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特開2024-58033回転体設置方法およびブレードリフトアップ装置
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  • 特開-回転体設置方法およびブレードリフトアップ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058033
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】回転体設置方法およびブレードリフトアップ装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/10 20160101AFI20240418BHJP
   B66C 23/26 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
F03D13/10
B66C23/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165140
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 久之
(72)【発明者】
【氏名】福田 智之
(72)【発明者】
【氏名】塚田 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】濱本 順也
(72)【発明者】
【氏名】久田 英貴
(72)【発明者】
【氏名】森田 一義
【テーマコード(参考)】
3F205
3H178
【Fターム(参考)】
3F205AB07
3F205AB08
3F205BA02
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC02
3H178CC14
3H178CC23
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】風力発電機の周辺に大きな作業ヤードを確保することなく回転体を設置することのできる回転体設置方法およびブレードリフトアップ装置を提供する。
【解決手段】ブレードリフトアップ装置50は、ブレード14をタワー部分11の周囲に設けられたガイドタワー21に沿って積載作業位置と取付作業位置との間を上下方向に昇降移動可能に構成され、ガイドタワー21に対して第1水平方向H1に進退移動可能なステージ52と、ステージ52上を第2水平方向H2に移動可能に構成され、ブレード14を支持可能なブレード支持装置53と、を備える。取付対象となるブレード取付口41がステージ52の取付作業位置を向くようにハブ15を回転させるステップと、ブレード14を積載したステージ52を取付作業位置に配置するステップと、ステージ52の進退移動とブレード支持装置53の移動とを用いて、ブレード14の位置調整を行うステップと、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード取付口が形成されたハブと前記ブレード取付口に取り付けられるブレードとを有する回転体をタワー部分の頂部に設置する回転体設置方法であって、
前記ブレードが取り付けられる前に、前記ハブをナセルの先端に取り付けるとともに前記タワー部分の頂部において前記ナセルを所定の角度まで回転させるステップと、
前記タワー部分の周囲に設けられたガイドタワーに沿って積載作業位置と取付作業位置との間を上下方向に昇降移動可能に構成され、前記ガイドタワーに対して第1水平方向に進退移動可能なステージと、前記ステージ上を第2水平方向に移動可能に構成され、前記ブレードを支持可能なブレード支持装置と、を備えたブレードリフトアップ装置を設置するステップと、
取付対象となる前記ブレード取付口が前記ステージの前記取付作業位置を向くように前記ハブを回転させるステップと、
前記ブレードを積載した前記ステージを前記取付作業位置に配置するステップと、
前記ステージの前記第1水平方向での進退移動と、前記ブレード支持装置の前記第2水平方向での移動とを用いて、前記取付対象に対する前記ブレードの位置調整を行うステップと、を備える
回転体設置方法。
【請求項2】
前記所定の角度は、前記ハブが前記第2水平方向を向く角度である
請求項1に記載の回転体設置方法。
【請求項3】
前記第2水平方向における前記ブレードの過度な移動を、前記ステージに設けた規制材で規制する
請求項1または2に記載の回転体設置方法。
【請求項4】
タワー部分の頂部へブレードをリフトアップするブレードリフトアップ装置であって、
前記タワー部分の周囲に設けられたガイドタワーに沿って積載作業位置と取付作業位置との間を上下方向に昇降移動可能に構成され、前記ガイドタワーに対して第1水平方向に進退移動可能なステージと、
前記ステージ上を第2水平方向に移動可能に構成され、前記ブレードを支持可能なブレード支持装置と、を備える
ブレードリフトアップ装置。
【請求項5】
前記ステージには、前記第2水平方向における前記ブレードの過度な移動を規制する規制材が設けられている
請求項4に記載のブレードリフトアップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電機などにおいて、ハブとブレードとを有する回転体をタワー部分の頂部に設置する回転体設置方法、および、タワー部分の頂部においてハブにブレードを取り付ける際に利用されるブレードリフトアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タワー部分の頂部に回転体を有する風力発電機の構築方法として、リフトアップ装置を用いた工法が用いられる。リフトアップ装置は、構築中の風力発電機の頂部への資材の運搬などに用いられる。リフトアップ装置は、タワー部分の周囲に設置されたガイドタワーと、ガイドタワーに沿って昇降可能な昇降装置とを有する。こうしたリフトアップ装置を用いた回転体設置方法として、特許文献1には、地上部分において組み立てられた回転体をタワー部分の頂部までリフトアップ装置で運搬して設置する工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-192070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、組立て後の回転体の立て起こし作業に使用されるクレーンに大型のものが必要となるため、風力発電機の周辺に大きな作業ヤードを確保する必要がある。また、タワー部分の頂部にナセルを設置したのちにクレーンを用いてブレードを取り付ける方法もあるが、これにも大型のクレーンが必要となるため、風力発電機の周辺に大きな作業ヤードを確保する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する回転体設置方法は、ブレード取付口が形成されたハブと前記ブレード取付口に取り付けられるブレードとを有する回転体をタワー部分の頂部に設置する回転体設置方法であって、前記ブレードが取り付けられる前に、前記ハブをナセルの先端に取り付けるとともに前記タワー部分の頂部において前記ナセルを所定の角度まで回転させるステップと、前記タワー部分の周囲に設けられたガイドタワーに沿って積載作業位置と取付作業位置との間を上下方向に昇降移動可能に構成され、前記ガイドタワーに対して第1水平方向に進退移動可能なステージと、前記ステージ上を第2水平方向に移動可能に構成され、前記ブレードを支持可能なブレード支持装置と、を備えたブレードリフトアップ装置を設置するステップと、取付対象となる前記ブレード取付口が前記ステージの前記取付作業位置を向くように前記ハブを回転させるステップと、前記ブレードを積載した前記ステージを前記取付作業位置に配置するステップと、前記ステージの前記第1水平方向での進退移動と、前記ブレード支持装置の前記第2水平方向での移動とを用いて、前記取付対象に対する前記ブレードの位置調整を行うステップと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、風力発電機の周囲に大きな作業ヤードを確保することなく回転体を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】風力発電機の一例を模式的に示す正面図である。
図2】回転体設置方法の一実施形態の手順を示すフローチャートである。
図3】ナセルが取り付けられた状態の一例を模式的に示す斜視図である。
図4】ナセル回転工程が終了した状態を模式的に示す斜視図である。
図5】ブレードリフトアップ装置の一実施形態を模式的に示す斜視図であって、積載作業位置にあるステージにおいてブレードが仮置きされた状態を示す斜視図である。
図6】ハブにブレードが取り付けられる様子の一例を模式的に示す斜視図である。
図7】取付対象となるブレード取付口を変更するためにハブを回転させた様子を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図7を参照して、回転体設置方法およびブレードリフトアップ装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、風力発電機10は、タワー部分11、ナセル13、および、回転体12を有する。タワー部分11は、風力発電機10が設置される基礎の上に設置される。ナセル13は、タワー部分11の中心軸を回転中心として回転可能にタワー部分11の頂部に取り付けられる。ナセル13の内部には、電動発電機などが収納されている。ナセル13には、回転体12が取り付けられる。回転体12は、ナセル13の先端に取り付けられるハブ15とハブ15に取り付けられるブレード14とを有する。ハブ15は、電動発電機の回転軸を回転中心として回転可能に構成されている。ブレード14は、ハブ15の回転軸周りに所定の間隔で取り付けられている。
【0009】
(回転体設置方法)
図2に示すように、回転体12は、タワー部分11が構築されたのち、ナセル取付工程(ステップS101)、ナセル回転工程(ステップS102)、ブレード取付工程(ステップS103)を経て設置される。ナセル取付工程(ステップS101)は、タワー部分11の構築に用いられたリフトアップ装置を用いて行われる。
【0010】
(リフトアップ装置)
図3に示すように、リフトアップ装置20は、ガイドタワー21とガイドタワー21に沿って昇降可能な昇降装置22とを有する。
【0011】
ガイドタワー21は、風力発電機10が設置される基礎の上に設置される。ガイドタワー21は、風力発電機10のタワー部分11を周囲に立設される支柱23を備える。各支柱23は、四角柱形状を成すトラス構造により構成される。各支柱23は、隣接する支柱23との間に梁24やトラス梁(図示せず)によって連結される。
【0012】
昇降装置22は、昇降フレーム部25と吊下装置26とを有する。
昇降フレーム部25は、一対の上段水平フレーム27、垂直フレーム28、および、一対の下段水平フレーム29を有している。
【0013】
上段水平フレーム27は、ガイドタワー21の外周部に取り付けられている。上段水平フレーム27は、第1水平方向H1に沿って延びている。上段水平フレーム27は、第1水平方向H1におけるガイドタワー21の両側へ突出するように設けられている。各上段水平フレーム27の上面部には、吊下装置26を移動可能に支持するガイドレール31が設けられている。
【0014】
垂直フレーム28は、各支柱23に沿うように上段水平フレーム27から下方に延びている。垂直フレーム28の一部には、昇降装置22を昇降させるための昇降機(図示せず)が取り付けられている。垂直フレーム28の下端部には、下段水平フレーム29が連結されている。
【0015】
下段水平フレーム29は、ガイドタワー21の外周部に取り付けられている。下段水平フレーム29は、第1水平方向H1における一方側に突出するように延びている。下段水平フレーム29には、重量バランスをとるカウンター装置32が設置されている。これらの水平フレーム27,29と垂直フレーム28は、各所において、図示されない補強フレームによって補強されている。
【0016】
吊下装置26は、門型フレーム35、連結フレーム36、および、吊り下げ部37を有する。門型フレーム35は、各上段水平フレーム27に対し、ガイドレール31に沿って移動可能に取り付けられている。連結フレーム36は、門型フレーム35の上部を連結している。吊り下げ部37は、連結フレーム36に沿って移動可能に取り付けられている。吊り下げ部37は、玉掛けのためのフックや吊り替え機構、チェーンブロックなどで構成される。吊下装置26は、ガイドレール31に沿って門型フレーム35を移動させることにより、吊り下げ部37をタワー部分11の直上領域へと配置可能に構成されている。
【0017】
こうした構成のリフトアップ装置20は、地上部分において各種部材を吊り下げ部37に吊下させたのちに昇降フレーム部25を上昇させることで各種部材を上方へと運搬する。そして、ガイドレール31に沿った吊下装置26の移動や連結フレーム36に沿った吊り下げ部37の移動を利用して、タワー部分11の構築やタワー部分11の頂部へのナセル13の取付が行われる。ナセル13の正面部分には、ハブ15が設けられている。本実施形態のハブ15には、ハブ15の回転軸周りに3つのブレード取付口41が等間隔で設けられている。
【0018】
(ナセル回転工程)
図4に示すように、ナセル回転工程(ステップS102)では、ナセル13の正面方向が、第1水平方向H1に対して角度θだけ傾斜する第2水平方向H2となるようにナセル13を回転させる。すなわち、ハブ15が第2水平方向H2を向くようにナセル13を回転させる。第1水平方向H1と第2水平方向H2とがなす角度θは、90度以下である。この第2水平方向H2の詳細については後述する。
【0019】
(ブレードリフトアップ装置)
ブレード取付工程(ステップS103)は、ブレード取付用のリフトアップ装置であるブレードリフトアップ装置を利用して行われる。
【0020】
図5に示すように、ブレードリフトアップ装置50は、ガイドタワー21に沿って昇降可能に構成されている。ブレードリフトアップ装置50は、昇降フレーム部51、ステージ52、および、ブレード支持装置53を有する。
【0021】
昇降フレーム部51は、一対の上段水平フレーム55、垂直フレーム56、および、一対の下段水平フレーム58を有する。
上段水平フレーム55は、ガイドタワー21の外周部に取り付けられている。上段水平フレーム55は、第1水平方向H1に沿って延びている。上段水平フレーム55は、第1水平方向H1における一方側に向かってガイドタワー21から突出するように設けられている。各上段水平フレーム55の上面部には、ステージ52を移動可能に支持するステージガイドレール57が設けられている。
【0022】
垂直フレーム56は、各支柱23に沿うように設けられている。垂直フレーム56の一部には、ブレードリフトアップ装置50を昇降させるための昇降機(図示せず)が取り付けられている。ステージ52側に位置する垂直フレーム56は、上段水平フレーム55から下方に延びている。各垂直フレーム56の下端部は、下段水平フレーム58によって連結されている。
【0023】
下段水平フレーム58は、第1水平方向H1におけるステージ52の反対側の領域まで延びている。下段水平フレーム58には、重量バランスをとるカウンター装置59が設置されている。ブレードリフトアップ装置50においては、カウンター装置59の上方の領域、換言すれば、ガイドタワー21に対するステージ52の反対側が開放領域となっている。上段水平フレーム55、垂直フレーム56、および、下段水平フレーム58は、各所に配設された補強フレーム60によって補強されている。
【0024】
ステージ52は、一対の上段水平フレーム55に架設されている。ステージ52は、昇降フレーム部51の昇降により、地上部分においてブレード14の積載作業が行われる積載作業位置とタワー部分11の頂部においてブレード14の取付作業が行われる取付作業位置との間を昇降移動する。ステージ52は、ステージガイドレール57に沿って第1水平方向H1に移動可能に構成されている。すなわち、ステージ52は、タワー部分11に対して第1水平方向に沿って進退移動可能に構成されている。ステージ52には、第1水平方向H1における両端部に一対のガイドレール62が設けられている。
【0025】
一対のガイドレール62は、第2水平方向H2に延びているとともに第2水平方向H2に直交する第3水平方向H3において対向するように配置されている。一対のガイドレール62は、第2水平方向H2に移動可能にブレード支持装置53を支持している。すなわち、上述したナセル回転工程では、このブレード支持装置53の移動方向と平行な方向をハブ15が向くようにナセル13を回転させる。
【0026】
ステージ52には、一対のガイドレール62の外側に、一対の仮置き材65が立設されている。各仮置き材65は、第2水平方向H2で対向する一対の規制材66と一対の規制材66を連結する連結材67とを有して上方が開放された形状に形成されている。一対の仮置き材65には、クレーンなどを用いて、ブレード14が架設されるように、また、第3水平方向H3における両側へはみ出すようにブレード14が仮置きされる。仮置き材65は、ステージ52の上面よりもやや高い位置でブレード14を支持するとともにそのブレード14の第2水平方向H2における過度な移動を規制するように形成されている。
【0027】
ブレード支持装置53は、枠体75とブレード支持機76とを有する。
枠体75は、一対のガイドレール62に沿って第2水平方向H2に移動可能に構成されている。枠体75は、第2水平方向H2における移動によってブレード14の出し入れが可能となるように、第2水平方向H2における一方の側面および第3水平方向H3における両側面が開放されている。
【0028】
枠体75は、下部フレーム体77、上部フレーム体78、および、側部フレーム体79を有する。
下部フレーム体77は、一対のガイドレール62に架設されている。上部フレーム体78は、下部フレーム体77に対して上方から対向するように配置されている。上部フレーム体78には、ブレード支持機76であるチェーンブロックが設けられている。側部フレーム体79は、第2水平方向H2における他方の側面部において、下部フレーム体77と上部フレーム体78とを連結している。なお、ブレード支持機76は、ブレード14を支持するとともにそのブレード14を上下方向に移動させることができるものであればよい。例えば、ブレード支持機76は、下部フレーム体77に取り付けられてブレード14を下側から支持する油圧ジャッキなどであってもよい。
【0029】
なお、ブレード支持装置53の移動領域のうち、一対の仮置き材65で囲まれる領域をブレード14の支持が可能な支持領域、それ以外の領域を退避領域という。また、昇降フレーム部51やカウンター装置59は、リフトアップ装置20の構成部材を流用して構成されてもよい。
【0030】
こうした構成のブレードリフトアップ装置50においては、ステージ52の第1水平方向H1に沿った進退移動とブレード14を支持しているブレード支持装置53の第2水平方向H2に沿った移動とを組み合わせることによって、ブレード14の位置調整を行うことができる。
【0031】
また、ブレードリフトアップ装置50において、ステージ52の形状や移動範囲、第2水平方向H2は、ナセル13の回転中心からハブ15までの距離やブレード14の形状を考慮して設定される。具体的に、それらは、ステージ52にブレード14を積載してもブレード支持装置53の退避領域が確保されるとともに、積載されたブレード14が上面視において一対の上段水平フレーム55の間で支持されるように設定される。
【0032】
(ブレード取付工程)
ブレード取付工程(ステップS103)においては、まず、取付対象となるブレード取付口41がステージ52の取付作業位置を向くようにハブ15を回転させる(図2参照)。ハブ15の回転は、ナセル13に収納された電動モーターなどに電力を供給することにより行われる。
【0033】
次に、ブレードリフトアップ装置50を用いて地上部分からタワー部分11頂部へとブレード14を運搬する。
図5に示すように、地上部分からブレード14を運搬する際には、ステージ52が積載作業位置にあり、かつ、ブレード支持装置53が退避領域にあるときに、クレーンなどを用いて仮置き材65にブレード14を仮置きする。このとき、ブレード14は、その基端部が取付対象となるブレード取付口41の下方に位置するように仮置きされる。
【0034】
次に、ブレード支持装置53を支持領域へと移動させたのち、ブレード支持機76でブレード14を支持する。そして、昇降フレーム部51を上昇させることにより、タワー部分11の頂部へとブレード14を運搬する。
【0035】
図6に示すように、取付作業位置までステージ52が移動してタワー部分11の頂部にブレード14が運搬されると、第1水平方向H1におけるステージ52の進退移動と第2水平方向H2におけるブレード支持装置53の移動とを組み合わせてブレード取付口41に対するブレード14の基端部の位置調整を行う。そして、ブレード取付口41にブレード14の基端部を連結することにより、ハブ15にブレード14が取り付けられる。取付対象のブレード取付口41にブレード14が取り付けられると、ブレード支持装置53を退避領域へ移動させたのちステージ52を積載作業位置まで降下させる。
【0036】
そして、図7に示すように、ブレード取付口41の間隔の分だけハブ15を回転させる。これにより、次の取付対象となるブレード取付口41がステージ52の取付作業位置を向くように配置される。このとき、取り付けられたブレード14がハブ15の下側を通るようにハブ15を回転させることが好ましい。
【0037】
以後、タワー部分11の頂部へのブレード14の運搬、ブレード14の位置調整、ブレード取付口41へのブレード14の取付、ハブ15の回転、これらが繰り返されることにより、ハブ15に対して全てのブレード14が取り付けられる。
【0038】
(作用)
ブレードリフトアップ装置50においては、ステージ52の反対側の領域が開放されるように昇降フレーム部51が構成されているため、取付後のブレード14と昇降フレーム部51との干渉が回避される。
【0039】
本実施形態の効果について説明する。
(1)上述した回転体設置方法によれば、ステージ52にブレード14を載置する際に必要となるクレーンが小型のものですむ。そのため、風力発電機10の周囲に大きな作業ヤードを確保することなく回転体12を設置することができる。
【0040】
(2)上述した回転体設置方法においては、ナセル回転工程においてハブ15が第2水平方向を向くようにナセル13を回転させた。これにより、取付作業時、第2水平方向におけるブレード14の位置調整をブレード支持装置53の移動だけで行うことができる。
【0041】
(3)ステージ52上においては、規制材66によって第2水平方向H2におけるブレード14の過度な移動が規制される。これにより、運搬時および取付作業時における安全性を高めることができる。
【0042】
(4)ブレード支持機76は、ブレード14を上下方向に移動可能に支持している。これにより、取付作業時、ステージ52の上下移動を用いることなくブレード14を上下移動させることができる。
【0043】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ステージ52には、例えばブレード支持装置53が高い安定性のもとでブレード14を支持できる場合やブレード支持装置53に規制材が設けられている場合には、規制材66が設けられていなくともよい。
【0044】
・ブレード支持装置53は、ブレード支持機76に取り付けた吊り替え装置によりブレード14を吊り下げる構成であってもよい。こうした構成によれば、ブレードの取付に関する作業性を高めることができる。
【0045】
・ナセル回転工程では、ハブ15の向く方向が第2水平方向H2に近くなるようにナセル13を回転させればよく、ハブ15の向く方向と第2水平方向H2とが異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…風力発電機、11…タワー部分、12…回転体、13…ナセル、14…ブレード、15…ハブ、20…リフトアップ装置、21…ガイドタワー、22…昇降装置、23…支柱、24…梁、25…昇降フレーム部、26…吊下装置、27…上段水平フレーム、28…垂直フレーム、29…下段水平フレーム、31…ガイドレール、32…カウンター装置、35…門型フレーム、36…連結フレーム、37…吊り下げ部、41…ブレード取付口、50…ブレードリフトアップ装置、51…昇降フレーム部、52…ステージ、53…ブレード支持装置、55…上段水平フレーム、56…垂直フレーム、57…ステージガイドレール、58…下段水平フレーム、59…カウンター装置、60…補強フレーム、62…ガイドレール、65…仮置き材、66…規制材、67…連結材、75…枠体、76…ブレード支持機、77…下部フレーム体、78…上部フレーム体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ブレード取付口が形成されたハブと前記ブレード取付口に取り付けられるブレードとを有する回転体をタワー部分の頂部に設置する回転体設置方法であって、
前記ブレードが取り付けられる前に、前記ハブをナセルの先端に取り付けるとともに前記タワー部分の頂部において前記ナセルを所定の角度まで回転させるステップと、
前記タワー部分の周囲に設けられたガイドタワーに沿って積載作業位置と取付作業位置との間を上下方向に昇降移動可能に構成され、前記ガイドタワーに対して第1水平方向に進退移動可能なステージと、前記ステージ上を前記第1水平方向に斜交する第2水平方向に移動可能に構成され、前記ブレードを支持可能なブレード支持装置と、を備えたブレードリフトアップ装置を設置するステップと、
取付対象となる前記ブレード取付口が前記ステージの前記取付作業位置を向くように前記ハブを回転させるステップと、
前記ブレードを積載した前記ステージを前記取付作業位置に配置するステップと、
前記ステージの前記第1水平方向での進退移動と、前記ブレード支持装置の前記第2水平方向での移動とを用いて、前記取付対象に対する前記ブレードの位置調整を行うステップと、を備える
回転体設置方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
タワー部分の頂部へブレードをリフトアップするブレードリフトアップ装置であって、
前記タワー部分の周囲に設けられたガイドタワーに沿って積載作業位置と取付作業位置との間を上下方向に昇降移動可能に構成され、前記ガイドタワーに対して第1水平方向に進退移動可能なステージと、
前記ステージ上を前記第1水平方向に斜交する第2水平方向に移動可能に構成され、前記ブレードを支持可能なブレード支持装置と、を備える
ブレードリフトアップ装置。