(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057971
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
E02F9/22 E
E02F9/22 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164996
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】呉 春男
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕介
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA02
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB03
2D003DB04
(57)【要約】
【課題】掘削動作によって形成される穴の中の状態をより正確に認識できるショベルを提供すること。
【解決手段】ショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられるアタッチメントATと、アタッチメントATを用いた掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定するコントローラ30と、を備える。コントローラ30は、掘削動作に関する情報を取得するセンサの出力、及び、掘削動作のコンピュータシミュレーション結果の少なくとも一方に基づき、掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記アタッチメントを用いた掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定する制御装置と、を備える、
ショベル。
【請求項2】
前記制御装置は、掘削動作に関する情報を取得するセンサの出力、及び、掘削動作のコンピュータシミュレーションの少なくとも一方に基づき、掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記制御装置は、推定した土砂の量に基づいて次回の掘削動作の掘削深さを設定する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記制御装置は、設定した掘削深さに基づいて次回の掘削動作の際に利用される目標軌道を生成する、
請求項3に記載のショベル。
【請求項5】
前記制御装置は、バケットによる掘削によって形成される空間の体積である掘削体積と、バケットによって掘り起こされた土砂の体積である掘起体積とを推定し、前記掘削体積から前記掘起体積を差し引いた値を穴内落下体積として推定する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項6】
前記掘起体積は、前記バケットによって隆起させられた土砂の体積、地面から持ち上げられた前記バケット内に入っている土砂の体積、及び、前記バケットからこぼれ落ちて地面に堆積した土砂の体積のうちの少なくとも一つを含む、
請求項5に記載のショベル。
【請求項7】
前記制御装置は、前記穴の縁の形状に基づき、前記穴の縁から前記穴の中に崩れ落ちた土砂の体積を推定する、
請求項1に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掘削アタッチメントによって掘削される土砂の体積を推定するショベルが知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、掘削アタッチメントによって掘削される土砂の体積を推定するだけでは、ショベルは、その掘削によって形成される穴の深さ等、穴の中の状態を認識できない。穴の底に堆積する土砂が存在するためである。
【0005】
上述に鑑み、掘削動作によって形成される穴の中の状態をより正確に認識できるショベルを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態に係るショベルは、下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、前記アタッチメントを用いた掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、掘削動作によって形成される穴の中の状態をより正確に認識できるショベルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ショベルの制御システムの構成例を概略的に示す図である。
【
図3】ショベルの油圧システムの構成例を概略的に示す図である。
【
図4A】アームシリンダの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図4B】ブームシリンダの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図4C】バケットシリンダの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図4D】旋回油圧モータの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図4E】左走行油圧モータの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図4F】右走行油圧モータの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図5】掘削穴が形成された地盤の一例の断面図である。
【
図6】掘削穴が形成された地盤の一例の上面図である。
【
図7】掘削深さ設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】掘削穴が形成された地盤の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施形態に係るショベル100について説明する。最初に、
図1を参照して、ショベル100の概要について説明する。
図1は、ショベル100の側面図である。
【0010】
ショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントATの一例である掘削アタッチメントを構成するブーム4、アーム5、及び、バケット6と、キャビン10とを備える。
【0011】
下部走行体1は、左右一対のクローラが走行油圧モータ2M(
図2参照)でそれぞれ油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。走行油圧モータ2Mは、左走行油圧モータ2ML及び右走行油圧モータ2MRを含む。つまり、左走行油圧モータ2ML及び右走行油圧モータ2MRは、被駆動部としての下部走行体1(クローラ)を駆動する。
【0012】
上部旋回体3は、旋回油圧モータ2A(
図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。つまり、旋回油圧モータ2Aは、被駆動部としての上部旋回体3を駆動する旋回駆動部であり、上部旋回体3の向きを変化させることができる。
【0013】
尚、上部旋回体3は、旋回油圧モータ2Aの代わりに、電動アクチュエータとしての旋回用電動機により電気駆動されてもよい。つまり、旋回用電動機は、旋回油圧モータ2Aと同様、被駆動部としての上部旋回体3を駆動する旋回駆動部であり、上部旋回体3の向きを変化させることができる。
【0014】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に回動可能に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が回動可能に取り付けられ、アーム5の先端には、エンドアタッチメントとしてのバケット6が回動可能に取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
【0015】
尚、バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメント、例えば、法面用バケット、浚渫用バケット、又はブレーカ等が取り付けられてもよい。
【0016】
キャビン10は、操作者が搭乗する運転室であり、上部旋回体3の前部左側に設けられている。
【0017】
次に、
図1に加えて、
図2を参照し、ショベル100の具体的な構成について説明する。
図2は、ショベル100の制御システムの構成例を概略的に示す図である。尚、
図2において、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、電気信号ラインは、それぞれ、二重線、実線、破線、点線で示されている。
【0018】
ショベル100の駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブユニット17を含む。また、ショベル100の油圧駆動系は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ2M、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
【0019】
エンジン11は、油圧駆動系における動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、コントローラ30による直接的或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンである。
【0020】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(傾転角)を調節する。レギュレータ13は、例えば、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む(
図3参照)。
【0021】
メインポンプ14は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、作動油ラインを通じてコントロールバルブユニット17に作動油を供給する。メインポンプ14は、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、コントローラ30の制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(押しのけ容積)が制御される。メインポンプ14は、例えば、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む(
図3参照)。
【0022】
コントロールバルブユニット17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、操作者による操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブユニット17は、作動油ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26の操作状態に応じて、複数の油圧アクチュエータ(走行油圧モータ2M、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)のそれぞれに選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブユニット17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する制御弁171~176を含む。より具体的には、制御弁171は、左走行油圧モータ2MLに対応し、制御弁172は、右走行油圧モータ2MRに対応し、制御弁173は、旋回油圧モータ2Aに対応する。また、制御弁174は、バケットシリンダ9に対応し、制御弁175は、ブームシリンダ7に対応し、制御弁176は、アームシリンダ8に対応する。制御弁175は、例えば、制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は、例えば、制御弁176L、176Rを含む(
図3参照)。
【0023】
ショベル100の操作系は、パイロットポンプ15及び操作装置26を含む。また、ショベル100の操作系は、コントローラ30によるマシンコントロール機能に関する構成として電磁弁31を含む。
【0024】
パイロットポンプ15は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットラインを介して制御弁171~176のそれぞれのパイロットポートにパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、エンジン11により駆動される。
【0025】
操作装置26は、キャビン10内の運転席の近くに設けられ、操作者が各種動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、操作者がそれぞれの動作要素を駆動する油圧アクチュエータ(走行油圧モータ2M、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)の操作を行うための操作入力手段である。制御弁171~176のそれぞれのパイロットポートには、操作装置26の操作内容(操作方向及び操作量)に応じたパイロット圧が入力される。図示例では、操作装置26は、上部旋回体3(旋回油圧モータ2A)及びアーム5(アームシリンダ8)を操作するレバー装置である左操作レバー26L(
図4A参照)と、ブーム4(ブームシリンダ7)及びバケット6(バケットシリンダ9)を操作するレバー装置である右操作レバー26R(
図4B参照)と、下部走行体1のクローラ(走行油圧モータ2M)を操作する走行操作装置26D(
図4E参照)とを含む。走行操作装置26Dは、左クローラ(左走行油圧モータ2ML)を操作する左走行レバー26DL(
図4E参照)と、右クローラ(右走行油圧モータ2MR)を操作する右走行レバー26DR(
図4F参照)とを含む。走行操作装置26Dは、左クローラ(左走行油圧モータ2ML)を操作する左走行ペダル、及び、右クローラ(右走行油圧モータ2MR)を操作する右走行ペダルを含んでいてもよい。
【0026】
図示例では、操作装置26は、電気信号を出力する電気式であり、操作装置26からの電気信号は、コントローラ30に入力され、コントローラ30は、入力される電気信号に応じて、制御弁171~176のそれぞれのパイロットポートに作用するパイロット圧を制御することにより、操作装置26に対する操作内容に応じた、各種油圧アクチュエータの動作を実現する。具体的には、パイロットポンプ15と制御弁171~176のそれぞれのパイロットポートとの間には、コントローラ30からの電気信号に応じて動作する電磁弁31が配置されている。そして、操作装置26が操作されると、コントローラ30は、その操作量(例えば、レバー操作量)に対応する電気信号によって電磁弁31を制御してパイロット圧を増減させることで、操作装置26に対する操作の内容に合わせて、制御弁171~176のそれぞれを動作させることができる。尚、制御弁171~176は、コントローラ30からの指令により駆動する電磁ソレノイド式スプール弁であってよい。
【0027】
ショベル100の制御系は、コントローラ30と、吐出圧センサ28と、操作センサ29と、電磁弁31と、表示装置40と、入力装置42と、音出力装置43と、記憶装置47と、ブーム角度センサS1と、アーム角度センサS2と、バケット角度センサS3と、機体傾斜センサS4と、旋回状態センサS5と、撮像装置S6と、測位装置Q1と、通信装置T1とを含む。
【0028】
コントローラ30(制御装置の一例)は、キャビン10内に設けられ、ショベル100の駆動制御を行うように構成されている。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。図示例では、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、不揮発性の補助記憶装置と、各種入出力インターフェース等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、ROMや不揮発性の補助記憶装置に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0029】
図示例では、コントローラ30は、操作者等の所定操作により予め設定される作業モード等に基づき、目標回転数を設定し、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させてもよい。
【0030】
コントローラ30は、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能に関する制御を行うように構成されていてもよい。また、コントローラ30は、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能に関する制御を行うように構成されていてもよい。この場合、コントローラ30は、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能に関する機能部として、演算部50を含んでいてもよい。
【0031】
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。すなわち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。例えば、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能は、専用のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。
【0032】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出する。吐出圧センサ28により検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。吐出圧センサ28は、例えば、左吐出圧センサ28L及び右吐出圧センサ28Rを含む(
図3参照)。
【0033】
操作センサ29は、操作装置26の操作内容(操作方向及び操作量)を検出する。操作センサ29の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。操作センサ29は、例えば、左操作レバー26Lの前後方向(アーム操作方向)における操作内容を検出する操作センサ29LA(
図4A参照)、右操作レバー26Rの前後方向(ブーム操作方向)における操作内容を検出する操作センサ29RA(
図4B参照)、右操作レバー26Rの左右方向(バケット操作方向)における操作内容を検出する操作センサ29RB(
図4C参照)、左操作レバー26Lの左右方向(旋回操作方向)における操作内容を検出する操作センサ29LB(
図4D参照)、左走行レバー26DLの操作内容を検出する操作センサ29DL(
図4E参照)、及び、右走行レバー26DRの操作内容を検出する操作センサ29DR(
図4F参照)を含む。
【0034】
図示例では、操作センサ29は、操作装置26の操作量(傾倒量)や傾倒方向を検出可能な傾斜センサであるが、エンコーダ又はポテンショメータ等の任意のセンサであってもよい。
【0035】
電磁弁31は、パイロットポンプ15と制御弁171~176のそれぞれのパイロットポートとを接続するパイロットラインに設けられ、その流路面積(作動油が通流可能な断面積)を変更できるように構成される。電磁弁31は、コントローラ30から入力される制御指令に応じて動作する。これにより、コントローラ30は、操作者により操作装置26が操作されていない場合であっても、パイロットポンプ15から吐出されるパイロット油を、電磁弁31を介し、制御弁171~176のそれぞれのパイロットポートに供給できる。図示例では、電磁弁31は、
図4A~
図4Fに示すように、電磁弁31AL~電磁弁31FL及び電磁弁31AR~電磁弁31FRを含む。
【0036】
表示装置40は、キャビン10内の運転席に着座した操作者から視認し易い場所に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報を表示する。表示装置40は、車載通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよいし、一対一の専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0037】
入力装置42は、キャビン10内の運転席に着座した操作者の手が届く範囲に設けられ、操作者による各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をコントローラ30に出力する。入力装置42は、例えば、各種情報を表示する表示装置40の画面上に実装されるタッチパネル、レバー装置のレバー部の先端に設けられるノブスイッチ、表示装置40の周囲に設置されるボタンスイッチ、レバー、トグルスイッチ、又は、回転ダイヤル等である。入力装置42に対する操作に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0038】
また、入力装置42は、モードスイッチ42aを有する。モードスイッチ42aは、ショベル100の作業モードを切り替えるためのスイッチである。作業モードは、ショベル100による作業の種別を意味し、例えば、クレーンモード及び通常モード等を含む。尚、モードスイッチ42aは、表示装置40の画面上に表示されるソフトウェアスイッチであってもよく、表示装置40の周辺に設置されたハードウェアスイッチであってもよく、キャビン10内の別の位置に設置されたスイッチであってもよい。
【0039】
音出力装置43は、例えば、キャビン10内に設けられ、コントローラ30と接続され、コントローラ30による制御下で、音を出力する。音出力装置43は、例えば、スピーカ又はブザー等である。音出力装置43は、コントローラ30からの音出力指令に応じて各種情報を聴覚的に出力する。
【0040】
記憶装置47は、例えば、キャビン10内に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報を記憶する。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される、或いは、入力装置42等を通じて設定される目標点に関するデータを記憶していてもよい。目標点は、例えば、目標施工面上の点である。目標施工面は、掘削作業によって形成される地面であり、例えば、予め設定される設計面である。目標点に関するデータは、ショベル100の操作者により設定(保存)されてもよいし、施工管理者等により設定されてもよい。
【0041】
ブーム角度センサS1は、ブーム4に取り付けられ、ブーム4の上部旋回体3に対する回動角度(以下、「ブーム角度」)、例えば、側面視において、上部旋回体3の旋回平面(旋回軸に垂直な平面)に対してブーム4の両端の点(連結ピンの中心点)を結ぶ直線が成す角度を検出する。ブーム角度センサS1は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、6軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)、又は、それらの組み合わせ等である。また、ブーム角度センサS1は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、ブーム角度に対応する油圧シリンダ(ブームシリンダ7)のストローク量を検出するシリンダセンサ等で構成されていてもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。ブーム角度センサS1によるブーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0042】
アーム角度センサS2は、アーム5に取り付けられ、アーム5のブーム4に対する回動角度(以下、「アーム角度」)、例えば、側面視において、ブーム4の両端の点(連結ピンの中心点)を結ぶ直線に対してアーム5の両端の点(連結ピンの中心点)を結ぶ直線が成す角度を検出する。アーム角度センサS2によるアーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0043】
バケット角度センサS3は、バケット6に取り付けられ、バケット6のアーム5に対する回動角度(以下、「バケット角度」)、例えば、側面視において、アーム5の両端の点(連結ピンの中心点)を結ぶ直線に対してバケット6の支点(連結ピンの中心点)と先端(刃先)とを結ぶ直線が成す角度を検出する。バケット角度センサS3によるバケット角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。尚、バケット角度センサS3は省略されてもよい。この場合、コントローラ30は、操作センサ29RBの出力に基づいてバケット角度を推定してもよい。
【0044】
機体傾斜センサS4は、水平面に対する機体(上部旋回体3又は下部走行体1)の傾斜状態を検出する。機体傾斜センサS4は、例えば、上部旋回体3に取り付けられ、ショベル100(すなわち、上部旋回体3)の前後方向及び左右方向の2軸回りの傾斜角度(以下、「前後傾斜角」及び「左右傾斜角」)を検出する。機体傾斜センサS4は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、6軸センサ、IMU、又は、それらの組み合わせ等である。機体傾斜センサS4による傾斜角度(前後傾斜角及び左右傾斜角)に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0045】
旋回状態センサS5は、上部旋回体3の旋回状態に関する情報を出力する。旋回状態センサS5は、例えば、上部旋回体3の旋回角速度を検出する。旋回状態センサS5は、旋回角度を検出してもよい。旋回状態センサS5は、例えば、ジャイロセンサ、レゾルバ、又はロータリエンコーダ等である。旋回状態センサS5による上部旋回体3の旋回角速度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0046】
以下では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、アタッチメントATの姿勢を検出する「姿勢センサ」とも称される。バケット角度センサS3が省略される場合には、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び操作センサ29RBが姿勢センサを構成してもよい。また、姿勢センサは、機体傾斜センサS4及び旋回状態センサS5の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0047】
空間認識装置としての撮像装置S6は、ショベル100の周辺を撮像する画像センサである。図示例では、撮像装置S6は、ショベル100の前方を撮像するカメラS6F、ショベル100の左方を撮像するカメラS6L、ショベル100の右方を撮像するカメラS6R、及び、ショベル100の後方を撮像するカメラS6Bを含む。尚、撮像装置S6は、直接、コントローラ30と通信可能に接続されてもよい。
【0048】
図示例では、カメラS6Fは、キャビン10の天井、すなわち、キャビン10の内部に取り付けられている。カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0049】
撮像装置S6(カメラS6F、カメラS6B、カメラS6L、及びカメラS6R)のそれぞれは、例えば、広い画角をもたらす単眼の広角カメラである。撮像装置S6のそれぞれは、ステレオカメラ又は距離画像カメラ等であってもよい。撮像装置S6のそれぞれによる撮像画像は、表示装置40を介してコントローラ30に取り込まれる。
【0050】
空間認識装置としての撮像装置S6は、物体検知装置として機能してもよい。この場合、撮像装置S6は、ショベル100の周囲に存在する物体を検知してよい。検知対象の物体には、例えば、人、動物、車両、建設機械、建造物、及び穴等が含まれうる。物体検知装置としての撮像装置S6は、撮像装置S6又はショベル100から認識された物体までの距離を算出してもよい。物体検知装置としての撮像装置S6は、ステレオカメラ又は距離画像センサ等であってもよい。具体的には、撮像装置S6は、CCD又はCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。
【0051】
ショベル100には、撮像装置S6に加えて、空間認識装置として、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR、赤外線センサ等の他の物体検知装置が設けられてもよい。空間認識装置としてのミリ波レーダ、超音波センサ、又はレーザレーダ等は、多数の信号(レーザ光等)を物体に向けて発し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を検出してもよい。
【0052】
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R、及びバケットボトム圧センサS9Bのうちの少なくとも一つは、「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0053】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0054】
測位装置Q1は、ショベル100(上部旋回体3)の位置を測定するように構成されている。図示例では、測位装置Q1は、GNSS(Global Navigation Satellite System)コンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、上部旋回体3の位置及び向きに対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。尚、上部旋回体3の向きは、上部旋回体3に取り付けられた方位センサ等の別の装置により検出されてもよい。
【0055】
通信装置T1は、移動体通信網、衛星通信網、又はインターネット網等を含む任意の通信ネットワークを通じて外部機器と通信を行うように構成されている。具体的には、通信装置T1は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュール、又は、衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等で構成されていてもよい。
【0056】
演算部50は、各種計算を実行するように構成されている。図示例では、演算部50は、目標点と制御点(例えば、エンドアタッチメントの作業部位)との距離等の作業情報を算出し、表示装置40又は音出力装置43等を通じて、操作者に伝える。目標点に関するデータは、記憶装置47に予め記憶されている。目標点に関するデータは、基準座標系で表現されている。基準座標系は、例えば、世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そして、Z軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。操作者は、入力装置42を通じ、施工現場の任意の点を基準点と定めた上で、その基準点と目標点との間の相対的な位置関係を設定してもよい。エンドアタッチメントの作業部位は、例えば、バケット6の爪先、又は、バケット6の背面等である。演算部50は、表示装置40又は音出力装置43等を通じて、作業情報を操作者に通知し、操作者による操作装置26を通じたショベル100の操作をガイドしてもよい。
【0057】
また、演算部50は、マシンコントロール機能を実行するように構成されていてもよい。演算部50は、例えば、操作者が手動で操作を行っているときに、目標点と制御点(エンドアタッチメントの作業部位における点)とが一致するように、旋回油圧モータ2A、走行油圧モータ2M、ブーム4、アーム5、及び、バケット6の少なくとも一つを自動的に動作させてもよい。
【0058】
図示例では、演算部50は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回状態センサS5、撮像装置S6、測位装置Q1、通信装置T1、及び入力装置42等から情報を取得する。そして、演算部50は、取得した情報に基づき、目標点と制御点との間の距離を算出し、音出力装置43からの音及び表示装置40に表示される画像により、目標点と制御点との間の距離の大きさを操作者に通知したり、制御点と目標点とが一致するように、アクチュエータの動作を自動的に制御したりする。演算部50は、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能に関する機能要素として、位置算出部51、距離算出部52、情報伝達部53、自動制御部54、地形情報取得部55、及び、推定部56を含む。
【0059】
位置算出部51は、所定の測位対象の位置を算出する。例えば、位置算出部51は、制御点の基準座標系における座標を算出する。具体的には、位置算出部51は、下部走行体1の走行距離、上部旋回体3の旋回角度、並びに、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれの回動角度(ブーム角度、アーム角度、及びバケット角度)等から制御点の座標を算出する。また、位置算出部51は、アタッチメントATの姿勢を検出する姿勢検出部としても機能する。
【0060】
距離算出部52は、2つの測位対象間の距離を算出するように構成されている。図示例では、距離算出部52は、制御点と目標点との間の距離を算出する。例えば、距離算出部52は、バケット6の爪先上の制御点と目標施工面上の点との間の距離等を算出する。
【0061】
情報伝達部53は、表示装置40又は音出力装置43等の通知手段を通じて、各種情報をショベル100の操作者に伝達(通知)する。情報伝達部53は、距離算出部52により算出された各種距離等の大きさをショベル100の操作者に通知してもよい。例えば、情報伝達部53は、表示装置40による視覚情報及び音出力装置43による聴覚情報の少なくとも一方を用いて、制御点と目標点との間の距離の大きさを操作者に伝えてもよい。
【0062】
具体的には、情報伝達部53は、音出力装置43による断続音を用いて、制御点と目標点との間の距離の大きさを操作者に伝えてもよい。この場合、情報伝達部53は、その距離が小さくなるほど、断続音の間隔を短くし、その距離が大きくなるほど、断続音の間隔を長くしてよい。また、情報伝達部53は、連続音を用いてもよく、音の高低又は強弱等を変化させながら、その距離の大きさの違いを表すようにしてもよい。また、情報伝達部53は、バケット6の先端部における制御点が目標施工面よりも低い位置になった、つまり、目標施工面を超えてしまった場合、音出力装置43を通じて警報を発してもよい。この警報は、例えば、断続音より顕著に大きい連続音である。
【0063】
また、情報伝達部53は、制御点と目標点との間の距離の大きさ等を作業情報として表示装置40に表示させてもよい。表示装置40は、コントローラ30による制御下で、撮像装置S6から受信した画像データと共に、情報伝達部53から受信した作業情報を表示してもよい。情報伝達部53は、アナログメータの画像又はバーグラフインジケータの画像等を用いて、その距離の大きさを操作者に伝えるようにしてもよい。
【0064】
自動制御部54は、アクチュエータを自動的に動作させる。そのため、自動制御部54は、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作を支援できる。尚、自動制御部54は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に完全自動でショベル100を動作させてもよい。具体的には、自動制御部54は、複数の油圧アクチュエータのそれぞれに対応する制御弁のパイロットポートに作用するパイロット圧を個別に且つ自動的に調整することができる。これにより、自動制御部54は、それぞれの油圧アクチュエータを自動的に動作させることができる。自動制御部54によるマシンコントロール機能に関する制御は、例えば、入力装置42に含まれる所定のスイッチが押下された場合に実行されてよい。所定のスイッチは、例えば、マシンコントロールスイッチ(以下、「MC(Machine Control)スイッチ」)であり、ノブスイッチとして操作装置26(例えば、アーム5の操作に用いるレバー装置であるアーム操作レバー)の把持部の先端に配置されていてもよい。以下の説明は、MCスイッチが押下されている場合に実行されるマシンコントロール機能に関する。
【0065】
例えば、自動制御部54は、MCスイッチ等が押されている場合、掘削作業を支援するために、アーム操作レバーの操作に応じたアームシリンダ8の動作に合わせて、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させる。具体的には、自動制御部54は、操作者が手動でアーム5の閉じ操作(以下、「アーム閉じ操作」)を行っている場合に、目標施工面における目標点とバケット6の爪先又は背面等の作業部位における制御点とが一致するようにブームシリンダ7及びバケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させる。この場合、操作者は、例えば、アーム操作レバーをアーム閉じ方向に操作するだけで、バケット6の爪先等を目標施工面に一致させながら、アーム5を閉じることができる。
【0066】
また、自動制御部54は、事前に生成した軌道を制御点が辿るようにアタッチメントATを動作させてもよい。この軌道は、「目標軌道」とも称され、目標施工面、及び、過去の制御点の軌跡等の少なくとも一つに基づいて生成されてもよい。
【0067】
地形情報取得部55は、地形に関する情報を取得する。図示例では、地形情報取得部55は、通信装置T1を通じ、目標施工面に関する情報を取得する。また、地形情報取得部55は、撮像装置S6が撮像した画像に基づいて現在の地形に関する情報を取得する。また、地形情報取得部55は、測位装置Q1が測定した上部旋回体3の位置及び向きに基づいて目標施工面と現在の地形とを対応付ける。また、地形情報取得部55は、バケット6の爪先上の制御点の軌跡に基づいて現在の地形に関する情報を取得してもよい。前回行われた掘削動作の際のバケット6の爪先上の制御点の軌跡は、掘削対象の地盤の現在の表面に略一致すると推定できるためである。
【0068】
推定部56は、掘削に関する値を推定できるように構成されている。図示例では、推定部56は、掘削動作によって形成される穴である掘削穴(掘削溝)の深さを推定する。具体的には、推定部56は、掘削動作が行われた後に、その掘削動作によって形成された掘削穴の深さを推定する。
【0069】
より具体的には、推定部56は、既に終了した今回の掘削動作の際におけるバケット6の移動軌跡に基づいて掘削穴の深さを推定する。バケット6の移動軌跡は、姿勢センサの出力に基づいて導き出される。この推定は、バケット6の爪先上の制御点の軌跡が掘削穴の底に一致するという見解に基づく。また、推定部56は、撮像装置S6としてのカメラS6Fが撮像した画像に基づき、掘削穴の縁(側壁)から崩れ落ちた土砂の体積を推定し、その上で、その崩れ落ちた土砂によって浅くなる掘削穴の深さを推定してもよい。
【0070】
また、推定部56は、掘削体積を推定してもよい。掘削体積は、バケット6によって掘削されて理論上は土砂等が存在しなくなる空間の体積を意味する。図示例では、推定部56は、バケット6の移動軌跡と予め記憶されているバケット6の寸法に関する情報とに基づいて掘削体積を推定する。
【0071】
また、推定部56は、掘起体積を推定してもよい。掘起体積は、バケット6によって掘り起こされた土砂の体積を意味する。掘起体積は、バケット6によって隆起させられた土砂の体積(隆起体積)、掘削の後で地面よりも上に持ち上げられたバケット6内に入っている土砂の体積(バケット内土砂体積)、及び、バケット6からこぼれ落ちて地面に堆積した土砂の体積(堆積土砂体積)の少なくとも一つを含んでいてもよい。図示例では、推定部56は、カメラS6Fが撮像した画像に基づいて掘起体積を推定する。具体的には、推定部56は、今回の掘削動作が開始される前にカメラS6Fが撮像した画像(第1画像)と今回の掘削動作の際に又は今回の掘削動作が完了した後にカメラS6Fが撮像した画像(第2画像)とに基づいて掘起体積を推定する。より具体的には、推定部56は、ステレオ写真測量技術を用い、掘削動作が開始した後に形成された地面の盛り上がりを形成している土砂の体積を掘起体積として導き出す。
【0072】
また、推定部56は、穴内落下体積を推定してもよい。穴内落下体積は、掘削穴内にこぼれ落ちた土砂の体積を意味する。図示例では、推定部56は、掘削体積から掘起体積を差し引いた値を穴内落下体積として算出する。
【0073】
上述の例では、推定部56は、姿勢センサ又は画像センサ(撮像装置S6)等のセンサの出力に基づいて掘削穴の深さ、掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積等の掘削穴に関する値を導き出している。しかしながら、推定部56は、掘削穴の深さ、掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積等のうちの少なくとも一つを、センサの出力に基づかずにコンピュータシミュレーションによって導き出してもよい。例えば、推定部56は、実際の掘削動作が行われる前に、コンピュータシミュレーションによって、その実際の掘削動作によって形成される予定の掘削穴に関する値(体積又は深さ等)を推定してもよい。尚、コンピュータシミュレーションは、過去に行われた実際の掘削動作の際に各種センサが出力したデータに基づいて実行されてもよく、コンピュータ上で生成されたデータに基づいて実行されてもよい。
【0074】
例えば、推定部56は、コンピュータシミュレーションによって掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積を推定してもよい。具体的には、推定部56は、掘削動作の目標軌道と掘削前の地面の形状とが与えられた状態で実行された掘削動作のコンピュータシミュレーションの結果を利用することによって掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積を推定してもよい。尚、推定部56は、掘削動作の目標軌道及び掘削前の地面の形状の取得と、掘削動作のコンピュータシミュレーションとをリアルタイムに実行して掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積を導き出してもよい。また、推定部56は、掘削動作の目標軌道及び掘削前の地面の形状をリアルタイムに取得した上で、事前に実行されたコンピュータシミュレーションの結果から、取得した値に対応する掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積を導き出してもよい。事前に実行されたコンピュータシミュレーションの結果は、例えば、様々な目標軌道と様々な地面の形状と他の様々な情報(例えば土質等に関する情報)とに基づいて実行された掘削動作のコンピュータシミュレーションによって導き出された掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積等に関する情報のデータベースである。
【0075】
また、実際の掘削動作によって形成された掘削穴に関する実測値(各種センサの出力)は、その後に行われるコンピュータシミュレーションに反映されてもよい。コンピュータシミュレーションの結果を実際の掘削動作によって得られる結果に更に近付けるためである。
【0076】
次に、
図3を参照して、ショベル100の油圧システムについて説明する。
図3は、ショベル100の油圧システムの構成例を概略的に示す図である。尚、
図3において、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、及び電気信号ラインは、
図2等の場合と同様、それぞれ、二重線、実線、破線、及び点線で示されている。
【0077】
油圧システムは、エンジン11により駆動される左メインポンプ14Lから左センタバイパス油路C1L及び左パラレル油路C2Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させ、且つ、エンジン11により駆動される右メインポンプ14Rから右センタバイパス油路C1R及び右パラレル油路C2Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
【0078】
左センタバイパス油路C1Lは、左メインポンプ14Lを起点として、コントロールバルブユニット17内に配置される制御弁171、制御弁173、制御弁175L、及び制御弁176Lを順に通過し、作動油タンクに至る。
【0079】
右センタバイパス油路C1Rは、右メインポンプ14Rを起点として、コントロールバルブユニット17内に配置される制御弁172、制御弁174、制御弁175R、及び制御弁176Rを順に通過し、作動油タンクに至る。
【0080】
制御弁171は、左メインポンプ14Lから吐出される作動油を左走行油圧モータ2MLへ供給し、且つ、左走行油圧モータ2MLが吐出する作動油を作動油タンクに排出させるスプール弁である。
【0081】
制御弁172は、右メインポンプ14Rから吐出される作動油を右走行油圧モータ2MRへ供給し、且つ、右走行油圧モータ2MRが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0082】
制御弁173は、左メインポンプ14Lから吐出される作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0083】
制御弁174は、右メインポンプ14Rから吐出される作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0084】
制御弁175は、制御弁175L及び制御弁175Rを含む。制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0085】
制御弁176は、制御弁176L及び制御弁176Rを含む。制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0086】
制御弁171~176のそれぞれは、パイロットポートに作用するパイロット圧に応じて、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を調整したり、流れる方向を切り替えたりする。
【0087】
左パラレル油路C2Lは、左センタバイパス油路C1Lと並行するように配置され、制御弁173、制御弁175L、及び制御弁176Lのそれぞれに左メインポンプ14Lが吐出する作動油を供給できるように構成されている。これにより、左パラレル油路C2Lは、制御弁171、制御弁173、又は制御弁175Lの何れかによって左センタバイパス油路C1Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0088】
右パラレル油路C2Rは、右センタバイパス油路C1Rと並行するように配置され、制御弁174、制御弁175R、及び制御弁176Rのそれぞれに右メインポンプ14Rが吐出する作動油を供給できるように構成されている。これにより、右パラレル油路C2Rは、制御弁172、制御弁174、又は制御弁175Rの何れかによって右センタバイパス油路C1Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0089】
左レギュレータ13Lは、コントローラ30による制御下で、左メインポンプ14Lの斜板の傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を調節できるように構成されている。右レギュレータ13Rは、コントローラ30による制御下で、右メインポンプ14Rの斜板の傾転角を調節することによって、右メインポンプ14Rの吐出量を調節できるように構成されている。
【0090】
左吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。右吐出圧センサ28Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて左レギュレータ13Lを制御することができ、且つ、右メインポンプ14Rの吐出圧に応じて右レギュレータ13Rを制御することができる。
【0091】
左センタバイパス油路C1Lには、最も下流にある制御弁176Lと作動油タンクとの間には、左絞り18Lが設けられる。これにより、左メインポンプ14Lにより吐出された作動油の流れは、左絞り18Lで制限される。そして、左絞り18Lは、左レギュレータ13Lを制御するための左制御圧を発生させる。右センタバイパス油路C1Rには、最も下流にある制御弁176Rと作動油タンクとの間には、右絞り18Rが設けられる。これにより、右メインポンプ14Rにより吐出された作動油の流れは、右絞り18Rで制限される。そして、右絞り18Rは、右レギュレータ13Rを制御するための右制御圧を発生させる。
【0092】
左制御圧センサ19Lは、左制御圧を検出し、検出された左制御圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。右制御圧センサ19Rは、右制御圧を検出し、検出された右制御圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0093】
コントローラ30は、左吐出圧センサ28Lにより検出される左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて、左レギュレータ13Lを制御し、左メインポンプ14Lの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて、左レギュレータ13Lを制御し、左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することにより、左メインポンプ14Lの吐出量を減少させてよい。右レギュレータ13Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないように、メインポンプ14の全馬力制御を行うことができる。
【0094】
また、コントローラ30は、左制御圧センサ19Lにより検出される左制御圧に応じて、左レギュレータ13Lを制御することにより、左メインポンプ14Lの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、左制御圧が大きいほど左メインポンプ14Lの吐出量を減少させ、左制御圧が小さいほど左メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。右メインポンプ14Rの吐出量についても同様である。
【0095】
具体的には、ショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態(
図3に示す状態)の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左センタバイパス油路C1Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lの上流で発生する左制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、左メインポンプ14Lが吐出した作動油が左センタバイパス油路C1Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。右メインポンプ14Rが吐出した作動油が右センタバイパス油路C1Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)についても同様である。
【0096】
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作装置26を通じて操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、左絞り18Lの上流で発生する左制御圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータを確実に駆動させることができる。右メインポンプ14Rが吐出する作動油についても同様である。
【0097】
次に、
図4A~
図4Fを参照し、コントローラ30がアクチュエータを動作させるための構成について説明する。
図4A~
図4Fは、油圧システムの一部を抜き出した図である。具体的には、
図4Aは、アームシリンダ8の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、
図4Bは、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
図4Cは、バケットシリンダ9の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、
図4Dは、旋回油圧モータ2Aの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
図4Eは、左走行油圧モータ2MLの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、
図4Fは、右走行油圧モータ2MRの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
【0098】
図4A~
図4Fに示すように、油圧システムは、電磁弁31を含む。電磁弁31は、電磁弁31AL~電磁弁31FL及び電磁弁31AR~電磁弁31FRを含む。
【0099】
電磁弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、開口面積を変更することにより、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、電磁弁31は、電磁比例弁であり、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作に応じ、又は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31を介し、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。そして、コントローラ30は、電磁弁31が生成するパイロット圧を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
【0100】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合に加え、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。また、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータの動作を強制的に停止させることができる。
【0101】
例えば、
図4Aに示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0102】
操作装置26にはスイッチSWが設けられている。本実施形態では、スイッチSWは、スイッチSW1及びスイッチSW2を含む。スイッチSW1は、左操作レバー26Lの先端に設けられたMCスイッチ(押しボタンスイッチ)である。操作者は、スイッチSW1を押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチSW1は、右操作レバー26Rに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。スイッチSW2は、左走行レバー26DLの先端に設けられたMCスイッチ(押しボタンスイッチ)である。操作者は、スイッチSW2を押しながら左走行レバー26DLを操作できる。スイッチSW2は、右走行レバー26DRに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。
【0103】
操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0104】
電磁弁31ALは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31ARは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31ALは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、電磁弁31ARは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0105】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、アーム5を閉じることができる。このように、電磁弁31ALは、「アーム用電磁弁」又は「アーム閉じ用電磁弁」として機能する。
【0106】
また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、或いは、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、アーム5を開くことができる。このように、電磁弁31ARは、「アーム用電磁弁」又は「アーム開き用電磁弁」として機能する。
【0107】
また、この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、制御弁176の閉じ側のパイロットポート(制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポート)に作用するパイロット圧を減圧し、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させることができる。操作者によるアーム開き操作が行われているときにアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0108】
或いは、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、電磁弁31ARを制御し、制御弁176の閉じ側のパイロットポートの反対側にある、制御弁176の開き側のパイロットポート(制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポート)に作用するパイロット圧を増大させ、制御弁176を強制的に中立位置に戻すことで、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させてもよい。操作者によるアーム開き操作が行われている場合にアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0109】
また、以下の
図4B~
図4Fを参照しながらの説明を省略するが、操作者によるブーム上げ操作又はブーム下げ操作が行われている場合にブーム4の動作を強制的に停止させる場合、操作者によるバケット閉じ操作又はバケット開き操作が行われている場合にバケット6の動作を強制的に停止させる場合、及び、操作者による旋回操作が行われている場合に上部旋回体3の旋回動作を強制的に停止させる場合、についても同様である。また、操作者による走行操作が行われている場合に下部走行体1の走行動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0110】
また、コントローラ30は、アーム操作(アーム閉じ操作及びアーム開き操作)の応答性を良くするため、アーム操作が行われる前から微小なパイロット圧を制御弁176の両側のパイロットポートに作用させるように構成されていてもよい。ブーム操作(ブーム上げ操作及びブーム下げ操作)等の他の操作についても同様である。すなわち、コントローラ30は、より多くのパイロット油を使用することにより、油圧アクチュエータの応答性を高めることができる。
【0111】
また、
図4Bに示すように、右操作レバー26Rは、ブーム4を操作するために用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0112】
操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0113】
電磁弁31BLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31BLを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31BRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31BRを介して制御弁175Rの右側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31BLは、制御弁175L及び制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。また、電磁弁31BRは、制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0114】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、ブーム4を上げることができる。このように、電磁弁31BLは、「ブーム用電磁弁」又は「ブーム上げ用電磁弁」として機能する。
【0115】
また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、ブーム4を下げることができる。このように、電磁弁31BRは、「ブーム用電磁弁」又は「ブーム下げ用電磁弁」として機能する。
【0116】
また、
図4Cに示すように、右操作レバー26Rは、バケット6を操作するためにも用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁174のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、バケット開き方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の右側パイロットポートに作用させる。
【0117】
操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。尚、コントローラ30は、バケット角度センサS3が省略されている場合、操作センサ29RBの出力に基づいてバケット角度を推定してもよい。
【0118】
電磁弁31CLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31CLを介して制御弁174の左側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31CRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31CRを介して制御弁174の右側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31CLは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、電磁弁31CRは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0119】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、バケット6を閉じることができる。このように、電磁弁31CLは、「バケット用電磁弁」又は「バケット閉じ用電磁弁」として機能する。
【0120】
また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作に応じ、或いは、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、バケット6を開くことができる。このように、電磁弁31CRは、「バケット用電磁弁」又は「バケット開き用電磁弁」として機能する。
【0121】
また、
図4Dに示すように、左操作レバー26Lは、旋回機構2を操作するためにも用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁173のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、左旋回方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、右旋回方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の右側パイロットポートに作用させる。
【0122】
操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0123】
電磁弁31DLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31DLを介して制御弁173の左側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31DRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から電磁弁31DRを介して制御弁173の右側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31DLは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、電磁弁31DRは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0124】
この構成により、コントローラ30は、操作者による左旋回操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者による左旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者による左旋回操作に応じ、或いは、操作者による左旋回操作とは無関係に、旋回機構2を左旋回させることができる。このように、電磁弁31DLは、「旋回用電磁弁」又は「左旋回用電磁弁」として機能する。
【0125】
また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者による右旋回操作に応じ、或いは、操作者による右旋回操作とは無関係に、旋回機構2を右旋回させることができる。このように、電磁弁31DRは、「旋回用電磁弁」又は「右旋回用電磁弁」として機能する。
【0126】
また、
図4Eに示すように、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLを操作するために用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁171のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左走行レバー26DLは、前進方向(前方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁171の左側パイロットポートに作用させる。また、左走行レバー26DLは、後進方向(後方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁171の右側パイロットポートに作用させる。
【0127】
操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0128】
電磁弁31ELは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、電磁弁31ELは、パイロットポンプ15から電磁弁31ELを介して制御弁171の左側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31ERは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、電磁弁31ERは、パイロットポンプ15から電磁弁31ERを介して制御弁171の右側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31EL、31ERは、制御弁171を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0129】
この構成により、コントローラ30は、操作者による左前進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31ELを介し、制御弁171の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、左クローラ1CLを前進させることができる。また、コントローラ30は、操作者による左後進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31ERを介し、制御弁171の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、左クローラ1CLを後進させることができる。このように、電磁弁31ELは、「左走行用電磁弁」又は「左前進用電磁弁」として機能し、電磁弁31ERは、「左走行用電磁弁」又は「左後進用電磁弁」として機能する。
【0130】
また、
図4Fに示すように、右走行レバー26DRは、右クローラ1CRを操作するために用いられる。具体的には、右走行レバー26DRは、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁172のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右走行レバー26DRは、前進方向(前方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁172の右側パイロットポートに作用させる。また、右走行レバー26DRは、後進方向(後方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁172の左側パイロットポートに作用させる。
【0131】
操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0132】
電磁弁31FLは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、電磁弁31FLは、パイロットポンプ15から電磁弁31FLを介して制御弁172の左側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31FRは、コントローラ30が出力する電流指令に応じて動作する。そして、電磁弁31FRは、パイロットポンプ15から電磁弁31FRを介して制御弁172の右側パイロットポートに導入されるパイロット油によるパイロット圧を調整する。電磁弁31FL、31FRは、制御弁172を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0133】
この構成により、コントローラ30は、操作者による右前進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31FLを介し、制御弁172の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、右クローラ1CRを前進させることができる。また、コントローラ30は、操作者による右後進操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出するパイロット油を、電磁弁31FRを介し、制御弁172の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、右クローラ1CRを後進させることができる。このように、電磁弁31FLは、「右走行用電磁弁」又は「右前進用電磁弁」として機能し、電磁弁31FRは、「右走行用電磁弁」又は「右後進用電磁弁」として機能する。
【0134】
また、ショベル100は、バケットチルト機構を自動的に動作させる構成を備えていてもよい。この場合、バケットチルト機構を構成するバケットチルトシリンダに関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
【0135】
また、操作装置26の形態として電気式操作レバーに関する説明を記載したが、電気式操作レバーではなく油圧式操作レバーが採用されてもよい。この場合、油圧式操作レバーの操作量は、圧力センサによって圧力の形で検出されてコントローラ30へ入力されてもよい。また、油圧式操作レバーとしての操作装置26と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置されてもよい。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、油圧式操作レバーとしての操作装置26を用いた手動操作が行われると、操作装置26は、操作量に応じてパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。また、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーの操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
【0136】
次に、
図5及び
図6を参照し、掘削動作によって形成される掘削穴EHの状態を認識する処理について説明する。
図5は、掘削穴EHが形成される地盤の一例の断面図である。具体的には、
図5の上図は、地盤へのバケット6の貫入が終わった後でバケット6の水平引きを開始させるときの地盤の断面図を示し、
図5の下図は、水平引きが終わった後でブーム上げを行っているときの地盤の断面図を示す。尚、
図5では、バケット6の中の地盤(掘削動作によって掘り起こされた土砂を含む)の様子が分かるようにバケット6は輪郭のみで示されている。また、地盤の断面のうち、掘削前の地面よりも下に位置する部分には粗いドットパターンが付され、掘削前の地面よりも上に位置する部分には細かいドットパターンが付されている。また、掘削穴EHの中にこぼれ落ちた土砂には更に細かいドットパターンが付されている。また、掘削穴EHの側面にはクロスパターンが付されている。
【0137】
図6は、掘削穴EHが形成される地盤の一例の上面図である。具体的には、
図6の上図は、地盤へのバケットの貫入が終わって水平引きを開始させるときの地盤の上面図を示し、
図5の上図に対応している。
図6の下図は、水平引きが終わった後でブーム上げを行っているときの地盤の上面図を示し、
図5の下図に対応している。尚、
図6では、地面(掘削動作によって掘り起こされた土砂の表面を含む)のうち、掘削前の地面と同じ高さにある部分には粗いドットパターンが付され、掘削前の地面よりも高い部分には細かいドットパターンが付されている。また、掘削穴EHの中にこぼれ落ちた土砂には更に細かいドットパターンが付されている。また、掘削穴EHの底面にはクロスパターンが付されている。
【0138】
図5に示す例では、自動制御部54は、今回の掘削動作が開始される前に設定された目標軌道TLに沿ってバケット6の爪先上の制御点が移動するように掘削アタッチメントを自動的に動作させるように構成されている。具体的には、
図5の一点鎖線で示す目標軌道TLは、一回目の掘削動作のための第1目標軌道TL1であり、貫入点P1、第1通過点P2、第2通過点P3、及び、ブーム上げ終了点P4を含む。貫入点P1は、バケット6の爪先と地面とが最初に接触する位置に対応する点である。第1通過点P2は、貫入区間の終点であり、且つ、水平引き区間の始点である。第2通過点P3は、水平引き区間の終点であり、且つ、ブーム上げ区間の始点である。ブーム上げ終了点P4はブーム上げ区間の終点である。貫入区間は、バケット6を地盤に貫入させる動作である貫入動作が行われる区間である。図示例では、貫入区間では、バケット6の爪先上の制御点は、徐々に低い(地盤の深い)位置に向かって移動する。水平引き区間は、バケット6を水平移動させる動作である水平引き動作が行われる区間である。図示例では、水平引き区間では、バケット6の爪先上の制御点は、ショベル100のキャビン10に近づく方向(-X方向)に水平に移動する。ブーム上げ区間は、ブーム4を上昇させる動作であるブーム上げ動作が行われる区間である。図示例では、ブーム上げ区間では、バケット6の爪先上の制御点は、徐々に高い位置に向かって移動する。
【0139】
推定部56は、掘削動作が行われている際に、掘削に関する値を推定するように構成されている。図示例では、掘削動作は、貫入動作、水平引き動作、及びブーム上げ動作を含む。そして、推定部56は、形状が既知であるバケット6のうちの最も遠方(+X方向)に位置する点BEの座標を導き出した上で、点BEの鉛直下方に位置する第1目標軌道TL1上の点PEの座標と、点BEの鉛直上方にある地面(掘削動作が開始される前の地面)と同じ高さに位置する点TEの座標を導き出す。そして、推定部56は、XZ平面における貫入点P1と点PEと点TEとで囲まれた範囲の面積と予め記憶されているY軸方向におけるバケット6の幅との乗算により掘削体積を算出する。尚、図示例では、貫入点P1と点TEとの間の線、及び、点PEと点TEとの間の線は直線であるが、貫入点P1と点PEとの間の線は、第1目標軌道TL1に沿った線(非直線)である。この掘削体積の算出方法はほんの一例であり、推定部56は、他の任意の方法を用いて掘削体積を算出するように構成されていてもよい。
【0140】
また、図示例では、推定部56は、今回の掘削動作が開始される前にカメラS6Fが撮像した1枚又は複数枚の画像(第1画像)と今回の掘削動作の実行中にカメラS6Fが撮像した1枚又は複数枚の画像(第2画像)とに基づいて掘起体積を算出する。具体的には、推定部56は、掘削対象の地面のステレオ写真を撮影し、写真測量ソフトウェアによって地面の3次元点群データを生成して面データ化する。そして、推定部56は、
図5の上図及び
図6の上図に示すような貫入区間では、掘削対象の地面のうち、掘削動作によって隆起した部分である隆起部分RPの表面にある各点の座標(位置及び高さ)を導き出し、その座標に基づいて隆起部分RPの体積を掘起部分DPの体積である掘起体積として算出する。また、推定部56は、
図5の下図及び
図6の下図に示すようなブーム上げ区間では、掘削対象の地面のうち、バケット6内に入らずに地面に堆積した部分である地面堆積部分APの表面にある各点の座標(位置及び高さ)を導き出し、その座標に基づいて地面堆積部分APの体積を算出する。そして、推定部56は、地面堆積部分APの体積と隆起部分RPの体積との合計を掘起部分DPの体積である掘起体積として算出する。地面堆積部分APは、典型的には、
図6の下図に示すように、掘削穴EHの左側にある地面に堆積した部分である左側地面堆積部分APLと、掘削穴EHの右側にある地面に堆積した部分である右側地面堆積部分APRとを含む。
【0141】
また、図示例では、推定部56は、掘削体積から掘起体積を差し引くことにより、掘削穴EH内にこぼれ落ちた部分である穴内落下部分FPの体積を穴内落下体積として算出する。掘削穴EHの底は、特に、ショベル100(カメラS6F)に近い側において、掘削穴EHの周囲の地盤に遮られてカメラS6Fの死角になってしまう場合がある。この場合、カメラS6Fが撮像した画像に基づいて推定部56が掘削穴EHの中にこぼれ落ちた土砂の体積である穴内落下体積を正確に推定することは難しい。しかしながら、推定部56は、掘削体積から掘起体積を差し引くことによって穴内落下体積を算出することで、このような場合であっても、穴内落下体積を比較的正確に推定することができる。尚、推定部56は、ほぐし率又は締固め率等を利用して掘起体積を算出してもよい。
【0142】
上述の例では、推定部56は、掘削体積、掘起体積、及び穴内落下体積を所定の制御周期で繰り返し算出するように構成されているが、掘削動作(ブーム上げ動作)が終了する毎に算出するように構成されていてもよい。
【0143】
また、推定部56は、カメラS6Fが撮像した画像を用いて認識した掘削穴EHの縁の形状に基づき、掘削穴EHの縁を構成していた地盤(土砂)のうちの、掘削穴EHの中に崩れ落ちた部分(土砂)の体積を算出してもよい。或いは、推定部56は、カメラS6Fが撮像した画像ではなく、地盤(土砂)の特性(土質若しくは粘度等)又は安息角等に基づくコンピュータシミュレーションにより、掘削穴EHの縁を構成していた地盤(土砂)のうちの、掘削穴EHの中に崩れ落ちた部分(土砂)の体積を算出してもよい。掘削穴EH内にこぼれ落ちた土砂の体積である穴内落下体積をより正確に導き出すためである。そして、推定部56は、掘削穴EHの中に崩れ落ちた地盤(土砂)の体積を、穴内落下体積に加えてもよい。
【0144】
次に、
図7を参照し、推定部56が次回の掘削動作での掘削深さを設定する処理(以下、「掘削深さ設定処理」とする)について説明する。
図7は、掘削深さ設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7に示す例では、推定部56は、掘削動作が終了する度に、この掘削深さ設定処理を実行する。具体的には、推定部56は、掘削動作を構成するブーム上げ動作が終了したときに、この掘削深さ設定処理を実行する。但し、推定部56は、掘削動作中、所定の制御周期で繰り返しこの処理を実行してもよい。
【0145】
最初に、推定部56は、掘削体積を算出する(ステップST1)。
図7に示す例では、推定部56は、既に終了した今回の掘削動作の際のバケット6の移動軌跡と予め記憶されているバケット6の寸法に関する情報とに基づいて掘削体積を算出する。バケット6の移動軌跡は、姿勢センサの出力に基づいて導き出される。尚、推定部56は、カメラS6Fが撮像した掘削動作(貫入動作)開始前の画像と、カメラS6Fが撮像した掘削動作(ブーム上げ動作)終了後の画像とに基づいて掘削体積を算出してもよく、移動軌跡に基づいて算出された値と画像に基づいて算出された値とを利用して最終的な掘削体積を算出してもよい。
【0146】
その後、推定部56は、掘起体積を算出する(ステップST2)。
図7に示す例では、推定部56は、カメラS6Fが撮像した掘削動作(貫入動作)開始前の画像と、カメラS6Fが撮像した掘削動作(ブーム上げ動作)終了後の画像とに基づいて掘起体積を算出する。掘削動作(ブーム上げ動作)終了後の画像は、バケット6内に入っている土砂の画像を含む。この場合、推定部56は、バケット6内に入っている部分の体積と、バケット6内に入らずに地面に堆積した部分である地面堆積部分APの体積との合計を掘起体積として算出する。尚、推定部56は、バケット6内に入っている部分の体積を算出する際には、予め記憶されているバケット6の寸法に関する情報を利用してもよい。
【0147】
その後、推定部56は、穴内落下体積を算出する(ステップST3)。
図7に示す例では、推定部56は、掘削体積から掘起体積を差し引いて穴内落下体積を算出する。但し、推定部56は、カメラS6Fが撮像した掘削動作(ブーム上げ動作)終了後の画像に基づいて穴内落下体積を算出してもよく、掘削体積から掘起体積を差し引いて導き出される値と画像に基づいて算出された値とを利用して最終的な穴内落下体積を算出してもよい。
【0148】
その後、推定部56は、次回の掘削動作での掘削深さを設定する(ステップST4)。
図7に示す例では、推定部56は、穴内落下体積が大きいほど掘削深さが浅くなるように、次回の掘削動作に適した掘削深さを設定する。次回の掘削動作(ブーム上げ動作)の際にバケット6からこぼれ落ちる土砂を減らしながら、できるだけ多くの土砂をバケット6内に取り込めるようにするためである。
【0149】
自動制御部54は、推定部56が設定した掘削深さを用い、次回の掘削動作のための目標軌道TLを生成する。そして、自動制御部54は、次回の掘削動作の際に、その目標軌道TLを制御点が辿るようにアタッチメントATを動作させる。例えば、自動制御部54は、推定部56が設定した掘削深さと水平引き区間の深さとが一致するように目標軌道TLを生成してもよい。
【0150】
ここで、
図8を参照し、掘削深さ設定処理による効果について説明する。
図8は、掘削穴EHが形成された地盤の一例の断面図であり、
図5に示す地盤の断面図に対応している。具体的には、
図8は、一点鎖線で示す第1目標軌道TL1に沿って行われた一回目の掘削動作(ブーム上げ動作)が終了した後で、且つ、二点鎖線で示す第2目標軌道TL2に沿って行われる二回目の掘削動作(貫入動作)が開始される前の地盤の断面を示している。また、
図8は、比較のため、掘削穴EH内にこぼれ落ちた土砂を考慮せずに生成された第2目標軌道TL2aを点線で示している。具体的には、第2目標軌道TL2aは、一回目の掘削動作の際の穴内落下体積がゼロであるとされたときに生成される目標軌道に相当する。
【0151】
図8に示すように、推定部56は、一回目の掘削動作の際に掘削穴EH内にこぼれ落ちた土砂の体積である穴内落下体積に基づいて値D1の掘削深さを二回目の掘削動作(水平引き動作)の際の掘削深さとして設定している。この値D1は、一回目の掘削動作の際の穴内落下体積がゼロであるとされたときに設定される値D1aよりも小さい。値D1aが掘削深さとして設定された場合、二回目の掘削動作におけるブーム上げ動作の際にバケット6からこぼれ落ちる土砂の体積が比較的多くなってしまうためである。すなわち、値D1を採用すると、無駄な掘削動作が行われるのを抑制でき、ひいては作業効率の向上させることができるためである。
【0152】
上述のように、本開示の実施形態に係るショベル100は、
図1に示すように、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられるアタッチメントATと、アタッチメントATを用いた掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定する制御装置としてのコントローラ30と、を備える。土砂の量は、土砂の体積であってもよく、土砂の重量であってもよい。
【0153】
この構成により、ショベル100は、掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量をより正確に認識できる。例えば、ショベル100は、掘削動作によって形成された掘削穴(掘削溝)内にこぼれ落ちた土砂の体積(穴内落下体積)、又は、こぼれ落ちた土砂によって浅くなる掘削穴(掘削溝)の深さ等を推定できる。そのため、ショベル100は、例えば、アタッチメントATを自動的に動作させる場合、掘削穴(掘削溝)内にこぼれ落ちた土砂の存在を踏まえ、次回の掘削動作を適切に実行させることができる。その結果、ショベル100は、作業効率を向上させることができる。
【0154】
また、コントローラ30は、掘削動作に関する情報を取得するセンサの出力、及び、掘削動作のコンピュータシミュレーションの少なくとも一方に基づき、掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定するように構成されていてもよい。掘削動作に関する情報を取得するセンサは、撮像装置S6のような画像センサ、姿勢センサ、及びシリンダ圧センサ等のうちの少なくとも一つを含む。尚、掘削動作に関する情報を取得するセンサは、上部旋回体3に取り付けられていてもよく、上部旋回体3以外に取り付けられていてもよい。例えば、画像センサは、ショベル100の外部に設置されていてもよい。この場合、コントローラ30は、通信装置T1を通じ、ショベル100の外部に設置された画像センサが撮像した画像を主とする。また、センサの出力は、現在の出力であってもよく、過去の出力であってもよく、現在の出力と過去の出力との組み合わせであってもよい。例えば、コントローラ30は、過去に行われた掘削動作の際に取得されたセンサの出力とその過去の掘削動作によって形成された穴にこぼれ落ちた土砂の量の推定結果と現に行われている掘削動作の際に取得されるセンサの出力とに基づき、現に行われている掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定してもよい。また、センサの出力は、コンピュータシミュレーションの際に生成された仮想的な出力であってもよい。すなわち、センサの出力は、実際の掘削動作の際にセンサが出力した値ではなく、実際の掘削動作の際にセンサが出力したであろう仮想的な値であってもよい。また、コントローラ30は、掘削動作に関する情報を取得するセンサの出力を用いずに、掘削動作のコンピュータシミュレーションに基づき、掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定するように構成されていてもよい。この構成は、掘削動作に関する情報を取得するセンサの出力を利用できない場合であっても、掘削動作のコンピュータシミュレーションによって得られる情報を利用することにより、掘削動作によって形成される穴にこぼれ落ちる土砂の量を推定できるという効果をもたらす。
【0155】
また、コントローラ30は、推定した土砂の量に基づいて次回の掘削動作の掘削深さを設定するように構成されていてもよい。この場合、ショベル100は、例えば、次回の掘削動作の際に掘削穴EHの深さが不必要に深くなってしまうのを抑制できる。具体的には、ショベル100は、例えば、設定した掘削深さよりも深い位置にバケット6が進入しないようにアタッチメントATを動作させることができる。そのため、ショベル100は、次回の掘削動作のブーム上げ動作の際にバケット6からこぼれ落ちる土砂を減らすことができる。
【0156】
また、コントローラ30は、設定した掘削深さに基づいて次回の掘削動作の際に利用される目標軌道TLを生成するように構成されていてもよい。この場合、ショベル100は、例えば、次回の掘削動作の際に、設定された掘削深さで水平引き動作が行われるようにアタッチメントATを動作させることができる。そのため、ショベル100は、次回の掘削動作(ブーム上げ動作)の際にバケット6からこぼれ落ちる土砂を減らすことができる。
【0157】
また、コントローラ30は、バケット6による掘削によって形成される空間の体積である掘削体積と、バケット6によって掘り起こされた土砂の体積である掘起体積とを推定し、掘削体積から掘起体積を差し引いた値を穴内落下体積として推定してもよい。この場合、ショベル100は、例えば、カメラS6Fからでは掘削穴EHの底が手前の地面の死角になって見えない場合であっても、掘削穴EHの底に堆積している土砂の体積である穴内落下体積を比較的正確に推定できる。
【0158】
掘起体積は、バケット6によって隆起させられた土砂の体積、地面から持ち上げられたバケット6内に入っている土砂の体積、及び、バケット6からこぼれ落ちて地面に堆積した土砂の体積のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。具体的には、掘起体積は、例えば、貫入動作又は水平引き動作が行われているときに算出される場合には、バケット6によって隆起させられた土砂の体積、及び、バケット6からこぼれ落ちて地面に堆積した土砂の体積を含んでいてもよい。また、掘起体積は、例えば、ブーム上げ動作が終了した後に算出される場合には、バケット6内に取り込まれた土砂の体積、及び、バケット6からこぼれ落ちて地面に堆積した土砂の体積を含んでいてもよい。この場合、ショベル100は、掘起体積を比較的正確に推定できる。そのため、ショベル100は、掘削体積から掘起体積を差し引いて算出される穴内落下体積を比較的正確に推定できる。
【0159】
また、コントローラ30は、掘削動作によって形成された穴の縁の形状に基づき、その穴の縁からその穴の中に崩れ落ちた土砂の体積を推定してもよい。この場合、コントローラ30は、穴内落下体積を更に正確に推定できる。そのため、ショベル100は、次回の掘削動作を更に適切に実行させることができる。その結果、ショベル100は、作業効率を更に向上させることができる。
【0160】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、後述する実施形態に制限されることもない。上述した或いは後述する実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0161】
例えば、ショベル100は、遠隔操作式のショベルであってもよい。この場合、コントローラ30は、ショベル100の外部にある遠隔操作室に設置される制御装置であってもよい。また、ショベル100は、操作者による操作を必要としない自律式のショベルであってもよい。
【符号の説明】
【0162】
1・・・下部走行体 2・・・旋回機構 2A・・・旋回油圧モータ 2M・・・走行油圧モータ 2ML・・・左走行油圧モータ 2MR・・・右走行油圧モータ 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 11・・・エンジン 13・・・レギュレータ 14・・・メインポンプ 15・・・パイロットポンプ 17・・・コントロールバルブユニット 18L・・・左絞り 18R・・・右絞り 19L・・・左制御圧センサ 19R・・・右制御圧センサ 26・・・操作装置 26D・・・走行操作装置 26DL・・・左走行レバー 26DR・・・右走行レバー 26L・・・左操作レバー 26R・・・右操作レバー 28・・・吐出圧センサ 29、29DL、29DR、29LA、29LB、29RA、29RB、・・・操作センサ 30・・・コントローラ 31、31AL~31FL、31AR~31FR・・・電磁弁 40・・・表示装置 42・・・入力装置 42a・・・モードスイッチ 43・・・音出力装置 47・・・記憶装置 50・・・演算部 51・・・位置算出部 52・・・距離算出部 53・・・情報伝達部 54・・・自動制御部 55・・・地形情報取得部 56・・・推定部 100・・・ショベル 171~176・・・制御弁 AP・・・地面堆積部分 APL・・・左側地面堆積部分 APR・・・右側地面堆積部分 AT・・・アタッチメント DP・・・掘起部分 EH・・・掘削穴 FP・・・穴内落下部分 P1・・・貫入点 P2・・・第1通過点 P3・・・第2通過点 P4・・・ブーム上げ終了点 Q1・・・測位装置 RP・・・隆起部分 S1・・・ブーム角度センサ S2・・・アーム角度センサ S3・・・バケット角度センサ S4・・・機体傾斜センサ S5・・・旋回状態センサ S6・・・撮像装置 S6B、S6F、S6L、S6R・・・カメラ S7B・・・ブームボトム圧センサ S7R・・・ブームロッド圧センサ S8B・・・アームボトム圧センサ S8R・・・アームロッド圧センサ S9B・・・バケットボトム圧センサ S9R・・・バケットロッド圧センサ SW、SW1、SW2・・・スイッチ T1・・・通信装置 TL・・・目標軌道 TL1・・・第1目標軌道 TL2、TL2a・・・第2目標軌道