(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058065
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】入力表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240418BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240418BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20240418BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20240418BHJP
【FI】
G06F3/041 520
G06F3/044 120
G06F3/0362 461
G06F3/04847
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165189
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】天野 崇
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087AB02
5B087AC02
5B087CC39
5B087DD03
5B087DE03
5E555AA04
5E555AA08
5E555AA26
5E555AA28
5E555AA76
5E555BA23
5E555BA25
5E555BB23
5E555BB25
5E555BC13
5E555BE10
5E555CA04
5E555CA12
5E555CB19
5E555CB53
5E555CB55
5E555CC05
5E555DB18
5E555DB60
5E555DC11
5E555DC13
5E555DD11
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】立体的な操作部への意図しない回転の検出を防止することができる入力表示装置を提供する。
【解決手段】入力表示装置100は、画像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110上に取付けられ、表面に少なくとも1つの立体UI部(ノブ)130と、を含む静電容量型のタッチパネル120と、タッチパネル120の静電容量を測定し、測定した静電容量に基づきタッチパネル120への操作を検出するタッチ検出部150と、タッチ検出部の測定結果に基づきタッチパネルへのタッチ操作や立体UI部への回転操作を検出する操作判定部160と、を有する。タッチ検出部は、立体UI部にタッチした指の座標の変化から立体UI部への回転を検出する。操作判定部は、指距離が減少しているときに検出された回転を有効と判定し、指距離が減少していないときに検出された回転を無効と判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するためのディスプレイと、
前記ディスプレイ上に取り付けられ、表面に少なくとも1つの立体的な操作部を含む静電容量型のタッチパネルと、
前記タッチパネルの静電容量を測定し、測定した静電容量に基づきタッチパネルへの操作を検出する検出手段とを有し、
前記検出手段は、前記操作部にタッチした指の座標位置の変化から前記操作部への回転を検出し、かつ、指とタッチパネル間の距離が減少しているときに検出された回転を有効と判定し、当該距離が減少していないときに検出された回転を無効と判定する、入力表示装置。
【請求項2】
前記検出手段は、測定された静電容量が増加しているときに検出された回転を有効と判定し、測定された静電容量が増加していないときに検出された回転を無効と判定する、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記操作部への回転を検出する前の静電容量と、当該回転を検出した後の静電容量とを比較し、静電容量の差が閾値以上である場合には当該検出した回転を有効と判定し、閾値以上でない場合には、当該検出した回転を無効と判定する、請求項2に記載の入力表示装置。
【請求項4】
入力表示装置はさらに、前記ディスプレイの前記操作部の周囲に、検出された回転量を表すゲージを表示させる表示手段を含む、請求項1に記載の入力表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記ディスプレイの前記操作部の対応する位置に、入力操作を表すアイコンを表示させる、請求項4に記載の入力表示装置。
【請求項6】
前記操作部は、円筒状のノブまたはつまみの形状を有する、請求項1に記載の入力表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人と機械とのインターフェース機能を備えた入力表示装置に関し、特に、立体形状の操作部を含む入力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイに重畳して配置されたタッチパネル上に凸部を設け、当該凸部と重なる位置に操作アイコン等の画像を表示する入力表示装置が開示されている(例えば、特許文献1)。ユーザーは、凸部をタッチ操作することで入力を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量型のタッチ操作を行うディスプレイ機器において、カバーガラスに凹凸形状を持たせることによりタッチ位置を触覚的に認知させ、注視せずともタッチ位置を理解することができるユーザーインタフェース(以降、立体UIと呼ぶ)の提案がなされている。
【0005】
図1(A)は、従来のフラットなタッチパネルの操作例であり、ユーザーUは、ディスプレイ10に表示された操作アイコン12を視認し、操作アイコン12(図の例は音符)の位置をタッチ操作することで入力を行う。
【0006】
図1(B)は、立体UIを有するタッチパネルの操作例、
図1(C)は、立体UIの概略断面図である。タッチパネル24上には、凹凸形状の透明なカバーレンズ26が取り付けられ、ディスプレイ20は、カバーレンズ26と重なる位置に操作アイコン22を表示する。ユーザーUは、カバーガラス26上に指をタッチすることで入力を行う。タッチ検出には、センサから距離が離れていても指の静電容量(距離)を検出することができる高感度静電センサが用いられ、厚みのあるカバーレンズ26の上からでもタッチの有無を判定することが可能である。これにより、運転中の車載ディスプレイへの注視が難しい状況下において、タッチミス(操作ミス)を低減することが可能である。
【0007】
立体UIの中には、円筒状のノブ(つまみ)もある。ノブへの操作は、ノブ側面を指腹で滑らせて回転操作するものであり、実際にはノブは回転しない。例えば、
図2(A)に示すように、ノブ30の操作に割り当てられた機能(例えば、ボリューム等)を表すアイコン40がノブ30の下方に表示され、また、ノブ30の周囲には、ノブ30への回転操作の回転量を示すゲージ(目盛り)50が表示される。
【0008】
ユーザーは、メカニカルスイッチのノブ・つまみと同様に、円筒状のノブ30を指Uでつまみ、次いで、
図2(B)に示すように、ノブ30の側面で指腹を滑らせて指Uを回転させる。ユーザーは、ゲージ50を参照し、さらに回転操作を行う場合には、
図2(C)に示すように、指Uを元の位置に戻し、再びノブ30の側面で指腹を滑らせて指Uを回転させる。ユーザーは、入力した回転量が目的の値になるまで、
図2(B)、
図2(C)の回転操作を繰り返す。
【0009】
しかしながら、単純にノブ側面のなぞり(滑り)を検出するアルゴリズムでは、
図2(B)から
図2(C)に指Uを移行する際、指Uをノブ側面から十分に離して元の位置に戻せばその操作は検出されないが、指Uの一部がノブ側面をかすってしまうだけでも逆回転が検出されてしまい、これが誤動作の原因となる。逆回転が検出されると、ノブへの回転操作を行っているにもかかわらず、ノブへの回転操作が逆方向に戻されてしまう。通常のメカニカルスイッチでは、ある程度力が加わらないと回転しないため、このような誤動作は生じにくい。
【0010】
ノブの逆回転の誤検出を防ぐためには、ユーザーは、
図2(C)の操作を行う際、その都度、指を十分にノブ側面から離してノブ側面をかすらないよう注意しなければならず、それ故、ノブの操作性が低減してしまう。こうした実情から、指先がノブ側面をかするような意図しない回転の検出を防ぐことが望まれる。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、立体的な操作部への意図しない回転の検出を防止することができる入力表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る入力表示装置は、画像を表示するためのディスプレイと、前記ディスプレイ上に取り付けられ、表面に少なくとも1つの立体的な操作部を含む静電容量型のタッチパネルと、前記タッチパネルの静電容量を測定し、測定した静電容量に基づきタッチパネルへの操作を検出する検出手段とを有し、前記検出手段は、前記操作部にタッチした指の座標位置の変化から前記操作部への回転を検出し、かつ、指とタッチパネル間の距離が減少しているときに検出された回転を有効と判定し、当該距離が減少していないときに検出された回転を無効と判定する。
【0013】
ある態様では、前記検出手段は、測定された静電容量が増加しているときに検出された回転を有効と判定し、測定された静電容量が増加していないときに検出された回転を無効と判定する。ある態様では、前記検出手段は、前記操作部への回転を検出する前の静電容量と、当該回転を検出した後の静電容量とを比較し、静電容量の差が閾値以上である場合には当該検出した回転を有効と判定し、閾値以上でない場合には、当該検出した回転を無効と判定する。ある態様では、入力表示装置はさらに、前記ディスプレイの前記操作部の周囲に、検出された回転量を表すゲージを表示させる表示手段を含む。ある態様では、前記表示手段は、前記ディスプレイの前記操作部の対応する位置に、入力操作を表すアイコンを表示させる。ある態様では、前記操作部は、円筒状のノブまたはつまみの形状を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、指とタッチパネル間の距離が減少しているときに検出された回転を有効と判定し、減少していないときに検出された回転を無効と判定するようにしたので、ユーザーの意図しない回転操作による誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(A)は、フラットなタッチパネルの操作例を示し、
図1(B)は、立体UIのタッチパネルの操作例を示し、
図1(C)は、立体UIの概略断面図である。
【
図2】従来の立体UIのノブの回転操作の課題を説明する図である。
【
図3】本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係る入力表示装置の発明概要を説明する図である。
【
図5】本発明の実施例に係る入力表示装置の動作を示すフローである。
【
図6】本発明の実施例に係るアルゴリズムを適用したときの回転操作の検出例と従来の回転操作の検出例とを示すテーブルである。
【
図7】本発明の実施例に係る入力表示装置の立体UI部の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の入力表示装置は、人と機械との間のインターフェースを提供する。本発明の入力表示装置は、特に限定されないが、例えば、タッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置などに適用される。タッチパネル付きディスプレイを搭載する電子装置は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ機能などを備えた車載装置である。
【実施例0017】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の実施例に係る入力表示装置の構成を示すブロック図である。本実施例の入力表示装置100は、画像や映像を表示するためのディスプレイ110と、ディスプレイ110上に搭載された静電容量型のタッチパネル120と、タッチパネル120の表面に取り付けられた1つまたは複数の立体形状を有する立体UI部(または操作部)130と、ディスプレイ110の画像表示やタッチパネル110のタッチ検出などを制御するコントローラ140を含んで構成される。
【0018】
ディスプレイ110は、特に限定されないが、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルを含み、コントローラ140から提供される画像データを表示する。例えば、立体UI部130の下方には、当該立体UI部130の入力操作を表すようなアイコンを表示する。
【0019】
タッチパネル120は、例えば、複数のX側およびY側の電極ラインが交差する位置に形成された複数の検出部(センサ)を含み、当該検出部は、ユーザーの指や手などがタッチパネル110に接近または接触したときに静電容量を変化させる。タッチパネル120は、ディスプレイ110上に搭載され、ユーザーがディスプレイ110に表示されたアイコン等への入力を行うための入力インターフェースを提供する。
【0020】
タッチパネル120は、透明なパネルの表面上にさらに、1つまたは複数の立体UI部(操作部)130を含む。
図3には、4つの立体UI部130がタッチパネル120の下方に取付けられた例が示されているが、立体UI部130の数や大きさは特に限定されない。立体UI部130は、ディスプレイ110に表示されたアイコンを視認することができるように透明な材料(例えば、アクリル、ポリカーボネート、ガラスなど)を用いて構成される。立体UI部130の底面は、例えば、両面接着剤などを用いてタッチパネル120の決められた位置に貼り付けられる。立体UI部130の取り付け位置や形状を示す情報は、コントローラ140に予め登録される。例えば、立体UI部130が円筒状であれば、その中心の座標と半径や高さが登録され、矩形状であれば、その対角線の交点の座標やコーナーの座標と高さなど登録される。
【0021】
本実施例では、立体UI部130は、ユーザーによって回転操作が可能な立体形状として、
図2に示すような円筒状のノブまたはつまみから構成される(以下、立体UI部としてノブ130ということがある)。ユーザーは、ノブ130への回転操作を行うとき、1つまたは複数の指でノブ130をつまみ、指腹でノブの側面を滑らせるような操作を行う。このような回転操作が行われるとき、先ず、ノブ130へのタッチ位置の座標が検出され、タッチ位置の座標の変化から指の回転角が検出される。
【0022】
次に、本実施例の入力表示装置100の発明概要について説明する。本実施例では、ノブ130の回転操作時の指からタッチパネルの検出部(センサ)までの距離(以下、指距離という)の変化に対応する静電容量の変化を検出することで、ユーザーの意図した回転か否かを判定し、ノブの逆回転の誤動作の検出を防止する。
【0023】
図4は、ノブの回転操作を5回行ったときの指距離(静電容量値)を示すグラフを示しており、図の上部には、回転操作の開始時の指距離Dと回転操作の終了時の指距離D1が示されている。グラフの縦軸は、静電容量の値、横軸は、回転操作の時間である。
【0024】
同グラフからも分かるように、ユーザーがノブ130を意図して回転させたとき、指距離が小さくなる現象が生じる。つまり、ノブ130に指をタッチして回転操作を開始するときの指距離Dは、回転操作とともに徐々に減少し、回転操作を終了するときの指距離D1(D>D1)に減少する。タッチパネル120のセンサ部の静電容量は、指距離が小さいほど、その値が大きくなる。それ故、同グラフに示すように、ノブ130の回転を開始するときの静電容量値は比較的小さく、その後、ノブ130の回転とともに静電容量値が大きくなる。このような指距離が減少する傾向は、左右のいずれの回転でも同様であり、また、右手左手でも同様に生じる。
【0025】
これに対し、指を元の位置に戻す操作(例えば、1回転目と2回転目との間)の際は、静電容量値が明らかに減少している。それ故、回転操作時の静電容量値の変化から、ユーザーが意図した回転操作か、あるいは、指を元の位置に戻すために指をかすめただけの意図しない回転操作であるかを判別することが可能である。このような指距離の現象は、ユーザーが多少なりとも力を込めながらノブを回すことにより、指がセンサ側にスライドする(滑り込む)ために生じると推測される。
【0026】
本実施例の回転操作の検出アルゴリズムは、上記の指距離の現象を利用し、回転操作期間中に静電容量が低下しているときの回転判定や回転検出を無視または無効とすることで、意図しない逆回転の検出を防止し、回転操作の検出精度の向上を図る。
【0027】
次に、コントローラ140の詳細について説明する。コントローラ140は、ディスプレイ110およびタッチパネル120に電気的に接続され、ディスプレイ110の画像制御およびタッチパネル120のタッチ制御を行う。コントローラ140は、立体UI部130の高さ、形状、位置、映像表示エリアなどのデータ保持し、表示エリア補正処理、タッチパネル120の出力値からタッチ検出や操作判定(タッチ座標検出、指距離/静電容量の大きさ検出)したり、それに応じて映像表示/映像切り替えの処理など、入力表示装置の処理全般を担う。コントローラ140の処理は、ハードウエアおよび/またはソフトウエアにより実行され、例えば、演算処理部、ROM/RAMを含むマイクロコントローラなどを用いて実行される。
【0028】
コントローラ140は、
図3に示すように、タッチ検出部150、操作判定部160、および表示制御部170を含んで構成される。タッチ検出部150は、タッチパネル120のX側および/またはY側の複数の電極ラインを駆動し、駆動した電極ラインの各検出部(センサ)の静電容量を測定し、測定結果を操作判定部160に提供する。
【0029】
操作判定部160は、タッチ検出部150の測定結果に基づきタッチパネル120へのタッチ操作や立体UI部130への回転操作を検出する。ここで言うタッチとは、ユーザーの指がタッチパネル120への接触のみならず、指がタッチパネル120から一定の距離に接近することを含む。例えば、ユーザーの指がタッチパネル120のフラットな表面に接触または接近したとき、操作判定部160は、対応する検出部の静電容量の変化に基づきタッチ操作があったと判定し、同様に、ユーザーの指が立体UI部130に接触または接近すると、立体UI部130に対応する検出部の静電容量が変化し、この静電容量の変化により立体UI部130へのタッチ操作があったと判定する。複数の指が立体UI部130に接触または接近された場合には、複数の指のタッチ操作(タッチ位置)が検出される。
【0030】
また、操作判定部160は、
図4に示すようなノブ130への指のタッチが検出された場合に、そのタッチ位置の座標の変化に基づきノブへの回転角または回転量を検出する。ノブへの回転操作を検出した場合には、操作判定部160はさらに、静電容量値の増減を検出し、その増減から意図した回転操作か否かを判定する。つまり、
図4で説明したように、指距離が接近したことに応じて静電容量が増加した場合には、意図した回転操作であると判定し、静電容量が減少した場合には、意図していない回転操作であると判定する。操作判定部160によってタッチ操作や回転操作が判定されると、コントローラ140は、当該入力を他の電子機器に提供したり、当該入力に応じた表示制御などを実行する。
【0031】
表示制御部170は、ディスプレイ110に画像や映像を表示させ、立体UI部130の対応する位置にはアイコンを表示させる。アイコンは、ユーザーの入力操作を表すデザインである。立体UI部130がノブであるとき、表示制御部170は、ノブの下方に、例えば、ボリュームの操作を表すアイコンさせ、さらにノブの周囲に、ノブへの回転操作により検出された回転角または回転量を表すゲージ(目盛り)を表示させる。また、表示制御部170は、操作判定部160によりタッチ操作や回転操作があったと判定されたことに応じてディスプレイ120に表示する画像を別な画像に切替えたりする。
【0032】
次に、本実施例の入力表示装置の動作例について
図5のフローを参照して説明する。タッチ検出部150は、一定の測定周期(例えば、80fps(フレーム/秒)でタッチパネル120のセンサ部の静電容量を測定し、この測定結果を操作判定部160に提供する。操作判定部160は、この測定結果からノブ130への指のタッチの有無を検出する(S100)。ノブ130の座標位置は、予め登録されており、操作判定部160は、指のタッチ位置がノブ130の座標位置またはその座標範囲に該当する場合には、ノブ130へのタッチであると判定する。複数の指がノブにタッチされた場合には、複数の指のタッチ位置が検出され、例えば、いずれか1つの指のタッチ位置がノブの座標位置または座標範囲に該当すれば、ノブへのタッチであると判定する。
【0033】
次に、操作判定部160は、ノブ130にタッチされた指の指距離を検出する(S110)。
図4の例で言えば、指距離Dの検出である。指距離の検出は、静電容量の値の大きさの検出である。次に、操作判定部160は、指距離が閾値以上であるか否かを判定する(S120)。ノブ130の高さは、予め登録されており、操作判定部160は、指距離がノブ130の高さよりも小さければ、指がノブ130に触れていると判定する。指距離が閾値以上の場合、操作判定部160は、検出した指距離をメモリに格納する(S130)。
【0034】
操作判定部160は、指がノブに触れていると判定した場合、タッチパネル120の測定周期毎に得られる静電容量を監視し、指のタッチ位置を示す座標の変化からノブへの指の回転角(以下、指角度という)を検出し、検出した指角度をメモリに格納する(S140)。指角度の検出は、静電容量の値が増加している期間内のタッチ位置の座標変化から算出される。
【0035】
次に、操作判定部160は、指角度が閾値以上か否かを判定する(S150)。つまり、ノブへの回転操作の回転量が一定以上(例えば、ノブへの回転量が15度以上)か否かを判定する。指角度が閾値以上であると判定した場合には、操作判定部160は、指角度を検出したときの静電容量の値から指距離を取得し、これをメモリの格納する(S160)。
図4の例で言えば、指距離D1の検出である。
【0036】
次に、操作判定部160は、指角度の検出前後の指距離を比較し、指距離が前回の取得値より閾値以上増加したか否かを判定する(S170)。つまり、ステップS130でメモリに格納した指距離(
図4の指距離D)とステップS160でメモリに格納した指距離(
図4の指距離D1)とを比較し、D-D1≧閾値を判定する。
【0037】
操作判定部160は、指距離が閾値以上小さくなっている場合には、検出した指角度をユーザーが意図した回転操作と判定する(S180)。それ故、検出された指角度を有効な回転操作と判定し、表示制御部170は、操作判定部160の判定結果に基づき指角度に応じた回転量をゲージに表示させる。
【0038】
他方、指距離が閾値以上小さくなっていない場合、あるいは指距離が大きくなっている場合には、検出された指角度をユーザーの意図しない回転操作(例えば、指を元に位置へ戻すときのかすり操作)と判定し、検出した指角度を無効と判定するか無視する(S190)。
【0039】
図6は、本実施例のアルゴリズムを適用したときの回転操作の検出例と、従来のアルゴリズムによる回転操作の検出例との評価結果である。この評価では、被験者A~Eが、ボリュームのゲージが最大になるまでノブへの回転操作を何回行ったか(回転操作回数)、回転操作を完了するまでに何回逆回転が生じたか(逆回転数)、逆回転数の発生率(逆回転率)を測定した。
【0040】
本実施例のアルゴリズムを適用した場合には、逆回転の発生が大きく低減していることが分かる。それに伴い、スムーズにボリュームを増加させる回転操作が可能になり、回転操作の回数も低減し、操作性を向上させることができた。逆回転率は、全体の平均から6割程度低減することができた。
【0041】
次に、本実施例の立体UI部の変形例について説明する。上記した例では、立体UI部として用いたノブを円筒状に構成したが、これに限らず、傾斜により指が滑り易い台形型のノブを用いることで、回転操作時に指が奥に滑り込む現象を顕著し、より滑らかに(ノイズが無く)静電容量の値を推移させ、回転操作の検出の安定性を高めることができる。例えば、
図7(A)に示すように、上方に向けて径が徐々に大きくなるような逆円錐台状のノブ200、あるいは、
図7(B)に示すように、上方に向けて径が徐々に小さくなるような円錐台状のノブ210であってもよい。いずれのノブの形状であっても、
図4に示すように、ユーザーが意図した回転操作を行ったときに指距離が接近することが確認された。また、
図7(C)に示すように、ノブ220の側部に螺旋222を形成することで、回転操作時に指が奥に滑り込み易くなるようにしてもよい。
【0042】
上記実施例では、立体UI部として円柱状のノブを例示したが、これは一例であり、ノブやつまみの形状は、回転操作を行う際に指距離が小さく現象を生じさせるのであれば、特に限定されるものではない。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。