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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058151
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240418BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20240418BHJP
【FI】
G06Q30/06
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165308
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】吉村 良佑
(72)【発明者】
【氏名】平田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀樹
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L030BB72
5L049BB72
5L099AA02
5L099AA23
(57)【要約】
【課題】ユーザーが診察要否判断から信頼のおける眼科医による診察までを効率的に受けることができて、安全と安心を確保しつつ目的とするコンタクトレンズ入手にまで速やかに至ることが可能になる、新たなコンタクトレンズ提供システムを実現すること。
【解決手段】複数の眼科医における診察予約状況を記憶する診察予約データベース22hを備えており、店舗用コンピュータ装置12がレンズ要求信号の入力を受けた場合に、眼状態の異常判定や処方箋要件の否充足判定が得られた場合には診察予約データベース22hにアクセスして眼科医の診察予約状況を表示すると共に診察の予約信号を送信して該診察予約データベース22hへ反映させるようにしたコンタクトレンズ提供システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズ使用者に対してコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供システムであって、
コンタクトレンズ使用者を会員として登録する会員データベースと、
前記会員について取得された処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、
該処方箋情報記憶手段による該処方箋情報に基づいて特定の会員への特定のコンタクトレンズの提供が処方箋要件を充足するか否かを判定する処方箋要件判定手段と、
前記会員について眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、
該眼検査情報取得手段で取得された眼検査情報に基づいて当該会員の眼状態が正常か異常かを判定する眼状態判定手段と
複数の眼科医における診察予約状況を記憶する診察予約データベースと
を、備えており、
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置が前記会員データベースに登録された会員へのコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号の入力を受けた場合に、前記眼状態判定手段による眼状態の異常判定と前記処方箋情報記憶手段による処方箋要件の否充足判定との少なくとも一方の判定結果が得られた場合には、該店舗用コンピュータ装置が前記診察予約データベースにアクセスして前記眼科医の診察予約状況を表示すると共に診察の予約信号を送信して該診察予約データベースへ反映させることを、特徴とするコンタクトレンズ提供システム。
【請求項2】
前記レンズ店舗における前記会員に対する接客予約時刻を記憶する接客予約データベースと、
前記診察予約データベースにおける前記眼科医に対する特定の会員の診察予約の情報に基づいて、該眼科医による診察を終えた該会員が特定のレンズ店舗へ来店する来店予測時刻を求める来店時刻予測手段と、
該来店時刻予約手段によって求められた該来店予測時刻を該接客予約データベースへ反映させる来店予約手段と
を、備えている請求項1に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項3】
前記来店時刻予測手段によって求められた前記来店予測時刻を、前記会員の利用に供される会員用コンピュータ装置に送信する来店予測時刻確認手段を備えている請求項2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項4】
前記会員用コンピュータ装置は、前記来店予測時刻確認手段から受信した前記来店予測時刻について了承又は変更された確認済みの来店予測時刻を送信して前記接客予約データベースへ反映させる請求項3に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項5】
前記店舗用コンピュータ装置が、前記眼科医の診察予約データベースへの前記会員の診察予約の結果を出力する予約結果出力手段を備えている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項6】
前記眼検査情報が前記会員の眼を撮像した画像情報を含み、
該会員の眼検査情報を記憶する眼検査情報記憶手段を有している請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項7】
前記画像情報が、コンタクトレンズを装用した眼の動画を含む請求項6に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項8】
前記眼状態判定手段が前記会員の眼状態を異常と判定した場合には、
要求された当該特定のコンタクトレンズが当該会員の前記処方箋情報による要件を充足していることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、前記店舗用コンピュータ装置は該会員への当該コンタクトレンズの提供の許可信号を出力しない請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項9】
前記眼状態判定手段が前記会員の眼状態を異常と判定した場合には、当該会員についての眼科医による診察の結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないことを示す診察結果情報の入力を条件として、且つ、前記処方箋要件判定手段が処方箋要件を充足判定したことを条件として、前記店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力する請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項10】
前記会員について前記処方箋情報による要件を充足する前記コンタクトレンズとして複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えており、
該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定して該会員への前記レンズ要求信号が該店舗用コンピュータ装置に入力される請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【請求項11】
コンタクトレンズの提供を受ける複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号が入力される請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズを使用者(ユーザー)に提供するのに用いられるコンタクトレンズ提供システムに係り、特に使用者の安全性の確保と使用者自身の安心感の向上を達成しつつ、使用者のコンタクトレンズ入手の容易さ等も併せて実現可能となし得る、コンタクトレンズの新規な提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは医療用具であり、仮にレンズ度数やベースカーブなどの処方箋で特定されるレンズ基本情報がユーザーに適合したコンタクトレンズであったとしても、当該ユーザーがコンタクトレンズを使用することに問題ないとは言い切れない。コンタクトレンズ使用の良否は、ユーザーの生活や生理的な状況、例えば涙液量や涙液組成等を含む健康状態などによっても経時的に変化するものであるし、コンタクトレンズの適合性についても、レンズ基本情報の他にレンズやメーカー毎に異なる材質や周辺部形状等による影響も受ける。事実、コンタクトレンズ使用者の多くは、充血やゴロツキ感、痛み、違和感などを経験している。それ故、コンタクトレンズ使用の良否は、ユーザーが常時気遣うべきであり、何らかの異常に対しては早期に対処することが、眼や健康への重篤な問題発生を回避するのに重要である。
【0003】
一方、コンタクトレンズの使用者数の増加と共に、コンタクトレンズの種類も増加しており、更に、コンタクトレンズの入手経路も多様化してきている。特に、インターネット販売が普及した近年では、コンタクトレンズの提供に際しての検診や処方箋の要件が薬機法に明記されていないこと等を拠り所として、一度の処方箋情報により長期間に亘ってコンタクトレンズを提供し続けたり、処方箋すら必要とせずにコンタクトレンズを提供するインターネット販売店も存在しており、このようなコンタクトレンズのインターネット販売量は増加傾向にある。
【0004】
ところで、コンタクトレンズ使用者であるユーザーは、コンタクトレンズ使用に際して自身の眼の健康状態を気にかけない筈がない。それにも拘わらず、何故に、レンズ適合性の確認や健康管理が不十分なインターネット販売等を利用したコンタクトレンズ購入にユーザーが向かうのか。かかる点について、本発明者は、アンケートを含めて状況把握と検討及び研究を重ねた。その結果、以下(a),(b)の如き、コンタクトレンズ提供に特有の新たな問題を見出した。
(a) コンタクトレンズでは、レンズの購入と、レンズ適否を含む眼診察とを、レンズ販売店と眼科医院という各別の場所で、且つ、予約受付けから応対又は受診という複数ステップを踏んで行う必要があり、特に眼診察に際しては、レンズ販売店とは別に適切な眼科医院を捜してわざわざ赴き長い待ち時間を経て診察を受けることについて、時間と労力のユーザー負担が過大でユーザーが億劫になっていることがわかった。更に、コロナ禍等の社会状況によってコンタクトレンズ診療を中止又は停止している眼科医院も存在することから、各眼科医院の現況までユーザー自身が調べて対応する必要があり、コンタクトレンズ使用者にとって眼科診察の労力負担が一層大きくなってきている。
(b) 加えて、近年では眼科医も増加しており、コンタクトレンズ装用に関する眼科医の専門知識や経験のばらつきが大きくなっていると共に、各眼科医が小規模で眼科医における情報の蓄積や管理も充分に実現されていないことから、仮にユーザーが眼科医による検診や診察を望んだとしても、信頼感をもって客観的に適切な診察結果などを得ることが難しい環境になってきていることが判った。
【0005】
このようなコンタクトレンズ提供に際しての特別な問題を解決することを目的として、本発明者が本発明を為すに至ったのである。
【0006】
なお、国内大手のコンタクトレンズメーカーである本出願人は、コンタクトレンズを継続的使用するに際してのユーザーの安全性の確保等を目的として、今までにも幾つかの発明を公開した。具体的には、ネットワークシステムを利用した会員制のもとで効率的にレンズを提供する会員制のレンズ提供システム(特許文献1)や、眼科医の診断情報を積極的に活用したレンズ提供システム(特許文献2)などを提案した。しかし、社会的環境の変化などもあって、これら特許文献1,2で提案したレンズ提供システムも、現在では未だ改善の余地を有するものになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4544763号公報
【特許文献2】特許第4795549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、コンタクトレンズをユーザーへ提供するレンズ店舗を巧く且つ効率的に活用することで、各ユーザーが診察要否判断から信頼のおける眼科医による診察までを効率的に受けることができて、安全と安心を確保しつつ目的とするコンタクトレンズ入手にまで速やかに至ることが可能になる、新たなコンタクトレンズ提供システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、以下のとおりである。
コンタクトレンズ使用者に対してコンタクトレンズを提供するコンタクトレンズ提供システムであって、
コンタクトレンズ使用者を会員として登録する会員データベースと、
前記会員について取得された処方箋情報を記憶する処方箋情報記憶手段と、
該処方箋情報記憶手段による該処方箋情報に基づいて特定の会員への特定のコンタクトレンズの提供が処方箋要件を充足するか否かを判定する処方箋要件判定手段と、
前記会員について眼検査情報を取得する眼検査情報取得手段と、
該眼検査情報取得手段で取得された眼検査情報に基づいて当該会員の眼状態が正常か異常かを判定する眼状態判定手段と
複数の眼科医における診察予約状況を記憶する診察予約データベースと
を、備えており、
コンタクトレンズを提供するレンズ店舗の利用に供される店舗用コンピュータ装置が前記会員データベースに登録された会員へのコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号の入力を受けた場合に、前記眼状態判定手段による眼状態の異常判定と前記処方箋情報記憶手段による処方箋要件の否充足判定との少なくとも一方の判定結果が得られた場合には、該店舗用コンピュータ装置が前記診察予約データベースにアクセスして前記眼科医の診察予約状況を表示すると共に診察の予約信号を送信して該診察予約データベースへ反映させることを、特徴とするコンタクトレンズ提供システム。
【0010】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、コンタクトレンズ使用者である会員は、コンタクトレンズを入手して安心安全に使用したい時に、先ずレンズ店舗へ行けば良い。レンズ店舗では、店舗用コンピュータ装置が当該会員の眼状態の良否と処方箋要件を判定し、コンタクトレンズ使用が適切であれば速やかにコンタクトレンズの会員への提供が許可されて実現される。一方、コンタクトレンズ使用に支障のおそれがあると判定された場合は、予め選定等されて店舗用コンピュータ装置によって表示される眼科医のなかから、当該会員についての診察予約を行うことができる。それ故、眼科医の選択や連絡及び予約などといった面倒な作業を、慣れない会員が自己努力で行う必要がなく、当該会員に適した眼科医を容易に予約して受診することが可能になる。
【0011】
また、本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、店舗用コンピュータ装置によって、各会員の情報を継続して把握参照し、過去の状況を含めて使用者をサポートすることが可能になることから、適切な状況把握がなされることで、レンズ使用者としても信頼感と安心感をもって、単に継続的なレンズ提供だけでなく、継続的な健康状態確認を含めたサポートを受けることができる。
【0012】
そして、特定のコンタクトレンズを会員へ提供する際には、眼検査情報を利用して使用者の眼の現在状況を把握することができ、使用者の眼に異常が認められた場合には、たとえ眼科医による処方箋の有効期間内であっても直ちにコンタクトレンズを提供することなく、適切な眼科医を予約して眼科医の診察を効率的に手配することが可能になる。これにより、会員であるレンズ使用者における不具合発生を未然に防ぐことができると共に、レンズ使用者への過度の負担を回避しつつ、眼の不具合の進行を早い段階で抑えてレンズ使用者の健康状態を効率的に維持することも可能になる。
【0013】
特に眼検査状態に基づく眼状態判定手段が、眼科医等でなく店舗用コンピュータ装置からアクセス等が可能とされることから、例えばレンズ使用者に提供されたコンタクトレンズについて処方箋に載らないが装用感などに影響を与える可能性のある情報(例えば、後述する材質やサグ値,保存液成分など)までも把握して、レンズ使用者における使用状況に反映することも可能であり、それによって会員毎のレンズ使用状況の把握や判定の精度や信頼性の向上が容易に図られ得る。また、眼科医の診察予約データベースの情報に関しても店舗用コンピュータ装置からアクセス等が可能とされることから、各眼科医の地理的条件や混み具合だけでなく、眼科医毎で診察や診断が相違する傾向なども把握することも可能になり、例えば会員の状況に応じて適切な眼科医を指定して診察などを要求することで、レンズ使用者に対して一層適切な対応をとることも可能になる。
【0014】
また、各会員にとっても、継続してコンタクトレンズの提供を受けている窓口を持つレンズ店舗を通じて、会員としてコンタクトレンズを継続的に購入して使用しているだけで、必要に応じて検診などの必要性の指摘に止まらず、適切な眼科医の選択から予約までを手配され、コンタクトレンズ使用状況も継続的に管理等されることから、馴染みがあって信頼感も抱ける環境下で、必要なコンタクトレンズを安心感をもって効率的に入手し、継続して使用し続けることができるのであり、心理的及び実労的な過度の負担増も避けることができる。
【0015】
本発明の第二の態様は、前記第二の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記レンズ店舗における前記会員に対する接客予約時刻を記憶する接客予約データベースと、
前記診察予約データベースにおける前記眼科医に対する特定の会員の診察予約の情報に基づいて、該眼科医による診察を終えた該会員が特定のレンズ店舗へ来店する来店予測時刻を求める来店時刻予測手段と、
該来店時刻予約手段によって求められた該来店予測時刻を該接客予約データベースへ反映させる来店予約手段と
を、備えているものである。
【0016】
特に近年では、コンタクトレンズ使用者の増加に伴ってレンズ店舗で接客を受ける際にも長い待ち時間を要する傾向にあることから、眼科での診察を終えてから、再びレンズ店舗へ戻ってコンタクトレンズを入手したり相談等しようとすると、そこで長い待ち時間が発生するおそれがある。仮に、当該レンズ店舗が事前に接客時刻の予約を受け入れていたとしても、眼科で診察を受けた会員がレンズ店舗に行ける時刻を予想したうえで、予約の手続きを行う必要がある。
【0017】
このような問題に対して、本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、眼科医による診察を終えた会員は、レンズ店舗へ戻ってコンタクトレンズの注文等をしたい場合に、レンズ店舗への来店予約の手間や労力を省くことができると共に、眼科医での診察からレンズ店舗への再来店を時間効率良く行うことが可能になる。
【0018】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記来店時刻予測手段によって求められた前記来店予測時刻を、前記会員の利用に供される会員用コンピュータ装置に送信する来店予測時刻確認手段を備えているものである。
【0019】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、来店時刻予測手段によって求められたレンズ店舗への来店予測時刻を、会員が容易に確認できる。また、例えば来店予測時刻を会員が確認した後、確認済信号を会員用コンピュータ装置から接客予約データベースへ送信することで当該来店予測時刻を接客予約データベースにおける接客予約時刻として確定的に記憶させるようにしても良い。
【0020】
本発明の第四の態様は、前記第一~三の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員用コンピュータ装置は、前記来店予測時刻確認手段から受信した前記来店予測時刻について了承又は変更された確認済みの来店予測時刻を送信して前記接客予約データベースへ反映させるものである。
【0021】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、例えば来店予測時刻を会員が確認し、必要に応じて当該来店予測時刻を変更した後、かかる了承又は変更した確認済みの来店予測時刻を会員用コンピュータ装置から接客予約データベースへ送信して接客予約データベースへ反映させることができる。なお、例えば来店予測時刻の変更を考慮して、受け入れられ得る幾つかの変更可能時刻を、要求に応じて又は当初の来店予測時刻と共に、来店予測時刻確認手段が会員用コンピュータ装置に対して送信しても良い。
【0022】
本発明の第五の態様は、前記第一~四の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記店舗用コンピュータ装置が、前記眼科医の診察予約データベースへの前記会員の診察予約の結果を出力する予約結果出力手段を備えているものである。
【0023】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、診察予約データベースへの予約時刻を、念のために確認することが容易となる。なお、予約結果出力手段による診察予約の結果の出力は、例えば店舗用コンピュータ装置及び/又は会員用コンピュータ装置などに対して、ショートメールなどを利用して情報送信することによって行うことができる。
【0024】
本発明の第六の態様は、前記第一~五の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記眼検査情報が前記会員の眼を撮像した画像情報を含み、
該会員の眼検査情報を記憶する眼検査情報記憶手段を有しているものである。
【0025】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、眼検査情報として、画像情報を含ませることで、眼検査情報による判定レベルのばらつきを抑えたり、そこに客観的評価の指標を与えたりすることが可能になる。即ち、例えば眼検査情報として会員の主観的乃至は自己申告の情報や眼科医等の専門家による診察乃至は観察情報などを採用し得るが、主観的情報では感覚差や能力差,経験差等による精度やばらつきが存在する。かかる状況下、本態様では、例えば画像情報としての眼の外観を撮影した画像データを画素レベルで色相や彩度,明度などを評価することで、眼の状態や障害程度を段階評価する評価プログラムを、眼状態判定用のプログラムとして採用することも可能であり、それによって、定量的評価に基づいて客観的な判定を行うことも可能になる。
【0026】
本発明の第七の態様は、前記第六の態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記画像情報が、コンタクトレンズを装用した眼の動画を含むものである。
【0027】
本態様によれば、動画を採用することにより、例えばコンタクトレンズの動き量や瞬目不良,BUT(Tear film break up time : 涙液層破壊時間)なども評価対象とすることが可能になり、眼状態判定の精度や信頼性の向上が図られ得る。なお、眼の動画は、例えばレンズ店舗に備え付けのカメラや会員所有のカメラ(会員用コンピュータとしても機能するスマートフォン等の携帯端末が装備する撮像装置を含む)を使って、眼を正面等から自身又は他者が撮像することによって取得できる。
【0028】
本発明の第八の態様は、前記第一~七の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記眼状態判定手段が前記会員の眼状態を異常と判定した場合には、
要求された当該特定のコンタクトレンズが当該会員の前記処方箋情報による要件を充足していることを前記処方箋要件判定手段が判定しても、前記店舗用コンピュータ装置は該会員への当該コンタクトレンズの提供の許可信号を出力しないものである。
【0029】
本態様によれば、例えば眼状態等に異常が認められた場合に、眼科医による診察を要求しつつも併せてコンタクトレンズを提供するような態様に比して、物理的にコンタクトレンズを使用できない状況にすることで、レンズ使用者の眼の健康状態の悪化の進行をより確実に抑えることが可能になる。なお、本態様に従って眼状態判定手段が異常判定した場合には、例えば後述する第九の態様に記載されているように眼科医による診察結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないことを示す診察結果情報が入力されることを要件として、当該会員へのコンタクトレンズの提供を許可することが望ましい。ここにおいて、例えば当該会員が何等かの異常を認識して又は認識せずに、直前の所定期間内(例えば当日や前日等)に眼科医による診察を受けている場合には、かかる診察結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないと診断されたが故に発行された処方箋を提示することで、又必要に応じて当該処方箋の内容がコンピュータに入力されることで、例えば本態様に従って眼状態判定手段が異常判定した場合でもかかる要件がクリアされたものとして又は眼状態判定手段が異常判定しなかったものとして、当該会員へのコンタクトレンズ提供を許可する信号を出力することも可能である。
【0030】
本発明の第九の態様は、前記第一~八の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記眼状態判定手段が前記会員の眼状態を異常と判定した場合には、当該会員についての眼科医による診察の結果としてコンタクトレンズ装用に支障ないことを示す診察結果情報の入力を条件として、且つ、前記処方箋要件判定手段が処方箋要件を充足判定したことを条件として、前記店舗用コンピュータ装置が該会員への当該特定のコンタクトレンズの提供の許可信号を出力するものである。
【0031】
本態様によれば、コンタクトレンズの提供対象の会員について眼状態に異常が認められた場合について、その後のサポートが実現され得る。なお、眼科医の診察の結果と併せて、当該会員について眼検査情報を再取得して再度の眼状態判定を行うようにしても良い。
【0032】
本発明の第十の態様は、前記第一~九の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
前記会員について前記処方箋情報による要件を充足する前記コンタクトレンズとして複数種類のコンタクトレンズを同時に関連付ける複数レンズ関連付手段を備えており、
該複数レンズ関連付手段で関連付けられた複数種類のコンタクトレンズの中から何れかの該コンタクトレンズを特定して該会員への前記レンズ要求信号が該店舗用コンピュータ装置に入力されるものである。
【0033】
本態様のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員に対して複数種類のコンタクトレンズの何れかを効率的に且つ速やかに、安全性を確保しつつ、提供することが可能になる。また、複数種類のコンタクトレンズを併用等しているレンズ使用者について、レンズ店舗側でより適切に把握および管理することができて、必要な種類のコンタクトレンズを効率的に且つ確実に提供したり、より的確なサービスの提供も実現可能になる。
【0034】
すなわち、提供されるコンタクトレンズの多様化だけでなく、生活スタイルの多様化や高齢化などが進む現在や将来では、レンズ使用者は複数種類のコンタクトレンズを選択的に使用することを望む状況になりやすい。具体的には、職業ドライバーであり且つ趣味が読書やインターネット(コンピュータ)等で休日を屋内で過ごす生活スタイルであれば、平日の就業中は近視用のコンタクトレンズを装用する一方、休日には老視用や遠近両用のコンタクトレンズを装用することを望む状況が想定され得る。また、軽度の近視の成人で車通勤者であれば、平日は近視用のコンタクトレンズを装用する一方、車を運転しない休日はカラーコンタクトレンズやコスメティックタイプのコンタクトレンズの装用を望む状況も想定され得る。
【0035】
このようなレンズ使用者の要求に対して、本態様によれば、会員制によって使用状況をレンズ店舗側で管理した状況下において、複数レンズ関連付手段で当該会員に複数種類のコンタクトレンズを予め関連付けておくことにより、複数種類のコンタクトレンズを当該会員に対して、安全管理態勢のもとで効率的に提供することが可能になる。特に会員制を採用して、当該会員に対して複数種類のコンタクトレンズを紐付けて管理することで、複数種類のコンタクトレンズについて提供履歴や提供予想を含む提供状況を効率的に把握することができる。それ故、レンズ使用者が、異なる種類のコンタクトレンズを個別に購入して使用する場合に比して、レンズ店舗側において、レンズ使用者である各会員毎に各種類のコンタクトレンズの使用情報等をより適切に把握し、かかる情報を活用して、各会員に対してより適切な眼状態の管理や判定、更にはアドバイスなどのサービス提供の向上が図られ得る。
【0036】
本発明の第十一の態様は、前記第一~十の何れかの態様に係るコンタクトレンズ提供システムであって、
コンタクトレンズの提供を受ける複数の前記会員の利用にそれぞれ供される複数の会員用コンピュータ装置の何れかから、ネットワークシステムを通じて、前記店舗用コンピュータ装置に対して当該会員への特定のコンタクトレンズの提供を要求するレンズ要求信号が入力されるものである。
【0037】
本態様によれば、会員が利用するスマートフォン等の携帯端末などで構成される会員用コンピュータ装置から直接に店舗用コンピュータ装置へレンズ要求信号を送信することで、本発明に係るコンタクトレンズ提供システムによる処理が開始されることから、会員の利便性が向上する。なお、会員用コンピュータ装置からレンズ要求信号を送信するに際して、例えば会員の眼検査情報(問診票及び/又は眼の撮像画像を含む)を送信することも可能であり、それによって眼検査情報の取得工程も速やかに実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態に係るコンタクトレンズ提供システムの概要を示す説明図。
図2図1に示されたコンタクトレンズ提供システムにおける処理の具体例の概要をフローチャートで示す説明図。
図3】眼科医への診察予約を実現する作動の一例を示す説明図。
図4】レンズ店舗への来店予約を実現する作動の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0040】
先ず、図1には、本発明に従うコンタクトレンズの提供システムの一実施形態が、モデル的な概略図として示されている。
【0041】
[1]主要なコンピュータ装置
本実施形態のコンタクトレンズ提供システムは、以下(ア),(イ),(ウ)のコンピュータ装置を含んでおり、これら各複数の(ア),(イ),(ウ)のコンピュータ装置は、インターネット回線などのネットワークシステム10によって相互に情報の送受信が可能に接続されている。
(ア) コンタクトレンズをレンズ使用者である会員へ提供する各レンズ店舗によって管理されて用いられる複数の店舗用コンピュータ装置12
(イ) レンズ使用者である各会員によって用いられる複数の会員用コンピュータ装置14
(ウ) 各眼科医によって用いられる複数の眼科医用コンピュータ装置16
【0042】
なお、上記(ア)店舗用コンピュータ装置12を使用するレンズ店舗は、レンズの注文に対する提供の事業形態に応じて実体的且つ個別的に該当性が認識されるものであって、コンタクトレンズを販売する実店舗に限定されない。例えば、インターネット上の店舗を含む。実店舗とインターネット上の店舗の何れであっても、提供を受付及び/又は指示等する者であれば良く、実際にレンズを発送する発送主体(例えばメーカーや卸売店など)は別にあっても良い。また、例えばインターネット上の店舗が単に注文を受けるサイト等だけを有しており、そこで受け付けた注文信号によってレンズメーカーや中間流通を担うレンズ卸売業者などがコンタクトレンズの受注と発送の処理を実質的に担っているような場合には、インターネット上の店舗が実質上架空であって実体的には当該レンズメーカーやレンズ卸売業者がレンズ店舗と見做される態様も含まれ得る。また、業態によっては、インターネット上の店舗又は実店舗(リアル店舗)と、レンズメーカーやレンズ卸売業者等とを、機能的に一体的に把握することで全体としてレンズ店舗と見做される態様も含まれ得る。
【0043】
また、上記(ア)店舗用コンピュータ装置12としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。尤も、物理的に単一のコンピュータである必要はなく、データの保存管理や演算処理の効率,設備管理や設備コストなどを考慮して、例えば図示されているようにネットワークシステム10で相互に接続された店舗用クライアント装置18とサーバー20を含んで、店舗用コンピュータ装置12が構成され得る。
【0044】
かかる店舗用クライアント装置18は、ノートパソコンやタブレットなどによって構成され得る。サーバー20も、例えば情報を記憶する記憶装置22を備えたデータベースの他、演算処理を行う演算装置24を備えたものであっても良い。サーバー20を備える場合でも、記憶装置22や演算装置24の一部を店舗用クライアント装置18に負担させることができる。複数の店舗用コンピュータ装置12で1台のサーバー20を共用することもできるし、サーバー20は、例えば付加分散装置を介してネットワークシステム10に接続されて要求される処理を協働して分散処理する複数台のコンピュータ等で構成されていても良い。なお、サーバー20は、構成を限定されるものでなく、例えばオンプレミスサーバーでも共用サーバーでも良いし、共用タイプやクラウドタイプのサーバーでも良く、レンタルサーバーやVPS(Virtual Private Server)などで構成しても良い。サーバー20は、店舗用クライアント装置18からアクセス可能であれば良く、具体的な設置場所を限定されることもない。
【0045】
一方、上記(イ)会員用コンピュータ装置14としては、ノートパソコンやタブレットの他、携帯電話型端末装置等も利用可能である。かかる(イ)会員用コンピュータ装置14は、店舗用コンピュータ装置12との間で各種情報の送受信が可能なものであり、それによってコンタクトレンズ等の商品や各種情報のサービスの提供を受けるためのシステムとして機能するようになっている。例えば、店舗用コンピュータ装置12が、インターネット上でWebページを提供するWWWサーバーで構成されている場合には、会員用コンピュータ装置14が、インターネット上でWebページを閲覧するWWWブラウザが導入されて構成されることが望ましく、それによってコンタクトレンズ提供等のサービスを効率的に行うことが可能になる。
【0046】
また、上記(ウ)眼科医用コンピュータ装置16としては、会員用コンピュータ装置14と同様に、ノートパソコンやタブレットの他、携帯電話型端末装置等も利用可能である。かかる(ウ)眼科医用コンピュータ装置16は、店舗用コンピュータ装置12との間で各種情報の送受信が可能なものであり、それによって例えばサーバー20のデータベースにアクセスして、データベースに記憶された情報を閲覧したり書き込みなどを行うシステムとして機能するようになっている。なお、眼科医用コンピュータ装置16へのWWWブラウザの導入等は、会員用コンピュータ装置14と同様に好適である。
【0047】
なお、店舗用コンピュータ装置12に対して会員用コンピュータ装置14や眼科医用コンピュータ装置16は、E-Mail等の通信ソフトが導入される等して、所定の通信プロトコルのもとで双方向の通信を行うサーバ・アンド・クライアントシステムとして相互に動作し得るようになっていることが望ましく、必要に応じて暗号化送受信ソフトが採用されて、相互の情報通信の便宜や安全性の向上が図られ得る。かかる通信ソフトは、独立した通信ソフトの他、会員に対するサービス提供用のアプリケーションの一機能として組み込まれて、会員との双方向通信や会員への一方向通知を実現するもの等であっても良い。
【0048】
[2]各コンピュータ装置の詳細
(i)会員情報データベース
このようなネットワークシステム10で接続された複数のコンピュータ装置を含むコンタクトレンズ提供システムを利用してコンタクトレンズの提供を受けるレンズ使用者は、予め会員としてシステム上に情報登録されることを想定している。即ち、会員登録されたレンズ使用者は、コンタクトレンズ提供システムを利用してコンタクトレンズの提供を継続的に受けて使用し続けることを想定しており、コンタクトレンズを継続的に使用し続けるに際して、当該会員に関する個人情報などの各種情報が、店舗用コンピュータ装置12(本実施形態ではサーバー20における記憶装置22を用いたデータベース)に蓄積されることとなる。
【0049】
なお、会員となるための登録手続きは、インターネット等のネットワークシステム10を介して店舗用コンピュータ装置12と会員用コンピュータ装置14との間での通信処理により、会員登録に必要な情報を店舗用コンピュータ装置12へ登録することによって行うことも可能である。尤も、新規に会員となるに際しては、過去にコンタクトレンズを使用していたか否かに拘わらず、少なくとも一回の眼科医による検診を要求して、店舗用コンピュータ装置12への処方箋情報の登録を要求することが望ましい。但し、会員登録の要件として、眼科医の検診乃至は診察を必須要件とする必要はない。例えば、必要に応じて過去のコンタクトレンズ使用履歴やトラブル履歴等を参照しつつ、入会希望者について取得した後述の眼検査情報(1)や(2)に基づいて、会員登録に際して眼科医の診察等を要件とするか否かを判定しても良いし、入会希望者が入会前の所定期間内(例えば入会日や前日等)に眼科医の診察結果や処方箋を取得している場合に眼科医の診察等を要件とせずに会員登録するようにしても良い。
【0050】
また、新規に会員になるに際しては、必要に応じてコンタクトレンズの使用履歴なども考慮して、実店舗への来店による対面形式での対話やインターネット上の仮想店舗への来店等によるネットワークシステム10を介しての映像(静止画像を含むが好適には動画像)での対面形式での対話を要求して、コンタクトレンズの使用説明を担当者が直接に会員登録希望者へ行うことを要件としても良い。
【0051】
このような対面形式での対話を採用することで、単にテキストや画像で説明するよりも必要事項を確実に伝達できるし、各会員に対して精神的な信頼感や安心感を抱かせることができる。また、眼科医では説明困難な情報や知識を会員へ提供することも可能であり、例えば好ましい着脱方法や好ましい保存液や洗浄方法、装用感を考慮したレンズの素材や商品名の提案なども、個別の会員に対して、店舗の保有する情報や知識に基づいて、対面形式で効率的に且つ不安感を払拭しつつ提供することも可能である。
【0052】
このように会員を対象とするコンタクトレンズを提供する本実施形態のシステムでは、店舗用コンピュータ装置12(店舗用クライアント装置18と協働して店舗用コンピュータ装置12を構成するサーバー20)は、記憶装置22において、会員情報データベース22aを備えている。この会員情報データベース22aは、会員登録されたレンズ使用者の氏名,住所,生年月日,電話番号やメールアドレス等の連絡先,コンタクトレンズ配送先などの個人情報を記憶する。また、当該会員情報データベース22aは、会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12へアクセスする際に必要となるIDやパスワード等も記憶する。更に、利用することができるレンズ店舗として、提携等された複数のレンズ店舗が存在する場合には、各会員を特定店舗と紐付けておくことが望ましいことから、各会員と特定のレンズ店舗との関連付け情報を、会員情報の一つとして記憶する。
【0053】
(ii)レンズ提供情報データベース
また、店舗用コンピュータ装置12(サーバー20を含む、以下同じ)は、記憶装置22において、レンズ提供情報データベース22bを備えている。このレンズ提供情報データベース22bには、各会員に対して過去に提供したコンタクトレンズに関する情報を記憶する。かかる情報は、コンタクトレンズを過去に提供した時や数量,提供方法(店舗窓口か、宅配か等)の他、提供したコンタクトレンズの種類(近視矯正用,乱視矯正用,遠近両用など),商品名,規格(ベースカーブ,パワー(円柱度数や加入度数を含む),DIA,AX(軸)等),サグ値(Sagittal Depth),材質などの具体的情報を含むことが望ましい。また、ウエアラブルDDS(Drag Delivery System)に用いられるコンタクトレンズでは、装用状態で放出する薬液などのレンズ保持成分の情報も含むことが望ましい。更に、コンタクトレンズの流通や保存に用いられるレンズ保存液や洗浄液などの成分も、コンタクトレンズに付属する情報として、含むことが望ましい。
【0054】
(iii)処方箋情報データベース
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、処方箋情報データベース22cを備えている。この処方箋情報データベース22cには、各会員について眼科医の作成した処方箋の情報を記憶する。処方箋の名称や具体的記載の体裁等は、眼科医によって異なることから限定されないが、一般に当該会員について装用に問題ないとの診察所見が得られたコンタクトレンズについて、種類や規格(例えばベースカーブ,パワー,DIA)が記された書面(電子データを含む)とされる。処方箋情報は、処方箋の作成者や作成日の他、有効期限も含み、処方箋情報データベース22cに記憶される。
【0055】
(iv)複数レンズ種類関連付情報データベース
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、複数種類のコンタクトレンズを同一の会員に対して関連付ける複数レンズ関連付手段としての複数レンズ関連付情報データベース22dを備えている。即ち、各会員について、眼科医によって使用が差し支えないことを確認された、上述の処方箋で特定されるコンタクトレンズは単一である必要はない。例えば一つの処方箋により又は異なる処方箋により、異なる種類及び/又は規格のコンタクトレンズが処方箋情報として記憶されても良い。そして、当該会員に対して提供可能なコンタクトレンズが同時期に複数種類ある場合には、それら複数種類のコンタクトレンズが同一の会員に対して関連付けられる。
【0056】
ここにおいて、同一の会員に対して関連付けられて同時期に提供可能とされる複数種類のコンタクトレンズは、一つの処方箋によって提供を許容される場合と、複数の処方箋によって提供を許容される場合との何れも含む。また、同一の会員に関連付けられる複数種類のコンタクトレンズは、処方箋で特定される種類や規格(例えばベースカーブ,パワー,DIA)が異なるものの他、処方箋で特定されない相違点を有するものを含ませても良い。具体的には、「レンズ材質」と「サグ値」と「保存液成分」とについて、たとえ処方箋では区別されていなくとも、これらの少なくとも一つが相違することで、同一会員について処方箋情報による要件を満たすが種類の異なるコンタクトレンズとして同時に関連付けて把握することも可能であり、このような相違点を区別して種類の異なるコンタクトレンズとして使用や提供等を管理することにより、当該会員におけるコンタクトレンズ使用状況の把握や健康管理の精度および信頼性の更なる向上が図られ得る。
【0057】
なお、上述の説明から理解できるように、複数レンズ関連付情報データベース22dは、例えば同一の会員に提供可能とされる複数種類のコンタクトレンズが一つの処方箋によって特定される場合には処方箋情報データベース22cによって構成することも可能であり、複数の処方箋によって特定される場合には該当する複数の処方箋を関連付けることによって構成することも可能である。
【0058】
(v)眼検査情報データベース
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、眼検査情報データベース22eを備えている。この眼検査情報データベース22eには、会員からレンズ店舗(店舗用コンピュータ装置12)へ提供された当該会員の眼検査情報を記憶する。かかる情報は、問診形式やチェック形式(○×形式を含む)による自己申告情報からなる眼検査情報(1)と、眼を撮影した静止画や動画の画像情報からなる客観的な眼検査情報(2)とを、含むことが望ましい。これら眼検査情報(1),(2)は、例えばレンズ店舗内で会員から直接的に紙や電子媒体等を介して取得して店舗用コンピュータ装置12へ入力しても良いし、会員用コンピュータ装置14からネットワークシステム10を介して店舗用コンピュータ装置12へ送信入力しても良い。
【0059】
自己申告情報を含む眼検査情報(1)は、コンタクトレンズの継続的な使用に際しての悪影響の有無の確認に資する情報であって適宜に設定可能である。例えば、レンズ装用時における異物感の有無や程度、装用時の見え方について眩しさやかすみ等の有無や程度、従来と比較した近時における装用時の見え方の変化の有無や程度、昼間装用時と夜間装用時とにおける見え方の違いや程度、装用時における近方視,中間視,遠方視での見え方の違いや程度、充血や目脂などの主観的な眼状態の認識の有無や程度、身体的な健康状態に関する主観的な認識の有無や程度(例えば季節性を含むアレルギーの有無や反応状況等を含む)、近時における通院の有無や理由,近時における服薬の有無や理由などを項目として、眼検査情報(1)を取得することが考えられる。
【0060】
画像情報からなる客観的な眼検査情報(2)は、例えばレンズ店舗や会員が利用可能な各種施設、眼科医などにおいて撮影された画像情報を店舗用コンピュータ装置12へ入力する他、会員自身が所有する会員用コンピュータ装置14を用いて自身で撮影した画像情報を店舗用コンピュータ装置12へ送信しても良い。かかる画像情報は、例えばレンズ装用状態の左右各眼の静止画や、レンズ非装用状態の左右各眼の静止画の他、瞬目をした際の動画や、視線移動した際の動画、角膜上でのレンズの動きを確認するための適切な動画(例えば上方視の状態で瞬目をした際の動画)などを含むことができる。このような動画は、例えばレンズの動きについて異常がないか等を確認することができて望ましい。また、起床時やレンズ装着直後の画像、所定時間に亘って装着した後の画像など、条件を特定して撮影した画像を含むようにしても良い。
【0061】
(vi)レンズ使用情報データベース
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、レンズ使用情報データベース22fを備えている。このレンズ使用情報データベース22fには、各会員におけるコンタクトレンズの使用状況に関する情報を記憶する。具体的には、例えばコンタクトレンズの使用頻度(毎日,数日置き等)、一日の連続的な装用時間の他、睡眠時間などの情報を含むことができる。更に、かかるレンズ使用情報として、コンタクトレンズの不使用期間の有無と期間長を含んでも良い。例えばコンタクトレンズを所定期間以上に亘って装用しない状況が続いている場合には、コンタクトレンズ装用に際して何らかの異常や障害があったと推定できることから、レンズ不使用期間の情報取得は、装用状態の評価などに参照することもできて望ましい。
【0062】
かかるレンズ不使用期間の情報は、例えば該当する会員に対する過去のコンタクトレンズの提供日や数等の情報を、前述のレンズ提供情報データベース22bから取得することによって推定して取得することも可能であるし、会員からの自己申告によってレンズ使用履歴情報として取得することも可能である。また、レンズ不使用期間があった際に、レンズ不使用の理由についても併せて情報取得することが望ましく、例えば単に視力矯正が不要な状況(体調不良で床に就いていた等)であったのか、或いは、充血などのレンズ装用を懸念する何らかの異常があったのかなどの情報を取得して、レンズ使用情報として記憶することもできる。そして、かかる理由に応じて、コンタクトレンズ使用に関する適否の評価基準を異ならせることなども可能になり、評価の精度の向上を図ることもできる。
【0063】
なお、複数種類のコンタクトレンズの提供を並行して受けている会員では、レンズの不使用期間情報等を含むレンズ使用情報やレンズ不使用理由などについて、コンタクトレンズの種類毎に情報を取得して、レンズ使用情報データベース22fに記憶することが望ましい。
【0064】
(vii)眼科医情報データベース
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、眼科医情報データベース22gを備えている。この眼科医情報データベース22gは、会員が受診することのできる複数の眼科医に関する情報を記憶する。登録する眼科医は、会員の受診に対応できる眼科医であれば特段の制限はないが、予め選定した眼科医を登録しても良い。具体的には、例えば立地条件を考慮して、レンズ店舗に対してアクセスが容易なエリアに存在する眼科医の他、各会員の自宅又は職場からのアクセスが容易なエリアに存在する眼科医を選定しても良いし、例えば専門性を考慮して、コンタクトレンズ使用に関連する診察を得意とする眼科医や、特定の症状に対する処置を得意とする眼科医などを選定しても良いし、例えば会員から受診を希望する眼科医の情報を取得して眼科医を選定したり、所属医師が多くて単位時間当たりの診察対応可能数の多い眼科医を優先的に選定したりすることも可能である。
【0065】
かかる眼科医情報データベース22gには、眼科医の所在地やアクセス方法、連絡先などの他、眼科医の専門性や処置等の得意分野などの情報、眼科医の経歴や経験年数,性別,年齢などを記憶することもできる。また、各眼科医について、過去の処置内容や、会員からのアンケート情報、事前予約時刻と実際の診察時刻とのずれ時間の情報、診察に要した時間の情報などを記憶しても良い。
【0066】
(viii)診察予約データベース
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、診察予約データベース22hを備えている。この診察予約データベース22hは、各眼科医について、診察の予約状況に関する情報を記憶し、実質的にリアルタイムに情報を更新する。具体的には、例えば前記眼科医情報データベース22gに記憶された各眼科医について、それぞれ当日及び/又は近日中の診察予約の状況を記憶する。
【0067】
かかる診察予約の状況は、各眼科医と診察予約データベース22hを共用して運用することも可能であり、その他、例えば各眼科医から定期的又は都度に送信される予約情報を反映して更新する診察予約データベース22hであっても良いし、店舗用コンピュータ装置12等から各眼科医へ定期的又は都度に問い合わせて取得した診察予約情報を診察予約データベース22hに入力して更新するものなどであっても良い。
【0068】
すなわち、特定の眼科医への診察予約を試みるに際して、当該眼科医の診察予約状況を確認できるものであれば良い。それ故、特定の眼科医への診察予約を試みるに際して、例えば当該時点において、予約候補となる複数の眼科医の診察予約状況を問い合わせて反映する等することで、実質的にリアルタイムで更新され得るものであれば良く、全ての登録眼科医について診察予約状況が実質的にリアルタイムで常時更新される必要はない。
【0069】
さらに、かかる診察予約データベース22hは、店舗用コンピュータ装置12からの入力(会員用コンピュータ装置14や眼科医用コンピュータ装置16からの送信による店舗用コンピュータ装置12の受信入力を含む)によって、特定の会員が希望する特定の眼科医の診察予約を反映して記憶することができる。特に、診察予約データベース22hを各眼科医と共用している場合には、診察予約データベース22hに診察予約を記憶させることで、特定の眼科医について該当する会員の診察予約の手続きを完了できる。その他、眼科医が診察予約データベース22hと異なる診察予約システムを採用している場合には、診察予約の信号を診察予約データベース22hへ送信反映させると共に、当該眼科医の診察予約システムへも診察予約の信号を送信することで診察予約の手続きを実行する。
(iv)レンズ店舗予約データベース
また、店舗用コンピュータ装置12は、記憶装置22において、レンズ店舗予約データベース22iを備えている。このレンズ店舗予約データベース22iは、店舗用コンピュータ装置12を備えたレンズ店舗について、会員に対応するための接客予約時刻を記憶し、実質的にリアルタイムに情報を更新する。
【0070】
かかる接客予約時刻は、複数のレンズ店舗とレンズ店舗予約データベース22iを共用して運用することも可能である。また、レンズ店舗予約データベース22iへのデータ入力は、例えば店舗用コンピュータ装置12のキーボード等のユーザーインターフェースから行っても良いし、その他、後述する来店時刻推定手段24cによって求められた来店推定時刻を来店予約時刻として自動的に入力したり、会員が会員用コンピュータ装置14から希望する来店予約時刻をデータ送信して入力しても良い。
【0071】
なお、記憶装置22の各データベースに記憶された情報は、各会員の個人情報保護に留意しつつ、各会員が会員用コンピュータ装置14と店舗用コンピュータ装置12との間の信号送受信によって閲覧して確認したり、変更等できるようにすることが望ましい。
【0072】
(x)眼状態判定手段
また、店舗用コンピュータ装置12は、演算装置24において、眼状態判定手段24aを備えている。この眼状態判定手段24aは、会員の眼状態の良否を判定して、会員が提供を要求しているコンタクトレンズの使用に関する支障の有無を判定する。
【0073】
具体的には、例えば前述の眼検査情報(1)に基づいて、自己申告された対象会員における具体的な状態(例えば異物感やかすみ、見え方など)が、予め設定された評価基準に比して、継続的なコンタクトレンズ使用に際して問題ない程度か、注意すべき程度か、差し支える程度かなどを判定することによって行うことができる。
【0074】
また、前述の眼検査情報(2)に基づいて、撮像された対象会員における具体的な状態(例えば充血の程度や瞬目時のレンズ動き量など)が、予め設定された評価基準に比して、継続的なコンタクトレンズ使用に際して問題ない程度か、注意すべき程度か、差し支える程度かなどを判定することによって行うことができる。
【0075】
なお、眼状態の判定に際しての評価基準は、限定されるものでないが、例えば眼検査情報(1)について自己申告データを段階数値とした場合に閾値等をもって設定することができるし、該当チェックポイントの総数等をもって設定することもできる。また、眼検査情報(2)について撮像した画像レベルを対象として評価することで定量的で一層客観的な評価も可能になる。具体的には、例えば撮像した眼の色の程度や領域(画素数)の大きさ、動画では視線移動や瞬目に伴うレンズの動き,涙液層破壊時間(BUT)なども判定の評価対象となり得る。また、評価に際しては、眼科を含む医療分野において提案されている症状の評価スコアリング手法(例えば特開2021-81977号公報等参照)を利用して眼検査情報である画像やテキストの情報を評価することも可能であり、かかる評価基準としては、例えば有害事象共通用語基準(CTCAE)における眼障害グレード等に倣ってグレード評価の各閾値を設定するようにしても良い。また、多数の具体的な事例を対象として学習させたAIモデルを利用することで、眼検査情報(1),(2)に基づいて、眼状態の正常か否かを、必要に応じて複数段階で評価することも可能である。なお、眼状態の判定に際しての評価基準は、会員毎に、過去のトラブル等の発生状況や、持病の有無、レンズ使用の期間、使用中のレンズの具体的種類などを考慮して、個別に設定することも可能である。
【0076】
また、眼状態判定手段24aによる判定に際しては、該当会員における比較的に近い過去から現在におけるコンタクトレンズの使用状況を対象に含めることができる。具体的には、例えば一日当たり及び/又は所定期間内のコンタクトレンズ装用時間や、所定期間内のレンズ装用日数の他、所定期間内の平均睡眠時間の他、目薬等の使用程度や、眼科検診の有無などをレンズ使用情報として、例えば前述の眼検査情報(1)に含めて取得し、かかるレンズ使用情報に基づいて、対象会員におけるレンズ使用状況が適切であるか否かを判定する。かかる判定は、例えば一日当たりのコンタクトレンズ装用時間の長さや睡眠時間の長さなどの複数項目をポイント式に評価してポイント総数をもって判定することが可能である。
【0077】
更にまた、かかるレンズ使用情報として、コンタクトレンズの不使用期間に関する情報を利用することも可能である。当該会員に適合するとして登録された具体的種類のコンタクトレンズについて、長期間に亘る不使用な状況があった場合には、そこに何等かのレンズ使用上の問題が存在していると推定できるし、また、長期間に亘って使用されていない状況では、レンズ適合性の判断時から眼状態を含む体調が変化して適合性の再確認が好ましいと考えられるケースもあるからである。
【0078】
なお、所定期間におけるコンタクトレンズの不使用期間が存在する場合には、当該期間におけるコンタクトレンズ不使用の理由を、自己申告情報として取得して、レンズ不使用の理由が、例えば単に生活状況の一時的変化等でコンタクトレンズが不要であったのか、眼の違和感を理由にコンタクトレンズ使用を一時的に控えていたのか等の理由によって、眼状態判定手段24aによる判定に際しての閾値を異ならせることも可能である。
【0079】
また、眼検査情報等に基づいて、会員の眼状態などの良否を判定する際には、必要に応じて複数レンズ関連付情報データベース22dを参照して、該当会員が使用する複数種類のコンタクトレンズについて種類毎に情報を取得することで、例えば何れの種類のコンタクトレンズ使用が異常等の原因になっている可能性があるか等といった点まで考慮することが可能になり、判定精度の向上を図ることも可能になる。
【0080】
(xi)処方箋要件判定手段
また、店舗用コンピュータ装置12は、演算装置24において、処方箋要件判定手段24bを備えている。この処方箋要件判定手段24bは、会員が提供を要求しているコンタクトレンズに関して、当該コンタクトレンズの諸元が、当該会員について発行された処方箋で指定された内容と合致していることや、当該処方箋が有効期限に達していないことなどを確認する。
【0081】
なお、対象会員について、例えば複数種類のコンタクトレンズに関する複数の処方箋情報が存在する場合等であっても、店舗用コンピュータ装置12の複数レンズ関連付情報データベース22dの記憶情報に基づいて、店舗用コンピュータ装置12は、該当するコンタクトレンズの処方箋情報を効率的に参照し得る。
【0082】
(xii)来店時刻推定手段
また、店舗用コンピュータ装置12は、演算装置24において、来店時刻推定手段24cを備えている。この来店時刻推定手段24cは、会員がレンズ店舗に来店して接客対応を希望する時刻を推定する。具体的には、例えば会員が眼状態判定手段24aによって眼状態が良好でないと判定されたことに起因して眼科医による診察を受ける必要があった場合等において、診察予約データベース22hに記憶された眼科医への診察予約時刻や眼科医情報データベース22gに記憶された当該眼科医の所在地や交通機関等の情報に基づいて、眼科医での診察を完了してからレンズ店舗に赴くまでの必要時間を求めることで、レンズ店舗への来店時刻を演算予測する。予測された来店時刻は、レンズ店舗予約データベース22iに送信して記憶させると共に、店舗用コンピュータ装置12(店舗用クライアント装置18)や会員用コンピュータ装置14に送信して表示させることが望ましい。
【0083】
なお、来店時刻推定手段24cで求められたレンズ店舗への来店時刻は、会員用コンピュータ装置14に送信して表示し、会員用コンピュータ装置14からの承認又は変更依頼の信号を店舗用コンピュータ装置12が受信することを条件として、承認された又は変更依頼された来店時刻をレンズ店舗予約データベース22iへ登録しても良い。また、来店時刻推定手段24cは、眼科医での受診の開始時刻や終了時刻等を会員用コンピュータ装置14や眼科医用コンピュータ装置16から受信した場合に、その時刻を基準として来店時刻を再演算予測して、再演算してレンズ店舗予約データベース22iの情報を更新することも可能である。
【0084】
また、来店時刻推定手段24cは、眼科受診の有無に拘わらず、早急にレンズ店舗での接客対応を希望する会員が、当該会員の現時点における居場所(例えば自宅や職場,駅など)の情報を店舗用コンピュータ装置12へ送信することにより、かかる居場所や交通機関等の情報に基づいて、店舗に赴くまでの必要時間を求めることで、レンズ店舗への来店時刻を演算予測するようにしても良い。予測された来店時刻は、レンズ店舗予約データベース22iに記憶させると共に、店舗用コンピュータ装置12に表示し、必要に応じて音や光等の報知手段を発動させて担当者に報知しても良い。
【0085】
[3]会費の設定と管理
各会員は、店舗用コンピュータ装置12に予め情報登録されることで、継続してコンタクトレンズの提供を受けて使用するレンズ使用者とされるが、会員登録の継続要件として会費の設定は任意である。例えば商品やサービスの提供の都度に会員に料金支払い義務を発生させて、継続的な会費を不要とすることも可能であるが、会員の便宜とレンズ店舗による会員の管理を効率化するには、継続的な会費(例えば月会費や年会費等)の支払いを要件とすることが望ましい。勿論、基本会費と商品提供時に支払う代金とを組み合わせて採用することも可能である。
【0086】
会員継続に必要な会費を要求する場合に、各会員が関連付けされた店舗に対して必要な会費を支払うようにしても良いが、会費の支払いを、クレジットカード会社を介して行わせることも可能であり、それによってレンズ店舗における会費管理の軽減が図られる。具体的には、例えば図1に示されているように、各会員について会費の受領と管理を行っているクレジットカード会社が存在する場合に、当該クレジットカード会社のコンピュータ装置(カード会社PC等)30に対して店舗用コンピュータ装置12から情報の送受信を可能とし、店舗用コンピュータ装置12によって会員の会費支払いを確認できたことを要件として、当該会員への商品やサービスの提供を許可するようにしても良い。
【0087】
[4]コンタクトレンズの提供
商品であるコンタクトレンズや保存液等の関連商品を各会員へ提供する際には、レンズ店舗に在庫がある場合にはレンズ店舗を訪れた会員へ直接に商品を手渡すことも可能である。レンズ店舗に在庫がない場合や自宅等への配達を希望する会員の場合などにおいては、会員が要求する商品をレンズ店舗から各会員に発送する他、レンズ店舗とは別会社であるレンズメーカーや流通業者等の発送元に対して各会員への発送を指示することなどによって対応し得る。
【0088】
その際、各種商品の管理や配送を、レンズ店舗とは実質的に異なる商品のメーカーや問屋の発送元等の物流部門や物流センターに行わせることも可能であり、それによってレンズ店舗における商品の管理や配送の労力軽減が図られる。具体的には、例えば図1に示されているように、コンタクトレンズ等の商品について在庫や管理、配送等を行っている物流センターが存在する場合に、当該物流センターのコンピュータ装置(物流センターPC等)32に対して店舗用コンピュータ装置12からの情報の送受信を可能とし、店舗用コンピュータ装置12によって特定会員への特定商品の発送を指示したり、配送状況や配送履歴等の確認ができるようにしても良い。
【0089】
[5]システムによる作動例
以上に説明したようなコンタクトレンズ販売システムにより、各会員に対してコンタクトレンズを提供する販売方法を実現する作動を、図2に示すフロー図に従って、以下に説明する。
【0090】
先ず、レンズ使用者が予め会員登録されたコンタクトレンズを販売するレンズ店舗の店舗用コンピュータ装置12において、会員IDで特定される会員へのコンタクトレンズの提供アクションが開始される(S01)。かかるコンタクトレンズの提供アクションの開始に際しては、例えば店舗用コンピュータ装置12とカード会社PC30との情報送受信を利用する等して、対象会員について、会費の支払い等の要件を充足して会員資格を有効に保持していることを確認することが望ましい。
【0091】
なお、レンズ提供アクションの開始は、会員からレンズ店舗への要求によることも可能である。かかる要求は、例えばレンズ店舗を会員が現実に訪れて口頭や書面で行ったり、レンズ店舗に対して電話で会員ID番号等を伝えることで、担当者が店舗用コンピュータ装置12へレンズ提供アクションの開始信号を入力することによる他、会員用コンピュータ装置14からレンズ要求信号を店舗用コンピュータ装置12へレンズ提供アクションの開始信号を送信することで行うことも可能である。また、店舗用コンピュータ装置12において、予め組み込まれたプログラムにより、所定の期間毎に特定会員へのレンズ提供を要求する信号を発生させてレンズ提供アクションを開始させても良い。
【0092】
レンズ提供アクションが開始されると、ステップS02,03で、店舗用コンピュータ装置12において眼検査情報(1),(2)が取得されて記憶装置22に記憶される。かかる眼検査情報(1)は会員の自己申告情報を含み、眼検査情報(2)は画像情報を含むものであって、例えば会員用コンピュータ装置14から店舗用コンピュータ装置12への情報送信等によって実現されることは、前述のとおりである。
【0093】
続くステップS04で、店舗用コンピュータ装置12は、眼検査情報(1),(2)に基づいて、対象会員における眼状態が正常であるか否かを判定する。かかる判定は、前述の眼状態判定手段24aによって、例えば前記眼検査情報(1),(2)に基づいて行われる。特に会員の眼を撮像した画像情報を含む眼検査情報(2)を対象に眼状態(例えば充血の程度やレンズ位置など)を判定することで、客観的情報に基づいて判定精度や信頼性の向上が図られ得、更に、動画情報を対象に眼状態を判定することで、例えば瞬目時のレンズの動きや安定性など、静止画像では判定し難い項目まで対象にすることが可能になる。
【0094】
そして、ステップS04における眼状態の判定結果として正常とされた場合(考慮する程の異常が認められなかった場合を含む)には、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS05において、対象会員の処方箋情報を取得し、続くステップS06において、処方箋要件判定手段24bにより、処方箋要件を充足するか否かを判定する。具体的には、例えばステップS01でレンズ提供を要求されたコンタクトレンズの諸元が、処方箋で指定された内容と合致していることや、当該処方箋が有効期限に達していないことなどを確認する。
【0095】
なお、対象会員について、複数種類のコンタクトレンズに関する複数の処方箋情報が存在する場合には、店舗用コンピュータ装置12の記憶装置22に予め記憶された複数レンズ関連付情報データベース22dによって、それら複数の処方箋情報が対象会員に対して関連付けられて複数レンズ関連付手段が構成されている。それ故、対象会員が、特定種類のコンタクトレンズの提供を要求する場合に、他の種類のコンタクトレンズも当該会員に関連付けられていても、店舗用コンピュータ装置12は、問題なく該当するコンタクトレンズの処方箋情報を参照し得る。また、上記ステップS04で、眼検査情報やレンズ使用情報,レンズ不使用期間情報等に基づいて、対象会員の眼状態や使用状況などを判定する際にも、必要に応じて、複数レンズ関連付情報データベース22dを参照し、複数種類のコンタクトレンズについて種類毎に情報を取得することで、例えば何れの種類のコンタクトレンズ使用が異常等の原因になっている可能性があるか等といった点まで考慮することが可能になり、判定精度の向上を図ることも可能になる。
【0096】
ステップS06において処方箋要件を充足すると判定された場合には、必要に応じて、ステップS07において、上記ステップS04やステップS06での判定結果を反映して、判定日付けを付した判定レポートを作成する。なお、かかる判定レポートは、対象会員の眼状態サポート情報として、会員情報データベース22a又はレンズ提供情報データベース22bに記憶させると共に、必要に応じて、対象会員へ送信して情報提供することによりユーザーへフィードバックすることができる。
【0097】
そして、ステップS04での眼状態の正常判定と、ステップS06での処方箋要件の充足判定とが得られた場合には、続くステップS08で、店舗用コンピュータ装置12は、ステップS01で要求されたコンタクトレンズについて対象会員への提供を指示するレンズ提供信号を出力する。
【0098】
なお、店舗用コンピュータ装置12は、レンズ提供信号を出力すると共に、会員用コンピュータ装置14に対してコンタクトレンズを提供することを決定した旨の通知や、コンタクトレンズ提供の予定日及び提供方法、提供するコンタクトレンズの具体的種類などを情報送信しても良い。また、店舗用コンピュータ装置12は、コンタクトレンズの提供処理が完了した信号が入力されると、レンズ提供信号の出力と併せて、提供したコンタクトレンズの具体的種類や数量,提供日時等を、特定会員へ関連付けて、記憶装置22のレンズ提供情報データベース22bに記憶する。
【0099】
かかるレンズ提供信号の出力は、例えば店舗用コンピュータ装置12のモニタ上への表示や、プリントアウトの他、担当者の携帯型端末への信号送信などによって為され得る。また、例えば店舗用コンピュータ装置12から物流センターPC32に対して対象会員への特定商品の発送を指示する情報を送信することによって行っても良い。かかるレンズ提供信号の出力は、提供するコンタクトレンズを具体的に特定する情報の他、提供対象である会員を具体的に特定し得る情報を含む。
【0100】
これに対して、前述のステップS04における眼状態の判定結果として何等かの異常が認められた場合及び/又は前述のステップS05における処方箋要件の判定結果として要件を充足しないと判定された場合には、ステップS07において、作成される判定レポートに当該判定結果が反映されると共に、ステップS09において、眼科医の診察を要求する出力処理が実行される。かかる処理は、眼科医の診察を要求する情報を、例えば店舗用コンピュータ装置12へ画面表示や印刷処理等する他、店舗用コンピュータ装置12から会員用コンピュータ装置14へ送信する等して、該当する会員へ通知することによって行うことができる。
【0101】
ステップS09で眼科医診察が要求される場合には、ステップS10で適切な眼科医に対して対象会員の診察予約が実行される。眼科医への診察予約を実現する作動の一例を、図3に示す。
【0102】
先ず、ステップS10-1において、対象会員の診察に適する眼科医を、眼科医情報データベース22gを利用して選定する。かかる選定は、例えば対象会員の現在地(自宅や職場、レンズ店舗など)から所定時間で行くことのできるエリアを対象に絞っても良いし、また、対象会員の症状を専門とする眼科医の専門分野を対象に絞っても良いし、対象会員が事前に選定した眼科医の選定情報に基づいて絞っても良いし、対象会員を過去に診察した眼科医(例えばかかりつけ医)などの履歴情報に基づいて絞っても良い。
【0103】
次に、ステップS10-2において、選定した眼科医について、診察予約データベース22hを利用して、スケジュール表示を行う。かかるスケジュール表示は、例えば店舗用コンピュータ装置12において画像表示したり印刷するなどして行うことができ、対象会員の会員用コンピュータ装置14においてもスケジュール表示することができる。
【0104】
かかる眼科医のスケジュール表示は、登録された全ての眼科医を対象にスケジュール表示しても良いが、予め選定した1以上の眼科医についてスケジュール表示することで、把握や選定の容易化や効率化が図られ得る。なお、スケジュール表示の具体的態様は限定されるものでなく、例えば眼科医を横マスに並べて、縦マスを時刻単位の予約状況(スケジュール空き情報)として表形式で表示することも可能である。
【0105】
また、眼科医のスケジュール表示に併せて、対象会員の現在地(自宅や職場、レンズ店舗など)を取得し、当該現在地から各眼科医にまで移動するのに必要な時間を併せて参考表示しても良い。かかる移動時間は、予め設定しておいても良いし、都度に算出しても良い。例えばインターネットで提供されている移動案内用のソフトウェアやアプリ等を利用することで、徒歩や車、又は電車などの移動手段を考慮して求めることも可能である。現在地から眼科医までの移動時間を知ることで、不要な待ち時間を短縮して効率的に受診することのできる予約時刻を、容易に選定することが可能になり、会員又はレンズ店舗の担当者の労力負担などが図られ得る。
【0106】
表示された眼科医の予約状況を見て、ステップS10-3において、適切な眼科医について適切な時刻を選定する。かかる選定は、例えば店舗用コンピュータ装置12からの入力で決定することも可能であるし、会員用コンピュータ装置14からの入力で決定することも可能である。また、最終的な決定に際しては、例えば店舗用コンピュータ装置12において選定された内容(眼科医及び予約時刻)を会員用コンピュータ装置14へ送信して、会員が了承することを条件としても良い。その際、会員用コンピュータ装置14において、選定された眼科医及び/又は予約時刻について、変更を可能とし、変更後の眼科医及び/又は予約時刻を、必要に応じて店舗用コンピュータ装置12において了承することを条件として、最終期に決定された予約内容とすることも可能である。
【0107】
このようにして決定された診察予約の内容(眼科医及び予約時刻)をもって、次のステップS10-4で、当該眼科医に対して特定時刻の予約を実行し、診察予約データベース22hへ予約情報を反映する。なお、診察予約データベース22hを眼科医が共用している場合には、診察予約データベース22hへの予約情報の記憶によって、診察予約の実行と情報反映が同時に実行されることとなる。
【0108】
ステップS10-4で診察予約が完了すると、ステップS10-5において、実行される診察予約の内容(眼科医名及び予約時刻)を会員用コンピュータ装置14へ送信して、会員に対して診察予約の最終報告を行うことが望ましい。かかる診察予約の最終報告には、眼科医の所在地や連絡先などを含ませることで、会員の利便性の向上を図ることも可能である。
【0109】
このようにして行われた診察予約に従って、会員は、予約された眼科医において予約された時刻に診察を受けることができる。ところで、本来的に会員は、コンタクトレンズの提供を求めてレンズ店舗へアクセスしてきたのであるから、かかる診察の後には、目的とするコンタクトレンズの提供を受けるために、再びレンズ店舗へアクセスする必要がある。かかる事情を考慮して、本実施形態のシステムでは、図2に示すように、ステップS11において、レンズ店舗への来店の予約が実行される。即ち、眼科医での診察を終えた会員が、そのままレンズ店舗へ来店することも可能であるが、それではレンズ店舗において先客の接客が終わるまでの待ち時間が発生し、会員にとって労力と時間を費やすことを余儀なくされるおそれもあるが、予め来店予約をしておくことで、レンズ店舗において速やかに対応してもらうことが可能になるのである。かかるレンズ店舗への来店予約を実現する作動の一例を、図4に示す。
【0110】
先ず、ステップS11-1において、対象会員について眼科医の予約時刻を取得する。かかる予約時刻は、店舗用コンピュータ装置12等から入力する他、例えば診察予約データベース22hへの診察予約時刻の入力等を契機として、当該診察予約データベース22hから自動的に取得することも可能である。
【0111】
尤も、眼科医の予約時刻を取得する目的は、対象会員が診察を終えてレンズ店舗への移動を開始できる時刻を特定することである。それ故、ステップS11-1では、レンズ店舗への来店予約の開始に際して、眼科医の予約時刻の取得に代えて、他の適切な段階、例えば眼科医における診察又は会計の完了信号を会員用コンピュータ装置14又は眼科医用コンピュータ装置16から受診した時刻を取得するようにしても良い。何れにしても、対象会員が眼科医診察を終えて、当該眼科医からレンズ店舗に向けて移動を開始できる時刻を予測できる段階であれば良い。
【0112】
次に、ステップS11-2において、診察を終えた対象会員が眼科医を後にしてレンズ店舗にまで移動するのに必要な時間を予測することで、レンズ店舗への来店推定時刻を求める。具体的には、例えば診察予約データベース22hに記憶された予約時刻を基準として、診察や会計を終えるまでの予測時間と、眼科医の所在地からレンズ店舗の所在地までの移動に要する予測時間とを考慮して、来店時刻推定手段24cにより、対象会員がレンズ店舗に到着する時刻を演算して推定する。
【0113】
なお、予約時刻から診察や会計を終えるまでの予測時間は、例えば眼科医用コンピュータ装置16による情報送信によって都度又は平均時間として各眼科医から取得した情報を利用したり、過去の各眼科医毎における過去の記録又は全ての眼科医の平均の記録から取得した統計値を用いることで、求めることが可能である。また、眼科医からレンズ店舗までの移動に要する予測時間は、例えば各眼科医毎に特定のレンズ店舗までの移動時間を予め設定しておいても良いし、都度に算出しても良い。例えばインターネットで提供されている移動案内用のソフトウェアやアプリ等を利用することで、徒歩や車、又は電車などの移動手段を考慮して、更に必要に応じて当該時点での交通情報まで併せて考慮して、求めることも可能である。
【0114】
ステップS11-2で算出されたレンズ店舗への来店推定時刻は、ステップS11-3において、店舗用コンピュータ装置12及び/又は会員用コンピュータ装置14に表示させることで、レンズ店舗の担当者や会員に予め確認させることが望ましい。
【0115】
更に好適には、続くステップS11-4を採用して、ステップS11-2で算出されたレンズ店舗への来店推定時刻について、店舗用コンピュータ装置12及び/又は会員用コンピュータ装置14による変更又は承認を許可する。かかる来店推定時刻の変更は、例えばレンズ店舗予約データベース22iの情報により該当時刻の予約の込み具合を考慮して、プログラム処理で自動的に時刻変更を行うことも可能である。また、レンズ店舗の担当者の都合(休憩時間等)や、会員の都合(寄り道の予定等)を反映できるように、店舗用コンピュータ装置12や会員用コンピュータ装置14からの入力によって来店推定時刻の変更を許容しても良い。
【0116】
このようにステップS11-4で変更や承認されることで確定した来店推定時刻は、続くステップS11-5において、レンズ店舗に対して特定時刻の来店予約を実行し、レンズ店舗予約データベース22iへ予約情報を反映する。
【0117】
ステップS11-4で来店予約が完了すると、ステップS11-5において、レンズ店舗への来店予約の内容(レンズ店舗名や来店予約時刻)を会員用コンピュータ装置14へ送信して、会員に対して特定のレンズ店舗への来店予約の最終報告を行うことが望ましい。かかる来店予約の最終報告には、レンズ店舗の所在地や連絡先などを含ませることで、会員の利便性の向上を図ることも可能である。
【0118】
このようにして行われた来店予約に従って、眼科医による診察を終えた会員は、予約されたレンズ店舗に再来店することで、予めレンズ店舗への到着時刻を推定して予約された時刻において、殆ど待ち時間もなく接客を受けることができる。また、店舗用コンピュータ装置12では、レンズ店舗予約データベース22iの情報に基づいて、会員情報データベース22aやレンズ提供情報データベース22bなどの記憶装置22の情報を利用して、当該会員の情報を効率的に準備して参照することができることから、当該会員に対して適切な接客を速やかに行うことが可能になる。
【0119】
また、眼科医による診察結果は、好適にはサーバー20の記憶装置22(会員情報データベース22a又は処方箋情報データベース22c)に記憶される。かかる診察結果は、会員又は眼科医から取得した情報を店舗用コンピュータ装置12から入力しても良いが、眼科医用コンピュータ装置16からの情報送信によって入力して記憶装置22のデータベースに反映させても良い。
【0120】
そして、図2に示されているように、レンズ店舗において店舗用コンピュータ装置12は、ステップS12において、再来店した会員について取得した眼科医の診察結果情報を参照し、ステップS04,S06で為された、コンタクトレンズの継続使用に関する否定的な判定結果が解消されたか否か(問題解消の有無)を判別する。かかる判別は、例えば眼科医がコンタクトレンズの使用が問題無いと診断したか否かを基準とすることができる。
【0121】
かかるステップS12において、コンタクトレンズの継続使用に関する否定的な判定結果の解消が認められた場合には、ステップS08に進み、前述のように店舗用コンピュータ装置12は当該会員に対するコンタクトレンズの提供を指示する処理を実行する。
【0122】
一方、ステップS12において、コンタクトレンズの継続使用に関する否定的な判定結果が維持された場合には、ステップS13に進み、対象会員について経過観察又は再診察の処理とされ、要求されたコンタクトレンズの提供を否定する信号を出力する。かかるレンズ提供拒否の信号の出力は、例えば店舗用コンピュータ装置12のモニタ上への表示や、プリントアウトの他、店舗用コンピュータ装置12から会員用コンピュータ装置14への情報送信などによって為され得る。
【0123】
かかる経過観察の処理に際しては、店舗用コンピュータ装置12から会員用コンピュータ装置14へ送信する情報において、例えば眼科医の診察に際して指摘された適切な治療や適切な期間経過の後に、眼科医の再診察を要求する指示を含ませても良い。かかる再診察の要求指示を含ませた場合には、例えばコンタクトレンズの継続使用に問題が認められなくなるまで適切な時間間隔をもってステップS10-13を実行することで眼科医の所見を参照しつつ経過を観察する処置が実行され得る。
【0124】
上述のようにして会員がコンタクトレンズの提供を継続的に受けることにより、当該会員が予め関連付けされて継続してサービスを受けているレンズ店舗を介してコンタクトレンズの提供を受けることができる。そして、コンタクトレンズの提供を受ける際には、当該レンズ店舗の責任でコンタクトレンズの提供の可否を審査して判定することとなる。それ故、例えば単に処方箋期限内であることの確認をもってコンタクトレンズを継続して提供し続けるような場合に比して、各会員の安全を有効に且つ効率的に確保しつつ、認められた会員へは宅配によるコンタクトレンズの再提供に対応することで良好な利便性を達成し得るのである。
【0125】
特に本実施形態では、レンズ店舗は、客観的な画像情報を参考にして眼状態の正常性を判定(S04)することから、単に会員の主観的な問診回答だけで眼状態の正常性を判定する場合に比して、判定精度の向上が図られ得る。また、レンズ使用状況の判定に際して、過去のコンタクトレンズ使用状況を考慮したり、必要に応じてレンズ不使用理由を考慮することで、近時の客観的事実を参照してレンズ使用状況の適否判定の精度の向上が図られ得る。
【0126】
さらに、上述のコンタクトレンズ提供システムによれば、会員が複数種類のコンタクトレンズに関連付けられて複数種類のコンタクトレンズを並行的に提供を受けることが可能である。それ故、例えば各会員について、生活や趣向の多様化などに伴って、勤務中と勤務外とで異なる種類のコンタクトレンズを使い分けたり、状況に応じて異なる種類のコンタクトレンズを使い分けたりすることを欲するような場合にも、会員に対する複数種類のコンタクトレンズの提供の効率的な処理や管理が実現可能になる。また、店舗用コンピュータ装置12は、会員が一つの種類のコンタクトレンズの提供を要求する際にも、他の種類のコンタクトレンズの装用状況までも考慮することが容易となることから、会員のレンズ使用状況などの判定の精度向上等も効率的に実現可能になる。
【0127】
加えて、上述の実施形態では、眼状態やレンズ使用状況,処方箋要件等についてそれぞれ判定した結果を反映して判定レポートが作成されることから、かかる判定レポートを、必要に応じて対象会員及び/又は診察を担当する眼科医等へ提供することも可能である。
【0128】
また、かかる判定レポートを、コンタクトレンズ提供と併せて対象会員へ提供すれば、会員に対して、レンズ使用状況の適切さの再確認と、適切なレンズ使用の意識の再認識を促すことにもつながる。一方、眼科医診察の要求と併せてレポート提供すれば、会員に対して問題の所在をより明確に認識させることにつながり、より適切なコンタクトレンズ使用に務めさせる契機ともなり得る。
【0129】
そして、このような判定レポートの提供は、コンタクトレンズ使用者において主観的にも客観的にも有意義であることから、会員であることのメリット感の向上や、レンズ店舗とのつながり感や信頼感、信用等の向上に関して効果が大きい。それ故、既存の会員が会員状態を継続する意識の増大や再確認にもつながり、結果としてより多くのコンタクトレンズ使用者を適切な使用状況に導き得る社会的効果も達成され得る。
【0130】
なお、店舗用コンピュータ装置12は、判定レポートの内容も含めて、記憶装置22において対象会員を特定して情報記憶しておくことが望ましい。また、会員用コンピュータ装置14は、会員情報や判定レポートの内容、提供されたコンタクトレンズの履歴情報など、必要に応じて店舗用コンピュータ装置12にアクセスして情報閲覧できるようにしても良い。
【0131】
特に上述のレンズ提供システムによれば、コンタクトレンズ使用者である会員は、コンタクトレンズの提供を受けるレンズ店舗へ行くだけで、店舗用コンピュータ装置12が当該会員の眼状態の良否や処方箋要件等を判定し、コンタクトレンズ使用が適切であれば速やかにコンタクトレンズの提供を受けることができる。一方、コンタクトレンズ使用に支障のおそれがある場合は、適切な眼科医の選定から予約までのサービスを受けることができて、速やかに眼科医を受診することができるだけでなく、診察後にはレンズ店舗に戻ることで、店舗予約が完了していることから殆ど待つことなく接客を受けて、コンタクトレンズの提供を受けることが可能になる。
【0132】
すなわち、このようなレンズ提供システムは、医療行為とレンズ販売行為との分離の思想のもとで眼科医とレンズ販売点が各別に独立運営されているために、レンズ使用者に多大な労力や時間の負担が余儀なくされていたコンタクトレンズの安全使用の実現に関して、レンズ使用者である会員からすると、医療とレンズ販売とが連携された一つのサービス提供組織に近い態様で利用することを可能となし得る。それ故、会員は、眼の健康状態について安心しつつ、コンタクトレンズを効率的に入手して使用し続けることが可能になるのである。
【0133】
以上、本発明に従うコンタクトレンズの提供システムについて、具体的な実施形態を示しつつ詳述してきたが、本発明はかかる実施形態に限定して解釈されるものでない。
【0134】
例えば、使用状況の判定や不使用期間の判定などを含む眼状態の判定(S04)と処方箋要件の判定(S06)は、その判定処理をどのような順序で行っても良い。また、眼状態の判定(S04)は、具体的な判定対象や判定方法等を限定されるものでない。
【0135】
また、本発明が適用されるコンタクトレンズは、具体的種類について限定されるものでなく、近視用や老視用,近視抑制用,カラーコンタクトレンズ,コスメティックレンズなど、各種のコンタクトレンズが対象とされ得る。
【0136】
なお、上述の説明から明らかなように、前記実施形態では、図2~4に示された各フローを順次に実行するための各コンピュータ装置におけるハードウェアとソフトウェアの協働によって、各情報の送受信手段や特定条件の判定手段などが構成されており、ハードウェアとしては前述の如きコンピュータや携帯端末等の情報記憶手段を備えた各種のプログラム実行処理装置が具体的構造によって限定されることなく採用され得る。
【0137】
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様は、本発明の趣旨を逸脱しないかぎり、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
10 ネットワークシステム
12 店舗用コンピュータ装置
14 会員用コンピュータ装置
16 眼科医用コンピュータ装置
18 店舗用クライアント装置
20 サーバー
22 記憶装置
22a 会員情報データベース
22b レンズ提供情報データベース
22c 処方箋情報データベース
22d 複数レンズ関連付情報データベース
22e 眼検査情報データベース
22f 使用情報(不使用情報)データベース
22g 眼科医情報データベース
22h 診察予約データベース
22i レンズ店舗予約データベース
24 演算装置
24a 眼状態判定手段
24b 処方箋要件判定手段
24c 来店時刻推定手段
30 カード会社PC
32 物流センターPC
図1
図2
図3
図4