると、カバー9が閉まる際に、引張コイルばね41は、押し込み部材7が回転させた回転部30に対して、検知部20をオンする方向に回転力を付与する。
【0049】
図5は、カバー9が閉まりスイッチ押下部39が検知部20の操作アーム23を介して検知部20のプッシュボタン22を下方向に押し下げた状態である。
引張コイルばね41は、回転部30に対して反時計回りに回転させる力を付与しており、スイッチ押下部39は、操作アーム23に下方向に力を加えている。カバー9が閉まりきった状態では、回転部30の引き込み部37はカバー9側の被引き込み部72から離れ、スイッチ押下部39が操作アーム23に接触している。言い換えると、回転部30が検知部20をオンとしているときに、押し込み部材7は、回転部30に接触していない。
【0050】
本実施の形態では、押し込み部71は、カバー9が閉まる際に前方向から後方向に進み、受け部31は、引張コイルばね41が反時計回りに回転部30の回転させるのにともなって、上方向に移動している。言い換えると、引張コイルばね41が検知部20をオンする方向に回転力を付与すると、受け部31は、押し込み部71が移動する方向から交差する方向へ移動する。
【0051】
また、本実施の形態の回転部30は、引張コイルばね41によって回転部30を回転させる方向が切り替わる前に操作アーム23にスイッチ押下部39を接触させる構成としてもよい。
【0052】
(付記)
(((1)))
筐体と、
前記筐体に対して開閉するカバーと、
前記カバーの開閉をオン・オフにより検知する検知部と、
回転可能に支持され、前記検知部をオン・オフする回転部と、
前記カバーが閉まる際に、前記回転部に当接して当該回転部を回転させる押し込み部と、
前記カバーが閉まる際に、前記押し込み部が回転させた前記回転部に対して、前記検知部をオンする方向に回転力を付与する回転付与部と、
を備える装置。
(((2)))
前記回転部と前記検知部と前記回転付与部との間の累積公差は、前記押し込み部と当該回転部との間の累積公差よりも小さい
ことを特徴とする(((1)))に記載の装置。
(((3)))
前記検知部と、前記回転部と、前記回転付与部とは前記筐体側に設けられ、前記押し込み部は前記カバー側に設けられる
ことを特徴とする(((2)))に記載の装置。
(((4)))
前記回転付与部は長手方向に伸びる弾性体であり、当該弾性体の一端が前記回転部に接続され、
前記回転部は回転軸を中心に回転し、
前記検知部と前記回転軸と前記弾性体の他端は、同一部材により保持される
ことを特徴とする(((3)))に記載の装置。
(((5)))
前記回転部は、当該回転部の一端に前記検知部を押下する押下部と、当該回転部の他端に前記押し込み部から押し込む力を受ける受け部と、を備え、
前記押下部が前記検知部を押下し当該検知部をオンとしているときに、前記押し込み部は、前記受け部に接触していない
ことを特徴とする(((1)))に記載の装置。
(((6)))
前記受け部は、前記回転付与部が前記回転部に回転力を付与すると、前記押し込み部が移動する方向から交差する方向へ移動し退避する
ことを特徴とする(((5)))に記載の装置。
(((7)))
前記検知部は、押し下げられることでオンになるプッシュボタンと、弾性変形し前記プッシュボタンを押し込む操作アームとを備え、
前記カバーが閉まる際に、前記回転付与部が前記回転部に対して、前記検知部をオンする方向に回転力を付与する前に、前記押下部が前記操作アームに接触し、前記押し込み部と前記受け部との接触が解除された後に、当該操作アームを介して前記プッシュボタンを押し込む
ことを特徴とする(((6)))に記載の装置。
(((8)))
前記回転部が前記検知部をオンとしているときに、前記押し込み部は当該回転部に接触していない
ことを特徴とする(((1)))に記載の装置。
【0053】
(((1)))の発明によれば、押し込み部の力を検知部に伝え、押し込み部の力で検知部をオン・オフする場合に比べて、カバーを開閉する際の操作性の低下を抑制できる。
(((2)))の発明によれば、回転部と検知部と回転付与部との間の累積公差が押し込み部と回転部との間の累積公差よりも小さい構成を採用しない場合に比べて、公差設計の負担を軽減できる。
(((3)))の発明によれば、検知部と、回転部と、回転付与部とは筐体側に設けられ、押し込み部はカバー側に設けられる構成を採用しない場合に比べて、筐体側の公差設計の負担を軽減できる。
(((4)))の発明によれば、回転付与部は長手方向に伸びる弾性体であり、弾性体の一端が回転部に接続され回転部は回転軸を中心に回転し検知部と回転軸と弾性体の他端は同一部材により保持される構成を採用しない場合に比べて、筐体に設けられる部品間の累積公差を小さくすることができる。
(((5)))の発明によれば、回転部は、回転部の一端に検知部を押下する押下部と、回転部の他端に押し込み部から押し込む力を受ける受け部と、を備え、押下部が検知部を押下し検知部をオンとしているときに、押し込み部は、受け部に接触していない構成を採用しない場合に比べて、検知部への衝撃を抑制できる。
(((6)))の発明によれば、受け部は、回転付与部が回転部に回転力を付与すると、押し込み部が移動する方向から交差する方向へ移動し退避する構成を採用しない場合に比べて、押し込み部の押し込み過剰による影響を抑制することができる。
(((7)))の発明によれば、検知部は、押し下げられることでオンになるプッシュボタンと、弾性変形しプッシュボタンを押し込む操作アームとを備え、カバーが閉まる際に、回転付与部が回転部に対して、検知部をオンする方向に回転力を付与する前に、押下部が操作アームに接触し、押し込み部と受け部との接触が解除された後に、操作アームを介してプッシュボタンを押し込む構成を採用しない場合に比べて、衝突音の発生を抑制できる。
(((8)))の発明によれば、回転部が検知部をオンとしているときに、押し込み部は回転部に接触していない構成を採用しない場合に比べて、検知部を押す力が変動することを抑制できる。
【符号の説明】
【0054】
1…画像形成装置、2…検知ユニット、7…押し込み部材、8…筐体、9…カバー、20…検知部、21…検知部本体、22…プッシュボタン、23…操作アーム、30…回転部、31…受け部、32…回転軸、35…フック掛け部、39…スイッチ押下部、40…回転付与部、50…保持部、53…回転軸保持部、57…フック掛け部、61…スイッチ保持部、71…押し込み部