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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005799
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106177
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】519389362
【氏名又は名称】エイベックス・テクノロジーズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 周人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC16
(57)【要約】
【課題】NFTを業務に利用することができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、第1のブロックチェーンネットワークに契約情報を登録する契約情報登録部と、第2のブロックチェーンネットワークにおいて、デジタルコンテンツに関する契約情報を特定する情報をメタデータに設定した、デジタルコンテンツに対応するノンファンジブルトークンを発行する発行部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブロックチェーンネットワークに契約情報を登録する契約情報登録部と、
第2のブロックチェーンネットワークにおいて、デジタルコンテンツに関する前記契約情報を特定する情報をメタデータに設定した、前記デジタルコンテンツに対応するノンファンジブルトークンを発行する発行部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記契約情報は、前記デジタルコンテンツに関する著作権又は著作隣接権の許諾に係る契約内容を含むこと、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記契約情報には電子メールアドレスが紐付いて管理されること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
デジタルコンテンツの配信時に複数の視聴者からギフトの提供を受け付けるギフト受付部と、
前記ギフトを提供した前記視聴者のウォレットにノンファンジブルトークンを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記送信部は、前記ギフトの価値に応じて、前記視聴者に送信する前記ノンファンジブルトークンを決定すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記ノンファンジブルトークンは、前記デジタルコンテンツの一部を抽出した部分コンテンツに対応付けて発行されること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
デジタルコンテンツを生成するための複数のトラックの少なくとも1つに対応する、前記トラックに係る著作権者又は著作隣接権者を特定する情報をメタデータに設定した前記ノンファンジブルトークンを発行する発行部と、
前記ノンファンジブルトークンの所有者が前記トラックを利用した場合の著作権又は著作隣接権の利用料の少なくとも一部を、前記ノンファンジブルトークンに設定されている前記情報が示す前記著作権者又は前記著作隣接権者に対して支払う分配処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノンファンジブルトークン(NFT)が取引の管理に利用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6710401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
NFTを業務に利用したいというニーズがある。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、NFTを業務に利用することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、第1のブロックチェーンネットワークに契約情報を登録する契約情報登録部と、第2のブロックチェーンネットワークにおいて、デジタルコンテンツに関する前記契約情報を特定する情報をメタデータに設定した、前記デジタルコンテンツに対応するノンファンジブルトークンを発行する発行部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、NFTを業務に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。
図2】管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。
図3】管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
図4】契約書に紐付けたNFTを発行する処理を説明する図である。
図5】投げ銭に応じたNFTを発行する処理を説明する図である。
図6】トラックに関する著作権料の分配に関する処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
第1のブロックチェーンネットワークに契約情報を登録する契約情報登録部と、
第2のブロックチェーンネットワークにおいて、デジタルコンテンツに関する前記契約情報を特定する情報をメタデータに設定した、前記デジタルコンテンツに対応するノンファンジブルトークンを発行する発行部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記契約情報は、前記デジタルコンテンツに関する著作権又は著作隣接権の許諾に係る契約内容を含むこと、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記契約情報には電子メールアドレスが紐付いて管理されること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目4]
デジタルコンテンツの配信時に複数の視聴者からギフトの提供を受け付けるギフト受付部と、
前記ギフトを提供した前記視聴者のウォレットにノンファンジブルトークンを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目5]
項目4に記載の情報処理システムであって、
前記送信部は、前記ギフトの価値に応じて、前記視聴者に送信する前記ノンファンジブルトークンを決定すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目6]
項目4に記載の情報処理システムであって、
前記ノンファンジブルトークンは、前記デジタルコンテンツの一部を抽出した部分コンテンツに対応付けて発行されること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目7]
デジタルコンテンツを生成するための複数のトラックの少なくとも1つに対応する、前記トラックに係る著作権者又は著作隣接権者を特定する情報をメタデータに設定した前記ノンファンジブルトークンを発行する発行部と、
前記ノンファンジブルトークンの所有者が前記トラックを利用した場合の著作権又は著作隣接権の利用料の少なくとも一部を、前記ノンファンジブルトークンに設定されている前記情報が示す前記著作権者又は前記著作隣接権者に対して支払う分配処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0011】
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ2を含んで構成される。管理サーバ2は、ユーザ端末1と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0012】
ユーザ端末1及び管理サーバ2はまた、第1及び第2のブロックチェーンネットワーク3,4とも通信可能に接続される。第1及び第2のブロックチェーンネットワーク3,4は、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。第1及び第2のブロックチェーンネットワーク3,4は、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0013】
イーサリアムなどの第1及び第2のブロックチェーンネットワーク3,4によって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とがある。NFTは、ファンジブルトークンとは異なり、代替性を有さないトークンである。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。このため、NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFT-ID)を有する。NFTは、例えば、ERC(Ethereum Request for Comments)721規格に従って発行されたトークンである。ERC721規格に準拠したNFTは、NFT-721トークンとも呼ばれる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーンネットワーク上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワークにおいて記録される。ブロックチェーンネットワークの分散台帳では、NFTの所有者(オーナー)及び所有履歴も記録される。
【0014】
<管理サーバ>
管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0015】
図2は、管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ装置2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0016】
図3は、管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ2は、契約情報登録部211と、NFT発行部212と、配信部213と、ギフト受付部214と、NFT送信部215と、分配処理部216と、コンテンツ記憶部231と、を備える。
【0017】
コンテンツ記憶部231は、デジタルコンテンツを記憶する。デジタルコンテンツは、例えば、音楽や映像、画像などとすることができる。コンテンツ記憶部231は、例えば、ファイル形式でデジタルコンテンツを記憶することができる。
【0018】
契約情報登録部211は、契約情報を登録する。契約情報登録部211は、第1のブロックチェーンネットワーク3が管理する分散台帳に契約情報を登録する。契約情報は、例えば、デジタルコンテンツに関する著作権又は著作隣接権の許諾に係る契約内容を含む。また、契約情報には電子メールアドレスが紐付いて管理されうる。この電子メールアドレスについては、認証が行われるものとする。
【0019】
NFT発行部212は、第2のブロックチェーンネットワーク4でNFTを発行する。NFTは、デジタルコンテンツに紐付けて発行される。NFT発行部212は、NFTのメタデータに、当該デジタルコンテンツに関する契約情報を特定する情報を設定することができる。
【0020】
NFTは、デジタルコンテンツの一部を抽出した部分コンテンツに対応付けて発行されるようにしてもよい。この場合、NFT発行部212は、配信対象のデジタルコンテンツの一部を抽出し(例えば、デジタルコンテンツを分割するようにしてもよいし、重複を許した範囲の部分コンテンツを抽出するようにしてもよい。)、抽出した部分(部分コンテンツ)に対応付けてNFTを発行することができる。NFT発行部212は、抽出した部分コンテンツをコンテンツ記憶部231に登録しておき、記憶されている部分コンテンツを特定する情報(例えばURLなど)をNFTのメタデータに設定するようにすることができる。
【0021】
NFT発行部212はまた、デジタルコンテンツを生成するための複数のトラックの少なくとも1つに対応する、トラックに係る著作権者又は著作隣接権者を特定する情報をメタデータに設定したノンファンジブルトークンを発行することもできる。ここでも、トラックに関する著作権又は著作隣接権の許諾に関する契約情報を第1のブロックチェーンネットワーク3で管理するようにし、NFTのメタデータには契約情報を特定する情報を設定することができる。トラックは、例えば、楽曲又は音源のドラムパート、ギターパート、ベースパート、ピアノパート、ボーカルパートなどとすることができる。また、トラックは、例えば、映像の1コマ(静止画であっても動画であってもよい。)とすることができる。また、トラックは、小節単位あるいは時間単位で分割されていてもよい。
【0022】
配信部213は、デジタルコンテンツを配信することができる。配信部213は、例えば、ストリーミングによりデジタルコンテンツ(音楽や映像や画像)を配信することができる。
【0023】
ギフト受付部214は、デジタルコンテンツの配信時に視聴者(ユーザ端末1)からギフトの提供を受け付けることができる。ギフトは、例えば、投げ銭とすることができる。また、配信されるデジタルコンテンツに重畳表示させる画像などをギフトとしてもよい。
【0024】
NFT送信部215は、ギフトを提供した視聴者にNFTを付与する。NFT送信部215は、NFT発行部212が発行したNFTを、ギフトを提供した視聴者のウォレットに送信することができる。
【0025】
なお、NFT発行部212は、ギフトが提供されたことに応じてNFTを発行するようにしてもよいし、予め所定数のNFTを発行しておくようにしてもよい。
【0026】
NFT送信部215は、ギフトの価値に応じて、視聴者に送信するNFTを決定することもできる。例えば、NFTごとにレアリティを設定しておき、ギフトの価値が高い程レアリティの高いNFTを割り当てるようにすることができる。
【0027】
また、NFT送信部215は、抽選によりギフトを選択するようにしてもよい。この場合に、NFT送信部215は、例えば、ギフトの価値及びレアリティに応じた確率で抽選を行うことができる。
【0028】
分配処理部216は、NFTの販売に係る対価に応じた金額又はNFTに対応するデジタルコンテンツの利用に係る著作権又は著作隣接権の利用料を、NFTのメタデータに設定されている著作権者又は著作隣接権者に対して支払う処理を行うことができる。分配処理部216はまた、NFTの所有者がトラックを利用した場合の、当該トラックに係る著作権又は著作隣接権の利用料の少なくとも一部を、NFTに設定されている情報が示す著作権者又は著作隣接権者に対して支払うようにすることもできる。
【0029】
<動作>
以下、本実施形態の情報処理システムの動作について説明する。
【0030】
図4は、契約書に紐付けたNFTを発行する処理を説明する図である。管理サーバ2は、与えられた契約情報を第1のブロックチェーンネットワーク3に登録し(S301)、第2のブロックチェーンネットワーク4でNFTを発行するにあたり、NFTのメタデータには契約情報を特定する情報を設定する(S302)。
【0031】
図5は、投げ銭に応じたNFTを発行する処理を説明する図である。管理サーバ2は、デジタルコンテンツを配信し(S321)、配信中に視聴者(ユーザ)から投げ銭を受け付けると(S322)、投げ銭をしたユーザのウォレットに、デジタルコンテンツの一部を抽出した部分コンテンツに対応するNFTを送信する(S323)。
【0032】
図6は、トラックに関する著作権又は著作隣接権の利用料の分配に関する処理を説明する図である。管理サーバ2は、デジタルコンテンツを生成するための複数のトラックの一部に対応するNFTを発行し(S341)、トラックがユーザによって利用された場合(例えば、UGCの制作に利用された場合)、トラックの利用に係る著作権又は著作隣接権の利用料を徴収し(S342)、徴収された著作権又は著作隣接権の利用料の一部を、NFTに設定された著作権者又は著作隣接権者に支払うように処理を実行することができる(S343)。
【0033】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ
3 第1のブロックチェーンネットワーク
4 第2のブロックチェーンネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6