(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057923
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20240418BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240418BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240418BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q19/10
A61K8/34
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164916
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 一輝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC792
4C083AD112
4C083AD202
4C083AD212
4C083CC22
4C083CC23
4C083DD22
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】泡の弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好な皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)一般式(1):
で表されるN-アシルグリシン塩、
(B)一般式(2):
で表されるN-アシルアラニン塩、
(C)脂肪酸ポリグリセリル、(D)ジアシルグルタミン酸塩、(E)水
を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)一般式(1):
【化1】
(式中、R
1は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、M
1はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)
で表されるN-アシルグリシン塩、
(B)一般式(2):
【化2】
(式中、R
2は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、M
2はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)
で表されるN-アシルアラニン塩、
(C)脂肪酸ポリグリセリル、
(D)ジアシルグルタミン酸塩、
(E)水
を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(D)に対する成分(A)の質量割合(A)/(D)が、10~300である請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)が、2~50である請求項1又は2記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(D)の含有量が、0.05~2.5質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに、(F)4価アルコールを含有する請求項1~4のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらに、(G)糖アルコールを含有する請求項1~5のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刺激性が少ない界面活性剤として、N-アシルアミノ酸塩を用い、皮膚に対してマイルドで、使用感に優れた皮膚洗浄剤組成物が検討されている。
例えば、特許文献1には、N-アシルグリシン塩、N-アシルアラニン塩、HLB16以下の直鎖脂肪酸ポリグリセリルを含有するクリーム状皮膚洗浄剤組成物が、皮膚に対してマイルドであり、泡立ちなどの泡特性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗浄剤組成物は、泡立ちや泡量には優れるものの、泡の弾力に劣るという課題があった。また、洗浄後につっぱり感があるなど、肌感触においても、十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、N-アシルグリシン塩、N-アシルアラニン塩、脂肪酸ポリグリセリルとともに、ジアシルグルタミン酸リシン塩を組合わせて用いることにより、泡の弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好な皮膚洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)一般式(1):
【0007】
【0008】
(式中、R1は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、M1はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)
で表されるN-アシルグリシン塩、
(B)一般式(2):
【0009】
【0010】
(式中、R2は直鎖又は分岐鎖の炭素数7~23のアルキル基又はアルケニル基を示し、M2はアルカリ金属又はアルカノールアミンを示す)
で表されるN-アシルアラニン塩、
(C)脂肪酸ポリグリセリル、
(D)ジアシルグルタミン酸塩、
(E)水
を含有する皮膚洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡の弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好である。また、保存の際に温度変化があっても結晶が析出せず、保存安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で用いられる成分(A)は、前記一般式(1)で表されるN-アシルグリシン塩である。
一般式(1)中、R1としては、炭素数9~21のアルキル基が好ましく、炭素数11~19のアルキル基がより好ましい。
成分(A)のN-アシルグリシン塩のアシル基を構成する脂肪酸残基として、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらは動植物由来であってもよく、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、泡の弾力を向上させる観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ヤシ油脂肪酸を含むのがさらに好ましい。
【0013】
一般式(2)中、M1としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらのうち、泡の弾力を向上させる観点からアルカリ金属が好ましく、ナトリウム、カリウムから選ばれる1種以上がより好ましく、カリウムがさらに好ましい。
【0014】
成分(A)のN-アシルグリシン塩としては、例えば、ラウロイルグリシン、ミリストイルグリシン、パルミトイルグリシン、ステアロイルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシン、パーム油脂肪酸アシルグリシン等のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩が挙げられる。
これらのうち、泡の弾力を向上させる観点から、ラウロイルグリシン、ミリストイルグリシン、パルミトイルグリシン、ステアロイルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンのアルカリ金属塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ラウロイルグリシン、ミリストイルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンのアルカリ金属塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンのアルカリ金属塩を含むのがさらに好ましく、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウムを含むのがよりさらに好ましい。なお、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウムは、ココイルグリシンKともいう。
【0015】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡の弾力を向上させる観点から、全組成中14~28質量%であるのが好ましく、16~26質量%がより好ましく、18~24質量%がさらに好ましい。なお、成分(A)の含有量は、塩としての含有量を示す。
【0016】
成分(B)は、前記一般式(2)で表されるN-アシルアラニン塩である。
一般式(2)中、R2としては、炭素数9~21のアルキル基が好ましく、炭素数11~19のアルキル基がより好ましい。
成分(B)のN-アシルアラニン塩を構成するアシル基として、具体的には、脂肪酸として、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらは動植物由来であってもよく、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、泡立ち及び洗浄後の肌感触の観点から、ヤシ油脂肪酸を含むのが好ましい。
【0017】
一般式(2)中、M2としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらのうち、泡立ち及び洗浄後の肌感触の観点から、ナトリウム、トリエタノールアミンがより好ましい。
【0018】
成分(B)のN-アシルアラニン塩としては、例えば、ラウロイルアラニン、ミリストイルアラニン、パルミトイルアラニン、ステアロイルアラニン、ヤシ油脂肪酸アシルアラニン、パーム油脂肪酸アシルアラニン等のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩が挙げられる。
これらのうち、泡の弾力を向上させる観点から、ラウロイルアラニン、ミリストイルアラニン、パルミトイルアラニン、ステアロイルアラニン、ヤシ油脂肪酸アシルアラニン、パーム油脂肪酸アシルアラニン等のアルカノールアミン塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ラウロイルアラニン、ミリストイルアラニン、ヤシ油脂肪酸アシルアラニンのアルカノールアミン塩から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ヤシ油脂肪酸アシルアラニンのアルカノールアミン塩を含むのがさらに好ましく、ヤシ油脂肪酸アシルアラニントリエタノールアミンを含むのがよりさらに好ましい。なお、ヤシ油脂肪酸アシルアラニントリエタノールアミンは、ココイルアラニンTEAともいう。
なお、アラニンは、L体、D体及びDL体の何れでも良い。
【0019】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、全組成中0.5~8質量%であるのが好ましく、1~6質量%がより好ましく、2~4質量%がさらに好ましい。なお、成分(B)の含有量は、塩としての含有量を示す。
【0020】
成分(C)の脂肪酸ポリグリセリルは、脂肪酸とポリグリセリンのエステルである。
成分(C)の脂肪酸ポリグリセリルを構成するポリグリセリンの重合度は、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、6~14であるのが好ましく、8~12がより好ましい。
また、脂肪酸ポリグリセリルを構成する脂肪酸は、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、炭素数12~18であるのが好ましく、炭素数12~16がより好ましく、炭素数12~14がさらに好ましく、炭素数14がよりさらに好ましい。また、脂肪酸ポリグリセリルを構成する脂肪酸残基は、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよいが、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、直鎖が好ましい。また、飽和又は不飽和のいずれでも良いが飽和が好ましい。
【0021】
成分(C)としては、例えば、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル等が挙げられる。
成分(C)としては、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、重合度6~14のポリグリセリンと、炭素数12~18の直鎖飽和脂肪酸とのモノエステル
から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、重合度8~12のポリグリセリンと、炭素数12~14の直鎖飽和脂肪酸とのモノエステルから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ミリスチン酸デカグリセリルを含むのがさらに好ましい。
【0022】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、全組成中0.5~8質量%であるのが好ましく、1~6質量%がより好ましく、2~4質量%がさらに好ましい。
【0023】
成分(D)のジアシルグルタミン酸リシン塩は、脂肪酸とアミノ酸から構成される両親媒性化合物の塩である。
ジアシルグルタミン酸リシン塩のアシル基を構成する脂肪酸残基としては、炭素数が8~22の脂肪酸残基が挙げられ、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらは動植物由来であってもよく、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、泡の弾力を向上させる観点から、アシル基を構成する脂肪酸残基は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸から選ばれる1種以上を含むのがさらに好ましく、ラウリン酸を含むのがよりさらに好ましい。
また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩などが挙げられ、すすぎ後のつっぱり感を低減させる観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩から選ばれる1種以上がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0024】
成分(D)としては、泡の弾力の向上及びすすぎ後のつっぱり感を低減させる観点から、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、ジミリストイルグルタミン酸リシンナトリウム、ジステアロイルグルタミン酸リシンナトリウム、ジリノレオイルグルタミン酸リシンナトリウムから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを含むのがより好ましい。
【0025】
ジアシルグルタミン酸リシン塩は、L-リシン塩酸塩とN-脂肪酸アシル-L-グルタミン酸無水物を反応させて合成することができる。
また、ジアシルグルタミン酸リシン塩の市販品として、例えば、旭化成ケミカルズ社製のペリセアL-30:商品名(ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、有効含有量29%、水71%)、ペリセアLB-10:商品名(ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、有効含有量10%、1、3-ブチレングリコール10%、水80%)等を使用することができる。
【0026】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、泡の弾力の向上及びすすぎ後のつっぱり感を低減させる観点から、全組成中に0.05~2.5質量%であるのが好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましく、0.3~0.8質量%がさらに好ましい。なお、成分(D)の含有量は、塩としての含有量を示す。
【0027】
本発明において、成分(D)に対する成分(A)の質量割合(A)/(D)は、泡の弾力の向上及びすすぎ後のつっぱり感を低減させ、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、10~300であるのが好ましく、15~200がより好ましく、40~50がさらに好ましい。
【0028】
本発明において、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、すすぎ後のつっぱり感を低減させ、保存の際の温度変化による結晶の析出を抑制させる観点から、2~50であるのが好ましく、2~40がより好ましく、5~15がさらに好ましい。
【0029】
本発明において、成分(E)の水は、各成分の残余をなし、含有量は、泡の弾力を向上させる観点から、全組成中14~26質量%であるのが好ましく、16~24質量%がより好ましく、18~22質量%がさらに好ましい。
【0030】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに、(F)4価アルコールを含有することができ、
泡の弾力を向上させ、すすぎ後のつっぱり感を低減させることができる。
成分(F)の4価アルコールは、分子内に4個の水酸基をもつ化合物であり、通常の皮膚洗浄剤組成物に用いられるものであればいずれでも良い。
4価アルコールとしては、ジグリセリン等が挙げられ、ジグリセリンが好ましい。
【0031】
成分(F)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡の弾力を向上させ、すすぎ後のつっぱり感を低減させる観点から、全組成中に2~40質量%であるのが好ましく、4~35質量%がより好ましく、10~25質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに、(G)糖アルコールを含有することができ、泡の弾力を向上させることができる。
成分(G)の糖アルコールは、還元基を有する糖の還元基(アルデヒド基及びケトン基)を還元してアルコール基としたものである。
成分(G)の糖アルコールとしては、例えば、キシリトール、ラクチトール、パラニチット、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、トレハロース、グルコシルトレハロース、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等のポリオキシアルキレンアルキルグルコシドなどが挙げられる。これらのうち、泡の弾力を向上させる観点から、ソルビトール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドから選ばれる1種以上を含むのが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドを含むのがより好ましい。
【0033】
ここで、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドにおけるアルキルグルコシドを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~4のアルキル基が挙げられ、泡の弾力を向上させる観点から、メチル基、エチル基から選ばれる1種以上が好ましく、メチル基がより好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、泡の弾力を向上させる観点からから、ポリオキシアルキレンメチルグルコシドが好ましい。
ポリオキシアルキレンメチルグルコシドは、下記一般式(3)で表される。
【0034】
【0035】
(式中、Aは炭素数2~4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、a、b、c及びdは、ポオキシアルキレン鎖の平均付加モル数であり2~30の数を示す。)
一般式(3)において、Aは、泡の弾力を向上させる観点から、炭素数が2又は3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であるのが好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。また、直鎖のアルキレン基であることが好ましい。一般式(3)において、a、b、c及びdの合計数は、泡の弾力を向上させる観点から、8~25であるのが好ましく、15~23がより好ましく、20がさらに好ましい。
ポリオキシアルキレンメチルグルコシドとしては、泡の弾力を向上させる観点から、ポリオキシエチレンメチルグルコシドが好ましい。また。ポリオキシエチレンメチルグルコシドに含まれるポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数は、8~25が好ましく、15~23がより好ましく、20がさらに好ましい。
ポリオキシエチレンメチルグルコシとしては、ポリオキシエチレンメチルグルコシに含まれるポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が10のものとして、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10E.O.)、ポリオキシエチレン鎖の平均付加モル数が20のものとして、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20E.O.)が挙げられる。
ポリオキシエチレンメチルグルコシドとしては、泡の弾力を向上させる観点から、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20E.O.)が好ましい。
【0036】
ポリオキアルキレンアルキルグルコシドは、市販されているものを利用することができ、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20E.O.)として、マクビオブライドMG-20E(日油社製)等が挙げられ、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10E.O.)として、マクビオブライドMG-10E(日油社製)、グルカムE-10 LFG(日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
【0037】
成分(G)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、泡の弾力を向上させる観点から、全組成中に0.05~13質量%であるのが好ましく、0.5~12質量%がより好ましく、2~7質量%がさらに好ましい。
【0038】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、前記成分以外に、通常の皮膚洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、成分(A)、(B)、(C)、(D)以外の界面活性剤、油性成分、pH調整剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、塩類、パール化剤、スクラブ剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【0039】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、通常の方法に従って製造することができ、例えば、以下のように製造することができる。
加熱した水に、残りの全成分を投入し、加熱撹拌後、冷却する。
【0040】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、クリーム状、ペースト状とするのが好ましい。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡の弾力を向上させる観点から、20℃における粘度が、100~2000Pa・sであるのが好ましく、200~1500Pa・sがより好ましく、300~1000Pa・sがさらに好ましい。
本発明において、粘度は、以下の条件により測定される。
測定機器:スピンドル粘度計(東機産業社製)、
測定治具:T-F、
回転速度:5rpm、
測定時間:60秒、
測定温度:20℃
【0041】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、皮膚洗浄用として用いられ、ハンドソープ、洗顔料、ボディーソープ等として用いることができる。
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、例えば、泡立てて皮膚に適用した後、水で洗い流すことにより、皮膚を洗浄することができる。
【実施例0042】
実施例1~7及び比較例1
表1に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、結晶安定性、泡の弾力、洗浄後の肌感触(つっぱり感のなさ)を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0043】
(製造方法)
水及びグリセリンを70~90℃に加熱して撹拌した。その後、クエン酸以外の成分を添加し、70~90℃に加熱した状態で撹拌した。その後、撹拌しながら冷却し、50℃でクエン酸を添加し、均一になるまで撹拌した。さらに、20~35℃まで撹拌しながら冷却して、皮膚洗浄剤組成物を得た。
【0044】
(評価方法)
(1)結晶安定性:
各皮膚洗浄剤組成物を、-10℃の定温を6時間、-10℃から45℃に昇温する過程を、昇温速度を一定で6時間、45℃の定温を6時間、45℃から-10℃に降温する過程を、降温速度を一定で6時間の、温度サイクルを繰り返す恒温槽に2週間保存した。その後、20℃に24時間保存した皮膚洗浄剤組成物の結晶析出について、偏光顕微鏡(Nikon、ECLIPSE LV100POL)により観察し、下記の基準で判定した。
○:結晶の析出なし(結晶径100μm未満)。
×:結晶の析出あり(結晶径100μm以上)。
【0045】
(2)泡の弾力:
専門評価者3名が、各皮膚洗浄剤組成物2gを、10倍希釈量の水を用いて、30秒間手で泡立て、そのまま、両手で泡を挟んだ状態で手のひらを押し合わせた際の弾力を、以下の基準で評価した。結果を3人の合計点で示した。
5:弾力が十分にある。
4:弾力がある。
3:弾力がややある。
2:弾力がない。
1:弾力が全くない。
【0046】
(3)洗浄後の肌感触(つっぱり感のなさ):
専門評価者3名が、各皮膚洗浄剤組成物2gを、10倍希釈量の水を用いて30秒間手で泡立て、洗顔した後、泡がなくなるまで十分にすすぎ、タオルドライした後、肌のつっぱり感を、以下の基準で評価した。結果を3人の合計点で示した。
5:つっぱらない。
4:ほとんどつっぱらない。
3:ややつっぱる。
2:つっぱる。
1:かなりつっぱる。
【0047】
【0048】
*1:アミライト GCK-11(F)、味の素株式会社、
*2:アミライト ACT-12、味の素株式会社、(ココイルアラニンTEA:30質量%、水:70質量%。表1中の含有量は、ココイルアラニンTEAの量を記載した)
*3:Sフェイス M-1001、阪本薬品工業株式会社、
*4:ペリセア LB-10、旭化成ファインケム株式会社、(ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム:10質量%、1,3-ブチレングリコール:10質量%、水:80質量%。表1中の含有量は、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムの量を記載した)
*5:ジグリセリン 801、サカモト オリエント ケミカルズ コーポレーション、
*6:マクビオブライド MG-20E、日油株式会社
【0049】
試験例1
実施例1及び比較例1の皮膚洗浄剤組成物について、泡の弾力の指標として、Anton Paar Physica MCR301を用いて、貯蔵弾性率(G’)を測定した。測定治具は、パラレルプレートPP-50であり、測定温度は、20℃である。
なお、せん断応力0.1PaにおけるG’の値を泡の弾力とした。
その結果、実施例1では、G'=32.6、比較例1では、G'=27.6であった。
実施例1の皮膚洗浄剤組成物は、比較例1よりG’の値が高く、泡の弾力が高いことが確認された。
【0050】
処方例1
実施例1~7と同様にして、表2に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造した。
得られた皮膚洗浄剤組成物は、泡の弾力に優れ、すすぎ後につっぱり感がなく、洗浄後の肌感触が良好であり、保存安定性にも優れている。
なお、処方例中の含有量は、全て原料の含有量を示す。
【0051】