(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057955
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】アクチュエータ及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/64 20060101AFI20240418BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20240418BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240418BHJP
【FI】
B60N2/64
B60N2/68
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164969
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】上木 昌徳
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA01
3B087BD01
3B087BD02
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】シートバックを構成する部品の点数が多くなることを抑制する。
【解決手段】アクチュエータ18は、着座乗員の背部を支持するシートバックに設けられかつストライカに係止されるロック部と連結される連結部28Eを有するリンク28を備えている。リンク28が第1の位置に位置している状態では、ロック部がストライカに係止されている状態が保たれる。リンク28が第2の位置に位置している状態では、ロック部をストライカから離脱可能となる。また、アクチュエータ18は、モータ30を備えている。さらに、アクチュエータ18は、リンク28と係合可能に設けられ、手動で操作されることでリンク28を第1の位置から第2の位置へ変位させるレバーを備えている。また、アクチュエータ18は、リンク28と係合可能に設けられ、モータ30の回転力が伝達されることでリンク28を第1の位置から第2の位置へ変位させるプローブ34を備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックに設けられかつロック対象部に係止されるロック部と連結される連結部を有し、第1の位置に位置している状態では前記ロック部が前記ロック対象部に係止されている状態が保たれ、第2の位置に位置している状態では前記ロック部をロック対象部から離脱可能とする被操作部と、
通電がなされることで回転するモータと、
前記被操作部と係合可能に設けられ、手動で操作されることで前記被操作部を前記第1の位置から前記第2の位置へ変位させる手動操作部と、
前記被操作部と係合可能に設けられ、前記モータの回転力が伝達されることで前記被操作部を前記第1の位置から前記第2の位置へ変位させる電動操作部と、
を備えたアクチュエータ。
【請求項2】
前記被操作部は、前記手動操作部に押圧される第1被押圧部と、前記電動操作部に押圧される第2被押圧部と、を有すると共に、前記第1被押圧部と前記第2被押圧部との間が回転可能に支持されており、
前記手動操作部が操作されることで、前記手動操作部が前記第1被押圧部を押圧して、前記被操作部が前記第1の位置から前記第2の位置へ回転し、
前記モータの回転力が前記電動操作部に伝達されることで、前記電動操作部が前記第2被押圧部を押圧して、前記被操作部が前記第1の位置から前記第2の位置へ回転する請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記電動操作部は、シャフトに支持されており、
前記モータが回転することで、前記電動操作部が前記シャフトの軸方向に沿って移動する請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッションと、
着座乗員の背部を後方側から支持すると共に、前記シートクッションに対して傾動可能に設けられたシートバックと、
前記シートバックに固定され、車体側に設けられたロック対象部に係止されるロック部と、
前記シートバックに固定され、前記連結部が前記ロック部と連結された請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータと、
を備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、アクチュエータを搭載した車両用シートのバックフレームが開示されている。この文献に記載された構成では、バックフレームの下側のシート幅方向外側の端部に取付用のブラケットを追加し、このブラケットにアクチュエータを取り付けている。また、バックフレームの上側のシート幅方向外側の端部には、ロック機構が設けられている。そして、アクチュエータとロック機構とは、ケーブルを介して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アクチュエータとロック機構を手動で操作する操作部とが、それぞれバックフレームの異なる位置に設けられている構成では、シートバックを構成する部品の点数が多くなることが考えられる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、シートバックを構成する部品の点数が多くなることを抑制することができるアクチュエータ及び車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のアクチュエータは、シートバックに設けられかつロック対象部に係止されるロック部と連結される連結部を有し、第1の位置に位置している状態では前記ロック部が前記ロック対象部に係止されている状態が保たれ、第2の位置に位置している状態では前記ロック部をロック対象部から離脱可能とする被操作部と、通電がなされることで回転するモータと、前記被操作部と係合可能に設けられ、手動で操作されることで前記被操作部を前記第1の位置から前記第2の位置へ変位させる手動操作部と、前記被操作部と係合可能に設けられ、前記モータの回転力が伝達されることで前記被操作部を前記第1の位置から前記第2の位置へ変位させる電動操作部と、を備えている。
【0007】
第1の態様のアクチュエータによれば、被操作部の連結部が、シートバックに設けられたロック部と連結される。また、被操作部が第1の位置に位置している状態では、ロック部がロック対象部に係止されている状態が保たれる。ここで、手動操作部が手動で操作されると、当該手動操作部が被操作部を第1の位置から第2の位置へ変位させる。これにより、ロック部をロック対象部から離脱可能とすることができる。また、モータの回転力が電動操作部に伝達されると、当該電動操作部が被操作部を第1の位置から第2の位置へ変位させる。これにより、ロック部をロック対象部から離脱可能とすることができる。ところで、第1の態様のアクチュエータは、手動で操作される手動操作部と、電動で作動するモータ及び電動操作部と、を備えている。これにより、第1の態様のアクチュエータでは、手動操作部をアクチュエータとは別部品とする構成に比べて、シートバックを構成する部品の点数が多くなることを抑制することができる。
【0008】
第2の態様のアクチュエータは、第1の態様のアクチュエータにおいて、前記被操作部は、前記手動操作部に押圧される第1被押圧部と、前記電動操作部に押圧される第2被押圧部と、を有すると共に、前記第1被押圧部と前記第2被押圧部との間が回転可能に支持されており、前記手動操作部が操作されることで、前記手動操作部が前記第1被押圧部を押圧して、前記被操作部が前記第1の位置から前記第2の位置へ回転し、前記モータの回転力が前記電動操作部に伝達されることで、前記電動操作部が前記第2被押圧部を押圧して、前記被操作部が前記第1の位置から前記第2の位置へ回転する。
【0009】
第2の態様のアクチュエータによれば、手動操作部が操作されることで、手動操作部が被操作部の第1被押圧部を押圧して、被操作部が第1の位置から第2の位置へ回転する。また、モータの回転力が電動操作部に伝達されることで、電動操作部が第2被押圧部を押圧して、被操作部が第1の位置から第2の位置へ回転する。ここで、第2の態様のアクチュエータでは、被操作部の回転中心から第1被押圧部までの距離及び被操作部の回転中心から第2被押圧部までの距離を調節することにより、被操作部を回転させる回転力を調節することができる。
【0010】
第3の態様のアクチュエータは、第2の態様のアクチュエータにおいて、前記電動操作部は、シャフトに支持されており、前記モータが回転することで、前記電動操作部が前記シャフトの軸方向に沿って移動する。
【0011】
第3の態様のアクチュエータによれば、モータが回転すると、電動操作部がシャフトの軸方向に沿って移動する。これにより、被操作部の第2被押圧部を直線状に移動した電動操作部によって押圧することができる。
【0012】
第4の態様の車両用シートは、着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッションと、着座乗員の背部を後方側から支持すると共に、前記シートクッションに対して傾動可能に設けられたシートバックと、前記シートバックに固定され、車体側に設けられたロック対象部に係止されるロック部と、前記シートバックに固定され、前記連結部が前記ロック部と連結された第1の態様~第3の態様のいずれか1つの態様のアクチュエータと、を備えている。
【0013】
第4の態様の車両用シートによれば、アクチュエータの被操作部の連結部が、シートバックに設けられたロック部と連結されている。また、被操作部が第1の位置に位置している状態では、ロック部が車体側に設けられたロック対象部に係止されている状態が保たれる。これにより、シートバックのシートクッションに対する傾動が制限される。ここで、アクチュエータの手動操作部が手動で操作されると、当該手動操作部が被操作部を第1の位置から第2の位置へ変位させる。これにより、ロック部をロック対象部から離脱可能とすることができる。その結果、シートバックのシートクッションに対する傾動を許容することができる。また、アクチュエータのモータの回転力が電動操作部に伝達されると、当該電動操作部が被操作部を第1の位置から第2の位置へ変位させる。これにより、ロック部をロック対象部から離脱可能とすることができる。その結果、シートバックのシートクッションに対する傾動を許容することができる。ところで、第4の態様の車両用シートは、手動で操作される手動操作部と電動で作動するモータ及び電動操作部とを有するアクチュエータを備えている。これにより、第4の態様の車両用シートでは、手動操作部をアクチュエータとは別部品とする構成に比べて、シートバックを構成する部品の点数が多くなることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るアクチュエータ及び車両用シートは、シートバックを構成する部品の点数が多くなることを抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態の車両用シートを模式的に示す側面図である。
【
図2】本実施形態の車両用シートを模式的に示す側面図であり、
図1に示された状態に対してシートバックが前方側に倒された状態を示している。
【
図3】シートバックフレームに取付けられたアクチュエータを示す斜視図である。
【
図4】シートバックフレームに取付けられたアクチュエータ及びロック部を示す斜視図である。
【
図5】シートバックフレームに取付けられたアクチュエータ及びロック部を
図4とは反対側から見た斜視図である。
【
図6】アクチュエータを斜め上方側から見た斜視図である。
【
図7】アクチュエータを斜め下方側から見た斜視図である。
【
図8】アクチュエータを分解して示す分解斜視図である。
【
図9】ウォームギヤ、ホイールギヤ及びプローブ等を示す斜視図である。
【
図10】ウォームギヤ、ホイールギヤ及びプローブ等を示す斜視図であり、
図9に示された状態に対してプローブが移動した状態を示している。
【
図11】ウォームギヤ、ホイールギヤ、プローブ及びリンク等を示す斜視図である。
【
図12】
図6に示されたA-A線に沿って切断したアクチュエータを示す断面図である。
【
図13】
図6に示されたA-A線に沿って切断したアクチュエータを示す断面図であり、
図12に示された状態に対してレバーが倒された状態を示している。
【
図14】インジケータを備えたアクチュエータを示す斜視図である。
【
図15】インジケータを備えたアクチュエータを示す斜視図であり、レバーカバーが取外された状態を示している。
【
図16】
図15に示されたB-B線に沿って切断したアクチュエータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図13を用いて本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、車両用シート10に着座した乗員から見たシート前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート左右方向の左右を示すものとする。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッション12と、着座乗員の背部を後方側から支持するシートバック14と、を備えている。また、車両用シート10は、シートバック14に設けられたロック部16及びアクチュエータ18を備えている。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、シートバック14は、シートクッション12に対して前後方向に傾動可能となっている。そして、シートバック14に設けられたロック部16が車体側に設けられたロック対象部としてのストライカ20に係止された状態では、シートバック14のシートクッション12に対する傾動が制限される。これに対して、シートバック14に設けられたロック部16がストライカ20から離脱可能となっている状態では、シートバック14のシートクッション12に対する傾動が許容される。
【0019】
図3、
図4及び
図5に示されるように、アクチュエータ18は、シートバック14の骨格を構成するシートバックフレーム22の右側部位の上端部に固定されている。また、
図4に示されるように、ロック部16は、アクチュエータ18の下方側においてシートバックフレーム22の右側の部位に固定されている。
【0020】
図3、
図6、
図7及び
図8に示されるように、アクチュエータ18は、レバーケース24、レバーカバー26、リンク28、モータ30、ウォームギヤ32、プローブ34、ホイールギヤアセンブリ36、ギヤカバー38及びレバー40を備えている。
【0021】
図6及び
図7に示されるように、レバーケース24は、上方側が開放された箱状に形成されている。このレバーケース24の上方側の部位は、後述するレバー40が取付けられるレバー取付部24Aとなっている。また、レバーケース24の下方側の部位は、後述するモータ30等が取付けられる電動機構取付部24Bとなっている。さらに、レバーケース24の右側には、後述するリンク28が支持されるリンク支持部24Cが形成されている。
【0022】
図3に示されるように、レバーカバー26は、レバーケース24の上端部に取付けられる。このレバーカバー26には、矩形状の開口26Aが形成されている。これにより、レバーケース24に支持されたレバー40を開口26Aを通じて操作することが可能となっている。
【0023】
図8に示されるように、被操作部としてのリンク28は、左右方向から見て前後方向を長手方向とする矩形状に形成されたリンク本体部28Aを備えている。リンク本体部28Aの長手方向の中央部には、レバーケース24のリンク支持部24Cに係合する凹状の係合凹部28Bが形成されている。この係合凹部28Bがレバーケース24のリンク支持部24Cに係合することで、リンク28がレバーケース24のリンク支持部24Cに左右方向を軸方向として回転可能に支持されるようになっている。また、レバー40は、リンク本体部28Aの前端部から左側へ向けて突出する第1被押圧部28Cを備えている。さらに、レバー40は、リンク本体部28Aの後端部から左側へ向けて突出する第2被押圧部28Dを備えている。なお、第1被押圧部28Cは、リンク本体部28Aと一体に形成されている。また、第2被押圧部28Dは、リンク本体部28Aに凹凸嵌合等により固定されているが、リンク本体部28Aと一体に形成されていてもよい。
図6に示されるように、リンク28がレバーケース24のリンク支持部24Cに支持されている状態では、第1被押圧部28Cはレバーケース24内におけるレバー取付部24A側に配置される。また、
図7に示されるように、リンク28がレバーケース24のリンク支持部24Cに支持されている状態では、第2被押圧部28Dはレバーケース24内における電動機構取付部24B側に配置される。
【0024】
図7に示されるように、モータ30は、一例として直流モータである。このモータ30へ通電がなされることで、モータ30のモータシャフト30Aが回転するようになっている。モータシャフト30Aには、ウォームギヤ32が固定されている。これにより、モータ30のモータシャフト30Aが回転することで、ウォームギヤ32が回転するようになっている。
【0025】
図9及び
図10に示されるように、電動操作部としてのプローブ34は、円筒状に形成された円筒部34Aと、円筒部34Aの外周部から当該円筒部34Aの径方向外側へ向けて突出するリンク係合部34Bと、を備えている。円筒部34Aには、シャフト42が挿入されている。これにより、プローブ34は、シャフト42の軸方向に沿って移動可能な状態で当該シャフト42に支持されている。ここで、シャフト42を軸方向と直交する方向に沿って切断した断面はD字状断面となっている。また、プローブ34の円筒部34Aの内縁をシャフト42の軸方向から見た形状もD字状断面となっている。これにより、プローブ34がシャフト42の軸まわりに回転することが不能となっている。
【0026】
図8に示されるように、シャフト42の軸方向は上下方向に向けられている。また、シャフト42の上端部は、レバーケース24に係合している。さらに、シャフト42の下端部は、レバーケース24に取付けられたギヤカバー38に係合している。また、シャフト42の下端部においてギヤカバー38から突出している部分には、ナット44が螺合している。
【0027】
図9及び
図10に示されるように、ホイールギヤアセンブリ36は、ウォームギヤ32と噛合う外歯が形成されたホイールギヤ46と、ホイールギヤ46の上方側に固定されたガイド部48と、を備えている。ホイールギヤ46には、シャフト42が挿入されている。これにより、ホイールギヤアセンブリ36は、シャフト42を支軸部として回転可能な状態で当該シャフト42に支持されている。また、ガイド部48は、シャフト42の軸方向から見て当該シャフト42を囲うように形成されていると共にホイールギヤ46から上方側へ突出するように形成された螺旋状突起部48Aを備えている。この螺旋状突起部48Aのホイールギヤ46に対する上方側への突出高さは、ホイールギヤアセンブリ36の回転周方向一方側(矢印C1方向側)へ向かうにつれて徐々に高くなっている。また、螺旋状突起部48Aの内側には、プローブ34の円筒部34Aが配置されている。また、プローブ34のリンク係合部34Bは、螺旋状突起部48Aの上面に当接している。これにより、
図9、
図10及び
図11に示されるように、ホイールギヤアセンブリ36が回転周方向他方側(矢印C2方向側)へ回転することで、プローブ34が上方側へ向けて直線状に移動して、プローブ34のリンク係合部34Bがリンク28の第2被押圧部28Dを上方側へ向けて押圧するようになっている。なお、
図8に示されるように、プローブ34は、コイルスプリング50によってホイールギヤアセンブリ36側(下方側)へ向けて付勢されている。これにより、プローブ34のリンク係合部34Bと螺旋状突起部48Aの上面とが常に接触するようになっている。また、ホイールギヤアセンブリ36は、リターンスプリング52によって回転周方向一方側(矢印C1方向側)へ向けて回転付勢されている。
【0028】
以上説明したモータ30、プローブ34、シャフト42及びホイールギヤアセンブリ36は、レバーケース24に固定されたギヤカバー38によって下方側から覆われる。
【0029】
図6、
図12及び
図13に示されるように、手動操作部としてのレバー40は、レバーケース24のレバー取付部24Aに配置された状態で、左右方向の両端部が左右方向を軸方向として回転可能に支持されている。これにより、レバー40をレバーケース24に対して前後方向に傾動させることが可能となっている。また、レバー40の右側には、リンク28の第1被押圧部28Cが係合する凹状のリンク係合部40Aが形成されている。そして、レバー40を前方側へ倒すことで、リンク係合部40Aがリンク28の第1被押圧部28Cを下方側へ向けて押圧するようになっている。
【0030】
図4に示されるように、リンク28のリンク本体部28Aの後方側の端部には、ロック部16に接続されたロッド54が係合している。なお、リンク本体部28Aにおいてロッドが係合している部分を連結部28Eと呼ぶことにする。そして、リンク28が後述する第1の位置に位置している状態では、ロック部16がストライカ20(
図1参照)に係止されている状態が保たれる。これに対して、リンク28が後述する第2の位置に位置している状態では、ロック部16がストライカ20から離脱可能になる。
【0031】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0032】
図3~
図8に示されるように、レバー40が操作されていない状態かつモータ30への通電がなされていない状態では、リンク28は
図11において二点鎖線で示された第1の位置に配置されている。リンク28が第1の位置に位置している状態では、
図1に示されるように、ロック部16がストライカ20に係止されている状態が保たれる。これにより、シートバック14のシートクッション12に対する傾動が制限される。
【0033】
ここで、
図12及び
図13に示されるように、アクチュエータ18のレバー40が前方側へ倒されると、レバー40のリンク係合部40Aがリンク28の第1被押圧部28Cを下方側へ向けて押圧する。これにより、リンク28が
図12に示された第1の位置から
図13に示された第2の位置へ回転する。これにより、
図2に示されるように、ロック部16をストライカ20から離脱可能とすることができ、シートバック14のシートクッション12に対する傾動を許容することができる。
【0034】
その一方で、
図3~
図11に示されるように、アクチュエータ18のモータ30へ通電がなされると、モータ30のモータシャフト30Aが回転する。これにより、モータシャフト30Aに固定されたウォームギヤ32も回転する。ウォームギヤ32が回転すると、ホイールギヤアセンブリ36が回転周方向他方側(矢印C2方向側)へ回転する。これにより、プローブ34が上方側へ向けて直線状に移動して、プローブ34のリンク係合部34Bがリンク28の第2被押圧部28Dを上方側へ向けて押圧する。その結果、リンク28が
図11において二点鎖線で示された第1の位置から実線で示された第2の位置へ回転する。これにより、
図2に示されるように、ロック部16をストライカ20から離脱可能とすることができ、シートバック14のシートクッション12に対する傾動を許容することができる。なお、モータ30への通電が停止されると、リターンスプリング52及びコイルスプリング50の付勢力によって、ホイールギヤアセンブリ36が回転周方向一方側(矢印C1方向側)へ回転すると共に、プローブ34が下降して
図9に示された元の位置へ戻る。
【0035】
ここで、本実施形態の車両用シート10は、手動で操作されるレバー40が一体に設けられたアクチュエータ18を備えている。これにより、本実施形態の車両用シート10では、レバー40とアクチュエータ18とが別部品となっている構成と比べて、シートバック14を構成する部品の点数が多くなることを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態のアクチュエータ18では、リンク28の回転中心から第1被押圧部28Cまでの距離及びリンク28の回転中心から第2被押圧部28Dまでの距離を調節することにより、リンク28を回転させる回転力を調節することができる。
【0037】
さらに、本実施形態のアクチュエータ18では、リンク28の第2被押圧部28Dがシャフト42に沿って直線状に移動するプローブ34によって押圧される構成となっている。また、本実施形態のアクチュエータ18では、ウォームギヤ32及びホイールギヤアセンブリ36に加えて新たなギヤを設けることなくプローブ34を直線状に移動させることが可能となっている。これにより、レバーケース24内においてモータ30のモータシャフト30Aの回転を減速する減速機が配置されるスペースの省スペース化を図ることができる。その結果、アクチュエータ18の小型化を図ることができる。
【0038】
(インジケータ56が設けられた構成)
次に、
図14~
図16を用いて、インジケータ56を備えたアクチュエータ58について説明する。なお、インジケータ56を備えたアクチュエータ58において前述のアクチュエータ18と対応する部材及び部分には、アクチュエータ18と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0039】
図14に示されるように、アクチュエータ58に設けられたインジケータ56は、ロック部16がストライカ20から離脱可能となっていることを車両の乗員等に認識させるためのものである。具体的には、
図15及び
図16に示されるように、インジケータ56は、レバーケース24におけるレバー取付部24A側の一部分に上下方向に移動可能に支持されたインジケータ本体60と、インジケータ本体60を下方側へ付勢するコイルスプリング62と、を備えている。
【0040】
インジケータ本体60は、レバーケース24におけるレバー取付部24A側の一部分に上下方向に移動可能に係合するスライド支持部60Aと、スライド支持部60Aの上端部から前方側へ向けて延びる前後延在部60Bと、を備えている。また、インジケータ本体60は、前後延在部60Bの前端側から下方側へ向けて突出するリンク係合部60Cと、前後延在部60Bの前端側から上方側へ向けて突出するインジケータ部60Dと、を備えている。リンク係合部60Cの下端部は、リンク28のリンク本体部28Aの後方側の部位に当接している。これにより、リンク28が第1の位置から第2の位置へ回転する際に、リンク係合部60Cが上方側へ押圧されて、インジケータ本体60が上方側へ移動するようになっている。
【0041】
図14に示されるように、レバーカバー26には、インジケータ本体60のインジケータ部60Dが挿入される開口26Bが形成されている。そして、リンク28が第1の位置に位置している状態では、インジケータ部60Dが開口26Bから突出していない状態となる。また、リンク28が第2の位置に位置している状態では、インジケータ部60Dが開口26Bから上方側へ突出している状態(
図14に示された状態)となる。
【0042】
図14~
図16に示されるように、コイルスプリング62は、インジケータ本体60の前後延在部60Bとレバーカバー26との間で圧縮されている。これにより、インジケータ本体60がコイルスプリング62によって下方側へ付勢されている。
【0043】
以上説明したアクチュエータ58では、モータ30への通電がなされる或いはレバー40を前方側へ倒すことにより、リンク28が第1の位置から第2の位置へ回転すると、インジケータ本体60が上方側へ移動する。これにより、インジケータ本体60のインジケータ部60Dがレバーカバー26の開口26Bから上方側へ突出する。そして、車両の乗員等がレバーカバー26の開口26Bから上方側へ突出したインジケータ部60Dを視認可能とすることで、ロック部16がストライカ20から離脱可能となっていることを車両の乗員等に認識させることができる。
【0044】
なお、以上説明したアクチュエータ18、58では、回転可能に支持されたリンク28を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、リンク28に代えてスライド可能に支持された被操作部を用いた構成としてもよい。また、以上説明したアクチュエータ18、58では、モータ30の回転力をウォームギヤ32及びホイールギヤアセンブリ36を介してプローブ34に伝達した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。モータ30の回転力をプローブと対応する部材に伝達するための構成は、プローブ34と対応する部材がリンク28と対応する部材を押圧する力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
16 ロック部
18 アクチュエータ
20 ストライカ(ロック対象部)
28 リンク(被操作部)
28C 第1被押圧部
28D 第2被押圧部
28E 連結部
30 モータ
34 プローブ(電動操作部)
40 レバー(手動操作部)
42 シャフト
58 アクチュエータ