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特開2024-57925近接位置検出装置、ディスプレイユニット及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057925
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】近接位置検出装置、ディスプレイユニット及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240418BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20240418BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20240418BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 510
G06F3/042 481
G06F3/0346 421
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164920
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】伊知川 禎一
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA02
5B087AA06
5B087AA07
5B087AB02
5B087AB09
5B087BC01
5B087BC32
5B087CC33
5B087DE03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ディスプレイの左右にスペースを必要とせず被検出体の位置を検知する近接位置検出装置、ディスプレイユニット及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】ディスプレイ2は、LED1、PD1、LED2、LED3、PD2、LED4の順に4つのLEDと2つのフォトダイオードを左右方向に並べて、表示面の下辺の少し下に配置すると共に、LED5、LED6を左右方向に並べて、表示面の上辺の少し上に配置する。LED1点灯時のPD2の検出信号L1、LED2点灯時のPD1の検出信号L2、LED3点灯時のPD2の検出信号L3、LED4点灯時のPD2の検出信号L4から、検出信号の重心に対応する位置を被検出体の水平方向の座標Xとして検出する。LED5点灯時のPD1の検出信号L5、LED6点灯時のPD2の検出信号L6の合計に所定の補正係数を乗じた値と、検出信号の合計との比を、被検出体の垂直方向の座標Yとして検出する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの表示面に近接した物体の位置を検出する近接位置検出装置であって、
ディスプレイの表示面の水平方向の2辺のうちの一方の辺を第1辺、他方の辺を第2辺として、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第1赤外光源と、
前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第1光検出器と、
前記表示面の前記第2辺の外側に配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する1または複数の赤外光源である複数の第2赤外光源と、
近接位置算定部とを有し、
前記近接位置算定部は、
前記第1赤外光源の各々について、当該第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第1赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出させると共に、前記第2赤外光源の各々について、当該第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第2赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出する検出動作を実行する検出動作実行部と、
前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性と、前記検出動作において各前記第1光検出器の各光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性との比より、ディスプレイの表示面に近接した物体の垂直方向の位置を算定する垂直方向位置算定手段と、
前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より、ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置を算定する水平方向位置算定手段とを有し、
前記強度群の属性は、当該強度群に含まれる強度の合計、もしくは、当該強度群に含まれる強度の最大値であり、
前記垂直方向位置算定手段は、各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性の、各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性に対する比が大きくなるほど、前記第1辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、当該比が小さくなるほど前記第2辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定することを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項2】
ディスプレイの表示面に近接した物体の位置を検出する近接位置検出装置であって、
ディスプレイの表示面の水平方向の2辺のうちの一方の辺を第1辺、他方の辺を第2辺として、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第1赤外光源と、
前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第1光検出器と、
前記表示面の前記第2辺の外側に前記第2辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第2赤外光源と、
近接位置算定部とを有し、
前記近接位置算定部は、
前記第1赤外光源の各々について、当該第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第1赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出させると共に、前記第2赤外光源の各々について、当該第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第2赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出する検出動作を実行する検出動作実行部と、
前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性と、前記検出動作において各前記第1光検出器の各光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性との比より、ディスプレイの表示面に近接した物体の垂直方向の位置を算定する垂直方向位置算定手段と、
ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置を算定する水平方向位置算定手段とを有し、
前記強度群の属性は、当該強度群に含まれる強度の合計、もしくは、当該強度群に含まれる強度の最大値であり、
前記垂直方向位置算定手段は、各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性の、各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性に対する比が大きくなるほど、前記第1辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、当該比が小さくなるほど前記第2辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、
前記水平方向位置算定手段は、
前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より求まる物体の水平方向の推定位置を第1推定位置とし、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より求まる物体の水平方向の推定位置を第2推定位置として、
前記第1推定位置と前記第2推定位置とのうちのいずれか一方、
もしくは、
前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど小さくなる重みを前記第1推定位置の重みとし、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど小さくなる重みを前記第2推定位置の重みとする、前記第1推定位置の重みと前記第2推定位置の重みの和が1となる前記第1推定位置と前記第2推定位置との加重平均を、
前記ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置として算定することを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項3】
ディスプレイの表示面に近接した物体の位置を検出する近接位置検出装置であって、
ディスプレイの表示面の水平方向の2辺のうちの一方の辺を第1辺、他方の辺を第2辺として、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第1赤外光源と、
前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第1光検出器と、
前記表示面の前記第2辺の外側に前記第2辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第2赤外光源と、
前記表示面の前記第2辺の外側に前記第2辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第2光検出器と、
近接位置算定部とを有し、
前記近接位置算定部は、
前記第1赤外光源の各々について、当該第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第1赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出させると共に、前記第2赤外光源の各々について、当該第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第2赤外光源に予め対応づけられている前記第2光検出器で検出する検出動作を実行する検出動作実行部と、
前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性と、前記検出動作において各前記第2光検出器の各光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性との比より、ディスプレイの表示面に近接した物体の垂直方向の位置を算定する垂直方向位置算定手段と、
ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置を算定する水平方向位置算定手段とを有し、
前記強度群の属性は、当該強度群に含まれる強度の合計、もしくは、当該強度群に含まれる強度の最大値であり、
前記垂直方向位置算定手段は、各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性の、各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性に対する比が大きくなるほど、前記第1辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、当該比が小さくなるほど前記第2辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、
前記水平方向位置算定手段は、
前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より求まる物体の水平方向の推定位置を第1推定位置とし、前記検出動作において各前記第2光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より求まる物体の水平方向の推定位置を第2推定位置として、
前記第1推定位置と前記第2推定位置とのうちのいずれか一方、
もしくは、
前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど小さくなる重みを前記第1推定位置の重みとし、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど小さくなる重みを前記第2推定位置の重みとする、前記第1推定位置の重みと前記第2推定位置の重みの和が1となる前記第1推定位置と前記第2推定位置との加重平均を、
前記ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置として算定することを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項4】
請求項1記載の近接位置検出装置であって、
前記水平方向位置算定手段は、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を、前記物体の水平方向の位置として算定することを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項5】
請求項2記載の近接位置検出装置であって、
前記水平方向位置算定手段は、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第1推定位置とし、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第2推定位置とすることを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項6】
請求項3記載の近接位置検出装置であって、
前記水平方向位置算定手段は、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第1推定位置とし、前記検出動作において各前記第2光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第2推定位置とすることを特徴とする近接位置検出装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6記載の近接位置検出装置と、当該近接位置検出装置と一体化された前記ディスプレイを備えたことを特徴とするディスプレイユニット。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5または6記載の近接位置検出装置と、前記ディスプレイと、前記ディスプレイを表示出力に用いるデータ処理装置を備え、
前記近接位置検出装置は、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置と、前記水平方向位置算定手段が算定した水平方向の位置とを検出位置として、前記データ処理装置に通知し、
前記データ処理装置は、通知された検出位置に応じた処理を行うことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの手や指などを被検出体として、ディスプレイの表示面に近接した被検出体の位置を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザの手や指などを被検出体として、ディスプレイの表示面に近接した被検出体の位置を検出する技術としては、ディスプレイの下側に下辺に沿って配置した、ディスプレイの前上方に向けて赤外光を照射する複数のLEDを順次点灯すると共に、ディスプレイの下辺に沿って配置した複数のフォトダイオードでユーザの手による赤外光の反射光を検出し、各LED点灯時に検出された反射光の強度の分布よりディスプレイの表示面に近接した被検出体の水平方向(左右方向)の位置を検知する検知システムが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-61242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、上下左右方向に並べて複数のアイコンをディスプレイに表示し、指が近接したアイコンを検出する用途のために、近接した被検出体の位置を検出する場合、近接した被検出体の水平方向の位置に加え、垂直方向(上下方向)の位置も検知する必要がある。
【0005】
しかし、上述した検知システムによれば、ディスプレイの下辺に沿ってのみLEDやフォトダイオードを配置しているため、近接した被検出体の水平方向の位置は検知できるが、垂直方向(上下方向)の位置を検知することはできない。
LEDやフォトダイオードをディスプレイの右側や左側に右辺や左辺に沿って配置すれば、水平方向の場合と同様にして垂直方向の位置も検知することができるが、ディスプレイの右側や左側にLEDやフォトダイオードを配置するスペースを確保できない場合がある。
たとえば、自動車に搭載されるカーナビゲーションに用いられるディスプレイでは、ディスプレイの左右の両側に複数のスイッチを上下方向に並べて配置されることが多く、このようなディスプレイではディスプレイの右側や左側にLEDやフォトダイオードを配置することができない。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザの手や指などを被検出体として、ディスプレイの表示面に近接した被検出体の位置を検知する近接位置検出装置であって、ディスプレイの左右に当該近接位置検出装置の設置のためのスペースを必要とすることなく、比較的簡易な構成によって、近接した被検出体の水平方向の位置と垂直方向の位置の双方を検知できる近接位置検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、ディスプレイの表示面に近接した物体の位置を検出する近接位置検出装置に、ディスプレイの表示面の水平方向の2辺のうちの一方の辺を第1辺、他方の辺を第2辺として、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第1赤外光源と、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第1光検出器と、前記表示面の前記第2辺の外側に配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する1または複数の赤外光源である複数の第2赤外光源と、近接位置算定部とを設けたものである。
【0008】
前記近接位置算定部は、前記第1赤外光源の各々について、当該第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第1赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出させると共に、前記第2赤外光源の各々について、当該第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第2赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出する検出動作を実行する検出動作実行部と、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性と、前記検出動作において各前記第1光検出器の各光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性との比より、ディスプレイの表示面に近接した物体の垂直方向の位置を算定する垂直方向位置算定手段と、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より、ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置を算定する水平方向位置算定手段とを備えている。
【0009】
そして、前記強度群の属性は、当該強度群に含まれる強度の合計、もしくは、当該強度群に含まれる強度の最大値であり、前記垂直方向位置算定手段は、各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性の、各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性に対する比が大きくなるほど、前記第1辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、当該比が小さくなるほど前記第2辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定する。
【0010】
ここで、この近接位置検出装置は、前記水平方向位置算定手段において、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を、前記物体の水平方向の位置として算定するように構成してもよい。
また、前記課題達成のために、本発明は、ディスプレイの表示面に近接した物体の位置を検出する近接位置検出装置に、ディスプレイの表示面の水平方向の2辺のうちの一方の辺を第1辺、他方の辺を第2辺として、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第1赤外光源と、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第1光検出器と、前記表示面の前記第2辺の外側に前記第2辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第2赤外光源と、近接位置算定部とを備えたものである。
【0011】
前記近接位置算定部は、前記第1赤外光源の各々について、当該第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第1赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出させると共に、前記第2赤外光源の各々について、当該第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第2赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出する検出動作を実行する検出動作実行部と、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性と、前記検出動作において各前記第1光検出器の各光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性との比より、ディスプレイの表示面に近接した物体の垂直方向の位置を算定する垂直方向位置算定手段と、ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置を算定する水平方向位置算定手段とを備えている。
【0012】
また、前記強度群の属性は、当該強度群に含まれる強度の合計、もしくは、当該強度群に含まれる強度の最大値であり、前記垂直方向位置算定手段は、各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性の、各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性に対する比が大きくなるほど、前記第1辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、当該比が小さくなるほど前記第2辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定する。
【0013】
また、前記水平方向位置算定手段は、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より求まる物体の水平方向の推定位置を第1推定位置とし、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より求まる物体の水平方向の推定位置を第2推定位置として、前記第1推定位置と前記第2推定位置とのうちのいずれか一方、もしくは、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど小さくなる重みを前記第1推定位置の重みとし、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど小さくなる重みを前記第2推定位置の重みとする、前記第1推定位置の重みと前記第2推定位置の重みの和が1となる前記第1推定位置と前記第2推定位置との加重平均を、前記ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置として算定する。
【0014】
ここで、この近接位置検出装置は、前記水平方向位置算定手段において、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第1推定位置とし、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第2推定位置とするように構成してもよい。
【0015】
また、本発明は、前記課題達成のために、ディスプレイの表示面に近接した物体の位置を検出する近接位置検出装置に、ディスプレイの表示面の水平方向の2辺のうちの一方の辺を第1辺、他方の辺を第2辺として、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第1赤外光源と、前記表示面の前記第1辺の外側に前記第1辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第1光検出器と、前記表示面の前記第2辺の外側に前記第2辺に沿って並べて配置された、当該表示面の前方を通る赤外光を出射する複数の赤外光源である複数の第2赤外光源と、前記表示面の前記第2辺の外側に前記第2辺に沿って並べて配置された複数の光検出器である複数の第2光検出器と、近接位置算定部とを設けたものである。
【0016】
前記近接位置算定部は、前記第1赤外光源の各々について、当該第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第1赤外光源に予め対応づけられている前記第1光検出器で検出させると共に、前記第2赤外光源の各々について、当該第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度を、当該第2赤外光源に予め対応づけられている前記第2光検出器で検出する検出動作を実行する検出動作実行部と、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性と、前記検出動作において各前記第2光検出器の各光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性との比より、ディスプレイの表示面に近接した物体の垂直方向の位置を算定する垂直方向位置算定手段と、ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置を算定する水平方向位置算定手段とを備えている。
【0017】
前記強度群の属性は、当該強度群に含まれる強度の合計、もしくは、当該強度群に含まれる強度の最大値であり、前記垂直方向位置算定手段は、各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性の、各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度よりなる強度群の属性に対する比が大きくなるほど、前記第1辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定し、当該比が小さくなるほど前記第2辺に近い位置を前記物体の垂直方向の位置として算定する。
【0018】
また、前記水平方向位置算定手段は、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布より求まる物体の水平方向の推定位置を第1推定位置として、前記第1推定位置と前記第2推定位置とのうちのいずれか一方、もしくは、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど小さくなる重みを前記第1推定位置の重みとし、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置が前記第2辺に近いほど大きくなり当該垂直方向の位置が前記第1辺に近いほど小さくなる重みを前記第2推定位置の重みとする、前記第1推定位置の重みと前記第2推定位置の重みの和が1となる前記第1推定位置と前記第2推定位置との加重平均を、前記ディスプレイの表示面に近接した物体の水平方向の位置として算定する。
【0019】
ここで、この近接位置検出装置は、前記水平方向位置算定手段において、前記検出動作において各前記第1光検出器で検出した各前記第1赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第1推定位置とし、前記検出動作において各前記第2光検出器で検出した各前記第2赤外光源が出射した赤外光の反射光の強度の分布の重心を前記第2推定位置とするように構成してもよい。
【0020】
また、本発明は、併せて、以上の近接位置検出装置と、当該近接位置検出装置と一体化された前記ディスプレイを備えディスプレイユニットも提供する。
また、本発明は、併せて、以上の近接位置検出装置と、前記ディスプレイと、前記ディスプレイを表示出力に用いるデータ処理装置を備えた情報処理システムも提供する。この情報処理システムにおいて、前記近接位置検出装置は、前記垂直方向位置算定手段が算定した垂直方向の位置と、前記水平方向位置算定手段が算定した水平方向の位置とを検出位置として、前記データ処理装置に通知し、前記データ処理装置は、通知された検出位置に応じた処理を行う。
【0021】
以上のような近接位置検出装置によれば、ディスプレイの左右に当該近接位置検出装置の設置のためのスペースを必要とせずに、被検出体の水平方向の位置と垂直方向の位置の双方を検知することができる。
また、水平方向の位置の検知に用いる第1赤外光源と第1光検出器を併用して垂直方向の位置を検知するので、比較的簡易な構成で被検出体の水平方向の位置と垂直方向の位置の双方を検知することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、ユーザの手や指などを被検出体として、ディスプレイの表示面に近接した被検出体の位置を検知する近接位置検出装置であって、ディスプレイの左右に当該近接位置検出装置の設置のためのスペースを必要とすることなく、比較的簡易な構成によって、近接した被検出体の水平方向の位置と垂直方向の位置を検知できる近接位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るディスプレイの配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る近接検出センサの配置を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る近接検出センサの動作シーケンスを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る近接検出位置に対する処理例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る近接検出センサの他の配置と動作シーケンスの他の例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る近接検出センサの他の配置と動作シーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、本第1実施形態に係る情報処理システムの構成を示す。
情報処理システムは自動車に搭載されるシステムであり、カーナビゲーションアプリケーションやメディアプレイヤアプリケーション等を実行するデータ処理装置1、データ処理装置1が映像表示と映像上の位置入力に用いるタッチパネル付きのディスプレイ2、近接位置検出装置3、データ処理装置1が利用する、その他の周辺装置4を備えている。
【0025】
ディスプレイ2は、たとえば、図2に示すように、近接位置検出装置3と一体化されたディスプレイユニット10の形態で、自動車のダッシュボードの運転席と助手席の間の位置に表示面を後方に向けて配置される。
そして、近接位置検出装置3は、ユーザの手や指などを被検出体として、ディスプレイ2の表示面への接近した被検出体の水平方向の位置と垂直方向の位置を検出し、検出位置としてデータ処理装置1に通知し、データ処理装置1は、通知された検出位置に応じた処理を行う。
【0026】
図1に戻り、近接位置検出装置3は、下部近接検出センサ31と、上部近接検出センサ32と、近接検出コントローラ33を備えている。
下部近接検出センサ31は、LED1、LED2、LED3、LED4の4つの赤外線LEDと、PD1とPD2の、赤外光を検出する2つのフォトダイードを備えている。
また、上部近接検出センサ32は、LED5、LED6、LED7、LED8の4つの赤外線LEDと、PD3とPD4の、赤外光を検出する2つのフォトダイードを備えている。
また、近接検出コントローラ33は、LED1、LED2、LED3、LED4、LED5、LED6、LED7、LED8を駆動して発光させる駆動部331、下部近接検出センサ31のPD1とPD2が出力する電流信号を、PD1とPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号に変換し出力する下部検出部332、上部近接検出センサ32のPD3とPD4が出力する電流信号を、PD3とPD4に入射した赤外光の強度を表す強度信号に変換し出力する上部検出部333を備えている。
【0027】
また、近接検出コントローラ33は、駆動部331と下部検出部332と上部検出部333の動作を制御すると共に下部検出部332と上部検出部333が出力する強度信号信号が表す赤外光の強度より、ディスプレイ2の表示面に接近した被検出体の水平方向の座標と垂直方向の座標を検出し、検出位置としてデータ処理装置1に通知する検出制御部334とを備えている。
【0028】
次に、図3a、bに示すように、ディスプレイ2に対して前後左右上下を定めるものとして、下部近接センサのLED1、LED2、LED3、LED4は、当該順序で左から右に向かって、ディスプレイ2の下辺の少し下の位置におおよそ等間隔で配置されている。ただし、前方向はディスプレイ2の表示方向である。
【0029】
また、下部近接センサのPD1は、LED1とLED2の中間の位置に配置され、入射する赤外光の反射光を電流信号に変換し、PD2は、LED3とLED4の中間の位置に配置され、入射する赤外光の反射光を電流信号に変換する。
また、上部近接センサのLED5、LED6、LED7、LED8は、当該順序で左から右に向かって、ディスプレイ2の上辺の少し上の位置におおよそ等間隔で配置されている。
また、上部近接センサのPD3は、LED5とLED6の中間の位置に配置され、入射する赤外光の反射光を電流信号に変換し、PD4は、LED7とLED8の中間の位置に配置され、入射する赤外光の反射光を電流信号に変換する。
図3a、b中の矢印は、LED1、LED2、LED3、LED4、LED5、LED6、LED7、LED8の指向角の中心軸を表しており、LED1、LED2、LED3、LED4は、ディスプレイ2の前方上方に向けて斜めに赤外光を照射し、LED5、LED6、LED7、LED8はディスプレイ2の前方下方に向けて斜めに赤外光を照射する。
【0030】
次に、近接検出コントローラ33の検出制御部334は、図4に示すサイクルが繰り返し行われるように、駆動部331と下部検出部332と上部検出部333の動作を制御する。
図4aに示すサイクルは、駆動部331がLED1のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1を出力するピリオドと、駆動部331がLED2のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L2を出力するピリオドと、駆動部331がLED3のみを発光し、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3を出力するピリオドと、駆動部331がLED4のみを発光させ、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L4を出力するピリオドと、駆動部331がLED5のみを発光し、上部検出部333がPD3に入射した赤外光の強度を表す強度信号L5を出力するピリオドと、駆動部331がLED6のみを発光し、上部検出部333がPD3に入射した赤外光の強度を表す強度信号L6を出力するピリオドと、駆動部331がLED7のみを発光し、上部検出部333がPD4に入射した赤外光の強度を表す強度信号L7を出力するピリオドと、駆動部331がLED8のみを発光させ、上部検出部333がPD4に入射した赤外光の強度を表す強度信号L8を出力するピリオドとを含む。
【0031】
次に、近接検出コントローラ33の検出制御部334の、ディスプレイ2への被検出体の近接位置の水平方向の座標Xと垂直方向の座標Yの検出について説明する。。
検出制御部334は、図4に示した各回のサイクルにおいて、強度信号L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8を下部検出部332と上部検出部333から取得する。
そして、x1をLED1とLED5の水平方向の座標、x2をLED2とLED6の水平方向の座標、x3をLED3とLED7の水平方向の座標、x4をLED4とLED8の水平方向の座標として、下部検出部332で検出した強度信号L1、L2、L3、L4の強度分布の重心として求まる水平座標GLと、上部検出部333で検出した強度信号L3、L4、L5、L6の強度分布の重心として求まる水平座標GHを式1、式2により求める。
【0032】
式1:GL=(X1×L1+X2×L2+X3×L3+X4×L4)/(L1+L2+L3+L4)
式2:GH=(X1×L5+X2×L6+X3×L7+X4×L8)/(L5+L6+L7+L8)
そして、被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを式3により求める。
式3:Y=(L1+L2+L3+L4)/{(L1+L2+L3+L4)+(L5+L6+L7+L8)}
Yは0から1までの値をとり、被検出体の近接位置がディスプレイ2の下辺に近づくほど、(L1+L2+L3+L4)が大きく(L5+L6+L7+L8)が小さくなるため、Yは1に近づき、被検出体の近接位置がディスプレイ2の上辺に近づくほど、(L5+L6+L7+L8)が大きくなり(L1+L2+L3+L4)が小さくなるため0に近づく。
【0033】
また、被検出体の近接位置がディスプレイ2の上下方向について中央の位置にあるときには、(L1+L2+L3+L4)と(L5+L6+L7+L8)がほぼ等しくなるため、Yは約0.5となる。
よって、ディスプレイ2の下端の垂直方向の座標を1、ディスプレイ2の上端の垂直方向の座標を0として、Yによって、被検出体の近接位置の垂直方向の座標を表すことができる。
次に、被検出体の近接位置の水平方向の座標Xを式4によって求める。
式4:X=GL×Y+GH×(1-Y)
式4は、Yが大きいほど下部検出部332で検出した強度信号から求めた水平座標GLの重みを大きくし、Yが小さいほど上部検出部333で検出した強度信号から求めた水平座標GHの重みを大きくしたGLとGHの、重みの和が1となる加重平均を座標Xとすることを表している。
【0034】
このように重みを設定するのは、Yが大きいほど被検出体の近接位置は下方にあるため下部検出部332がL1+L2+L3+L4から求めた水平座標GLの信頼性が高くなり、Yが小さいほど被検出体の近接位置は上方にあるため上部検出部333がL5+L6+L7+L8から求めた水平座標GHの信頼性が高くなるためである。
【0035】
なお、以上では、被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを式3により求めたが、座標Yは、MAX(A、B、C、D)を、A、B、C、Dのうちの最大値を与える関数として式5によって求めてもよい。
式5:Y=MAX(L1、L2、L3、L4)/{MAX(L1、L2、L3、L4)+MAX(L5、L6、L7、L8)}
また、以上では、被検出体の近接位置の水平方向の座標Xを式4により求めたが、Yが0.5以上のときX=GL、Yが0.5未満のときX=GHとすることによって座標Xを求めてもよい。
図1に戻り、このようにして、近接位置検出装置3の検出制御部334から検出位置として座標(X、Y)を受け取ったデータ処理装置1は、たとえば、次のような処理を行う。
すなわち、データ処理装置1が、図5aに示すように、ディスプレイ2に垂直方向に2行、水平方向に4列となるように8個のアイコンを表示しているときに、図5bに示すように、ユーザがアイコンの操作のために、ディスプレイ2に指を接近させると、近接位置検出装置3から検出位置として指が接近した位置の座標(X、Y)座標がデータ処理装置1に出力される。
【0036】
データ処理装置1は、近接位置検出装置3から受け取った座標(X、Y)から、指が接近したアイコンを判別し、図5cに示すように、接近したアイコンの拡大表示や枠付け表示を行うことにより、ユーザが指を接近させたアイコンを強調表示し、指を接近させたアイコンのユーザの識別を容易化する。
【0037】
この後、指を接近させたアイコンが真に操作したいアイコンであった場合には、ユーザは、そのまま、ディスプレイ2のタッチパネルにタッチし、タッチを検出したデータ処理装置1は、そのアイコンの操作を受け付ける。指を接近させたアイコンが真に操作したいアイコンでなかった場合、ユーザは、指の位置を移動し、他のアイコンを強調表示させながら、真に操作したいアイコンにタッチする。
【0038】
なお、ここでは、タッチパネルへのタッチによってアイコンの操作を受け付けるものとしたが、L1-L8のうちの最大値が所定のしきい値を超えた場合に、近接位置検出装置3からデータ処理装置1に通知を行い、当該通知があったときに、データ処理装置1において、その時点で強調表示しているアイコンの操作を受け付けるようにしてもよい。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
【0039】
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
以下、第2の実施形態の第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本第2実施形態に係る情報処理システムは、図1に示した第1実施形態の情報処理システムの構成において、図6aに示すように近接位置検出装置3の上部近接検出センサ32のPD3とPD4の2つのフォトダイードを省略すると共に、これによって不要となった上部検出部333を省いた構成を備えている。
【0040】
また、本第2実施形態では、近接検出コントローラ33の検出制御部334は、図6bに示すサイクルが繰り返し行われるように、駆動部331と下部検出部332の動作を制御する。
図6bに示すサイクルは、駆動部331がLED1のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1を出力するピリオドと、駆動部331がLED2のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L2を出力するピリオドと、駆動部331がLED3のみを発光し、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3を出力するピリオドと、駆動部331がLED4のみを発光させ、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L4を出力するピリオドと、駆動部331がLED5のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L5を出力するピリオドと、駆動部331がLED6のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L6を出力するピリオドと、駆動部331がLED7のみを発光し、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L7を出力するピリオドと、駆動部331がLED8のみを発光させ、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L8を出力するピリオドとを含む。
【0041】
また、近接検出コントローラ33の検出制御部334は、下式6によって、被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを検出する。
式6:Y=(L1+L2+L3+L4)/{(L1+L2+L3+L4)+K×(L5+L6+L7+L8)}
式6においてKは予め設定した定数であり、下部近接検出センサ31のLEDと当該LED発光時に強度信号を出力する下部近接検出センサ31のPDとの位置関係と、上部近接検出センサ32のLEDと当該LED発光時に強度信号を出力する下部近接検出センサ31のPDとの位置関係の違いによって生じる強度信号のレベルの差の補正する係数である。
【0042】
より具体的には、Kは、たとえば、ディスプレイ2の表示面の上下左右方向の中央の位置に被検出体が近接しているときに、(L1+L2+L3+L4)=K×(L5+L6+L7+L8)となるように設定する。
このような本第2実施形態の構成によっても、被検出体の近接位置がディスプレイ2の下辺に近づくほど(L1+L2+L3+L4)が大きく(L5+L6+L7+L8)が小さくなり、被検出体の近接位置がディスプレイ2の上辺に近づくほど、(L5+L6+L7+L8)が大きく(L1+L2+L3+L4)が小さくなるので、第1実施形態と同様に被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを検出することができる。
【0043】
また、上部近接検出センサ32のPD3とPD4の2つのフォトダイードを省略したことによって、上部検出部333が不要となる。一般的に、フォトダイードの出力は微小であるため、上部近接検出センサ32と下部近接検出センサ31に、それぞれフォトダイードを設ける場合、上部近接検出センサ32と下部近接検出センサ31の近くにそれぞれ、第1実施形態の上部検出部333と下部検出部332のように、フォトダイードコントローラICなどの検出部を2つ別個に設ける必要があるが、本第2実施形態では、下部近接検出センサ31の近くにだけ検出部を設ければ足りるので、本第2実施形態はコスト的には第1実施形態に対して有利性がある。
【0044】
次に、本第2実施形態の検出制御部334の近接位置の水平方向の座標Xの算出は、第1実施形態の式1、式2、式4によって行う。但し、式4では、式6で求めた座標Yを用いる。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
なお、以上では、被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを式5により求めたが、座標Yは、MAX(A、B、C、D)を、A、B、C、Dのうちの最大値を与える関数として式7によって求めてもよい。
式7:Y=MAX(L1、L2、L3、L4)/{MAX(L1、L2、L3、L4)+K×MAX(L5、L6、L7、L8)}
また、被検出体の近接位置の水平方向の座標Xを式4により求めたが、Yが0.5以上のときX=GL、Yが0.5未満のときX=GHとすることによって座標Xを求めてもよい。
または、無条件に、X=GLとすることにより、座標Xを求めてもよい。
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
以下、第3の実施形態の第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本第3実施形態に係る情報処理システムは、図1に示した第1実施形態の情報処理システムの構成において、図7aに示すように、近接位置検出装置3の上部近接検出センサ32を2つのLED5、LED6のみから構成し、上部近接検出センサ32の2つのLEDとPD3とPD4の2つのフォトダイードを省略すると共に、これによって不要となった上部検出部333を省いた構成を備えている。
【0045】
第3実施形態に係る上部近接検出センサ32のLED5の左右方向の位置は、図示するように、おおよそ、左右方向についてLED1とLED2の中央の位置とし、上部近接検出センサ32のLED6の左右方向の位置は、おおよそ、左右方向についてLED3とLED4の中央の位置とする。また、LED5、LED6としては、下部近接検出センサ31の各LEDよりも配光特性の広いものを用いる。
【0046】
また、本第3実施形態では、近接検出コントローラ33の検出制御部334は、図7bに示すサイクルが繰り返し行われるように、駆動部331と下部検出部332の動作を制御する。
図7bに示すサイクルは、駆動部331がLED1のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L1を出力するピリオドと、駆動部331がLED2のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L2を出力するピリオドと、駆動部331がLED3のみを発光し、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L3を出力するピリオドと、駆動部331がLED4のみを発光させ、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L4を出力するピリオドと、駆動部331がLED5のみを発光し、下部検出部332がPD1に入射した赤外光の強度を表す強度信号L5を出力するピリオドと、駆動部331がLED6のみを発光し、下部検出部332がPD2に入射した赤外光の強度を表す強度信号L6を出力するピリオドとを含む。
【0047】
また、近接検出コントローラ33の検出制御部334は、下式8によって、被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを検出する。
式8:Y=(L1+L2+L3+L4)/{(L1+L2+L3+L4)+M×(L5+L6)}
式8においてMは予め設定した定数であり、下部近接検出センサ31のLEDと当該LED発光時に強度信号を出力する下部近接検出センサ31のPDとの位置関係と、上部近接検出センサ32のLEDと当該LED発光時に強度信号を出力する下部近接検出センサ31のPDとの位置関係の違いや、下部近接検出センサ31のLEDと上部近接検出センサ32のLEDの特性の違いによって生じる強度信号のレベルの差の補正する係数である。
【0048】
より具体的には、Mは、たとえば、ディスプレイ2の表示面の上下左右方向の中央の位置に被検出体が近接しているときに、(L1+L2+L3+L4)=M×(L5+L6)となるように設定する。
このような本第2実施形態の構成によっても、被検出体の近接位置がディスプレイ2の下辺に近づくほど(L1+L2+L3+L4)が大きく(L5+L6)が小さくなり、被検出体の近接位置がディスプレイ2の上辺に近づくほど、(L5+L6)が大きく(L1+L2+L3+L4)が小さくなるので、第1実施形態と同様に被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを検出することができる。
【0049】
また、第2実施形態に比べ、さらに構成が簡略化でき、低コスト化を図ることができる。
次に、本第3実施形態の検出制御部334の近接位置の水平方向の座標Xの算出は、式9によって行う。
式9:X=(X1×L1+X2×L2+X3×L3+X4×L4)/(L1+L2+L3+L4)
以上、本発明の第3実施形態について説明した。
なお、以上では、被検出体の近接位置の垂直方向の座標Yを式8により求めたが、座標Yは、MAX(A、B、C、D)を、A、B、C、Dのうちの最大値を与える関数として式7によって求めてもよい。
式9:Y=MAX(L1、L2、L3、L4)/{MAX(L1、L2、L3、L4)+M×MAX(L5、L6)}
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上の各実施形態で示した近接位置検出装置3によれば、ディスプレイ2の左右に当該近接位置検出装置3の設置のためのスペースを必要とせずに、被検出体の水平方向の位置と垂直方向の位置の双方を検知することができる。
また、水平方向の位置の検知に用いるLEDやフォトダイードを併用して垂直方向の位置を検知するので、比較的簡易な構成で被検出体の水平方向の位置と垂直方向の位置の双方を検知することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…データ処理装置、2…ディスプレイ、3…近接位置検出装置、4…周辺装置、10…ディスプレイユニット、31…下部近接検出センサ、32…上部近接検出センサ、33…近接検出コントローラ、331…駆動部、332…下部検出部、333…上部検出部、334…検出制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7