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特開2024-58023検査装置およびこれを用いたスタンプ検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058023
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】検査装置およびこれを用いたスタンプ検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165124
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北村 賢
(72)【発明者】
【氏名】千田 雅史
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AA61
2G051AB14
2G051AC15
2G051BB01
2G051CA03
2G051CB01
2G051CC11
(57)【要約】
【課題】 スタンプの所定箇所にチップ部品が付着しているか否かの検査を、コンパクトな装置構成で、チップ部品が小さくても正確に行うことを可能とする検査装置およびこれを用いたスタンプ検査装置を提供すること。
【解決手段】 検査対象表面に光を照射する光源と、前記検査対象表面を撮像するラインスキャンカメラを有した撮影ユニットと、前記検査対象表面における前記ラインスキャンカメラのスキャン方向に対して交差する方向に、前記検査対象と前記撮影ユニットの少なくとも一方を移動させる移動手段とを備え、前記検査対象表面の2次元画像を取得して前記表面状態を検査する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の表面状態を検査する検査装置であって、
前記検査対象表面に光を照射する光源と、前記検査対象表面を撮像するラインスキャンカメラを有した撮影ユニットと、
前記検査対象表面における前記ラインスキャンカメラのスキャン方向に対して交差する方向に、前記検査対象と前記撮影ユニットの少なくとも一方を移動させる移動手段とを備え、
前記検査対象表面の2次元画像を取得して前記表面状態を検査する検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記光源の照射方向が、前記検査対象表面の垂直方向に対して傾きを持ち、
前記検査対象表面で正反射した光を前記ラインスキャンカメラが撮像する検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検査装置であって、
前記光源が横長の照射領域を有し、前記検査対象表面における前記ラインスキャンカメラの視野領域に光を照射する検査装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の検査装置であって、
前記撮影ユニットは、前記ラインスキャンカメラの光軸上に配したミラーを有し、
前記検査対象表面で正反射した光を、前記ミラーを介して、前記ラインスキャンカメラが撮像する検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置であって、
前記撮影ユニットの前記光源、前記ラインスキャンカメラおよび前記ミラーを配置するステージを更に備え、
前記移動手段が前記ステージを移動させながら一定間隔で撮像を行なうことにより、前記検査対象の2次元画像を取得する検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置であって、
前記ステージの移動を開始してから、一定距離移動後または一定時間経過後に、
一定時間周期で撮像を行なう検査装置。
【請求項7】
前記検査対象が、転写基板上のチップ部品を転写先基板に転写する際に用いるスタンプであって、
請求項5に記載の検査装置が、前記スタンプのチップ部品保持面を検査するスタンプ検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載のスタンプ検査装置であって、
前記カメラに接続され画像処理機能を有した制御部を更に備え、
前記2次元画像から、前記チップ部品保持面の所定箇所にチップ部品が保持されているか否かを判定するスタンプ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査対象の表面状態を検査する検査装置に関し、特に転写元基板からチップ部品をピックアップして転写先基板に転写する際に用いるスタンプにチップ部品が付着した状態を検査するスタンプ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
μLEDディスプレイの実用化が進む昨今において、転写元基板に密集状態に配置されているチップ部品をピックアップして、ピッチを広げて転写先基板に実装するチップ転写に対する関心が高まっている。
【0003】
このようなチップ転写を行なう手法の一つとして、粘着性を有する表面で複数のチップ部品を同時に脱着させることが可能なスタンプ方式が知られている。(例えば特許文献1)
スタンプ方式で用いるスタンプ2は、図9(a)に断面図を示すように、板状のスタンプ本体20に粘着部21が設けられたものであり、粘着部21の間隔は転写元基板S0上のチップ部品Cのピッチの整数倍になっている。
【0004】
図9(a)に示すように、ピックアップヘッド101に保持されたスタンプ2は、粘着部21の直下にチップ部品Cが配置されるように位置合わせをした後に、図9(b)のように粘着部21をチップ部品Cに密着させる。この段階で、粘着部21のチップ部品Cに対する粘着力が、転写元基板S0に対する付着力に勝れば、スタンプ2を上昇させる(転写元基板S0から離す)と、粘着部21に密着したチップ部品Cは転写元基板S0からピックアップされる(図9(c))。
【0005】
チップ部品Cをピックアップしたスタンプ2は、実装ヘッド102に保持され、図10(a)のように転写先基板S1の所定箇所に位置合わせされた後に、図10(b)のように転写先基板S1に圧着する。この段階で、粘着部21のチップ部品Cに対する粘着力を加熱等により、転写先基板S1に対する接合力より弱めれば、スタンプ2を上昇させる(転写先基板S1から離す)と、チップ部品Cはスタンプ2から離れて転写先基板S1に実装される(図10(c))。ここで、チップ部品Cを加熱することで粘着部21の粘着力を弱める一方で、チップ部品Cと転写先基板S1の間の接合力を強めてもよい。
【0006】
以上のようにスタンプ2は、図11(a)のように転写元基板S0からピックアップしたチップ部品Cを粘着部21に付着させた状態で転写先基板S1に転写して、図11(b)のように転写後の粘着部21にチップ部品Cは付着していない。このような動作を行うチップ転写装置の構成を示したのが図11(c)であり、ピックアップ装置5と実装装置6を備えている。
【0007】
このようなチップ転写装置において、ピックアップ装置5において全ての粘着部21にチップ部品Cが保持され、実装装置6において粘着部21に付着していた全てのチップ部品Cが転写先基板S1に転写されるべきである。しかし、ピックアップ装置5において、図12(a)に示すように一部の粘着部21にチップ部品Cが付着しないことがある。また、実装装置6において、転写先基板S1に実装できなかったチップ部品Cが図12(b)のように粘着部21に残ることもある。
【0008】
図12(a)や図12(b)のような現象を見逃すのはチップ転写プロセスにおいて問題が大きい、このため、図13のようにピックアップ装置5と実装装置6の間にスタンプ検査装置7を配置するのが好ましい。スタンプ検査装置7は、図11(a)の状態のスタンプ2の所定箇所(粘着部21)にチップ部品Cが付着しているか否かを確認し、図11(b)の状態のスタンプ2に残っているチップ部品Cの有無を検査するものである。
【0009】
スタンプ2のチップ部品保持面の状態を観察するのに際して、一般的な外観検査装置を用いた構成を図14に示す。図14において、反射用光源402が発する光に照らされたスタンプ2のチップ部品保持面を2次元撮像手段であるエリアカメラ42で撮影し、その画像を解析してチップ部品Cの付着有無を判断する。例えば、図15(a)はピックアップ後で実装前のチップ部品保持面の状態であり、チップ部品Cを保持した部分に相当するIRCが明るく、チップ部品Cを保持していない粘着部21に相当する部分が暗くなっている。図15(b)は、実装後のチップ部品保持面の状態で、明るい部分にチップ部品Cが残っていることが判る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-175961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図14のような構成で検査を行なう場合、反射用光源402の光強度や向きなどによって反射画像の状態は異なり、画像の明るさでチップ部品Cの有無を判断しようとすると閾値の設定が難しく、誤判定を行うことがある。
【0012】
このため、検査を行なう対象全体に均一に光を照射する必要があるが、これを実現しようとすると検査対象から反射用光源402までの距離を増して、多方向からの照射を行なうことが望ましく、照明系の大型化が避けられない。
【0013】
また、チップ部品Cの更なる小型化や、1つのスタンプ2に付着させるチップ部品Cの数が増えることにより、チップ部品Cの1つに対するエリアカメラ42の画素数は少なくなり、正確な判定が難しくなる。このため、エリアカメラ42の視野を狭め、1つのスタンプ2を複数箇所に分けて撮像する手法もあるが、撮像回数が増えることにより検査のタクトタイムが長くなるという弊害がある。
【0014】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、スタンプの所定箇所にチップ部品が付着しているか否かの検査を、コンパクトな装置構成で、チップ部品が小さくても正確に行うことを可能とする検査装置およびこれを用いたスタンプ検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
検査対象の表面状態を検査する検査装置であって、
前記検査対象表面に光を照射する光源と、前記検査対象表面を撮像するラインスキャンカメラを有した撮影ユニットと、前記検査対象表面における前記ラインスキャンカメラのスキャン方向に対して交差する方向に、前記検査対象と前記撮影ユニットの少なくとも一方を移動させる移動手段とを備え、
前記検査対象表面の2次元画像を取得して前記表面状態を検査する検査装置である。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検査装置であって、
前記光源の照射方向が、前記検査対象表面の垂直方向に対して傾きを持ち、前記検査対象表面で正反射した光を前記ラインスキャンカメラが撮像する検査装置である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の検査装置であって、
前記光源が横長の照射領域を有し、前記検査対象表面における前記ラインスキャンカメラの視野領域に光を照射する検査装置である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の検査装置であって、
前記撮影ユニットは、前記ラインスキャンカメラの光軸上に配したミラーを有し、
前記検査対象表面で正反射した光を、前記ミラーを介して、前記ラインスキャンカメラが撮像する検査装置である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の検査装置であって、
前記撮影ユニットの前記光源、前記ラインスキャンカメラおよび前記ミラーを配置するステージを更に備え、
前記移動手段が前記ステージを移動させながら一定間隔で撮像を行なうことにより、前記検査対象の2次元画像を取得する検査装置
である。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の検査装置であって、
前記ステージの移動を開始してから、一定距離移動後または一定時間経過後に、一定時間周期で撮像を行なう検査装置である。
【0021】
請求項7に記載の発明は、前記検査対象が、転写基板上のチップ部品を転写先基板に転写する際に用いるスタンプであって、
請求項5に記載の検査装置が、前記スタンプのチップ部品保持面を検査するスタンプ検査装置である。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のスタンプ検査装置であって、
前記カメラに接続され画像処理機能を有した制御部を更に備え、
前記2次元画像から、前記チップ部品保持面の所定箇所にチップ部品が保持されているか否かを判定するスタンプ検査装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、スタンプの所定箇所にチップ部品が付着しているか否かの検査を、コンパクトな装置構成で、チップ部品が小さくても正確に行うことを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態1の検査装置に係る、(a)構成を示す断面図であり、(b)画像を取得する領域と光を照射される領域について説明する図である。
図2】本発明に関連し、検査対象の面に対して垂直方向から画像を取得する際の光源配置の一例を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態2の検査装置に係る、(a)構成を示す断面図であり、(b)画像を取得する領域と光を照射される領域について説明する図である。
図4】本発明の実施形態3の検査装置の構成を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態3の検査装置の検査準備段階の状態の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態3の検査装置をスタンプ検査に用いて検査を開始した状態の、(a)検査装置の断面図であり、(b)画像を取得する領域と光を照射される領域について説明する図である。
図7】本発明の実施形態3の検査装置をスタンプ検査に用いて検査を進めた状態の、(a)検査装置の断面図であり、(b)画像を取得する領域と光を照射される領域について説明する図である。
図8】本発明の実施形態に係る検査装置が必要とする被写界深度について説明する図である。
図9】チップ転写装置を構成するピックアップ装置の動作を説明するもので、(a)スタンプが転写元基板のチップ部品に接近している状態、(b)スタンプがチップ部品に密着した状態、(c)スタンプが転写元基板からチップ部品をピックアップした状態、を示す図である。
図10】チップ転写装置を構成する実装装置の動作を説明するもので、(a)チップ部品を保持したスタンプが転写先基板に接近している状態、(b)チップ部品を転写先基板に密着させた状態、(c)チップ部品を転写先基板に実装してからスタンプが離れて行く状態、を示す図である。
図11】スタンプの状態について説明するもので、(a)ピックアップ動作後のスタンプ、(b)実装動作後のスタンプ、(c)ピックアップ動作前と実装動作前のスタンプ、を示す図である。
図12】スタンプに生じる不良現象について説明する断面図であり、(a)ピックアップ動作が不完全な状態、(b)実装動作が不完全な状態、を示す図である。
図13】ピックアップ動作後および実装動作後のスタンプ検査について説明する図である。
図14】スタンプ表面に光を照射してエリアカメラで外観検査を行う装置形態を示す図である。
図15】スタンプ表面に光を照射して得た、(a)ピックアップ後のスタンプ表面の画像の一例、(b)実装後のスタンプ表面の画像の一例、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、図を用いて説明する。図1は本発明の実施形態1について説明する図であり、図1(a)は装置構成の断面図であり、図1(b)は検査状態にあるスタンプ2を下面から見た図である。
【0026】
図1(a)において、検査対象であるスタンプ2はスタンプ本体20の下面にチップ部品Cを保持するものであり、チップ部品Cを保持する部分には粘着部21が設けられている。撮影ユニット410は、スタンプ2の下面に光を照射する反射用光源400とラインスキャンカメラ41を構成要素としている。ラインスキャンカメラ41は、画素はY方向に直線的に並んでおり、Y方向にスキャンして光強度を測定する。
【0027】
ここで、反射用光源400がスタンプ2の下面に照射する光強度は、図のY方向で均一にすることが望ましく、LEDアレイや蛍光管のような直線的なバー照明の長手方向を図のY方向にすることで、Y方向の光強度分布はほぼ一定になる。なお、図1(b)に示すように実施形態1において光の光照射領域ALがX方向にも広がっているが、X方向で均一な強度である必要はない。
【0028】
ところで、一般的に、スタンプ2の下面を観察する際は、スタンプ2の下に配置したカメラの視野を垂直上方に向けてるのが望ましい。このため、図2に示すようにラインスキャンカメラ41と反射用光源400を配置して撮像行ったが、取得画像の明度とコントラストは低かった。そこで、スタンプ2に照射する光が強い部分(図1(b)の光照射領域ALにおける強光照射領域ALsに相当)の画像を得るよう位置調整したが、顕著な効果はなかった。
【0029】
これは、ラインスキャンカメラ41の位置を避けて反射用光源400を配置するため、スタンプ2の下面に垂直な方向から光を照射することができず、ラインスキャンカメラ41は(スタンプ2の表面で反射する内の)拡散光しか取り込めていないためと考えられる。
【0030】
そこで、種々検討を行なった結果、図1(a)に示すように正反射光を撮像することで明度およびコントラストが大きく改善されることが判った。すなわち、光源400の(Y方向を回転軸とした)光照射角を角度θ400とした場合、ラインスキャンカメラ41の直線的な視野方向(Y方向)を回転軸とした(スタンプ下面2の垂直方向に対する)光軸の角度θ41を、図1(a)のように θ41=θ400 とすることで、チップ部品Cと粘着部21(およびスタンプ本体20の表面)で反射する光のコントラストを大きくすることができた。特に、スタンプ検査において、金属光沢を有するチップ部品Cの平坦な面がスタンプ2の下面に平行に保持されている場合、(凹凸を有する表面の観察とは異なり)正反射方向光の成分が大で拡散光の成分は小さくなるため、スタンプ2の下面におけるチップ部品C有無の光強度の差が大きくなる。なお、θ41は正反射が得られるのであれば小さい方が望ましいが、焦点距離やラインスキャンカメラ41および光源400が占有するスペース等によって決定される。また、θ41とθ400の値に関しては±5°程度の差は許容される。
【0031】
ところで、図1(b)に示すように、反射用光源400の光照射領域ALはX方向に広いため、θ41=θ400であれば、ラインスキャンカメラ41のX方向位置を精密に調整することなく、ラインスキャンカメラ41のカメラ視野V4(光センサが受光するエリア)は正反射光を受光することができる。ただし、画像センサが同じなら、光照射強度が強い方が露光時間も短くすることも可能なので検査タクトの短縮にも役立つ。一方、一般的なバー照明では、図1(b)の光照射領域ALは、強光照射領域ALsの光が強く、強光照射領域ALsからX方向に離れるほど光照射強度が弱まる。このため、カメラ視野V4を強光照射領域ALsの正反射に合わせることが望ましい。
【0032】
また、スタンプ2と撮影ユニット410の少なくとも一方を(直線的なカメラ視野V4に交差する)X方向に移動させる移動手段(スタンプ2の場合移動手段32、撮影ユニット410の場合移動手段34)用いて相対移動させながら、一定間隔移動毎にラインスキャンカメラ41が画像を取り込むことで、スタンプ2下面の2次元画像を取得することができる。この際、カメラ視野V4内におけるスタンプ2の下面は相対移動していくが、カメラ視野V4における焦点が合った状態は続いている。
【0033】
ところで、図1(a)において、ラインスキャンカメラ41ではなくエリアカメラ42を用いた場合、X方向で焦点が合う箇所は極一部であり、反射光の強度も(スタンプ2下面の状態が同じであっても)X方向で変化が大きい。このため、取得した画像を検査に用いるのは難しい。
【0034】
一方、ラインスキャンカメラ41を用いて、スタンプ2のX方向相対位置を移動させながら、焦点を合わせた正反射を撮像することで、明瞭な2次元画像を得ることができ、表面検査に好適である。
【0035】
ここで、ラインスキャンカメラ41は1次元方向のセンサ配列であるため、センサ配列方向に直交する方向にピクセルサイズを大きめにすることで、2次元の画像センサに比べて、センサ感度を上げたり、ライン方向のセンサ数を増すこともできる。ただし、ライン方向(Y方向)に直交する方向にピクセルサイズを大きくし過ぎると解像度が低下するので注意が必要である。
【0036】
なお、図1の実施形態1において、カメラ視野V4を強光照射領域ALsの正反射に合わせる場合、強光照射領域ALs以外の光照射領域ALへの光はエネルギーロスとなる。そこで、光照射領域ALのX方向を狭め領域内の光強度を強めたのが図3に示す実施形態2である。図3(a)は実施形態2の装置構成を示す断面図であるが、光源として集光照明401を用いた撮影ユニット411を用いていること以外は、実施形態1と同じ構成である。このようにすることで、光照射に要するエネルギーロスを低減することができる。
【0037】
実施形態2において集光照明401により、図3(b)に示すように光照射領域ALがX方向に狭く直線的となり、その分、領域内の光強度が高くなる。ここで、集光照明401は、バー照明からなる反射用光源400と(スタンプ2に至る正反射の光路上に配した)集光レンズによって構成され、光照射領域ALをX方向に狭められているが、Y方向の集光は行わず、光照射領域ALのY方向に光強度分布は均一性を維持している。 なお、集光照明401に集光レンズは必ずしも必要ではなく、狭指向性のLEDを横に並べたLEDアレイやファイバー照明等、元来の照射領域ALがX方向に狭く、Y方向に光強度が均一なものであれば集光レンズは不要である。ところで、図3(b)において、光照射領域ALは検査を行なうのに十分な反射光が得られる領域を示したものであり、光照射領域ALの外側にも(弱い)照射光が分布していてもよい。
【0038】
図3の実施形態2において、ラインスキャンカメラ41のカメラ視野V4は光照射領域AL内に入ってかつ正反射を受光しなければならない、このため光照射領域ALのX方向広がりが狭いほど精密な調整が必要である。すなわち、ラインスキャンカメラ41の(光軸調整のため)角度調整およびX方向位置(または/およびZ方向位置)を精密に調整して固定する必要がある。しかし、ラインスキャンカメラ41の(Y軸に対する)角度調整には手間もかかるし、撮影ユニット411を移動させる場合にはラインスキャンカメラ41が振動しないよう固定する必要もあり、調整機構が複雑化することもある。
【0039】
そこで、図4に示す実施形態3として、ラインスキャンカメラ41の光軸上にミラー8を配して、集光照明401と組み合わせた撮影ユニット4を用いる装置構成としてもよい。この構成において、集光照明401の照射を受けてて検査対象(スタンプ2)の表面で正反射した光の光路をミラー5によってラインスキャンカメラ41の光軸に向けるよう調整ことができる。
【0040】
図4に示す検査装置1において、撮影ユニット4を構成する集光照明401、ラインスキャンカメラ41およびミラー8はステージ31に配置され、ミラー8はX方向の位置調整と(Y軸方向を回転軸とした)回転角調整をして固定することができる。ミラー8は、ラインスキャンカメラ41に比べて小型かつ軽量であるため、角度の微調整も固定も容易であり、実施形態2の弱点を補強している。
【0041】
また、図4に示す検査装置1において、ステージ31はX方向の任意な位置に移動できるよう、スライド機構30に搭載されており、スライド機構30とステージ31による移動手段3が撮影ユニット4をX方向に移動させることができる。
【0042】
図4の検査装置1において、制御部10が移動手段3に接続され、移動手段3の動作を制御することができる。また、制御部10はラインスキャンカメラ41と接続され、移動手段を一定距離移動させる毎に画像を取り込んで2次元画像を取得する機能を有している。ここで、一定距離移動を認識するために、スライド機構30上のステージ31にエンコーダーを搭載して実際の移動距離を検出してもよいが、一定速度で移動させながら一定周期毎に画像を取得しても良い。ここで、一定速度で移動させながら一定周期毎に画像を取得する手法とした場合、図5に示すように検査を開始する前の助走距離Xaを設け、X方向の移動を開始してから助走距離Xa移動していたら移動速度を一定と見なしてもよい。また、一定距離Xaを設定するのではなく、一定時間の助走時間の後に、一定時間周期で画像を取り込むようにしてもよい。なお、図4においては、ステージ31がX方向に移動する構成としているが、スタンプ2をX方向に移動させる移動手段を備えた構成としてもよい。
【0043】
また、図4に示した撮影ユニット4において、集光照明401を(図1(b)に示した光照射領域ALとなる)反射用光源400としてもミラー8を用いる構成は有効である。すなわち、カメラ視野V4を強光照射領域ALs内に合わせるのが容易となる。
【0044】
図6および図7は、図4に示した検査装置1の動作について説明するものであり、図6はスタンプ2の検査を開始した状態であり、図7はスタンプ2の検査が進んだ状態を示す図であり、図6(a)、図7(a)が装置断面図で、図6(b)、図7(b)がスタンプ2下面への光照射領域ALとカメラ視野V4を示すものである。
【0045】
ここで、図4の制御部10が画像処理機能を有していれば、図6から図7の過程を経て得た2次元画像で「反射光強度が一定以上で一定面積を形成」する箇所がチップ部品Cを保持していると判定することで、スタンプ2下面の所定箇所にチップ部品Cが保持しているか否かの検査を行なうスタンプ検査装置として用いることができる。
【0046】
以上、スタンプ検査を主とした実施形態について説明したが、本発明の検査装置は、制御部の画像処理プログラムを検査対象に合わせることで、種々の検査対象の表面状態検査に適応させることができる。例えば、測定対象の平面性を評価する場合において、凹凸を有する平面であると正反射方向以外に拡散する光が増えることを利用して、表面状態を検査することができる。
【0047】
ところで、一般的に凹凸のある表面の検査において、凹凸の最深部から最頂部の範囲がカメラの被写界深度内に入るようにカメラレンズの絞りを調整する必要がある。一方、本発明の実施形態において、スタンプ2表面のカメラ視野V4の画像を取り込む際の、垂直方向対する角度を画像取込角θとすると、図8における最深部はスタンプ本体20の表面で、最頂部は粘着部21に保持されたチップ部品Cの表面となり、最深部から最頂部の距離ΔFL1は以下のようになる。
【0048】
ΔFL1=(dC+d21)/cosθ ・・・ (1)
ここで、dCはチップ部品Cの厚みで、d21は粘着部21の厚みである。
このため、本発明においてもカメラの被写界深度DOFが式(1)で求められるΔFL1以上であることが好ましい。しかし、本発明のスタンプ検査装置では、被写界深度DOFがΔFL1以上である必要はない。すなわち、本発明で対象とするスタンプ検査では、スタンプ2にチップ部品Cが保持されているか否かを見極めることができればよいので、スタンプ2の粘着部21に保持されたチップ部品Cの表面が被写界深度に入っていればよいことになる。
【0049】
ただし、稀にではあるが粘着部21から外れたチップ部品Cがスタンプ本体20の表面に付着していることもあるので、スタンプ本体20に付着しているようなチップ部品Cの表面も被写界深度に入ることが望ましい。このため、ラインセンサカメラ41の被写界深度DOFは、図8におけるΔFL2以上であることが望ましく、この条件を満たしかつ、チップ部品C表面と他の部分の明暗差を確保できるようカメラ視野4部分に照射する光強度とラインセンサカメラ41の絞り(F値)を設定する。なお、ΔFL2は以下の式に示されるようになる。
【0050】
ΔFL2=(dC+d21-dC)/cosθ=d21/cosθ ・・・ (2)
上に示したように、ΔFL1に比べてΔFL2は小さいことから、スタンプ検査装置の場合、他用途の検査装置に比べてF値を下げて、明るめの画像で検査が行える。
【符号の説明】
【0051】
1 検査装置
2 スタンプ
3 移動手段
4 撮影ユニット
5 ピックアップ装置
6 実装装置
7 スタンプ検査装置
8 ミラー
10 制御手段
20 スタンプ本体
21 粘着部
30 スライド機構
31 ステージ
41 ラインスキャンカメラ
42 エリアカメラ
101 ピックアップヘッド
102 実装ヘッド
400 反射用光源
401 集光照明
AL 光照射領域
ALs 強光照射領域
C チップ部品
S0 転写元基板
S1 転写先基板
V4 カメラ視野(センサ受光エリア)
Xa 助走距離
図1
図2
図3
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