(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057956
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25C 1/06 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B25C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164973
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 和弘
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068HH01
3C068JJ05
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させた作業機を提供する。
【解決手段】第1方向B1及びその逆の第2方向B2へ移動可能であり、第1方向へ移動することで止具を打撃可能な打撃部(プランジャ40、ドライバブレード41)と、打撃部を第1方向へ付勢する付勢部(スプリング45)と、モータを駆動又は停止する制御を行う制御部と、モータが駆動されたときに第3方向B3へ回転する回転部(巻き上げギヤ35)と、を備え、打撃部は、回転部と係合した状態で回転部が第3方向へ回転することで、付勢部の付勢力に抗して第2方向へ第1位置から第2位置まで移動し、第2位置において回転部との係合が解除されることで、付勢部の付勢力によって第1方向へ第2位置から第1位置まで移動して止具を打撃し、回転部は、打撃部と係合した状態でモータが停止されると、打撃部に作用する付勢部の付勢力によって第3方向と逆の第4方向B4へ回転可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
止具を射出可能に支持する射出部と、
第1方向及び前記第1方向と逆の第2方向へ移動可能であり、前記第1方向へ移動することで前記射出部に支持された前記止具を打撃可能な打撃部と、
前記打撃部を前記第1方向へ付勢する付勢部と、
前記モータを駆動又は停止する制御を行う制御部と、
前記モータが駆動されたときに第3方向へ回転する回転部と、を備え、
前記打撃部は、
前記回転部と係合した状態で前記回転部が前記第3方向へ回転することで、前記付勢部の付勢力に抗して前記第2方向へ第1位置から第2位置まで移動し、
前記第2位置において前記回転部との係合が解除されることで、前記付勢部の付勢力によって前記第1方向へ前記第2位置から前記第1位置まで移動して前記止具を打撃し、
前記回転部は、前記打撃部と係合した状態で前記モータが停止されると、該打撃部に作用する前記付勢部の付勢力によって前記第3方向と逆の第4方向へ回転可能である、作業機。
【請求項2】
前記回転部の前記第4方向への回転を、前記打撃部が前記第1位置まで移動する前に停止させる制動部を備える、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記制動部は、前記回転部を回転可能に支持するとともに、前記回転部との間の摩擦力によって前記回転部の回転を停止する支持部である、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記回転部は、回転軸と、前記回転軸に対して偏心して設けられて前記打撃部に係合可能な係合部と、を有し、
前記係合部は、前記打撃部に係合した状態で前記回転軸を中心として前記第3方向へ回転することで、前記打撃部を前記第2方向へ移動させる、請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
作業者に操作される操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部が操作されたことに基づいて、前記モータを駆動する駆動制御を行い、前記操作部が操作されてから第1所定期間が経過したことに基づいて、前記モータを停止する停止制御を行う、請求項1に記載の作業機。
【請求項6】
前記制御部は、前記駆動制御中に前記操作部の操作が解除されたことに基づいて、前記打撃部の位置にかかわらず、前記停止制御を行う、請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記制御部は、前記操作部が操作されてから第2所定期間が経過する前に該操作部が再操作されても、再操作に基づく前記駆動制御は行わない、請求項5に記載の作業機。
【請求項8】
前記操作部は、相手材に当接されることにより作動する第1操作部と、作業者に操作されることにより作動する第2操作部と、を含み、
前記制御部は、前記第1操作部及び前記第2操作部が作動したことに基づいて、前記駆動制御を行い、該駆動制御中に前記第1操作部の前記相手材への当接が解除されたことに基づいて、前記停止制御を行う、請求項5に記載の作業機。
【請求項9】
前記制御部は、前記モータに電力を供給するパワーラインと、該パワーライン上に設けられ前記第1操作部が作動したことに基づいて導通状態となる接点スイッチと、を含む、請求項8に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手材に止具を打ち込む作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転部を回転させるモータと、回転部の回転によって上死点に向けて巻き上げられ、付勢力によって下死点に向けて移動する打撃部と、を備え、該打撃部が相手材に止具を打ち込む作業機が記載されている。この作業機では、待機状態の打撃部が下死点と上死点の間の待機位置で停止するように、モータが制御されており、該モータを制御するために、回転部の回転量を検出するセンサが設けられている。また、付勢力によって打撃部が待機位置から下死点側へ移動してしまわないように、回転部の逆転を規制するワンウェイクラッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業機では、回転部の回転量を検出するセンサや、回転部の逆転を規制するワンウェイクラッチを設ける必要があった。該作業機では、これらを設けることによる部品点数の増加によって、作業機が大型化し質量が増加するため、作業性に改善の余地があった。
【0005】
上記の課題を鑑み、本願発明の目的は、作業性を向上させた作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る作業機は、モータと、止具を射出可能に支持する射出部と、第1方向及び前記第1方向と逆の第2方向へ移動可能であり、前記第1方向へ移動することで前記射出部に支持された前記止具を打撃可能な打撃部と、前記打撃部を前記第1方向へ付勢する付勢部と、前記モータを駆動又は停止する制御を行う制御部と、前記モータが駆動されたときに第3方向へ回転する回転部と、を備え、前記打撃部は、前記回転部と係合した状態で前記回転部が前記第3方向へ回転することで、前記付勢部の付勢力に抗して前記第2方向へ第1位置から第2位置まで移動し、前記第2位置において前記回転部との係合が解除されることで、前記付勢部の付勢力によって前記第1方向へ前記第2位置から前記第1位置まで移動して前記止具を打撃し、前記回転部は、前記打撃部と係合した状態で前記モータが停止されると、該打撃部に作用する前記付勢部の付勢力によって前記第3方向と逆の第4方向へ回転可能である。
【0007】
また、一実施形態に係る作業機は、前記回転部の前記第4方向への回転を、前記打撃部が前記第1位置まで移動する前に停止させる制動部を備える。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態に係る作業機は、回転部が第3方向と逆の第4方向へ回転可能なように構成したので、回転部の逆転を規制するワンウェイクラッチを設ける必要がない。これにより、部品点数の増加による作業機の大型化や質量の増加を防止できるので、作業性を向上できる。
【0009】
また、一実施形態に係る作業機は、回転部の第4方向への回転を停止させる制動部を備えるように構成したので、モータを制御するために回転部の回転量を検出するセンサを設ける必要がない。これにより、部品点数の増加による作業機の大型化や質量の増加を防止できるので、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る作業機の内部構造を示す左側面図である。
【
図3】作業機の要部を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は(B)のA-A線断面図、(D)は(B)のB-B線断面図である。
【
図4】プランジャがプランジャ待機位置からプランジャ上死点に移動する途中の状態を示す図である。
【
図5】プランジャがプランジャ上死点にある状態を示す図である。
【
図6】プランジャがプランジャ上死点からプランジャ下死点に移動する途中の状態を示す図である。
【
図7】プランジャがプランジャ下死点にある状態を示す図である。
【
図8】巻き上げギヤが逆回転する状態を示す図である。
【
図9】第1カムローラに作用する付勢力及びその分力を示す図である。
【
図10】止具の打撃が行われる場合における、プランジャ及びカウンタウェイトの動作例を示すタイムチャートである。
【
図11】止具の打撃が行われる前にモータが停止した場合における、プランジャ及びカウンタウェイトの動作例を示すタイムチャートである。
【
図12】止具の打撃が行われる前にモータが停止した場合における、プランジャ及びカウンタウェイトの動作例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る作業機10を、図面を参照して説明する。なお、
図1及び
図3~
図9では、第1方向B1を下方向、該第1方向B1と逆の第2方向B2を上方向として説明する。また、
図1では、右側を前、左側を後ろとして説明する。
【0012】
作業機10は、止具を打撃するものであり、例えば釘を打撃して打ち込む釘打機や打込機である。
図1は、一実施形態の作業機10の内部構造を示す左側面図である。作業機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、本体部12と、モータケース14と、ハンドル15と、装着部16と、を有する。
【0013】
本体部12は、上下方向に延出する円筒形状である。モータケース14は、本体部12から後ろ方向に延出する筒形状である。ハンドル15も、本体部12から後ろ方向に延出する筒形状である。ハンドル15は、モータケース14よりも上に位置する。装着部16は、モータケース14の後端部とハンドル15の後端部とを繋いでいる。
【0014】
本体部12には、巻き上げギヤ35、プランジャ40、ドライバブレード41、スプリング45、及びカウンタウェイト50等が収容されているが、これらについては
図3を参照して後述する。
【0015】
本体部12の下方には、止具を射出可能に支持する射出部13が設けられている。モータケース14の下方には、複数の止具を保持しているマガジン19が装着されている。マガジン19に保持されている止具は、一つずつ、射出部13に送り出される。
【0016】
本体部12の下方には、プッシュレバー20が支持されている。プッシュレバー20は、第1操作部の一例であって、止具を打ち込む相手材に当接されることにより作動する。プッシュレバー20の下端は、射出部13よりも下に位置する。プッシュレバー20の下端が相手材に当接されると、プッシュレバー20は第2方向B2に移動して作動(ON)し、プッシュレバー20の下端が相手材から離間(当接が解除)されると、プッシュレバー20は付勢力により第1方向B1に移動して作動が解除(OFF)される。なお、以下においては、プッシュレバー20の下端が相手材に当接することを、「プッシュレバー20が相手材に当接」と略記する。
【0017】
ハンドル15には、トリガ21が支持されている。トリガ21は、第2操作部の一例であって、作業者に操作されることにより作動する。トリガ21は、ハンドル15を把持した作業者の指で引かれると、第2方向B2に移動して作動(ON)し、指で引かれなくなると、付勢力により第1方向B1に移動して作動が解除(OFF)される。
【0018】
これらプッシュレバー20及びトリガ21は、操作部の一例であって、作業者に操作されるものである。
【0019】
モータケース14には、モータ25及びギヤボックス30が収容されている。モータ25は、ロータとステータを有し、電力が供給されると、ロータが回転し、該ロータに取り付けられているモータ軸が回転する。モータ25は、例えばブラシ付きモータである。ギヤボックス30は、入力要素、遊星歯車機構、及び出力要素を有する。入力要素は、モータ25のモータ軸に連結されており、モータ25のモータ軸と一体的に回転する。出力要素は、第1ギヤ36(
図3を参照)の第1回転軸36aに連結されており、一体的に回転する。第1ギヤ36は、巻き上げギヤ35の一部である。モータ軸の回転による駆動力は、入力要素に伝達されると、遊星歯車機構により減速されて、出力要素に伝達され、第1ギヤ36に伝達される、モータ25、ギヤボックス30、及び第1ギヤ36は、後ろ側から前側に同軸で配置されている。
【0020】
装着部16には、モータ25に電力を供給するための電池パック17が装着されている。電池パック17は、直流電源である。電池パック17は、複数の電池セルを有し、該電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池などである。
【0021】
装着部16の内部には、コントローラ18が配置されている。コントローラ18は、制御部の一例であって、モータ25の駆動制御又は停止制御を行うものである。
【0022】
図2は、作業機10のパワーライン60を示す回路図である。このパワーライン60上には、電池パック17と、トリガスイッチ61と、プッシュレバースイッチ62と、モータ25と、FET63とが設けられており、これらは直列に接続されている。
【0023】
トリガスイッチ61は、トリガ21が作動(ON)したことに基づいて導通状態となり、トリガ21の作動が解除(OFF)されたことに基づいて非導通状態となる、接点スイッチである。プッシュレバースイッチ62は、プッシュレバー20が作動(ON)したことに基づいて導通状態となり、プッシュレバー20の作動が解除(OFF)されたことに基づいて非導通状態となる、接点スイッチである。FET63(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)は、コントローラ18の制御により作動する。
【0024】
トリガスイッチ61及びプッシュレバースイッチ62の両方が導通状態になると、電池パック17から電力が供給されて、モータ25が駆動される。トリガスイッチ61及びプッシュレバースイッチ62の少なくとも一方が非導通状態になると、モータ25の駆動が直ちに停止される。これによれば、シンプルな回路構成で、レスポンス良く、モータ25を駆動又は停止できる。
【0025】
また、後述する
図10に示すように、モータ25が駆動されてから第1所定期間(t1~t7)が経過すると、コントローラ18によりFET63が制御されて、モータ25の駆動が停止される。さらに、モータ25が駆動されてから第2所定期間(t1~t9)が経過する前は、コントローラ18によりFET63が制御されて、トリガ21及びプッシュレバー20が再操作されても(すなわち、トリガスイッチ61及びプッシュレバースイッチ62が導通状態となっても)、該再操作に基づくモータ25の駆動は行われない。
【0026】
このパワーライン60も、制御部の一例であって、モータ25の駆動制御又は停止制御を行うものである。
【0027】
図3は、作業機10の要部を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は(B)のA-A線断面図、(D)は(B)のB-B線断面図である。作業機10の要部は、本体部12に収容されている、巻き上げギヤ35、プランジャ40、ドライバブレード41、スプリング45、及びカウンタウェイト50等である。
【0028】
図3(A)(C)に示すように、巻き上げギヤ35は、回転部の一例であって、モータ25が駆動されたときに第3方向B3へ回転し、モータ25が停止されると該第3方向B3と逆の第4方向B4へ回転可能なものである。
【0029】
巻き上げギヤ35は、下段に位置する第1ギヤ36、中段に位置する第2ギヤ37、及び上段に位置する第3ギヤ38の、3つのギヤを含む。第1ギヤ36は、第1回転軸36aにより回転可能に支持されており、第2ギヤ37は、第2回転軸37aにより回転可能に支持されており、第3ギヤ38は、第3回転軸38aにより回転可能に支持されている。第1回転軸36a、第2回転軸37a、及び第3回転軸38aは、上下方向に延びる保持プレート39(
図1を参照)に取り付けられている。なお、説明の便宜上、
図3(C)では、第1ギヤ36、第2ギヤ37、及び第3ギヤ38を一点鎖線で表示してあり、第1回転軸36a、第2回転軸37a、及び第3回転軸38aを点線で表示してある。
【0030】
第1ギヤ36は第2ギヤ37と噛み合っており、第2ギヤ37は第3ギヤ38と噛み合っている。よって、後述する
図4(C)等に示すように、第1ギヤ36が反時計回りに回転すると、第2ギヤ37が時計回りに回転し、第3ギヤ38が反時計回りに回転する。この回転方向を、「第3方向B3」と定義する。一方、後述する
図8(C)に示すように、第1ギヤ36が時計回りに回転すると、第2ギヤ37が反時計回りに回転し、第3ギヤ38が時計回りに回転する。この回転方向を、「第4方向B4」と定義する。
【0031】
図3(C)に戻り、第1ギヤ36の前側の面には、第1回転軸36aに対して偏心した、第1カムローラ36bが設けられている。第2ギヤ37の前側の面には、第2回転軸37aに対して偏心した、第2カムローラ37b及び第3カムローラ37cが設けられている。第3ギヤ38の前側の面には、第3回転軸38aに対して偏心した、第4カムローラ38b及び第5カムローラ38cが設けられている。各カムローラは、各回転軸に対して公転しながら、自転可能である。
【0032】
図1に戻り、本体部12内には、上部にトップホルダ48、下部にボトムホルダ49が固定されている。これらトップホルダ48とボトムホルダ49との間には、ガイドバー47が設けられている。ガイドバー47の上端は、トップホルダ48に固定されており、ガイドバー47の下端は、ボトムホルダ49に固定されている。
【0033】
図3(D)に示すように、ガイドバー47は、左右の2本である。2本のガイドバー47の間には、ガイドシャフト46が設けられている。ガイドシャフト46の上端は、トップホルダ48に固定されており、ガイドシャフト46の下端は、ボトムホルダ49に固定されている。2本のガイドバー47の間には、プランジャ40及びカウンタウェイト50が配置されている。カウンタウェイト50は、プランジャ40よりも上に位置する。
【0034】
なお、
図3(A)(B)(C)では、カウンタウェイト50がカウンタウェイト待機位置にあり、プランジャ40がプランジャ待機位置にある状態を示しているが、説明の便宜上、
図3(D)では、カウンタウェイト50がカウンタウェイト上死点にあり、プランジャ40がプランジャ下死点にある状態を示している。
【0035】
プランジャ40は、ガイドシャフト46及びガイドバー47に沿って、第1方向B1及び第2方向B2に移動可能である。プランジャ40には、ドライバブレード41が固定されている。ドライバブレード41は、プランジャ40と共に、第1方向B1及び第2方向B2に移動可能である。ドライバブレード41の下端は、本体部12から突出しており、第1方向B1へ移動することで、射出部13に支持された止具を打撃可能である。これらプランジャ40及びドライバブレード41は、打撃部の一例である。
【0036】
カウンタウェイト50は、打撃部が止具を打撃する際の反動を低減するものである。カウンタウェイト50は、ガイドシャフト46及びガイドバー47に沿って、第1方向B1及び第2方向B2に移動可能である。カウンタウェイト50は、プランジャ40と逆方向に移動する。具体的には、プランジャ40が第2方向B2に移動すると、カウンタウェイト50は第1方向B1に移動し、プランジャ40が第1方向B1に移動すると、カウンタウェイト50は第2方向B2に移動する。
【0037】
プランジャ40とカウンタウェイト50との間には、スプリング45が設けられている。スプリング45の上端は、カウンタウェイト50に固定されており、スプリング45の下端は、プランジャ40に固定されている。スプリング45は、圧縮コイルばねである。スプリング45は、付勢部の一例であって、プランジャ40を第1方向B1へ付勢すると共に、カウンタウェイト50を第2方向B2へ付勢する。
【0038】
ボトムホルダ49とプランジャ40との間には、下部バンパ44が設けられている。下部バンパ44は、スプリング45の付勢力により第1方向B1へ移動してくるプランジャ40の運動エネルギーの一部を吸収して、プランジャ40の破損を防止するためのものである。下部バンパ44は、ボトムホルダ49の上面に固定されている。
【0039】
トップホルダ48とカウンタウェイト50との間には、上部バンパ52が設けられている。上部バンパ52は、スプリング45の付勢力により第2方向B2へ移動してくるカウンタウェイト50の運動エネルギーの一部を吸収して、カウンタウェイト50の破損を防止するためのものである。上部バンパ52は、トップホルダ48の下面に固定されている。
【0040】
ガイドシャフト46は、下部バンパ44、プランジャ40、スプリング45、カウンタウェイト50、及び上部バンパ52に挿通されている。
【0041】
図3(C)に示すように、プランジャ40には、第1ラック42及び第2ラック43が固定されている。第1ギヤ36に設けられている第1カムローラ36bは、第1ラック42に係合可能である。第2ギヤ37に設けられている第2カムローラ37b及び第3カムローラ37cは、第2ラック43に係合可能である。これら第1カムローラ36b、第2カムローラ37b、及び第3カムローラ37cは、係合部の一例であって、第1ラック42又は第2ラック43を介して、プランジャ40に係合可能である。係合部は、プランジャ40に係合した状態で前記第1回転軸36a又は第2回転軸37aを中心として第3方向B3へ(すなわち、第1ギヤ36が反時計回り、第2ギヤ37が時計回りに)回転することで、プランジャ40を第2方向B2へ移動させる。
【0042】
カウンタウェイト50には、第3ラック51が固定されている。第3ギヤ38に設けられている第4カムローラ38b及び第5カムローラ38cは、第3ラック51に係合可能である。これら第4カムローラ38b及び第5カムローラ38cは、第3ラック51を介してカウンタウェイト50に係合した状態で前記第3回転軸38aを中心として第3方向B3へ(すなわち、第3ギヤ38が反時計回りに)回転することで、カウンタウェイト50を第1方向B1へ移動させる。
【0043】
図3(B)に示すように、右側のガイドバー47には、ラッチ53が取り付けられている。ラッチ53は、ガイドバー47に対して、支持軸54を中心として回動可能である。支持軸54は、上下方向で、第3ギヤ38の配置範囲内に位置する。ラッチ53は、ねじりコイルばねにより、時計回りに付勢されている。
【0044】
ラッチ53は、フック53a及びアーム53bを有する。フック53a及びアーム53bは、ラッチ53の長手方向で、支持軸54を隔てて配置されている。フック53aは、上下方向で、トップホルダ48と支持軸54との間に位置する。フック53aは、カウンタウェイト50に設けられる係合ピン50aと係合及び解放可能である。アーム53bは、上下方向で、ボトムホルダ49と支持軸54との間に位置する。アーム53bは、プランジャ40に接触及び離反可能である。
【0045】
次に、
図3~
図8を参照して、プランジャ40及びカウンタウェイト50の動作例を説明する。なお
図4~
図8において、(A)は、
図3(A)と同様に正面図であり、(B)は、
図3(B)と同様に右側面であり、(C)は、
図3(C)と同様にA-A線断面図である。
【0046】
図3は、プランジャ40がプランジャ待機位置にあり、カウンタウェイト50がカウンタウェイト待機位置にある状態を示す図である。この実施形態では、モータ25が駆動されてからプランジャ40がプランジャ上死点に到達するまでの時間を短縮するために、プランジャ40を、プランジャ下死点で待機させるのではなく、該プランジャ下死点とプランジャ上死点との間の位置で待機させている。この位置を、「プランジャ待機位置」と定義する。また、プランジャ下死点は第1位置の一例であり、プランジャ上死点は第2位置の一例である。
【0047】
この状態で、トリガスイッチ61及びプッシュレバースイッチ62がONになって、電池パック17からモータ25に電力が供給されると、モータ25が回転する(
図2を参照)。モータ25が回転すると、巻き上げギヤ35が第3方向B3へ(すなわち、第1ギヤ36が反時計回り、第2ギヤ37が時計回り、第3ギヤ38が反時計回りに)回転する。
【0048】
すると、第2ラック43に係合している第2カムローラ37bの公転により、スプリング45の付勢力に抗して、プランジャ40が第2方向B2へ移動され、該第2ラック43と第2カムローラ37bとの係合が解放されると、第2ラック43と第3カムローラ37cとが係合する。
【0049】
また、第3ラック51に係合している第4カムローラ38bの公転により、スプリング45の付勢力に抗して、カウンタウェイト50が第1方向B1へ移動され、該第3ラック51と第4カムローラ38bとの係合が解放されると、第3ラック51と第5カムローラ38cとが係合する。
【0050】
さらに、プランジャ40がアーム53bに接触して第2方向B2へ移動し続けることにより、ねじりコイルばねの付勢力に抗して、ラッチ53が支持軸54を中心として反時計回りに回動する。そして、
図4に示す状態となる。
【0051】
図4は、プランジャ40がプランジャ待機位置からプランジャ上死点に移動する途中、及びカウンタウェイト50がカウンタウェイト待機位置からカウンタウェイト下死点に移動する途中の状態を示す図である。この状態でも、巻き上げギヤ35は、(C)に示す第3方向B3へさらに回転する。
【0052】
すると、第2ラック43に係合している第3カムローラ37cの公転により、スプリング45の付勢力に抗して、プランジャ40が第2方向B2へさらに移動される。また、第3ラック51に係合している第5カムローラ38cの公転により、スプリング45の付勢力に抗して、カウンタウェイト50が第1方向B1へさらに移動される。
【0053】
さらに、アーム53bに接触しているプランジャ40が第2方向B2へ移動し続けることにより、ねじりコイルばねの付勢力に抗して、ラッチ53が支持軸54を中心として反時計回りにさらに回動し、フック53aが係合ピン50aと係合することにより、カウンタウェイト50の第1方向B1への移動が停止される。
【0054】
カウンタウェイト50の第1方向B1への移動が停止された後も、プランジャ40の第2方向B2への移動は継続されて、
図5に示す状態となる。
【0055】
図5は、プランジャ40がプランジャ上死点にあり、カウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点にある状態を示す図である。この状態でも、巻き上げギヤ35は、(C)に示す第3方向B3へさらに回転する。すると、
図6に示す状態となる。
【0056】
図6は、プランジャ40がプランジャ上死点からプランジャ下死点に移動する途中、及びカウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点からカウンタウェイト上死点に移動する途中の状態を示す図である。
【0057】
この状態では、第2ラック43と第3カムローラ37cとの係合が解放され、スプリング45の付勢力によって、プランジャ40が第1方向B1へ勢いよく移動される。すると、プランジャ40に固定されているドライバブレード41が、射出部13に支持されている止具を打撃して、相手材に打ち込む。その後、プランジャ40は、下部バンパ44に衝突して、プランジャ下死点に到達する。下部バンパ44は、プランジャ40の運動エネルギーの一部を吸収する。そして、第1ラック42に第1カムローラ36bが係合して、
図7に示す状態となる。
【0058】
また、プランジャ40が第1方向B1へ移動されると、プランジャ40とアーム53bとが離反し、ねじりコイルばねの付勢力によって、ラッチ53が支持軸54を中心として時計回りに回動し、フック53aと係合ピン50aとの係合が解除され、スプリング45の付勢力によって、カウンタウェイト50が第2方向B2へ勢いよく移動される。カウンタウェイト50は、上部バンパ52に衝突して、カウンタウェイト上死点に到達する。上部バンパ52は、カウンタウェイト50の運動エネルギーの一部を吸収する。そして、
図7に示す状態となる。
【0059】
カウンタウェイト50は、打撃部が第1方向B1へ移動して止具を打撃する際に、第1方向B1とは逆の第2方向B2に移動して、打撃部が止具を打撃する際の反動を低減するものである。したがって、プランジャ40がプランジャ上死点からプランジャ下死点に向けて作動を開始するタイミングと、カウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点からカウンタウェイト上死点に向けて作動を開始するタイミングとの関係を安定させると、反動を低減しやすくなる。本実施形態では、ラッチ53の上記動作によって、プランジャ40とカウンタウェイト50の動作タイミングが同期しているので、カウンタウェイト50が反動を低減する効果が確保される。
【0060】
図7は、プランジャ40がプランジャ下死点にあり、カウンタウェイト50がカウンタウェイト上死点にある状態を示す図である。この状態でも、巻き上げギヤ35は、(C)に示す第3方向B3へさらに回転する。
【0061】
すると、第1ラック42に係合している第1カムローラ36bの公転により、スプリング45の付勢力に抗して、プランジャ40が第2方向B2へ移動され、プランジャ待機位置を超えて、前記
図3で説明したように、第2方向B2へ移動し続ける。また、公転する第4カムローラ38bが第3ラック51に係合することにより、スプリング45の付勢力に抗して、カウンタウェイト50が第1方向B1へ移動され、カウンタウェイト待機位置を超えて、前記
図3で説明したように、第1方向B1へ移動し続ける。
【0062】
そして、モータ25が駆動されてから第1所定期間(
図10を参照)が経過し、コントローラ18によりFET63が制御されて、モータ25が停止されると(
図3を参照)、
図8に示す状態となる。
【0063】
図8は、巻き上げギヤ35が逆回転する状態を示す図である。第2カムローラ37b又は第3カムローラ37cが第2ラック43と係合した状態でモータ25が停止されると、プランジャ40に作用するスプリング45の付勢力によって、巻き上げギヤ35が、前記第3方向B3と逆の第4方向B4へ(すなわち、第1ギヤ36が時計回り、第2ギヤ37が反時計回り、第3ギヤ38が時計回りに)回転する。
【0064】
すると、スプリング45の付勢力により、プランジャ40が第1方向B1へ移動されてプランジャ待機位置で停止し、カウンタウェイト50が第2方向B2へ移動されてカウンタウェイト待機位置で停止して、前記
図3に示す状態となる。
【0065】
この状態では、
図9に示すように、プランジャ40に固定されている第1ラック42と、第1ギヤ36に設けられている第1カムローラ36bとが係合している。ここで、第1ラック42を介して第1カムローラ36bに作用するスプリング45の付勢力p0と、該付勢力p0の、第1ギヤ36の回転方向分力p1と径方向分力p2とは、図示のような関係である。
【0066】
第1ギヤ36を第4方向B4へ逆回転させようとする回転方向分力p1は、第1カムローラ36bの位置によって異なる。プランジャ40がプランジャ待機位置よりも上にある状態では、回転方向分力p1が、第1回転軸36aを第4方向B4へ逆回転させてギヤボックス30の出力要素を逆回転させるために必要な逆回転トルクよりも大きいため、第1ギヤ36が逆回転されて、プランジャ40が下方向に移動される。一方、
図9に示すように、プランジャ40がプランジャ待機位置にある状態では、回転方向分力p1が、第1回転軸36aを第4方向B4へ逆回転させてギヤボックス30の出力要素を逆回転させるために必要な逆回転トルクよりも小さいため、第1ギヤ36が逆回転せず、プランジャ40の下方向への移動が停止される。尚、ギヤボックス30は、入力要素に伝達された駆動力を遊星歯車機構により減速して出力要素及び第1回転軸36aへ伝達する構成であるため、入力要素を回転させて第1回転軸36aを回転させるために必要なトルクよりも、第1回転軸36aを回転させて入力要素を回転させるトルクのほうが大きい。このため、ギヤボックス30及び第1回転軸36aは、プランジャ40の下方向への移動を停止するのに十分な抗力を持つ構成であっても、モータ25の駆動力を第1ギヤ36に伝達する際の抵抗力は抑えられる。
【0067】
ギヤボックス30及び第1回転軸36aは、制動部の一例であって、第1ギヤ36の第4方向B4への回転を、プランジャ40がプランジャ下死点まで移動する前に停止させるものである。ギヤボックス30は、第1ギヤ36を回転可能に支持するとともに、第1回転軸36aとの間の摩擦力によって該第1ギヤ36の回転を停止する支持部でもある。
【0068】
この制動部を備えることにより、モータ25を制御して第1ギヤ36の第4方向B4への回転を停止させる必要がなく、モータ25を制御するために第1ギヤ36の回転量を検出するセンサを設ける必要がない。また、第1ギヤ36の回転を停止させるためのブレーキを設ける必要もない。さらに、巻き上げギヤ35が第3方向B3と逆の第4方向B4へ回転可能なように構成したので、巻き上げギヤ35の逆転を規制するワンウェイクラッチを設ける必要がない。以上により、部品点数の増加による作業機10の大型化や質量の増加を防止できるので、作業性を向上できる。
【0069】
次に、
図10~
図12を参照して、プランジャ40及びカウンタウェイト50の動作例をタイムチャートで説明する。各図において、縦軸はプランジャ40及びカウンタウェイト50の位置を示し、横軸は時間の経過を示す。また、下側の太線はプランジャ40の動作を示し、上側の太線はカウンタウェイト50の動作を示す。
【0070】
図10は、止具の打撃が行われる場合である。トリガ21及びプッシュレバー20が操作(ON)されて、モータ25が駆動されると、巻き上げギヤ35が第3方向B3に正回転する。
【0071】
そして、
図3で説明したように、プランジャ待機位置PP0にあるプランジャ40がプランジャ上死点PP2に向けて移動を開始し、カウンタウェイト待機位置WP0にあるカウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点WP0に向けて移動を開始する(t1)。
【0072】
図4で説明したように、ラッチ53のフック53aがカウンタウェイト50の係合ピン50aに係合すると、カウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点WP2で停止する(t2)。
【0073】
図5で説明したように、プランジャ40がプランジャ上死点PP2に到達すると(t3)、
図6で説明したように、プランジャ40がプランジャ下死点PP1に向けて勢いよく移動し、カウンタウェイト50がカウンタウェイト上死点WP1に向けて勢いよく移動する(t4)。
【0074】
図7で説明したように、第1カムローラ36bが第1ラック42に係合すると、プランジャ40が上に向けて移動を開始し(t5)、第4カムローラ38bが第3ラック51に係合すると、カウンタウェイト50が下に向けて移動を開始する(t6)。
【0075】
図8で説明したように、モータ25が駆動されてから第1所定期間(t1~t7)が経過して、該モータ25が停止されると、スプリング45の付勢力により巻き上げギヤ35が第4方向B4に逆回転して、プランジャ40が下に向けて移動してプランジャ待機位置PP0で停止し、カウンタウェイト50が上に向けて移動してカウンタウェイト待機位置WP0で停止する(t8)。
【0076】
このように、モータ25が駆動(すなわち、トリガ21及びプッシュレバー20が操作)されてから第1所定期間が経過したことに基づいて、モータ25の停止制御が行われるので、モータ25を停止する制御を行うためのセンサ(例えば、プランジャ40の位置を検出するセンサや、カウンタウェイト50の位置を検出するセンサや、巻き上げギヤ35の回転量を検出するセンサ等)を設ける必要がない。
【0077】
なお、巻き上げギヤ35が第4方向B4へ回転(逆回転)することによりプランジャ40がプランジャ待機位置PP0に戻る速度及びカウンタウェイト50がカウンタウェイト待機位置WP0に戻る速度は、前記制動部と巻き上げギヤ35との間に摩擦力が生ずるため、巻き上げギヤ35が第3方向B3へ回転(正回転)することによりプランジャ40がプランジャ上死点PP2に到る速度及びカウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点WP0に到る速度よりも、低速である。すなわち、t7~t8における太線の傾きは、t1~t2における太線の傾きよりも、緩やかである。
【0078】
モータ25が駆動されてから第2所定期間(t1~t9)が経過した後に、トリガ21及びプッシュレバー20が再操作されると、モータ25が駆動されて(t10)、前記t1~t8の動作を行う。一方、第2所定期間が経過する前に、トリガ21及びプッシュレバー20が再操作されても、モータ25は駆動されない。この第2所定期間としては、巻き上げギヤ35が逆回転することによりプランジャ40がプランジャ待機位置PP0に戻るまでの時間(t8)よりも長い時間が設定される。
【0079】
このように、モータ25が駆動(すなわち、トリガ21及びプッシュレバー20が操作)されてから第2所定期間が経過する前にトリガ21及びプッシュレバー20が再操作されても、モータ25の駆動制御は行われないので、プランジャ40やカウンタウェイト50が待機位置に戻る前にモータ25が駆動されることによる、待機位置からのズレを防止できる。
【0080】
なお、電池パック17の電圧に応じてモータ25の駆動速度が異なるので、第1所定期間や第2所定期間を、電圧に応じて変化させてもよい。例えば、電圧の低下に応じて、第1所定期間や第2所定期間を延ばしてもよい。
【0081】
図11及び
図12は、プランジャ40がプランジャ待機位置PP0からプランジャ上死点PP2に到る(前記
図10におけるt3の)前にモータ25が停止(例えば、プッシュレバー20がOFF)されることにより、止具の打撃が行われない場合である。
【0082】
図11は、カウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点WP2に到る(前記
図10におけるt2の)前のt1’にモータ25が停止された場合である。この場合には、スプリング45の付勢力により巻き上げギヤ35が第4方向B4に逆回転して、プランジャ40が下に向けて移動してプランジャ待機位置PP0で停止し、カウンタウェイト50が上に向けて移動してカウンタウェイト待機位置WP0で停止する(t1”)。
【0083】
図12は、カウンタウェイト50がカウンタウェイト下死点WP2に到った(t2の)後のt2’にモータ25が停止された場合である。この場合にも、スプリング45の付勢力により巻き上げギヤ35が第4方向B4に逆回転して、プランジャ40が下に向けて移動してプランジャ待機位置PP0で停止し、カウンタウェイト50が上に向けて移動してカウンタウェイト待機位置WP0で停止する(t2”)。
【0084】
このように、モータ25の駆動制御中に操作部の操作が解除(すなわち、トリガ21又はプッシュレバー20がOFF)されたことに基づいて、プランジャ40の位置にかかわらず、直ちにモータ25の停止制御が行われるので、意図せずに止具が打撃されてしまうのを防止できる。
【0085】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0086】
上記の実施形態では、
図2に示すように、トリガスイッチ61及びプッシュレバースイッチ62の両方をパワーライン60上に設けているが、これに限らず、プッシュレバー20がOFFになったら直ちにモータ25が停止するようになっていればよい。すなわち、接点スイッチとしてのトリガスイッチ61を省略し、トリガ21の作動(ON)及び解除(OFF)に応じてコントローラ18へ信号を送る検出部(マイクロスイッチやホールICなど)を設け、コントローラ18がトリガ21の状態を踏まえてFET63を制御する構成としてもよい。この構成においても、パワーライン60上に、接点スイッチとしてプッシュレバースイッチ62が有れば、意図せぬ止具の打撃を防止できる。
【符号の説明】
【0087】
10…作業機、13…射出部、17…電池パック、18…コントローラ、20…プッシュレバー、21…トリガ、25…モータ、30…ギヤボックス、35…巻き上げギヤ、36…第1ギヤ、36a…第1回転軸、36b…第1カムローラ、37…第2ギヤ、37a…第2回転軸、37b…第2カムローラ、37c…第3カムローラ、38…第3ギヤ、38a…第3回転軸、38b…第4カムローラ、38c…第5カムローラ、40…プランジャ、41…ドライバブレード、42…第1ラック、43…第2ラック、45…スプリング、50…カウンタウェイト、50a…係合ピン、51…第3ラック、53…ラッチ、60…パワーライン、61…トリガスイッチ、62…プッシュレバースイッチ、63…FET、B1…第1方向、B2…第2方向、B3…第3方向、B4…第4方向