(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058164
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240418BHJP
F24F 8/20 20210101ALI20240418BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20240418BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240418BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20240418BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20240418BHJP
【FI】
F24F7/06 B
F24F8/20
F24F8/108 110
F24F7/007 B
F24F11/72
F24F120:10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165338
(22)【出願日】2022-10-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 泰
(72)【発明者】
【氏名】池原 基博
(72)【発明者】
【氏名】小島 千里
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L056BF01
3L058BE04
3L058BE05
3L058BE08
3L058BG01
3L058BG03
3L058BG04
3L260AA01
3L260AA04
3L260AA20
3L260AB15
3L260BA09
3L260BA12
3L260CA03
3L260CA11
3L260FA07
3L260FC06
3L260FC25
(57)【要約】
【課題】玄関に取り込まれた菌や埃を、室内を経由することなく換気する換気装置を提供する。
【解決手段】建物に設けられた換気装置3は、屋外の空気を屋内に取り込むための給気通路30と、屋内の空気を屋外に排出するための排気通路31とを有する。また、換気装置3は給気通路30及び排気通路31の少なくとも一方に設けられた換気ファン32を有する。排気通路31は、屋内に設けられた少なくとも1つの排気口37と、屋外に設けられた排出口38とを有する。排気口37は建物の少なくとも玄関27に設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた換気装置であって、
屋外の空気を屋内に取り込むための給気通路と、
前記屋内の空気を前記屋外に排出するための排気通路と、
前記給気通路及び前記排気通路の少なくとも一方に設けられた換気ファンと、を有し、
前記排気通路は、前記屋内に設けられた少なくとも1つの排気口と、前記屋外に設けられた排出口とを有し、
前記排気口が前記建物の少なくとも玄関に設けられている換気装置。
【請求項2】
前記換気ファンは前記排気通路に設けられ、
前記排気通路は、前記排気口と前記換気ファンとの間に設けられた上流側管路部と、前記換気ファンと前記排出口との間に設けられた下流側管路部とを有する、請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記換気ファンは前記排気通路に設けられ、前記排気口が前記建物の浴室、洗面脱衣室又は、トイレに更に設けられ、
前記排気通路は、前記排気口のそれぞれと前記換気ファンとの間に設けられた複数の上流側管路部と、前記換気ファンと前記排出口との間に設けられた下流側管路部と、を有し、
複数の前記上流側管路部が切替弁を介して互いに接続されている、請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
前記排気口が設けられた前記浴室、前記洗面脱衣室又は、前記トイレに対応するセンサ又はスイッチと、
前記センサの検出結果又は前記スイッチの状態に基づいて前記切替弁を制御する制御装置と、を更に有する、請求項3に記載の換気装置。
【請求項5】
前記排気口が前記玄関の壁の下部に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の換気装置。
【請求項6】
前記玄関には、服又は靴を収納する収納空間を画定する収納部が設けられ、前記排気口が前記収納部の下部に設けられ、前記収納空間が前記排気通路の一部をなす請求項5に記載の換気装置。
【請求項7】
前記収納部は、前記排気口から前記収納空間の上部に至る第1排気通路部を有し、空気が前記収納空間を上から下へ流れるように構成されている請求項6に記載の換気装置。
【請求項8】
前記収納部は、前記第1排気通路部に設けられたフィルタ及び除菌装置の少なくとも1つを有する請求項7に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設けられた換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室外から室内に空気を取り入れて(給気)室内の空気を室外に排出する(排気)換気は、室内の空気環境を維持するために重要な役割を果たしている。例えば換気は、建物の気密化に伴うシックハウス対策用の室内換気や、浴室、トイレ及びキッチンなどの局所的に発生する湿気やにおいを排気するなどの効果を有する。換気の方法には、給気及び排気が換気ファンなどの機械によって行われる第1種換気方式、給気が換気ファンなどの機械によって行われる第2種換気方式及び、排気が換気ファンなどの機械によって行われる第3種換気方式がある。
【0003】
特許文献1には、建物内の24時間換気システムが紹介されている。建物には、リビングルーム、主寝室、台所、洗面所、浴室、トイレ、バルコニー等が設けられている。バルコニーに隣接するリビングルーム及び主寝室等の部屋のバルコニー側には、屋外に連通する給気口が設けられている。洗面所、浴室及びトイレの天井のそれぞれには、換気口(排気口)が設けられている。それぞれの換気口は、ダクトを介して換気ファンに接続されている。換気ファンは、ダクトを介してバルコニー側の排気口(排出口)に接続されている。これにより、給気口から屋内に取り入れられた外気は、換気ファンによって部屋内及び廊下を通じて換気口に導かれ、ダクトを通じて屋外に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-039579号公報
【特許文献2】特開2020-056181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の24時間換気システムにおいて、玄関には給気口又は排気口が設けられていない。そのため、玄関の換気は行われない。したがって人が屋外から屋内に入るとき、菌や埃等も屋内に取り込まれ、玄関及び玄関から各部屋に通ずる廊下に滞留する。換気ファンは、換気のため給気口から屋内を経由して排気口に向けて空気を流す。そのため玄関及び玄関から各部屋に通ずる廊下に滞留する菌や埃等は、空気の流れによって室内に取り込まれる虞がある。また、服に付着した菌や埃等は服と一緒に室内に持ち込まれる。そこで特許文献2に記載の玄関ドアのように、玄関ドアに網部を通じて外気を室内に取り込める通気口を設けることも考えられる。しかしこの場合、通気口は給気口として機能するため、玄関から取り込まれた外気は室内を経由してしまう。すなわち、玄関に取り込まれた菌や埃が廊下を通じて室内にまで取り込まれてしまう。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、玄関に取り込まれた菌や埃を、室内を経由することなく屋外に排出できる換気装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、建物(1)に設けられた換気装置(3)であって、屋外の空気を屋内に取り込むための給気通路(30)と、前記屋内の空気を前記屋外に排出するための排気通路(31)と、前記給気通路及び前記排気通路の少なくとも一方に設けられた換気ファン(32)と、を有し、前記排気通路は、前記屋内に設けられた少なくとも1つの排気口(37)と、前記屋外に設けられた排出口(38)とを有し、前記排気口が前記建物の少なくとも玄関(27)に設けられている。
【0008】
この態様によれば、玄関の空気は玄関に設けられた排気口から排気通路を通って屋外に排出される。したがって、屋内の換気を行いつつ、玄関に取り込まれた菌や埃を、室内を経由することなく屋外に排出することが可能となる。
【0009】
上記の態様において、前記換気ファンは前記排気通路に設けられ、前記排気通路は、前記排気口と前記換気ファンとの間に設けられた上流側管路部(40)と、前記換気ファンと前記排出口との間に設けられた下流側管路部(41)とを有するとよい。
【0010】
この態様によれば、排気通路の管路部では空気の流れが速いため、菌や埃が滞留しにくい。よって菌や埃が排気通路に滞留することや、排気通路に滞留した菌や埃が隙間から室内に取り込まれることが抑制される。また、上流側管路部及び下流側管路部の長さを調整することによって、換気ファンを所望の位置に配置することができため、換気ファンの配置における自由度が増す。
【0011】
上記の態様において、前記換気ファンは前記排気通路に設けられ、前記排気口が前記建物の浴室(23)、洗面脱衣室(22)又は、トイレ(24)に更に設けられ、前記排気通路は、前記排気口のそれぞれと前記換気ファンとの間に設けられた複数の上流側管路部(40)と、前記換気ファンと前記排出口との間に設けられた下流側管路部(41)と、を有し、複数の前記上流側管路部が切替弁(42)を介して互いに接続されているとよい。
【0012】
汎用品の換気ファンの接続数は限られているため、上記の各上流側管路部は汎用品の換気ファンに接続できない。この態様によれば、切替弁によって複数の上流側管路部が集約されるため、汎用品の換気ファンとは別に特殊な換気ファンを用意する必要がない。よって、換気装置のコストの上昇を抑制することができる。また、玄関の換気と、浴室の換気、洗面脱衣室の換気又は、トイレの換気とを切り替えることができる。換気装置は、排気口、排気通路、切替弁、換気ファン及び、共通管路部の少なくとも一部は一体型に設けられてもよい。
【0013】
上記の態様において、前記排気口が設けられた前記浴室、前記洗面脱衣室又は、前記トイレに対応するセンサ(44)又はスイッチと、前記センサの検出結果又は前記スイッチの状態に基づいて前記切替弁を制御する制御装置(45)と、を更に有するとよい。
【0014】
この態様によれば、浴室、洗面脱衣室又は、トイレの使用状況に応じて、玄関の換気と浴室の換気、洗面脱衣室の換気又はトイレの換気とが切り替わる。つまり、切替操作が不要であり、便利に使用できることから、換気装置の商品性が向上する。
【0015】
上記の態様において、前記排気口が前記玄関の壁の下部に設けられているとよい。
【0016】
この態様によれば、玄関の上部に比べて埃が溜まりやすい玄関の下部から換気が行われる。よって、玄関の壁の上部に排気口が設けられた場合に比べ、玄関に溜る埃の量が低減する。
【0017】
上記の態様において、前記玄関には、服(53)又は靴を収納する収納空間(51)を画定する収納部(28、29)が設けられ、前記排気口が前記収納部の下部に設けられ、前記収納空間が前記排気通路の一部をなすとよい。
【0018】
この態様によれば、玄関の換気と併せて、服又は靴に付着した菌や埃を除去することができる。
【0019】
上記の態様において、前記収納部は、前記排気口から前記収納空間の上部に至る第1排気通路部(56)を有し、空気が前記収納空間を上から下へ流れるように構成されているとよい。
【0020】
この態様によれば、空気の流れによって収納部に収納された服又は靴に付着した菌や埃が収納空間の下に落とされる。
【0021】
上記の態様において、前記収納部は、前記第1排気通路部に設けられたフィルタ(57)及び除菌装置の少なくとも1つを有するとよい。
【0022】
この態様によれば、玄関に滞留した菌や埃はフィルタに吸着される。或いは玄関に滞留した菌は除菌装置によって取り除かれる。そのため、菌や埃が収納空間、排気通路及び換気ファンを通って屋外に流れて屋内に滞留することを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、玄関に取り込まれた菌や埃を、室内を経由することなく屋外に排出できる換気装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るいくつかの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の実施形態では、集合住宅用の建物1の住戸2に換気装置3が設けられた例について説明する。なお、建物1はオフィスビルであってもよく、オフィスビルの一画に換気装置3が設けられてもよい。
【0026】
≪第1実施形態≫
図1に示すように、住戸2には建物1の外壁7、戸境壁8、天井及び床によって屋内が形成されている。外壁7には屋外と屋内とを貫通する複数の開口が設けられている。住戸2には、外壁7に設けられた開口を塞ぐように、玄関ドア13及び窓14が設けられている。住戸2には、複数の室及び廊下15を設けるべく、屋内を仕切るように間仕切り壁16が設けられている。本実施形態では、住戸2は、リビングルーム17、第1部屋18、第2部屋19、寝室20、台所21、洗面脱衣室22、浴室23、トイレ24及び複数のクローゼット25等を有する。第1部屋18、第2部屋19及びリビングルーム17は建物1の外壁7に接している。各室には、間仕切り壁16に設けられた開口を塞ぐようにドア26が設けられている。ドア26は、ドア26の下部と床との間に隙間が生じるように配置されるとよく、ドア26の下部には例えばアンダーカットが設けられてよい。住戸2の玄関27には、服53(
図2)又は靴を収納する収納空間51を画定する収納部が設けられている。本実施形態では、靴を収納するための2つの靴収納部28及び服53を収納するための服収納部29が設けられている。
【0027】
住戸2には換気装置3が設けられている。換気装置3は、屋外の空気を屋内に取り込むための給気通路30と、屋内の空気を屋外に排出するための排気通路31とを有する。また換気装置3は、給気通路30及び排気通路31の少なくとも一方に設けられた換気ファン32を有する。本実施形態では、排気通路31に換気ファン32が設けられている。給気通路30は、屋外と屋内とを連通するように建物1の外壁7に設けられている。給気通路30の両端は屋外及び屋内に開放された開口をなしており、給気通路30の長さは外壁7の厚さと略同等に形成されている。本実施形態では3つの給気通路30が、第1部屋18、第2部屋19及びリビングルーム17の3つの室に開口するように設けられている。給気通路30の屋内側の開口には、開口を塞ぐように開閉可能なシャッター又はフィルタが設けられてよい。
【0028】
排気通路31は、屋内に設けられた少なくとも1つの排気口37(排気取入口)と、屋外に設けられた排出口38(排気吐出口)とを有する。換気ファン32は、排気口37から取り込んだ屋内の空気を排出口38から吐出するべく排気口37から排出口38に向かう空気の流れを作り出す。排気通路31はダクト等によって形成された管路であってよく、少なくとも1つの排気口37と換気ファン32との間に設けられた少なくとも1つの上流側管路部40と、換気ファン32と排出口38との間に設けられた下流側管路部41とを有する。換気ファン32は浴室23の天井裏に配置され、上流側管路部40及び下流側管路部41は各室や廊下15の天井裏に配置されている。下流側管路部41の下流端の開口は排出口38をなしている。下流側管路部41の下流端は、建物1の外壁7に配置されて屋外に開放されている。
【0029】
排気口37は、換気ファン32の作動中に屋内の空気を上流側管路部40に供給するように屋内に配置される。本実施形態では4つの排気口37が、浴室23、洗面脱衣室22、トイレ24及び玄関27の4つの屋内空間に配置されている。浴室23の排気口37、洗面脱衣室22の排気口37及びトイレ24の排気口37は、各室の天井に配置される。玄関27の排気口37は、服収納部29の下部に配置される(
図2参照)。他の実施形態では、玄関27の排気口37は靴収納部28の下部に配置されてもよい。各排気口37には、開閉可能なシャッター又はフィルタが設けられてよい。排気通路31は、4つの排気口37のそれぞれから換気ファン32に向かって延びる4つの上流側管路部40を有する。各上流側管路部40は、切替弁42を介して互いに接続されている。切替弁42と換気ファン32との間には、上流側管路部40の一部としてダクト等によって形成された共通管路部43が設けられている。
【0030】
切替弁42は、玄関27に連通する上流側管路部40と、浴室23に連通する上流側管路部40、洗面脱衣室22に連通する上流側管路部40及びトイレ24に連通する上流側管路部40とのどちらか一方の管路部を、共通管路部43を介して換気ファン32に接続する。切替弁42は例えば、センサ44又はスイッチと、切替弁42のダンパーを駆動する電磁弁と、センサ44又はスイッチからの信号に基づいて電磁弁を制御する制御装置45とを含むように構成されてよい。本実施形態ではセンサ44は浴室23、洗面脱衣室22及びトイレ24に配置されている。センサ44は湿度センサ又は人感センサであってよい。制御装置45はセンサ44の検出結果に基づいて、切替弁42の通路切替状態(ダンパーの位置)を制御する。例えば、センサ44に人感センサを用いる場合、浴室23、洗面脱衣室22又はトイレ24に居る人を感知することによってセンサ44が反応し、制御装置45に検出信号を出力する。制御装置45はセンサ44から検出信号を受け取り、浴室23に連通する上流側管路部40、洗面脱衣室22に連通する上流側管路部40及びトイレ24に連通する上流側管路部40を共通管路部43を介して換気ファン32に接続するようにダンパーの位置を制御する。これにより、浴室23、洗面脱衣室22又はトイレ24が使用されている場合、切替弁42は浴室23に連通する上流側管路部40、洗面脱衣室22に連通する上流側管路部40及びトイレ24に連通する上流側管路部40と換気ファン32に繋がる共通管路部43とを接続する。洗面室が使用されていない場合、切替弁42は玄関27に連通する上流側管路部40と共通管路部43とを接続する。なお、センサ44の代わりにスイッチが使用されてもよく、スイッチは浴室23、洗面脱衣室22又はトイレ24に設けられた照明のスイッチと連動するように設けられてもよい。またスイッチは、使用者がリモートコントロールできるよう、例えば台所21に設けられてもよい。
【0031】
図2に示すように、服収納部29は、玄関27から第1部屋18に向けて延在する第1側壁46と、第1側壁46に対向して配置される第2側壁47と、第1側壁46及び第2側壁47の第1部屋18側の端部同士を連結する第3側壁48とを有する。また服収納部29は、第1側壁46、第2側壁47及び第3側壁48の上端部を連結する上壁49と、第1側壁46、第2側壁47及び第3側壁48の下端部を連結する下壁50とを有する。服収納部29の第3側壁48に対向する部位は開口になっており、この開口を塞ぐように扉(図示せず)が設けられている。これにより、第1側壁46、第2側壁47、第3側壁48、上壁49、下壁50及び扉の各内面によって服収納部29内に収納空間51が形成される。服収納部29には服53をかけるためのハンガーパイプ54が第1側壁46と第2側壁47との間に架け渡されるように設けられている。第1側壁46、第2側壁47及び第3側壁48は間仕切り壁16であってもよく、間仕切り壁16とは別に設けられてもよい。
【0032】
第1側壁46、第2側壁47、第3側壁48、上壁49及び下壁50は内部に空間を有する。下壁50と第1側壁46との当接部及び上壁49と第1側壁46との当接部は開口しており、それらの内部は互いに連通している。下壁50の玄関27側の面には玄関27と下壁50の内部とを連通するための複数の孔によって形成された排気口37が設けられている。上壁49の内面には、上壁49の内部と収納空間51とを連通するための複数の孔によって形成された第1通気口55が設けられている。これにより、服収納部29は下壁50に設けられた排気口37から上壁49に設けられた第1通気口55に至る第1排気通路部56を有する。上壁49の内部にはフィルタ57が配置されている。フィルタ57は除塵及び除菌フィルタであってよい。第2側壁47の内面には、収納空間51と第2側壁47の内部とを連通するための複数の孔によって形成された第2通気口58が設けられている。第2側壁47の外面には第3通気口59が設けられ、第3通気口59には上流側管路部40が接続している。これにより、収納空間51も排気通路31の一部をなす。
【0033】
以上のように構成された換気装置3における空気の流れについて
図3及び
図2を参照して説明する。
図3に示すように切替弁42は、玄関27に連通する上流側管路部40と共通管路部43とを繋げている。まず排気通路31に設けられた換気ファン32によって、屋内の空気は排出口38を経由して屋外に排出される。具体的には、屋内の空気は、トイレ24に設けられた排気口37から上流側管路部40、換気ファン32、下流側管路部41及び排出口38を経由して屋外に排気される。
【0034】
また、屋内の空気は服収納部29の下部に設けられた排気口37をも経由して屋外に排気される。具体的には、
図2に示すように屋内の空気は排気口37から第1排気通路部56及びフィルタ57を経由して服収納部29の上部に至る。屋内の空気はフィルタ57を通過して収納空間51に流れる。その後、屋内の空気は収納空間51の空気と混ざり合いながら、収納空間51を上から下へ流れる。屋内の空気及び収納空間51の空気は収納空間51の下部に設けられた第2通気口58、第2側壁47の内部、第3通気口59、上流側管路部40、換気ファン32、下流側管路部41及び排出口38を経由して屋外に排気される。
【0035】
換気ファン32によって屋内の空気は屋外に排気されるため、屋内の気圧は屋外の気圧よりも低くなる。この気圧差を補完するべく、屋外の空気が屋内に取り込まれる。すなわち屋外の空気は、各室に設けられた給気通路30を介して各室内に取り込まれる。窓14を開けることによって、窓14の開放部から屋外の空気が室内に取り込まれてもよい。各室内に取り込まれた空気は各排気口37に向かって流れる。このとき各室のドア26が閉じられた状態であっても、ドア26下部と床との間に設けられた隙間を経由して空気が流れる。これらの給気及び排気によって換気が行われる。
【0036】
以上のように構成された換気装置3の効果を以下に説明する。換気装置3においては、少なくとも玄関27に排気口37が設けられている。そのため屋内の空気は、玄関27の排気口37に向かうように流れる。したがって屋内の換気が行われつつ、玄関27の換気も行われる。玄関27の換気は、玄関27の空気を室内に流れることを抑制して行われる。よって、玄関27に取り込まれた菌や埃、或いは廊下15に滞留する菌や埃が、室内を経由することなく屋外に排出される。
【0037】
排気通路31は、排気口37と換気ファン32との間に設けられた上流側管路部40と、換気ファン32と排出口38との間に設けられた下流側管路部41とを有する。排気通路31の管路部では空気の流れが速いため、菌や埃が滞留しにくい。よって菌や埃が排気通路31に滞留することや、排気通路31に滞留した菌や埃が隙間から室内に取り込まれることが抑制される。また、上流側管路部40及び下流側管路部41の長さを調整することによって、換気ファン32を所望の位置に配置することができため、換気ファン32の配置における自由度が増す。
【0038】
排気通路31は、3つの排気口37のそれぞれから換気ファン32に向かって延びる3つの上流側管路部40を有し、洗面脱衣室22に連通する上流側管路部40と玄関27に連通する上流側管路部40とは、切替弁42を介して互いに接続されている。これにより、切替弁42によって玄関27の換気と洗面脱衣室22の換気とを切り替えることができる。汎用品の換気ファン32の接続数は限られているため、上記の各上流側管路部40は汎用品の換気ファン32に接続できない。したがって、切替弁42によって複数の上流側管路部40が集約されるため、汎用品の換気ファン32とは別に特殊な換気ファン32を用意する必要がない。よって、換気装置3のコストの上昇を抑制することができる。また、玄関27の換気と、浴室23の換気、洗面脱衣室22の換気又は、トイレ24の換気とを切り替えることができる。
【0039】
切替弁42は、洗面脱衣室22に対応するセンサ44と、センサ44の検出結果に基づいて切替弁42の通路切替状態(具体的には、ダンパーの位置)を制御する制御装置45とを含むように構成されている。これにより、洗面脱衣室22の使用状況に応じて、玄関27の換気と洗面脱衣室22の換気とが切り替わる。つまり、切替操作が不要であり、便利に使用できることから、換気装置3の商品性が向上する。
【0040】
埃は重力によって屋内の上部よりも下部に溜まり易い。
図2に示すように、本実施形態では玄関27の排気口37は服収納部29の下壁50、すなわち玄関27の壁の下部に設けられている。これにより、玄関27の上部に比べて埃が溜まりやすい玄関27の下部から換気が行われる。よって、玄関27の壁の上部に排気口37が設けられた場合に比べ、玄関27に溜る埃の量が低減する。
【0041】
上記のように玄関27の排気口37は服収納部29の下部に設けられ、服収納部29の収納空間51は排気通路31の一部をなす。したがって、玄関27の換気と併せて、服53又は靴に付着した菌や埃を除去することができる。
【0042】
服収納部29は、排気口37から収納空間51の上部に至る第1排気通路部56を有し、空気が収納空間51を上から下へ流れるように構成されている。これにより、空気の流れによって服収納部29に収納された服53に付着した菌や埃が収納空間51の下に落とされる。
【0043】
服収納部29は、第1排気通路部56に設けられたフィルタ57を有している。これにより、玄関27に滞留した菌や埃はフィルタ57に吸着される。そのため、菌や埃が収納空間51、排気通路31及び換気ファン32を通って屋外に流れて屋内に滞留することを抑制できる。或いは、第1排気通路部56に除菌装置が配置されてもよい。この場合、玄関27に滞留した菌は除菌装置によって取り除かれる。
【0044】
≪第2実施形態≫
次に、
図4を参照して本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図4に示すように、第2実施形態における換気装置3は、第1実施形態の換気装置3と比較して換気ファン32及び浴室23に配置された排気口37の構成が異なる。即ち、浴室23に配置された排気口37は換気ファン32と一体となって形成される。これにより、玄関27に連通する上流側管路部40、洗面脱衣室22に連通する上流側管路部40及びトイレ24に連通する上流側管路部40は、切替弁42を介して接続されている。切替弁42は、玄関27に連通する上流側管路部40と、洗面脱衣室22に連通する上流側管路部40及びトイレ24に連通する上流側管路部40とのどちらか一方を、共通管路部43を介して換気ファン32に接続する。
【0046】
このように切替弁42は、制御装置45によって通路切替状態(ダンパーの位置)の位置を制御され、玄関27に連通する上流側管路部40と、洗面脱衣室22に連通する上流側管路部40及びトイレ24に連通する上流側管路部40とのどちらか一方の管路部を換気ファン32に繋がる共通管路部43に接続する。浴室23の換気は、玄関27の換気と、洗面脱衣室22の換気及びトイレ24の換気との切替に連動されるとよい。換気装置3がこのように構成されていても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0047】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、換気の方法には排気通路31側に換気ファン32を設けた第3種換気方式が採用されているが、第1種換気方式又は第2種換気方式が採用されてもよい。本発明の換気ファン32及び排気通路31の大部分は天井裏に設けられているが、床下空間に設けられてもよい。また玄関27の排気口37は、靴収納部28に設けられてもよく、玄関27を画定する間仕切り壁16に設けられてもよい。更に、排気口37は浴室23、洗面脱衣室22及び、トイレ24に配置される必要はなく、例えばリビングルーム17に配置されてもよい。また、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更することができる。また、上記実施形態に示した各構成要素は全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 :建物
3 :換気装置
22 :洗面脱衣室
23 :浴室
24 :トイレ
27 :玄関
28 :靴収納部(収納部)
29 :服収納部(収納部)
30 :給気通路
31 :排気通路
32 :換気ファン
37 :排気口
38 :排出口
40 :上流側管路部
41 :下流側管路部
42 :切替弁
44 :センサ
45 :制御装置
51 :収納空間
53 :服
56 :第1排気通路部
57 :フィルタ
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた換気装置であって、
屋外の空気を屋内に取り込むための給気通路と、
前記屋内の空気を前記屋外に排出するための排気通路と、
前記給気通路及び前記排気通路の少なくとも一方に設けられた換気ファンと、を有し、
前記排気通路は、前記屋内の空気を取り込むべく前記屋内に設けられた少なくとも1つの排気口と、前記屋外に設けられた排出口と、を有し、
前記排気口が前記建物の少なくとも玄関の壁の下部に設けられ、
前記玄関には、服を収納する収納空間を画定する収納部が設けられ、前記収納空間が前記排気通路の一部をなし、前記収納部を通過した空気が前記排出口から前記屋外に排出される、換気装置。
【請求項2】
前記排気通路における前記排気口と前記収納空間との間に設けられた除菌装置を更に有する、請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記排気通路における前記排気口と前記収納空間との間に設けられたフィルタを更に有する、請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
前記排気通路は、前記排気口から取り込まれた空気を前記収納空間内に送り込むべく前記収納部の上部に設けられた第1通気口と、前記収納空間内の空気を前記収納空間外に排出するべく前記収納部の下部に設けられた第2通気口とを有し、空気が前記収納空間を上から下へ流れるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項5】
前記収納部は、前記収納空間に設けられた、前記服をかけるためのハンガーパイプを有する、請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記換気ファンは前記排気通路に設けられ、
前記排気通路は、前記排気口と前記換気ファンとの間に設けられた上流側管路部と、前記換気ファンと前記排出口との間に設けられた下流側管路部とを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項7】
前記換気ファンは前記排気通路に設けられ、前記排気口が前記建物の浴室、洗面脱衣室又は、トイレに更に設けられ、
前記排気通路は、前記排気口のそれぞれと前記換気ファンとの間に設けられた複数の上流側管路部と、前記換気ファンと前記排出口との間に設けられた下流側管路部と、を有し、
複数の前記上流側管路部が切替弁を介して互いに接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項8】
前記排気口が設けられた前記浴室、前記洗面脱衣室又は、前記トイレに対応するセンサ又はスイッチと、
前記センサの検出結果又は前記スイッチの状態に基づいて前記切替弁を制御する制御装置と、を更に有する、請求項7に記載の換気装置。
【請求項9】
前記収納部は、前記排気口から前記第1通気口に至る第1排気通路部を有する請求項4に記載の換気装置。