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特開2024-57919肉様加工食品および肉様加工食品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057919
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】肉様加工食品および肉様加工食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/16 20060101AFI20240418BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20240418BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20240418BHJP
   A23L 13/50 20160101ALI20240418BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20240418BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20240418BHJP
   A23J 3/28 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A23J3/16 501
A23L13/00 Z
A23J3/14
A23L13/50
A23L13/60 B
A23L29/262
A23J3/28 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164909
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】514327060
【氏名又は名称】株式会社TWO
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 桂太
【テーマコード(参考)】
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B041LC03
4B041LC05
4B041LD01
4B041LH11
4B041LK15
4B041LP01
4B041LP09
4B041LP12
4B041LP16
4B042AC05
4B042AD36
4B042AE03
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK13
4B042AP05
4B042AP18
4B042AP21
(57)【要約】
【課題】製造時間を短縮しながら、安定した品質の肉様加工食品を得ること。
【解決手段】植物由来たんぱく質と、メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」の水和物と、を含む肉様加工食品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来たんぱく質と、メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」の水和物と、を含む肉様加工食品。
【請求項2】
前記植物由来たんぱく質は大豆由来たんぱく質である、請求項1に記載の肉様加工食品。
【請求項3】
前記肉様加工食品がチキンナゲット様食品、ポークカツ様食品、メンチカツ様食品からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の肉様加工食品。
【請求項4】
メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」と、水と、を混合してメチルセルロース製剤の水和物を得る工程(A)と、
前記工程(A)で得られたメチルセルロース製剤の水和物と、植物由来たんぱく質と、を混合して生地を作製する工程(B)と、
を含む、肉様加工食品の製造方法。
【請求項5】
前記工程(B)で作製した生地を成形する工程(C)をさらに含む、請求項4に記載の肉様加工食品の製造方法。
【請求項6】
前記工程(C)で成形した成形物を加熱する工程(D)をさらに含む、請求項4又は5記載の肉様加工食品の製造方法。
【請求項7】
前記植物由来たんぱく質は大豆由来たんぱく質である、請求項4又は5に記載の肉様加工食品の製造方法。
【請求項8】
前記肉様加工食品がチキンナゲット様食品、ポークカツ様食品、メンチカツ様食品からなる群から選ばれる1種以上である、請求項4又は5に記載の肉様加工食品の製造方法。
【請求項9】
前記肉様加工食品がチキンナゲット様食品であり、
工程(B)で作製した生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)がメチルセルロース製剤:水=1:4~1:6である、請求項4又は5に記載の肉様加工食品の製造方法。
【請求項10】
前記肉様加工食品がポークカツ様食品であり、
工程(B)で作製した生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)がメチルセルロース製剤:水=1:2~1:4である、請求項4又は5に記載の肉様加工食品の製造方法。
【請求項11】
前記肉様加工食品がメンチカツ様食品であり、
工程(B)で作製した生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)がメチルセルロース製剤:水=1:1~1:3である、請求項4又は5に記載の肉様加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉様加工食品および肉様加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ベジタリアンやヴィーガン向けだけでなく、環境面への配慮からも植物由来たんぱく質を使用した代替肉が注目されており、代替肉を用いた多数の肉様加工食品が上市されている。これらの肉様加工食品の製造方法として、大豆、エンドウ豆、小麦などの植物たんぱく粉や、これらをエクストルーダーで押し出して製造した組織状植物たんぱくが使用されており、植物たんぱく粉を含むエマルジョンカードや組織状植物たんぱくの結着材としてメチルセルロースが使用されている(例えば特許文献1~4)。
【0003】
しかしながら、メチルセルロースを結着材として使用する場合、所望の弾力が得られなかったり、食感にばらつきがあり、品質が安定しないなどの欠点があった。また、メチルセルロースは食品当たり2重量%以下の使用制限があり、使用量を増やすことに限界があった。これらの課題に対して、特許文献5には、0~5℃の温度帯に10時間以上保持されたメチルセルローススラリーを用いることで、従来よりも弾力性があり、品質ぶれの少ない肉様蛋白加工食品を製造できることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公表2018-533945号公報
【特許文献2】特公表2017-509349号公報
【特許文献3】特開2018-29565号公報
【特許文献4】特開2005-21163号公報
【特許文献5】特開2022-049282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献5に記載されたメチルセルローススラリーを用いる方法では、品質を安定させるために長時間冷却する必要があるため、製造時間が長くなるという問題がある。
上記事情に鑑み、本発明は、製造時間を短縮しながら、安定した品質の肉様加工食品を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、メチルセルロースとして、特定のメチルセルロース製剤の水和物を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
植物由来たんぱく質と、メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」の水和物と、を含む肉様加工食品。
[2]
前記植物由来たんぱく質は大豆由来たんぱく質である、上記[1]に記載の肉様加工食品。
[3]
前記肉様加工食品がチキンナゲット様食品、ポークカツ様食品、メンチカツ様食品からなる群から選ばれる1種以上である、上記[1]又は[2]に記載の肉様加工食品。
[4]
メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」と、水と、を混合してメチルセルロース製剤の水和物を得る工程(A)と、
前記工程(A)で得られたメチルセルロース製剤の水和物と、植物由来たんぱく質と、を混合して生地を作製する工程(B)と、
を含む、肉様加工食品の製造方法。
[5]
前記工程(B)で作製した生地を成形する工程(C)をさらに含む、上記[4]に記載の肉様加工食品の製造方法。
[6]
前記工程(C)で成形した成形物を加熱する工程(D)をさらに含む、上記[4]又は[5]記載の肉様加工食品の製造方法。
[7]
前記植物由来たんぱく質は大豆由来たんぱく質である、上記[4]又は[5]に記載の肉様加工食品の製造方法。
[8]
前記肉様加工食品がチキンナゲット様食品、ポークカツ様食品、メンチカツ様食品からなる群から選ばれる1種以上である、上記[4]又は[5]に記載の肉様加工食品の製造方法。
[9]
前記肉様加工食品がチキンナゲット様食品であり、
工程(B)で作製した生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)がメチルセルロース製剤:水=1:4~1:6である、上記[4]又は[5]に記載の肉様加工食品の製造方法。
[10]
前記肉様加工食品がポークカツ様食品であり、
工程(B)で作製した生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)がメチルセルロース製剤:水=1:2~1:4である、上記[4]又は[5]に記載の肉様加工食品の製造方法。
[11]
前記肉様加工食品がメンチカツ様食品であり、
工程(B)で作製した生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)がメチルセルロース製剤:水=1:1~1:3である、上記[4]又は[5]に記載の肉様加工食品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、製造時間を短縮しながら、安定した品質の肉様加工食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
[肉様加工食品]
本実施形態における肉様加工食品は、植物由来たんぱく質と、メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」の水和物と、を含む。
【0011】
<植物由来たんぱく質>
本実施形態における植物由来たんぱく質とは、特に限定されないが、例えば、大豆、えんどう豆、菜種、綿実、落花生、ゴマ、サフラワー、向日葵、コーン、ベニバナ、ココナッツ等の油糧種子、あるいは、米、大麦、小麦等の穀物種子由来のたんぱく質素材などや、米グルテリン、大麦プロラミン、小麦プロラミン、小麦グルテン、大豆グロブリン、大豆アルブミン、落花生アルブミンなどの抽出・加工たんぱく、熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理たんぱく質などが挙げられる。入手の容易性および経済性等の観点からは大豆たんぱく質が好ましい。ここでいう大豆たんぱく質は、大豆由来のたんぱく質を含む素材であればよく、丸大豆や半割れ大豆などの全脂大豆や、油脂を除去した減脂大豆や脱脂大豆、含水エタノール洗浄や酸性水洗浄等によりたんぱく質を濃縮した濃縮大豆たんぱく、さらには分離大豆たんぱく質または豆乳、ならびにそれらの加水分解物、オカラ、ホエーなどが挙げられ、これらの少なくとも1種以上を選択して用いることができる。
【0012】
植物由来たんぱく質の性状としても特に制限はなく、粒状、粉末状、ペースト状、繊維状など、肉様加工食品に求められる性質などにあわせて適宜選択することができる。植物由来たんぱく質として乾燥品を用いる場合には、水や熱湯で吸水させて戻してから用いることが好ましい。
【0013】
<メチルセルロース製剤>
本実施形態においては、メチルセルロース製剤として、日油株式会社社製の商品名「MG-EL」を用いる。「MG-EL」は、メチルセルロースを含むゲル状の製剤であり、メチルセルロースの他に、キサンタンガム、水、還元水飴、醸造酢などを含む。食品添加用のメチルセルロース製剤としては、これまで数多くのものが市販され、用いられているが、植物由来たんぱく質を用いた肉様加工食品に本物の畜肉と同様の食感や味を付与するまでには至っていなかった。本発明者らは、数多くあるメチルセルロース製剤の中でも特に「MG-EL」を用いることで、肉様加工食品の食感や味を顕著に改善できることを見出した。
【0014】
<肉様加工食品>
本実施形態において「肉様加工食品」とは、肉加工食品における畜肉原料の一部、あるいは全部を植物由来原料に代替した食品をいい、チキンナゲット様食品、ポークカツ様食品、メンチカツ様食品、ハンバーグ様食品、肉団子様食品などの様々な性状の肉様加工食品が包含される。中でも、本物の畜肉を用いた場合と同等の色味、風味、食感が得られる傾向にあることから、肉様加工食品としてはチキンナゲット様食品、ポークカツ様食品、メンチカツ様食品が好ましい。
【0015】
[肉様加工食品の製造方法]
本実施形態における肉様加工食品の製造方法は、
メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」と、水と、を混合してメチルセルロース製剤の水和物を得る工程(A)と、
前記工程(A)で得られたメチルセルロース製剤の水和物と、植物由来たんぱく質と、を混合して生地を作製する工程(B)と、
を含む。
【0016】
<工程(A)>
工程(A)は、メチルセルロース製剤である日油株式会社社製の商品名「MG-EL」と、水と、を混合してメチルセルロース製剤の水和物を得る工程である。メチルセルロース製剤の水和物は、通常は粘度のあるゲル状の物質である。混合方法としては特に限定されず、ミキサーなどを用いて混合しても、スパチュラなどを用いて手動によって混合してもよく、均質に混ざるように混合すればよい。
【0017】
<工程(B)>
工程(B)は、工程(A)で得られたメチルセルロース製剤の水和物と、植物由来たんぱく質と、を混合して生地を作製する工程である。
工程(B)においては、メチルセルロース製剤の水和物に植物由来たんぱく質を加えて、ミキサーなどを用いて撹拌する。各材料を添加する順序は特に限定されず、メチルセルロース製剤の水和物に植物由来たんぱく質を加えても、植物由来たんぱく質にメチルセルロース製剤の水和物を加えてよい。また、混合方法としても特に限定されず、ミキサーなどを用いて混合しても、スパチュラなどを用いて手動によって混合してもよく、均質に混ざるように混合すればよい。
【0018】
工程(B)においては、肉様加工食品により本物の肉に近い繊維感を付与する観点から、植物由来繊維を混合することが好ましい。植物由来繊維としては、例えば、オーツ麦繊維、セルロース繊維、小麦繊維、サトウキビ繊維、竹繊維、お米繊維などが挙げられ、品質の安定化の観点からは、特にオーツ麦繊維が好ましい。
【0019】
工程(B)においては、例えば、砂糖、食用酢、みりん、しょうゆ、ウスターソース、塩、うま味調味料、酵母エキス、畜肉エキスなどの各種調味料を添加してもよい。動物性原材料不使用の観点からは、畜肉エキス、魚エキスなどの動物性原料を使用しないことが好ましい。また、人工的な呈味を避けることから、うま味調味料を使用しないことが好ましい。
【0020】
さらに、工程(B)においては、亜麻仁油、エゴマ油、オリーブオイル、グレープシードオイル、コーン油、ごま油、米油、大豆油、菜種油、パーム油、ひまわり油、べに花油、および綿実油などの植物油を添加してもよい。上記の中でも、油に独特の風味が少ない油脂が好ましく、菜種油、ひまわり油、べに花油、綿実油がより好ましく、特に好ましくは菜種油である。
【0021】
工程(B)においては、肉様加工食品の種類に応じて、さらに粉末状の植物由来たんぱく質などを加えてもよい。
【0022】
本実施形態の製造方法において、工程(B)で得られた生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との含有割合は、肉様加工食品の種類に応じて適宜調整することが好ましい。
肉様加工食品がチキンナゲット様食品である場合、
メチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)はメチルセルロース製剤:水=1:3~1:7であることが好ましく、1:4~1:6であることがより好ましい。
肉様加工食品がポークカツ様食品である場合、
メチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)はメチルセルロース製剤:水=1:1~1:5であることが好ましく、1:2~1:4であることがより好ましい。
肉様加工食品がメンチカツ様食品である場合、
メチルセルロース製剤と水との含有割合(質量比)はメチルセルロース製剤:水=1:0.5~1:4であることが好ましく、1:1~1:3であることがより好ましい。
上記のとおり、肉様加工食品の種類に応じてメチルセルロース製剤と水との含有割合を適宜調整することで、最終的に得られる肉様加工食品に本物の畜肉を用いた食品に近い食感・味を付与することができる傾向にある。
【0023】
<工程(C)>
工程(C)は、工程(B)で作製した生地を成形する工程である。
工程(C)においては、工程(B)で作製した生地を所望の肉様加工食品の形状に成形する。成形は手作業で行ってもよいし、成形型などを用いてもよい。また、成形された生地の重量を一定にするために、成形前或いは成形後に計量器などを用いて一定の重量に計量してもよい。
【0024】
また、肉様加工食品がチキンナゲットやカツの場合、成形した成形物をバッター液に漬けてもよく、さらに、パン粉やコーンフレークなどの衣をまぶしてもよい。バッター液としては特に限定されないが、例えば、米粉、コーン粉、ひよこ豆粉に水を加えて混ぜ合わせたものを用いることができる。
【0025】
<工程(D)>
工程(D)は、成形工程で成形した成形物を加熱する工程である。
工程(D)においては、工程(C)で成形した成形物を加熱する。加熱方法は特に限定はなく、ボイルやスチーム、焼成などにより加熱する。加熱方法は一つに限定されず、スチームの後、焼成してもよく、スチームの後味付けのためのボイル調理をしてもよい。メチルセルロースの凝固温度が50℃以上であるため、品温(中心温)が50℃程度以上となるように加熱すればよいが、殺菌も兼ねているため、品温が80℃以上となるまで加熱することが好ましい。
【0026】
上記製造方法により得られた肉様加工食品は、そのまま喫食できるものは喫食してもよいが、冷蔵や冷凍(凍結)して保存し、焼成やボイル、電子レンジ調理により再加熱して喫食してもよい。
【0027】
本実施形態の肉様加工食品は、上述した材料の他にも各種添加剤が適宜添加されていてもよい。添加剤は、通常、飲食品に添加されるものであり、例えば、甘味料、酸味料、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、香料、増粘剤、凝固剤、乳化剤などが挙げられる。
【0028】
増粘剤とは、対象物の粘度を増加させるために用いられる剤である。凝固剤とは、対象物を凝固させるために用いられる剤である。上述した成分以外の本肉様加工食品で使用可能な増粘剤、又は凝固剤は、特に限定されないが、例えば、ペクチン、寒天、澱粉、加工澱粉、カラギーナン、グァーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ガラクトマンナン、アラビアガム、セルロース、ゼラチン、カードランなどが挙げられる。
【0029】
これらの添加剤を添加するタイミングとしても特に限定されることはなく、例えば、工程(B)において、メチルセルロース製剤の水和物と、植物由来たんぱく質と、を混合して生地を作製する際に添加してもよい。
【実施例0030】
本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
(チキンナゲット様食品の製造)
乾燥大豆タンパク(不二製油製 アペックス2000SP)250.0gに70℃の水395.0gを加えて大豆タンパクを戻した。メチルセルロース製剤(日油製 MG-EL)100.0gに冷水130.0gを加えて混ぜ合わせることでメチルセルロース製剤の水和物を得た。
次いで、水和したメチルセルロース製剤に水で戻した大豆タンパクを加えてミキサーで撹拌した後、調味料として酵母エキス14.0g、塩7.0g、ブラックペッパー0.5g、砂糖8.0g、リンゴ酢4.0g、ナツメグ0.5g、セロリ末0.5g、コリアンダー0.5gを加え、ひまわり油50.0gを加えて混合した後、さらに、オーツ麦繊維40.0gを加えて撹拌することで生地を得た。生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との混合割合(質量比)はメチルセルロース製剤:水=1:5.25であった。得られた生地を約17gに計量し、手作業でチキンナゲット状に成形した。
別途、米粉25.0g、コーン粉25.0g、ひよこ豆粉25.0g、水125.0gを混合することでバッター液を調製した。
チキンナゲット状の成形物をバッター液に漬け、砕いたコーンフレークをまぶした後、冷蔵庫で一晩保管した。冷蔵庫で保管した成形物を180℃の油で90秒程度揚げ、室温まで冷ました後、ブラストフリーザーで凍結することでチキンナゲット様食品を得た。
【0032】
[実施例2]
生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との混合割合(質量比)をメチルセルロース製剤:水=1:8としたこと以外は実施例1と同様の方法によりチキンナゲット様食品を製造した。
【0033】
[比較例1]
メチルセルロース製剤100.0gの代わりに加工でんぷん(サンダイヤ製 TSビースター)30.0gを用いたこと以外は実施例1と同様の方法によりチキンナゲット様食品を製造した。
【0034】
(チキンナゲット様食品の評価)
7名のパネルにより、実施例1~2、比較例1で得られたチキンナゲット様食品と、市販品である「日清商会製 ヴィーガンやわらかナゲット」(参考例1)の弾力性、繊維感についての官能評価を行った。官能評価の結果を以下に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
上記表に示すとおり、実施例1、2のチキンナゲット様食品の弾力性と繊維感のバランスは、比較例1や参考例1のチキンナゲット様食品よりも優れており、品質が安定していた。
【0038】
[実施例3]
(ポークカツ様食品の製造)
乾燥大豆タンパク(不二製油製 アペックス2000SP)120.0gに70℃の水238.4gを加えて大豆タンパクを戻した。メチルセルロース製剤(日油製 MG-EL)120.0gに冷水120.0gを加えて混ぜ合わせることでメチルセルロース製剤の水和物を得た。
次いで、水和したメチルセルロース製剤に水で戻した大豆タンパクを加えてミキサーで撹拌した後、調味料として酵母エキス14.4g、塩こうじ36.0g、砂糖3.6g、ブラックペッパー0.4g、リンゴ酢3.2gを加え、ひまわり油40.0gを加えて混合した後、さらに、粉末大豆タンパク(不二製油製 フジプロFR)80.0gとオーツ麦繊維24.0gを加えて撹拌することで生地を得た。生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との混合割合(質量比)はメチルセルロース製剤:水=1:2.98であった。得られた生地を約65gに計量し、手作業でポークカツ状に成形した。
別途、米粉50.0g、コーン粉50.0g、ひよこ豆粉50.0、水250.0gを混合することでバッター液を調製した。
ポークカツ状の成形物をバッター液に漬け、パン粉をまぶした後、ブラストフリーザーで凍結することでポークカツ様食品を得た。
【0039】
[実施例4]
生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との混合割合(質量比)をメチルセルロース製剤:水=1:8としたこと以外は実施例3と同様の方法によりポークカツ様食品を製造した。
【0040】
[比較例2]
メチルセルロース製剤120.0gに代えて加工でんぷん(サンダイヤ製 TSビースター)24.0gを用いたこと以外は実施例3と同様の方法によりポークカツ様食品を製造した。
【0041】
(ポークカツ様食品の評価)
7名のパネルにより、実施例3~4、比較例2で得られたポークカツ様食品と、市販品である「かるなぁ製 ヴィーガンデリヴィーガントンカツ」(参考例2)の弾力性、噛み応えについての官能評価を行った。官能評価の結果を以下に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
上記表に示すとおり、実施例3、4のポークカツ様食品の弾力性や噛み応えのバランスは比較例2よりも優れており、参考例2と同等であった。参考例2のポークカツ様食品については衣が厚いため弾力性があると評価された可能性がある。
【0045】
[実施例5]
(メンチカツ様食品の製造)
乾燥大豆タンパク(DAIZ製 ミラクルミートHA)61.0gに70℃の水125.0gを加えて大豆タンパクを戻した。メチルセルロース製剤(日油製 MG-EL)95.0gに冷水95.0gを加えて混ぜ合わせることでメチルセルロース製剤の水和物を得た。
次いで、水和したメチルセルロース製剤に水で戻した大豆タンパクを加え、玉ねぎ50.0gを加えてミキサーで撹拌した後、調味料として酵母エキス6.5g、ケチャップ7.5g、ウスターソース8.5g、塩2.5g、砂糖1.0g、ブラックペッパー1.0g、リンゴ酢2.0gを加え、粉末大豆タンパク(不二製油製 フジプロFR)5.0gを加えて撹拌し、さらに油脂加工品(太陽油脂製 ジュアンソラーレ)25.0gと、オーツ麦繊維15.0gを加えて撹拌することで生地を得た。生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との混合割合(質量比)はメチルセルロース製剤:水=1:2.32であった。得られた生地を約65gに計量し、手作業でメンチカツ状に成形した。
別途、米粉25.0g、コーン粉25.0g、ひよこ豆粉25.0g、水125.0gを混合することでバッター液を調製した。
メンチカツ状の成形物をバッター液に漬け、パン粉をまぶした後、ブラストフリーザーで凍結することでメンチカツ様食品を得た。
【0046】
[実施例6]
生地に含まれるメチルセルロース製剤と水との混合割合(質量比)をメチルセルロース製剤:水=1:3としたこと以外は実施例5と同様の方法によりメンチカツ様食品を製造した。
【0047】
[比較例3]
メチルセルロース製剤95.0gに代えて加工でんぷん(サンダイヤ製 TSビースター)15.0gを用いたこと以外は実施例5と同様の方法によりメンチカツ様食品を製造した。
【0048】
(メンチカツ様食品の評価)
7名のパネルにより、実施例5~6、比較例3で得られたメンチカツ様食品と、市販品である「グリーンカルチャー製 原材料に徹底的にこだわったお母さんのメンチカツ」(参考例3)の肉粒感、ジューシー感についての官能評価を行った。官能評価の結果を以下に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
上記表に示すとおり、肉粒感については実施例5のメンチカツ様食品が最も良い評価であり、ジューシー感については実施例6が最も良い評価であった。一方、比較例3と参考例3のメンチカツ様食品の肉粒感、ジューシー感は実施例と比較して劣っていた。