(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058062
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】開口部装置
(51)【国際特許分類】
E06B 3/58 20060101AFI20240418BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20240418BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
E06B3/58 B
E06B1/32
E06B1/18 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165183
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 寿志
【テーマコード(参考)】
2E011
2E016
【Fターム(参考)】
2E011CA05
2E011CB01
2E011CC01
2E016AA04
2E016BA06
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016DA01
2E016DB08
2E016DC02
2E016DD07
2E016DE00
(57)【要約】
【課題】建物の開口部に配置される開口部装置に対して、強度を向上させる。
【解決手段】開口部に固定される金属枠材と、金属枠材の屋内側内周に固定される樹脂枠材と、樹脂製の押縁を備え、金属枠材は、内周面に押縁係合部を有しており、押縁は、外周側に係合部を有し、パネルと樹脂枠材との間に内周側から挿入されて、係合部を金属枠材の押縁係合部に係合して取り付けられており、押縁の屋内側を内外周方向の領域において樹脂枠材で支持している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に固定される金属枠材と、金属枠材の屋内側内周に固定される樹脂枠材と、樹脂製の押縁を備え、
金属枠材は、内周面に押縁係合部を有しており、
押縁は、外周側に係合部を有し、パネルと樹脂枠材との間に内周側から挿入されて、係合部を金属枠材の押縁係合部に係合して取り付けられており、
押縁の屋内側を内外周方向の領域において樹脂枠材で支持している
開口部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の開口部に配置される開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に配置される開口部装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の開口部に配置される開口部装置に対して、強度を向上させることが求められている。
【0005】
本発明は、建物の開口部に配置される開口部装置に対して、強度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、開口部に固定される金属枠材と、金属枠材の屋内側内周に固定される樹脂枠材と、樹脂製の押縁を備え、金属枠材は、内周面に押縁係合部を有しており、押縁は、外周側に係合部を有し、パネルと樹脂枠材との間に内周側から挿入されて、係合部を金属枠材の押縁係合部に係合して取り付けられており、押縁の屋内側を内外周方向の領域において樹脂枠材で支持している開口部装置である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、建物の開口部に配置される開口部装置に対して、強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】一実施形態の開口部装置の組み立てを説明するための横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の開口部装置として、建物の開口部(以下、単に「開口部」という。)の内周に取り付けられたFIX窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
本実施形態のFIX窓は、
図1に示すように、上枠11,下枠12及び左右の縦枠13,13を四周に組んでなる枠体の内周に複層ガラス等のパネル15を備えている。
【0010】
枠体を構成する上枠11は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図2に示すように、開口部に固定される金属上枠111と、金属上枠(金属枠材)111の屋内側内周に固定される樹脂上枠(樹脂枠材)112と、樹脂製の押縁113を備えている。
【0011】
上枠11を構成する金属上枠111は、屋外側外周に中空部を有して開口部の内周面に配置される本体部111aと、本体部111aの屋内側端に連続する見付壁部111bと、本体部111aの屋外側から内周方向(下方)に延びるパネル間口壁部111cを有している。
【0012】
金属上枠111は、本体部111aの屋内側の内周面から内周方向に係合壁部111dが延設されており、係合壁部111dの屋内側面及び屋外側面にそれぞれ屋内側及び屋外側に突出する突出片111h,111iが設けられている。
【0013】
金属上枠111は、見付壁部111bの内周端が屋外側に屈曲して係合片111gが設けられており、係合壁部111dの屋内側の突出片111hと係合片111gによって、屋内側の内周面に樹脂枠材係合部111eが形成されている。
【0014】
金属上枠111は、係合壁部111dよりも屋外側に内周方向に突出する係合片111jが設けられており、係合壁部111dの屋外側の突出片111iと係合片111jによって、樹脂枠材係合部111eよりも屋外側の内周面に押縁係合部111fが形成されている。
【0015】
上枠11を構成する樹脂上枠112は、屋内側にアングル部が連続する本体部112aと、本体部112aの外周側から外周方向に延びる一組の係合片112c、112dからなる係合部112bを有している。
【0016】
樹脂上枠112は、係合部112bを金属上枠111の樹脂枠材係合部111eに係合して金属上枠111の屋内側内周に取り付けられている。
【0017】
上枠11を構成する押縁113は、中空部を有する本体部113aと、本体部113aの外周側から外周方向に延びる一組の係合片113c、113dからなる係合部113bを有している。
【0018】
押縁113は、本体部113aの屋内側の外周を樹脂上枠112の本体部112aの屋外側内周面に当接させ、係合部112bを金属上枠111の押縁係合部111fに係合して金属上枠111の内周に取り付けられている。
【0019】
上枠11は、金属上枠111のパネル間口壁部111cと押縁113によって、パネル間口11aが形成されている。
先付ビードである屋外側のシール材s12が取り付けられた上枠11にパネル15が嵌め込まれ、押縁113が挿入された後、後付けビードである屋内側のシール材s11がパネル体15と押縁113との間に押し込まれてパネル15の上端部を保持している。
【0020】
枠体を構成する下枠12は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図2に示すように、開口部に固定される金属下枠(金属枠材)121と、金属下枠121の屋内側内周に固定される樹脂下枠(樹脂枠材)122と、樹脂製の押縁123を備えている。
なお、下枠12は、上枠11と同様の構成を有しているので、ここでは、上枠11と相違する構成について説明し、同様の構成についての説明は一部省略する。
【0021】
下枠12を構成する金属下枠121は、屋外側外周に中空部を有して開口部の内周面に配置される本体部121aと、本体部121aの屋内側端に連続する見付壁部121bと、本体部121aの屋外側から内周方向(下方)に延びるパネル間口壁部121cを有している。
【0022】
下枠12は、金属下枠121のパネル間口壁部121cと押縁123によって、パネル間口12aが形成されており、パネル間口12a内にセッティングブロック125が配置されている。
先付ビードである屋外側のシール材s22が取り付けられた下枠12にパネル15が嵌め込まれてセッティングブロック125上に載置され、押縁123が挿入された後、後付けビードである屋内側のシール材s21がパネル体15と押縁123との間に押し込まれてパネル15の下端縁を保持している。
【0023】
枠体を構成する左右の縦枠13は、
図3に示すように、アルミ合金等の金属材料からなり、開口部に固定される金属縦枠(金属枠材)131と、金属縦枠131の屋内側内周に固定される樹脂縦枠(樹脂枠材)132と、樹脂製の押縁133を備えている。
なお、縦枠13は、左右で同様の構成を有しているので、ここでは、左の縦枠13を用いて説明する。
【0024】
縦枠13を構成する金属縦枠131は、開口部の内周面に配置される本体部131aと、本体部131aの屋内側端に連続する見付壁部131bと、本体部131aの屋外側から内周方向に延びるパネル間口壁部131cを有している。
【0025】
金属縦枠131は、本体部131aの屋内側の内周面から内周方向に係合壁部131dが延設されており、係合壁部131dの屋内側面及び屋外側面にそれぞれ屋内側及び屋外側に突出する突出片131h,131iが設けられている。
【0026】
金属縦枠131は、見付壁部131bの内周端が屋外側に屈曲して係合片131gが設けられており、係合壁部131dの屋内側の突出片131hと係合片131gによって、屋内側の内周面に樹脂枠材係合部131eが形成されている。
【0027】
金属縦枠131は、係合壁部131dの屋外側に内周方向に突出する係合片131jが設けられており、係合壁部131dの屋外側の突出片131iと係合片131jによって、樹脂枠材係合部131eよりも屋外側の内周面に押縁係合部131fが形成されている。
【0028】
縦枠13を構成する樹脂縦枠132は、中空部を有し中空部の内周壁が屋内側に延びてアングル部を形成している本体部132aと、本体部132aの外周側から外周方向に延びる一組の係合片132c、132dからなる係合部132bを有している。
【0029】
樹脂縦枠132は、係合部132bを金属縦枠131の樹脂枠材係合部131eに係合して金属縦枠131の屋内側内周に取り付けられている。
【0030】
縦枠13を構成する押縁133は、中空部を有する本体部133aと、本体部133aの外周側から外周方向に延びる一組の係合片133c、133dからなる係合部133bを有している。
【0031】
押縁133は、樹脂縦枠132の屋外側において、係合部132bを金属縦枠131の押縁係合部131fに係合して金属縦枠131の内周に取り付けられている。
【0032】
縦枠13は、金属縦枠131のパネル間口壁部131cと押縁133によって、パネル間口13aを形成されている。
先付ビードである屋外側のシール材s32が取り付けられた縦枠13にパネル15は嵌め込まれて、押縁133が挿入された後、後付けビードである屋内側のシール材s31がパネル体15と押縁133との間に押し込まれてパネル15の左右の端縁部を保持している。
なお、縦枠13のパネル間口13a内には、必要に応じて、出没式のガラス敷板6を配置してもよい。
【0033】
なお、シール材としての後付けビードは、上枠、下枠及び縦枠に取り付けられる各ビードを連続した長いビードによって形成して、各枠材の押縁が挿入された後に、四周に亘って押し込まれて取付けてもよいし、複数のビードにより形成して枠材毎に押し込まれて取り付けられてもよい。同様に、先付けビードについても、各ビードを連続した長いビードによって形成してもよいし、複数のビードにより形成してもよい。
【0034】
以上に説明した本実施形態のFIX窓は、パネル15を横ケンドンによって枠体内に配置することを想定しており、各金属枠材の内周に各樹脂枠材を取り付けた状態の枠体に対してパネル15が横ケンドンにより嵌め込まれ、その後、各押縁を装着してFIX窓が形成される。
なお、パネル間口13a内に出没式のガラス敷板6を配置した場合には、横ケンドン時にはガラス敷板6を金属縦枠131の屋内側に収納させ、パネル15が嵌め込まれた後にガラス敷板6をパネル間口13a内に突出させることで、横ケンドンを可能にしている。
【0035】
横ケンドンによるパネル15の嵌め込みのために、本実施形態のFIX窓は、上枠11の樹脂上枠112と下枠12の樹脂下枠122がパネル15の高さ寸法以上の間隔があけられて配置されており、パネル15を枠体内に挿入した後に、押縁113,123が樹脂上枠112及び樹脂下枠122の内周に突出するように取り付けられてパネル15を保持している。
【0036】
一方、本実施形態のFIX窓は、左右の縦枠13,13がパネル15の幅寸法よりも若干小さな寸法の間隔があけられて配置されており、横ケンドンによりパネル15を枠体内に挿入した後に、押縁133,133がパネル15と樹脂縦枠132との間に挿入するように取り付けられてパネル15を支持している。
【0037】
パネル15と樹脂縦枠132との間に挿入されて取り付けられた押縁133は、本体部133aの屋外側でパネル15を保持するとともに、本体部133aの屋内側面が樹脂縦枠132の本体部132aの屋外側面に内外周方向に亘る領域において支持されている。
【0038】
なお、本実施形態のFIX窓において、押縁133の屋内側が樹脂縦枠132によって支持されている状態とは、押縁133が外力によって外れそうになったり、外れたり、破損したりすることを樹脂縦枠132が押縁133の屋内側に当接することで抑制している状態を意味する。
【0039】
例えば、押縁133を挿入して取り付けることで押縁133の屋内側面が樹脂縦枠132の屋外側面に当接して納まる状態は当然のこと、押縁133を取り付け後に後付けビードを押し込むことによって押縁133の屋内側面が樹脂縦枠132の屋外側面に当接する状態や、使用状態においてパネル25に風等によって正圧がかかった時に押縁133の屋内側面が樹脂縦枠132の屋外側面に当接する状態等がある。
【0040】
また、本実施形態のFIX窓は、樹脂縦枠132の本体部の屋外側面に、押縁133を挿入して取り付ける際に、押縁133の屋内側の係合片133cを金属縦枠131の押縁係合部131fに導くガイド部132eが設けられている。
【0041】
樹脂縦枠132のガイド部132eは、
図4(a)に示すように、本体部132aの屋外側面から外周側に向かって曲面を描きながら屋外側に延びる湾曲面を有しており、ガイド部132eの湾曲面の先端は、金属縦枠131の押縁係合部131fを形成する係合壁部131dの内周端部に近接している。
【0042】
縦枠13の押縁133は、パネル15が配置された縦枠13のパネル15と樹脂縦枠132との間に内周側からまっすぐに挿入することで、押縁133の一組の係合片133c,133dが金属縦枠131の押縁係合部131fに真っすぐに押し込まれ、弾性変形して係合される。
しかし、パネル15と樹脂縦枠132との間には後付けされるシール材s31を押し込む分の余裕があり、
図4(b)に示すように、押縁133が真っすぐに挿入されずに、押縁133の係合片(係合部)132cが金属縦枠131の係合壁部131dの屋内側に嵌り込んでうまく係合できない恐れがある。
【0043】
それに対して、本実施形態FIX窓は、樹脂縦枠132にガイド部132eが形成されているために、パネル15が配置された縦枠13のパネル15と樹脂縦枠132との間に押縁133が真っすぐに挿入されなくても、押縁133の係合片133cの先端が樹脂縦枠132のガイド部132eの湾曲面に当接し、押縁133の挿入に伴って押縁133の係合片133cが湾曲面に沿って金属縦枠131の押縁係合部131fの屋外側に導かれて、押縁133の係合部133bが金属縦枠131の係合部131fに確実に係合される。
【0044】
(本実施形態の開口部装置の効果)
本実施形態の開口部装置は、パネルを保持する樹脂製の押縁がパネルと樹脂枠材との間に挿入されて取り付けられ、樹脂縦枠132の屋外側に押縁133を配置しているので、縦枠13がすっきりして意匠性に優れ、押縁133の屋内側を樹脂縦枠132によって内外周方向に亘る領域において支持することで、風などによりパネル15に係る外圧を押縁と樹脂枠材で受けることができ、押縁の取付強度及びパネルの支持強度を向上させることができる。
【0045】
本実施形態の開口部装置は、押縁の屋内側で金属枠材の内周面に樹脂枠材が取付けられることで、断熱性を向上することができる。
また、本実施形態の開口部装置は、樹脂枠材の屋外側面に押縁を挿入する際に押縁の係合部に当接して金属枠材の押縁係合部に案内するガイド部が設けられているので、パネルと樹脂枠材との間に押縁を取り付けるような係合部が見えにくい状態であっても、押縁133の係合片(係合部)132cが金属縦枠131の係合壁部131dの屋内側に嵌り込むことがなく、正しい形での取付を容易にして施工性を向上させることができる。
【0046】
本実施形態の開口部装置は、押縁とパネルとの間のシール材として後付けビードを採用しているので、パネルの反対側に樹脂枠材が存在し、押縁をパネルと樹脂枠材との間に挿入して取り付ける構成であっても、スムーズな施工を可能にしている。
【0047】
-他の実施形態-
本実施形態のFIX窓は、縦枠の樹脂枠材の屋外側に押縁が挿入され、樹脂枠材にガイド部が設けられているが、想定するケンドンによっては縦枠と横枠の構成を入れ替えてもよく、ガイド部を設ける樹脂枠材は、縦枠に限らず、上枠及び下枠にガイド部を設けてもよい。
【0048】
本実施形態のFIX窓は、縦枠の押縁が金属縦枠に取り付けられた状態で押縁の内周面と樹脂縦枠の内周面とがほぼ面一となるように形成されているが、縦枠の押縁の内周面は樹脂縦枠の内周面よりも内周側もしくは外周側に位置するように形成されてもよい。
【0049】
本実施形態のFIX窓は、樹脂縦枠の屋外側面に平面部分を有しており、押縁の屋内側を内外周方向の領域において樹脂枠材の屋外側面の全体もしくはその一部で支持しているが、内外周方向の領域は面領域でなくてもよく、例えば、樹脂縦枠の屋外側に内外周方向に延びる複数のリブ等を設け、該複数のリブの内外周方向の領域において、押縁の屋内側を支持するものであってもよい。
【0050】
本実施形態のFIX窓は、パネルを保持するシール材を先付けビード及び後付けビードによって形成しているが、先付けビード及び後付けビードのパネルとの当接面に剥離層を形成するなどして、先付けビード及び後付けビードの厚みを調節できるようにしてもよく、それにより、厚みの異なるパネルに対応可能とすることができる。
なお、シール材は、先付けビード及び後付けビードに限定されない。
【0051】
開口部装置は、FIX窓に限定されるものではなく、金属枠材、樹脂枠材及び押縁からなる構成を障子の框材の構成としても採用してもよい。
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
13 :縦枠
131 :金属縦枠
131f :押縁係合部
132 :樹脂縦枠
132e :ガイド部
133 :押縁
133b :係合部
15 :パネル