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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058084
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】洗浄装置および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 41/04 20060101AFI20240418BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240418BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20240418BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240418BHJP
【FI】
B01D41/04
B08B3/02 C
B08B5/00 Z
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165225
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋本 博之
(72)【発明者】
【氏名】大上 明徳
(72)【発明者】
【氏名】堂岸 善宏
(72)【発明者】
【氏名】浅井 宏祐
(72)【発明者】
【氏名】生沼 学
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
4D037
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB14
3B116BB22
3B116BB62
3B116CA01
3B116CD22
3B116CD42
3B116CD43
3B201AA46
3B201AB14
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB92
3B201CA01
3B201CB15
3B201CD22
3B201CD42
3B201CD43
4D037AA08
4D037AB03
4D037BA18
4D037CA02
(57)【要約】
【課題】複数の洗浄ステージを経由して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、各洗浄ステージで利用される洗浄液を浄化することで被洗浄物の洗浄効果を向上させる。
【解決手段】第1の洗浄ステージは、被洗浄物に散布された洗浄液を第1の洗浄液槽に回収して洗浄液を被洗浄物に散布する。第2の洗浄ステージは、搬送路の搬送方向において第1の洗浄ステージの下流側に設けられ、被洗浄物に散布された洗浄液を第2の洗浄液槽に回収して洗浄液を被洗浄物に散布する。第2の洗浄ステージは、第2の洗浄液槽の洗浄液を、浄化装置を経て第1の洗浄液槽へ移送するための移送経路と、洗浄液を第2の洗浄液槽から浄化装置を経て第2の洗浄液槽に戻すための循環経路と、移送経路および循環経路の間で、洗浄液が通流する経路を切り替えるための切替手段とを含む。制御装置は、切替手段を制御することにより、洗浄液が通流する経路を切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置であって、
前記被洗浄物を搬送する搬送路と、
前記搬送路に設けられ、前記被洗浄物に前記洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第1の洗浄ステージと、
前記被洗浄物の搬送方向において前記第1の洗浄ステージの下流側に設けられ、前記被洗浄物に前記洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第2の洗浄ステージと、
制御装置とを備え、
前記第1の洗浄ステージは、
前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を回収するための第1の洗浄液槽と、
前記第1の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布するための第1の循環系統とを含み、
前記第2の洗浄ステージは、
前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を回収する第2の洗浄液槽と、
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布する第2の循環系統と、
前記洗浄液を浄化する浄化装置と、
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を、前記浄化装置を経て前記第1の洗浄液槽へ移送するための移送経路と、
前記洗浄液を前記第2の洗浄液槽から前記浄化装置を経て前記第2の洗浄液槽に戻すための循環経路と、
前記移送経路および前記循環経路の間で、前記洗浄液が通流する経路を切り替えるための切替手段とを含み、
前記制御装置は、前記切替手段を制御することにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、洗浄装置。
【請求項2】
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の液量を検出するためのレベルセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記レベルセンサにより検出される前記第2の洗浄液槽の液量に応じて前記切替手段を制御することにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が第1の閾値以上となったときには、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となったときには、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御する、請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第2の洗浄ステージは、前記搬送路の最下流に配置されており、
前記第2の洗浄液槽には、未使用の洗浄液を供給するための供給配管が接続され、
前記制御装置は、
前記未使用の洗浄液を前記第2の洗浄液槽に供給し、かつ、前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が前記第1の閾値以上となったときには、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となったときには、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御するとともに、前記第2の洗浄液槽への前記未使用の洗浄液の供給を停止する、請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記第2の洗浄ステージにおける前記被洗浄物の有無を検知するための物体検知センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記物体検知センサからの信号に応じて前記切替手段を制御することにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置することが検知された場合には、前記第2の循環系統を作動するとともに、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置しないことが検知された場合には、前記第2の循環系統を停止するとともに、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御する、請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記第2の洗浄ステージは、前記搬送路の最下流に配置されており、
前記第2の洗浄液槽には、未使用の洗浄液を供給するための供給配管が接続され、
前記制御装置は、前記物体検知センサからの信号に応じて、前記第2の洗浄液槽への前記未使用の洗浄液の供給を制御する、請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置することが検知された場合には、前記第2の洗浄液槽に前記未使用の洗浄液を供給し、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置しないことが検知された場合には、前記第2の洗浄液槽への前記未使用の洗浄液の供給を停止する、請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記浄化装置は、除菌効果を有する波長域の光線を前記洗浄液に照射する光線照射装置を含む、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の前記光線の透過率を検出する透過率検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記洗浄液の前記光線の透過率が基準値未満である場合には、当該透過率が前記基準値以上である場合に比べて、前記移送経路および前記循環経路を通流する前記洗浄液の流量を低下させる、請求項9に記載の洗浄装置。
【請求項11】
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の前記光線の透過率を検出する透過率検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記洗浄液の前記光線の透過率が基準値未満である場合には、当該透過率が前記基準値以上である場合に比べて、前記光線照射装置における前記光線の発生強度を増加させる、請求項9に記載の洗浄装置。
【請求項12】
前記第1の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の前記光線の透過率を検出する透過率検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記洗浄液の前記光線の透過率が基準値未満である場合には、当該透過率が前記基準値以上である場合に比べて、前記移送経路を通流する前記洗浄液の流量を増加させる、請求項9に記載の洗浄装置。
【請求項13】
前記第2の洗浄ステージは、
前記循環経路に介挿接続され、前記洗浄液を濾過するフィルタと、
前記フィルタの逆洗浄を行うための逆洗浄装置とをさらに含み、
前記制御装置は、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記逆洗浄装置を作動し、
前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記逆洗浄装置を停止する、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項14】
前記第2の洗浄ステージは、前記搬送路の最下流に配置されており、
前記第2の洗浄液槽には、未使用の洗浄液を供給するための供給配管が接続され、
前記制御装置は、
前記未使用の洗浄液が前記第2の洗浄液槽に供給されている場合に、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記未使用の洗浄液が前記第2の洗浄液槽に供給されていない場合に、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御する、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項15】
前記第1の洗浄ステージは、前記搬送路の最上流に配置されており、前記第1の洗浄液槽に貯留されている前記洗浄液を排出するための排出配管をさらに含み、
前記制御装置は、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記第1の洗浄液槽から前記洗浄液を排出し、
前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記第1の洗浄液槽からの前記洗浄液の排出を停止する、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項16】
前記移送経路は、前記第2の洗浄液槽に上流端が接続され、かつ、前記第1の洗浄液槽に下流端が接続された移送配管を含み、前記移送配管には前記浄化装置が介挿接続され、
前記循環経路は、前記浄化装置と前記第1の洗浄液槽との間の前記移送配管に上流端が接続され、かつ、前記第2の洗浄液槽に下流端が接続された循環配管を含み、
前記切替手段は、
前記循環配管に介挿接続される第1の切替弁と、
前記循環配管の上流端と前記第1の洗浄液槽との間の前記移送配管に介挿接続される第2の切替弁とを含み、
前記制御装置は、前記第1および第2の切替弁を相補的に開閉させることにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、請求項1から15のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項17】
前記第1および第2の洗浄液槽の少なくとも一方に接続されたドレン配管と、
前記ドレン配管に介挿接続されるドレン排出弁とをさらに備える、請求項16に記載の洗浄装置。
【請求項18】
洗浄装置で被洗浄物を洗浄する方法であって、
前記洗浄装置は、
前記被洗浄物を搬送する搬送路と、
前記搬送路に設けられ、前記被洗浄物に洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第1の洗浄ステージと、
前記被洗浄物の搬送方向において前記第1の洗浄ステージの下流側に設けられ、前記被洗浄物に前記洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第2の洗浄ステージとを含み、
前記第1の洗浄ステージにて、前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を第1の洗浄液槽に回収し、前記第1の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布するステップと、
前記第2の洗浄ステージにて、前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を第2の洗浄液槽に回収し、前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布するステップと、
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を、浄化装置を経て前記第1の洗浄液槽へ移送するための移送経路を形成するステップと、
前記洗浄液を前記第2の洗浄液槽から前記浄化装置を経て前記第2の洗浄液槽に戻すための循環経路を形成するステップと、
前記移送経路および前記循環経路の間で、前記洗浄液が通流する経路を切り替えるステップとを備える、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄液により被洗浄物を洗浄する洗浄装置および洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-192369号公報(特許文献1)には、洗浄液によりフィルタを洗浄するフィルタ洗浄装置が開示されている。フィルタ洗浄装置は、フィルタを搬送する搬送路と、フィルタの搬送方向に沿って配置された複数の洗浄ステージとを備えている。
【0003】
各洗浄ステージは、搬送路に沿って搬送されるフィルタに、ノズルから洗浄液を散布するとともに、散布された洗浄液を回収タンクに回収して上記ノズルに循環させる循環系統を有している。フィルタ搬送方向の最下流側の洗浄ステージには、未使用の洗浄液をフィルタに噴霧するためのノズルがさらに配置されている。当該洗浄ステージの回収タンクは、当該ノズルから噴霧された洗浄液をさらに回収する。
【0004】
フィルタ洗浄装置は、フィルタ搬送方向の下流側の洗浄ステージの回収タンクから、フィルタ搬送方向の上流側の洗浄ステージの回収タンクに洗浄液を順次移送する移送系統と、フィルタ搬送方向の最上流側の洗浄ステージの回収タンクの洗浄液を外部に排水する排水系統とをさらに備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-192369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記フィルタ洗浄装置では、移送系統を用いて、フィルタ搬送方向の最下流側の洗浄ステージの回収タンクから、フィルタ搬送方向の上流側の洗浄ステージの回収タンクに洗浄液が順次移送される。フィルタ搬送方向の最下流側の洗浄ステージでは、精密洗浄によって、フィルタに付着した微細な異物が除去される。そのため、当該洗浄ステージの回収タンクに貯留される洗浄液は、当該微細な異物を含んでいる。
【0007】
この微細な異物を含んだ洗浄液が、フィルタ搬送方向の上流側の洗浄ステージの回収タンクに移送されることで、当該上流側の洗浄ステージにて、回収タンクに貯留される洗浄液を再利用してフィルタを洗浄する際に、異物をフィルタに再付着させてしまう可能性がある。その結果、後続する精密洗浄によっても当該異物を除去しきれず、洗浄装置全体の洗浄能力を低下させる可能性が懸念される。
【0008】
本開示はこのような問題点を解決するためになされたものであって、本開示の目的は、複数の洗浄ステージを経由して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、各洗浄ステージで利用される洗浄液を浄化することで被洗浄物の洗浄効果を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る洗浄装置は、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置であって、被洗浄物を搬送する搬送路と、第1の洗浄ステージと、第2の洗浄ステージと、制御装置とを備える。第1の洗浄ステージは、搬送路に設けられ、被洗浄物に洗浄液を散布することにより被洗浄物を洗浄する。第2の洗浄ステージは、搬送路の搬送方向において第1の洗浄ステージの下流側に設けられ、被洗浄物に洗浄液を散布することにより被洗浄物を洗浄する。第1の洗浄ステージは、被洗浄物に散布された洗浄液を回収するための第1の洗浄液槽と、第1の洗浄液槽に貯留されている洗浄液を被洗浄物に散布するための第1の循環系統とを含む。第2の洗浄ステージは、被洗浄物に散布された洗浄液を回収する第2の洗浄液槽と、第2の洗浄液槽に貯留されている洗浄液を被洗浄物に散布する第2の循環系統と、洗浄液を浄化する浄化装置と、第2の洗浄液槽に貯留されている洗浄液を、浄化装置を経て第1の洗浄液槽へ移送するための移送経路と、洗浄液を第2の洗浄液槽から浄化装置を経て第2の洗浄液槽に戻すための循環経路と、移送経路および循環経路の間で、洗浄液が通流する経路を切り替えるための切替手段とを含む。制御装置は、切替手段を制御することにより、洗浄液が通流する経路を切り替える。
【0010】
本開示の一態様に係る洗浄方法は、洗浄装置で被洗浄物を洗浄する方法である。洗浄装置は、被洗浄物を搬送する搬送路と、第1の洗浄ステージと、第2の洗浄ステージとを含む。第1の洗浄ステージは、搬送路に設けられ、被洗浄物に洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する。第2の洗浄ステージは、被洗浄物の搬送方向において第1の洗浄ステージの下流側に設けられ、被洗浄物に洗浄液を散布することにより被洗浄物を洗浄する。洗浄方法は、第1の洗浄ステージにて、被洗浄物に散布された洗浄液を第1の洗浄液槽に回収し、第1の洗浄液槽に貯留される洗浄液を前記被洗浄物に散布するステップと、第2の洗浄ステージにて、被洗浄物に散布された洗浄液を第2の洗浄液槽に回収し、第2の洗浄液槽に貯留される洗浄液を被洗浄物に散布するステップと、第2の洗浄液槽に貯留される洗浄液を、浄化装置を経て第1の洗浄液槽へ移送するための移送経路を形成するステップと、洗浄液を第2の洗浄液槽から浄化装置を経て第2の洗浄液槽に戻すための循環経路を形成するステップと、移送経路および循環経路の間で、洗浄液が通流する経路を切り替えるステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、複数の洗浄ステージを経由して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、各洗浄ステージで利用される洗浄液を浄化することで被洗浄物の洗浄効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る洗浄装置の構成例を概略的に示す図である。
図2】循環経路を形成する場合における切替弁の制御を説明する図である。
図3】移送経路を形成する場合における切替弁の制御を説明する図である。
図4】循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第1の例を説明するためのタイミングチャートである。
図5】循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第1の例を説明するためのタイミングチャートである。
図6】循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第1の例の制御処理を示すフローチャートである。
図7】実施の形態3に係る洗浄装置の構成例を概略的に示す図である。
図8】循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第2の例を説明するためのタイミングチャートである。
図9】循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第2の例の制御処理を示すフローチャートである。
図10】実施の形態4に係る洗浄装置の構成例を概略的に示す図である。
図11】紫外線透過率検出部の構成例を概略的に示す図である。
図12】制御装置によるポンプの制御を説明するための図である。
図13】制御装置によるポンプの制御を説明するための図である。
図14】実施の形態5に係る洗浄装置の構成例を概略的に示す図である。
図15】逆洗フィルタの逆洗浄を説明するための図である。
図16】逆洗フィルタの逆洗浄を説明するためのタイミングチャートである。
図17】実施の形態6に係る洗浄装置の構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分について同一符号を付して、その説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0014】
なお、本明細書において「異物」とは、被洗浄物に付着した物質を意味し、塵埃、油分、菌類、細菌、ウイルス等を意味する。また本明細書において「浄化」とは、洗浄液中の異物を物理的に除去する行為、あるいは、洗浄液中のウイルスを不活性化する行為を意味する。
【0015】
[実施の形態1]
<洗浄装置の構成>
図1は、実施の形態1に係る洗浄装置100の構成例を概略的に示す図である。実施の形態1に係る洗浄装置100は、洗浄液により被洗浄物Wを洗浄する装置である。
【0016】
被洗浄物Wは、例えば、空調用フィルタである。空調用フィルタは、網目状構造を有しており、空気中に含まれる粉塵および油分等の異物を捕集するように構成されている。洗浄装置100は、空調用フィルタに洗浄液を散布することによって、空調用フィルタに付着した異物を除去する。洗浄液は、例えば、洗剤、あるいは洗剤の水溶液である。
【0017】
図1に示すように、洗浄装置100は、搬送路10と、洗浄液槽31~33と、ポンプ11~13,20~23と、循環配管1~3,6,8と、供給配管4と、移送配管5,7と、排出配管9と、貯留タンク15と、切替弁41,42,51,52と、浄化装置60と、制御装置70とを備える。
【0018】
搬送路10は、被洗浄物Wを搬送する。搬送路10には、コンベア、ロボットアーム等の公知の搬送装置を適用することができる。図1の例では、搬送路10は、コンベアであって、複数の被洗浄物Wを搬送可能に構成されている。
【0019】
被洗浄物Wは、図面左側に設けられた搬入口(図示せず)から洗浄装置100の内部に搬入され、搬送路10に従って図面右方向(図中矢印A1の方向)に向かって搬送される。被洗浄物Wは、図面右側に設けられた搬出口(図示せず)から洗浄装置100の外部に搬出される。被洗浄物Wが搬送路10を搬送される間に、洗浄装置100は被洗浄物Wを洗浄する。
【0020】
洗浄液槽31~33は、搬送路10の垂直方向(図面上下方向)の下方において、水平方向(図面左右方向)に互いに間隔を隔てて配置されている。洗浄液槽31は、被洗浄物Wの搬送方向の最上流に配置されている。洗浄液槽33は、被洗浄物Wの搬送方向の最下流に配置されている。洗浄液槽32は、洗浄液槽31と洗浄液槽33との間に配置されている。洗浄液槽31~33の各々は、洗浄液を貯留する。洗浄液槽の数は3個に限定されず、複数であればよい。
【0021】
洗浄液槽31には、循環配管1の上流端が接続されている。循環配管1の下流端は、洗浄液槽31の垂直方向上方に位置している。循環配管1の下流端には、搬送路10上の被洗浄物Wに対して洗浄液を散布するためのノズル1aが取り付けられている。ポンプ11は、循環配管1に介挿接続されている。
【0022】
ポンプ11が作動すると、洗浄液槽31内の洗浄液は、循環配管1を経由してノズル1aに送られ、ノズル1aから被洗浄物Wに散布される。被洗浄物Wに散布された洗浄液は、洗浄液槽31に回収される。このようにポンプ11が作動することによって、洗浄液槽31に回収された洗浄液がノズル1aに循環される。循環配管1、ノズル1a、およびポンプ11は「循環系統」を構成する。これにより、洗浄液を再利用することができる。循環配管1、ポンプ11、洗浄液槽31、排出配管9、およびポンプ23は「洗浄ステージST1」を構成する。
【0023】
洗浄液槽32には、循環配管2の上流端が接続されている。循環配管2の下流端は、洗浄液槽32の垂直方向上方に位置している。循環配管2の下流端には、搬送路10上の被洗浄物Wに対して洗浄液を散布するためのノズル2aが取り付けられている。ポンプ12は、循環配管2に介挿接続されている。ポンプ12が作動すると、洗浄液槽32内の洗浄液は、循環配管2を経由してノズル2aに送られ、ノズル2aから被洗浄物Wに散布される。被洗浄物Wに散布された洗浄液は、洗浄液槽32に回収される。このようにポンプ12が作動することによって、洗浄液槽32に回収された洗浄液がノズル2aに循環される。循環配管2、ノズル2a、およびポンプ12は「循環系統」を構成する。循環配管2、ポンプ12、洗浄液槽32、移送配管7、循環配管8、ポンプ22、浄化装置60、および切替弁42,52は「洗浄ステージST2」を構成する。
【0024】
洗浄液槽33には、循環配管3の上流端が接続されている。循環配管3の下流端は、洗浄液槽33の垂直方向上方に位置している。循環配管3の下流端には、搬送路10上の被洗浄物Wに対して洗浄液を散布するためのノズル3aが取り付けられている。ポンプ13は、循環配管3に介挿接続されている。ポンプ13が作動すると、洗浄液槽33内の洗浄液は、循環配管3を経由してノズル3aに送られ、ノズル3aから被洗浄物Wに散布される。被洗浄物Wに散布された洗浄液は、洗浄液槽33に回収される。このようにポンプ13が作動することによって、洗浄液槽33に回収された洗浄液がノズル3aに循環される。循環配管3、ノズル3a、およびポンプ13は「循環系統」を構成する。循環配管3、ポンプ13、洗浄液槽33、供給配管4、移送配管5、循環配管6、ポンプ20,21、貯留タンク15、浄化装置60、および切替弁41,51は「洗浄ステージST3」を構成する。
【0025】
洗浄装置100内に搬入された被洗浄物Wは、最初に、搬送方向の最上流に位置する洗浄ステージST1にて洗浄され、続いて、洗浄ステージST2にて洗浄され、最後に、搬送方向の最下流に位置する洗浄ステージST3にて洗浄される。洗浄ステージST1は、被洗浄物Wを予備洗浄する。洗浄ステージST2は、被洗浄物Wを粗洗浄する。洗浄ステージST3は、被洗浄物Wを精密洗浄する。
【0026】
なお、図示は省略するが、洗浄ステージST3の下流側に、精密洗浄された被洗浄物Wを水洗するための水洗ステージ、および、水洗された被洗浄物Wから水分を除去するための脱水ステージ等をさらに設けることができる。
【0027】
洗浄ステージST3に含まれる洗浄液槽33には、供給配管4の下流端が接続されている。供給配管4の上流端は、未使用の洗浄液を貯留する貯留タンク15に接続されている。ポンプ20は、供給配管4に介挿接続されている。ポンプ20が作動すると、貯留タンク15から供給配管4を経由して、未使用の洗浄液が洗浄液槽33に供給される。
【0028】
洗浄液槽33にはさらに、移送配管5の上流端が接続されている。移送配管5の下流端は、洗浄ステージST2に含まれる洗浄液槽32に接続されている。移送配管5には、ポンプ21、および浄化装置60が介挿接続されている。ポンプ21が作動すると、洗浄液槽33に貯留された洗浄液が移送配管5を通流する。
【0029】
浄化装置60は、移送配管5を流れる洗浄液を浄化する。浄化装置60は、洗浄液が通流するように配置され、通流する洗浄液に含まれる異物を除去、もしくは、洗浄液に含まれる菌を殺菌、あるいは洗浄液に含まれるウイルスを不活性化するように構成される。浄化装置60は、例えば、紫外線処理、塩素処理、オゾン処理、およびフィルタを用いた処理等の処理方法を用いることができる。
【0030】
浄化装置60の下流側の移送配管5には、切替弁51が介挿接続される。切替弁51の開閉は、制御装置70によって制御される。切替弁51が開放されると、浄化装置60を通流した洗浄液が洗浄液槽32へ送られる。
【0031】
浄化装置60と切替弁51との間の移送配管5には、循環配管6の上流端が接続されている。循環配管6の下流端は、洗浄液槽33に接続されている。循環配管6には、切替弁41が介挿接続される。切替弁41の開閉は、制御装置70によって制御される。切替弁41が開放されると、浄化装置60を通流した洗浄液が洗浄液槽33へ送られる。なお、後述するように、本実施の形態では、切替弁51および切替弁41は、制御装置70によって相補的に開閉される。
【0032】
洗浄ステージST2の洗浄液槽32には、移送配管5の下流端、および移送配管7の上流端が接続されている。移送配管7の下流端は、洗浄ステージST1に含まれる洗浄液槽31に接続されている。移送配管7には、ポンプ22、および浄化装置60が介挿接続されている。ポンプ22が作動すると、洗浄液槽32に貯留された洗浄液が移送配管7を通流する。浄化装置60は、移送配管7を流れる洗浄液を浄化する。
【0033】
浄化装置60の下流側の移送配管7には、切替弁52が介挿接続される。切替弁52の開閉は、制御装置70によって制御される。切替弁52が開放されると、浄化装置60を通流した洗浄液が洗浄液槽31へ送られる。
【0034】
浄化装置60と切替弁52との間の移送配管7には、循環配管8の上流端が接続されている。循環配管8の下流端は、洗浄液槽32に接続されている。循環配管8には、切替弁42が介挿接続される。切替弁42の開閉は、制御装置70によって制御される。切替弁42が開放されると、浄化装置60を通流した洗浄液が洗浄液槽32へ送られる。なお、後述するように、本実施の形態では、切替弁52および切替弁42は、制御装置70によって相補的に開閉される。
【0035】
洗浄ステージST1の洗浄液槽31には、移送配管7の下流端、および排出配管9の上流端が接続されている。排出配管9の下流端は、図示しない廃水タンクに接続されている。排出配管9には、ポンプ23が介挿接続されている。ポンプ23が作動すると、洗浄液槽31に貯留された洗浄液が排出配管9を経由して、廃水として廃水タンクへ送られる。
【0036】
制御装置70は、プロセッサ72と、メモリ74と、入出力インターフェイス(I/F)76とを有する。これらの各部は、図示しないバスを介して互いに通信可能に接続される。プロセッサ72は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)などの演算処理部である。プロセッサ72は、メモリ74に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、洗浄装置100の各部の動作を制御する。なお、図1の例では、プロセッサが単数である構成を例示しているが、制御装置70は複数のプロセッサを有する構成としてもよい。
【0037】
メモリ74は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現される。メモリ74は、プロセッサ72によって実行されるプログラム、またはプロセッサ72によって用いられるデータなどを記憶する。
【0038】
入出力I/F76は、プロセッサ72と洗浄装置100の各部との間で各種データを遣り取りするためのインターフェイスである。入出力I/F76は、図示しない操作部に接続される。操作部は、ユーザの指示を含む入力を受け付ける。操作部は、キーボードおよびマウスなどを含む。ユーザ入力は、通信I/F(図示せず)を介して外部機器から受け付けることも可能である。
【0039】
<洗浄装置の動作>
上述したように、実施の形態1に係る洗浄装置100において、洗浄ステージST1~ST3の各々は、洗浄液槽に回収された洗浄液を再利用するように構成されている。しかしながら、洗浄液の再利用を繰り返すことによって、洗浄液における異物の含有量が増えるため、洗浄装置100通過後の被洗浄物Wの洗浄度が徐々に低下する可能性がある。
【0040】
ここで、予備洗浄を行う洗浄ステージST1では、被洗浄物Wから大きな塵や埃等が除去されるため、再利用によって洗浄液槽31内の洗浄液の洗浄力が大きく低下する。反対に、精密洗浄を行う洗浄ステージST3では、予備洗浄および粗洗浄で除去できなかった微細な異物が除去されるため、洗浄ステージST1,ST2に比べて、洗浄液槽33内の洗浄液の洗浄力の低下が少ない。すなわち、洗浄液槽33内の洗浄液の洗浄力が最も高く、洗浄液槽31の洗浄液の洗浄力が最も低い。
【0041】
一方、精密洗浄では、洗浄の最終段階であるため、洗浄力の高い洗浄液が必要とされるが、予備洗浄では、被洗浄物Wから大きな塵や埃等を除去できればよいため、洗浄液の洗浄力は精密洗浄の洗浄液に比べて低くてよい。
【0042】
そのため、洗浄装置100は、洗浄ステージST3の洗浄液槽33に未使用の洗浄液を供給することによって、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液の洗浄力を回復させる。さらに、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液を、移送配管5を経由して洗浄液槽32へ移送し、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液の洗浄力の低下を抑制する。同様に、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液を、移送配管7を経由して洗浄液槽31へ移送するとともに、洗浄液槽31に貯留されている洗浄液の一部を排出配管9を経由して外部に排出することにより、洗浄液槽31に貯留されている洗浄液の洗浄力の低下を抑制する。
【0043】
しかしながら、上述したように洗浄液槽33から洗浄液槽32および洗浄液槽31へ洗浄液を移送させる構成においては、精密洗浄で除去された微細な異物を含んだ洗浄液が、洗浄液槽33に回収された後に、洗浄液槽32および洗浄液槽31へ移送されることになる。そのため、予備洗浄および粗洗浄にて洗浄液槽31および洗浄液槽32内の洗浄液をそれぞれ再利用することによって、微細な異物を被洗浄物Wに再付着させてしまうことが懸念される。その結果、精密洗浄によって当該異物を除去しきれず、洗浄装置100全体の洗浄能力を低下させる可能性が懸念される。
【0044】
そのため、実施の形態1に係る洗浄装置100は、移送配管5,7に浄化装置60を介挿接続し、移送配管5,7を通流する洗浄液を浄化するように構成されている。洗浄装置100はさらに、浄化装置60の下流側の移送配管5,7に循環配管6,8の上流端をそれぞれ接続し、浄化された洗浄液を循環配管6,8を経由して洗浄液槽33,32にそれぞれ戻すように構成されている。
【0045】
上記構成によると、洗浄液槽33に貯留された洗浄液は、浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽32へ移送されることになる。また、洗浄液槽32に貯留された洗浄液は、浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽31へ移送されることになる。したがって、精密洗浄で除去された異物を含有する洗浄液が洗浄液槽32,31へ移送されることを抑制することができる。その結果、予備洗浄および粗洗浄の各々において、当該異物が被洗浄物Wに再付着することを抑制することができる。
【0046】
また、洗浄ステージST1,ST2の各々では、洗浄液槽32,33に貯留された洗浄液は、浄化装置60による浄化を経て循環されることになる。これによると、粗洗浄および精密洗浄の各々において、再利用による洗浄液の洗浄力の低下が抑制され、洗浄装置100通過後の被洗浄物Wの洗浄度の低下を抑制することができる。また、洗浄液の洗浄力の低下が抑制されることで、洗浄液の洗浄力を回復させるための未使用洗浄液の消費量を抑えることが可能となる。
【0047】
さらに、洗浄ステージST1,ST2の各々では、洗浄液を1台のポンプ21(または22)によって循環配管6(または8)または移送配管5(または7)に任意に供給することができるため、洗浄装置100の構成部品を削減することができる。
【0048】
以上説明したように、実施の形態1に係る洗浄装置100は、洗浄液槽33,32に蓄えられた洗浄液を、浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽32,31へそれぞれ移送するための移送経路と、洗浄液槽33,32に蓄えられた洗浄液を、浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽33,32へそれぞれ戻すための循環経路とを備えている。制御装置70は、切替弁41,42および切替弁51,52の開閉を制御することによって、これら2つの経路の間で、洗浄液が通流する経路を切り替えることができる。
【0049】
切替弁41,42および切替弁51,52は「切替手段」の一実施例に対応する。切替弁41,42は「第1の切替弁」の一実施例に対応し、切替弁51,52は「第2の切替弁」の一実施例に対応する。
【0050】
図2および図3は、制御装置70による切替弁41,51の制御を説明する図である。なお、切替弁42,52の制御は、切替弁41,52の制御と同じであるため、以下では、切替弁41,51の制御のみを説明する。
【0051】
図2は、循環経路を形成する場合における切替弁41,51の制御を説明する図である。図2に示すように、循環経路を形成する場合には、制御装置70は、切替弁41を開放するとともに、切替弁51を閉止する。ポンプ21が作動すると、洗浄液槽33に貯留された洗浄液は、移送配管5および循環配管6を経由して洗浄液槽33へ戻る経路R1を循環する。経路R1は「循環経路」に相当する。循環経路R1を通流する洗浄液は、浄化装置60によって浄化される。以下の説明では、循環経路R1に洗浄液を循環通流させるモードを「循環モード」とも称する。
【0052】
図3は、移送経路を形成する場合における切替弁41,51の制御を説明する図である。図3に示すように、移送経路を形成する場合には、制御装置70は、切替弁41を閉止するとともに、切替弁51を開放とする。ポンプ21が作動すると、洗浄液槽33に貯留された洗浄液は、移送配管5を経由して洗浄液槽32(図示せず)へ至る経路R2を通流する。経路R2は「移送経路」に相当する。移送経路R2を通流する洗浄液は、浄化装置60によって浄化される。以下の説明では、移送経路R2に洗浄液を通流させるモードを「移送モード」とも称する。
【0053】
このように洗浄ステージST3では、切替弁41,51を相補的に開閉することにより、洗浄液が通流する経路を、循環経路R1(循環モード)および移送経路R2(移送モード)の間で切り替えることができる。これにより、移送モード時には、洗浄液槽33に貯留された洗浄液を、浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽32へ移送することができる。循環モード時には、洗浄液槽33に貯留された洗浄液を、浄化装置60による浄化を経て循環させることができる。
【0054】
洗浄ステージST2においても、切替弁42,52を相補的に開閉して循環経路R1および移送経路R2を切り替えることにより、移送モード時には、洗浄液槽32に貯留された洗浄液を、浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽31へ移送することができ、循環モード時には、洗浄液槽32に貯留された洗浄液を、浄化装置60による浄化を経て循環させることができる。
【0055】
したがって、実施の形態1に係る洗浄装置100によれば、微細な異物を含んだ洗浄液が各洗浄ステージにて再利用されることが抑制されるため、当該異物が被洗浄物Wに再付着することを抑制することができる。また、各洗浄ステージでの洗浄液の洗浄力の低下が抑えられるため、洗浄液槽33に供給される未使用の洗浄液の消費量を抑えることができる。
【0056】
[実施の形態2]
実施の形態2では、循環モード(循環経路R1)および移送モード(移送経路R2)の切り替え方法の第1の例について説明する。実施の形態2に係る洗浄装置100の構成は、図1に示した実施の形態1に係る洗浄装置100と同じであるため、図示および説明を省略する。
【0057】
第1の例では、洗浄ステージST3において、制御装置70は、洗浄液槽33の液量(液位)に基づいて切替弁41,51の開閉を制御することにより、循環モードおよび移送モードを切り替えるように構成される。制御装置70はさらに、洗浄ステージST2において、洗浄液槽32の液量(液位)に基づいて切替弁42,52の開閉を制御することにより、循環モードおよび移送モードを切り替えるように構成される。
【0058】
図1に示すように、洗浄液槽32,33の各々には、洗浄液槽の液量(液位)を検出するためのレベルセンサ62が取り付けられている。レベルセンサ62は、対応する洗浄液槽の液量(液位)を検出し、その検出値を示す信号を制御装置70に与える。
【0059】
図4および図5は、循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第1の例を説明するためのタイミングチャートである。図4には、洗浄ステージST3に関連する部分の動作波形が示されている。
【0060】
図4に示すように、制御装置70は、ポンプ13、ポンプ21および浄化装置60を連続的に作動(オン)させる。ポンプ13が作動することにより、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液は、循環配管3を経由してノズル3aに送られ、被洗浄物Wに散布された後に、洗浄液槽33に回収される。ポンプ21および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液は、移送配管5を通流し、浄化装置60によって浄化される。
【0061】
制御装置70はさらに、供給配管4に介挿接続されたポンプ20を、予め定められた周期で間欠的に作動(オン)させる。図4では、時刻t1以前にて、ポンプ20は停止状態とされている。時刻t1にてポンプ20が作動される。
【0062】
時刻t1以前にて、制御装置70は、切替弁41を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST3を循環モードにする。したがって、図2に示したように、ポンプ21および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽33に貯留された洗浄液は、循環経路R1を通流して浄化されて洗浄液槽33へ戻される。
【0063】
時刻t1にてポンプ20が作動すると、貯留タンク15から供給配管4を経由して、未使用の洗浄液が洗浄液槽33に供給される。未使用の洗浄液の供給を受けて、洗浄液槽33の液量(液位)が徐々に上昇する。
【0064】
時刻t2にて、レベルセンサ62により検出された洗浄液槽33の液位が予め定められた上限値Lthに達すると、制御装置70は、切替弁41を閉止し、切替弁51を開放することにより、洗浄ステージST3を循環モードから移送モードへ遷移させる。上限値Lthは「第1の閾値」の一実施例に対応する。図3に示したように、ポンプ21および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液は、移送経路R2を通流して浄化されて洗浄液槽32へ移送される。このとき制御装置70は、移送経路R2を通流する洗浄液の流量が、供給配管4を通流する未使用の洗浄液の流量よりも大きくなるようにポンプ20,21を制御する。そのため、時刻t2以降、洗浄液槽33の液量(液位)が徐々に低下する。
【0065】
時刻t3にて、レベルセンサ62による洗浄液槽33の液位の検出値が予め定められた基準値Lrefに達すると、制御装置70は、切替弁41を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST3を移送モードから循環モードへ遷移させる。制御装置70はさらに、ポンプ20の作動を停止することにより、洗浄液槽33への未使用の洗浄液の供給を停止する。基準値Lrefは「第2の閾値」の一実施例に対応する。
【0066】
時刻t3から次回にポンプ20が起動するタイミングである時刻t4までの間、循環モードによる洗浄液の浄化とともに、洗浄液槽33の液量は一定に保たれる。時刻t4にてポンプ20が再び作動すると、時刻t4よりも後の時刻t5にて、洗浄ステージST3は再び移送モードに遷移する。
【0067】
図5には、洗浄ステージST2に関連する部分の動作波形が示されている。図5に示すように、制御装置70は、ポンプ12、ポンプ22および浄化装置60を連続的に作動(オン)させる。ポンプ12が作動することにより、洗浄液槽32に貯留された洗浄液は、循環配管2を経由してノズル2aに送られ、被洗浄物Wに散布された後に、洗浄液槽32に回収される。ポンプ22および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液は、移送配管7を通流し、浄化装置60にて浄化される。
【0068】
図4と同じ時刻t2以前にて、制御装置70は、切替弁42を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST2を循環モードとする。ポンプ22および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽32に貯留された洗浄液は、循環経路を通流して浄化されて洗浄液槽32へ戻される。
【0069】
時刻t2にて、洗浄ステージST3が循環モードから移送モードに遷移すると、洗浄液槽32には、洗浄液槽33から洗浄液が送られてくる。この洗浄液の供給を受けて、洗浄液槽32の液量(液位)が徐々に上昇する。
【0070】
時刻t21にて、レベルセンサ62により検出された洗浄液槽32の液位が上限値Lthに達すると、制御装置70は、切替弁42を閉止し、切替弁52を開放することにより、洗浄ステージST2を循環モードから移送モードへ遷移させる。ポンプ21および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液は、移送経路を通流して浄化されて洗浄液槽31へ移送される。このとき制御装置70は、移送配管7を通流する洗浄液の流量が、移送配管5を通流する洗浄液の流量よりも大きくなるようにポンプ22を制御する。よって、時刻t21以降、洗浄液槽32の液量(液位)が徐々に低下する。
【0071】
時刻t31にて、レベルセンサ62による洗浄液槽33の液位の検出値が基準値Lrefに達すると、制御装置70は、切替弁42を開放し、切替弁52を閉止することにより、洗浄ステージST2を移送モードから循環モードへ遷移させる。
【0072】
時刻t31以降、循環モードによる洗浄液の浄化とともに、洗浄液槽32の液量は一定に保たれる。時刻t51にて洗浄液槽32の液位が上限値Lthに達すると、洗浄ステージST2は再び移送モードに遷移する。
【0073】
なお、図示は省略するが、洗浄ステージST1では、洗浄ステージST2が移送モード中、洗浄液槽31には洗浄液槽32から洗浄液が送られてくるため、洗浄液槽31の液量が増加する。このとき制御装置70は、ポンプ23を作動することにより、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液を、排出配管9を経由して廃水として排出する。これにより、洗浄液槽31の液量を一定に保つことができる。
【0074】
図6は、循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第1の例の制御処理を示すフローチャートである。図6には、洗浄ステージST3に関連する部分の制御処理が示されている。図6に示された制御処理は、制御装置70によって繰り返し実行される。
【0075】
図6に示すように、制御装置70は、ステップS01により、ポンプ21を作動(オン)する。さらにステップS02により、制御装置70は、浄化装置60を作動する。
【0076】
制御装置70は、ステップS03により、ポンプ20を作動(オン)するタイミングでが到来したか否かを判定する。間欠的にポンプ20を作動させる場合には、タイマ出力に基づいたポンプ20の作動タイミングが到来すると、ステップS03はYES判定とされる。
【0077】
ポンプ20の作動タイミングが到来していない場合(S03のNO判定時)、制御装置70は、ステップS10により、切替弁41を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST3を循環モードに設定する。
【0078】
制御装置70は、ポンプ20の作動タイミングが到来すると(S03のYES判定時)、ステップS04により、ポンプ20を作動させる。ポンプ20の作動により、洗浄液槽33に未使用の洗浄液が供給される。
【0079】
制御装置70は、ステップS05により、レベルセンサ62によって検出される洗浄液槽33の液位が上限値Lth以上であるかを判定する。洗浄液槽33の液位が上限値Lth未満である場合(S05のNO判定時)には、制御装置70は、ステップS10により、切替弁41を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST3を循環モードに維持する。
【0080】
そして、洗浄液槽33の液位が上限値Lth以上になると(S05のYES判定時)、制御装置70は、ステップS06により、切替弁41を閉止し、切替弁51を開放することにより、洗浄ステージST3を移送モードに遷移させる。
【0081】
移送モード中、制御装置70は、ステップS07により、レベルセンサ62により検出される洗浄液槽33の液位が基準値Lref以下であるか否かを判定する。洗浄液槽33の液位が基準値Lrefより高い場合(S07のNO判定時)、制御装置70は、ステップS06に戻り、洗浄ステージST3を移送モードに維持する。
【0082】
洗浄液槽33の液位が減少して基準値Lref以下となると(S07のYES判定時)、制御装置70は、ステップS08により、ポンプ20の作動を停止(オフ)させることにより、未使用の洗浄液の供給を停止する。制御装置70はさらに、ステップS09により、切替弁41を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST3を移送モードから循環モードに遷移させる。
【0083】
このように洗浄ステージST3では、未使用の洗浄液の供給による洗浄液槽33の液量(液位)の変化に応じて、循環モードおよび移送モードが交互に切り替えられるとともに、各モードにおいて、浄化装置60によって洗浄液が浄化される。これにより、洗浄液槽33に貯留される洗浄液の液量を一定範囲に保ちつつ、当該洗浄液の洗浄力の低下を抑制することができる。また、異物を含んだ洗浄液が洗浄液槽32に移送されることを抑制することができる。
【0084】
洗浄ステージST2においても、上述した制御処理と同様の制御装置が実行される。ただし、洗浄ステージST2では、洗浄液槽33からの洗浄液の移送による洗浄液槽32の液量(液位)の変化に応じて、切替弁42,52を制御することにより、循環モードおよび移送モードが交互に切り替えられることになる。なお、何れのモードにおいても浄化装置60によって洗浄液が浄化されるため、洗浄液槽32に貯留される洗浄液の液量を一定範囲に保ちつつ、当該洗浄液の洗浄力の低下を抑制できるとともに、異物を含んだ洗浄液が洗浄液槽31に移送されることを抑制することができる。
【0085】
[実施の形態3]
実施の形態3では、循環モード(循環経路R1)および移送モード(移送経路R2)の切り替え方法の第2の例について説明する。
【0086】
図7は、実施の形態3に係る洗浄装置の構成例を概略的に示す図である。実施の形態3に係る洗浄装置100は、図1に示した洗浄装置100とは、複数の物体検知センサ80を備えている点が異なる。
【0087】
図7に示すように、物体検知センサ80は、洗浄ステージごとに設置されており、対応する洗浄ステージにおける被洗浄物Wの有無を検知するためのセンサである。物体検知センサ80は、搬送路10上における被洗浄物Wの位置を検知し、検知結果を示す信号を制御装置70へ与える。図6の例では、物体検知センサ80は、搬送路10の上方に配置されたカメラを含んでおり、撮像画像を示す画像データを制御装置70へ出力する。
【0088】
制御装置70は、洗浄ステージST1~ST3の各々において、物体検知センサ80から与えられる信号(画像データ)に基づいて、被洗浄物Wが洗浄ステージに位置することを検知することができる。ただし、物体検知センサ80の構成、配置位置および台数はこれに限定されるものではない。
【0089】
洗浄ステージST1では、物体検知センサ80からの信号に基づいて被洗浄物Wが洗浄ステージST1に位置することが検知されると、制御装置70は、ポンプ11を作動することにより、被洗浄物Wに洗浄液を散布して予備洗浄を実行する。そして、被洗浄物Wが移動して洗浄ステージST1から搬出されると、制御装置70はポンプ11の作動を停止して、予備洗浄を終了する。予備洗浄の実行中、ポンプ23が作動することにより、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液は、排出配管9を経由して廃水として排出される。
【0090】
洗浄ステージST2では、物体検知センサ80からの信号に基づいて被洗浄物Wが洗浄ステージST2に位置することが検知されると、制御装置70は、ポンプ12を作動することにより、被洗浄物Wに洗浄液を散布して粗洗浄を実行する。そして、被洗浄物Wが移動して洗浄ステージST2から搬出されると、制御装置70はポンプ12の作動を停止して、粗洗浄を終了する。
【0091】
粗洗浄の実行中、制御装置70は、切替弁42を閉止し、切替弁52を開放することにより、洗浄ステージST2を移送モードとする。ポンプ21および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液は、移送経路R2を通流して浄化されて洗浄液槽31へ移送される。
【0092】
洗浄ステージST3では、物体検知センサ80からの信号に基づいて被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置することが検知されると、制御装置70は、ポンプ13を作動することにより、被洗浄物Wに洗浄液を散布して精密洗浄を実行する。そして、被洗浄物Wが移動して洗浄ステージST3から搬出されると、制御装置70はポンプ13の作動を停止して、精密洗浄を終了する。
【0093】
精密洗浄の実行中、制御装置70は、ポンプ20を作動することにより、貯留タンク15から未使用の洗浄液を洗浄液槽33に供給する。制御装置70はさらに、切替弁41を閉止し、切替弁51を開放することにより、洗浄ステージST1を移送モードにする。ポンプ20および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液は、移送経路R2を通流して浄化されて洗浄液槽32へ移送される。
【0094】
図8は、循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第2の例を説明するためのタイミングチャートである。図8には、洗浄ステージST3に関連する部分の動作波形が示されている。
【0095】
図8に示すように、制御装置70は、ポンプ21および浄化装置60を連続的に作動(オン)させる。制御装置70はさらに、物体検知センサ80からの信号に基づいて、洗浄ステージST3における被洗浄物Wの有無を検知する。
【0096】
時刻t1にて、洗浄ステージST3に被洗浄物Wが位置していることが検知されると、制御装置70は、ポンプ13,20を作動させる。ポンプ13が作動することにより、洗浄液槽33に貯留された洗浄液は、循環配管3を経由してノズル3aに送られ、被洗浄物Wに散布された後に、洗浄液槽33に回収される。ポンプ20が作動することにより、貯留タンク15から未使用の洗浄液が洗浄液槽33に供給される。
【0097】
時刻t1にて、制御装置70はさらに、切替弁41を閉止し、切替弁51を開放することにより、洗浄ステージST3を循環モードから移送モードへ遷移させる。ポンプ21および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液は、移送経路R2を通流して浄化されて洗浄液槽32へ移送される。このとき制御装置70は、移送経路R2を通流する洗浄液の流量が、供給配管4を通流する未使用の洗浄液の流量と同等となるようにポンプ20,21を制御する。よって、時刻t1以降、洗浄液槽33の液量は略一定に保たれる。
【0098】
時刻t2にて、洗浄ステージST3から被洗浄物Wが搬出され、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置していないことが検知されると、制御装置70は、ポンプ13,20の作動を停止させる。ポンプ13が停止することにより、ノズル3aによる洗浄液の散布が停止される。ポンプ20が停止することにより、貯留タンク15から洗浄液槽33への未使用の洗浄液の供給が停止される。
【0099】
時刻t2にて、制御装置70はさらに、切替弁41を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST3を移送モードから循環モードへ遷移させる。ポンプ21および浄化装置60が作動することにより、洗浄液槽33に貯留された洗浄液は、循環経路R1を通流して浄化されて洗浄液槽33へ戻される。
【0100】
図9は、循環モードおよび移動モードの切り替え方法の第1の例の制御処理を示すフローチャートである。図9には、洗浄ステージST3に関連する部分の制御処理が示されている。図9に示された制御処理は、制御装置70によって繰り返し実行される。
【0101】
図9に示すように、制御装置70は、ステップS11により、ポンプ21を作動(オン)する。さらにステップS12により、制御装置70は、浄化装置60を作動する。
【0102】
制御装置70は、ステップS13により、物体検知センサ80からの信号に基づいて、洗浄ステージST3における被洗浄物Wの有無を検知する。洗浄ステージST3に被洗浄物Wが位置していることが検知された場合(S13のYES判定時)、制御装置70は、ステップS14により、ポンプ13を作動(オン)して、被洗浄物Wの精密洗浄を実行する。
【0103】
制御装置70は続いて、ステップS15により、ポンプ20を作動(オン)する。ポンプ20の作動により、洗浄液槽33に未使用の洗浄液が供給される。制御装置70はさらに、ステップS16により、切替弁41を閉止し、切替弁51を開放することにより、洗浄ステージST3を移送モードとする。
【0104】
これに対して、ステップS13にて洗浄ステージST3に被洗浄物Wが位置していることが検知されない場合(S13のNO判定時)には、制御装置70は、ステップS17により、ポンプ13の作動を停止(オフ)し、精密洗浄を停止する。
【0105】
制御装置70は続いて、ステップS18により、ポンプ20の作動を停止する。ポンプ20の停止により、洗浄液槽33への未使用の洗浄液の供給が停止される。
【0106】
制御装置70はさらに、ステップS19により、切替弁41を開放し、切替弁51を閉止することにより、洗浄ステージST3を循環モードとする。
【0107】
このように第2の例では、洗浄ステージST3に被洗浄物Wが位置している間に、ポンプ13を作動させて被洗浄物Wの精密洗浄を実行する。そして、この精密洗浄の実行中、ポンプ20を作動して未使用の洗浄液を洗浄液槽33へ供給するとともに、洗浄ステージST3を移送モードとして、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液を洗浄液槽32へ移送する。
【0108】
これによると、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置しているときに合わせてポンプ13を間欠的に作動させるため、被洗浄物Wの精密洗浄を効率的に行うことができる。また、精密洗浄が実行されている間、洗浄液槽33には未使用の洗浄液が供給されるため、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液の洗浄力が回復され、洗浄液の再利用による洗浄力の低下を抑制することができる。
【0109】
さらに、未使用の洗浄液の供給に合わせて洗浄ステージST3が移送モードとなるため、洗浄力が回復された洗浄液を洗浄液槽32へ移送することができる。このとき、洗浄液は浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽32へ移送されるため、異物を含んだ洗浄液が洗浄液槽32へ移送されることを抑制することができる。
【0110】
また、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置していない間は、洗浄ステージST3は循環モードとなるため、次回の精密洗浄に備えて、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液を浄化することができる。
【0111】
洗浄ステージST2においても、上述した制御処理と同様の制御装置が実行される。したがって、被洗浄物Wの粗洗浄を効率的に実行することができるとともに、粗洗浄が実行されている間に洗浄液槽32に貯留されている洗浄液の洗浄力が回復されるため、洗浄液の再利用による洗浄力の低下を抑制することができる。また、洗浄力が回復された洗浄液が浄化装置60による浄化を経て洗浄液槽31へ移送されるため、異物を含んだ洗浄液が洗浄液槽31へ移送されることを抑制することができる。
【0112】
さらに、被洗浄物Wが洗浄ステージST2に位置していない間は、洗浄ステージST2は循環モードとなるため、次回の祖洗浄に備えて、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液を浄化することができる。
【0113】
(変形例)
上述した第2の例では、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置しているときに、洗浄液槽33に未使用の洗浄液を供給するとともに、洗浄ステージST3を移送モードとする一方で、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置していない間に、洗浄液槽33への未使用の洗浄液の供給を停止するとともに、洗浄ステージST3を循環モードとする構成について説明したが、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置しているときに、洗浄液槽33への未使用の洗浄液の供給を停止するとともに、洗浄ステージST3を循環モードとする一方で、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置していない間に、洗浄液槽33へ未使用の洗浄液を供給するとともに、洗浄ステージST3を移送モードとする構成としてもよい。このようにすると、被洗浄物Wが洗浄ステージST3に位置していない間に、次回の精密洗浄に備えて、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液を浄化することができる。
【0114】
洗浄ステージST2においても、被洗浄物Wが洗浄ステージST2に位置しているときに、洗浄ステージST2を循環モードとする一方で、被洗浄物Wが洗浄ステージST2に位置していない間に、洗浄ステージST2を移送モードとする構成としてもよい。このようにすると、被洗浄物Wが洗浄ステージST2に位置していない間に、次回の粗洗浄に備えて、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液を浄化することができる。
【0115】
[実施の形態4]
図10は、実施の形態4に係る洗浄装置100の構成例を概略的に示す図である。図10に示すように、実施の形態4に係る洗浄装置100は、図1に示した実施の形態1に係る洗浄装置100とは、浄化装置60が紫外線照射装置60Aである点、および、紫外線透過率検出部82を備える点が異なる。
【0116】
紫外線照射装置60Aは、移送配管5,7を通流する洗浄液に紫外線(UV)を照射するためのUV発生部を内臓しており、洗浄液に紫外線を照射するように構成されている。洗浄液は、紫外線照射によって除菌されることにより、雑菌数が減少して浄化される。なお、図10では、浄化装置60として紫外線照射装置60Aを採用するが、除菌効果を有する波長域の光線を照射する光線照射装置を採用してもよい。紫外線照射装置60Aは「光線照射装置」の一実施例に対応する。
【0117】
紫外線透過率検出部82は、洗浄液槽32,33の各々に取り付けられている。紫外線透過率検出部82は、洗浄液槽32,33に貯留されている洗浄液の紫外線透過率を検出するように構成されている。
【0118】
図11は、図10に示した紫外線透過率検出部82の構成例を概略的に示す図である。図11には、洗浄ステージST3の洗浄液槽33に取り付けられた紫外線透過率検出部82の構成例が示されている。
【0119】
図11に示すように、紫外線透過率検出部82は、洗浄液槽33の側面に形成された管部分330に取り付けられている。管部分330は、鉛直方向に延在し、両端部が洗浄液槽33の側面に接続されている。なお、管部分330の延在方向に垂直な方向における断面積は、洗浄液槽33の水平方向における断面積に比べて小さい。管部分330は、洗浄液槽33の内部と連通しており、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液を収容可能に構成されている。
【0120】
紫外線透過率検出部82は、発光部820と、受光部822とを有している。発光部820と受光部822とは、管部分330を挟んで対向するように配置されている。発光部820は、紫外線(UV)を発生する。発光部820から発せられた紫外線は、管部分330内の洗浄液を透過した後、受光部822にて受光される。
【0121】
受光部822は、受光された紫外線の強度を示す信号を制御装置70に与える。制御装置70は、受光部822からの信号に基づいて、紫外線が管部分330内の洗浄液を透過するときの透過率を検出する。
【0122】
具体的には、制御装置70は、洗浄液槽33が未使用洗浄液または純水(または超純水)を貯留している場合において受光部822にて受光される紫外線の強度を、基準強度として予め有している。制御装置70は、この基準強度に対する、洗浄液を通過して受光された紫外線の強度の比を求めることにより、洗浄液の紫外線透過率を検出する。
【0123】
洗浄ステージST3では、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液が繰り返し利用されるため、未使用の洗浄液の供給および循環モードによっても、洗浄液には、被洗浄物Wから除去された異物が蓄積されていく場合がある。この異物の蓄積によって異物の含有量が徐々に増加するに従って、洗浄液の紫外線透過率が徐々に低下する。
【0124】
紫外線照射装置60Aにおける紫外線照射量は、UV発生部の紫外線発生強度と、洗浄液の紫外線透過率とに依存する。紫外線発生強度を一定とした場合には、洗浄液の紫外線透過率が低下することによって紫外線照射量が減少するため、洗浄液を十分に浄化できなくなる可能性がある。そのため、洗浄液の洗浄力の低下を促進させることが懸念される。
【0125】
そこで、制御装置70は、紫外線透過率検出部82により検出された洗浄液の紫外線透過率と予め定められた閾値とを比較し、その比較結果に基づいてポンプ21を制御することにより、移送配管5を通流する洗浄液の流量を調整するように構成される。移送配管5における洗浄液の流量を調整することで、洗浄液に対する紫外線の照射時間を調整する。
【0126】
図12は、制御装置70によるポンプ21の制御を説明するための図である。図12には、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液の紫外線透過率と、移送配管5を通流する洗浄液の流量との関係が例示されている。図12の横軸は洗浄液の紫外線透過率を示し、縦軸は移送配管5における洗浄液の流量を示す。
【0127】
図12に示すように、洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth以上である場合には、制御装置70は、移送配管5を通流する洗浄液の流量が予め定められた基準値R1になるように、ポンプ21を制御する。
【0128】
ここで、紫外線照射装置60Aによる紫外線照射量は、紫外線強度と照射時間との積で表される。照射時間は、移送配管5を通流する洗浄液の流量で決まる。洗浄液の流量が大きくなるに従って洗浄液の流速が速くなるため、照射時間が短くなり紫外線照射量が減少する。反対に、洗浄液の流量を小さくすれば、照射時間が長くなり紫外線照射量を増加させることができる。
【0129】
そこで、洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth未満である場合には、制御装置70は、洗浄液の流量が基準値R1よりも小さくなるように、ポンプ21を制御する。図12の例では、制御装置70は、洗浄液の紫外線透過率が低くなるほど、洗浄液の流量が減少するように、ポンプ21を制御する。このようにすると、洗浄液の紫外線透過率が低くなるほど、洗浄液に対する紫外線の照射時間が長くなるため、紫外線照射量の減少を抑制することができる。なお、図12では、紫外線透過率に応じて洗浄液の流量を連続的に変化させる構成例について説明したが、洗浄液の流量を段階的に変化させる構成としてもよい。
【0130】
洗浄ステージST2においても、制御装置70は、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth以上である場合には、移送配管7を通流する洗浄液の流量が基準値R1になるように、ポンプ22を制御する。一方、洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth未満である場合には、制御装置70は、洗浄液の流量が基準値R1よりも小さくなるように、ポンプ22を制御する。これにより、洗浄液の紫外線透過率の低下による紫外線照射量の減少を抑制することができる。
【0131】
(変形例1)
図12では、洗浄液の紫外線透過率に応じて移送配管5における洗浄液の流量を調整する構成について説明したが、洗浄液の紫外線透過率に応じて、UV発生部における紫外線発生強度を調整する構成としてもよい。具体的には、洗浄液の紫外線透過率が低くなるほど、UV発生部の出力を増加させ、紫外線発生強度を上げる構成とすることができる。このようにすると、洗浄液の紫外線透過率が低くなるほど、紫外線発生強度が大きくなるため、紫外線照射量の減少を抑制することができる。
【0132】
(変形例2)
図12では、洗浄液の紫外線透過率に応じて移送配管5における洗浄液の流量を調整する構成について説明したが、洗浄液の紫外線透過率に応じて供給配管4を通流する未使用の洗浄液の流量を調整する構成としてもよい。
【0133】
図13は、制御装置70によるポンプ21の制御を説明するための図である。
図13には、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液の紫外線透過率と、供給配管4を通流する未使用の洗浄液の流量との関係が例示されている。図13の横軸は洗浄液の紫外線透過率を示し,縦軸は供給配管4における未使用の洗浄液の流量を示す。
【0134】
図13に示すように、洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth以上である場合には、制御装置70は、供給配管4を通流する未使用の洗浄液の流量が予め定められた基準値R2になるように、ポンプ20を制御する。
【0135】
一方、洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth未満である場合には、制御装置70は、未使用の洗浄液の流量が基準値R2よりも大きくなるように、ポンプ20を制御する。図13の例では、制御装置70は、洗浄液の紫外線透過率が低くなるほど未使用の洗浄液の流量が増加するように、ポンプ20を制御する。
【0136】
このようにすると、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液の紫外線透過率が低くなるに従って、洗浄液槽33に供給される未使用の洗浄液の供給量が増加する。その結果、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液全体に占める未使用の洗浄液の割合が増えるため、洗浄液の紫外線透過率が上昇することになる。洗浄液の紫外線透過率が上昇したことによって、紫外線照射量の減少が抑制される。なお、図13では、紫外線透過率に応じて未使用の洗浄液の流量を連続的に変化させる構成例について説明したが、未使用の洗浄液の流量を段階的に変化させる構成としてもよい。
【0137】
洗浄ステージST2では、制御装置70は、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth以上である場合には、移送配管5を通流する洗浄液の流量が基準値R2になるように、ポンプ21を制御する。
【0138】
一方、洗浄液の紫外線透過率が閾値Tth未満である場合には、制御装置70は、移送配管5を通流する洗浄液の流量が基準値R2よりも大きくなるように、ポンプ21を制御する。洗浄液槽33に貯留されている洗浄液は、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液によりも異物の含有量が少ない。そのため、紫外線透過率の低下に応じて、洗浄液槽33から洗浄液槽32に送られてくる洗浄液の量を増やすことにより、洗浄液槽32に貯留されている洗浄液の紫外線透過率を回復させることができる。その結果、紫外線照射量の減少を抑制することができる。
【0139】
[実施の形態5]
図14は、実施の形態5に係る洗浄装置100の構成例を概略的に示す図である。図14に示すように、実施の形態5に係る洗浄装置100は、図10に示した実施の形態4に係る洗浄装置100とは、複数の逆洗フィルタ84、複数の逆洗配管86、および複数のポンプ88を備える点が異なる。
【0140】
図14に示すように、逆洗フィルタ84は、循環配管6,8の各々に介挿接続されている。逆洗フィルタ84は、網目状構造を有しており、循環配管6,8を通流する洗浄液を濾過して洗浄液に含まれる異物を捕集するように構成されている。
【0141】
逆洗フィルタ84には、逆洗配管86が接続されている。ポンプ88は、逆洗配管86に介挿接続される。逆洗配管86およびポンプ88は、逆洗フィルタ84に捕集された異物を除去するために、逆洗フィルタ84を逆洗浄するための「逆洗装置」を構成する。逆洗浄とは、逆洗フィルタ84内の洗浄水の通流方向を、循環モード時とは逆方向とすることで、逆洗フィルタ84に付着した異物を除去する洗浄方法である。
【0142】
図14の例では、逆洗配管86に介挿接続されるポンプ88を作動することにより、逆洗配管86を経由して逆洗フィルタ84に水が送られる。逆洗フィルタ84内の水の通流方向は、循環モード時の洗浄液の通流方向とは逆方向となっている。逆洗フィルタ84を通流して異物を含んだ水は、廃水として逆洗配管86から排出される。
【0143】
このように逆洗フィルタ84の逆洗浄を行うことによって、逆洗フィルタ84の目詰まりを防ぐことができるため、循環モード時に洗浄液槽33に循環される洗浄液を適当に浄化することができる。
【0144】
図15は、洗浄ステージST3における逆洗フィルタ84の逆洗浄を説明するための図である。
【0145】
切替弁41が開放され、切替弁51が閉止されると、洗浄ステージST3は循環モードとなる。循環モード時には、循環配管6を通流する洗浄液が逆洗フィルタ84を通過する。逆洗フィルタ84によって濾過された洗浄液が洗浄液槽33に戻される。浄化装置60および逆洗フィルタ84によって洗浄液が浄化されるため、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液の洗浄力の低下を抑制することができる。
【0146】
次に、切替弁41が閉止され、切替弁51が開放されると、洗浄ステージST3は循環モードから移送モードへ遷移する。図15には、移送モード時の洗浄ステージST3が示されている。移送モード時には、洗浄液槽33に貯留されている洗浄液が図示しない洗浄液槽32へ送られるため、循環配管6には洗浄液が流れない。そこで、制御装置70は、移送モード時にポンプ88を作動させて逆洗フィルタ84の逆洗浄を行う。洗浄ステージST3が移送モードから循環モードに再び遷移すると、制御装置70は、ポンプ88の作動を停止することにより、逆洗フィルタ84の逆洗浄を停止する。
【0147】
図16は、逆洗フィルタ84の逆洗浄を説明するためのタイミングチャートである。図16には、洗浄ステージST3に関連する部分の動作波形が示されている。図16のタイミングチャートは、図4に示したタイミングチャートにポンプ88の動作波形を追加したものである。
【0148】
図16に示すように、制御装置70は、洗浄ステージST3が循環モードとなる期間(時刻t2以前、時刻t3~t5、および時刻t6以降の期間)において、ポンプ88の作動を停止(オフ)する。よって、逆洗フィルタ84の逆洗浄は行われない。逆洗フィルタ84は、循環配管6を通流する洗浄液に含まれる異物を除去する。
【0149】
制御装置70は、洗浄ステージST3は移送モードとなる期間(時刻t2~t3、および時刻t5~t6の期間)において、ポンプ88を作動(オン)する。ポンプ88が作動することにより、逆洗フィルタ84の逆洗浄が行われ、循環モード中に付着した異物が逆洗フィルタ84から除去される。
【0150】
このように移送モードから循環モードへの遷移に合わせて逆洗フィルタ84の逆洗浄を実行することにより、循環モード時における逆洗フィルタ84の異物除去性能を保つことができる。
【0151】
[実施の形態6]
図17は、実施の形態6に係る洗浄装置100の構成例を概略的に示す図である。図17に示すように、実施の形態6に係る洗浄装置100は、図1に示した実施の形態1に係る洗浄装置100とは、ドレン配管35およびドレン排出弁37を備える点が異なる。
【0152】
洗浄液槽33の底面にはドレン配管35の上流端が接続されている。ドレン配管35の下流端は、図示しない廃棄タンクに接続されている。
【0153】
ドレン排出弁37は、ドレン配管35に介挿接続される。ドレン排出弁37の開閉は、制御装置70によって制御される。ドレン排出弁37が開放されると、洗浄液槽33の底面に沈殿している異物が洗浄液槽33から排出されて廃棄タンクへ送られる。
【0154】
これによると、洗浄液槽33に滞留している異物を、ドレン配管35を通して外部に排出することができる。そのため、洗浄液における異物の含有量を減らすことができる。
【0155】
なお、図17の例では、洗浄液槽33にのみドレン配管35およびドレン排出弁37が取り付けられているが、洗浄液槽31,32にもドレン配管35およびドレン排出弁37を取り付けることが可能である。
【0156】
また、ドレン排出弁37の開閉は、制御装置70が予め定められた周期に従って行うことができる。あるいは、制御装置70は、外部から与えられた開放指令に応答して、ドレン排出弁37を開放する構成としてもよい。
【0157】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置であって、
前記被洗浄物を搬送する搬送路と、
前記搬送路に設けられ、前記被洗浄物に前記洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第1の洗浄ステージと、
前記被洗浄物の搬送方向において前記第1の洗浄ステージの下流側に設けられ、前記被洗浄物に前記洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第2の洗浄ステージと、
制御装置とを備え、
前記第1の洗浄ステージは、
前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を回収するための第1の洗浄液槽と、
前記第1の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布するための第1の循環系統とを含み、
前記第2の洗浄ステージは、
前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を回収する第2の洗浄液槽と、
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布する第2の循環系統と、
前記洗浄液を浄化する浄化装置と、
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を、前記浄化装置を経て前記第1の洗浄液槽へ移送するための移送経路と、
前記洗浄液を前記第2の洗浄液槽から前記浄化装置を経て前記第2の洗浄液槽に戻すための循環経路と、
前記移送経路および前記循環経路の間で、前記洗浄液が通流する経路を切り替えるための切替手段とを含み、
前記制御装置は、前記切替手段を制御することにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、洗浄装置。
【0158】
(付記2)
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の液量を検出するためのレベルセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記レベルセンサにより検出される前記第2の洗浄液槽の液量に応じて前記切替手段を制御することにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、付記1に記載の洗浄装置。
【0159】
(付記3)
前記制御装置は、
前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が第1の閾値以上となったときには、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となったときには、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御する、付記2に記載の洗浄装置。
【0160】
(付記4)
前記第2の洗浄ステージは、前記搬送路の最下流に配置されており、
前記第2の洗浄液槽には、未使用の洗浄液を供給するための供給配管が接続され、
前記制御装置は、
前記未使用の洗浄液を前記第2の洗浄液槽に供給し、かつ、前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が前記第1の閾値以上となったときには、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合において、前記第2の洗浄液槽の液量が前記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となったときには、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御するとともに、前記第2の洗浄液槽への前記未使用の洗浄液の供給を停止する、付記3に記載の洗浄装置。
【0161】
(付記5)
前記第2の洗浄ステージにおける前記被洗浄物の有無を検知するための物体検知センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記物体検知センサからの信号に応じて前記切替手段を制御することにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、付記1に記載の洗浄装置。
【0162】
(付記6)
前記制御装置は、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置することが検知された場合には、前記第2の循環系統を作動するとともに、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置しないことが検知された場合には、前記第2の循環系統を停止するとともに、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御する、付記5に記載の洗浄装置。
【0163】
(付記7)
前記第2の洗浄ステージは、前記搬送路の最下流に配置されており、
前記第2の洗浄液槽には、未使用の洗浄液を供給するための供給配管が接続され、
前記制御装置は、前記物体検知センサからの信号に応じて、前記第2の洗浄液槽への前記未使用の洗浄液の供給を制御する、付記5または付記6に記載の洗浄装置。
【0164】
(付記8)
前記制御装置は、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置することが検知された場合には、前記第2の洗浄液槽に前記未使用の洗浄液を供給し、
前記第2の洗浄ステージに前記被洗浄物が位置しないことが検知された場合には、前記第2の洗浄液槽への前記未使用の洗浄液の供給を停止する、付記7に記載の洗浄装置。
【0165】
(付記9)
前記浄化装置は、除菌効果を有する波長域の光線を前記洗浄液に照射する光線照射装置を含む、付記1から付記8のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【0166】
(付記10)
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の前記光線の透過率を検出する透過率検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記洗浄液の前記光線の透過率が基準値未満である場合には、当該透過率が前記基準値以上である場合に比べて、前記移送経路および前記循環経路を通流する前記洗浄液の流量を低下させる、付記9に記載の洗浄装置。
【0167】
(付記11)
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の前記光線の透過率を検出する透過率検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記洗浄液の前記光線の透過率が基準値未満である場合には、当該透過率が前記基準値以上である場合に比べて、前記光線照射装置における前記光線の発生強度を増加させる、付記9に記載の洗浄装置。
【0168】
(付記12)
前記第1の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液の前記光線の透過率を検出する透過率検出部をさらに備え、
前記制御装置は、前記洗浄液の前記光線の透過率が基準値未満である場合には、当該透過率が前記基準値以上である場合に比べて、前記移送経路を通流する前記洗浄液の流量を増加させる、付記9に記載の洗浄装置。
【0169】
(付記13)
前記第2の洗浄ステージは、
前記循環経路に介挿接続され、前記洗浄液を濾過するフィルタと、
前記フィルタの逆洗浄を行うための逆洗浄装置とをさらに含み、
前記制御装置は、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記逆洗浄装置を作動し、
前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記逆洗浄装置を停止する、付記1から付記12のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【0170】
(付記14)
前記第2の洗浄ステージは、前記搬送路の最下流に配置されており、
前記第2の洗浄液槽には、未使用の洗浄液を供給するための供給配管が接続され、
前記制御装置は、
前記未使用の洗浄液が前記第2の洗浄液槽に供給されている場合に、前記移送経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御し、
前記未使用の洗浄液が前記第2の洗浄液槽に供給されていない場合に、前記循環経路を前記洗浄液が通流するように前記切替手段を制御する、付記1に記載の洗浄装置。
【0171】
(付記15)
前記第1の洗浄ステージは、前記搬送路の最上流に配置されており、前記第1の洗浄液槽に貯留されている前記洗浄液を排出するための排出配管をさらに含み、
前記制御装置は、
前記移送経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記第1の洗浄液槽から前記洗浄液を排出し、
前記循環経路を前記洗浄液が通流している場合に、前記第1の洗浄液槽からの前記洗浄液の排出を停止する、付記1から付記14のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【0172】
(付記16)
前記移送経路は、前記第2の洗浄液槽に上流端が接続され、かつ、前記第1の洗浄液槽に下流端が接続された移送配管を含み、前記移送配管には前記浄化装置が介挿接続され、
前記循環経路は、前記浄化装置と前記第1の洗浄液槽との間の前記移送配管に上流端が接続され、かつ、前記第2の洗浄液槽に下流端が接続された循環配管を含み、
前記切替手段は、
前記循環配管に介挿接続される第1の切替弁と、
前記循環配管の上流端と前記第1の洗浄液槽との間の前記移送配管に介挿接続される第2の切替弁とを含み、
前記制御装置は、前記第1および第2の切替弁を相補的に開閉させることにより、前記洗浄液が通流する経路を切り替える、付記1から付記15のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【0173】
(付記17)
前記第1および第2の洗浄液槽の少なくとも一方に接続されたドレン配管と、
前記ドレン配管に介挿接続されるドレン排出弁とをさらに備える、付記16に記載の洗浄装置。
【0174】
(付記18)
洗浄装置で被洗浄物を洗浄する方法であって、
前記洗浄装置は、
前記被洗浄物を搬送する搬送路と、
前記搬送路に設けられ、前記被洗浄物に前記洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第1の洗浄ステージと、
前記被洗浄物の搬送方向において前記第1の洗浄ステージの下流側に設けられ、前記被洗浄物に前記洗浄液を散布することにより前記被洗浄物を洗浄する第2の洗浄ステージとを含み、
前記第1の洗浄ステージにて、前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を第1の洗浄液槽に回収し、前記第1の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布するステップと、
前記第2の洗浄ステージにて、前記被洗浄物に散布された前記洗浄液を第2の洗浄液槽に回収し、前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を前記被洗浄物に散布するステップと、
前記第2の洗浄液槽に貯留される前記洗浄液を、浄化装置を経て前記第1の洗浄液槽へ移送するための移送経路を形成するステップと、
前記洗浄液を前記第2の洗浄液槽から前記浄化装置を経て前記第2の洗浄液槽に戻すための循環経路を形成するステップと、
前記移送経路および前記循環経路の間で、前記洗浄液が通流する経路を切り替えるステップとを備える、洗浄方法。
【0175】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0176】
1~3,6,8 循環配管、1a,2a,3a ノズル、4 供給配管、5,7 移送配管、9 排出配管、10 搬送路、11~13,20~23,88 ポンプ、15 貯留タンク、31~33 洗浄液槽、35 ドレン配管、37 ドレン排出弁、41,42,51,52 切替弁、60 浄化装置、60A 紫外線照射装置、62 レベルセンサ、70 制御装置、72 プロセッサ、74 メモリ、76 入出力I/F、80 物体検知センサ、82 紫外線透過率検出部、84 逆洗フィルタ、86 逆洗配管、100 洗浄装置、330 管部分、820 発光部、822 受光部、ST1~ST3 洗浄ステージ、R1 循環経路、R2 移送経路。
図1
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