(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005815
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20240110BHJP
H02K 9/22 20060101ALI20240110BHJP
B60L 15/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K9/22 Z
B60L15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106203
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】水池 宏友
(72)【発明者】
【氏名】胡 亞波
(72)【発明者】
【氏名】大山 誠一
【テーマコード(参考)】
5H125
5H607
5H609
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125FF02
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607BB18
5H607CC01
5H607DD02
5H607EE33
5H607FF12
5H609BB03
5H609BB16
5H609BB19
5H609PP08
5H609QQ23
5H609RR58
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ステータの放熱性に優れる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置10は、中心軸を中心に回転可能な中空のハブ回転体と、ステータ33を有し、ハブ回転体の内部に収容されるモータ30と、ハブ回転体とステータとの間に配置されるマグネット60と、マグネットに保持される磁性流体65と、を備える。ステータは、径方向外側を向くコア外側面34bを有するステータコア34を有する。ハブ回転体は、ステータコアを径方向外側から囲む側壁部22を有する。マグネットは、側壁部に固定され、かつ、コア外側面と径方向に対向して配置される。磁性流体は、マグネットとコア外側面との間に配置され、マグネットおよびコア外側面と接触する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心に回転可能な中空のハブ回転体と、
ステータを有し、前記ハブ回転体の内部に収容されるモータと、
前記ハブ回転体と前記ステータとの間に配置されるマグネットと、
前記マグネットに保持される磁性流体と、
を備え、
前記ステータは、径方向外側を向くコア外側面を有するステータコアを有し、
前記ハブ回転体は、前記ステータコアを径方向外側から囲む側壁部を有し、
前記マグネットは、前記側壁部に固定され、かつ、前記コア外側面と径方向に対向して配置され、
前記磁性流体は、前記マグネットと前記コア外側面との間に配置され、前記マグネットおよび前記コア外側面と接触する、駆動装置。
【請求項2】
前記磁性流体は、前記コア外側面のうち少なくとも軸方向の中央部と接触する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記マグネットの軸方向の寸法は、前記コア外側面の軸方向の寸法よりも小さい、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記側壁部は、前記側壁部の内側面から径方向外側に窪む凹部を有し、
前記マグネットは、前記凹部に固定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記マグネットの径方向内側の面は、前記凹部の内部から径方向内側に突出した位置に配置される、請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記マグネットは、周方向に沿って一周に亘って配置される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記マグネットの径方向内側を向く面における磁極は、前記マグネットの径方向内側を向く面全体に亘って同極であり、
前記マグネットの径方向外側を向く面における磁極は、前記マグネットの径方向外側を向く面全体に亘って同極であり、
前記マグネットの径方向内側を向く面における磁極と、前記マグネットの径方向外側を向く面における磁極とは、互いに異極である、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記マグネットは、ゴムマグネットであり、
前記側壁部に圧入されている、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記マグネットは、周方向に沿って互いに間隔をあけて複数配置される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項10】
複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面における磁極は、複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面全体に亘って同極であり、
複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面における磁極は、互いに同極であり、
複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面における磁極は、複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面全体に亘って同極であり、
複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面における磁極は、互いに同極であり、
複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面における磁極と、複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面における磁極とは、互いに異極である、請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記マグネットは、前記側壁部と接着されている、請求項6から10のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記モータは、前記ステータが固定されるハウジングを有し、
前記ハブ回転体は、軸方向一方側に開口する開口部を有する収容部と、前記開口部を塞ぐ蓋部と、を有し、
前記モータは、前記収容部の内部に配置され、
前記ハウジングは、前記ステータの軸方向一方側に配置される第1ハウジング部材と、前記ステータの軸方向他方側に配置される第2ハウジング部材と、を有し、
前記第2ハウジング部材の径方向外側を向く外側面は、前記第1ハウジング部材の径方向外側を向く外側面よりも径方向内側に配置される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項13】
径方向において、前記第2ハウジング部材の径方向外側を向く外側面は、前記コア外側面と同じ位置、もしくは、前記コア外側面よりも径方向内側に配置される、請求項12に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動自転車、電動アシスト自転車、歩行介助車などの電動車に用いられる駆動装置として、例えば特許文献1に記載のように、ハブにモータを内蔵した駆動装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の駆動装置は、モータがハブの内部に収容されるため、モータが備えるステータにおいて発生した熱を駆動装置の外部に放熱しにくい構造であった。
【0005】
本発明の一つの態様は、ステータの放熱性に優れる駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、中心軸を中心に回転可能な中空のハブ回転体と、ステータを有し、前記ハブ回転体の内部に収容されるモータと、前記ハブ回転体と前記ステータとの間に配置されるマグネットと、前記マグネットに保持される磁性流体と、を備える。前記ステータは、径方向外側を向くコア外側面を有するステータコアを有する。前記ハブ回転体は、前記ステータコアを径方向外側から囲む側壁部を有する。前記マグネットは、前記側壁部に固定され、かつ、前記コア外側面と径方向に対向して配置される。前記磁性流体は、前記マグネットと前記コア外側面との間に配置され、前記マグネットおよび前記コア外側面と接触する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、モータの放熱性に優れる駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の駆動装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の駆動装置の一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の駆動装置を示す断面図であって、
図1のIII-III断面図である。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態の駆動装置のマグネット固定工程を示す断面図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態の駆動装置のマグネット固定工程を示す他の断面図である。
【
図5A】
図5Aは、第1実施形態の駆動装置のモータ取付工程を示す断面図である。
【
図5B】
図5Bは、第1実施形態の駆動装置のモータ取付工程を示す他の断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の駆動装置を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の駆動装置のマグネット固定工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においては、Y軸を示す。Y軸は、以下に説明する実施形態の駆動装置の中心軸線Jが延びる方向を示す。各図に示す中心軸線Jは、仮想軸線である。以下の説明において、中心軸線Jが延びる方向、つまりY軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。周方向は、各図において矢印θで示される。
【0010】
<第1実施形態>
本実施形態の駆動装置10は、電動自転車、電動アシスト自転車、歩行介助車などの電動車の駆動装置として用いられる。
図1に示すように、駆動装置10は、電動車に固定される第1ハブ軸11および第2ハブ軸12と、中心軸線Jを中心に回転可能な中空のハブ回転体20と、ハブ回転体20の内部に収容され、第2ハブ軸12に固定されるモータ30と、モータ30およびハブ回転体20に連結される減速機構40と、マグネット60と、磁性流体65と、を備える。モータ30は、第2ハブ軸12に固定されるハウジング50を有する。ハウジング50には減速機構40が固定される。モータ30の動力は、減速機構40を介して、ハブ回転体20に伝達され、ハブ回転体20が中心軸線Jを中心として回転駆動される。なお、第1ハブ軸11および第2ハブ軸12は、いずれか一方のみが電動車に固定される構造であってもよい。
【0011】
ハブ回転体20は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。ハブ回転体20は、モータ30および減速機構40を内部に収容する。ハブ回転体20は、収容部21と、蓋部25と、を有する。
【0012】
収容部21は、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。収容部21は、軸方向一方側(+Y側)に開口する開口部21aを有する。収容部21の内部には、モータ30および減速機構40が配置される。収容部21は、側壁部22と、接続部22dと、底壁部23と、を有する。
【0013】
側壁部22は、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。側壁部22は、モータ30および減速機構40を径方向外側から囲む。側壁部22は、凹部22aを有する。凹部22aは、側壁部22の内側面から径方向外側に窪む。凹部22aは、周方向に一周に亘って設けられる。凹部22aの内側面のうち、径方向内側を向く面は、第1内側面22bである。
【0014】
接続部22dは、側壁部22の外側面から径方向外側に突出する。接続部22dは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。本実施形態において、接続部22dは、2個設けられる。一方の接続部22dは、側壁部22の軸方向一方側(+Y側)の端部近傍に設けられる。他方の接続部22dは、側壁部22の軸方向他方側(-Y側)の端部近傍に設けられる。各接続部22dそれぞれには、図示しない電動車の車輪のスポークが接続される。
【0015】
底壁部23は、中心軸線Jを中心とする略円環板状である。底壁部23の板面は、軸方向を向く。底壁部23の径方向外側の端部は、側壁部22の軸方向他方側(-Y側)の端部と繋がる。底壁部23の内縁部には、第2ベアリング92が保持される。収容部21は、第2ベアリング92により、ハウジング50に回転可能に支持される。
【0016】
蓋部25は、中心軸線Jを中心とする略円環状である。蓋部25は、側壁部22の軸方向一方側(+Y側)の端部に固定される。蓋部25は、収容部21の開口部21aを塞ぐ。蓋部25の内縁部には、第1ベアリング91が保持される。蓋部25は、第1ベアリング91により第1ハブ軸11に回転可能に支持される。上述のように、収容部21は、第2ベアリング92により、ハウジング50に回転可能に支持される。これらにより、ハブ回転体20は、中心軸線Jを中心に回転可能となる。
【0017】
モータ30は、ハブ回転体20の内部に収容される。モータ30は、減速機構40の軸方向他方側(-Y側)に配置される。モータ30は、ハウジング50と、ロータ32と、ステータ33と、制御部70と、を有する。
【0018】
ハウジング50は、ロータ32およびステータ33を内部に収容する。ハウジング50は、ステータ33の軸方向一方側(+Y側)に配置される第1ハウジング部材51と、ステータ33の軸方向他方側(-Y側)に配置される第2ハウジング部材52と、を有する。第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とは、軸方向に間隔をあけて互いに対向する。第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52とが軸方向に間隔をあけて対向することで、第1ハウジング部材51と第2ハウジング部材52との軸方向の間には、径方向に開口するハウジング開口部50aが設けられる。ハウジング開口部50aは、周方向一周に亘って設けられる。
【0019】
第1ハウジング部材51は、軸方向他方側(-Y側)に開口する略円筒状である。第1ハウジング部材51は、第1壁部51aと、第1保持部51bと、第1周壁部51cと、を有する。第1壁部51aは、中心軸線Jを中心とする略円環板状である。第1壁部51aの板面は、軸方向を向く。第1壁部51aは、ステータ33の軸方向一方側(+Y側)、かつ、減速機構40の軸方向他方側に配置される。第1壁部51aの径方向外側の部分には、第1貫通孔51eが設けられる。第1貫通孔51eは、第1壁部51aを軸方向に貫通する孔である。第1貫通孔51eは、周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、第1貫通孔51eは、6個設けられる。
【0020】
第1保持部51bは、第1壁部51aの径方向内側の端部から軸方向他方側(-Y側)に突出する略円筒状である。第1保持部51bの内周面には、第3ベアリング93が保持される。第1周壁部51cは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。第1周壁部51cは、第1壁部51aの径方向外側の端部から軸方向他方側に向けて突出する。第1周壁部51cの軸方向他方側の端部は、ステータコア34の軸方向一方側を向く面の外縁部と接触する。
【0021】
第2ハウジング部材52は、軸方向一方側(+Y側)に開口する略円筒状である。第2ハウジング部材52は、第2壁部52aと、第2保持部52bと、ハブ軸保持部52cと、第2周壁部52dと、第3保持部52eと、を有する。第2壁部52aは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。第2壁部52aは、ステータ33の軸方向他方側(-Y側)、かつ、底壁部23の軸方向一方側に配置される。
【0022】
第3保持部52eは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。第3保持部52eは、第2壁部52aから軸方向一方側(+Y側)に突出する。第3保持部52eの外周面には、第2ベアリング92が保持される。第2保持部52bは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。第2保持部52bは、第3保持部52eから軸方向一方側(+Y側)に突出する。第2保持部52bの内周面には、第4ベアリング94が保持される。ハブ軸保持部52cは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。ハブ軸保持部52cは、第3保持部52eから軸方向他方側(-Y側)に突出する。ハブ軸保持部52cの内周面には、第2ハブ軸12が保持される。
【0023】
第2周壁部52dは、中心軸線Jを中心とする略円筒状である。第2周壁部52dは、第2壁部52aの径方向外側の端部から軸方向一方側(+Y側)に向けて突出する。第2周壁部52dの軸方向一方側の端部は、ステータ33の軸方向他方側(-Y側)を向く面と接触する。第2周壁部52dは、第1周壁部51cと軸方向にハウジング開口部50aを介して対向する。
図2に示すように、第2周壁部52dの径方向外側面は、第1周壁部51cの径方向外側面よりも径方向内側に配置される。つまり、第2ハウジング部材52の径方向外側を向く外側面は、第1ハウジング部材51の径方向外側を向く外側面よりも径方向内側に配置される。
【0024】
図1に示すように、第2周壁部52dには、雌ねじ穴52fが設けられる。雌ねじ穴52fは、第2周壁部52dの軸方向一方側(+Y側)を向く面から軸方向他方側(-Y側)に向けて窪む。雌ねじ穴52fは、周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、雌ねじ穴52fは、9個設けられる。軸方向に見て、6個の雌ねじ穴52fは、それぞれ、第1貫通孔51eと重なる。
【0025】
ロータ32は、中心軸線Jを中心として回転可能である。ロータ32は、ハウジング50の内部に配置される。ロータ32は、ロータコア32aと、ロータマグネット32bと、モータシャフト32cと、を有する。ロータコア32aは、中心軸線Jを中心とする円環状である。ロータマグネット32bは、ロータコア32aに固定される。ロータマグネット32bは、ロータコア32aに設けられた穴の内部に配置される。
図3に示すように、ロータマグネット32bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、ロータマグネット32bは、10個設けられる。
【0026】
図1に示すように、モータシャフト32cは、中心軸線Jに沿って延びる略円柱状である。モータシャフト32cは、ロータコア32aの内部を軸方向に通される。モータシャフト32cは、ロータコア32aの内周面に固定される。モータシャフト32cの軸方向一方側(+Y側)の部分は、第3ベアリング93に回転可能に支持される。モータシャフト32cの軸方向他方側(-Y側)の部分は、第4ベアリング94に回転可能に支持される。これらにより、ロータ32は、中心軸線Jを中心に回転可能となる。モータシャフト32cの軸方向一方側の端部は、第3ベアリング93よりも軸方向一方側に突出する。
【0027】
ステータ33は、ロータ32の径方向外側に配置される。ステータ33は、ステータコア34と、コイル35と、インシュレータ36と、を有する。ステータコア34は、中心軸線Jを中心とする略円環状である。ステータコア34の径方向外側の部分は、ハウジング開口部50aの内部に位置する。本実施形態において、ステータコア34は、例えば積層鋼板からなる。ステータコア34は、磁性を有する。
図3に示すように、ステータコア34は、コアバック部34aと、ティース部34fと、を有する。
【0028】
コアバック部34aは、中心軸線Jを中心とする略円環状である。
図1に示すように、コアバック部34aの径方向外側の端部は、ハウジング開口部50aの内部に位置する。コアバック部34aは、コア外側面34bと、第2貫通孔34cと、を有する。コア外側面34bは、ステータコア34の径方向外側を向く面である。
図2に示すように、コア外側面34bは、ハウジング開口部50aを介して、ハウジング50の外部に露出する。コア外側面34bは、第2周壁部52dの径方向外側面よりも径方向外側に配置される。つまり、径方向において、第2ハウジング部材52の径方向外側を向く外側面は、コア外側面34bよりも径方向内側に配置される。なお、径方向において、第2周壁部52dの径方向外側面は、コア外側面34bと同じ位置であってもよい。
【0029】
第2貫通孔34cは、ステータコア34を軸方向に貫通する孔である。
図3に示すように、第2貫通孔34cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、第2貫通孔34cは、9個設けられる。軸方向に見て、各第2貫通孔34cは、それぞれ、第2ハウジング部材52の雌ねじ穴52fと重なる。軸方向に見て、6個の第2貫通孔34cは、それぞれ、第1ハウジング部材51の第1貫通孔51eと重なる。
図1に示すように、各第1貫通孔51eおよび各第2貫通孔34cに、ねじ95が軸方向に通され、ねじ95が各雌ねじ穴52fに締め込まれると、ステータコア34の軸方向一方側(+Y側)を向く面の径方向外縁部は、第1周壁部51cと接触し、ステータコア34の軸方向他方側(-Y側)を向く面の径方向外縁部は、第2周壁部52dと接触する。これにより、ステータ33は、ハウジング50に固定される。
【0030】
図3に示すように、ティース部34fは、コアバック部34aの内周面から径方向内側に突出する。ティース部34fは、ロータコア32aと径方向に隙間をあけて対向する。ティース部34fは、周方向に沿って複数設けられる。本実施形態において、ティース部34fは、12個設けられる。
【0031】
図1に示すように、コイル35は、樹脂製のインシュレータ36を介して、ティース部34fに装着される。コイル35は、制御部70と電気的に接続される。制御部70からコイル35に電流が供給されると、ロータ32は中心軸線Jを中心として回転する。
【0032】
制御部70は、コイル35に供給される電流を制御する。制御部70は、コイル35および図示しない外部電源と電気的に接続される。制御部70は、ステータ33と第2壁部52aとの間に配置される。図示は省略するが、制御部70は、ハウジング50に固定される。
【0033】
減速機構40は、モータシャフト32cおよびハブ回転体20と接続される。モータ30から出力される動力は、減速機構40を介して、ハブ回転体20に伝達される。減速機構40は、モータ30の回転速度を減じて、モータ30から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速機構40は、太陽歯車41と、複数の遊星歯車42と、複数の支持軸43と、固定部44と、出力歯車45と、を有する。本実施形態において、遊星歯車42および支持軸43は、3組設けられる。
【0034】
太陽歯車41は、モータシャフト32cの軸方向一方側(+Y側)の端部に連結される。太陽歯車41は、モータシャフト32cと同軸の外歯歯車である。遊星歯車42は、太陽歯車41の径方向外側に配置される。遊星歯車42は、外径が異なる一組の同軸の外歯歯車を有する二段歯車である。遊星歯車42は、軸方向他方側(-Y側)に位置する大歯車42aと、軸方向一方側に位置する小歯車42bと、を有する。大歯車42aは、太陽歯車41と噛み合う。遊星歯車42は、大歯車42aおよび小歯車42bの中心を軸方向に貫通する歯車貫通孔42cを有する。
【0035】
支持軸43は、遊星歯車42を回転可能に支持する。支持軸43は、軸方向に延びる柱状である。支持軸43は、歯車貫通孔42cに通される。支持軸43の軸方向一方側(+Y側)の端部は、固定部44に固定される。支持軸43の軸方向他方側(-Y側)の端部は、第1ハウジング部材51の第1壁部51aに固定される。
【0036】
固定部44は、本体部44aと、突出部44bと、脚部44cと、を有する。本体部44aは、径方向に広がる略円環状である。本体部44aは、太陽歯車41の軸方向一方側(+Y側)に配置される。本体部44aには、第3貫通孔44dが設けられる。第3貫通孔44dは、本体部44aを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、第3貫通孔44dは、中心軸線Jを中心とする円形状である。第3貫通孔44dには、第1ハブ軸11が軸方向に通される。第3貫通孔44dの内周面には、第1ハブ軸11が固定される。
【0037】
突出部44bは、本体部44aから径方向外側に突出する。突出部44bには、複数の支持軸43の軸方向一方側(+Y側)の端部が固定される。脚部44cは、本体部44aの径方向外側の端部から軸方向他方側(-Y側)へ突出する。脚部44cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、脚部44cは、3個設けられる。各脚部44cは、第1ハウジング部材51の第1壁部51aにねじ96によって固定される。これにより、固定部44は、ハウジング50に固定される。
【0038】
出力歯車45は、遊星歯車42の小歯車42bを径方向外側から囲む略円環状である。出力歯車45は、小歯車42bに噛み合う内歯歯車である。出力歯車45は、ハブ回転体20の蓋部25の内面にねじ97によって固定される。これにより、減速機構40とハブ回転体20とが連結される。モータ30の動力は、太陽歯車41、複数の遊星歯車42、出力歯車45を介して、ハブ回転体20に伝達される。
【0039】
径方向において、マグネット60は、ハブ回転体20とステータ33との間に配置される。マグネット60は、ハブ回転体20の側壁部22に固定される。より詳細には、マグネット60は、凹部22aの第1内側面22bに固定される。
図2に示すように、マグネット60は、第2内側面60aを有する。第2内側面60aは、径方向内側を向く面である。第2内側面60aは、ステータコア34のコア外側面34bと径方向に隙間をあけて対向する。マグネット60は、磁性流体65を保持する。本実施形態において、マグネット60は、ゴムマグネットである。
図3に示すように、マグネット60は、周方向に沿って一周に亘って配置される。本実施形態において、マグネット60は、中心軸線Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。マグネット60は、略長方形の板状のゴムマグネットを円筒状に丸めて作られている。マグネット60の周方向の両端部同士は、互いに接触して配置される。マグネット60の周方向の両端部同士は、周方向に隙間を介して配置されてもよい。つまり、マグネット60は、軸方向に見て、C字形状であってもよい。また、マグネット60は、初めから円筒状に成形されて作られたマグネットであってもよい。
【0040】
図1に示すように、磁性流体65は、径方向において、マグネット60とステータコア34のコア外側面34bとの間に配置される。磁性流体65は、マグネット60に磁気的に保持される。
図2に示すように、磁性流体65は、第2内側面60aと接触する。本実施形態において、磁性流体65は、ベース液に磁性微粒子が分散された磁性コロイド溶液である。ベース液としては、水、炭化水素系油、エステル油およびフッ素系油等を用いることができる。磁性微粒子としては、酸化鉄、マグネタイトおよびフェライト等を用いることができる。磁性流体65は、流動性を有する。
【0041】
磁性流体65は、マグネット60からステータコア34に向かうマグネット60の磁力に、マグネット60の第2内側面60aおよびコア外側面34bと接触する。コイル35に電流が供給されると、コイル35において、ジュール熱が発生する。コイル35で発生したジュール熱は、インシュレータ36を介してステータコア34に伝わる。これにより、ステータ33全体の温度が上昇する。本実施形態において、ステータ33の温度が高くなりすぎると、耐熱温度が低いインシュレータ36およびコイル35の絶縁被膜等の性能が低下するため、駆動装置10の動作が不安定となる虞がある。本実施形態によれば、ステータコア34とハブ回転体20とは、磁性流体65およびマグネット60を介して、熱的に接続される。上述のように、磁性流体65は磁性粒子を含む流動体であるため、空気よりも熱伝導率が高い。また、マグネット60は、空気よりも熱伝導率が高い。そのため、ステータコア34とハブ回転体20とが空隙を介して配置される場合と比較して、ステータ33で発生したジュール熱を、好適にハブ回転体20に伝熱できる。ハブ回転体20に伝わったステータ33の熱は、駆動装置10の外部に放熱される。したがって、ステータ33の放熱性を向上させることができるため、耐熱温度が低いインシュレータ36およびコイル35の絶縁被膜等の性能が低下することを抑制でき、駆動装置10を安定して動作させることができる。
【0042】
本実施形態によれば、磁性流体65は、マグネット60の磁力によって、マグネット60の第2内側面60aおよびステータコア34のコア外側面34bと安定して接触する。したがって、ステータ33で発生したジュール熱を、安定してハブ回転体20に伝熱でき、ステータ33の放熱性を安定させることができる。
【0043】
本実施形態によれば、マグネット60が磁性流体65を磁気的に保持するため、磁性流体65が軸方向に漏出して、減速機構40およびロータマグネット32b等に付着することを抑制できる。よって、減速機構40を構成する遊星歯車42等の各歯車同士の間に磁性流体65が噛み込まれることを抑制できるため各歯車が損傷することを抑制できるとともに、ロータ32の回転を安定させることができる。
【0044】
本実施形態によれば、駆動装置10の駆動が停止している場合においても、マグネット60が磁性流体65を磁気的に保持するため、電動車が倒れる等によって、磁性流体65に大きな慣性力が加わっても、磁性流体65が軸方向に漏出することを抑制できる。
【0045】
本実施形態によれば、磁性流体65が流動性を有するため、ハブ回転体20が回転する際に、ステータコア34と磁性流体65との間の摩擦力が増大することを抑制できる。したがって、ハブ回転体20の回転を安定させることができるとともに、駆動装置10の出力効率が低下することを抑制できる。
【0046】
本実施形態によれば、上述のように、ステータ33の放熱性を向上させることができるため、ステータ33の温度を所定温度以下に維持するために必要なステータ33の熱容量を低減できため、駆動装置10の定格出力を高める場合に、ステータ33が大型化することを抑制できる。したがって、駆動装置10の寸法、重量および製造コストが増大することを抑制しつつ、駆動装置10の定格出力を高めることができる。
【0047】
図2に示すように、径方向に見て、マグネット60は、コア外側面34bのうち少なくとも軸方向の中央部34dと重なる。磁性流体65は、コア外側面34bのうち少なくとも軸方向の中央部34dと接触する。よって、本実施形態によれば、熱を放熱しやすいステータコア34の軸方向の両端側の部分と比較して、熱を放熱しづらく、温度が上昇し易いステータコア34の軸方向の中央部に、磁性流体65を接触させることができる。したがって、ステータコア34の軸方向の中央部の温度が高くなりすぎることを抑制でき、ステータ33の放熱性を好適に高めることができる。
【0048】
また、本実施形態では、磁性流体65は、コア外側面34bのうち軸方向の両端側の部分とは接触しない。そのため、磁性流体65とコア外側面34bとの接触面積が増大することを抑制できる。したがって、ハブ回転体20が回転する際に、ステータコア34と磁性流体65との間の摩擦力が増大することをより好適に抑制できる。これにより、ハブ回転体20の回転をより安定させることができるとともに、駆動装置10の出力効率が低下することをより好適に抑制できる。また、磁性流体65の体積が増大することを抑制できるため、磁性流体65および駆動装置10の製造コストが増大することを抑制できる。なお、磁性流体65は、コア外側面34bの全域と接触してもよい。
【0049】
本実施形態によれば、マグネット60の軸方向の寸法Lmは、コア外側面34bの軸方向の寸法Lsよりも小さい。よって、マグネット60の体積が増大することを抑制でき、マグネット60および駆動装置10の製造コストが増大することを抑制できる。
【0050】
本実施形態によれば、上述のように、マグネット60は、側壁部22の凹部22aの内部に固定される。より詳細には、マグネット60は、凹部22aの第1内側面22bに固定される。よって、側壁部22の外径寸法を大きくすることなく、コア外側面34bと第1内側面22bとの間の距離を大きくできるため、マグネット60の径方向の厚さを大きくできる。したがって、駆動装置10が径方向に大型化することを抑制しつつ、マグネット60の磁力を高めることができる。そのため、磁性流体65をコア外側面34bにより安定して接触させることができるとともに、磁性流体65が軸方向に漏出することをより好適に抑制できる。なお、マグネット60の径方向の厚さとは、マグネット60の径方向内側面とマグネット60の径方向外側面との間の径方向の距離である。
【0051】
マグネット60の第2内側面60aは、凹部22aの内部から径方向内側に突出した位置に配置される。よって、本実施形態によれば、マグネット60とコア外側面34bとの間の距離を小さくできるため、コア外側面34bにおける、マグネット60の磁力を高めることができる。したがって、磁性流体65をコア外側面34bにより安定して接触させることができるとともに、磁性流体65が軸方向に漏出することをより好適に抑制できる。
【0052】
本実施形態によれば、上述のように、マグネット60は、凹部22aの内部において、周方向に沿って一周に亘って配置される。
図3に示すように、磁性流体65も、マグネット60の内周面に沿って一周に亘って配置され、周方向に沿って一周に亘ってコア外側面34bと接触する。したがって、周方向におけるステータ33の放熱性がばらつくことを抑制でき、周方向におけるステータ33の温度ムラを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、磁性流体65はマグネット60に保持されるため、駆動装置10の駆動が停止し、ハブ回転体20の回転が停止した後においても、磁性流体65をコア外側面34bと周方向に一周に亘って接触させることができる。したがって、駆動装置10が停止した後において、周方向におけるステータ33の放熱性がばらつくことを抑制でき、周方向におけるステータ33の温度ムラを抑制できる。
【0054】
マグネット60の径方向内側を向く面である第2内側面60aの磁極は、第2内側面60a全体に亘って同極である。本実施形態において、第2内側面60aの磁極はN極である。マグネット60の径方向外側を向く面である第2外側面60bの磁極は、第2外側面60b全体に亘って同極である。本実施形態において、第2外側面60bの磁極はS極である。マグネット60の第2内側面60aにおける磁極と、マグネット60の第2外側面60bにおける磁極とは、互いに異極である。よって、本実施形態によれば、マグネット60の第2内側面60aに、周方向に沿って異なる磁極が交互に設けられる場合と比較して、第2内側面60aとコア外側面34bとの間の磁力線の向きが、径方向に向き易くなるため、マグネット60とステータコア34とを通る磁束の磁束密度を高めることができる。したがって、ハブ回転体20が回転する際に、ステータコア34との摩擦力によって、磁性流体65が周方向および軸方向に移動することを抑制できる。そのため、磁性流体65をコア外側面34bに安定して接触させることができる。
【0055】
次に、マグネット60を収容部21の凹部22aに固定するマグネット固定工程Pfについて説明する。マグネット固定工程Pfは、駆動装置10の製造工程の一部である。マグネット固定工程Pfは、マグネット60を収容部21の内部に挿入する挿入工程と、マグネット60を凹部22aに固定する固定工程と、を含む。なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0056】
図4Aに示すように、挿入工程において、作業者等は、収容部21の開口部21aを介して、略長方形の板状のゴムマグネットを円筒状に丸めたマグネット60を収容部21の内部に挿入する。上述のように、本実施形態において、マグネット60は、ゴムマグネットであるため、マグネット60は、弾性を有する。そのため、作業者等は、径方向外側からマグネット60に力を加えることによって、マグネット60を径方向内側に変形させつつ、収容部21の内部において、マグネット60を軸方向他方側(-Y側)に移動できる。このとき、マグネット60の一部を側壁部22の内周面と接触させつつ、マグネット60を軸方向他方側に移動してもよい。
図4Bに示すように、凹部22aと径方向に対向する位置までマグネット60を挿入すると、挿入工程が終了する。
【0057】
固定工程において、作業者等は、径方向外側からマグネット60に加えている力を除くと、マグネット60の径方向外側に向く復元力Frによって、マグネット60は径方向外側に広がり、第2外側面60bと、凹部22aの第1内側面22bとが周方向一周に亘って接触する。これにより、マグネット60は側壁部22に圧入され、凹部22aに固定されると、固定工程が終了し、マグネット固定工程Pfが終了する。よって、本実施形態によれば、マグネット60が弾性を有するゴムマグネットであるため、挿入工程において、マグネット60の弾性を利用して、マグネット60を径方向内側に変形させつつ、軸方向他方側(-Y側)に移動させる簡易な作業によって、凹部22aと径方向に対向する位置までマグネット60を収容部21の内部に挿入できる。また、本実施形態によれば、固定工程において、径方向外側からマグネット60に加えている力を除く簡易な作業によって、マグネット60の復元力Frを利用して、マグネット60を側壁部22に容易に圧入でき、マグネット60を凹部22aに容易に固定できる。したがって、マグネット固定工程Pfの工数が増大することを抑制でき、駆動装置10の製造工数が増大することを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態では、圧入によってマグネット60を凹部22aに固定できるため、接着によってマグネット60を凹部22aに固定する場合と比較して、接着剤が不要であるとともに、マグネット60の第2外側面60bもしくは側壁部22の第1内側面22bの少なくとも一方に接着剤を塗布する工程が不要になる。そのため、駆動装置10の製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる。なお、マグネット60の固定方法は、本実施形態に限定されず、例えば接着によってマグネット60を凹部22aに固定してもよい。この場合、マグネット60をより強固に凹部22aに固定できる。
【0059】
次に、モータ30をハブ回転体20に取り付けるモータ取付工程Pmについて説明する。モータ取付工程Pmは、駆動装置10の製造工程の一部である。
図5Aに示すように、モータ取付工程Pmにおいて、作業者等は、収容部21の軸方向一方側(+Y側)から、モータ30を軸方向他方側(-Y側)に移動させ、収容部21の開口部21aを介して、モータ30を収容部21の内部に挿入する。なお、本実施形態において、上述のマグネット固定工程Pfは、モータ取付工程Pmよりも以前に行われており、マグネット60は凹部22aに固定されている。また、マグネット固定工程Pfとモータ取付工程Pmの間の工程において、マグネット60の第2内側面60aに磁性流体65が塗布され、磁性流体65はマグネット60に保持されている。
【0060】
作業者等が、収容部21の内部において、モータ30を軸方向他方側(-Y側)に移動させると、第2ハウジング部材52の第2周壁部52dがマグネット60の径方向内側を通過する。本実施形態によれば、上述のように、第2周壁部52dの外側面は、第1周壁部51cの外側面よりも径方向内側に配置される。よって、第2周壁部52dの径方向外側を向く面と、マグネット60の第2内側面60aとの間の空隙の径方向の寸法を大きくできるため、マグネット60に保持される磁性流体65が、第2ハウジング部材52によって掻き取られることを抑制でき、マグネット60が保持する磁性流体65の量を安定させることができる。したがって、磁性流体65をコア外側面34bに安定して接触させることができ、ステータ33の放熱性を安定させることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、径方向において、第2ハウジング部材52の径方向外側を向く外側面は、コア外側面34bよりも径方向内側に配置される。よって、第2周壁部52dの径方向外側を向く面と、第2内側面60aとの間の空隙の径方向の寸法をより大きくできるため、モータ30を軸方向他方側に移動する際に、マグネット60に保持される磁性流体65が、第2ハウジング部材52によって掻き取られることをより好適に抑制できる。したがって、マグネット60が保持する磁性流体65の量をより安定させることができ、磁性流体65をコア外側面34bにより安定して接触させることができる。
【0062】
図5Bに示すように、底壁部23の内縁に固定される第2ベアリング92が、第2ハウジング部材52の第3保持部52eに保持されると、モータ取付工程Pmは終了する。
【0063】
<第2実施形態>
図6に示すように、本実施形態の駆動装置110において、マグネット160は、周方向に沿って互いに間隔をあけて複数配置される。本実施形態において、複数のマグネット160は、それぞれ、磁性体を樹脂に混合して成形されるプラスチックマグネットである。なお、複数のマグネット160は、それぞれ、磁性体を焼き固めて成形した焼結マグネットであってもよい。本実施形態において、マグネット160は、8個設けられる。磁性流体65は、複数のマグネット160それぞれの径方向内側を向く面である第2内側面160aに保持される。各マグネット160それぞれが保持する磁性流体65は、コア外側面34bと接触する。よって、本実施形態によれば、駆動装置10の駆動時にハブ回転体20が中心軸線J回りに回転すると、複数のマグネット160それぞれが保持する磁性流体65が周方向に移動しつつ、コア外側面34bと接触するため、ステータコア34の周方向における温度ムラを抑制しつつ、ステータ33の放熱性を高めることができる。
【0064】
また、本実施形態では、複数のマグネット160が周方向に互いに間隔をあけて配置されるため、複数のマグネット160それぞれの体積を加算したマグネット全体の体積、および磁性流体65の体積が増大することを抑制できる。したがって、マグネット160および磁性流体65の製造コストが増大することを抑制でき、駆動装置110の製造コストが増大することを抑制できる。
【0065】
複数のマグネット160それぞれの径方向内側を向く面である第2内側面160aの磁極は、第2内側面160a全体に亘って同極である。また、複数のマグネット160それぞれの第2内側面160aにおける磁極は、互いに同極である。本実施形態において、救数の第2内側面160aの磁極は、それぞれ、N極である。複数のマグネット160それぞれの径方向外側を向く面である第2外側面160bの磁極は、第2外側面160b全体に亘って同極である。また、複数のマグネット160それぞれの第2外側面160bにおける磁極は、互いに同極である。本実施形態において、複数の第2外側面160bの磁極は、それぞれ、S極である。複数のマグネット160それぞれの第2内側面160aにおける磁極と、複数のマグネット160それぞれの第2外側面160bにおける磁極とは、互いに異極である。よって、本実施形態によれば、周方向に互いに隣り合うマグネット160それぞれの第2内側面160aの磁極が互いに異極である場合と比較して、第2内側面160aとコア外側面34bとの間の磁力線の向きが、径方向に向き易くなるため、マグネット160とステータコア34とを通る磁束の磁束密度を高めることができる。したがって、ハブ回転体20が回転する際に、ステータコア34との摩擦力によって、磁性流体65が周方向および軸方向に移動することを抑制できるため、磁性流体65をコア外側面34bに安定して接触させることができる。駆動装置110のその他の構成は、第1実施形態の駆動装置10のその他の構成と同様である。
【0066】
次に、本実施形態において、複数のマグネット160を収容部21の凹部22aに固定するマグネット固定工程Pf2について説明する。
図7に示すように、作業者等は、まず、収容部21の開口部21aを介して、第2外側面160bに接着剤198が塗布された1つのマグネット160を収容部21の内部に挿入する。次に、作業者等は、接着剤198を介して、第2外側面160bを凹部22aの第1内側面22bと接触させ、マグネット160を凹部22aに固定する。その後、作業者等は、上記と同様の作業によって、他のマグネット160を凹部22aに固定し、8個のマグネット160が凹部22aに固定されると、マグネット固定工程Pf2が終了する。よって、本実施形態によれば、複数のマグネット160それぞれの第2外側面160bに接着剤198を塗布する簡易な作業と、複数のマグネット160それぞれの第2外側面160bを、接着剤198を介して凹部22aに接触させる簡易な作業によって、複数のマグネット160を、それぞれ、凹部22aに固定できる。したがって、マグネット固定工程Pf2の工数が増大することを抑制できる。
【0067】
また、本実施形態では、接着によって、複数のマグネット160を凹部22aに固定するため、マグネット160を強固に凹部22aに固定できる。なお、マグネット固定工程Pf2は上記に限定されず、例えば、2個以上のマグネット160を同時に凹部22aに固定してもよいし、8個のマグネット160を同時に凹部22aに固定してもよい。この場合、マグネット固定工程Pf2の作業時間を低減できる。
【0068】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。例えば、マグネットが磁性流体を保持でき、磁性流体をコア外周面と接触させることができる磁力を有するならば、マグネットは凹部に固定されなくてもよい。この場合、凹部は設けられなくてもよい。また、マグネットの第2内側面には、周方向に沿って異なる磁極が構成されてもよい。また、マグネットの軸方向の寸法は、コア外側面の軸方向の寸法と同じ、もしくは、コア外側面の軸方向の寸法よりも大きてもよいし、磁性流体はコア外側面の軸方向全体と接触してもよい。
【0069】
また、マグネットに保持され、コア外側面と接触できるならば、磁性流体を粉末状の磁性体に置き換えることができる。この場合、磁性流体と比較して、ベース液が不要となるため、駆動装置の製造コストを低減できる。
【0070】
また、モータの動力をハブ回転体に伝達できるならば、駆動装置は減速機構を備える必要は無く、この場合、モータシャフトとハブ回転体とを直接接続してもよいし、ギアなどを有する駆動機構を介して、モータシャフトとハブ回転体とを接続してもよい。
【0071】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0072】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸を中心に回転可能な中空のハブ回転体と、ステータを有し、前記ハブ回転体の内部に収容されるモータと、前記ハブ回転体と前記ステータとの間に配置されるマグネットと、前記マグネットに保持される磁性流体と、を備え、前記ステータは、径方向外側を向くコア外側面を有するステータコアを有し、前記ハブ回転体は、前記ステータコアを径方向外側から囲む側壁部を有し、前記マグネットは、前記側壁部に固定され、かつ、前記コア外側面と径方向に対向して配置され、前記磁性流体は、前記マグネットと前記コア外側面との間に配置され、前記マグネットおよび前記コア外側面と接触する、駆動装置。
(2) 前記磁性流体は、前記コア外側面のうち少なくとも軸方向の中央部と接触する、(1)に記載の駆動装置。
(3) 前記マグネットの軸方向の寸法は、前記コア外側面の軸方向の寸法よりも小さい、(1)または(2)に記載の駆動装置。
(4) 前記側壁部は、前記側壁部の内側面から径方向外側に窪む凹部を有し、前記マグネットは、前記凹部に固定される、(1)から(3)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(5) 前記マグネットの径方向内側の面は、前記凹部の内部から径方向内側に突出した位置に配置される、(4)に記載の駆動装置。
(6) 前記マグネットは、周方向に沿って一周に亘って配置される、(1)から(5)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(7) 前記マグネットの径方向内側を向く面における磁極は、前記マグネットの径方向内側を向く面全体に亘って同極であり、前記マグネットの径方向外側を向く面における磁極は、前記マグネットの径方向外側を向く面全体に亘って同極であり、前記マグネットの径方向内側を向く面における磁極と、前記マグネットの径方向外側を向く面における磁極とは、互いに異極である、(1)から(6)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(8) 前記マグネットは、ゴムマグネットであり、前記側壁部に圧入されている、(1)から(7)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(9) 前記マグネットは、周方向に沿って互いに間隔をあけて複数配置される、(1)から(5)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(10) 複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面における磁極は、複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面全体に亘って同極であり、複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面における磁極は、互いに同極であり、複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面における磁極は、複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面全体に亘って同極であり、複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面における磁極は、互いに同極であり、複数の前記マグネットそれぞれの径方向内側を向く面における磁極と、複数の前記マグネットそれぞれの径方向外側を向く面における磁極とは、互いに異極である、(9)に記載の駆動装置。
(11) 前記マグネットは、前記側壁部と接着されている、(1)から(10)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(12) 前記モータは、前記ステータが固定されるハウジングを有し、前記ハブ回転体は、軸方向一方側に開口する開口部を有する収容部と、前記開口部を塞ぐ蓋部と、を有し、前記モータは、前記収容部の内部に配置され、前記ハウジングは、前記ステータの軸方向一方側に配置される第1ハウジング部材と、前記ステータの軸方向他方側に配置される第2ハウジング部材と、を有し、前記第2ハウジング部材の径方向外側を向く外側面は、前記第1ハウジング部材の径方向外側を向く外側面よりも径方向内側に配置される、(1)から(11)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(13) 径方向において、前記第2ハウジング部材の径方向外側を向く外側面は、前記コア外側面と同じ位置、もしくは、前記コア外側面よりも径方向内側に配置される、(12)に記載の駆動装置。
【符号の説明】
【0073】
10,110…駆動装置、20…ハブ回転体、21…収容部、21a…開口部、22…側壁部、22a…凹部、25…蓋部、30…モータ、33…ステータ、34…ステータコア、34b…コア外側面、50…ハウジング、51…第1ハウジング部材、52…第2ハウジング部材、60,160…マグネット、65…磁性流体、J…中心軸線、Lm…マグネットの軸方向の寸法、Ls…コア外側面の軸方向の寸法