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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057922
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20240418BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240418BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240418BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240418BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q19/10
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164915
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 一輝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD332
4C083AD432
4C083AD452
4C083CC22
4C083CC23
4C083DD22
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】泡量及び泡弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好であり、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性に優れた皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)一般式(1)R1-COOX(1)
(式中、R1は炭素数9~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン由来のアンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す)で表される脂肪酸及びその塩、
(B)一般式(2):

(式中、R2は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、M1はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)で表されるN-アシルグリシン塩3~15質量%、
(C)3価以上の多価アルコール10~40質量%、
(D)水、を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)一般式(1)
1-COOX (1)
(式中、R1は炭素数9~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン由来のアンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す)
で表される脂肪酸及びその塩、
(B)一般式(2):
【化1】
(式中、R2は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、M1はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)
で表されるN-アシルグリシン塩 3~15質量%、
(C)3価以上の多価アルコール 10~40質量%、
(D)水
を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.1~1である請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.5~10である請求項1又は2記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(C)が、少なくともグリセリンを含む請求項1~3のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに、(E)数平均分子量200~6000のポリエチレングリコールを含有する請求項1~4のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、泡立ちが良く、洗浄後の肌感触が良好な皮膚洗浄剤組成物が検討されている。
例えば、特許文献1には、高級脂肪酸及びその塩と、アミノ酸系アニオン界面活性剤、特定のノニオン界面活性剤を含有するペースト状洗浄剤組成物が、高級脂肪酸の良好な泡性能を維持しつつ、高温時の安定性、低温時の使用性、肌に対するマイルド性に優れることが記載されている。
特許文献2には、脂肪酸塩と、N-アシルグリシン型又はN-アシルメチルアラニン型アミノ酸系界面活性剤を含有する洗浄剤組成物が、泡の立ち始めから泡が細かく、泡持続性が高いことが記載されている。
特許文献3には、N-アシルグリシン又はその塩、高級脂肪酸塩又は脂肪酸アルカノールアミド、油性成分を含有する洗浄剤組成物が、泡立ち及び洗浄力を低下させることなく、きしみ感、すすぎ時のぬるつき感及びつっぱり感を改善し、保湿効果に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-183030号公報
【特許文献2】特開2017-128625号公報
【特許文献3】特開平8-12993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗浄剤組成物は、泡立ちや泡量には優れるものの、泡の弾力に劣るという課題があった。また、洗浄後に肌感触においても、十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、特定の脂肪酸及びその塩と、N-アシルグリシン塩、3価以上の多価アルコールを特定の割合で組合わせて用いることにより、泡量及び泡の弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好な皮膚洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)一般式(1)
1-COOX (1)
(式中、R1は炭素数9~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン由来のアンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す)
で表される脂肪酸及びその塩、
(B)一般式(2):
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、R2は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、M1はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)
で表されるN-アシルグリシン塩 3~15質量%、
(C)3価以上の多価アルコール 10~40質量%、
(D)水
を含有する皮膚洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡量及び泡弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好である。また、チューブ容器に充填して使用する際、吐出性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)の脂肪酸及びその塩は、前記一般式(1)で表されるものである。
一般式(1)中、R1は炭素数9~23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。
一般式(1)中、R1の炭素数は、泡量を向上させる観点から、11~17が好ましく、11~15がより好ましい。また、泡量及び泡弾力を向上させる観点から、直鎖が好ましい。
具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の塩が挙げられる。これらのうち、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性を向上させる観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むのが好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むのがより好ましい。
また、Xとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸などが挙げられ、泡量を向上させる観点から、アルカリ金属が好ましく、カリウムがより好ましい。
【0011】
成分(A)の脂肪酸塩は、例えば、組成物中で、未中和の脂肪酸と、中和剤とを混合することにより、脂肪酸塩を形成させ、組成物中に存在させることができる。
中和剤は、塩基性を示す化合物であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、塩基性アミノ酸等が挙げられる。これらのうち、泡量を向上させる観点から、水酸化カリウム及び水酸化ナトリムから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むことが好ましく、水酸化カリウムを少なくとも含むことがより好ましい。
【0012】
成分(A)の中和率は、泡量及び泡弾力を向上させる観点から、75~88%であるのが好ましく、77~87%がより好ましく、79~86%がさらに好ましい。
【0013】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡量を向上させ、泡弾力を向上させ、すすぎ後の肌のつっぱり感を低減し、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性を向上させる観点から、脂肪酸として、全組成中に18~30質量%であるのが好ましく、20~27質量%がより好ましく、22.5~24.5質量%がさらに好ましい。なお、成分(A)の含有量は、酸としての含有量を示す。
【0014】
本発明で用いられる成分(B)は、前記一般式(2)で表されるN-アシルグリシン塩である。
一般式(2)中、R2としては、炭素数9~21のアルキル基が好ましく、炭素数11~19のアルキル基がより好ましい。
成分(B)のN-アシルグリシン塩のアシル基を構成する脂肪酸残基として、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらは動植物由来であってもよく、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、泡量及び泡弾力を向上させ、すすぎ後の肌のつっぱり感を低減させる観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ヤシ油脂肪酸を含むのがさらに好ましい。
【0015】
一般式(2)中、M1としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらのうち、泡量を向上させる観点から、アルカリ金属が好ましく、ナトリウム、カリウムから選ばれる1種以上がより好ましく、カリウムがさらに好ましい。
【0016】
成分(B)のN-アシルグリシン塩としては、例えば、ラウロイルグリシン、ミリストイルグリシン、パルミトイルグリシン、ステアロイルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシン、パーム油脂肪酸アシルグリシン等のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩が挙げられる。
これらのうち、泡量及び泡弾力を向上させ、すすぎ後の肌のつっぱり感を低減させる観点から、ラウロイルグリシン、ミリストイルグリシン、パルミトイルグリシン、ステアロイルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンのアルカリ金属塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ラウロイルグリシン、ミリストイルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンのアルカリ金属塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンのアルカリ金属塩を含むのがさらに好ましく、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウムを含むのがよりさらに好ましい。
【0017】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡量を向上させ、泡弾力を向上させ、すすぎ後の肌のつっぱり感を低減し、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性を向上させる観点から、全組成中に3~15質量%であり、4~14質量%が好ましく、6~13質量%がより好ましく、8~11質量%がさらに好ましい。なお、成分(B)の含有量は、塩としての含有量を示す。
【0018】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、泡量を向上させ、泡弾力を向上させ、すすぎ後の肌のつっぱり感を低減し、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性を向上させる観点から、0.5~10であるのが好ましく、1~6がより好ましく、2~3.5がさらに好ましく、2.3~2.5がよりさらに好ましい。
【0019】
成分(C)の3価以上の多価アルコールは、分子内に3個以上の水酸基をもつ化合物であり、通常の皮膚洗浄剤組成物に用いられるものであればいずれでも良い。
3価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.)等が挙げられる。4価アルコールとしては、ジグリセリン、エリスリトール等が挙げられる。5価以上の多価アルコールとしては、トリグリセリン等のポリグリセリン;グルコース、マルトース、マルチトース、ショ糖、キシリトール、ソルビトール、マルビトール等の糖類;ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10E.O.)、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20E.O.)等のポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンエチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンプロピレングルコシド等の糖アルコールなどが挙げられる。
【0020】
成分(C)としては、泡量及び泡弾力を向上させ、すすぎ後の肌のつっぱり感を低減させる観点から、3価アルコールを含むのが好ましく、少なくともグリセリンを含むのがより好ましい。
【0021】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡量及び泡弾力を向上させ、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性を向上させる観点から、全組成中に10~40質量%であり、15~38質量%が好ましく、20~36質量%がより好ましく、23~34質量%がさらに好ましく、28~33質量%がよりさらに好ましい。
【0022】
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、泡量及び泡弾力を向上させ、すすぎ後の肌のつっぱり感を低減させる観点から、0.1~1であるのが好ましく、0.14~0.8がより好ましく、0.23~0.5がさらに好ましい。
【0023】
本発明において、成分(D)の水は、各成分の残余をなし、含有量は、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性を向上させる観点から、全組成中13~24質量%であるのが好ましく、15~22質量%がより好ましく、17~20質量%がさらに好ましい。
【0024】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに、(E)数平均分子量200~6000のポリエチレングリコールを含有することができる。成分(E)のポリエチレングリコールの数平均分子量は、300~4000が好ましく、1000~2000がより好ましい。
かかるポリエチレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール200(数平均分子量200)、ポリエチレングリコール300(数平均分子量300)、ポリエチレングリコール400(数平均分子量400)、ポリエチレングリコール600(数平均分子量600)、ポリエチレングリコール1000(数平均分子量1000)、ポリエチレングリコール1540(数平均分子量1450)、ポリエチレングリコール1500(数平均分子量1540)、ポリエチレングリコール2000(数平均分子量2000)(以上、三洋化成社製)等の市販品を用いることができる。
なお、数平均分子量は、化粧品原料基準 新訂版(平成11年8月30日、第1版、薬事日報社)、化粧品種別配合成分規格(平成9年4月18日、第1版、薬事日報社)記載の方法で測定される。
【0025】
成分(E)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡弾力を向上させる観点から、全組成中に5~12質量%であるのが好ましく、6.5~10質量%がより好ましく、7.2~8.6質量%がさらに好ましく、7.6~8.2質量%がよりさらに好ましい。
【0026】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに、グリセリン脂肪酸エステルを含有することができる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、泡弾力を向上させる観点から、グリセリンモノ脂肪酸エステルが好ましい。グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、炭素数10~24の脂肪酸の残基を有するものが好ましく、炭素数16~24の脂肪酸の残基を有するものがより好ましく、炭素数18~24の脂肪酸の残基を有するものがさらに好ましい。また、グリセリンモノ脂肪酸エステルを構成する「脂肪酸」は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、飽和脂肪酸の残基を有するものが好ましく、直鎖の飽和脂肪酸の残基を有するものがより好ましい。
グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノイソステアリン酸エステル、グリセリンモノリノール酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステルが好ましい。
【0027】
グリセリン脂肪酸エステルは、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、泡弾力を向上させる観点から、全組成中に0.5~3質量%であるのが好ましく、1~2質量%がより好ましく、1.5~1.65質量%がさらに好ましい。
【0028】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、前記成分以外に、通常の皮膚洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、成分(A)、(B)以外の界面活性剤、油性成分、pH調整剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、塩類、パール化剤、スクラブ剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【0029】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、通常の方法に従って製造することができ、例えば、以下の工程により製造することができる。
工程1:成分(C)、(D)、その他の水性成分及びアルカリ剤を混合する工程。
工程2:70~90℃に加熱した工程1の混合物に、70~90℃に加熱した成分(A)を添加して均一に混合する工程。
工程3:工程2で得られた混合物に、成分(B)、(E)、その他の成分を順次添加し、混合する工程。
工程4:工程3の混合物を冷却し、20~35℃の範囲まで冷却して、皮膚洗浄剤組成物を得る。
【0030】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、クリーム状、ペースト状とするのが好ましく、チューブ容器に充填して用いるのに好適である。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、チューブ容器に充填して使用する際の吐出性を向上させる観点から、20℃における粘度が、100~2000Pa・sであるのが好ましく、200~1500Pa・sがより好ましく、300~1000Pa・sがさらに好ましい。
本発明において、粘度は、以下の条件により測定される。
測定機器:スピンドル粘度計(東機産業社製)、
測定治具:T-F、
回転速度:5rpm、
測定時間:60秒、
測定温度:20℃
【0031】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、皮膚洗浄用として用いられ、ハンドソープ、洗顔料、ボディーソープ等として用いることができる。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、例えば、泡立てて皮膚に適用した後、水で洗い流すことにより、皮膚を洗浄することができる。
【実施例0032】
実施例1~7及び比較例1~5
表1に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、泡弾力、泡量、洗浄後の肌感触(つっぱり感のなさ)、チューブからの吐出性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0033】
(製造方法)
(1)成分(C)、(D)及びその他の水性成分及びアルカリ剤を混合する。
(2)70~90℃に加熱した(1)の混合物に、70~90℃に加熱した成分(A)を添加して均一に混合する。
(3)(2)で得られた混合物に、成分(B)、(E)及びその他の成分を順次添加し、混合する。
(4)(3)の混合物を冷却し、20~35℃の範囲まで冷却して、皮膚洗浄剤組成物を得た。
【0034】
(評価方法)
(1)泡弾力:
専門評価者3名が、各皮膚洗浄剤組成物2gを、10倍希釈量の水を用いて、30秒間手で泡立て、そのまま、両手で泡を挟んだ状態で手のひらを押し合わせた際の弾力を、以下の基準で評価した。結果を3人の合計点で示した。
5:弾力が十分にある。
4:弾力がある。
3:弾力がややある。
2:弾力がない。
1:弾力が全くない。
【0035】
(2)泡量:
専門評価者3名が、各皮膚洗浄剤組成物2gを手に取り、水8gを使用し、20秒間泡立てたときの泡量を、以下の基準で評価した。結果を3人の合計点で示した。
5:泡量が明らかに多い。
4:泡量が多い。
3:泡量がやや多い。
2:泡量が少ない。
1:泡立たない。
【0036】
(3)洗浄後の肌感触(つっぱり感のなさ):
専門評価者3名が、各皮膚洗浄剤組成物2gを、10倍希釈量の水を用いて30秒間手で泡立て、洗顔した後、泡がなくなるまで十分にすすぎ、タオルドライした後、肌のつっぱり感を、以下の基準で評価した。結果を3人の合計点で示した。
5:つっぱらない。
4:ほとんどつっぱらない。
3:ややつっぱる。
2:つっぱる。
1:かなりつっぱる。
【0037】
(4)チューブからの吐出性:
(i)穴径8φ、チューブ径35φ、チューブ長10cm(吉野工業所社製)のチューブに、各皮膚洗浄剤組成物を50g充填する。
(ii)20℃で24時間保存した後、専門評価者3名が、チューブからの吐出性を以下の基準で評価した。結果を3人の合計点で示した。
5:適度な力で、吐出ができる。
4:やや大きな力で、吐出ができる。
3:大きな力で、吐出ができる。
2:大きな力で、やや吐出ができる。
1:吐出ができない
【0038】
【表1】
【0039】
*1:ラウリン酸(POFAC 1299)、SOUTHERN ACIDS INDUSTRIES SDN. BHD.
*2:ミリスチン酸(POFAC 1498)、SOUTHERN ACIDS INDUSTRIES SDN. BHD.
*3:NAA-160(外原規)、日油株式会社、
*4:アミライト GCK-11(F)、味の素株式会社、
*5:モンテックス S、ミヨシ油脂株式会社、
*6:PEG#1500(数平均分子量1540)、日油株式会社、
*7:グリセリンSK、阪本薬品工業株式会社
【0040】
試験例1
実施例1及び比較例5の皮膚洗浄剤組成物について、泡の弾力の指標として、Anton Paar Physica MCR301を用いて、貯蔵弾性率(G’)を測定した。測定治具は、パラレルプレートPP-50であり、測定温度は、20℃である。
なお、せん断応力1.5PaにおけるG’の値を泡の弾力とした。
その結果、実施例1では、G'=22.5、比較例5では、G'=15.8であった。
実施例1の皮膚洗浄剤組成物は、比較例2よりG’の値が高く、泡の弾力が高いことが確認された。
【0041】
処方例1
実施例1~7と同様にして、表2に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造した。
得られた皮膚洗浄剤組成物は、泡量及び泡弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好である。また、チューブ容器に充填して使用する際、吐出性に優れている。
【0042】
【表2】