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特開2024-58027計画装置、計画方法、および計画プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058027
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】計画装置、計画方法、および計画プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240418BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240418BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240418BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165131
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 雄
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 道彦
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB02
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】最適な充放電計画を提供する。
【解決手段】計画装置10の計画作成部15Hは、太陽光発電システム20ごとに、PV26の単位時間ごとの充放電計画を作成する。太陽光発電システム20は、PCS27と、PCS27のパワーコンディショナ容量を超える最大発電容量のPV26と、PV26から充電される蓄電池25と、を有する。計画作成部15Hは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、蓄電池25の単位時間ごとの充放電計画を作成する。計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、発電量予測値を蓄電池25の充電計画量上限値とした充放電計画を作成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーコンディショナと、前記パワーコンディショナのパワーコンディショナ容量を超える最大発電容量の太陽光発電設備と、前記太陽光発電設備から充電される蓄電池と、を有する太陽光発電システムごとに、前記太陽光発電設備の単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、前記蓄電池の単位時間ごとの充放電計画を作成する計画作成部を備え、
前記計画作成部は、
前記発電量予測値が前記パワーコンディショナ容量を超える場合、前記発電量予測値を前記蓄電池の充電計画量上限値とした前記充放電計画を作成する、
計画装置。
【請求項2】
前記計画作成部は、
前記発電量予測値が前記パワーコンディショナ容量を超える場合、前記発電量予測値から前記パワーコンディショナ容量を減算した超過発電値を、前記蓄電池へ充電する充電値または廃棄する廃棄電力値とした、前記充放電計画を作成する、
請求項1に記載の計画装置。
【請求項3】
前記計画作成部は、
発電量予測部から取得した前記太陽光発電設備の単位時間ごとの当初発電量予測値を前記発電量予測値として用いて、前記充放電計画を作成する、
請求項1に記載の計画装置。
【請求項4】
前記発電量予測値に基づいて単位時間ごとの前記蓄電池の推定充電残量を導出する推定充電残量導出部を備える、
請求項1に記載の計画装置。
【請求項5】
前記推定充電残量導出部は、
前記推定充電残量の導出処理を、定期的に繰り返し実行する、
請求項4に記載の計画装置。
【請求項6】
前記推定充電残量および前記蓄電池の単位時間ごとの充電残量の実測値である実測充電残量の算出対象期間の全期間において、前記実測充電残量が前記推定充電残量以下である場合、前記太陽光発電設備の設備設定が、前記発電量予測値における前記パワーコンディショナ容量を超過する超過発電値を前記蓄電池に蓄電せず廃棄する廃棄設定であると判断し、
前記算出対象期間内の少なくとも一部の期間、前記実測充電残量が前記推定充電残量を超える場合、前記太陽光発電設備の前記設備設定が前記超過発電値を前記蓄電池に充電する充電設定であると判断する、
設備設定判断部を備え、
前記計画作成部は、
前記設備設定の判断結果に応じた、前記充放電計画を作成する、
請求項4に記載の計画装置。
【請求項7】
前記太陽光発電設備の単位時間あたりの発電量の当初発電量予測値の内、前記パワーコンディショナ容量を超える前記当初発電量予測値が前記パワーコンディショナ容量に補正された補正発電量予測値を、発電量予測部から取得し、
取得した前記補正発電量予測値および前記推定充電残量と、前記蓄電池の前記単位時間ごとの充電残量の実測値である実測充電残量と、に基づいて、単位時間ごとの前記パワーコンディショナ容量を超過する超過発電値を推定する超過発電値推定部と、
前記補正発電量予測値と前記超過発電値との単位時間ごとの合計値を単位時間ごとの前記当初発電量予測値として算出する当初発電量予測値算出部と、
を備え、
前記計画作成部は、
前記当初発電量予測値を前記発電量予測値とした、前記充放電計画を作成する、
請求項4~請求項6の何れか1項に記載の計画装置。
【請求項8】
前記計画作成部は、
前記発電量予測値から一定値を減算した値を前記充電計画量上限値とした、前記充放電計画を作成する、
請求項1に記載の計画装置。
【請求項9】
計画装置で実行される計画方法であって、
パワーコンディショナと、前記パワーコンディショナのパワーコンディショナ容量を超える最大発電容量の太陽光発電設備と、前記太陽光発電設備から充電される蓄電池と、を有する太陽光発電システムごとに、前記太陽光発電設備の単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、前記蓄電池の単位時間ごとの充放電計画を作成する計画作成ステップを含み、
前記計画作成ステップは、
前記発電量予測値が前記パワーコンディショナ容量を超える場合、前記発電量予測値を前記蓄電池の充電計画量上限値とした前記充放電計画を作成する、
計画方法。
【請求項10】
コンピュータに実行させるための計画プログラムであって、
パワーコンディショナと、前記パワーコンディショナのパワーコンディショナ容量を超える最大発電容量の太陽光発電設備と、前記太陽光発電設備から充電される蓄電池と、を有する太陽光発電システムごとに、前記太陽光発電設備の単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、前記蓄電池の単位時間ごとの充放電計画を作成する計画作成ステップを含み、
前記計画作成ステップは、
前記発電量予測値が前記パワーコンディショナ容量を超える場合、前記発電量予測値を前記蓄電池の充電計画量上限値とした前記充放電計画を作成する、
計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、計画装置、計画方法、および計画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分散型エネルギーリソース(DER:Distributed Energy Resources)を遠隔・統合制御し、複数の発電事業者を発電バランシンググループとしたバーチャルパワープラント(VPP)の技術開発が進められている。
【0003】
また、太陽光発電設備と蓄電池を備えた太陽光発電システムをDERとして利用するケースもある。太陽光発電システムをDERとして利用するシステムとして、例えば、太陽光発電システムを過積載の構成とし、パワーコンディショナの容量を超えた超過分の発電電力を蓄電池に充電制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-028822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来技術では、太陽光発電システムの売電収益を高める蓄電池の充放電計画の考慮がなされておらず、最適な充放電計画の提供の点で改善の余地がある。
【0006】
本発明の課題は、最適な充放電計画を提供することができる、計画装置、計画方法、および計画プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の計画装置は、パワーコンディショナと、前記パワーコンディショナのパワーコンディショナ容量を超える最大発電容量の太陽光発電設備と、前記太陽光発電設備から充電される蓄電池と、を有する太陽光発電システムごとに、前記太陽光発電設備の単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、前記蓄電池の単位時間ごとの充放電計画を作成する計画作成部を備える。前記計画作成部は、前記発電量予測値が前記パワーコンディショナ容量を超える場合、前記発電量予測値を前記蓄電池の充電計画量上限値とした前記充放電計画を作成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態にかかる電力システムの概要の一例を示す図である。
図2】実施形態にかかる計画装置および太陽光発電システムの機能的構成の一例を示す図である。
図3】過積載の構成の太陽光発電システムの一例の説明図である。
図4】発電量予測値の一例の説明図である。
図5】実施形態の計画装置が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態の計画装置の一例のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る計画装置、計画方法、および計画プログラムの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下において、時刻とは、時間の瞬間を指す場合と、単位時間のその時間幅を指す場合の2種類がある。単位時間は、例えば、30分単位である。
【0010】
図1は、本実施形態にかかる電力システム1の概要の一例を示す図である。
【0011】
電力システム1は、計画装置10と、1または複数の太陽光発電システム20と、を備える。本実施形態では、電力システム1が、複数の太陽光発電システム20を備える形態を想定して説明する。複数の太陽光発電システム20は、発電BG(バランシンググループ)4として機能する。発電BG4は、発電所や蓄電池などを更に含んでいてよい。太陽光発電システム20から出力された電力は電力系統3へ供給される。
【0012】
計画装置10は、複数の太陽光発電システム20の各々に設けられた蓄電池25の充放電計画を作成する。計画装置10は、複数の太陽光発電システム20の各々ごとに、蓄電池25の充放電計画を作成する。
【0013】
計画装置10は、例えば、アグリゲータ2に設けられている。計画装置10は、太陽光発電システム20ごとに蓄電池25の充放電計画および太陽光発電システム20の発電計画などを作成し、予め定められた期日までに広域機関へ事前に報告する。例えば、計画装置10は、翌日の発電計画を前日までに広域機関へ報告し、また、必要に応じて修正した発電計画を当日に広域機関へ報告する。
【0014】
広域機関は、電力広域的運営推進機関であり、電力の安定供給の確保のため、全国の電力の需給状況や電力系統3の運用状況を24時間監視し、系統運用者の電力需給を管理する。電力系統3を利用する全ての系統利用者(発電事業者および小売電気事業者など)は、広域機関に発電や需要の計画(年間、月間、週間、前日)を提出することになっており、広域機関でこれらの整合性を確認し、系統運用者に転送する。
【0015】
太陽光発電システム20は、蓄電池25と、PV(Photovoltaics)26と、PCS(Power Conditioning Subsystem)27と、を備える。太陽光発電システム20の詳細構成の説明は後述する。
【0016】
図2は、本実施形態にかかる計画装置10および太陽光発電システム20の機能的構成の一例を示す図である。
【0017】
まず、太陽光発電システム20について説明する。
【0018】
太陽光発電システム20は、蓄電池25と、PV26と、PCS27と、制御部28と、を備える。
【0019】
PV26は、太陽光発電設備である。PV26は、太陽光パネルを備える。太陽光パネルは、n型及びp型の単結晶シリコン等の半導体ウェハのセルを直列及び並列に設置したセルの集合体であり、光起電力効果により光エネルギーを電力に変換する。
【0020】
PCS27は、PV26で発電された直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナである。PCS27は、PV26で発電された直流電力を交流電力に変換し、電力系統3へ供給する。また、PCS27は、後述する制御部28の制御およびPV26の設備設定に応じて、PV26で発電された直流電力を蓄電池25へ供給または廃棄する。PV26の設備設定の詳細は後述する。
【0021】
蓄電池25は、電力の充電、および電力の放電を行う。詳細には、蓄電池25は、PV26で発電された電力により充電される。蓄電池25は、PV26で発電された電力がPCS27を介して供給される構成、PV26で発電された電力が該PV26およびPCS27の双方から供給される構成、の何れであってもよい。本実施形態では、蓄電池25は、PV26で発電された電力がPCS27を介して供給される構成である形態を想定して説明する。
【0022】
蓄電池25は、例えば、陽極と負極とを交互に積層し電極間にセパレータを介在させたキャパシタ、リチウム電池等の蓄電池、および水の電気分解により水素を生成して貯蔵する水素電力貯蔵装置などである。
【0023】
PCS27には、定格容量であるパワーコンディショナ容量が定められている。以下、パワーコンディショナ容量を、PCS容量と称して説明する場合がある。本実施形態の太陽光発電システム20には、PCS27のPCS容量を超える最大発電容量のPV26が搭載されている。すなわち、本実施形態の太陽光発電システム20は、所謂、過積載の構成とされている。
【0024】
図3は、過積載の構成の太陽光発電システム20の一例の説明図である。
【0025】
過積載の構成の太陽光発電システム20とは、PCS容量CPを超える最大発電容量のPV26を設置した構成の太陽光発電設備である。
【0026】
図3中、横軸は時刻を表し、縦軸は電力値を表す。図3には、晴天時の24時間の発電イメージを示す。図3中、線図31は、PCS容量CP未満の最大発電容量のPV26を設置した構成の太陽光発電設備の発電量の推移の一例を示す線図である。線図30は、PCS容量CPを超える最大発電容量のPV26を設置した構成の過積載の太陽光発電システム20の発電量の推移の一例を示す線図である。
【0027】
図30に示すように、PV26の過積載により、太陽光発電システム20から出力される単位時間あたりの発電量は、線図31に示される過積載の構成ではない太陽光発電システムの発電量に比べて増加する。
【0028】
ここで、PCS27は、PCS容量CPを超える発電量を処理することができない。すなわち、線図30によって表される過積載の太陽光発電システム20の発電量の内、PCS容量CPを超過した超過電力量Sは交流電力に変換されず電力系統3へ供給されない。しかし、線図30によって表される過積載の構成の一日の全発電量の内、PCS容量CP以下の時間帯の発電量は、線図31によって表される過積載の構成ではない太陽光発電システムの一日の全発電量に比べて増加量P分増加する。このため、過積載の構成の太陽光発電システム20とした場合、過積載の構成ではない太陽光発電システムに比べて一日あたりの合計の発電量が多くなる。このため、過積載の構成である本実施形態の太陽光発電システム20は、一日の総売電量を高める事の可能な構成とされている。
【0029】
図2に戻り説明を続ける。
【0030】
PV26は、ユーザの操作指示などにより設備設定を変更可能に構成されている。例えば、PV26は、設備設定を廃棄設定または充電設定に切替可能に構成されている。廃棄設定とは、PCS容量CPを超過する超過発電値の超過電力量Sを蓄電池25へ蓄電せず廃棄する設備設定である。充電設定とは、超過電力量Sを蓄電池25に充電する設備設定である。このため、制御部28による制御およびPV26の設備設定に応じて、PV26の発電電力における超過電力量Sが蓄電池25へ充電または廃棄される。
【0031】
制御部28は、計画装置10から受付けた充放電計画に基づいて蓄電池25の充放電等を制御する。この制御の詳細は後述する。
【0032】
また、制御部28は、PV26のPV発電電力量、および蓄電池の実測充電残量である実測SoC(State Of Charge)を単位時間ごとに計画装置10へ出力する。なお、これらの情報は、PCS27、蓄電池25、およびPV26の各々から計画装置10へ出力される構成であってもよい。
【0033】
計画装置10について説明する。
【0034】
計画装置10は、PC(Personal Computer)等であり、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、HDD(Hard Disk Drive)と、通信インタフェース(I/F)と、ディスプレイ等の表示装置と、キーボードやマウス等の入力装置とを備える通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0035】
計画装置10は、通信部11と、入力部12と、表示部13と、記憶部14と、制御部15と、を備える。通信部11、入力部12、表示部13、および記憶部14と、制御部15とは、バス等により通信可能に接続されている。
【0036】
通信部11は、太陽光発電システム20と通信する。また、通信部11は、卸電力市場、広域機関、および外部に設けられた情報処理装置などとネットワークを介して通信する。
【0037】
入力部12は、ユーザによる操作入力を受付けるキーボード等の入力デバイスである。表示部13は、各種の情報を表示するディスプレイである。記憶部14は、各種の情報を記憶する。記憶部14は、例えば、HDDや、メモリ等である。
【0038】
制御部15は、情報処理を実行する演算部である。制御部15は、発電量予測部15Aと、取得部15Bと、判断部15Cと、推定充電残量導出部15Dと、設備設定判断部15Eと、超過発電値推定部15Fと、当初発電予測値算出部15Gと、計画作成部15Hと、を備える。
【0039】
発電量予測部15A、取得部15B、判断部15C、推定充電残量導出部15D、設備設定判断部15E、超過発電値推定部15F、当初発電予測値算出部15G、および計画作成部15Hの少なくとも1つは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
【0040】
発電量予測部15Aは、PV26の単位時間ごとの当初発電量予測値または補正発電量予測値を発電量予測値として予測する。
【0041】
図4は、発電量予測値の一例の説明図である。図4中、横軸は時刻を表し、縦軸は電力値を表す。図4には、24時間の単位時間ごとの発電量予測値の推移を示す。図4中、線図40Aは、単位時間ごとの当初発電量予測値の推移の一例を表す線図である。線図40Bは、単位時間ごとの補正発電量予測値の推移の一例を表す線図である。線図40は、単位時間ごとの発電量予測値の推移を表す線図であり、当初発電量予測値を表す線図40Aまたは補正発電量予測値を表す線図40Bによって表される。
【0042】
当初発電量予測値とは、PV26の単位時間ごとの発電量の予測値であり、PCS容量CPを超過した超過電力量Sがカットされていない予測値である。具体的には、当初発電量予測値は、線図40Aに示すように、超過電力量Sをカットしていない発電量予測値である。
【0043】
補正発電量予測値とは、PV26の単位時間ごとの発電量の予測値であり、単位時間ごとの当初発電量予測値の内、PCS容量CPを超える当初発電量予測値をPCS容量CPに補正した予測値である。具体的には、補正発電量予測値は、線図40Bに示すように、線図40Aにおける超過電力量Sをカットした後の発電量予測値である。
【0044】
発電量予測部15Aは、太陽光発電システム20のPV26から制御部28等を介して取得したPV26の過去のPV発電電力量の実測値の推移、日照等の気象情報、等の情報を用いて、公知の方法により、単位時間ごとの発電量予測値を予測すればよい。
【0045】
また、発電量予測部15Aは、予め設定された設定条件に応じて、当初発電量予測値または補正発電量予測値を発電量予測値として予測すればよい。
【0046】
また、発電量予測部15Aは、ネットワークを介して計画装置10に接続された外部の情報処理装置に搭載された予測システム、入力部12、または記憶部14などから発電量予測値を取得することで、発電量予測値を推定してもよい。また、発電量予測部15Aは、ネットワークを介して計画装置10に接続された外部の情報処理装置に搭載されていてもよい。
【0047】
図2に戻り説明を続ける。
【0048】
取得部15Bは、各種の情報を取得する。本実施形態では、取得部15Bは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値を発電量予測部15Aから取得する。上述したように、発電量予測部15Aは、計画装置10の外部に設けられた構成であってもよい。例えば、発電量予測部15Aは、太陽光発電システム20や外部の情報処理装置に搭載された構成であってもよい。発電量予測部15Aが計画装置10の外部の情報処理装置に設けられた構成である場合、取得部15Bは、ネットワーク等を介して該外部の情報処理装置の発電量予測部15Aから発電予測値を取得すればよい。
【0049】
判断部15Cは、取得部15Bで取得した発電量予測値が、当初発電量予測値であるか補正発電量予測値であるかを判断する。例えば、取得部15Bは、発電量予測部15Aから発電量予測値と、発電量予測値が当初発電量予測値であるか補正発電量予測値であるかを表すフラグと、を受付ける。判断部15Cは、取得部15Bで発電量予測値と共に受付けたフラグが当初発電量予測値を表すか補正発電量予測値を表すかを判別することで、発電量予測値が当初発電量予測値および補正発電量予測値の何れであるかを判断すればよい。
【0050】
推定充電残量導出部15Dは、発電量予測値に基づいて単位時間ごとの蓄電池25の推定充電残量を導出する。
【0051】
推定充電残量とは、蓄電池25の単位時間ごとの充電残量の推定値である。以下では、推定充電残量を、推定SoCと称して説明する場合がある。
【0052】
例えば、推定充電残量導出部15Dは、発電量予測値と、発電量予測値に基づいて算出した仮充放電計画と、から単位時間ごとの蓄電池25の推定充電残量を導出する。
【0053】
詳細には、推定充電残量導出部15Dは、取得部15Bで取得した発電量予測値を用いて、後述する計画作成部15Hと同様にして、蓄電池25の仮の充放電計画である仮充放電計画を算出する。そして、推定充電残量導出部15Dは、取得部15Bで取得した単位時間ごとの発電量予測値および仮充放電計画を用いて、公知の方法により蓄電池25の単位時間ごとの充電残量を推定することで、単位時間ごとの推定SoCを導出する。
【0054】
また、例えば、推定充電残量導出部15Dは、発電量予測値から単位時間ごとの推定SoCを出力する学習モデルへ取得した発電量予測値を入力することで、該学習モデルからの出力として、単位時間ごとの推定SoCを導出してもよい。
【0055】
なお、推定充電残量導出部15Dは、後述する計画作成部15Hが充放電計画を作成するごとに、推定SoCの導出を行ってもよい。また、推定充電残量導出部15Dは、後述する計画作成部15Hが充放電計画を生成する周期より短い周期で定期的に推定SoCの導出を行ってもよい。すなわち、推定充電残量導出部15Dは、推定SoCの導出処理を、定期的に繰り返し実行してよい。推定充電残量導出部15Dが充放電計画を生成する周期より短い周期で定期的に推定SoCの導出を行うことで、より高精度なSoCを導出することが出来る。該定期的な繰り返しの周期は、より短いことが好ましい。該定期的な繰り返しの周期は、例えば、1分間隔などであるが、この値に限定されない。
【0056】
設備設定判断部15Eは、PV26の設備設定が廃棄設定であるか充電設定であるかを判断する。
【0057】
上述したように、PV26は設備設定を廃棄設定または充電設定に切替可能に構成されている。設備設定判断部15Eは、以下の処理により、PV26の設備設定が廃棄設定であるか充電設定であるかを判断する。
【0058】
詳細には、設備設定判断部15Eは、蓄電池25の単位時間ごとの推定の充電残量である推定SoCを推定充電残量導出部15Dから取得する。また、設備設定判断部15Eは、取得部15Bで太陽光発電システム20から過去に取得した蓄電池25の単位時間ごとの実測SoCを取得する。
【0059】
そして、設備設定判断部15Eは、推定充電残量である推定SoCおよび実測充電残量である実測SoCの算出対象期間の全期間において、実測SoCが推定SoC以下である場合(実測SoC≦推定SoC)、PV26の設備設定が廃棄設定であると判断する。算出対象期間は、例えば、24時間であるが、この期間に限定されない。
【0060】
また、設備設定判断部15Eは、算出対象期間内の少なくとも一部の期間、実測SoCが推定SoCを超える場合(実測SoC>推定SoC)、PV26の設備設定が充電設定であると判断する。
【0061】
超過発電値推定部15Fは、取得部15Bで取得した発電量予測値が補正発電量予測値である場合、超過発電値を推定する。
【0062】
超過発電値とは、発電量予測値の内、PCS容量CPを超過する超過分の値である。
【0063】
図4を用いて説明する。上述したように、補正発電量予測値は、線図40Bに示すように、線図40Aによって表される当初発電量予測値における超過電力量Sをカットした後の発電量予測値である。超過発電値とは、単位時間ごとの超過分の電力値である。すなわち、複数の単位時間の各々の超過発電値の合計が、超過電力量Sに相当する。
【0064】
超過発電値推定部15Fは、取得部15Bで取得した線図40Bによって表される単位時間ごとの補正発電量予測値の各々について、超過電力量Sによって表される単位時間ごとの超過発電値を推定する。
【0065】
例えば、超過発電値推定部15Fは、推定充電残量導出部15Dが補正発電量予測値を用いて作成した仮充放電計画から導出した単位時間ごとの推定SoCと、設備設定判断部15Eが取得した単位時間ごとの実測SoCと、に基づいて、単位時間ごとの超過発電値を推定する。詳細には、例えば、超過発電値推定部15Fは、単位時間ごとの推定SoCと、単位時間ごとの実測SoCと、の対応する単位時間ごとの差を、単位時間ごとの超過発電値として推定する。
【0066】
なお、超過発電値推定部15Fは、後述する計画作成部15Hが充放電計画を作成するごとに、超過発電値の推定処理を行ってもよい。また、超過発電値推定部15Fは、後述する計画作成部15Hが充放電計画を生成する周期より短い周期で定期的に超過発電値の推定処理を行ってもよい。すなわち、超過発電値推定部15Fは、超過発電値の推定処理を、定期的に繰り返し実行してよい。超過発電値推定部15Fが充放電計画を生成する周期より短い周期で定期的に超過発電値の推定処理を行うことで、より高精度な超過発電値を推定することが出来る。該定期的な繰り返しの周期は、より短いことが好ましい。該定期的な繰り返しの周期は、例えば、1分間隔などであるが、この値に限定されない。
【0067】
図2に戻り説明を続ける。
【0068】
当初発電予測値算出部15Gは、取得部15Bで取得した単位時間ごとの補正発電量予測値に、対応する単位時間ごとの超過発電値を加算することで、補正発電量予測値から当初発電量予測値を算出する。
【0069】
図4を用いて説明する。すなわち、当初発電予測値算出部15Gは、取得部15Bで取得した線図40Bによって表される単位時間ごとの補正発電量予測値に、超過発電値推定部15Fによって推定された超過電力量Sによって表される単位時間ごとの推定SoCを加算する。これらの処理により、当初発電予測値算出部15Gは、取得部15Bで取得した線図40Bによって表される補正発電量予測値から当初発電量予測値を算出することで、線図40Aによって表されるカット前の発電量予測値である当初発電量予測値を推定する。
【0070】
図2に戻り説明を続ける。
【0071】
計画作成部15Hは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、蓄電池25の単位時間ごとの充放電計画を作成する。充放電計画とは、単位時間ごとに、蓄電池25へ充電する充電値または蓄電池25から放電する放電値を定めたものである。
【0072】
取得部15Bで取得した単位時間ごとの発電量予測値が当初発電量予測値である場合を想定する。この場合、該当初発電量予測値は、図4の線図40Aに示すように、超過電力量Sをカットしていない値である。この場合、計画作成部15Hは、取得部15Bで取得した当初発電量予測値を発電量予測値として用いて、充放電計画を作成する。
【0073】
一方、取得部15Bが取得した単位時間ごとの発電量予測値が補正発電量予測値である場合を想定する。この場合、該補正発電量予測値は、図4の補正発電量予測値に示すように、超過電力量Sがカットされた値である。この場合、計画作成部15Hは、超過発電値推定部15Fおよび当初発電予測値算出部15Gによって補正発電量予測値から算出された当初発電量予測値を発電量予測値として用いて、充放電計画を作成する。
【0074】
詳細には、計画作成部15Hは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値および電力売電単価に基づいて、売電収益の予測値を最大化する充放電計画を算出する。
【0075】
電力売電単価とは、太陽光発電システム20から出力される電力の単位時間ごとの売電単価である。電力売電単価は、卸電力市場における取引価格予測値、および、契約により予め定められた取引価格の何れであってもよい。本実施形態では、電力売電単価が、単位時間ごとの取引価格予測値である形態を一例として説明する。計画作成部15Hは、例えば、卸電力市場、予測システム、または発電量予測部15A等から取得部15Bを介して電力売電単価を取得することで、電力売電単価を導出すればよい。
【0076】
売電収益の予測値を最大化する充放電計画とは、電力売電単価の安い時間帯にPV26の発電電力を蓄電池25へ充電し、電力売電単価の高い時間帯にPV26の発電電力を電力系統3へ供給する充放電計画である。本実施形態では、計画作成部15Hは、翌日の24時間分の充放電計画を作成する形態を一例として説明する。計画作成部15Hは、発電量予測値および電力売電単価に基づいて、公知の方法により、太陽光発電システム20の売電収益の予測値を最大化する充放電計画を作成すればよい。
【0077】
ここで、本実施形態の太陽光発電システム20は、過積載の構成である。このため、計画作成部15Hは、売電収益の予測値を最大化する充放電計画の作成において、更に以下の処理を行う。
【0078】
詳細には、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、発電量予測値を蓄電池25の充電計画量上限値とした充放電計画を作成する。計画作成部15Hは、蓄電池25への単位時間ごとの充電量が充電計画量上限値を超えないように、充放電計画を作成する。充電計画量上限値とは、単位時間あたりの蓄電池25に対する充電計画量の最大値を表す。
【0079】
すなわち、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、PCS容量CP以下の範囲に限定されず、PCS容量CPを超える発電量予測値までの範囲を充電計画量上限値とした、充放電計画を作成する。このため、計画作成部15Hは、PCS容量CPを超える超過電力量Sを考慮した充放電計画を作成することができる。
【0080】
また、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CP以下である場合、PCS容量CPを充電計画量上限値とした充放電計画を作成する。
【0081】
すなわち、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CP以下である場合、発電量予測値以下の範囲に限定されず、発電量予測値を超えるPCS容量CPまでの範囲を充電計画量上限値とした、充放電計画を作成する。このため、計画作成部15Hは、PCS容量CPを考慮した充放電計画を作成することができる。
【0082】
更に詳細には、計画作成部15Hは、単位時間ごとの発電量予測値の各々について、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、該発電量予測値からPCS容量CPを減算した超過発電値を蓄電池25へ充電する充電値または廃棄する廃棄電力値とした、充放電計画を作成する。
【0083】
計画作成部15Hは、設備設定判断部15EによるPV26の設備設定の判断結果が廃棄設定を示す場合、発電量予測値からPCS容量CPを減算した超過発電値を廃棄する廃棄電力値とした、充放電計画を作成すればよい。計画作成部15Hは、設備設定判断部15EによるPV26の設備設定の判断結果が充電設定を示す場合、発電量予測値からPCS容量CPを減算した超過発電値を蓄電池25へ充電する充電値とした、充放電計画を作成すればよい。
【0084】
このため、計画作成部15Hは、充放電計画によって表される蓄電池25の充電または放電制御とPV26の実際の設備設定との不一致を回避することができ、PV26の設備設定を考慮した効果的な充放電計画を作成することができる。
【0085】
なお、計画作成部15Hは、発電量予測値から一定値を減算した値を充電計画量上限値とした、充放電計画を作成してもよい。一定値は、例えば、発電量予測値の5%に相当する値などであるが、この値に限定されない。
【0086】
計画作成部15Hは、作成した充放電計画を、通信部11を介して太陽光発電システム20および広域機関へ出力する。
【0087】
計画装置10から充放電計画を受付けた太陽光発電システム20の制御部28は、受付けた充放電計画に基づいて蓄電池25の充放電を制御する。詳細には、制御部28は、単位時間ごとの蓄電池25の充放電計画通りに、蓄電池25の充電および放電を制御する。具体的には、制御部28は、充放電計画に示される単位時間ごとに、蓄電池25への充電値または蓄電池25からの放電値を表す指示信号を蓄電池25へ出力する。蓄電池25は、充電値を示す指示信号を受付けると、PV26で発電された電力の内、指示信号によって示される充電値の電力を充電する。また、蓄電池25は、放電値を示す指示信号を受付けると、指示信号によって示される放電値の電力を、PCS27を介して電力系統3へ放電する。
【0088】
なお、計画装置10の制御部15が、計画作成部15Hで作成された充放電計画に基づいて、太陽光発電システム20の蓄電池25の充放電を制御してもよい。
【0089】
また、計画作成部15Hは、作成した充放電計画を表示部13へ表示してもよい。この場合、ユーザは表示部13を視認することで、充放電計画を確認することができる。
【0090】
次に、本実施形態の計画装置10で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0091】
図5は、本実施形態の計画装置10が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0092】
取得部15Bは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値を発電量予測部15Aから取得する(ステップS100)。
【0093】
判断部15Cは、ステップS100で取得した発電量予測値が、当初発電量予測値であるか補正発電量予測値であるかを判断する(ステップS102)。例えば、判断部15Cは、ステップS100で発電量予測値と共に受付けたフラグが当初発電量予測値を表すか補正発電量予測値を表すかを判別することで、発電量予測値が当初発電量予測値および補正発電量予測値の何れであるかを判断する。
【0094】
ステップS100で取得した発電量予測値が当初発電量予測値である場合(ステップS102:Yes)、ステップS104へ進む。
【0095】
ステップS104では、推定充電残量導出部15Dが、ステップS100で取得した発電量予測値に基づいて、単位時間ごとの推定SoCを導出する(ステップS104)。
【0096】
次に、設備設定判断部15Eが、取得部15Bで太陽光発電システム20から過去に取得した蓄電池25の単位時間ごとの実測SoCを導出する(ステップS106)。
【0097】
そして、設備設定判断部15Eは、ステップS104で導出した単位時間ごとの推定SoCおよびステップS106で導出した単位時間ごとの実測SoCを用いて、PV26の設備設定を判断する(ステップS108)。設備設定判断部15Eは、ステップS104で導出した単位時間ごとの推定SoCおよびステップS106で導出した単位時間ごとの実測SoCの算出対象期間の全期間において、実測SoCが推定SoC以下である場合(実測SoC≦推定SoC)、PV26の設備設定が廃棄設定であると判断する。また、設備設定判断部15Eは、算出対象期間内の少なくとも一部の期間、実測SoCが推定SoCを超える場合(実測SoC>推定SoC)、PV26の設備設定が充電設定であると判断する。
【0098】
計画作成部15Hは、ステップS100で取得した単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、蓄電池25の単位時間ごとの充放電計画を作成する(ステップS110)。計画作成部15Hは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値および電力売電単価に基づいて、売電収益の予測値を最大化する充放電計画を算出する。また、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、発電量予測値を蓄電池25の充電計画量上限値とした充放電計画を、ステップS108の設備設定判断結果に応じて作成する。また、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CP以下である場合、PCS容量CPを充電計画量上限値とした充放電計画を作成する。そして、本ルーチンを終了する。
【0099】
一方、ステップS102において、ステップS100で取得した発電量予測値が補正発電量予測値であると判断した場合(ステップS102:No)、ステップS112へ進む。
【0100】
ステップS112では、推定充電残量導出部15Dが、ステップS100で取得した発電量予測値に基づいて、単位時間ごとの推定SoCを導出する(ステップS112)。
【0101】
次に、設備設定判断部15Eが、取得部15Bで太陽光発電システム20から過去に取得した蓄電池25の単位時間ごとの実測SoCを導出する(ステップS114)。
【0102】
そして、設備設定判断部15Eは、ステップS112で導出した単位時間ごとの推定SoCおよびステップS114で導出した単位時間ごとの実測SoCを用いて、PV26の設備設定を判断する(ステップS116)。ステップS116の処理は、当初発電量予測値に替えて補正発電量予測値を用いる点以外は、ステップS108と同様である。
【0103】
超過発電値推定部15Fは、ステップS100で取得した発電量予測値である補正発電量予測値に対する超過発電値を推定する(ステップS118)。例えば、超過発電値推定部15Fは、ステップS112で導出された単位時間ごとの推定SoCと、ステップS114で導出された単位時間ごとの実測SoCと、の対応する単位時間ごとの差を、単位時間ごとの超過発電値として推定する。
【0104】
当初発電予測値算出部15Gは、ステップS100で取得した発電予測値である単位時間ごとの補正発電量予測値に、ステップS118で推定した対応する単位時間ごとの超過発電値を加算することで、補正発電量予測値から当初発電量予測値を算出する(ステップS120)。
【0105】
計画作成部15Hは、ステップS120で算出した当初発電量予測値を発電量予測値として用いて、蓄電池25の単位時間ごとの充放電計画を作成する(ステップS110)。計画作成部15Hは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値および電力売電単価に基づいて、売電収益の予測値を最大化する充放電計画を算出する。また、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、発電量予測値を蓄電池25の充電計画量上限値とした充放電計画を、ステップS108の設備設定判断結果に応じて作成する。また、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CP以下である場合、PCS容量CPを充電計画量上限値とした充放電計画を作成する。そして、本ルーチンを終了する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態の計画装置10は、計画作成部15Hを備える。計画作成部15Hは、太陽光発電システム20ごとに、PV26(太陽光発電設備)の単位時間ごとの充放電計画を作成する。太陽光発電システム20は、PCS27(パワーコンディショナ)と、PCS27のパワーコンディショナ容量(PCS容量CP)を超える最大発電容量のPV26と、PV26から充電される蓄電池25と、を有する。計画作成部15Hは、PV26の単位時間ごとの発電量予測値に基づいて、蓄電池25の単位時間ごとの充放電計画を作成する。計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、発電量予測値を蓄電池25の充電計画量上限値とした充放電計画を作成する。
【0107】
このように、本実施形態の計画装置10の計画作成部15Hは、PV26の発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、発電量予測値を蓄電池25の充電計画量上限値とした充放電計画を作成する。
【0108】
このため、計画作成部15Hは、発電量予測値がPCS容量CPを超える場合、PCS容量CP以下の範囲に限定されず、PCS容量CPを超える発電量予測値までの範囲を充電計画量上限値とした、充放電計画を作成する。すなわち、計画作成部15Hは、PCS容量CPを超える超過電力量Sを考慮した充放電計画を作成することができ、太陽光発電システム20の売買収益を高める蓄電池25の充放電計画を作成することができる。
【0109】
従って、本実施形態の計画装置10は、最適な充放電計画を提供することができる。
【0110】
また、本実施形態の計画装置10の計画作成部15Hは、発電量予測部15Aから取得した発電量予測値が、超過電力量Sのカット前の発電量予測値である当初発電量予測値である場合、当初発電量予測値を発電量予測値として用いて充放電計画を作成する。また、計画作成部15Hは、発電量予測部15Aから取得した発電量予測値が超過電力量Sのカット後の発電量予測値である補正発電量予測値である場合、超過発電値推定部15Fによって該補正発電量予測値に基づいて推定された超過発電値を用いて算出された当初発電量予測値を、発電量予測値として用いて充放電計画を作成する。
【0111】
このため、計画作成部15Hは、取得した発電量予測値が当初発電量予測値および補正発電量予測値の何れの場合であっても、PCS容量CPを超える超過電力量Sを考慮した充放電計画を作成することができる。よって、本実施形態の計画装置10は、上記効果に加えて、更に、最適な充放電計画を提供することができる。
【0112】
また、本実施形態の計画装置10の設備設定判断部15Eは、推定SoCおよび実測SoCを用いて、PV26の設備設定が廃棄設定であるか充電設定であるかを判断する。そして、計画作成部15Hは、設備設定の判断結果に応じた充放電計画を作成する。
【0113】
例えば、発電量予測部15Aから取得した発電量予測値がカット後である補正発電量予測値であり、PV26の設備設定が充電設定であった場合を想定する。この場合、従来技術では、超過電力量Sを含まない補正発電量予測値に沿った充放電計画が作成されていた。このため、従来技術では、実際には超過電力量Sが発生し設備設定によりPV26の発電電力が蓄電池25へ充電されているにも拘わらず、充放電計画には充電制御が含まれておらず、充放電計画と設備設定との不一致が発生する場合があった。このため、従来技術では、超過電力量Sが充電計画に含まれておらず、売電収益を高める最適な充放電計画が作成されない場合があった。
【0114】
一方、本実施形態の計画装置10の計画作成部15Hは、発電量予測部15Aから取得した発電量予測値が補正発電量予測値である場合、超過発電値推定部15Fによって該補正発電量予測値に基づいて推定された超過発電値を用いて算出された当初発電量予測値を発電量予測値として用いて、充放電計画を作成する。また、本実施形態の計画装置10の計画作成部15Hは、設備設定の判断結果に応じた充放電計画を作成する。
【0115】
このため、本実施形態の計画装置10は、充放電計画によって表される蓄電池25の充電または放電制御とPV26の実際の設備設定との不一致を回避することができ、PV26の設備設定を考慮した効果的な充放電計画を作成することができる。
【0116】
よって、本実施形態の計画装置10は、上記効果に加えて、更に、最適な充放電計画を提供することができる。
【0117】
なお、本実施形態では、蓄電池25は、PV26で発電された電力がPCS27を介して供給される構成、すなわちAC(交流)リンク方式の構成である形態を想定して説明した。しかし、上述したように、蓄電池25は、PV26で発電された電力が該PV26およびPCS27の双方から供給される構成、すなわちDC(直流)リンク方式の構成であってもよい。蓄電池25がDCリンク方式の構成である場合、計画作成部15Hは、PV26から蓄電池25へ直接供給される単位時間ごとの直流電流値を更に予測し、充放電計画を作成してもよい。例えば、計画作成部15Hは、上記充放電計画の作成において、蓄電池25へ充電する充電値または廃棄する廃棄値に予測した直流電流値を加えた上で、上記と同様にして充放電計画を作成してもよい。
【0118】
次に、上記実施形態の計画装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
【0119】
図6は、上記実施形態の計画装置10の一例のハードウェア構成図である。
【0120】
上記実施形態の計画装置10は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、および通信I/F84等がバス85により相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0121】
CPU81は、上記実施形態の計画装置10を制御する演算装置である。ROM82は、CPU81による各種処理を実現するプログラム等を記憶する。ここではCPUを用いて説明しているが、計画装置10を制御する演算装置として、GPU(Graphics Processing Unit)を用いてもよい。RAM83は、CPU81による各種処理に必要なデータを記憶する。通信I/F84は、データを送受信するためのインターフェースである。
【0122】
上記実施形態の計画装置10では、CPU81が、ROM82からプログラムをRAM83上に読み出して実行することにより、上記各機能がコンピュータ上で実現される。
【0123】
なお、上記実施形態の計画装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD(ハードディスクドライブ)に記憶されていてもよい。また、上記実施形態の計画装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM82に予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0124】
また、上記実施形態の計画装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の計画装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の計画装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0125】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
10…計画装置、15A…発電量予測部、15D…推定充電残量導出部、15E…設備設定判断部、15F…超過発電値推定部、15G…当初発電予測値算出部、15H…計画作成部、20…太陽光発電システム、25…蓄電池、26…PV、27…PCS
図1
図2
図3
図4
図5
図6