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特開2024-57953突き当て機構の動作制御方法、突き当て機構の動作制御プログラム及び突き当て機構の動作制御装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057953
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】突き当て機構の動作制御方法、突き当て機構の動作制御プログラム及び突き当て機構の動作制御装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20240418BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B21D5/02 X
B21D43/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164966
(22)【出願日】2022-10-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 龍貴
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063BA07
4E063LA17
(57)【要約】
【課題】特殊形状の突き当て部を有する複数の突き当て機構の動作において、突き当て機構同士の干渉を回避する。
【解決手段】突き当て機構の動作制御方法は、基台部及び突き当て部を有し第1方向の第1動作軸及び第2方向の第2動作軸に沿ってそれぞれ移動可能に、第2方向に並設された少なくとも3つの突き当て機構のうち、両側に位置し第1方向に沿った基台部の基準軸に対して突き当て部がオフセットされた第1及び第2突き当て機構と、これらの中間に位置する第3突き当て機構と、を動作させる際に、第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と第3突き当て機構の動作とが互いに干渉するかを判定する工程と、判定結果に基づき第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに対し干渉を回避する動作を行わせる工程とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台部及びその先端側に設けられた突き当て部を有し、第1方向の第1動作軸及びこれと交差する第2方向の第2動作軸に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、前記第2方向に並設された少なくとも3つの突き当て機構のうち、前記第2方向の両側に位置し、前記第1方向に沿った前記基台部の基準軸に対して前記突き当て部がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構と、これらの中間に位置する第3突き当て機構と、を動作制御情報に基づき動作制御装置によって動作させる際に、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、が互いに干渉するかを判定する判定工程と、
前記判定工程で判定された判定結果に基づいて、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに対し、前記干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作工程と、を備える
突き当て機構の動作制御方法。
【請求項2】
前記判定工程は、
前記動作制御情報によって定められる複数の動作シーケンスのうちの特定の動作シーケンスにより規定される前記第1、第2及び第3突き当て機構の動作工程において、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、に前記第1及び第2動作軸が同時に動く動作又は別々に異時に動く動作が含まれているかを前記干渉の可能性として判定する第1判定工程と、
前記第1判定工程の判定結果に応じて、前記動作工程における前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つ並びに前記第3突き当て機構それぞれについての前記第1及び第2動作軸の初期位置及び動作目標位置の位置情報に基づいて、前記干渉が発生するかを判定する第2判定工程と、を含む
請求項1に記載の突き当て機構の動作制御方法。
【請求項3】
前記第2判定工程の前記位置情報には、プレスブレーキのテーブル位置の位置情報も含まれる
請求項2に記載の突き当て機構の動作制御方法。
【請求項4】
前記回避動作工程では、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つについて、先に前記第1動作軸に沿った第1回避動作を行った後、前記第2動作軸に沿った第2回避動作を行う
請求項1~3のいずれか1項に記載の突き当て機構の動作制御方法。
【請求項5】
前記第2回避動作は、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの前記基台部の前記基準軸と、前記第3突き当て機構の前記基台部の基準軸と、の前記第2方向の間隔が、所定間隔を超えるまで行われる
請求項4に記載の突き当て機構の動作制御方法。
【請求項6】
前記回避動作工程では、前記第2回避動作において前記第2方向の間隔が前記所定間隔を超えた時点で、前記第1及び第2動作軸に沿った第3回避動作を行う
請求項5に記載の突き当て機構の動作制御方法。
【請求項7】
基台部及びその先端側に設けられた突き当て部を有し、第1方向の第1動作軸及びこれと交差する第2方向の第2動作軸に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、前記第2方向に並設された少なくとも3つの突き当て機構のうち、前記第2方向の両側に位置し、前記第1方向に沿った前記基台部の基準軸に対して前記突き当て部がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構と、これらの中間に位置する第3突き当て機構と、を動作制御情報に基づき動作制御装置によって動作させる際に、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、が互いに干渉するかを判定させる判定処理と、
前記判定処理で判定された判定結果に基づいて、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに対し、前記干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作処理と、を前記動作制御装置に実行させる
突き当て機構の動作制御プログラム。
【請求項8】
前記判定処理は、
前記動作制御情報によって定められる複数の動作シーケンスのうちの一の動作シーケンスにより規定される前記第1、第2及び第3突き当て機構の動作工程において、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、に前記第1及び第2動作軸が同時に動く動作又は別々に異時に動く動作が含まれているかを前記干渉の可能性として判定させる第1判定処理と、
前記第1判定処理の判定結果に応じて、前記動作工程における前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つ並びに前記第3突き当て機構それぞれについての前記第1及び第2動作軸の初期位置及び動作目標位置の位置情報に基づいて、前記干渉が発生するかを判定させる第2判定処理と、を含む
請求項7に記載の突き当て機構の動作制御プログラム。
【請求項9】
前記第2判定処理における前記位置情報には、プレスブレーキのテーブル位置の位置情報も含まれる
請求項8に記載の突き当て機構の動作制御プログラム。
【請求項10】
前記回避動作処理では、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つについて、先に前記第1動作軸に沿った第1回避動作処理を行わせた後、前記第2動作軸に沿った第2回避動作処理を行わせる
請求項7~9のいずれか1項に記載の突き当て機構の動作制御プログラム。
【請求項11】
前記第2回避動作処理は、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの前記基台部の前記基準軸と、前記第3突き当て機構の前記基台部の基準軸と、の前記第2方向の間隔が、所定間隔を超えるまで行われる
請求項10に記載の突き当て機構の動作制御プログラム。
【請求項12】
前記回避動作処理では、前記第2回避動作処理において前記第2方向の間隔が前記所定間隔を超えた時点で、前記第1及び第2動作軸に沿った第3回避動作処理を行わせる
請求項11に記載の突き当て機構の動作制御プログラム。
【請求項13】
基台部及びその先端側に設けられた突き当て部を有し、第1方向の第1動作軸及びこれと交差する第2方向の第2動作軸に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、前記第2方向に並設された少なくとも3つの突き当て機構を有するバックゲージ装置の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記バックゲージ装置の前記突き当て機構のうち、前記第2方向の両側に位置し、前記第1方向に沿った前記基台部の基準軸に対して前記突き当て部がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構と、これらの中間に位置する第3突き当て機構と、を動作制御情報に基づき動作させる際に、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、が互いに干渉するかを判定する判定処理と、
前記判定処理で判定された判定結果に基づいて、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに対し、前記干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作処理と、を行う
突き当て機構の動作制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突き当て機構の動作制御方法、突き当て機構の動作制御プログラム及び突き当て機構の同制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの曲げ加工に際し下部テーブル(プレステーブル)の後方においてワーク端を突き当てるストッパユニット(バックゲージ装置)を備えた曲げ加工装置(プレスブレーキ)が知られている。例えば、特許文献1には、図16に示すように、プレスブレーキのプレステーブル(図示せず)の長手方向と平行に整列されるストッパユニット100が、ガイドビーム109上に配置された第1、第2及び第3のストッパ(突き当て機構)101,102,103を有することが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のストッパユニット100は、例えば、第1のストッパ101と第2のストッパ102との間に配置された第3のストッパ103の位置を、第1のストッパ101又は第2のストッパ102の位置をガイドビーム109に沿って調整することで、位置決めすることができるよう構成されている。
【0004】
そのため、例えば、幅寸法が長いワーク(長尺物)の曲げ加工をする場合であっても、第1~第3のストッパにワークの端部を突き当てて曲げ加工を行うことができるので、ワークの端部において折り曲げに偏りが生じて曲げ精度が悪化してしまうことを防止できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2022/067363号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のストッパユニット100は、図16に示すように、第1~第3のストッパ101~103のストッパフィンガ(突き当て部)108及びキャリッジ(基台部)107が、上面視で見て短冊状のストレート形状を有している。このため、第1~第3のストッパ101~103を、ストッパユニット100の前後方向(図中矢印L方向)、左右方向(図中矢印Y方向)及び上下方向(図中Z方向)に移動させてその位置を調整する場合に、互いの動作が干渉してしまうことはない。
【0007】
一方、より多彩なワークの端部への接触及び支持を図るために、例えば第1~第3のストッパ101~103のストッパフィンガ108の左右方向の幅を全て細くして、両側の第1及び第2のストッパ101,102におけるストッパフィンガ108を、第3のストッパ103のストッパフィンガ108に近づけるべくキャリッジ107からオフセット配置した形状とすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、このような特殊形状の複数のストッパを有するストッパユニットにおいては、第1及び第2のストッパ101,102と、第3のストッパ102と、の前後方向及び左右方向の動作前後における位置と、動作パターンによる動作内容と、の組み合わせ次第では、ストッパユニットの動作中に第1~第3のストッパ101~103が互いに干渉してしまう可能性があるという問題がある。
【0009】
本発明の一態様は、特殊形状の突き当て部を有する複数の突き当て機構の動作において、突き当て機構同士の干渉を回避することができる突き当て機構の動作制御方法、突き当て機構の動作制御プログラム及び突き当て機構の動作制御装置である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る突き当て機構の動作制御方法は、基台部及びその先端側に設けられた突き当て部を有し、第1方向の第1動作軸及びこれと交差する第2方向の第2動作軸に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、前記第2方向に並設された少なくとも3つの突き当て機構のうち、前記第2方向の両側に位置し、前記第1方向に沿った前記基台部の基準軸に対して前記突き当て部がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構と、これらの中間に位置する第3突き当て機構と、を動作制御情報に基づき動作制御装置によって動作させる際に、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、が互いに干渉するかを判定する判定工程と、前記判定工程で判定された判定結果に基づいて、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに対し、前記干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作工程と、を備える。
【0011】
本発明の一態様に係る突き当て機構の動作制御プログラムは、基台部及びその先端側に設けられた突き当て部を有し、第1方向の第1動作軸及びこれと交差する第2方向の第2動作軸に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、前記第2方向に並設された少なくとも3つの突き当て機構のうち、前記第2方向の両側に位置し、前記第1方向に沿った前記基台部の基準軸に対して前記突き当て部がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構と、これらの中間に位置する第3突き当て機構と、を動作制御情報に基づき動作制御装置によって動作させる際に、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、が互いに干渉するかを判定させる判定処理と、前記判定処理で判定された判定結果に基づいて、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに対し、前記干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作処理と、を前記動作制御装置に実行させる。
【0012】
本発明の一態様に係る突き当て機構の動作制御装置は、基台部及びその先端側に設けられた突き当て部を有し、第1方向の第1動作軸及びこれと交差する第2方向の第2動作軸に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、前記第2方向に並設された少なくとも3つの突き当て機構を有するバックゲージ装置と、前記バックゲージ装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記バックゲージ装置の前記突き当て機構のうち、前記第2方向の両側に位置し、前記第1方向に沿った前記基台部の基準軸に対して前記突き当て部がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構と、これらの中間に位置する第3突き当て機構と、を動作制御情報に基づき動作させる際に、前記第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、前記第3突き当て機構の動作と、が互いに干渉するかを判定する判定処理と、前記判定処理で判定された判定結果に基づいて、前記第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに対し、前記干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作処理と、を行う。
【0013】
本発明の一態様に係る突き当て機構の動作制御方法、突き当て機構の動作制御プログラム及び突き当て機構の動作制御装置によれば、両側に位置して突き当て部がオフセット配置された形状の第1及び第2突き当て機構の少なくとも一つの動作と、これらの中間に位置する第3突き当て機構の動作と、が互いに干渉するかを判定し、判定結果に基づき第1、第2及び第3突き当て機構の少なくとも一つに干渉を回避する回避動作を行わせるので、特殊形状の突き当て部を有する複数の突き当て機構の動作において、突き当て機構同士の干渉を確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、特殊形状の突き当て部を有する複数の突き当て機構の動作において、突き当て機構同士の干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る突き当て機構の動作制御方法が適用されるバックゲージ装置を示す概略図である。
図2図2は、一実施形態に係る突き当て機構の動作制御装置を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、バックゲージ装置の動作パターンの一例を示す説明図である。
図4図4は、一実施形態に係る突き当て機構の動作制御方法に基づく動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、一実施形態に係る動作制御処理における干渉回避動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、一実施形態に係る動作制御処理における干渉回避動作の一例を示すフローチャートである。
図7A図7Aは、干渉回避動作の動作例1を概略的に説明するための図である。
図7B図7Bは、干渉回避動作の動作例1を概略的に説明するための図である。
図8A図8Aは、干渉回避動作の動作例2を概略的に説明するための図である。
図8B図8Bは、干渉回避動作の動作例2を概略的に説明するための図である。
図9A図9Aは、干渉回避動作の動作例3を概略的に説明するための図である。
図9B図9Bは、干渉回避動作の動作例3を概略的に説明するための図である。
図10A図10Aは、干渉回避動作の動作例4を概略的に説明するための図である。
図10B図10Bは、干渉回避動作の動作例4を概略的に説明するための図である。
図11A図11Aは、干渉回避動作の動作例5を概略的に説明するための図である。
図11B図11Bは、干渉回避動作の動作例5を概略的に説明するための図である。
図11C図11Cは、干渉回避動作の動作例5を概略的に説明するための図である。
図12A図12Aは、干渉回避動作の動作例6を概略的に説明するための図である。
図12B図12Bは、干渉回避動作の動作例6を概略的に説明するための図である。
図13A図13Aは、干渉回避動作の動作例7を概略的に説明するための図である。
図13B図13BCは、干渉回避動作の動作例7を概略的に説明するための図である。
図13C図13Cは、干渉回避動作の動作例7を概略的に説明するための図である。
図14A図14Aは、干渉回避動作の動作例8を概略的に説明するための図である。
図14B図14Bは、干渉回避動作の動作例8を概略的に説明するための図である。
図14C図14Cは、干渉回避動作の動作例8を概略的に説明するための図である。
図15A図15Aは、干渉回避動作の動作例9を概略的に説明するための図である。
図15B図15Bは、干渉回避動作の動作例9を概略的に説明するための図である。
図15C図15Cは、干渉回避動作の動作例9を概略的に説明するための図である。
図16】従来のストッパユニット(バックゲージ装置)の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る突き当て機構の動作制御方法、突き当て機構の動作制御プログラム及び突き当て機構の動作制御装置を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施形態において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、実施形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて、実際のものとは一致しない状態で示されている場合、並びに一部の構成要素につき記載が省略されて示されている場合がある。
【0017】
[突き当て機構を有するバックゲージ装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る突き当て機構の動作制御方法が適用されるバックゲージ装置を示す概略図である。図2は、一実施形態に係る突き当て機構の動作制御装置を概略的に示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、一実施形態に係るバックゲージ装置20は、概略的には、バックゲージ装置20に突き当てられたワークWの上下方向(Z方向)、前後方向(L方向)及び左右方向(Y方向)の位置を位置決め可能に構成されている。図2に示すように、バックゲージ装置20は、プレスブレーキの制御装置であるNC(Numerical Control)装置(動作制御装置)10により制御され得る。
【0019】
なお、バックゲージ装置20及びNC装置10の基本的な構成及び構造については既知であるので、概略のみを説明する。また、以下の説明において、図中矢印「L方向」は、例えば図1におけるバックゲージ装置20の前後方向を意味し、図中矢印「Y方向」は、バックゲージ装置20の左右方向を意味し、図中「Z方向」は、バックゲージ装置20の上下方向を意味する。
【0020】
NC装置10により実現される突き当て機構の動作制御方法は、基台部31,41,51及びその先端側に設けられた突き当て部32,42,52を有し、L方向(第1方向)の第1動作軸(LS1軸,LS2軸,LS3軸)及びこれと交差するY方向(第2方向)の第2動作軸(YS1軸,YS2軸,YS3軸)に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、Y方向(第2方向)に並設された少なくとも3つの突き当て機構30,40,50のうち、Y方向(第2方向)の両側に位置し、L方向(第1方向)に沿った基台部31,41の基準軸P1,P2に対して突き当て部32,42がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構30,40と、これらの中間に位置する第3突き当て機構50と、を動作パターン(動作制御情報)に基づきNC装置(動作制御装置)10によって動作させる際に、第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの動作と、第3突き当て機構50の動作と、が互いに干渉するかを判定する判定工程と、判定工程で判定された判定結果に基づいて、第1、第2及び第3突き当て機構30,40,50の少なくとも一つに対し、干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作工程と、を備える。第3突き当て機構50は、基台部51の基準軸P3に対して突き当て部52が、例えば、センター配置された形状を有しているが、これに限定されるものではない。
【0021】
なお、以降において、基台部31,41,51は、「基台部31~51」と表記する場合がある。また、突き当て部32,42,52は、「突き当て部32~52」と表記する場合がある。また、突き当て機構30,40,50は、「突き当て機構30~50」と表記する場合がある。
【0022】
上記のようにNC装置10によって動作制御されるバックゲージ装置20は、図1に示すように、例えば、L方向に延びる一対のガイドフレーム61,62を備える。これらガイドフレーム61,62は、L1軸及びL2軸(以下、特に言及しない限りこれらを総称して「L軸」と呼ぶ。)の2軸を構成し、Y方向に平行に配置されている。また、バックゲージ装置20は、Y方向に延びるガイドビーム63を備える。ガイドビーム63は、上記第2動作軸であるYS1軸、YS2軸及びYS3軸(以下、特に言及しない限り「YS軸」、又はこれらを総称して「Y軸」と呼ぶ。)の3軸を構成し、ガイドフレーム61,62に架設されている。
【0023】
ガイドビーム63は、ガイドフレーム61,62のL軸に沿って、L方向(前後方向)に移動可能に構成されている。また、ガイドビーム63及びガイドフレーム61,62は、Z1軸及びZ2軸(以下、特に言及しない限りこれらを総称して「Z軸」と呼ぶ。)の2軸に沿って、Z方向(上下方向)に移動可能に構成されている。
【0024】
ガイドビーム63には、例えば、上面視で見てY方向の左側に第1突き当て機構30が設けられており、右側に第2突き当て機構40が設けられている。また、ガイドビーム63には、第1及び第2突き当て機構30,40の間(Y方向の中間)に、第3突き当て機構50が設けられている。
【0025】
第1突き当て機構30は、キャリッジ31a及びその先端側に接続されたブラケット31bを含む基台部31と、最も先端側に接続された突き当て体33を含む突き当て部32と、を有する。第1突き当て機構30の突き当て部32は、基台部31の基準軸P1から第3突き当て機構50の方に片寄るように(基準軸P1に対してそのセンターがY方向右側にずれるように)、オフセット配置されたクランク形状に形成されている。
【0026】
第2突き当て機構40は、キャリッジ41a及びその先端側に接続されたブラケット41bを含む基台部41と、最も先端側に接続された突き当て体43を含む突き当て部42と、を有する。第2突き当て機構40の突き当て部42は、基台部41の基準軸P2から第3突き当て機構50の方に片寄るように(基準軸P2に対してそのセンターがY方向左側にずれるように)、オフセット配置されたクランク形状に形成されている。
【0027】
第3突き当て機構50は、キャリッジ51a及びその先端側に接続されたブラケット51bを含む基台部51と、最も先端側に接続された突き当て体53を含む突き当て部52と、を有する。第3突き当て機構50の突き当て部52は、基台部51の基準軸P3に対してセンター配置され(基準軸P3に対してそのセンターが一致するよう配置され)、基台部51よりもY方向の幅が小さくなるようT字形状に形成されている。なお、突き当て部32~52の形状は、上記のものに限定されない。
【0028】
これら第1~第3突き当て機構30~50は、各々の基台部31~51がY方向に最も近接した状態のときに、各突き当て部32,42のクランク形状及び突き当て部52のT字形状が組み合わさって、先端側にて突き当て体33,43,53がY方向に整列するような特殊形状により構成されている。これにより、突き当て側の側面Wa幅が小さなワーク(小物ワーク)Wに対しても、バックゲージ装置20で突き当て対応することが可能となる。
【0029】
なお、各突き当て体33,43,53は、その先端側が側面視で見て(Y方向から見て)縦断面L字状に形成されており、段付き部分の前方側の端面でワークWの突き当て側の側面Waを支持し、支持端部34の表面でワークWの底面を支持することができるよう構成されている。
【0030】
そして、第1突き当て機構30は、ガイドビーム63上を第2動作軸のYS1軸に沿ってY方向に、及び第1動作軸のLS1軸に沿ってL方向に、それぞれ単独で移動可能に構成されている。同様に、第2突き当て機構40及び第3突き当て機構50についても、ガイドビーム63上を第2動作軸のYS2軸及びYS3軸に沿ってY方向に、並びに第1動作軸のLS2軸及びLS3軸に沿ってL方向に、それぞれ単独で移動可能に構成されている。
【0031】
これら第1~第3突き当て機構30~50のY軸に沿ったY方向の移動は、例えば、ガイドビーム63及び各キャリッジ31a,41a,51aに備えられた既知のラック&ピニオン機構等の駆動機構により行われ、第1動作軸であるLS1軸、LS2軸及びLS3軸(以下、特に言及しない限りこれらを総称して「LS軸」と呼ぶ。)に沿ったL方向の移動は、例えば、各キャリッジ31a,41a,51aに備えられたリニアスケール等の駆動機構により行われ得るが、これに限定されるものではない。
【0032】
このように各突き当て機構30~50がL方向及びY方向にそれぞれ移動可能に構成され、各突き当て部32~52が特殊形状で形成されたバックゲージ装置20では、上述した小物ワークの突き当て対応のみならず、種々の形状及び大きさのワークWの突き当てにも適宜対応することが可能である。例えば、突き当て側の側面Wa幅が大きなワークWに対して、第1及び第2突き当て機構30,40のいずれか一方の突き当て部32,42と第3突き当て機構50の突き当て部52とを突き当てて、ワークWの突き当て側の側面Waを支持し、第1及び第2突き当て機構30,40のいずれか他方の突き当て部32,42の側面をワークWの側面Wbに当接させて支持し、ワークWのL方向及びY方向の突き当て位置を位置決めする等の突き当て対応が可能となる。
【0033】
[バックゲージ装置の動作の制限]
ここで、バックゲージ装置20の動作の制限について説明する。上記のように、一実施形態に係るバックゲージ装置20は、第1及び第2突き当て機構30,40の突き当て部32,42が、第3突き当て機構50の突き当て部52に向かってY方向に入り組むようなオフセット配置された特殊形状(クランク形状)を有する。このため、動作パターンによる一部の動作で突き当て部32~52同士の干渉が発生してしまうことがある。
【0034】
例えば、第1突き当て機構30の基台部31の基準軸P1を基準としたYS1軸又は第2突き当て機構40の基台部41の基準軸P2を基準としたYS2軸と、第3突き当て機構50の基台部51の基準軸P3を基準としたYS3軸と、のY方向の軸間隔(以下、「Y軸間隔」と称する。)には、次のような最小間隔(以下、「シフト可能なY軸間隔」と称する。)が必要となる。
【0035】
すなわち、各突き当て機構30~50が所定位置から第1動作軸のLS1軸,LS2軸,LS3軸に沿ってそれぞれ移動する際、又は第2動作軸のYS1軸,YS2軸,YS3軸に沿ってそれぞれ移動する際には、Y方向に隣り合う第1及び第3突き当て機構30,50又は第2及び第3突き当て機構40,50のY軸間隔は、突き当て部32,52又は突き当て部42,52同士が干渉せず、且つ、オフセット配置された突き当て部32,42が突き当て部53又は基台部51と干渉せずにL方向又はY方向に移動(シフト)可能なY軸間隔リミット以上でなければならない。
【0036】
従って、第1及び第2突き当て機構30,40と第3突き当て機構50との位置関係が、基準軸P1を基準としたYS1軸(以下、単に「YS1軸」と称する。)又は基準軸P2を基準としたYS2軸(以下、単に「YS2軸」と称する。)と、基準軸P3を基準としたYS3軸(以下、単に「YS3軸」と称する。)と、のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い状態で位置している場合には、第1又は第2突き当て機構30,40は、それぞれLS1軸又はLS2軸の動作で第3突き当て機構50のLS3軸のある位置よりも後方側に移動する動作は干渉が発生するため制限される(制限1)こととなる。また、この場合には、第3突き当て機構50は、LS3軸の動作で第1又は第2突き当て機構30,40のLS1軸又はLS2軸のある位置よりも前方側に移動する動作は干渉が発生するため制限される(制限2)こととなる。
【0037】
更に、第1及び第2突き当て機構30,40と第3突き当て機構50との位置関係が、突き当て部32又は突き当て部42の基準軸P1,P2における基台部31,41との境界位置が、突き当て部52の基準軸P3における基台部51との境界位置よりもL方向の後方側に位置している場合(すなわち、YS1軸又はYS2軸がYS3軸よりも後方側にある場合)には、第1又は第2突き当て機構30,40は、それぞれYS1軸又はYS2軸の動作で第3突き当て機構50のYS3軸のある位置に対し、シフト可能なY軸間隔リミットを跨いで(Y軸間隔リミットを超えて)近づく動作は干渉が発生するため制限される(制限3)こととなる。また、この場合には、第3突き当て機構50は、YS3軸の動作で第1又は第2突き当て機構30,40のYS1軸又はYS2軸のある位置に対し、シフト可能なY軸間隔リミットを跨いで(Y軸間隔リミットを超えて)近づく動作は干渉が発生するため制限される(制限4)こととなる。
【0038】
以上の制限1~4をまとめて第1動作軸のLS1軸~LS3軸について考察すると、Y方向の外側に位置するLS1軸又はLS2軸がY方向の中間に位置するLS3軸よりもL方向の後方側に移動して位置決めされる場合、及びY方向の中間に位置するLS3軸がY方向の外側に位置するLS1軸又はLS2軸よりもL方向の前方側に移動して位置決めされる場合は、第1又は第2突き当て機構30,40と第3突き当て機構50とのY軸間隔は、シフト可能なY軸間隔リミット以上であることが必要となり、これら以外の場合には、第1~第3突き当て機構30~50の移動に制限はないこととなる。
【0039】
従って、一実施形態に係る動作制御方法では、動作パターンに応じた第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの動作と、第3突き当て機構50の動作と、が互いに干渉するかを判定し、判定結果に応じて第1~第3突き当て機構30~50の少なくとも一つに対し、干渉を回避させる動作(干渉回避動作)を行わせるよう構成している。これにより、特殊形状(クランク形状及びT字形状)の突き当て部32~52を有する第1~第3突き当て機構30~50の動作において、突き当て機構30~50同士の干渉を確実に回避するよう動作させることが可能となる。
【0040】
なお、干渉回避動作は、第1~第3突き当て機構30~50の第1動作軸のLS1軸~LS3軸のうち、隣接する2軸だけで考察した場合、次のケース1及びケース2に該当する動作軸の有無に基づき行われ得る。ここでは、第1及び第3突き当て機構30,50のLS1軸及びLS3軸を隣接する2軸として例に挙げて説明するが、LS1軸を第2突き当て機構40のLS2軸に置き換えた場合も同様であるため、LS2軸についてはここでは説明を省略する。
【0041】
まず、ケース1について説明する。ケース1では、移動前の状態が、LS1軸の現在位置がLS3軸の現在位置とL方向において、同じ位置かそれよりも前方位置(LS1軸≦LS3軸)にあり、且つ、YS1軸の現在位置とYS3軸の現在位置とのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い(YS1軸-YS3軸間隔<Y軸間隔リミット)状態であるとする。
【0042】
また、移動後の状態が、LS1軸の目標位置がLS3軸の目標位置よりもL方向において後方位置(LS1軸>LS3軸)であり、且つ、YS1軸の目標位置とYS3軸の目標位置とのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミット以上(YS1軸-YS3軸間隔≧Y軸間隔リミット)である状態とする。
【0043】
このケース1での干渉理由としては、LS軸とY軸を同時に動かす、又はLS軸を動かした後にY軸を動かす場合に、YS1軸とYS3軸のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミット以上となる前に、LS1軸の位置がLS3軸の位置よりもL方向の後方側に位置することで干渉が発生すると考えられる。
【0044】
従って、干渉回避動作としては、先にY軸を移動させて、YS1軸とYS3軸のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットを超えた時点でLS軸の移動を開始することが想定され得る。
【0045】
次に、ケース2について説明する。ケース2では、移動前の状態が、LS1軸の現在位置がLS3軸の現在位置よりもL方向において後方位置(LS1軸>LS3軸)にあり、且つ、YS1軸の現在位置とYS3軸の現在位置とのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミット以上(YS1軸-YS3軸間隔≧Y軸間隔リミット)である状態とする。
【0046】
また、移動後の状態が、LS1軸の目標位置がLS3軸の目標位置とL方向において、同じ位置かそれよりも前方位置(LS1軸≦LS3軸)であり、且つ、YS1軸の目標位置とYS3軸の目標位置とのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い(YS1軸-YS3軸間隔<Y軸間隔リミット)状態であるとする。
【0047】
このケース2での干渉理由としては、LS軸とY軸を同時に動かす、又はY軸を動かした後にLS軸を動かす場合に、LS1軸の位置がLS3軸の位置とL方向において同じか前方側に位置する前に、LS1軸とLS3軸のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭くなることで干渉が発生すると考えられる。
【0048】
従って、干渉回避動作としては、先にLS軸を移動させて、LS1軸の位置とLS3軸の位置を比較してLS1軸の位置がLS3軸の位置とL方向において同じとなる位置を超えた時点でY軸の移動を開始すること、又はLS1軸とLS3軸のL方向の先端位置(突き当て部32,52の先端位置)をY方向に沿って揃えた後に、LS軸とY軸を目標位置に移動させることが想定され得る。
【0049】
このように、干渉回避動作では、隣接するLS軸同士の位置関係に基づいて、回避動作が必要かどうかが判定される。すなわち、LS軸及びY軸の現在位置及び動作の工程における目標位置の位置関係から、ケース1又はケース2に該当する動作軸があるか否かが判断される。そして、いずれかのケースに該当する動作軸がある場合には、動作パターンで指定された動作シーケンスにおける動作を変更する。
【0050】
例えば、ケース1に該当する動作軸がある場合は、LS軸を目標位置へ移動させる前にY軸を移動させて、シフト可能なY軸間隔リミット以上のY軸間隔を確保する必要がある。また、ケース2に該当する動作軸がある場合は、該当するLS軸の目標位置を上記のように揃えてからY軸を目標位置へ移動させる必要がある。このような干渉回避動作を含む動作制御処理の詳細については、後述する。
【0051】
[バックゲージ装置を動作制御する動作制御装置の全体構成]
図2に示すように、動作制御装置であるNC装置10は、上述した基台部31,41,51及びその先端側に設けられた突き当て部32,42,52を有し、L方向(第1方向)の第1動作軸LS1,LS2,LS3及びこれと交差するY方向(第2方向)の第2動作軸YS1,YS2,YS3に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、Y方向(第2方向)に並設された少なくとも3つの突き当て機構30,40,50を有するバックゲージ装置20の動作を制御するバックゲージ制御部(制御部)14を備える。バックゲージ制御部(制御部)14は、バックゲージ装置20の突き当て機構30,40,50のうち、Y方向(第2方向)の両側に位置し、L方向(第1方向)に沿った基台部31,41の基準軸P1,P2に対して突き当て部32,42がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構30,40と、これらの中間に位置する第3突き当て機構50と、を動作パターン(動作制御情報)に基づき動作させる際に、第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの動作と、第3突き当て機構50の動作と、が互いに干渉するかを判定する判定処理と、判定処理で判定された判定結果に基づいて、第1、第2及び第3突き当て機構30,40,50の少なくとも一つに対し、干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作処理と、を行う。
【0052】
NC装置10は、既知のHMI(Human Machine Interface)アプリケーション11と、ファームウェア(Firmware)13と、を備える。HMIアプリケーション11は、NC装置10において、オペレータ等のユーザ及びプレスブレーキ等の機器との間で、例えばユーザにより入力された操作指示情報や設定情報、或いは機器からのフィードバック情報等の各種情報の送受信、報知など、総合的な取り扱いを行う。
【0053】
ファームウェア13は、NC装置10に搭載されたROM(Read Only Memory)等の記憶手段に予め書き込まれて格納された制御用のソフトウェアであり、プレスブレーキやバックゲージ装置20の制御全般を行う。なお、ファームウェア13には、バックゲージ装置20の動作シーケンスを定める動作パターンに関する情報が格納されている。
【0054】
HMIアプリケーション11は、動作パターン決定部12を含む。また、ファームウェア13は、バックゲージ制御部14を含む。動作パターン決定部12は、例えば、プレスブレーキにおける曲げ加工の加工順に応じて動作するバックゲージ装置20の第1~第3突き当て機構30~50の後述する動作パターンを決定する。バックゲージ制御部14は、動作パターン決定部12で決定され通知された動作パターンの動作パターン番号に基づいて、動作パターン番号に対応する動作シーケンスを読み出し、バックゲージ装置20に動作シーケンスに従った第1~第3突き当て機構30~50の動作を実行させる。
【0055】
なお、NC装置10に代えて、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置により、バックゲージ装置20の動作を制御するように構成してもよい。この場合、情報処理装置において、バックゲージ装置20の動作制御プログラムを実行するようにすればよい。
【0056】
上記の動作制御プログラムは、例えば、基台部31,41,51及びその先端側に設けられた突き当て部32,42,52を有し、L方向(第1方向)の第1動作軸LS1,LS2,LS3及びこれと交差するY方向(第2方向)の第2動作軸YS1,YS2,YS3に沿ってそれぞれ移動可能に構成され、且つ、Y方向(第2方向)に並設された少なくとも3つの突き当て機構30,40,50のうち、Y方向(第2方向)の両側に位置し、L方向(第1方向)に沿った基台部31,41の基準軸P1,P2に対して突き当て部32,42がオフセット配置された形状を有する第1及び第2突き当て機構30,40と、これらの中間に位置する第3突き当て機構50と、を動作パターン(動作制御情報)に基づき情報処理装置(動作制御装置)によって動作させる際に、第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの動作と、第3突き当て機構50の動作と、が互いに干渉するかを判定させる判定処理と、判定処理で判定された判定結果に基づいて、第1、第2及び第3突き当て機構30,40,50の少なくとも一つに対し、干渉を回避するための回避動作を行わせる回避動作処理と、を情報処理装置(動作制御装置)に実行させるよう構成されている。
【0057】
[動作パターンの構成]
ここで、NC装置10により制御されるバックゲージ装置20の動作パターンについて説明する。図3は、バックゲージ装置の動作パターンの一例を示す説明図である。
【0058】
図3に示すように、バックゲージ装置20の動作制御に利用される動作パターンは、バックゲージ装置20の第1~第3突き当て機構30~50を動作させるための、例えば、動作パターン番号ごとに規定された動作1~動作6の複数の動作シーケンスを含んで構成されている。ここでは、動作パターン番号1~5(Pattern1~5)を例に挙げて説明するが、動作パターンはこれらに限定されるものではない。
【0059】
なお、動作パターンの動作シーケンスである各動作1~6において、「L」は第1~第3突き当て機構30~50のL軸全体の動作を示し、「LS」は第1~第3突き当て機構30~50のLS軸の動作を示している。また、「Y」は第1~第3突き当て機構30~50のYS軸のY軸全体にわたる動作を示し、「Z」は第1~第3突き当て機構30~50のZ軸全体の動作を示している。
【0060】
また、「L(spn(nは正の整数))」及び「Z(spn(nは正の整数))」は、それぞれ第1~第3突き当て機構30~50を安全に動作させる目的で、一時的にL軸及びZ軸をL軸退避位置及びZ軸退避位置に移動させる動作を示している。これらL軸及びZ軸退避位置は、例えば、HMIアプリケーション11からバックゲージ制御部14に通知される。なお、各動作1~6のそれぞれに複数の動作が示されている場合は、それらが同時に行われることを表している。
【0061】
動作パターン番号1(Pattern1)の動作パターンは、「動作1」の動作シーケンスにおいて、「L,LS,Y,Z」の動作をさせるものである。この動作パターンは、例えば、「動作1」の動作シーケンスで指定された動作を同時に行うパターンである。なお、この動作パターンでは、「動作2」~「動作6」の動作シーケンスは規定されていない。以下、規定されていない動作シーケンスについての記載は省略する。
【0062】
動作パターン番号2(Pattern2)の動作パターンは、「動作1」の動作シーケンスにおいて、「Z(sp1)」の動作をさせ、「動作2」の動作シーケンスにおいて、「L(sp1)」の動作をさせる。また、「動作3」の動作シーケンスにおいて、「L(sp2),LS,Y,Z(sp2)」の動作をさせ、「動作4」の動作シーケンスにおいて、「L(sp3)」の動作をさせる。更に、「動作5」の動作シーケンスにおいて、「L」の動作をさせ、「動作6」の動作シーケンスにおいて、「Z」の動作をさせるパターンである。
【0063】
動作パターン番号3(Pattern3)の動作パターンは、「動作1」の動作シーケンスにおいて、「L(sp4),LS,Y,Z」の動作をさせ、「動作2」の動作シーケンスにおいて、「L」の動作をさせるパターンである。
【0064】
動作パターン番号4(Pattern4)の動作パターンは、「動作1」の動作シーケンスにおいて、「L(sp4),LS」の動作をさせ、「動作2」の動作シーケンスにおいて、「Y,Z」の動作をさせる。また、「動作3」の動作シーケンスにおいて、「L」の動作をさせるパターンである。
【0065】
動作パターン番号5(Pattern5)の動作パターンは、「動作1」の動作シーケンスにおいて、「Z(sp1)」の動作をさせ、「動作2」の動作シーケンスにおいて、「L(sp4),LS」の動作をさせる。また、「動作3」の動作シーケンスにおいて、「Z(sp2)」の動作をさせ、「動作4」の動作シーケンスにおいて、「Y」の動作をさせる。更に、「動作5」の動作シーケンスにおいて、「L」の動作をさせ、「動作6」の動作シーケンスにおいて、「Z」の動作をさせるパターンである。
【0066】
なお、上述した回避動作が必要かどうかの判定において、ケース1又はケース2に該当する動作軸が動作シーケンスにある場合は、以下のように動作シーケンスで指定された動作を変更することにより、干渉回避動作を行う。例えば、「動作N(Nは正の整数)」の動作シーケンスで指定された動作に、LS軸とY軸が同時に動く動作が含まれている場合は、次のように変更した「動作N’(Nは正の整数)」を実行する。
【0067】
上述した動作パターンにおいて、LS軸とY軸が同時に動く動作は、例えば、動作パターン番号1,3(Pattern1,Pattern3)の「動作1」、及び動作パターン番号2(Pattern2)の「動作3」の動作シーケンスに含まれている。これらの動作シーケンスにおいて、「動作N’-(1)」、「動作N’-(2)」及び「動作N’-(3)」の動作を行い干渉を回避する。
【0068】
まず、「動作N’-(1)」は、「動作N」で動かす動作軸のうち、LS軸とY軸以外の動作軸を目標位置へ移動させると同時に、次のいずれかの条件に該当するLS軸を干渉回避位置(退避位置)へ移動させる動作である。すなわち、
条件1:ケース2に該当するLS軸、
条件2:現在位置が、最も手前(L方向の前方側)のLS軸の動作工程(N工程目(Nは正の整数))における目標位置(工程目標位置)よりも前方側にあるLS軸、及び
条件3:条件1及び条件2のいずれかに該当するLS軸を干渉回避位置に移動させることで、新たに干渉が発生してしまうLS軸、が想定され得る。
【0069】
また、「動作N’-(2)」は、ケース1に該当する動作軸があった場合に、Y軸を目標位置へ移動させる動作である。なお、該当する動作軸がない場合は「動作N’-(2)」の動作はスキップされる。
【0070】
また、「動作N’-(3)」は、ケース1に該当する動作軸があった場合に、該当する動作軸と隣接する動作軸のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットを超えた時点でLS軸を目標位置へ移動させる動作である。なお、該当する動作軸がない場合は、即座にLS軸とY軸を目標位置へ移動させる動作を行う。
【0071】
一方、例えば、「動作M(Mは正の整数)」の動作シーケンスで指定された動作に、LS軸が動く動作が含まれ、「動作N(Nは正の整数)」の動作シーケンスで指定された動作に、Y軸が動く動作が含まれている場合は、次のように変更した「動作M’(Mは正の整数)」及び「動作N’(Nは正の整数)」を別々に実行する。
【0072】
すなわち、上述した動作パターンにおいて、LS軸とY軸が別々に異時に動く動作は、例えば、動作パターン番号4(Pattern4)の「動作1」及び「動作2」、並びに動作パターン番号5(Pattern5)の「動作2」及び「動作4」の動作シーケンスに含まれている。これらの動作シーケンスにおいて、「動作M’」、「動作N’-(1)」及び「動作N’-(2)」の動作を行い干渉を回避する。
【0073】
まず、「動作M’」は、「動作M」で動かす動作軸のうち、LS軸以外の動作軸を目標位置へ移動させると同時に、次のいずれかの条件に該当するLS軸を干渉回避位置(退避位置)へ移動させる動作である。すなわち、
条件1:ケース2に該当するLS軸、
条件2:現在位置が、最も手前(L方向の前方側)のLS軸の動作工程(N工程目(Nは正の整数))における目標位置(工程目標位置)よりも前方側にあるLS軸、及び
条件3:条件1及び条件2のいずれかに該当するLS軸を干渉回避位置に移動させることで、新たに干渉が発生してしまうLS軸、が想定され得る。
【0074】
また、「動作N’-(1)」は、ケース1に該当する動作軸があった場合に、「動作N」で動かす動作軸を目標位置へ移動させる動作である。なお、該当する動作軸がない場合は「動作N’-(1)」の動作はスキップされる。
【0075】
また、「動作N’-(2)」は、ケース1に該当する動作軸があった場合に、該当する動作軸と隣接する動作軸のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットを超えた時点でLS軸を目標位置へ移動させる動作である。なお、該当する動作軸がない場合は、即座にLS軸及び「動作N」で動かす動作軸をへ移動させる動作を行う。
【0076】
ここで、上記の干渉回避位置とは、「LS軸の目標位置の中で最も後ろ(L方向の後方側)の位置」とする。これにより、動作工程データに新規に位置情報のデータ追加をすることなく、動作軸の位置情報を取得することが可能となる。なお、仮に「LS軸の目標位置の中で最も手前(L方向の前方側)の位置」を干渉回避位置としてしまうと、例えば該当する動作軸をいわゆるサイドゲージとして使用する動作工程で、突き当て部の先端が予め設定されている目標位置よりも更に手前側に飛び出て位置してしまう可能性がある。
【0077】
また、LS軸のソフトリミットとOT(Over-travel)を組み合わせた場合、動作軸のストレッチ(Stretching)がどのような位置にあっても、比較的安全に動作させることは可能であるが、目標位置までの移動距離が必要以上に長くなってしまうことでタクトに影響を及ぼす可能性が高くなってしまう。これらを勘案した上で、結果的に突き当て部の先端が予め設定されている目標位置よりも手前に出てくることは、作業者(ユーザ)にとって想定外の動きとなるため運用上大変危険であるが故に、上記のように干渉回避位置を定めることとした。
【0078】
また、上記の条件2を、「現在位置が、最も手前のLS軸の動作工程における目標位置よりも前方側にあるLS軸」とした理由は、以下の事情による。すなわち、干渉回避動作の動作シーケンスでは、動作軸のストレッチが発生するタイミングでLS軸を動作させないことがある。このため、突き当て部の先端が本来ある位置よりも手前にある状態でY軸が動作する状況が想定され得る。
【0079】
このような状況では、突き当て部の先端が干渉物から逃げ切れておらず、Y軸の動作時に突き当て部が干渉物と衝突する等の可能性があり危険である。従って、このような事態を避けるため、「現在位置が、最も手前のLS軸の動作工程における目標位置よりも前方側にあるLS軸」についても、干渉回避位置へ移動(ストレッチ可動)させることとした。
【0080】
また、上記条件3において、「LS軸を干渉回避位置に移動させることで、新たに干渉が発生してしまうLS軸」とした点について説明する。まず、ケース2に該当する「LS軸」を(A)とし、「現在位置が、最も手前のLS軸の動作工程における目標位置よりも前方側にあるLS軸」を(B)とした場合、これら(A)及び(B)のいずれかに該当するLS軸を干渉回避位置へ移動させる際に、この動作軸に隣接するLS軸が干渉回避位置に移動しない(動作させない)ことで、新たに動作軸同士の干渉が発生することが想定され得る。従って、以下の状況に該当するLS軸についても、干渉回避位置へ移動させる必要が生じることとなる。
【0081】
すなわち、外側のLS軸(LS1軸,LS2軸)を干渉回避位置へ移動させるとき(外側のLS軸が上記条件(B)に該当するとき)は、外側のLS軸の現在位置が干渉回避位置よりもL方向の前方側にあり、且つ、LS3軸の現在位置が干渉回避位置よりもL方向の前方側にあり、且つ、現在位置でのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い、又は目標位置でのY軸間隔がY軸間隔リミットよりも狭い場合は、LS3軸を干渉回避位置へ同時に移動させる
【0082】
また、LS3軸を干渉回避位置へ移動させるとき(LS3軸が上記条件(A)に該当するとき)は、外側のLS軸(LS1軸,LS2軸)の現在位置が干渉回避位置よりもL方向の後方側にあり、且つ、LS3軸の現在位置が干渉回避位置よりもL方向の後方側にあり、且つ、現在位置でのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い、又は目標位置でのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い場合は、外側のLS軸を干渉回避位置へ同時に移動させる。
【0083】
つまり、現在位置でのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い場合、LS軸が干渉回避位置へ移動する際に動作軸が干渉するおそれがあり、目標位置でのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭い場合、Y軸が目標位置へ移動する際に干渉するおそれがあるので、上記のように同時に移動させる必要がある。
【0084】
従って、動作軸の干渉が発生するかを判定した結果、干渉する場合には、上記のような干渉回避動作を行って、バックゲージ装置20の各突き当て機構30~50の干渉を回避するように動作制御を行う。なお、干渉回避動作の具体的な動作例については、後述する。
【0085】
[バックゲージ装置の動作制御処理]
図4は、一実施形態に係る突き当て機構の動作制御方法に基づく動作制御処理の一例を示すフローチャートである。図5は、一実施形態に係る動作制御処理における干渉回避動作の一例を示すフローチャートである。図6は、一実施形態に係る動作制御処理における干渉回避動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下のフローチャートにおいては、主に上述したバックゲージ制御部14が処理の主体となり、第1~第3突き当て機構30~50が処理の客体となるため、特に言及しない限りその記載は省略する。
【0086】
図4に示すように、第1~第3突き当て機構30~50の動作制御処理が開始されると、まず、バックゲージ制御部14は、動作パターン決定部12により通知された動作パターン番号に従って、動作パターンを読み出し動作シーケンスを初期化する(ステップS100)。
【0087】
次に、動作パターンの動作シーケンスにより指定される第1~第3突き当て機構30~50の動作軸の初期位置(LS軸の初期位置、Y軸の初期位置)を取得する(ステップS101)。そして、第1~第3突き当て機構30~50の動作軸の到達目標位置を特定する(ステップS102)。なお、このステップS102での到達目標位置は、動作シーケンスごとに定められている。
【0088】
次に、判定工程が行われる。判定工程は、動作パターン(動作制御情報)によって定められる複数の動作シーケンスのうちの特定の動作シーケンスにより規定される第1、第2及び第3突き当て機構30,40,50の動作工程において、第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの動作と、第3突き当て機構50の動作と、に第1及び第2動作軸(LS軸,Y軸)が同時に動く動作又は別々に異時に動く動作が含まれているかを干渉の可能性として判定する第1判定工程(ステップS103)と、第1判定工程の判定結果に応じて、動作工程における第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つ並びに第3突き当て機構50それぞれについての第1及び第2動作軸(LS軸,Y軸)の初期位置(動作開始位置)及び到達目標位置(動作目標位置)の位置情報に基づいて、干渉が発生するかを判定する第2判定工程(ステップS104)と、を含む。
【0089】
すなわち、ステップS103の第1判定工程では、動作パターンの複数の動作シーケンスにおいて、上記のようにLS軸及びY軸が同時に動く動作、又は別々に異時に動く動作があるか否かに基づいて、干渉する可能性のある動作の有無が判定される。干渉する可能性のある動作がないと判定された場合(ステップS103のNO)は、動作シーケンスで指定された動作により、各動作軸(LS軸,Y軸)を最終的な目標位置へ位置決め動作させ(ステップS105)、全ての動作軸についての位置決め動作が完了したか否かが判定される(ステップS106)。例えば、上述した動作パターン番号2(Pattern2)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスでは、「Z(sp1)」の動作であるため、上記ステップS103では干渉する可能性のある動作ではないと判定される。
【0090】
そして、全ての動作軸についての位置決め動作が完了したと判定された場合(ステップS106のYES)は、その動作パターンの最終の動作シーケンスであるかが判定され(ステップS107)、最終の動作シーケンスであると判定された場合(ステップS107のYES)は、本フローチャートによる動作制御処理を終了する。
【0091】
また、ステップS107において、最終の動作シーケンスではないと判定された場合(ステップS107のNO)は、動作パターンで定められた動作シーケンスを一つ進めて(ステップS108)、上記ステップS101に移行して、以降の処理を繰り返す。例えば、上述した動作パターン番号1(Pattern1)の動作パターンは、「動作1」の動作シーケンスしかないため、上記ステップS107では最終シーケンスと判定され得るが、動作パターン番号2(Pattern2)の動作パターンでは、「動作1」~「動作6」の動作シーケンスがあるので、「動作6」の動作シーケンスに至るまでは、上記ステップS107では最終シーケンスとは判定され得ず、上記ステップS108により動作シーケンスが進められる。
【0092】
一方、ステップS104の第2判定工程では、上記ステップS103にて、干渉する可能性のある動作があると判定された場合(ステップS103のYES)に、例えば、ステップS101で取得したLS軸及びY軸の初期位置の位置情報と、ステップS102で特定された到達目標位置の位置情報と、の位置関係に基づき、実際に干渉するかが判定される。
【0093】
なお、この第2判定工程の位置情報には、プレスブレーキのテーブル位置の位置情報も含まれてもよい。このテーブル位置の位置情報を加味することによって、「危険領域」を、例えば、プレスブレーキのテーブル位置からL方向の後方側に所定範囲の領域等と定めることが可能となる。「危険領域」は、領域内でLS軸及びY軸の少なくとも一つが動作してしまうと危険な状態になる領域のことを言う。
【0094】
これらの位置関係に基づいて、実際に干渉しないと判定された場合(ステップS104のNO)は、上記ステップS105に移行して、以降の処理を繰り返す。また、実際に干渉すると判定された場合(ステップS104のYES)は、干渉回避動作(ステップS109)が実行される。
【0095】
なお、回避動作工程では、第1、第2及び第3突き当て機構30,40,50の少なくとも一つについて、先に第1動作軸(LS軸)に沿った第1回避動作を行った後、第2動作軸(Y軸)に沿った第2回避動作を行うことが実行される。すなわち、以降の干渉回避動作は、LS軸の回避動作(第1回避動作)を先に行ってからY軸の回避動作(第2回避動作)を行うという順番になっている。ただし、干渉回避動作は、これに限定されるものではない。
【0096】
図5に示すように、ステップS109の干渉回避動作においては、まず、干渉回避動作が中断状態であるかが判定される(ステップS111)。この「中断状態」とは、例えば、LS軸とY軸が別々に異時に動く場合であって、いずれかの動作シーケンスでLS軸を動作させてから、その後の動作シーケンスでY軸を動作させるときに、これらの間の動作シーケンスに他の動作軸の動作がある場合に、一旦回避動作を止めて中断した状態のことをいう。
【0097】
干渉回避動作が中断状態ではないと判定された場合(ステップS111のNO)は、第1回避動作のために、LS軸の退避が必要かが判定される(ステップS112)。このステップS112では、動作シーケンスにLS軸の動作が入るかによって退避が必要かが判定される。
【0098】
LS軸の退避が必要と判定された場合(ステップS112のYES)は、退避が必要なLS軸の目標位置(退避位置)を特定し(ステップS113)、退避不要なLS軸を動作軸の設定から除外する(ステップS114)。このステップS114の除外は、例えば、LS1軸~LS3軸のうち、退避不要なLS軸を動作させないために行われる。
【0099】
そして、Y軸を動作軸の設定から除外し(ステップS115)、第1回避動作として、退避が必要とされたLS軸の各動作軸(退避が必要なLS軸が一つである場合はその動作軸)を退避位置へ位置決め動作させる(ステップS116)。ステップS115の除外は、第1回避動作でY軸を動作させないために行われる。なお、上記ステップS112にてLS軸の退避が必要ではないと判定された場合(ステップS112のNO)は、上記ステップS115に移行してY軸の動作軸設定からの除外が行われる。
【0100】
その後、退避位置への全ての動作軸の位置決め動作が完了したかが判定され(ステップS117)、位置決め動作が完了するまで(ステップS117のNO)、退避位置への位置決め動作が行われる(ステップS116)。こうして、全ての動作軸の位置決め動作が完了したら(ステップS117のYES)、干渉回避動作を中断するかが判定される(ステップS118)。
【0101】
このステップS118での判定においては、例えば、上述した動作パターン番号1(Pattern1)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンス「L,LS,Y,Z」には、「LS,Y」の動作が含まれているため、干渉回避動作を中断しない(ステップS118のNO)と判定され得る。
【0102】
また、例えば、上述した動作パターン番号5(Pattern5)の動作パターンの「動作2」の動作シーケンス「L(sp4),LS」と、「動作4」の動作シーケンス「Y」と、の間には、動作3の動作シーケンス「Z(sp2)」があるため、干渉回避動作を中断する(ステップS118のYES)と判定され得る。つまり、ステップS118では、LS軸とY軸が同時に動く場合は中断せず、LS軸とY軸が別々に動く場合は中断する、と判定される。
【0103】
ステップS118にて干渉回避動作を中断すると判定された場合(ステップS118のYES)は、上記ステップS107に移行して最終シーケンスかが判定され、以降の処理を繰り返す。ステップS118にて干渉回避動作を中断しないと判定された場合(ステップS118のNO)は、第2回避動作に移行する。
【0104】
すなわち、図6に示すように、まず、干渉回避動作が中断状態であるかが判定される(ステップS120)。干渉回避動作が中断状態ではないと判定された場合(ステップS120のNO)は、第2回避動作のために、上記ステップS115で動作軸の設定から除外されたY軸を復帰させるため、動作軸をY軸に変更する(ステップS121)。
【0105】
そして、現在位置の各動作軸のY軸間隔のチェックが必要かが判定され(ステップS122)、必要と判定された場合(ステップS122のYES)は、第2回避動作として、各動作軸を到達目標位置へ位置決め動作させて(ステップS123)、Y軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットに到達したかが判定される(ステップS124)。
【0106】
なお、上記ステップS111で干渉回避動作が中断状態であると判定された場合(ステップS111のYES)、及び上記ステップS120で干渉回避動作が中断状態であると判定された場合(ステップS120のYES)は、上記ステップS122に移行してY軸間隔のチェックの必要性が判定される。
【0107】
Y軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットに到達していないと判定された場合(ステップS124のNO)は、上記ステップS123に移行して位置決め動作が継続され、Y軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットに到達したと判定されたら(ステップS124のYES)、動作軸の設定をY軸とLS軸に設定し(ステップS125)、LS軸の最終的な到達目標位置を特定する(ステップS126)。
【0108】
すなわち、第2回避動作は、第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの基台部31,41の基準軸P1,P2と、第3突き当て機構50の基台部51の基準軸P3と、のY方向(第2方向)の間隔が、Y軸間隔リミット(所定間隔)を超えるまで行われる。
【0109】
そして、干渉回避動作(回避動作工程)では、第2回避動作においてY方向(第2方向)の間隔がY軸間隔リミット(所定間隔)を超えた時点で、第1及び第2動作軸(LS軸,Y軸)に沿った第3回避動作を行う。すなわち、上記ステップS126にてLS軸の最終的な到達目標位置を特定したら、第3回避動作として、各動作軸(LS軸,Y軸)を最終的な目標位置へ位置決め動作させる(ステップS127)。
【0110】
なお、このY軸の動作は、上記ステップS123から開始されたまま、途中で停止することなくこのステップS127においても継続して行われてもよい。この第3回避動作は、LS軸及びY軸を同時に動作させるので、結果的に斜めに移動させる動作を含むものとなる。
【0111】
ステップS127にて位置決め動作が行われたら、全ての動作軸についての位置決め動作が完了したかが判定され(ステップS128)、位置決め動作が完了するまで(ステップS128のNO)、最終的な目標位置への位置決め動作が行われる(ステップS127)。こうして、全ての動作軸の位置決め動作が完了したら(ステップS128のYES)、上記ステップS107に移行して最終シーケンスかが判定され、以降の処理を繰り返す。
【0112】
以上のようにバックゲージ装置20の干渉回避動作を含む動作制御処理が行われることにより、特殊形状(クランク形状及びT字形状)の突き当て部32,42,52を有する複数の突き当て機構30~50の動作において、突き当て機構30~50同士の干渉を回避することができる。
【0113】
[干渉回避動作の動作例]
次に、上記の動作制御処理における干渉回避動作の動作例について説明する。
図7A及び図7Bは、干渉回避動作の動作例1を概略的に説明するための図である。
動作例1の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号1(Pattern1)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおいて、「L,LS,Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸が、動作軸の位置関係からケース1の干渉が予想される場合を想定している。なお、第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされる。また、上述した「動作N」の動作シーケンスは「動作1」となる。
【0114】
図7Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、突き当て部32,52にケース1の干渉が発生し得る状態で位置している。
【0115】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を目標位置へ移動させると共に、Z方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させ、第1~第3突き当て機構30~50の突き当て部32~52が干渉回避位置ライン8を跨ぐように、各動作軸(LS軸、Y軸)を全体的に干渉回避位置ライン8の近傍に移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のNO、S115、S116、S117のYES、及びS118のNOのフローに該当する。
【0116】
次に、回避動作(2)において、図中白抜き矢印で示すように、第1~第3突き当て機構30~50のY軸(YS1軸~YS3軸)を、干渉回避位置ライン8の近傍でそれぞれY方向の右側に移動させて目標位置(到達目標位置)へ移動させると共に、YS1軸とYS3軸のY軸間隔がY軸間隔リミットを超えた時点で回避動作(3)を開始する。この回避動作(2)は、例えば、上記ステップS120のNO、S121、S122のYES、S123、及びS124のYESのフローに該当する。
【0117】
図7Bに示すように、回避動作(3)は、図中点線矢印で示すように、第1~第3突き当て機構30~50のY軸の移動は継続しつつ、LS軸(LS1軸~LS3軸)を干渉回避位置ライン8の近傍の目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。図示の例では、第1突き当て機構30は、Y軸の移動及びLS1軸のL方向の後方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め後方側に移動される。また、第2及び第3突き当て機構40,50は、Y軸の移動並びにLS2軸及びLS3軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに移動させて、回避動作を終了させる。
【0118】
このとき、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1突き当て機構30のLS1軸は、突き当て部32の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第2及び第3突き当て機構40,50のLS2軸及びLS3軸は、突き当て部42,52の先端が干渉回避位置ライン8よりもL方向の前方側に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のフローに該当する。
【0119】
図8A及び図8Bは、干渉回避動作の動作例2を概略的に説明するための図である。
動作例2の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号1(Pattern1)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおいて、「L,LS,Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸が、動作軸の位置関係からケース2の干渉が予想される場合を想定している。なお、第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされる。また、上述した「動作N」の動作シーケンスは「動作1」となる。
【0120】
図8Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、突き当て部32,52にケース2の干渉が発生し得る状態で位置している。
【0121】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を目標位置へ移動させると共に、Z方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させ、第1及び第3突き当て機構30,50の突き当て部32,52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、LS1軸及びLS3軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の後方側へ移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のYES、ステップS113~ステップS117のYESのフローに該当する。
【0122】
次に、回避動作(2)については、ケース1に該当する動作軸がないためスキップされ、回避動作(3)が行われる。図8Bに示すように、回避動作(3)は、図中点線矢印で示すように、第1及び第2突き当て機構30,40のY軸(YS1軸,YS2軸)をY方向の右側に移動させると共に、LS軸(LS1軸,LS2軸)をL方向の前方側及び後方側にそれぞれ移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。これと共に、図中白抜き矢印で示すように、第3突き当て機構50のY軸(YS3軸)をY方向の右側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。
【0123】
図示の例では、第1突き当て機構30は、Y軸の移動及びLS1軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。また、第2突き当て機構40は、Y軸の移動及びLS2軸のL方向の後方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め後方側に移動される。更に、第3突き当て機構50は、Y軸の移動によって、Y方向右側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに及びY方向に移動させて、回避動作を終了させる。
【0124】
このとき、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1突き当て機構30のLS1軸は、突き当て部32の先端が干渉回避位置ライン8よりもL方向の前方側に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第2及び第3突き当て機構40,50のLS2軸及びLS3軸は、突き当て部42,52の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYESのフローに該当する。
【0125】
図9A及び図9Bは、干渉回避動作の動作例3を概略的に説明するための図である。
動作例3の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号4(Pattern4)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおける「L(sp4),LS」の動作、及び「動作2」の動作シーケンスにおける「Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸が、動作軸の位置関係からケース1の干渉が予想される場合を想定している。なお、第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされる。また、上述した「動作M」の動作シーケンスは「動作1」となり、「動作N」の動作シーケンスは「動作2」となる。すなわち、以下の回避動作(1)までが「動作1」となり、回避動作(2)からが「動作2」となる。
【0126】
図9Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置及びそのL方向の後方側の危険領域6を画定するL軸退避位置ライン7に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、突き当て部32,52にケース1の干渉が発生し得る状態で位置している。
【0127】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を退避位置となるL軸退避位置ライン7の近傍に移動させ、第1~第3突き当て機構30~50の突き当て部32~52が干渉回避位置ライン8を跨ぎ、且つ、その先端がL軸退避位置ライン7のL方向の後方側近傍に位置するように、各動作軸(LS軸,Y軸)を全体的にL軸退避位置ライン7の近傍に移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のNO、S115~S117のYESのフローに該当する。
【0128】
次に、回避動作(2)において、図中白抜き矢印で示すように、第1~第3突き当て機構30~50のY軸(YS1軸~YS3軸)を、L軸退避位置ライン7の近傍でそれぞれY方向の右側に移動させて目標位置(到達目標位置)へ移動させると共に、ガイドビーム63をZ方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させ、YS1軸とYS3軸のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットを超えた時点で回避動作(3)を開始する。この回避動作(2)は、例えば、上記ステップS120のNO、S121、S122のYES、S123、S124のYESのフローに該当する。
【0129】
図9Bに示すように、回避動作(3)は、図中点線矢印で示すように、第1~第3突き当て機構30~50のY軸及びZ軸の移動は継続しつつ、LS軸(LS1軸~LS3軸)を干渉回避位置ライン8の近傍の目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。図示の例では、Z軸の移動に伴う到達位置については省略するが、第1突き当て機構30は、Y軸(及びZ軸)の移動及びLS1軸のL方向の後方側への移動によって、上面視で見て図中白抜き矢印で示すように右斜め後方側に移動される。また、第2及び第3突き当て機構40,50は、Y軸(及びZ軸)の移動並びにLS2軸及びLS3軸のL方向の前方側への移動によって、上面視で見て図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに移動させて、回避動作を終了させ、「動作3」の動作シーケンスである「L」の動作へ移行する。
【0130】
回避動作終了時点では、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1突き当て機構30のLS1軸は、突き当て部32の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第2及び第3突き当て機構40,50のLS2軸及びLS3軸は、突き当て部42,52の先端がL軸退避位置ライン7上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYES、S107のNOのフローに該当する。
【0131】
図10A及び図10Bは、干渉回避動作の動作例4を概略的に説明するための図である。
動作例4の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号4(Pattern4)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおける「L(sp4),LS」の動作、及び「動作2」の動作シーケンスにおける「Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸が、動作軸の位置関係からケース2の干渉が予想される場合を想定している。なお、第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされる。また、上述した「動作M」の動作シーケンスは「動作1」となり、「動作N」の動作シーケンスは「動作2」となる。すなわち、以下の回避動作(1)までが「動作1」となり、回避動作(2)からが「動作2」となる。
【0132】
図10Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置及び危険領域6に接するL軸退避位置ライン7に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、突き当て部32,52にケース2の干渉が発生し得る状態で位置している。
【0133】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を退避位置となるL軸退避位置ライン7の近傍に移動させると共に、第1及び第3突き当て機構30,50の突き当て部32,52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、LS1軸及びLS3軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側及び後方側へそれぞれ移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のYES、ステップS113~ステップS117のYESのフローに該当する。
【0134】
次に、回避動作(2)については、ケース1に該当する動作軸がないためスキップされ、回避動作(3)が行われる。図10Bに示すように、回避動作(3)は、図中点線矢印で示すように、第1及び第2突き当て機構30,40のY軸(YS1軸,YS2軸)をY方向の右側に移動させると共に、LS軸(LS1軸,LS2軸)をL方向の前方側にそれぞれ移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。これと共に、図中白抜き矢印で示すように、第3突き当て機構50のY軸(YS3軸)をY方向の右側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。
【0135】
図示の例では、第1及び第2突き当て機構30,40は、Y軸の移動並びにLS1軸及びLS2軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すようにそれぞれ右斜め前方側に移動される。また、第3突き当て機構50は、Y軸の移動によって、Y方向右側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに及びY方向に移動させて、回避動作を終了させ、「動作3」の動作シーケンスである「L」の動作へ移行する。
【0136】
回避動作終了時点では、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1及び第2突き当て機構30,40のLS1軸及びLS2軸は、突き当て部32,42の先端がL軸退避位置ライン7上に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第3突き当て機構50のLS3軸は、突き当て部52の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYES、S107のNOのフローに該当する。
【0137】
図11A図11B及び図11Cは、干渉回避動作の動作例5を概略的に説明するための図である。
動作例5の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号3(Pattern3)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおける「L(sp4),LS,Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸が、動作軸の位置関係からケース1の干渉が予想される場合を想定している。なお、第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされるが、上記の「動作N’-(1)」における条件2の「現在位置が、最も手前のLS軸の目標位置よりも前方側にあるLS軸」に該当するとされる。また、上述した「動作N」の動作シーケンスは「動作1」となる。
【0138】
図11Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置及び危険領域6に接するL軸退避位置ライン7に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、突き当て部32,52にケース1の干渉が発生し得る状態で、LS2軸が条件2となり得る位置に位置している。
【0139】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を退避位置となるL軸退避位置ライン7の近傍へ移動させると共に、Z方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させ、第1及び第3突き当て機構30,50の突き当て部32,52が干渉回避位置ライン8を跨ぎ、且つ、第2突き当て機構40の突き当て部42の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、各動作軸(LS軸、Y軸)を全体的に干渉回避位置ライン8の近傍に移動させると共に、LS2軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の後方側へ移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のYES~S118のNOのフローに該当する。
【0140】
次に、回避動作(2)において、図中白抜き矢印で示すように、第1~第3突き当て機構30~50のY軸(YS1軸~YS3軸)を、干渉回避位置ライン8の近傍でそれぞれY方向の右側に移動させて目標位置(到達目標位置)へ移動させると共に、YS1軸とYS3軸のY軸間隔がY軸間隔リミットを超えた時点で回避動作(3)を開始する。この回避動作(2)は、例えば、上記ステップS120のNO、S121、S122のYES~S124のYESのフローに該当する。
【0141】
図11Bに示すように、回避動作(3)は、図中点線矢印で示すように、第1~第3突き当て機構30~50のY軸の移動は継続しつつ、LS軸(LS1軸~LS3軸)を干渉回避位置ライン8の近傍の目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。図示の例では、第1突き当て機構30は、Y軸の移動及びLS1軸のL方向の後方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め後方側に移動される。また、第2及び第3突き当て機構40,50は、Y軸の移動並びにLS2軸及びLS3軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに移動させて、回避動作を終了させ、「動作2」の動作シーケンスである「L」の動作へ移行する。
【0142】
回避動作終了時点では、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1突き当て機構30のLS1軸は、突き当て部32の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第2及び第3突き当て機構40,50のLS2軸及びLS3軸は、突き当て部42,52の先端がL軸退避位置ライン7上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYES、S107のNOフローに該当する。
【0143】
なお、上記回避動作(1)において、第2突き当て機構40のLS2軸を、第2突き当て機構40の突き当て部42の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように移動させる理由は、次の通りである。すなわち、図11Cに示すように、回避動作(1)で第2突き当て機構40のLS2軸を移動させない場合は、次の回避動作(2)において、第2突き当て機構40の突き当て部42の先端が元の動作シーケンスで指定された動作では、L軸退避位置ライン7よりもL方向の前方側(例えば、危険領域6内)に位置した状態でYS2軸が、図中白抜き矢印で示すようにY方向に動作することとなるので、大変危険だからである。この状況を防ぐため、第2突き当て機構40のLS2軸を回避動作(1)において干渉回避位置ライン8側へ移動させている。この動作は、上記条件2の説明で言及した回避動作に対応する。
【0144】
図12A及び図12Bは、干渉回避動作の動作例6を概略的に説明するための図である。
動作例6の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号3(Pattern3)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおける「L(sp4),LS,Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸が、動作軸の位置関係からケース2の干渉が予想される場合を想定している。なお、第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされるが、上記の「動作N’-(1)」における条件2の「現在位置が、最も手前のLS軸の目標位置よりも前方側にあるLS軸」に該当するとされる。また、上述した「動作N」の動作シーケンスは「動作1」となる。
【0145】
図12Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置及び危険領域6に接するL軸退避位置ライン7に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、突き当て部32,52にケース2の干渉が発生し得る状態で、LS2軸が条件2となり得る位置に位置している。
【0146】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を退避位置となるL軸退避位置ライン7の近傍へ移動させると共に、Z方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させる。これと共に、第1及び第3突き当て機構30,50の突き当て部32,52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、LS1軸及びLS3軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側及び後方側へそれぞれ移動させる。また、第2突き当て機構40の突き当て部42の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、LS2軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の後方側へ移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のYES~S118のNOのフローに該当する。
【0147】
次に、回避動作(2)については、ケース1に該当する動作軸がないためスキップされ、回避動作(3)が行われる。図12Bに示すように、回避動作(3)は、図中点線矢印で示すように、第1及び第2突き当て機構30,40のY軸(YS1軸,YS2軸)をY方向の右側に移動させると共に、LS軸(LS1軸,LS2軸)をL方向の前方側にそれぞれ移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。これと共に、図中白抜き矢印で示すように、第3突き当て機構50のY軸(YS3軸)をY方向の右側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。
【0148】
図示の例では、第1及び第2突き当て機構30,40は、Y軸の移動並びにLS1軸及びLS2軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。また、第3突き当て機構50は、Y軸の移動によって、Y方向右側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに及びY方向に移動させて、回避動作を終了させ、「動作2」の動作シーケンスである「L」の動作へ移行する。
【0149】
回避動作終了時点では、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1及び第2突き当て機構30,40のLS1軸及びLS1軸は、突き当て部32,42の先端がL軸退避位置ライン7上に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第3突き当て機構50のLS3軸は、突き当て部52の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYES、S107のNOのフローに該当する。なお、上記回避動作(1)において、第2突き当て機構40のLS2軸を干渉回避位置ライン8側へ移動させた理由は、上記動作例5で説明した理由と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0150】
図13A図13B及び図13Cは、干渉回避動作の動作例7を概略的に説明するための図である。
動作例7の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号1(Pattern1)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおいて、「L,LS,Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸が、動作軸の位置関係からケース2の干渉が予想される場合を想定している。なお、第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされるが、下記の回避動作(1)において、上記の「動作N’-(1)」における条件3の「LS軸を干渉回避位置に移動させることで、新たに干渉が発生してしまうLS軸」に該当するとされる。また、上述した「動作N」の動作シーケンスは「動作1」となる。
【0151】
図13Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、突き当て部32,52にケース2の干渉が発生し得る状態で、LS2軸が条件3となる位置に位置している。
【0152】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を目標位置へ移動させると共に、Z方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させ、第1~第3突き当て機構30~50の突き当て部32~52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、LS1軸~LS3軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側へそれぞれ移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のYES~S118のNOのフローに該当する。
【0153】
次に、回避動作(2)については、ケース1に該当する動作軸がないためスキップされ、回避動作(3)が行われる。図13Bに示すように、回避動作(3)は、図中点線矢印で示すように、第1突き当て機構30のY軸(YS1軸)をY方向の右側に移動させると共に、LS軸(LS1軸)をL方向の前方側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。これと共に、図中白抜き矢印で示すように、第2及び第3突き当て機構40,50のY軸(YS2軸,YS3軸)をY方向の右側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。図示の例では、第1突き当て機構30は、Y軸の移動及びLS1軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。また、第2及び第3突き当て機構40,50は、Y軸の移動によって、Y方向右側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに及びY方向に移動させて、回避動作を終了させる。
【0154】
このとき、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に十分離れて位置している。また、第1突き当て機構30のLS1軸は、突き当て部32の先端が干渉回避位置ライン8よりもL方向の前方側のテーブル9に近い位置に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第2及び第3突き当て機構40,50のLS2軸及びLS3軸は、突き当て部42,52の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYESのフローに該当する。
【0155】
なお、上記回避動作(1)において、第2突き当て機構40のLS2軸を、第2突き当て機構40の突き当て部42の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように移動させる理由は、次の通りである。すなわち、図13Cに示すように、回避動作開始時点の初期位置における動作軸の位置関係だけを見ると、LS2軸側では干渉は発生しないため、LS2軸を干渉回避位置ライン8側へ移動させる必要はない。しかし、第1突き当て機構30のLS1軸側でのケース2による干渉を回避するため、LS1軸及びLS3軸を干渉回避位置ライン8側へ移動させることで、結果的にLS2軸が条件3に該当し、LS2軸側でも干渉が発生してしまうこととなる。この状況を防ぐため、第2突き当て機構40のLS2軸を回避動作(1)においてLS3軸と同時に干渉回避位置ライン8側へ移動させている。この動作は、上記条件3の説明で言及した回避動作に対応する。
【0156】
図14A図14B及び図14Cは、干渉回避動作の動作例8を概略的に説明するための図である。
動作例8の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号3(Pattern3)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおける「L(sp4),LS,Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸及び第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされる。但し、第2突き当て機構40のLS2軸が、上記の「動作N’-(1)」における条件2の「現在位置が、最も手前のLS軸の目標位置よりも前方側にあるLS軸」に該当すると共に、下記の回避動作(1)において、上記の「動作N’-(1)」における条件3の「LS軸を干渉回避位置に移動させることで、新たに干渉が発生してしまうLS軸」に該当するとされる。また、上述した「動作N」の動作シーケンスは「動作1」となる。
【0157】
図14Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置及び危険領域6に接するL軸退避位置ライン7に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、LS2軸が条件2及び条件3となり得る位置に位置している。
【0158】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を退避位置となるL軸退避位置ライン7の近傍へ移動させると共に、Z方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させる。これと共に、第2及び第3突き当て機構40,50の突き当て部42,52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、LS2軸及びLS3軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の後方側へそれぞれ移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のYES~S118のNOのフローに該当する。
【0159】
次に、回避動作(2)については、ケース1に該当する動作軸がないためスキップされ、回避動作(3)が行われる。図14Bに示すように、回避動作(3)は、図中白抜き矢印で示すように、第1突き当て機構30のLS軸(LS1軸)をL方向の後方側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させると共に、第3突き当て機構50のY軸(YS3軸)をY方向の左側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。これと共に、図中点線矢印で示すように、第2突き当て機構40のY軸(YS2軸)をY方向の右側に移動させると共に、LS軸(LS2軸)をL方向の前方側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。
【0160】
図示の例では、第1及び第3突き当て機構30,50は、LS1軸のL方向の後方側への移動及びY軸の移動によって、突き当て部32,52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、L方向の後方側及びY方向の左側にそれぞれ移動される。また、第2突き当て機構40は、Y軸の移動及びLS2軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに及びY方向に移動させて、回避動作を終了させ、「動作2」の動作シーケンスである「L」の動作へ移行する。
【0161】
回避動作終了時点では、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1及び第3突き当て機構30,50のLS1軸及びLS3軸は、突き当て部32,52の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第2突き当て機構40のLS2軸は、突き当て部42の先端がL軸退避位置ライン7上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYES、S107のNOのフローに該当する。
【0162】
なお、上記回避動作(1)において、第3突き当て機構50のLS3軸を、第3突き当て機構50の突き当て部52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように移動させる理由は、次の通りである。すなわち、図14Cに示すように、回避動作開始時点の初期位置における動作軸の位置関係だけを見ると、LS1軸側及びLS2軸側では干渉は発生しないため、LS3軸を干渉回避位置ライン8側へ移動させる必要はない。しかし、回避動作(1)において、第2突き当て機構40の突き当て部42の先端が元の動作シーケンスで指定された動作によって、条件2のLS軸となって動作してしまわないようLS2軸を干渉回避位置ライン8側へ移動させることで、結果的にLS2軸が条件3に該当し、LS2軸側でも干渉が発生してしまうこととなる。この状況を防ぐため、第3突き当て機構50のLS3軸を回避動作(1)においてLS2軸と同時に干渉回避位置ライン8側へ移動させている。この動作は、上記条件3の説明で言及した回避動作に対応する。
【0163】
図15A図15B及び図15Cは、干渉回避動作の動作例9を概略的に説明するための図である。
動作例9の干渉回避動作のシナリオは、動作パターン番号3(Pattern3)の動作パターンの「動作1」の動作シーケンスにおける「L(sp4),LS,Y,Z」の動作により、第1突き当て機構30のLS1軸及び第2突き当て機構40のLS2軸については干渉しないこととされる。但し、第2突き当て機構40のLS2軸が、上記の「動作N’-(1)」における条件2の「現在位置が、最も手前のLS軸の目標位置よりも前方側にあるLS軸」に該当すると共に、下記の回避動作(3)において、上記の「動作N’-(1)」における条件3の「LS軸を干渉回避位置に移動させることで、新たに干渉が発生してしまうLS軸」に該当するとされる。また、上述した「動作N」の動作シーケンスは「動作1」となる。
【0164】
図15Aに示すように、回避動作開始の段階では、第1~第3突き当て機構30~50のLS軸(LS1軸~LS3軸)及びY軸(YS1軸~YS3軸)は、プレスブレーキのテーブル9の位置及び危険領域6に接するL軸退避位置ライン7に対して、ガイドビーム63がL方向の後方側に十分離れた初期位置に位置しているが、LS2軸が条件2及び条件3となり得る位置に位置している。
【0165】
この状態から、回避動作(1)において、ガイドビーム63を、図中白抜き矢印で示すように、L方向の前方側に移動させてL軸を退避位置となるL軸退避位置ライン7の近傍へ移動させると共に、Z方向に移動させてZ軸を目標位置へ移動させる。これと共に、第2及び第3突き当て機構40,50の突き当て部42,52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、LS2軸及びLS3軸を干渉回避位置ライン8まで図中白抜き矢印で示すように、L方向の後方側へそれぞれ移動させる。この回避動作(1)は、例えば、上記ステップS111のNO、S112のYES~S118のNOのフローに該当する。
【0166】
次に、回避動作(2)については、ケース1に該当する動作軸がないためスキップされ、回避動作(3)が行われる。図15Bに示すように、回避動作(3)は、図中白抜き矢印で示すように、第1突き当て機構30のLS軸(LS1軸)をL方向の後方側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させると共に、第3突き当て機構50のY軸(YS3軸)をY方向の右側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。これと共に、図中点線矢印で示すように、第2突き当て機構40のY軸(YS2軸)をY方向の右側に移動させると共に、LS軸(LS2軸)をL方向の前方側に移動させて目標位置(最終的な到達目標位置)へ移動させる。
【0167】
図示の例では、第1及び第3突き当て機構30,50は、LS1軸のL方向の後方側への移動及びY軸の移動によって、突き当て部32,52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように、L方向の後方側及びY方向の右側にそれぞれ移動される。また、第2突き当て機構40は、Y軸の移動及びLS2軸のL方向の前方側への移動によって、図中白抜き矢印で示すように右斜め前方側に移動される。これにより、第1~第3突き当て機構30~50を、突き当て部32~52が干渉することなく最終的な目標位置へ斜めに及びY方向に移動させて、回避動作を終了させ、「動作2」の動作シーケンスである「L」の動作へ移行する。
【0168】
回避動作終了時点では、ガイドビーム63は、干渉回避位置ライン8よりもL方向の後方側に位置している。また、第1及び第3突き当て機構30,50のLS1軸及びLS3軸は、突き当て部32,52の先端が干渉回避位置ライン8上に位置した最終的な目標位置に位置している。更に、第2突き当て機構40のLS2軸は、突き当て部42の先端がL軸退避位置ライン7上に位置した最終的な目標位置に位置している。この回避動作(3)は、例えば、上記ステップS125~S128のYES、S107のNOのフローに該当する。
【0169】
なお、上記回避動作(1)において、第3突き当て機構50のLS3軸を、第3突き当て機構50の突き当て部52の先端が干渉回避位置ライン8上にくるように移動させる理由は、次の通りである。すなわち、図15Cに示すように、回避動作開始時点の初期位置における動作軸の位置関係だけを見ると、LS1軸側及びLS2軸側では干渉は発生しないため、LS3軸を干渉回避位置ライン8側へ移動させる必要はない。しかし、回避動作(1)において、第2突き当て機構40の突き当て部42の先端が元の動作シーケンスで指定された動作によって、条件2のLS軸となって動作してしまわないようLS2軸を干渉回避位置ライン8側へ移動させる。
【0170】
これにより、LS2軸がLS3軸よりもL方向の後方側に位置した状態から動作し始めることになるので、到達目標位置におけるYS2軸とYS3軸とのY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットよりも狭くなる場合に、回避動作(3)においてLS2軸が条件3に該当し、LS2軸側でも干渉が発生してしまう、すなわち、ケース2の動作に相当するため干渉するおそれがある。この状況を防ぐため、第3突き当て機構50のLS3軸を回避動作(1)においてLS2軸と同時に干渉回避位置ライン8側へ移動させている。この動作は、上記条件3の説明で言及した回避動作に対応する。
【0171】
このように、一実施形態に係るバックゲージ装置20の動作制御処理では、第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの動作と、第3突き当て機構50の動作と、において、特殊形状の突き当て部32~52を有する突き当て機構30~50同士の干渉が発生する場合に、上記のような干渉回避動作を行うようにしているので、突き当て機構30~50同士の干渉を効果的に回避しながらバックゲージ装置20を動作させることが可能となる。
【0172】
[一実施形態に係る突き当て機構の動作制御方法の効果]
以上説明したように、一実施形態に係る突き当て機構30~50の動作制御方法によれば、Y方向の両側に位置して突き当て部32,42がオフセット配置されたクランク形状の第1及び第2突き当て機構30,40の少なくとも一つの動作と、これらの中間に位置する第3突き当て機構50の動作と、が互いに干渉するかを判定する。そして、判定結果に基づいて、第1、第2及び第3突き当て機構30~50の少なくとも一つに干渉を回避する干渉回避動作を行わせる。これにより、特殊形状の突き当て部32~52を有する複数の突き当て機構30~50の動作において、突き当て機構30~50同士の干渉を確実に回避し、バックゲージ装置20を安全に動作させることが可能となる。
【0173】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、一実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0174】
例えば、上述した一実施形態では、図4図6に示した動作制御処理のフローにおいて、動作パターンの複数の動作シーケンスに従った動作をリアルタイムで判定し、干渉する場合に干渉回避動作を行う態様について説明したが、これに限定されない。例えば、NC装置10のバックゲージ制御部14において、通知された動作パターン番号に基づく動作パターンの複数の動作シーケンスを予め分析し、干渉の判定を行って回避動作が必要な場合はそれを組み込んだ動作シーケンス(プログラム)を作成しておく。そして、バックゲージ装置20の動作が開始されたら、作成された動作シーケンスに基づき回避動作を含む動作制御を行うようにすればよい。
【0175】
また、上述した一実施形態では、第3突き当て機構50が、突き当て部52が基台部51の基準軸P3に対してセンター配置されたT字形状を有するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、第3突き当て機構50が、複数の基台部及びL字形状の突き当て部の組み合わせにより構成されていてもよい。このように構成されても、例えば、突き当て部のL字部分の長辺同士が隣接するように配置して、これらの突き当て部が上面視で見てT字形状となるような第3突き当て機構50を備えることが可能となる。
【0176】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0177】
10 NC装置
11 HMIアプリケーション
12 動作パターン決定部
13 ファームウェア(Firmware)
14 バックゲージ制御部
20 バックゲージ装置
30 第1突き当て機構
31 基台部
32 突き当て部
40 第2突き当て機構
41 基台部
42 突き当て部
50 第3突き当て機構
51 基台部
52 突き当て部
61,62 ガイドフレーム
63 ガイドビーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
また、「動作N’-(2)」は、ケース1に該当する動作軸があった場合に、該当する動作軸と隣接する動作軸のY軸間隔がシフト可能なY軸間隔リミットを超えた時点でLS軸を目標位置へ移動させる動作である。なお、該当する動作軸がない場合は、即座にLS軸及び「動作N」で動かす動作軸を目標位置へ移動させる動作を行う。