(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057987
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】録音装置および録画装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/77 20060101AFI20240418BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240418BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240418BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240418BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20240418BHJP
【FI】
H04N5/77 200
H04N5/232
G07C5/00 Z
G06T7/00 350B
G06V10/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165034
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】服部 武直
【テーマコード(参考)】
3E138
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA01
3E138MB08
3E138MB09
3E138MC20
3E138ME10
5C122DA14
5C122EA07
5C122FJ01
5C122FJ04
5C122GA23
5C122GA34
5C122HA01
5C122HA63
5C122HA75
5C122HA90
5C122HB01
5L096BA04
5L096CA02
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、録音および録画の少なくとも一方に関するプライバシーの保護レベルを向上することを課題とする。
【解決手段】録音装置(1A)は、対象領域内の音に基づいて、対象領域内に特定音が発生しているか否かを判定する特定音判定部(101)と、特定音判定部により対象領域内に特定音が発生していることが判定されている場合に、対象領域内の音の録音を停止する録音部(102A)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域内の音に基づいて、前記対象領域内に特定音が発生しているか否かを判定する特定音判定部と、
前記特定音判定部により前記対象領域内に前記特定音が発生していることが判定されている場合に、前記対象領域内の音の録音を停止する録音部と、
を備えていることを特徴とする録音装置。
【請求項2】
前記特定音判定部は、音からその音が前記特定音である可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象領域内の音を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象領域内に前記特定音が発生しているか否かを判定する、請求項1に記載の録音装置。
【請求項3】
対象領域内の画像に基づいて、前記対象領域内が特定状態であるか否かを判定する特定状態判定部と、
前記特定状態判定部により前記対象領域内が前記特定状態であることが判定されている場合に、前記対象領域内の録画を停止する録画部と、
を備えていることを特徴とする録画装置。
【請求項4】
前記特定状態判定部は、画像からその画像が前記特定状態を示している可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象領域内の画像を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象領域内に前記特定状態であるか否かを判定する、請求項3に記載の録画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、録音装置および録画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車内外を録画するとともに、車室内の音を集音するドライブレコーダが開示されている。このドライブレコーダでは、携帯電話による通話が開始されたことを示す通話開始信号が受信された場合に、通話音声の録音を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このドライブレコーダによれば、携帯電話による会話に関するプライバシーを保護することはできるものの、携帯電話によらない会話に関するプライバシーを保護することはできない。例えば、ドライバーと同乗者との会話に関するプライバシーを保護することはできない。
【0005】
本開示の一態様は、録音に関するプライバシーの保護レベルを向上する録音装置を提供することを課題とする。本開示の他の態様は、録画に関するプライバシーの保護レベルを向上する録画装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る録音装置は、対象領域内の音に基づいて、前記対象領域内に特定音が発生しているか否かを判定する特定音判定部と、前記特定音判定部により前記対象領域内に前記特定音が発生していることが判定されている場合に、前記対象領域内の音の録音を停止する録音部と、を備えている。
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の他の態様に係る録画装置は、対象領域内の画像に基づいて、前記対象領域内が特定状態であるか否かを判定する特定状態判定部と、前記特定状態判定部により前記対象領域内が前記特定状態であることが判定されている場合に、前記対象領域内の録画を停止する録画部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、録音に関するプライバシーの保護レベルを向上する録音装置を提供することができる。本開示の他の態様によれば、録画に関するプライバシーの保護レベルを向上する録画装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態1に係るドライブレコーダの構成を示す模式図である。
【
図3】本開示の実施形態1に係るドライブレコーダの機能を示す模式図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係るドライブレコーダにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態2に係るドライブレコーダの機能を示す模式図である。
【
図6】本開示の実施形態2に係るドライブレコーダにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態3に係るドライブレコーダの機能を示す模式図である。
【
図8】本開示の実施形態3に係るドライブレコーダにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
(ドライブレコーダの構成)
図1は、本開示の実施形態1に係るドライブレコーダ1Aの構成を示す模式図である。ドライブレコーダ1Aは、本開示の録音装置及び録画装置の一例である。ドライブレコーダ1Aは、車両に配置され、車両で発生するトラブル(以下「車両トラブル」ともいう)を記録する。ここで、車両トラブルとしては、車両で発生する事故や異常が考えられる。車両で発生する異常としては、車両の異常作動や、他車両の異常走行や、車両使用者以外の他者の異常な行動が考えられる。車両の異常作動としては、異常音の発生が考えられる。
【0011】
車両のドライブレコーダ1Aは、制御部10と、集音部11と、撮像部12と、記憶部13とを備えている。
【0012】
制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、例えば記憶部13からプログラムを読み出して、そのプログラムを実行する。
記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を有し、上記プログラムと、後述する学習済モデルM1およびM2と、録音された音に関する録音情報131と、録画された画像に関する録画情報132とを記憶する。また、記憶部13は、制御部10がワークスペースとして使用するRAM(Random Access Memory)等を有している。
【0013】
集音部11は、例えばマイクロホンであり、ドライブレコーダ1Aが設置された車両の車室内を含む車両周辺の音を集音する。集音部11は、ドライブレコーダ1Aの本体に内蔵されなくてもよく、車両の各所に配置された複数のマイクロホンを含んで構成されてもよい。集音部11により集音された音は、不図示のA/D変換部等によりデジタル信号に変換され、第1情報111として記憶部13のRAM等に一時記憶される。
【0014】
撮像部12は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)カメラであり、ドライブレコーダ1Aが設置された車両の車室内を含む車両周辺の画像を所定のフレームレートで撮像する。撮像部12は、ドライブレコーダ1Aの本体に内蔵されていなくてもよく、車両の各所に配置された複数のCCDカメラを含んで構成されてもよい。撮像部12により撮像された画像は、第2情報112として、記憶部13のRAM等に一時記憶される。
ここで、車室内は本開示に係る対象領域の一例である。
【0015】
(録音機能用の学習済モデル)
図2の(a)は、
図1に示す学習済モデルM1の模式図である。
学習済モデルM1は、車室内の音から車室内に特定音が発生している可能性を推定する録音機能用の学習済モデルである。学習済モデルM1は、例えば、車室内の音と、車室内に特定音が発生しているか否かを示すラベルとのデータセットを、教師データとして機械学習させることにより構築されたものである。
ここで特定音とは、録音されるとプライバシーの保護レベルが低下する音であって、例えば人間の話し声である。
【0016】
(録画機能用の学習済モデル)
図2の(b)は、
図1に示す学習済モデルM2の模式図である。
学習済モデルM2は、車室内の画像から車室内が特定状態である可能性を推定する録画機能用の学習済モデルである。学習済モデルM2は、例えば、車室内の画像と、車室内が特定状態であるか否かを示すラベルとのデータセットを、教師データとして機械学習させることにより構築されたものである。
ここで特定状態とは、録画されるとプライバシーの保護レベルが低下する状態であって、例えば、人間が着替えをしている状態や、人間が食事をしている状態である。
【0017】
(ドライブレコーダの機能)
図3は、ドライブレコーダ1Aの機能を示す模式図である。
図3において、(a)は録音機能を示し、(b)は録画機能を示している。
図1に示す制御部10は、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することにより、
図3(a)に示す特定音判定部101及び録音部102Aと、
図3(b)に示す特定状態判定部103及び録画部104Aとして機能する。
【0018】
特定音判定部101は、車室内の音に基づいて、車室内に特定音が発生しているか否かを判定する。例えば、特定音判定部101は、
図3(a)に示すように、第1情報111を記憶部13から取得する。そして、特定音判定部101は、第1情報111を学習済モデルM1に入力し、車室内に特定音が発生している可能性を示す指標を、学習済モデルM1から取得する。特定音判定部101は、その指標に基づいて、車室内に特定音が発生しているか否かを判定する。
【0019】
録音部102Aは、車室内に特定音が発生していない場合に車室内の音を録音し、車室内に特定音が発生している場合に車室内の音の録音を停止する。
例えば、録音部102Aは、特定音判定部101から判定結果を取得し、その判定結果が車室内に特定音が発生していないことを示している場合には、その判定が行われた時点の第1情報111を記憶部13のSDD等に記憶する。
一方で、録音部102Aは、特定音判定部101から取得した判定結果が車室内に特定音が発生していることを示している場合には、その判定が行われた時点の第1情報111を記憶部13のSDD等に記憶しない。
また、録音部102Aは、特定音判定部101から取得した判定結果が車室内に特定音が発生していることを示している場合には、記憶部13のSDD等に記憶されている第1情報111に基づいて、録音情報131を生成し、録音情報131を記憶部13のSDD等に記憶する。
【0020】
この場合、車室内に特定音が発生している状態の音を示す第1情報111は、記憶部13のRAM等に一時記憶されるものの、記憶部13のSDD等には記憶されない。記憶部13のRAM等に一時記憶された第1情報111は、ドライブレコーダ1Aへの電力供給の停止に伴って消去される。
【0021】
特定状態判定部103は、車室内の画像に基づいて、車室内が特定状態であるか否かを判定する。ここで、特定状態判定部103による判定対象は、時系列を有する複数の画像(動画)であってもよいし、1つの画像(静止画)であってもよい。
例えば、特定状態判定部103は、
図3(b)に示すように、第2情報112を記憶部13から取得する。そして、特定状態判定部103は、第2情報112を学習済モデルM2に入力し、車室内が特定状態である可能性を示す指標を取得する。特定状態判定部103は、その指標に基づいて、車室内が特定状態であるか否かを判定する。
【0022】
録画部104Aは、車室内が特定状態ではない場合に車室内を録画し、車室内が特定状態である場合に車室内の録画を停止する。
例えば、録画部104Aは、特定状態判定部103から判定結果を取得し、その判定結果が車室内が特定状態ではないことを示している場合には、その判定が行われた時点の第2情報112を記憶部13のSDD等に記憶する。
一方で、録画部104Aは、特定状態判定部103から取得した判定結果が車室内が特定状態であることを示している場合には、その判定が行われた時点の第2情報112を記憶部13のSDD等に記憶しない。
また、録画部104Aは、特定状態判定部103から取得した判定結果が車室内が特定状態であることを示している場合には、記憶部13のSDD等に記憶されている第2情報112に基づいて、録画情報132を生成し、録画情報132を記憶部13のSDD等に記憶する。ここで録画情報132は、例えば、モーションJPEG、MPEG、H.264等の動画圧縮規格による動画ファイルである。
【0023】
この場合、特定状態の画像を示す第2情報112は、記憶部13のRAM等に一時記憶されるものの、記憶部13のSDD等には記憶されない。記憶部13のSDD等に一時記憶された第2情報112は、ドライブレコーダ1Aへの電力供給の停止に伴って消去される。
【0024】
(ドライブレコーダの作動)
図4は、ドライブレコーダ1Aにおける処理の流れを示すフローチャートである。ドライブレコーダ1Aにおいて、制御部10は、
図4に示す一連の処理を、所定の実行周期で繰り返し実行する。
【0025】
S20において、制御部10は、車室内の音及び画像をRAM等に一時記憶する。例えば、制御部10は、集音部11により集音された音を、第1情報111として記憶部13のRAM等に一時記憶する。また、制御部10は、撮像部12により撮像された画像を、第2情報112として記憶部13のRAM等に一時記憶する。
【0026】
S21において、制御部10は、特定音判定部101として機能し、記憶部13のRAM等に記憶されている第1情報111に基づいて、車室内に特定音が発生しているか否かを判定する。制御部10は、車室内に特定音が発生していないと判定した場合は(S21:NO)、S22の処理に進み、車室内に特定音が発生していると判定した場合は(S21:YES)、S23の処理に進む。
【0027】
S22において、制御部10は、録音部102Aとして機能し、S21で判定対象とした第1情報111を、記憶部13のSDD等に記憶する。
S23において、制御部10は、録音部102Aとして機能し、その時点で記憶部13のSDD等に記憶されている第1情報111に基づいて、録音情報131を生成し、その録音情報131を記憶部13のSDD等に記憶する。そして、制御部10は、記憶部13のSDD等に記憶されている第1情報111を消去し、S24の処理に進む。
【0028】
S24において、制御部10は、特定状態判定部103として機能し、記憶部13のRAM等に一時記憶されている第2情報112に基づいて、車室内が特定状態であるか否かを判定する。制御部10は、車室内が特定状態ではないと判定した場合は(S24:NO)、S25の処理に進み、車室内が特定状態であると判定した場合は(S24:YES)、S26の処理に進む。
【0029】
S25において、制御部10は、録画部104Aとして機能し、S24で判定対象とした第2情報112を、記憶部13のSDD等に記憶する。
S26において、制御部10は、録音部104Aとして機能し、その時点で記憶部13のSDD等に記憶されている第2情報112に基づいて、録画情報132を生成し、録画情報132を記憶部13のSDD等に記憶する。そして、制御部10は、記憶部13に記憶されている第2情報112を消去し、今回周期の一連の処理の実行を終了する。
【0030】
以上説明した実施形態1によれば、車室内に特定音が発生していることが判定されたプログラムの実行周期よりも1周期前までに記憶部13のSDD等に記憶された第1情報111に基づいて、録音情報131が生成される。また、車室内に特定音が発生していることが判定されたプログラムの実行周期では、記憶部13のRAM等に一時記憶されている第1情報111は、記憶部131のSDD等に記憶されない。
すなわち、実施形態1によれば、車室内に特定音が発生していることが判定された時点で、車室内の音の録音が停止される。換言すれば、ドライブレコーダ1Aでは、車室内に特定音が発生していることが録音停止条件として設定されている。これにより、車室内の録音に関するプライバシーの保護レベルを高めることができる。
【0031】
また実施形態1によれば、車室内が特定状態であることが判定された実行周期よりも1周期前までに記憶部13のSDD等に記憶された第2情報112に基づいて、録画情報132が生成される。また、車室内が特定状態であることが判定された実行周期では、記憶部13のRAM等に一時記憶されている第2情報112は、記憶部131のSDD等に記憶されない。
すなわち、実施形態1によれば、車室内が特定状態であることが判定された時点で、車室内の録画が停止される。換言すれば、ドライブレコーダ1Aでは、車室内が特定状態であることが録画停止条件として設定されている。これにより、車室内の録画に関するプライバシーの保護レベルを高めることができる。
【0032】
〔実施形態2〕
実施形態1では、車室内に特定音が発生している場合に、車室内の音の録音を停止するようにした。しかし、本開示では、録音装置による録音の効果と録音に関するプライバシーの保護とのバランスを考慮して、録音を停止する条件に所定の付加条件を加えてもよい。また実施形態1では、車室内が特定状態である場合は、車室内の録画を停止するようにした。しかし、本開示では、録画装置による録画の効果と録画に関するプライバシーの保護とのバランスを考慮して、録画を停止する条件に所定の付加条件を加えてもよい。
【0033】
以下、
図5及び
図6を参照して、本開示の実施形態2について説明する。実施形態2は、車室内に特定音が発生していたとしても、車両の走行中は車室内の音の録音を停止しない点と、車室内が特定状態であったとしても、車両の走行中は車室内の録画を停止しない点とで、実施形態1と異なる。
すなわち、実施形態2のドライブレコーダ1Bでは、車室内に特定音が発生しており、かつ、車両が走行中ではないことが、録音停止条件として設定されている。また、ドライブレコーダ1Bでは、車室内が特定状態であり、かつ、車両が走行中ではないことが、録画停止条件として設定されている。
実施形態2では、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した構成、機能、情報及び処理と実質的に同じ構成、機能、情報及び処理については、それぞれ同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0034】
実施形態2のドライブレコーダ1Bの構成は、
図1に示す実施形態1のドライブレコーダ1Aの構成と実質的に同一である。
図5は、ドライブレコーダ1Bの機能を示す模式図である。
ドライブレコーダ1Bの制御部10は、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することにより、特定音判定部101と、録音部102Bと、特定状態判定部103と、録画部104Bとに加え、録音停止可否判定部105と、録画停止可否判定部106としても機能する。
【0035】
録音停止可否判定部105は、車室内の音と車両の走行状態とに基づいて、車室内の音の録音を停止するか否かを判定する。
詳しくは、録音停止可否判定部105は、車室内に特定音が発生しておらず、かつ、車両が走行中ではない場合は、車室内の音の録音を停止することを判定する。
【0036】
例えば、録音停止可否判定部105は、特定音判定部101による判定結果と、車両の走行状態に関する情報とを取得する。ここで、車両の走行状態に関する情報とは、例えば、車両の位置や車両の速度である。
録音停止可否判定部105は、図示しないGPS信号受信部により受信されたGPS信号を、車両の位置に関する情報として取得してもよい。録音停止可否判定部105は、図示しない車輪速センサの出力信号を、車両の速度に関する情報として取得してもよい。
【0037】
そして、録音停止可否判定部105は、車両の走行状態に関する情報に基づいて、車両が走行中であるか否かを判定する。録音停止可否判定部105は、その判定結果と特定音判定部101による判定結果とに基づいて、例えば、以下の(1)から(3)に示すように、車室内の音の録音を停止するか否かを判定する。
【0038】
(1)録音停止可否判定部105は、特定音判定部101による判定結果が車室内に特定音が発生していないことを示している場合は、車両の走行状態に拘わらず、車室内の音の録音を停止しないことを判定する。
(2)録音停止可否判定部105は、車両の走行状態に関する情報が車両が走行中であることを示している場合は、特定音判定部101による判定結果に拘わらず、車室内の音の録音を停止しないことを判定する。
(3)録音停止可否判定部105は、特定音判定部101による判定結果が車室内に特定音が発生していることを示しており、かつ、車両の走行状態に関する情報が車両が走行中ではないことを示している場合は、車室内の音の録音を停止することを判定する。
【0039】
録音部102Bは、録音停止可否判定部105による判定結果が車室内の音の録音を停止しないことを示している場合は車室内の音を録音し、録音停止可否判定部105による判定結果が車室内の音の録音を停止することを示している場合は車室内の音の録音を停止する。
【0040】
例えば、録音部102Bは、録音停止可否判定部105から判定結果を取得し、その判定結果が車室内の音の録音を停止しないことを示している場合には、その判定が行われた時点の第1情報111を記憶部13のSDD等に記憶する。
一方で、録音部102Bは、録音停止可否判定部105から取得した判定結果が車室内の音の録音を停止することを示している場合には、その判定が行われた時点の第1情報111を記憶部13のSDD等に記憶しない。
また、録音部102Bは、録音停止可否判定部105から判定結果が車室内の音の録音を停止することを示している場合には、記憶部13のSDD等に記憶されている第1情報111に基づいて、録音情報131を生成し、録音情報131を記憶部13のSDD等に記憶する。
【0041】
録画停止可否判定部106は、車室内の画像と車両の状態とに基づいて、車室内の録画を停止するか否かを判定する。
詳しくは、録画停止可否判定部106は、車室内が特定状態ではなく、かつ、車両が走行中ではない場合に、車室内の録画を停止することを判定する。
【0042】
例えば、録画停止可否判定部106は、特定状態判定部103による判定結果と、車両の走行状態に関する情報を取得する。そして、録画停止可否判定部106は、車両の走行状態に関する情報に基づいて、車両が走行中であるか否かを判定する。録画停止可否判定部106は、その判定結果と特定状態判定部103による判定結果とに基づいて、例えば、以下の(1)から(3)に示すように、車室内の録画を停止するか否かを判定する。
【0043】
(1)録画停止可否判定部106は、特定状態判定部103による判定結果が車両が走行中であることを示している場合は、車両の走行状態に拘わらず、車室内の録画を停止しないことを判定する。
(2)録画停止可否判定部106は、車両の走行状態に関する情報が車両が走行中であることを示している場合は、特定状態判定部103による判定結果に拘わらず、車室内の録画を停止しないことを判定する。
(3)録画停止可否判定部106は、特定状態判定部103による判定結果が車室内が特定状態であることを示しており、かつ、車両の走行状態に関する情報が車両が走行中ではないことを示している場合は、車室内の録画を停止することを判定する。
【0044】
録画部104Bは、録画停止可否判定部106による判定結果が車室内の録画を停止しないことを示している場合は車室内を録画し、録画停止可否判定部106による判定結果が車室内の録画を停止することを示している場合は車室内の録画を停止する。
【0045】
例えば、録画部104Bは、録画停止可否判定部106から判定結果を取得し、その判定結果が車室内の録画を停止しないことを示している場合には、その判定が行われた時点の第2情報112を記憶部13のSDD等に記憶する。
一方で、録画部104Bは、録画停止可否判定部106から取得した判定結果が車室内の録画を停止することを示している場合には、その判定が行われた時点の第2情報112を記憶部13のSDD等に記憶しない。
また、録画部104Bは、録画停止可否判定部106から取得した判定結果が車室内の録画を停止することを示している場合には、記憶部13のSDD等に記憶されている第2情報112に基づいて、録画情報132を生成し、録画情報132を記憶部13のSDD等に記憶する。
【0046】
図6は、ドライブレコーダ1Bにおける処理の流れを示すフローチャートである。ドライブレコーダ1Bにおいて、制御部10は、
図6に示す一連の処理を所定の実行周期で繰り返し実行する。
【0047】
制御部10は、実施形態1と同様にして、車室内の音及び画像をRAM等に一時記憶し(S20)、車室内に特定音が発生しているか否かを判定する(S21)。制御部10は、車室内に特定音が発生していないと判定した場合はS22の処理に進み、車室内に特定音が発生していると判定した場合はS31の処理に進む。
【0048】
S31において、制御部10は、録音停止可否判定部105として機能し、車両が走行中であるか否かを判定する。制御部10は、車両が走行中であることを判定した場合(S31:YES)、S22の処理に進み、車両が走行中ではないことを判定した場合(S31:NO)、S23の処理に進む。
すなわち、制御部10は、車室内に特定音が発生していない場合と、車両が走行中である場合とに、実施形態1と同様に車室内の音を録音し(S22)、車室内に特定音が発生しておらず、かつ、車両が走行中ではない場合に、実施形態と同様に車室内の音の録音を停止する(S23)。そして、制御部10はS24の処理に進む。
【0049】
S24において、制御部10は、実施形態1と同様にして、車室内が特定状態であるか否かを判定する。制御部10は、車室内が特定状態ではないと判定した場合は、S25の処理に進み、車室内が特定状態であると判定した場合は、S32の処理に進む。
S32において、制御部10は、録画停止可否判定部106として機能し、車両が走行中であるか否かを判定する。制御部10は、車両が走行中であることを判定した場合は(S32:YES)、S25の処理に進み、車両が走行中ではないことを判定した場合(S32:NO)、S26の処理に進む。
すなわち、制御部10は、車室内が特定状態である場合と、車両が走行中である場合とに、実施形態1と同様にして車室内を録画し(S25)、車室内が特定状態ではなく、かつ、車両が走行中ではない場合に、実施形態1と同様にして車室内の録画を停止する(S26)。
制御部10は、S25の処理又はS26の処理を実行した後に、今回周期の一連の処理の実行を終了する。
【0050】
以上説明した実施形態2では、車室内に特定音が発生していたとしても、車両の走行中は、車室内の音の録音は停止されない。また、車室内が特定状態であったとしても、車両の走行中は、車室内の録画は停止されない。
ここで、車両の走行中は、車両の停車中と比較して、車両トラブルの発生確率が高い。例えば、車両の走行中は、車両の事故や車両の異常作動の発生確率が高い。また、車両の走行中は、他車両の異常走行に遭遇する確率が高い。したがって、実施形態2によれば、ドライブレコーダ1Bによる録音及び録画の効果の低下を抑制しつつ、ドライブレコーダ1Bによる録音及び録画に関するプライバシーの保護レベルを高めることができる。
【0051】
〔実施形態3〕
以下、
図7及び
図8を参照して、本開示の実施形態3について説明する。実施形態3は、車室内に特定音が発生していなくても車室内が特定状態である場合は、車室内の音の録音を停止する点と、車室内が特定状態ではなくても車室内に特定音が発生している場合は、車室内の録画を停止する点で、実施形態1及び実施形態2と異なる。
すなわち、実施形態3のドライブレコーダ1Cでは、車室内に特定音が発生していること又は車室内が特定状態であることが、録音停止条件及び録画停止条件として設定されている。
実施形態3では、説明の便宜上、上記実施形態1及び実施形態2にて説明した構成、機能、情報及び処理と実質的に同じ構成、機能、情報及び処理については、それぞれ同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
実施形態3のドライブレコーダ1Cの構成は、
図1に示す実施形態1のドライブレコーダ1Aと実質的に同一である。
図7は、ドライブレコーダ1Cの機能を示す模式図である。
ドライブレコーダ1Cの機能は、実施形態2の録音停止可否判定部105及び録画停止可否判定部106に対応する機能が異なる点を除き、実施形態2のドライブレコーダ1Bの機能と実質的に同一である。
【0053】
実施形態3の録音停止可否判定部107は、特定音判定部101及び特定状態判定部103による2つの判定結果を入力情報とする点で、特定音判定部101の判定結果と車両の走行状態に関する情報とを入力情報とする実施形態2の録音停止可否判定部105と異なる。
録音停止可否判定部107は、特定音判定部101による判定結果が車室内に特定音が発生していないことを示しており、かつ、特定状態判定部103による判定結果が車室内が特定状態ではないことを示している場合に、車室内の音の録音を停止しないことを判定する。
一方、録音停止可否判定部107は、特定音判定部101による判定結果が車室内に特定音が発生していることを示している場合と、特定状態判定部103による判定結果が車室内が特定状態であることを示している場合とに、車室内の音の録音を停止することを判定する。
【0054】
実施形態3の録画停止可否判定部108は、特定状態判定部103及び特定音判定部101による2つの判定結果を入力情報とする点で、特定状態判定部103の判定結果と車両の走行状態に関する情報とを入力情報とする実施形態2の録画停止可否判定部106と異なる。
録画停止可否判定部108は、特定状態判定部103による判定結果が車室内が特定状態ではないことを示しており、かつ、特定音判定部101による判定結果が車室内に特定音が発生していないことを示している場合に、車室内の録画を停止しないことを判定する。
一方、録画停止可否判定部108は、特定状態判定部103による判定結果が車室内が特定状態であること示している場合と、特定音判定部101による判定結果が車室内に特定音が発生していることを示している場合とに、車室内の録画を停止することを判定する。
【0055】
図8は、ドライブレコーダ1Cにおける処理の流れを示すフローチャートである。ドライブレコーダ1Cの制御部10は、
図8に示す一連の処理を所定の実行周期で繰り返し実行する。
【0056】
制御部10は、実施形態1と同様にして、車室内の音及び画像をRAM等に一時記憶し(S20)、車室内に特定音が発生しているか否かを判定する(S21)。制御部10は、車室内に特定音が発生していないと判定した場合はS41の処理に進み、車室内に特定音が発生していると判定した場合はS23の処理に進む。
S41において、制御部10は、特定状態判定部103として機能し、車室内が特定状態であるか否かを判定する。制御部10は、車室内が特定状態ではないことを判定した場合(S41:NO)、S22の処理に進み、車室内が特定状態であることを判定した場合(S41:YES)、S23の処理に進む。
すなわち、制御部10は、車室内に特定音が発生しておらず、かつ、車室内が特定状態ではない場合に、実施形態1と同様に車室内の音を録音し(S22)、車室内に特定音が発生している場合と、車室内が特定状態で場合である場合とに、実施形態1と同様に車室内の音の録音を停止する(S23)。
【0057】
制御部10は、S22の処理又はS23の処理を実行した後に、S24の処理に進む。
S24において、制御部10は、実施形態1と同様にして、車室内が特定状態であるか否かを判定する。制御部10は、車室内が特定状態ではないと判定した場合はS42の処理に進み、車室内が特定状態であると判定した場合はS26の処理に進む。
S42において、制御部10は、特定音判定部101として機能し、車室内に特定音が発生しているか否かを判定する。制御部10は、車室内に特定音が発生していないことを判定した場合は(S42:YES)、S25の処理に進み、車室内に特定音が発生していることを判定した場合(S42:NO)、S26の処理に進む。
すなわち、制御部10は、車室内が特定状態ではなく、かつ、車室内に特定音が発生していない場合に、実施形態1と同様に車室内を録画し(S25)、車室内が特定状態である場合と、車室内に特定音が発生している場合とに、実施形態1と同様に車室内の録画を停止する(S26)。
制御部10は、S25の処理又はS26の処理を実行した後に、今回周期の一連の処理の実行を終了する。
【0058】
以上説明した実施形態3では、車室内に特定音が発生していなくても、車室内が特定状態である場合は、車室内の音の録音が停止される。また、車室内が特定状態ではなくても、車室内に特定音が発生している場合は、車室内の録画が停止される。
ここで、車室内に特定音が発生する前に車室内が特定状態になることや、車室内が特定状態になる前に車室内に特定音が発生することが考えられる。したがって、実施形態3によれば、ドライブレコーダ1Cによる録音や録画に関するプライバシーの保護レベルを一層高めることができる。
【0059】
(変形例)
上記複数の実施形態では、対象領域を車両の車室内にした。
しかし、本開示に係る対象領域は、車両の車室内に限られない。本開示に係る対象領域は、車両以外の移動体に関する所定領域であってもよいし、固定体に関する所定領域であってもよい。固定体としては、オフィスや家庭等に設置される複合機や複写機等の電子機器が考えられる。この場合の所定領域としては、電子機器の周辺が考えられる。また、この場合の録音や録画の目的としては、電子機器に発生する異常音の録音や、異常音が発生した際の状況の録画が考えられる。
【0060】
上記複数の実施形態では、録音機能及び録画機能の両機能を有するドライブレコーダ(ドライブレコーダ1A、ドライブレコーダ1B、ドライブレコーダ1C)を例示して、本開示に係る録音装置及び録画装置について説明した。しかし、本開示に係る録音装置は、録画装置としての構成及び機能を有していなくてもよい。また、本開示に係る録画装置は、録音装置としての構成及び機能を有していなくてもよい。
【0061】
例えば、実施形態1のドライブレコーダ1Aから録画機能を排する場合は、ドライブレコーダ1Aから、撮像部12と、特定状態判定部103および録画部104Aと、学習済モデルM2とを排してもよい。また、実施形態1のドライブレコーダ1Aから録音機能を排する場合は、ドライブレコーダ1Aから、集音部11と、特定音判定部101および録音部102Aと、学習済モデルM1とを排してもよい。
【0062】
例えば、実施形態2のドライブレコーダ1Bから録画機能を排する場合は、ドライブレコーダ1Bから撮像部12と、特定状態判定部103、録画停止可否判定部106及び録画部104Bと、学習済モデルM2とを排してもよい。また、実施形態2のドライブレコーダ1Bから録音機能を排する場合は、ドライブレコーダ1Bから集音部11と、特定音判定部101、録音停止可否判定部105及び録音部102Bと、学習済モデルM1とを排してもよい。
【0063】
例えば、実施形態3のドライブレコーダ1Cから録画機能を排する場合は、ドライブレコーダ1Cから録画部104Bを排してもよい。また、実施形態3のドライブレコーダ1Cから録音機能を排する場合は、ドライブレコーダ1Cから録音部102Bを排してもよい。
【0064】
上記複数の実施形態では、ドライブレコーダに録音停止条件と録画停止条件とを設定した。しかし、ドライブレコーダから録音停止条件及び録画停止条件のいずれか一方を排してもよい。
【0065】
例えば、実施形態1のドライブレコーダ1Aから録画停止条件を排する場合は、ドライブレコーダ1Aから、特定状態判定部103と学習済モデルM2とを排してもよい。この場合、録画部104Aは、所定のタイミングで、第2情報112に基づいて録画情報132を生成すればよい。また、実施形態1のドライブレコーダ1Aから録音停止条件を排する場合は、ドライブレコーダ1Aから、特定音判定部101と学習済モデルM1とを排してもよい。この場合、録音部102Aは、所定のタイミングで、第1情報111に基づいて録音情報131を生成すればよい。
【0066】
例えば、実施形態2のドライブレコーダ1Bから録画停止条件を排する場合は、ドライブレコーダ1Bから、特定状態判定部103及び録画停止可否判定部106と、学習済モデルM2とを排してもよい。この場合、録画部104Bは、所定のタイミングで、第2情報112に基づいて録画情報132を生成すればよい。また、実施形態2のドライブレコーダ1Bから録音停止条件を排する場合は、ドライブレコーダ1Bから、特定音判定部101及び録音停止可否判定部105と、学習済モデルM1とを排してもよい。この場合、録音部102Bは、所定のタイミングで、第1情報111に基づいて録音情報131を生成すればよい。
【0067】
例えば、実施形態3のドライブレコーダ1Cから録画停止条件を排する場合は、ドライブレコーダ1Cから録画停止可否判定部108を排してもよい。この場合、録画部104Bは、所定のタイミングで、第2情報112に基づいて録画情報132を生成すればよい。また、実施形態3のドライブレコーダ1Cから録音停止条件を排する場合は、ドライブレコーダ1Cから録音停止可否判定部107を排してもよい。これら場合、録音部102Bは、所定のタイミングで、第1情報111に基づいて録音情報131を生成すればよい。
【0068】
上記複数の実施形態では、動画を録画情報132として記憶部13に記憶することにしたが、静止画を録画情報として記憶部13に記憶することにしてもよい。この場合、ドライブレコーダは、例えば定期的に、静止画を記憶部13に記憶すればよい。
【0069】
上記実施形態2では、車室内に特定音が発生しており、かつ、車両が走行中ではない場合に、車室内の音の録音を停止することにした。しかし、車室内に特定音が発生しているという条件に付加する条件(付加条件)は、ドライブレコーダ1Bによる録音の効果が低下する条件であればよく、車両が走行中ではないという条件に限られない。
また、上記実施形態2では、車室内が特定状態であり、かつ、車両が走行中ではない場合に、車室内の録画を停止することにした。しかし、車室内が特定状態であるという条件に付加する条件(付加条件)は、ドライブレコーダ1Bによる録画の効果が低下する条件であればよく、車両が走行中ではないという条件に限られない。
【0070】
上記付加条件は、車両が走行中ではないという条件以外の車両の走行状態に関する条件であってもよいし、車両の位置に関する条件であってもよいし、車両の周辺における環境に関する条件であってもよい。
車両の走行状態に関する付加条件としては、例えば、車両の速度、加速度、減速度、舵角が所定範囲内ではないことが考えられる。ここで所定範囲は、車両の事故や異常動作や誤作動の発生確率が低くなるように設定された範囲である。車両の位置に関する付加条件としては、例えば、車両が事故率や犯罪率が高い地域や場所に位置していないことが考えられる。これらの付加条件が成立する車両の状態では、車両にトラブルが発生する確率が低下する。
また、車両の周辺における環境に関する条件としては、例えば、気温や湿度が所定範囲内の値ではないことが考えられる。ここで所定範囲は、車両に異常音や誤作動が発生する確率が低くなるように設定された範囲である。これらの付加条件が成立する車両の状態では、車両にトラブルが発生する確率が低下する。
【0071】
上記複数の実施形態3では、録音停止条件を、車室内に特定音が発生しているか否かと車室内が特定状態であるか否かとで、定義することにした。しかし、録音停止条件を、車室内が特定状態であるか否かのみで定義してもよい。この場合、例えば、
図8に示す一連の処理からS21の処理を削除すればよい。
また、上記実施形態3では、録画条件を、車室内が特定状態であるか否かと車室内に特定音が発生しているか否かとで、定義することにした。しかし、録画停止条件を、車室内に特定音が発生しているか否かのみで定義してもよい。この場合、例えば、
図8に示す一連の処理からS24の処理を削除すればよい。
【0072】
上記複数の実施形態では、記憶部13のRAM等に一時記憶されている第1情報111であって、録音を停止する条件が成立していないことが判定された際の判定対象であった第1情報111を、記憶部13のSDD等に記憶することにした。しかし、録音情報131を生成する際の対象となる第1情報111を識別できればよく、当該第1情報111を識別する識別情報を生成ことにしてもよいし、当該第1情報111を記憶部13のRAM等の所定領域に一時記憶することにしてもよい。
【0073】
上記複数の実施形態では、記憶部13のRAM等に一時記憶されている第2情報112であって、録画を停止する条件が成立していないことが判定された際の判定対象であった第2情報112を、記憶部13のSDD等に記憶することにした。しかし、録画情報132を生成する際の対象となる第2情報112を識別できればよく、当該第2情報112を識別する識別情報を生成ことにしてもよいし、当該第2情報112を記憶部13のRAM等の所定領域に一時記憶することにしてもよい。
【0074】
上記複数の実施形態では、録音や録画を停止する条件の成立が判定された実行周期よりも1周期前までに記憶部13に記憶された第1情報111及び第2情報112に基づいて、それぞれ録音情報131及び録画情報132を生成することにした。
しかし、録音や録画を停止する条件の成立が判定される前であっても、実際には当該条件が成立していることが考えられる。
【0075】
そこで、録音や録画を停止する条件の成立が判定された実行周期よりも所定周期前までに記憶部13に記憶された第1情報111及び第2情報112に基づいて、録音情報131及び録画情報132を生成することにしてもよい。すなわち、録音や録画を停止する条件の成立が判定された時点よりも所定時間前の時点から録音や録画を停止するようにしてもよい。これにより、録音に関するプライバシーや、録画に関するプライバシーの保護レベルを一層高めることができる。
この場合、録音や録画を停止する条件が成立していないことが判定された時点の第1情報111及び第2情報112は、記憶部13のRAM等の所定領域に一時記憶する等して、記憶部13のSDD等に記憶しないことが好ましい。このようにすれば、特定音が含まれる可能性がある第1情報111や特定状態の画像が含まれる可能性がある第2情報112を、ドライブレコーダへの電源供給の停止に伴って消去することができる。
【0076】
また、録音情報131が示す音のうち末尾の所定時間の音を削除するようにしてもよいし、録画情報132が動画である場合は、その動画の末尾の所定時間の画像を削除するようにしてもよいし、録画情報132が静止画である場合は、録画を停止する条件の成立が判定された時点よりも所定時間前の時点から録画を停止する条件の成立が判定された時点までの期間に生成された録画情報132を削除するようにしてもよい。
【0077】
上記複数の実施形態では、録音情報131及び録画情報132を記憶部13に記憶することにした。しかし、録音情報131及び録画情報132の少なくとも一方は、ドライブレコーダ外に配置された不図示の記憶部に記憶してもよく、例えば不図示の車両外に設置された外部サーバに記憶してもよい。
【0078】
上記複数の実施形態では、録音処理(例えば、
図4のS21からS23参照)を、録画処理(例えば、
図4のS24からS26参照)よりも先に実行することにした。しかし、録画処理を録音処理よりも先に実行することにしてもよい。
【0079】
上記複数の実施形態では、学習済モデルM1およびM2を、教師有り学習により構築することにした。しかし、学習済モデルM1およびM2は、教師無し学習により構築してもよい。例えば、学習済モデルM2は、敵対的生成ネットワークを用いた機械学習により構築してもよい。
【0080】
(まとめ)
本開示の一態様に係る録音装置は、対象領域内の音に基づいて、前記対象領域内に特定音が発生しているか否かを判定する特定音判定部と、前記特定音判定部により前記対象領域内に前記特定音が発生していることが判定されている場合に、前記対象領域内の音の録音を停止(中断または中止)する録音部と、を備えている。
本開示の一態様に係る録音装置によれば、対象領域内の音のうち特定音が含まれていない音を録音することができる。これにより、対象領域内におけるプライバシーの保護レベルを向上することができる。
【0081】
本開示の一態様に係る録音装置では、前記特定音判定部は、音からその音が前記特定音である可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象領域内の音を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象領域内に前記特定音が発生しているか否かを判定する。
対象領域内の録音による効果とプライバシー保護とを両立させるためには、特定音が発生しているか否かを判定する処理(以下「特定音判定処理」という)を詳細に行う必要がある。この場合、特定音判定処理が複雑化することが懸念される。このような場合であっても、本開示の一態様に係る録音装置によれば、特定音判定処理に学習済モデルを活用することにより、特定音判定処理の複雑化を抑止することができる。
【0082】
本開示の一態様に係る録画装置は、対象領域内の画像に基づいて、前記対象領域内が特定状態であるか否かを判定する特定状態判定部と、前記特定状態判定部により前記対象領域内が前記特定状態であることが判定されている場合に、前記対象領域内の録画を停止する録画部と、を備えている。
本開示の一態様に係る録画装置によれば、対象領域内の画像のうち特定状態が含まれていない画像を録画することができる。これにより、対象領域内におけるプライバシーの保護レベルを向上することができる。
【0083】
本開示の一態様に係る録画装置では、前記特定状態判定部は、画像からその画像が前記特定状態を示している可能性を推定する機械学習を行った学習済モデルに、前記対象領域内の画像を入力し、当該学習済モデルから出力された指標に基づいて、前記対象領域内に前記特定状態であるか否かを判定する。
対象領域内の録画による効果とプライバシー保護とを両立させるためには、特定状態が発生しているか否かを判定する処理(以下「特定状態判定処理」という)を詳細に行う必要がある。この場合、特定状態判定処理が複雑化することが懸念される。このような場合であっても、本開示の一態様に係る録画装置によれば、特定状態判定処理に学習済モデルを活用することにより、特定状態判定処理の複雑化を抑止することができる。
【0084】
本開示の一態様に係る録音装置では、前記対象領域は、車両の車室内を含む領域である。
車室内はプライベート空間である。しかし、録音された車室内の音を第三者に提供し、第三者からサービスを受けることや、カーシェアリング用の車両の車室内の音を録音して当該車両の使用状況を記録すること等が考えられる。上記構成によれば、車室内の音のうち特定音が含まれていない音が録音されるため、車両使用者のプライバシーの保護レベルを高めることができる。
【0085】
本開示の一態様に係る録音装置では、前記対象領域は、車両の車室内を含む領域であり、前記車両の走行状態、前記車両の位置及び前記車両の周辺における環境のいずれかと、前記特定音判定部による判定結果とに基づいて、前記対象領域内の音の録音を停止するか否かを判定する録音停止可否判定部を備え、前記録音部は、前記録音停止可否判定部より前記対象領域内の音の録音を停止することが判定されている場合に、前記対象領域内の録音を停止する。
車室内の音の録音による効果とプライバシーの保護とを両立させるためには、車室内の音の録音の停止の可否を判定する録音停止可否判定処理を詳細に行う必要がある。この点、上記構成によれば、車両の走行状態や位置や車両周辺の環境のいずれかと、特定音判定処理の判定結果とに基づいて、録音停止可否判定処理を詳細に行うことができる。
【0086】
本開示の一態様に係る録音装置では、前記録音部は、前記特定音判定部により前記対象領域内に前記特定音が発生していることが判定された時点よりも所定時間前の時点から前記対象領域内の録音を停止する。
対象領域内に特定音が発生した後、暫くしてから特定音の発生が判定されることが考えられる。この点、上記構成によれば、特定音の発生が判定された時点よりも所定時間前の時点から対象領域内の録音が停止されるため、対象領域内におけるプライバシーの保護レベルを一層高めることができる。
【0087】
本開示の一態様に係る録音装置では、前記録音部は、前記特定音判定部により前記対象領域内に前記特定音が発生していることが判定された時点である判定時よりも所定時間前の時点から前記判定時までに録音された前記対象領域内の音を削除する。
対象領域内に特定音が発生した後、暫くしてから特定音の発生が判定されることが考えられる。この点、上記構成によれば、特定音の発生が判定された時点である判定時よりも所定時間前の時点から上記判定時までに録音された対象領域内の音を削除されるため、対象領域内におけるプライバシーの保護レベルを一層高めることができる。
【0088】
本開示の一態様に係る録音装置は、対象領域内の画像に基づいて、前記対象領域内が特定状態であるか否かを判定する特定状態判定部と、前記特定状態判定部により前記対象領域内が前記特定状態であることが判定されている場合に、前記対象領域内の音の録音を停止する録音部と、を備えている。
対象領域内が特定状態である場合には、対象領域内に特定音が発生する蓋然性が高い。この点、上記構成によれば、対象領域内が特定状態である場合に、対象領域内の音の録音が停止されるため、対象領域内の録音に関するプライバシーの保護レベルを一層高めることができる。
【0089】
本開示の一態様に係る録画装置では、前記対象領域は、車両の車室内を含む領域である。
車室内はプライベート空間である。しかしながら、録画された車室内の画像を第三者に提供し、第三者からサービスを受けることや、カーシェアリング用の車両の車室内を録画して当該車両の使用状況を記録すること等が考えられる。上記構成によれば、車室内の画像のうち特定状態が含まれていない画像が録画されるため、車両使用者のプライバシーの保護レベルを高めることができる。
【0090】
本開示の一態様に係る録画装置では、前記対象領域は、車両の車室内を含む領域であり、前記車両の走行状態、前記車両の位置及び前記車両の周辺における環境のいずれかと、前記特定状態判定部による判定結果とに基づいて、前記対象領域内の録画を停止するか否かを判定する録画停止可否判定部を備え、前記録画部は、前記録画停止可否判定部により前記対象領域内の録画を停止することが判定されている場合に、前記対象領域内の録画を停止する。
車室内の録画による効果とプライバシーの保護とを両立させるためには、車室内の録画の停止の可否を判定する録画停止可否判定処理を詳細に行う必要がある。この点、上記構成によれば、車両の走行状態や位置や車両周辺の環境のいずれかと、特定状態判定処理の判定結果とに基づいて、録画停止可否判定処理を詳細に行うことができる。
【0091】
本開示の一態様に係る録画装置では、前記録画部は、前記特定状態判定部により前記対象領域内が特定状態であることが判定された時点よりも所定時間前の時点から前記対象領域内の録画を停止する。
対象領域に特定状態音が発生した後、暫くしてから特定状態の発生が判定されることが考えられる。この点、上記構成によれば、特定状態の発生が判定された時点よりも所定時間前の時点から対象領域内の録画が停止されるため、対象領域内におけるプライバシーの保護レベルを一層高めることができる。
【0092】
本開示の一態様に係る録画装置では、前記録画部は、前記特定状態判定部により前記対象領域内が前記特定状態であることが判定された時点である判定時よりも所定時間前の時点から前記判定時までに録画された前記対象領域内の画像を削除する。
対象領域内に特定状態が発生した後、暫くしてから特定状態の発生が判定されることが考えられる。この点、上記構成によれば、特定状態の発生が判定された時点である判定時よりも所定時間前の時点から上記判定時までに録画された対象領域内の音を削除されるため、対象領域内におけるプライバシーの保護レベルを一層向上することができる。
【0093】
本開示の一態様に係る録画装置は、対象領域内の音に基づいて、前記対象領域内に特定音が発生しているか否かを判定する特定音判定部と、前記特定音判定部により前記対象領域内に前記特定音が発生していることが判定されている場合に、前記対象領域内の録画を停止する録画部と、を備えている。
対象領域内に特定音が発生している場合には、対象領域内が特定状態になる蓋然性が高い。この点、上記構成によれば、対象領域内に特定音が発生している場合に、対象領域内の録画が停止されるため、対象領域内の録画に関するプライバシーの保護レベルを一層高めることができる。
【0094】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1A、1B、1C ドライブレコーダ
101 特定音判定部
103 特定状態判定部
102A、102B 録音部
104A、104B 録画部
105、107 録音停止可否判定部
106、108 録画停止可否判定部
111 第1情報
112 第2情報
131 録音情報
132 録画情報
M1、M2 学習済モデル