(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058002
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】旋動式破砕機並びにその制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B02C 25/00 20060101AFI20240418BHJP
B02C 2/04 20060101ALI20240418BHJP
B02C 23/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B02C25/00 B
B02C2/04 Z
B02C23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165077
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶田 信之
(72)【発明者】
【氏名】木島 崇
(72)【発明者】
【氏名】小林 純
(72)【発明者】
【氏名】石澤 基明
(72)【発明者】
【氏名】山本 佳太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 守行
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063BB06
4D063GA07
4D063GC29
4D063GD02
4D063GD13
4D067DD06
4D067EE37
4D067EE45
4D067FF04
4D067FF13
4D067GA02
4D067GA03
4D067GB04
(57)【要約】
【課題】油圧式の旋動式破砕機において、突発的な破砕負荷の急上昇を検知する。
【解決手段】旋動式破砕機は、マントルとコンケーブの間のセットを検出するセットセンサ、アキュムレータを有し油圧室にセットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路、及び、破砕負荷を検出する破砕負荷検出器を備える。この旋動式破砕機の制御装置は、破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成する負荷安定化制御部と、油圧回路を動作させてセットをセット目標値に制御するセット制御部と、セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて破砕負荷の異常上昇を検知する負荷異常検知部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸と、前記主軸に固定されたマントルと、前記マントルと対峙するように配置され、前記マントルとの間に破砕室を形成するコンケーブと、前記マントルと前記コンケーブの間のセットを検出するセットセンサと、前記主軸を支持する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの油圧室と接続されたアキュムレータを有し前記油圧室に前記セットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路と、破砕負荷を検出する破砕負荷検出器とを備える旋動式破砕機の制御装置であって、
前記破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成する負荷安定化制御部と、
前記油圧回路を動作させて前記セットを前記セット目標値に制御するセット制御部と、
前記セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、前記セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて前記破砕負荷の異常上昇を検知する負荷異常検知部と、を備える、
旋動式破砕機の制御装置。
【請求項2】
前記セット変動指標が、前記セットセンサで検出されたセット検出値と前記セット検出値の移動平均値との差分である、
請求項1に記載の旋動式破砕機の制御装置。
【請求項3】
前記セット変動指標が、前記セットセンサで検出されたセット検出値と前記セット目標値の差分の単位時間あたりの増加量である、
請求項1に記載の旋動式破砕機の制御装置。
【請求項4】
前記負荷異常検知部は、前記セット変動指標が前記セット閾値を超えたこと、且つ、前記シリンダ油圧が所定の油圧閾値を超えたことに基づいて、前記破砕負荷の異常上昇を検知する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の旋動式破砕機の制御装置。
【請求項5】
前記破砕負荷の前記異常上昇が検知されると、一時的に前記負荷安定化制御部に代わって前記セット目標値を生成する過負荷解消制御部を、更に備え、
前記過負荷解消制御部は、前記セットセンサで検出されたセット検出値よりも小さい所定のセット基準値を前記セット目標値としたうえで、前記セット目標値に所定のセット加算値を加えた新たな前記セット目標値を生成することを、前記セット目標値が前記セット検出値以上となるまで繰り返す、
請求項1に記載の旋動式破砕機の制御装置。
【請求項6】
前記破砕負荷の前記異常上昇が検知されると、一時的に前記負荷安定化制御部に代わって前記セット目標値を生成する過負荷解消制御部を、更に備え、
前記過負荷解消制御部は、前記異常上昇が検知されてから前記セットセンサで検出されたセット検出値の最大値を前記セット目標値とし、その後、現在の前記セット目標値と所定時間前の前記セット検出値のうち大きい方を新たな前記セット目標値とすることを、前記セット変動指標が前記セット閾値以下となるまで繰り返す、
請求項1に記載の旋動式破砕機の制御装置。
【請求項7】
前記過負荷解消制御部が前記セット目標値を生成してから、前記セット変動指標が前記セット閾値以下となり所定のオフディレイ時間経過後に、前記過負荷解消制御部に代わって前記負荷安定化制御部が前記セット目標値を生成する、
請求項5又は6に記載の旋動式破砕機の制御装置。
【請求項8】
主軸と、
前記主軸に固定されたマントルと、
前記マントルと対峙するように配置され、前記マントルとの間に破砕室を形成するコンケーブと、
前記マントルと前記コンケーブの間のセットを検出するセットセンサと、
前記主軸の下部を支持する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダの油圧室と接続されたアキュムレータを有し前記油圧室に前記セットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路と、
破砕負荷を検出する破砕負荷検出器と、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の旋動式破砕機の制御装置とを、備える、
旋動式破砕機。
【請求項9】
主軸と、前記主軸に固定されたマントルと、前記マントルと対峙するように配置され、前記マントルとの間に破砕室を形成するコンケーブと、前記マントルと前記コンケーブの間のセットを検出するセットセンサと、前記主軸を支持する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの油圧室と接続されたアキュムレータを有し前記油圧室に前記セットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路と、破砕負荷を検出する破砕負荷検出器とを備える旋動式破砕機の制御方法であって、
前記破砕負荷の検出値を取得し、前記破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成すること、
前記油圧回路を動作させて前記セットを前記セット目標値に制御すること、及び、
前記セットの検出値を取得し、前記セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、前記セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて前記破砕負荷の異常上昇を検知すること、を含む、
旋動式破砕機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、旋動式破砕機と、旋動式破砕機の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円錐筒状のコンケーブとその内側に配置された円錐台状のマントルとの間に破砕室が形成され、原料ホッパから破砕室に供給された原料をコンケーブとマントルとの間に噛み込んで圧砕するように構成された旋動式破砕機が知られている。マントルは、電動モータによって偏心旋回運動するように駆動される。コンケーブとマントルの二つの破砕面の間隙は周期的に変化し、その間隙のセット(即ち、開き)の値によって、破砕物の粒度が定まる。旋動式破砕機は、セットを変更する方式によって油圧式と機械式とに種別される。油圧式は、位置固定されたコンケーブに対しマントルを昇降する油圧シリンダを備える。機械式は、マントルに対しコンケーブを昇降する電動モータを備える。
【0003】
特許文献1には油圧式の旋動式破砕機が開示されている。この旋動式破砕機では、マントルに結合された主軸が油圧シリンダのラムに支持されており、油圧力によってラムが昇降することによってセットが変化する。コンケーブとマントルとの間の破砕キャビティに破砕不可能な異物が混入したり原料投入量が一時的に増加したりして過負荷となると、油圧シリンダとアキュムレータとが自動的に接続されてシリンダの作動油がアキュムレータへ放出され、マントルが降下して破砕キャビティのセットが拡張され、過負荷が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように破砕負荷が突発的に変動した際には圧力バランスが保持されるようにアキュムレータが自動的に作動することから、オペレータが破砕負荷の変動を把握しないで破砕機の運転を継続させると、アキュムレータの入口に設けられたポペット弁が頻繁に開閉を繰り返す、所謂、タッピング現象が生じる。タッピング現象は、ポペット弁の摩耗を加速し、アキュムレータにおいて伸縮を繰り返す袋の疲労を進行させ、また、破砕機の機械部品の摩耗を進行させる。突発的な破砕負荷の急上昇を検知できれば、アキュムレータの作動に加えて過負荷解消の措置をとることによってタッピング現象の継続を回避し得る。
【0006】
本開示は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、油圧式の旋動式破砕機において、新たな機器の追加を要することなく突発的な破砕負荷の急上昇を検知する技術を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る旋動式破砕機の制御装置は、
主軸と、前記主軸に固定されたマントルと、前記マントルと対峙するように配置され、前記マントルとの間に破砕室を形成するコンケーブと、前記マントルと前記コンケーブの間のセットを検出するセットセンサと、前記主軸を支持する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの油圧室と接続されたアキュムレータを有し前記油圧室に前記セットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路と、破砕負荷を検出する破砕負荷検出器とを備える旋動式破砕機の制御装置であって、
前記破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成する負荷安定化制御部と、
前記油圧回路を動作させて前記セットを前記セット目標値に制御するセット制御部と、
前記セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、前記セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて前記破砕負荷の異常上昇を検知する負荷異常検知部と、を備えるものである。
【0008】
本開示の一態様に係る旋動式破砕機は、
主軸と、
前記主軸に固定されたマントルと、
前記マントルと対峙するように配置され、前記マントルとの間に破砕室を形成するコンケーブと、
前記マントルと前記コンケーブの間のセットを検出するセットセンサと、
前記主軸の下部を支持する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダの油圧室と接続されたアキュムレータを有し前記油圧室に前記セットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路と、
破砕負荷を検出する破砕負荷検出器と、
前記旋動式破砕機の制御装置とを、備えるものである。
【0009】
本開示の一態様に係る旋動式破砕機の制御方法は、
主軸と、前記主軸に固定されたマントルと、前記マントルと対峙するように配置され、前記マントルとの間に破砕室を形成するコンケーブと、前記マントルと前記コンケーブの間のセットを検出するセットセンサと、前記主軸を支持する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの油圧室と接続されたアキュムレータを有し前記油圧室に前記セットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路と、破砕負荷を検出する破砕負荷検出器とを備える旋動式破砕機の制御方法であって、
前記破砕負荷の検出値を取得し、前記破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成すること、
前記油圧回路を動作させて前記セットを前記セット目標値に制御すること、及び、
前記セットの検出値を取得し、前記セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、前記セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて前記破砕負荷の異常上昇を検知すること、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、油圧式の旋動式破砕機において、新たな機器の追加を要することなく突発的な破砕負荷の急上昇を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る旋動式破砕機の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、破砕機の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、破砕機の制御装置の機能部を説明する図である。
【
図4】
図4は、油圧シリンダの油圧系統の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、破砕負荷の制御のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本開示の一実施形態に係る旋動式破砕機100の概略構成を示す図である。
図1に示す旋動式破砕機100は、ジャイレトリクラッシャ又はコーンクラッシャであって、制御装置50を除いた破砕機100自体の構成は公知である。
【0013】
旋動式破砕機100は、上部フレーム31とそれに連結された下部フレーム32から成るフレーム30を備える。フレーム30の内部空間の中央部には、鉛直方向に延びる機体中心軸線Aが規定されている。フレーム30の上部にはホッパ3が連設されている。ホッパ3へは、供給装置9(例えば、コンベヤ)から被破砕物である原料が供給される。
【0014】
フレーム30の略中央部には主軸5が配置されている。主軸5の中心軸線は、機体中心軸線Aに対して傾いている。主軸5の上端は、上部軸受17を介して上部フレーム31に支持されている。上部軸受17は、上部フレーム31の上端部から内方へ向けて突出したスパイダ18に設けられている。主軸5の下端は、主軸スラスト軸受2を介して油圧シリンダ6のラム61に支持されている。油圧シリンダ6は、シリンダチューブ62と、シリンダチューブ62内を摺動するラム61とからなる軸受シリンダである。
【0015】
主軸5の下部は、偏心スリーブ4に回転自在に挿入されている。偏心スリーブ4は、下部フレーム32に形成されたボス7に回転自在に挿入されている。偏心スリーブ4の下部は、スラスト滑り軸受23を介して下部フレーム32に支持されている。
【0016】
主軸5の上部には、マントルコア12が固定されている。マントルコア12の外表面は、截頭円錐面となっている。マントルコア12の外表面には、マントル13が取り付けられている。マントル13の外表面は、截頭円錐面となっている。マントル13の外表面は、上部フレーム31の内面に設けられたコンケーブ14の内表面と対峙している。コンケーブ14の内表面とマントル13の外表面とにより、鉛直断面が楔状をなす破砕室16が形成されている。ホッパ3へ供給された原料は、自重で破砕室16へ流れ込む。
【0017】
ボス7の上方には円筒形状の仕切板24が設けられている。この仕切板24によって、偏心スリーブ4及びボス7の上方且つマントルコア12の下方に、油圧室27が形成されている。この油圧室27から、主軸5の外周面と偏心スリーブ4の内周面との間、及び、偏心スリーブ4の外周面とボス7の内周面との間に、潤滑剤が供給される。主軸5の外周面と偏心スリーブ4の内周面との間に形成されたジャーナル滑り軸受を「主軸軸受10」と称し、偏心スリーブ4の外周面とボス7の内周面との間に形成されたジャーナル滑り軸受を「スリーブ軸受11」と称する。そして、主軸軸受10及びスリーブ軸受11により形成された多重軸受を「下部軸受15」と称する。
【0018】
フレーム30の外部には、駆動モータ8が配置されている。駆動モータ8の出力軸8aから偏心スリーブ4へ動力伝達機構20を介して動力が伝達される。動力伝達機構20は、出力軸8aに設けられたプーリ22a、横軸21、横軸21に設けられたプーリ22b、プーリ22a,22bに巻き掛けられた動力伝達ベルト22c、横軸21に設けられたベベルピニオン19a、及び、偏心スリーブ4に設けられたベベルギヤ19bを含む。横軸21は下部フレーム32に横軸軸受25を介して支持されている。偏心スリーブ4が回転すると、主軸5が機体中心軸線Aに対して偏心した旋回運動、いわゆる歳差運動を行う。これにより、マントル13の外表面とコンケーブ14の内表面との距離が主軸5の旋回位置に応じて変化する。破砕室16内に落下してきた原料は、コンケーブ14とマントル13との間で破砕されて、下部フレーム32の下方から破砕品として回収される。
【0019】
〔制御装置50〕
上記構成の破砕機100は、制御装置50を備える。制御装置50は、制御装置50を除く破砕機100の構成要素と必ずしも近接して配置されているものではなく、制御装置50を除く破砕機100の構成要素から離れて配置されていてもよい。例えば、制御装置50は、ネットワークサーバ上に構成されて、制御装置50はネットワークを介して破砕機100の各要素を制御してもよい。
【0020】
図2は、破砕機100の制御系統の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置50には、表示装置58、設定装置59、各種の計器52,55,56、及び、制御対象8,9a,90が接続されている。本明細書で開示する制御装置50の機能は、開示された機能を実行するように構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせを含む回路、又は、処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見做される。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、或いは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0021】
図3は、制御装置50の機能部を説明する図である。
図3に示すように、制御装置50は、供給制御部81、回転制御部82、セット制御部83、負荷安定化制御部84、負荷異常検知部85、及び過負荷解消制御部86の各機能部を備える。
【0022】
制御装置50の供給制御部81は、供給装置9による原料の供給量を制御する。制御装置50は、供給装置9の駆動モータ9aと無線又は有線で接続されている。制御装置50は、供給装置9の駆動モータ9aに対し目標供給量と対応する指令信号を送信する。駆動モータ9aが、制御装置50からの指令信号に応答して動作することにより、供給装置9からホッパ3へ目標供給量の原料が供給される。
【0023】
制御装置50の回転制御部82は、偏心スリーブ4の回転数を制御する。偏心スリーブ4の回転数は、駆動モータ8によって回転駆動される横軸21の回転数や主軸5の回転数と対応関係にある。制御装置50は、駆動モータ8と無線又は有線で接続されている。また、駆動モータ8の駆動電流を検出する電流センサ56が制御装置50に接続されている。制御装置50は、駆動モータ8に対し目標回転数と対応する指令信号を送信する。駆動モータ8が、制御装置50からの指令信号に応答して動作することにより、偏心スリーブ4の回転数が目標回転数となる。
【0024】
制御装置50のセット制御部83は、コンケーブ14とマントル13の二つの破砕面の破砕間隙の寸法である「セット」をセット目標値に制御する。本実施形態におけるセットは、破砕間隙の最も狭い位置の間隙の大きさ、即ち、CSS(Closed Side Setting)である。本実施形態に係る破砕機100では、油圧シリンダ6がセット調整装置として機能する。ラム61と共に主軸スラスト軸受2が昇降すると、マントル13がコンケーブ14に対して昇降移動してセットの寸法が変化する。セットの寸法によって、粉砕物の粒度が定まる。制御装置50は、セットを検出するセットセンサ52と無線又は有線で接続されている。セットセンサ52は、例えば、ラム61の変位を検出する変位センサである。
【0025】
図4は、油圧シリンダ6の油圧系統の構成を示す図である。
図4に示すように、油圧シリンダ6のシリンダチューブ62内には、ラム61の変位によって容量の変化する油圧室63が形成されており、この油圧室63に油圧回路90が接続されている。油タンク71の作動油が油圧回路90を通じて油圧室63へ給油されることにより、ラム61が上昇する。また、油圧室63の作動油が油圧回路90を通じて油タンク71へ排油されることにより、ラム61が降下する。
【0026】
油圧回路90の構成は限定されないが、以下のように例示される。油圧回路90は、油圧室63の下部と連通された連通管91、連通管91と接続されたアキュムレータ92、連通管91と接続された給油管93、及び、給油管93と接続された排油管94を含む。アキュムレータ92の出入口にはポペット弁92aが設けられており、ポペット弁92aの開閉によってアキュムレータ92への作動油の流出入の許容と阻止が切り替えられる。連通管91には、油圧室63の作動油の圧力を検出する油圧センサ55が設けられている。給油管93には、油タンク71の作動油を油圧室63へ圧送するギヤポンプ76が設けられている。ギヤポンプ76はポンプモータ77によって駆動される。給油管93には、ノーマルクローズの開閉弁98が設けられている。排油管94には、ノーマルクローズの開閉弁99が設けられている。
【0027】
制御装置50の負荷安定化制御部84は、破砕負荷を所与の破砕負荷目標値で安定化させる、負荷安定化制御を行う。負荷安定化制御部84は、破砕負荷検出器で検出された破砕負荷を取得する。破砕負荷は、破砕に伴って破砕機100の可動部に掛かる負荷を意味する。本実施形態では、破砕負荷を表す指標として、油圧センサ55で検出された油圧シリンダ6の作動油圧力である「シリンダ油圧」、又は、電流センサ56で検出された駆動モータ8の「駆動電流」が用いられる。破砕負荷の指標としてシリンダ油圧が採用される場合は、油圧センサ55が破砕負荷検出器であって、負荷安定化制御部84は油圧センサ55からシリンダ油圧を取得する。また、破砕負荷の指標として駆動モータ8の駆動電流が採用される場合は、電流センサ56が破砕負荷検出器であって、負荷安定化制御部84は電流センサ56から電流値を取得する。
【0028】
負荷安定化制御部84は、破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するようなセット目標値を生成する。具体的には、負荷安定化制御部84は、検出された破砕負荷が破砕負荷目標値よりも高ければセットを拡張し、検出された破砕負荷が破砕負荷目標値よりも低ければセットを縮小するようにセットを変化させる破砕負荷指令値を生成する。負荷安定化制御部84によって生成される破砕負荷指令値は、現在の破砕負荷を急激に変化させない程度に制限されている。なお、破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するために、セット目標値は段階的に調整される。例えば、現在のセット目標値に所定のセット調整量を加算又は減算して新たなセット目標値が生成することが、破砕負荷が破砕負荷目標値となるまで繰り返される。
【0029】
セット制御部83は、油圧シリンダ6の油圧回路90を動作させて、セットをセット目標値に制御する。セット制御部83は、セットセンサ52で検出されたセットの実測値(以下、「セット検出値」と称する)を取得し、セット検出値とセット目標値との差分に基づいてラム61の操作量を決定し、操作量に基づいて油圧回路90の動作指令を生成する。より詳細には、セット制御部83は、ポンプモータ77、開閉弁98、及び開閉弁99などの油圧回路90の制御要素に対する動作指令を生成する。この動作指令に対応して油圧回路90が動作することによって、セットがセット目標値となるようにラム61を操作量だけ変位させるシリンダ油圧が油圧シリンダ6の油圧室63に生じる。
【0030】
上記の負荷安定化制御中に、破砕室16への破砕できない異物の投入時や、パッキング現象発生時や、その他の瞬間的な過負荷の発生によって、突発的に破砕負荷が急上昇することがある。このような突発的な破砕負荷の急上昇を、ここでは「破砕負荷の異常上昇」という。負荷異常検知部85は、破砕負荷の異常上昇を検知する。
【0031】
負荷異常検知部85は、破砕負荷の異常上昇を検知するために「セット変動指標」を用いる。セット変動指標は、セットが突発的に増加した際のセットの増加度合を表す指標である。本実施形態では、セット変動指標としてセット検出値とセット検出値の移動平均値との差分dを用いる。差分dはセットの増加度合を表す。また、差分dを用いてセットの増加が突発的であるか否かを推し量ることができる。
【0032】
負荷異常検知部85は、セットセンサ52から取得したセット検出値と、所定の移動平均時間とに基づいて、セット検出値の移動平均値を求める。移動平均値の算出には移動平均フィルタが用いられてよい。負荷異常検知部85は、セット検出値と、セット検出値の移動平均値との差分dを求め、破砕機100の運転中の差分dを監視する。負荷異常検知部85は、差分dと所定のセット閾値とを比較し、差分dがセット閾値を超えると、破砕負荷の異常上昇を検知する。セット閾値及び移動平均時間は予め制御装置50に記憶されており、セットセンサ52で検出されたセット検出値は検出時刻と関連付けられて制御装置50に記憶されている。なお、セット閾値は、負荷安定化制御によってセット目標値がセット調整量だけ変更されることに起因する差分dよりも大きな値に設定される。
【0033】
過負荷解消制御部86は、負荷異常検知部85で破砕負荷の異常上昇が検知されると、過負荷解消制御を行う。過負荷解消制御部86は、発生したタッピング現象が解消される、又は、タッピング現象が生じないように、セット目標値を生成する。セット制御部83は、過負荷解消制御中には、過負荷解消制御部86で生成されたセット目標値に基づいてセットを制御する。
【0034】
〔破砕機100の制御方法〕
ここで、制御装置50による破砕機100の制御方法を、破砕負荷の制御を中心に説明する。
図5は破砕負荷の制御のタイミングチャートである。
図5において(A)はセットセンサ52で検出されたセット検出値、(B)はセット検出値の移動平均値、(C)はセット検出値とセット検出値の移動平均値との差分d、(D)は過負荷解消制御のオンオフ、(E)はセット目標値を表す。
【0035】
図5のタイミングチャートに示されるように、定常破砕負荷時は、過負荷解消制御はオフであり、負荷安定化制御部84による負荷安定化制御によって破砕負荷が制御されている。定常破砕負荷時は、油圧シリンダ6のシリンダ油圧よりもアキュムレータ92の窒素ガス圧の方が高いために、アキュムレータ92に作動油は流れ込まない。しかし、前述のような破砕負荷の異常上昇が発生すると、マントル13が押し下げられて、主軸5を支える油圧シリンダ6のラム61が下方に押される結果、シリンダ油圧が窒素ガス圧よりも高くなって、作動油が油圧回路90を通じてアキュムレータ92へ流れ込む。このようなアキュムレータ92の作動によってセットが急速に拡張されて、破砕室16の異物の排出が促される。タイミングチャートの時刻T1にセットが増加し始めたのは、破砕負荷の異常上昇に対応してアキュムレータ92が作動したことに因るものである。このセットの突発的で急激な増加に伴って、差分dが増加し始める。
【0036】
制御装置50の負荷異常検知部85は、破砕機100の運転中の差分dを監視しており、時刻T2に差分dがセット閾値を超えると、破砕負荷の異常上昇を検知する。なお、セットが緩やかに増加する場合には、差分dの値はセット閾値にまで至らない。
【0037】
破砕負荷の異常上昇が検知されると過負荷解消制御がオンとなり、制御装置50の過負荷解消制御部86は過負荷解消制御を開始し、負荷安定化制御部84による負荷安定化制御は一時的に停止される。
【0038】
過負荷解消制御部86は、過負荷解消制御を開始すると、先ず、セット目標値と所定のセット基準値とを比較し、現在のセット目標値がセット基準値以上の場合に過負荷解消の第1制御を行い、現在のセット目標値がセット基準値未満の場合に過負荷解消の第2制御を行う。セット基準値は、予め制御装置50に記憶されている。
【0039】
(過負荷解消の第1制御)
過負荷解消制御部86は、セット目標値を所定のセット基準値にリセットする。セット基準値は、予め制御装置50に記憶されている。続いて、過負荷解消制御部86は、現在のセット目標値に所定のセット加算値を加えた新たなセット目標値を生成する。セット制御部83は新たなセット目標値を用いてセットを制御する。セット加算値は予め制御装置50に記憶されている。セット目標値は段階的に調整され、新たなセット目標値の生成は、セット目標値がセット検出値以下となるまで繰り返される。このような過負荷解消制御によって、差分dは徐々に減少し、差分dが所定の閾値となった時刻T3にオフディレイタイマが計時を開始し、所定のオフディレイ時間の経過後の時刻T4に過負荷解消制御がオフとなり、負荷安定化制御部84による負荷安定化制御が再開される。
【0040】
上記の過負荷解消制御におけるセット加算値は、負荷安定化制御におけるセット調整量よりも大きく、その結果、過負荷解消制御では負荷安定化制御と比較してセット目標値の1段階当たりの変化量が大きい。これによって、速やかに過負荷が解消され、速やかに定常運転に復帰できる。
【0041】
(過負荷解消の第2制御)
過負荷解消制御部86は、先ず、所定の過負荷解消目標値をセット目標値に設定する。過負荷解消目標値は、過負荷によってタッピング現象が発生した後のセット検出値の最大値である。但し、過負荷解消目標値はこれに限定されず、予め制御装置50に記憶された値であってもよい。次に、過負荷解消制御部86は、現在のセット目標値(即ち、タッピング現象発生後のセット検出値の最大値)と、所定時間前(例えば、0.5秒前)のセット検出値とを比較し、これらのうち大きい方を新たなセット目標値に設定する。このような過負荷解消制御によって、差分dは徐々に減少し、差分dがセット閾値となるまで新たなセット目標値の設定が繰り返される。差分dがセット閾値となった時刻T3にオフディレイタイマが計時を開始し、所定のオフディレイ時間の経過後の時刻T4に過負荷解消制御がオフとなり、負荷安定化制御部84による負荷安定化制御が再開される。
【0042】
上記の過負荷解消制御(過負荷解消の第1制御及び第2制御)によれば、速やかに過負荷が解消されるので、アキュムレータ92の作動と停止の繰り返し頻度が抑制されて、タッピング現象は発生しない、又は、発生しても速やかに解消される。このように従来と比較してタッピング現象の継続が回避されることから、アキュムレータ92及びポペット弁92aなどの油圧部品や、動力伝達機構20の機械部品の寿命を延長できる。
【0043】
上記の破砕機100の制御方法において、負荷異常検知部85は、セット変動指標としてセット検出値とセット検出値の移動平均値との差分dを用いている。但し、セット変動指標はこれに限定されず、セットが突発的に増加した際のセットの増加度合を表すものであればよい。例えば、セット変動指標として、セットセンサ52で検出されたセット(即ち、セット検出値)とセット目標値との差分の単位時間あたりの増加量であってもよい。セット検出値とセット目標値の差分の単位時間当たりの増加量はセットの増加度合を表す。また、セット検出値とセット目標値の差分を用いることで、セットがセット目標値から突発的に乖離したことを推し量ることができる。このセット変動指標が用いられた場合も、上記実施形態と同様に負荷異常の検知を行うことができる。即ち、負荷異常検知部85は、破砕機100の運転中にセットセンサ52で検出されたセット検出値と、負荷安定化制御部84で生成されたセット目標値とを取得し、セット検出値とセット目標値の差分の単位時間当たりの増加量を求め、この増加量が所定のセット閾値を超えた場合に破砕負荷の異常上昇を検知するように構成される。
【0044】
また、上記の破砕機100の制御方法において、負荷異常検知部85は、セット変動指標に基づいて破砕負荷の異常上昇を検知しているが、セット変動指標及びシリンダ油圧に基づいて破砕負荷の異常上昇を検知してもよい。この場合、負荷異常検知部85は、破砕機100の運転中に、セットセンサ52で検出されたセット検出値から算出されたセット変動指標がセット閾値を超えたこと、且つ、油圧センサ55で検出されたシリンダ油圧が所定の油圧閾値を超えたことに基づいて、破砕負荷の異常上昇を検知するように構成される。
【0045】
〔総括〕
本開示の第1の項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50は、
主軸5と、主軸5に固定されたマントル13と、マントル13と対峙するように配置され、マントル13との間に破砕室16を形成するコンケーブ14と、マントル13とコンケーブ14の間のセットを検出するセットセンサ52と、主軸5を支持する油圧シリンダ6と、油圧シリンダ6の油圧室63と接続されたアキュムレータ92を有し油圧室63にセットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路90と、破砕負荷を検出する破砕負荷検出器55,56とを備える旋動式破砕機100の制御装置50であって、
破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成する負荷安定化制御部84と、
油圧回路90を動作させてセットをセット目標値に制御するセット制御部83と、
セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて破砕負荷の異常上昇を検知する負荷異常検知部85と、を備えることを特徴としている。
【0046】
第1の項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50は、次のようにも表現できる。即ち、制御装置50は、プロセッサと、プロセッサが実行可能なプログラムを記憶し当該プロセッサからアクセス可能なメモリとを備え、プログラムを実行したプロセッサが、(i)破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成し、(ii)油圧回路90を動作させてセットをセット目標値に制御し、(iii)セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて破砕負荷の異常上昇を検知するものである。
【0047】
本開示の第2の項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50は、第1の項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50において、セット変動指標が、セットセンサ52で検出されたセット検出値とセット検出値の移動平均値との差分dであるものである。
【0048】
本開示の第3の項目に係る破砕機100の制御装置50は、第1の項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50において、セット変動指標が、セットセンサ52で検出されたセット検出値とセット目標値の差分の単位時間あたりの増加量であるものである。
【0049】
第1乃至3の項目に係る制御装置50によれば、セットセンサ52という従来の破砕機が備えるセンサを用いて、破砕室16に異物が投入されたこと等に起因する破砕負荷の急上昇を検知できる。そして、このように破砕負荷の急上昇を検知が可能であることによって、アキュムレータ92の作動に加えて過負荷解消の措置をとって速やかに過負荷を解消でき、これによりタッピング現象を回避し得る。
【0050】
本開示の第4の項目に係る破砕機100の制御装置50は、第1乃至3のいずれかの項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50において、負荷異常検知部85は、セット変動指標がセット閾値を超えたこと、且つ、シリンダ油圧が所定の油圧閾値を超えたことに基づいて、破砕負荷の異常上昇を検知するものである
【0051】
上記構成の破砕機100の制御装置50によれば、セット変動指標に加えてシリンダ油圧も判断材料とするので、破砕負荷の急上昇をより正確に検知できる。
【0052】
本開示の第5の項目に係る破砕機100の制御装置50は、第1乃至4のいずれかの項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50において、破砕負荷の異常上昇が検知されると、一時的に負荷安定化制御部84に代わってセット目標値を生成する過負荷解消制御部86を、更に備え、過負荷解消制御部86は、セットセンサ52で検出されたセット検出値よりも小さい所定のセット基準値をセット目標値としたうえで、セット目標値に所定のセット加算値を加えた新たなセット目標値を生成することを、セット目標値がセット検出値以上となるまで繰り返すものである。
【0053】
本開示の第6の項目に係る破砕機100の制御装置50は、第1乃至4のいずれかの項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50において、破砕負荷の異常上昇が検知されると、一時的に負荷安定化制御部84に代わってセット目標値を生成する過負荷解消制御部86を、更に備え、過負荷解消制御部86は、異常上昇が検知されてからセットセンサ52で検出されたセット検出値の最大値をセット目標値とし、その後、現在のセット目標値と所定時間前のセット検出値のうち大きい方を新たなセット目標値とすることを、セット変動指標がセット閾値以下となるまで繰り返すものである。
【0054】
第5及び6の項目に係る破砕機100の制御装置50によれば、破砕負荷を安定化する制御が一旦停止されて、積極的に過負荷を解消する処理が行われることで、速やかに過負荷状態を解消できる。
【0055】
本開示の第7の項目に係る破砕機100の制御装置50は、第5又は6の項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50において、過負荷解消制御部86がセット目標値を生成してから、セット変動指標がセット閾値以下となり所定のオフディレイ時間経過後に、過負荷解消制御部86に代わって負荷安定化制御部84がセット目標値を生成するものである。
【0056】
これにより、過負荷状態が解消されると自動的に破砕負荷を安定化する制御が再開される。
【0057】
本開示の第8の項目に係る破砕機100は、
主軸5と、
主軸5に固定されたマントル13と、
マントル13と対峙するように配置され、マントル13との間に破砕室16を形成するコンケーブ14と、
マントル13とコンケーブ14の間のセットを検出するセットセンサ52と、
主軸5の下部を支持する油圧シリンダ6と、
油圧シリンダ6の油圧室63と接続されたアキュムレータ92を有し油圧室63にセットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路90と、
破砕負荷を検出する破砕負荷検出器55,56と、
第1乃至7のいずれかの項目に係る旋動式破砕機100の制御装置50とを、備えるものである。
【0058】
本開示の第9の項目に係る破砕機100の制御方法は、
主軸5と、主軸5に固定されたマントル13と、マントル13と対峙するように配置され、マントル13との間に破砕室16を形成するコンケーブ14と、マントル13とコンケーブ14の間のセットを検出するセットセンサ52と、主軸5を支持する油圧シリンダ6と、油圧シリンダ6の油圧室63と接続されたアキュムレータ92を有し油圧室63にセットを変化させるシリンダ油圧を発生させる油圧回路90と、破砕負荷を検出する破砕負荷検出器とを備える旋動式破砕機100の制御方法であって、
破砕負荷の検出値を取得し、破砕負荷を所定の破砕負荷目標値に制御するセット目標値を生成すること、
油圧回路90を動作させてセットをセット目標値に制御すること、及び、
セットの検出値を取得し、セットの突発的な増加度合を表すセット変動指標を求め、セット変動指標が所定のセット閾値を超えたことに基づいて破砕負荷の異常上昇を検知すること、を含むものである。
【0059】
上記の破砕機100の制御方法によれば、セットセンサ52という従来の破砕機が備えるセンサを用いて、破砕室16に異物が投入されたこと等に起因する破砕負荷の急上昇を検知できる。そして、このように破砕負荷の急上昇を検知が可能であることによって、アキュムレータ92の作動に加えて過負荷解消の措置をとって速やかに過負荷を解消でき、これによりタッピング現象を回避し得る。
【0060】
以上の本開示の議論は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明では、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で1つの実施形態に纏められているが、複数の特徴のうち幾つかが組み合わされてもよい。また、本開示に含まれる複数の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様に組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0061】
5 :主軸
6 :油圧シリンダ
13 :マントル
14 :コンケーブ
16 :破砕室
52 :セットセンサ
55 :油圧センサ(破砕負荷検出器の一例)
56 :電流センサ(破砕負荷検出器の一例)
61 :ラム
62 :シリンダチューブ
63 :油圧室
83 :セット制御部
84 :負荷安定化制御部
85 :負荷異常検知部
86 :過負荷解消制御部
90 :油圧回路
92 :アキュムレータ
100 :旋動式破砕機