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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058173
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240418BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165360
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 由弥
(72)【発明者】
【氏名】古林 通孝
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA09
4D002AA19
4D002BA03
4D002BA14
4D002CA11
4D002CA13
4D002DA05
4D002DA06
4D002DA11
4D002DA12
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA01
4D002GB03
(57)【要約】
【課題】排ガスから二酸化炭素を容易かつ適切に回収する。
【解決手段】排ガス処理装置1は、排ガスが流れる煙道9に設けられる集じん機32と、煙道9において集じん機32の上流側に位置する薬剤供給位置P2に、二酸化炭素と化学反応する粉末状のCO処理薬剤を供給する薬剤供給部22と、集じん機32にて捕集された捕集物を回収し、CO処理薬剤から二酸化炭素が取り出される温度まで捕集物を加熱する捕集物加熱部41とを備える。これにより、排ガスから二酸化炭素を容易かつ適切に回収することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス処理装置であって、
排ガスが流れる煙道に設けられる集じん機と、
前記煙道において前記集じん機の上流側に位置する薬剤供給位置に、二酸化炭素と化学反応する粉末状の薬剤を供給する薬剤供給部と、
前記集じん機にて捕集された捕集物を回収し、前記薬剤から二酸化炭素が取り出される温度まで前記捕集物を加熱する捕集物加熱部と、
を備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排ガス処理装置であって、
前記煙道において前記薬剤供給位置の上流側に設けられる他の集じん機と、
前記煙道において前記他の集じん機の上流側に、粉末状のアルカリ薬剤を供給する他の薬剤供給部と、
をさらに備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排ガス処理装置であって、
前記捕集物加熱部において加熱された前記捕集物が、前記薬剤として再生されて前記薬剤供給部において再利用されることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の排ガス処理装置であって、
前記薬剤が金属水酸化物であり、前記捕集物加熱部において加熱された前記捕集物の水和反応により、前記捕集物が前記薬剤として再生されることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記捕集物加熱部内に水蒸気を供給する水蒸気供給部と、
前記捕集物加熱部から排出される二酸化炭素含有水蒸気から、水と二酸化炭素とを分離する分離部と、
をさらに備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記捕集物加熱部内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
前記捕集物加熱部から排出される二酸化炭素含有ガスから、不活性ガスと二酸化炭素とを分離する分離部と、
をさらに備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記捕集物加熱部内に水蒸気を供給する水蒸気供給部と、
前記捕集物加熱部内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
前記捕集物加熱部から排出されるガスから、水と二酸化炭素とを分離する分離部と、
前記ガスから、不活性ガスと二酸化炭素とを分離するもう1つの分離部と、
をさらに備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記集じん機内における前記排ガスの温度が、100~200℃であることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記集じん機にて捕集された前記捕集物の一部が、前記捕集物加熱部を経由することなく、前記薬剤供給位置に供給されることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記集じん機を通過した前記排ガスの一部が、前記煙道における前記集じん機の上流側に戻されることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項11】
排ガス処理装置であって、
排ガスが流れる煙道に設けられる第1集じん機と、
前記煙道において前記第1集じん機の上流側に、粉末状のアルカリ薬剤を供給する第1薬剤供給部と、
前記煙道において前記第1集じん機の下流側に設けられる第2集じん機と、
前記煙道において前記第1集じん機と前記第2集じん器との間に位置する薬剤供給位置に、二酸化炭素と化学反応する粉末状の薬剤を供給する第2薬剤供給部と、
を備え、
前記第2集じん機内における前記排ガスの温度が、100~200℃であることを特徴とする排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石炭火力発電所や廃棄物等の焼却施設において、燃焼排ガスの二酸化炭素(CO)回収の需要が高まっている。二酸化炭素回収技術として、従来のアミン系の化学吸収法では、有機系薬剤の性能の制約から40℃程度まで排ガス温度を下げる必要がある。無機アルカリ系の薬剤等を用いるプロセスでも、反応性・反応速度や、二酸化炭素吸収後の薬剤のリサイクルの観点から、当該薬剤等を液体に溶かした吸収液を、排ガスと接触させるプロセスが多い。
【0003】
なお、特許文献1では、飛灰に廃棄物焼却炉から排出される排ガスを接触させることにより、飛灰中に含まれるCa(OH)、CaO等のアルカリ成分に排ガス中の二酸化炭素を反応させて炭酸化させる手法が開示されている。これにより、飛灰のpHを低下させて重金属類の溶出を抑制することが可能となる。特許文献2の排ガス処理システムでは、1段目バグフィルタおよび2段目バグフィルタが設けられる。2段目バグフィルタに吹き込まれた酸性ガス除去薬剤と排ガス中の酸性ガス成分との反応で生じた反応生成物と、該反応に使われなかった未反応の酸性ガス除去薬剤との混合物が2段目バグフィルタから排出される。当該混合物は、1段目バグフィルタの上流側のダクトへと供給されて1段目バグフィルタで有効利用される。非特許文献1の「3.2 Ca(OH)の炭酸化」では、低湿度および高湿度の二酸化炭素雰囲気中でCa(OH)の炭酸化を行った結果、図3の上段のように、低湿度雰囲気では、Ca(OH)の初期含水率0%から30%にかけて炭酸化率が上昇し、初期含水率30%から60%にかけて炭酸化率が減少することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-53873号公報
【特許文献2】特許第6413038号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】野馬幸生および貴田晶子、「高アルカリ飛灰の炭酸化と処理飛灰の溶出特性」、廃棄物学会論文誌、1997年、vol.8、No.4、pp.129-137
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の二酸化炭素回収技術において、排ガスの温度を40℃まで下げる場合には大型の設備やエネルギーが必要となり、実際には、排ガスの再加熱が必要となる場合もある。また、排ガスに対し吸収液を接触させるプロセスでは、排液の処理等が必要になり、工程が複雑になる。したがって、排ガスから二酸化炭素を容易かつ適切に回収する新規な手法が求められている。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、排ガスから二酸化炭素を容易かつ適切に回収することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様1は、排ガス処理装置であって、排ガスが流れる煙道に設けられる集じん機と、前記煙道において前記集じん機の上流側に位置する薬剤供給位置に、二酸化炭素と化学反応する粉末状の薬剤を供給する薬剤供給部と、前記集じん機にて捕集された捕集物を回収し、前記薬剤から二酸化炭素が取り出される温度まで前記捕集物を加熱する捕集物加熱部とを備える。
【0009】
本発明の態様2は、態様1の排ガス処理装置であって、前記煙道において前記薬剤供給位置の上流側に設けられる他の集じん機と、前記煙道において前記他の集じん機の上流側に、粉末状のアルカリ薬剤を供給する他の薬剤供給部とをさらに備える。
【0010】
本発明の態様3は、態様2の排ガス処理装置であって、前記捕集物加熱部において加熱された前記捕集物が、前記薬剤として再生されて前記薬剤供給部において再利用される。
【0011】
本発明の態様4は、態様3の排ガス処理装置であって、前記薬剤が金属水酸化物であり、前記捕集物加熱部において加熱された前記捕集物の水和反応により、前記捕集物が前記薬剤として再生される。
【0012】
本発明の態様5は、態様1ないし4のいずれか1つの排ガス処理装置であって、前記捕集物加熱部内に水蒸気を供給する水蒸気供給部と、前記捕集物加熱部から排出される二酸化炭素含有水蒸気から、水と二酸化炭素とを分離する分離部とをさらに備える。
【0013】
本発明の態様6は、態様1ないし4のいずれか1つの排ガス処理装置であって、前記捕集物加熱部内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、前記捕集物加熱部から排出される二酸化炭素含有ガスから、不活性ガスと二酸化炭素とを分離する分離部とをさらに備える。
【0014】
本発明の態様7は、態様1ないし4のいずれか1つの排ガス処理装置であって、前記捕集物加熱部内に水蒸気を供給する水蒸気供給部と、前記捕集物加熱部内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、前記捕集物加熱部から排出されるガスから、水と二酸化炭素とを分離する分離部と、前記ガスから、不活性ガスと二酸化炭素とを分離するもう1つの分離部とをさらに備える。
【0015】
本発明の態様8は、態様1ないし4のいずれか1つ(態様1ないし7のいずれか1つであってもよい。)の排ガス処理装置であって、前記集じん機内における前記排ガスの温度が、100~200℃である。
【0016】
本発明の態様9は、態様1ないし4のいずれか1つ(態様1ないし8のいずれか1つであってもよい。)の排ガス処理装置であって、前記集じん機にて捕集された前記捕集物の一部が、前記捕集物加熱部を経由することなく、前記薬剤供給位置に供給される。
【0017】
本発明の態様10は、態様1ないし4のいずれか1つ(態様1ないし9のいずれか1つであってもよい。)の排ガス処理装置であって、前記集じん機を通過した前記排ガスの一部が、前記煙道における前記集じん機の上流側に戻される。
【0018】
本発明の態様11は、排ガス処理装置であって、排ガスが流れる煙道に設けられる第1集じん機と、前記煙道において前記第1集じん機の上流側に、粉末状のアルカリ薬剤を供給する第1薬剤供給部と、前記煙道において前記第1集じん機の下流側に設けられる第2集じん機と、前記煙道において前記第1集じん機と前記第2集じん器との間に位置する薬剤供給位置に、二酸化炭素と化学反応する粉末状の薬剤を供給する第2薬剤供給部とを備え、前記第2集じん機内における前記排ガスの温度が、100~200℃である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排ガスから二酸化炭素を容易かつ適切に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る排ガス処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】第2実施形態に係る排ガス処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】第3実施形態に係る排ガス処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】第4実施形態に係る排ガス処理装置の構成を示すブロック図である。
図5】第5実施形態に係る排ガス処理装置の構成を示すブロック図である。
図6】排ガス処理装置の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る排ガス処理装置1の構成を示すブロック図である。排ガス処理装置1は、例えば、都市ごみ等の廃棄物を焼却処理する焼却設備に設けられる。本実施の形態では、焼却設備において焼却炉と煙突とを接続するガス流路である煙道9に排ガス処理装置1が設けられる。図1では、煙道9の一部を太い実線にて示している。焼却設備では、図示省略の誘引通風機により、焼却炉にて発生する排ガス(燃焼ガス)が煙道9へと排出され、排ガス処理装置1を介して煙突へと導かれる。排ガス処理装置1では、煙道9を流れる排ガスに対して所定の処理が行われる。
【0022】
排ガス処理装置1は、第1薬剤供給部21と、第2薬剤供給部22と、第1集じん機31と、第2集じん機32と、飛灰貯留タンク311と、捕集物加熱部41と、水和再生部42と、薬剤タンク43と、COガスタンク49とを備える。後述するように、第1薬剤供給部21および第2薬剤供給部22は、煙道9内に所定の薬剤を供給する。煙道9では、排ガスの流れ方向における上流側から下流側に向かって(すなわち、焼却炉から煙突に向かって)、第1薬剤供給部21による薬剤供給位置P1(以下、「第1薬剤供給位置P1」という。)、第1集じん機31、第2薬剤供給部22による薬剤供給位置P2(以下、「第2薬剤供給位置P2」という。)、第2集じん機32が順に設けられる。
【0023】
第1薬剤供給部21は、例えばテーブルフィーダ等を有し、第1薬剤供給位置P1において煙道9内に粉末状のアルカリ薬剤を吹き込む。すなわち、第1薬剤供給部21は、煙道9内を流れる排ガスにアルカリ薬剤を供給する。アルカリ薬剤は、脱塩および脱硫用の薬剤であり、例えば消石灰(水酸化カルシウム(Ca(OH)))を含む。アルカリ薬剤は、水酸化ドロマイト[Ca(OH)・Mg(OH)]等の他のカルシウム系薬剤(カルシウム含有薬剤)を含んでよく、カルシウム系以外の薬剤を含んでもよい。
【0024】
第1集じん機31は、ろ過式(バグフィルタ)であり、排ガスに含まれる飛灰をろ布により捕集する。また、第1薬剤供給部21により供給されるアルカリ薬剤も、ろ布に捕集される。飛灰およびアルカリ薬剤は、ろ布上に堆積する。第1集じん機31は、煙道9においてアルカリ薬剤を捕集する薬剤捕集部である。第1集じん機31の内部では、排ガスがろ布を通過する際に、当該ろ布に堆積するアルカリ薬剤と、排ガスに含まれる酸性ガスとの反応が生じ、排ガスから当該酸性ガスが除去される。当該酸性ガスは、例えば、塩化水素(HCl)、硫黄酸化物(SOx)等である。アルカリ薬剤による酸性ガスの除去は、煙道9においても生じる。
【0025】
第1集じん機31では、ろ布に堆積した飛灰およびアルカリ薬剤等が、圧縮ガスを利用した逆洗動作により、払い落とされる。逆洗動作では、排ガスの流れ方向における下流側から上流側に向かって、ろ布に対して圧縮ガス(パルスジェット)が供給される。圧縮ガスは、例えば圧縮空気である。第1集じん機31には、飛灰貯留タンク311が接続されており、ろ布から払い落とされた飛灰およびアルカリ薬剤等、すなわち、第1集じん機31による捕集物は、飛灰貯留タンク311に排出されて貯留される。第1集じん機31を通過した排ガスは、飛灰をほとんど含まない。図示しないが、第1集じん機31から払い落とされた飛灰およびアルカリ薬剤は煙道9に(例えば、第1集じん機31の上流側に)再循環させてよく、この場合、公知の飛灰再循環装置を使うことができる。
【0026】
第2薬剤供給部22は、例えばテーブルフィーダ等を有し、第2薬剤供給位置P2において煙道9内に粉末状の無機系薬剤を吹き込む。すなわち、第2薬剤供給部22は、煙道9内を流れる排ガスに当該薬剤を供給する。当該薬剤は、排ガス中の二酸化炭素(CO)ガスの回収に用いられるものであり、以下、「CO処理薬剤」という。CO処理薬剤は、二酸化炭素と化学反応する物質であり、例えば、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化カルシウム、酸化カルシウム(CaO)等のアルカリ薬剤である。CO処理薬剤は、第1薬剤供給部21から煙道9に供給されるアルカリ薬剤と同じであってよく、異なっていてもよい。以下の説明では、CO処理薬剤が水酸化マグネシウムであるものとする。
【0027】
第2集じん機32は、ろ過式(バグフィルタ)であり、第2薬剤供給部22により供給されたCO処理薬剤をろ布により捕集する。CO処理薬剤は、ろ布上に堆積する。第2集じん機32は、煙道9においてCO処理薬剤を捕集する薬剤捕集部である。排ガスに含まれる僅かな飛灰が、第2集じん機32のろ布に捕集されてよい。第2集じん機32の内部では、排ガスがろ布を通過する際に、当該ろ布に堆積するCO処理薬剤と、排ガスに含まれるCOガスとの反応が生じる。CO処理薬剤が水酸化マグネシウムである本処理例では、(Mg(OH)+CO→MgCO+HO)で表される炭酸化反応が生じ、排ガスからCOガスが除去される。換言すると、排ガス中のCOガスがCO処理薬剤に吸収される。第2集じん機32に流入する排ガスでは、COガスよりもCO処理薬剤と反応しやすい酸性ガスが除去されていることにより、排ガスからCOガスを効率よく除去することが可能である。なお、水酸化カルシウム等の他の金属水酸化物や、酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物をCO処理薬剤として用いる場合も同様に、炭酸化反応が生じる。
【0028】
また、焼却設備では、煙道9において第2集じん機32よりも上流側に(図1の例では、第1集じん機31よりも上流側)に減温部51が設けられており、排ガスの温度が所定の温度域に低下している。減温部51は、例えば、排ガスに水を噴霧する減温塔や、ボイラ等の熱交換器である。第2集じん機32に流入する排ガスの温度は、例えば、60~250℃であり、好ましくは、100~200℃である。このように、減温部51による排ガスの減温により、第2集じん機32に流入する排ガスの相対湿度が比較的高くなっている。その結果、第2集じん機32では、CO処理薬剤の表面に水分を存在させ、炭酸化反応を効率よく進行させることができる。CO処理薬剤によるCOガスの除去は、煙道9においても生じる。排ガス処理装置1の設計によっては、減温部51が第1集じん機31と第2集じん機32との間に設けられてもよい。また、減温部51において水分(水蒸気)が排ガスに混合されてもよい。
【0029】
ところで、上述の非特許文献1である、野馬幸生および貴田晶子による「高アルカリ飛灰の炭酸化と処理飛灰の溶出特性」(廃棄物学会論文誌、1997年、vol.8、No.4、pp.129-137)では、低湿度の二酸化炭素雰囲気において、Ca(OH)の初期含水率0%から30%にかけてCa(OH)の炭酸化率が上昇し、初期含水率30%から60%にかけて炭酸化率が減少することが示されている。したがって、CO処理薬剤によるCOガスの除去(すなわち、CO処理薬剤の炭酸化)を促進するには、第2集じん機32の内部では、所定体積の排ガスに対して供給されるCO処理薬剤の重量の10~30%程度の重量の水分が、当該所定体積の排ガスに含まれることが好ましいと考えられる。
【0030】
第2集じん機32では、ろ布に堆積したCO処理薬剤(炭酸化後のCO処理薬剤を含む。)等が、第1集じん機31と同様の逆洗動作により、払い落とされる。第2集じん機32には、捕集物加熱部41が接続されており、ろ布から払い落とされたCO処理薬剤等、すなわち、第2集じん機32による捕集物は、捕集物加熱部41に排出されて回収される。当該捕集物は、未反応のCO処理薬剤、および、炭酸化後のCO処理薬剤(本処理例では、Mg(OH)、および、MgCO)を主として含む。
【0031】
捕集物加熱部41は、電気式の加熱器や、蒸気熱交換式の加熱器等であり、回収した捕集物を加熱する。捕集物加熱部41による捕集物の加熱温度は、第2集じん機32における排ガスの温度よりも高い。捕集物の加熱温度の下限は、例えば、250℃であり、好ましくは300℃であり、より好ましくは350℃である。捕集物の加熱温度の上限は、例えば、600℃であり、好ましくは500℃であり、より好ましくは400℃である。捕集物の加熱により、炭酸化後のCO処理薬剤からCOガスが取り出される。本処理例では、捕集物を350~400℃に加熱することにより、(MgCO→MgO+CO)で表される脱炭酸が生じる。取り出されたCOガスは、COガスタンク49に排出されて貯留される。このように、CO処理薬剤を用いて排ガスからCOガスが回収される。捕集物加熱部41による加熱では、未反応のCO処理薬剤(Mg(OH))が、MgOに変化してもよい。他の金属水酸化物や金属酸化物をCO処理薬剤として用いる場合も同様に、加熱によりCOガスが取り出される。捕集物加熱部41における捕集物の加熱温度は、炭酸化後のCO処理薬剤からCOガスを取り出することが可能な温度であれば、適宜変更されてよい。
【0032】
捕集物加熱部41による加熱後の捕集物は、水和再生部42に送られる。本処理例では、当該捕集物は、主として酸化マグネシウム(脱炭酸後のCO処理薬剤等)を含む。当該捕集物には、未反応のCO処理薬剤(水酸化マグネシウム)が含まれてもよい。水和再生部42では、酸化マグネシウムを水と反応させることにより(水和により)、水酸化マグネシウムの粉末が生成される。換言すると、脱炭酸後のCO処理薬剤が水和され、CO処理薬剤として再生される。酸化マグネシウムの水和による水酸化マグネシウムの生成は、周知の手法にて行われてよい。他の金属水酸化物をCO処理薬剤として用いる場合も同様である。金属酸化物をCO処理薬剤として用いる場合は、炭酸化後のCO処理薬剤の加熱により金属酸化物が生成(再生)されてもよい。図1では、再生されたCO処理薬剤を「再生薬剤」と記している(他の図において同様)。
【0033】
その後、再生されたCO処理薬剤(水酸化マグネシウムの粉末)は、薬剤タンク43に送られて貯留される。薬剤タンク43には、必要に応じて未使用のCO処理薬剤が供給される。第2薬剤供給部22は、薬剤タンク43からCO処理薬剤を取り出し、既述のように、煙道9を流れる排ガスにCO処理薬剤を供給する。なお、捕集物加熱部41および水和再生部42では、捕集物の少なくとも一部がCO処理薬剤として再生されていればよい。
【0034】
以上に説明したように、排ガス処理装置1は、集じん機32(第2集じん機32)と、薬剤供給部22(第2薬剤供給部22)と、捕集物加熱部41とを備える。集じん機32は、排ガスが流れる煙道9に設けられる。薬剤供給部22は、煙道9において集じん機32の上流側に位置する薬剤供給位置P2に、二酸化炭素と化学反応する粉末状のCO処理薬剤を供給する。捕集物加熱部41は、集じん機32にて捕集された捕集物を回収し、CO処理薬剤から二酸化炭素が取り出される温度まで捕集物を加熱する。これにより、排ガス処理装置1では、排ガスの温度を過度に下げることなく、また、処理が容易ではない吸収液(溶液)を用いることなく、排ガスから二酸化炭素を容易かつ適切に回収することが可能となる。
【0035】
好ましくは、集じん機32内における排ガスの温度が、100~200℃である。これにより、集じん機32に流入する排ガスの相対湿度が高くなり、CO処理薬剤の炭酸化反応を効率よく進行させることができ、排ガスから多くの二酸化炭素を除去することが可能となる。
【0036】
好ましくは、排ガス処理装置1が、他の集じん機31(第1集じん機31)と、他の薬剤供給部21(第1薬剤供給部21)とをさらに備える。当該集じん機31は、煙道9において薬剤供給位置P2の上流側に設けられる。当該薬剤供給部21は、煙道9において当該集じん機31の上流側に、粉末状のアルカリ薬剤を供給する。これにより、上流側の集じん機31において、排ガスに含まれる酸性ガスおよび飛灰を予め除去することができ、下流側の集じん機32において二酸化炭素を効率よく回収することができる。なお、排ガス処理装置1の設計によっては、上記他の集じん機31および他の薬剤供給部21が省略されてもよい。
【0037】
好ましくは、捕集物加熱部41において加熱された捕集物(の少なくとも一部)が、CO処理薬剤として再生されて薬剤供給部22において再利用される。このように、CO処理薬剤を再利用することにより、排ガス処理装置1におけるランニングコストを削減することができる。この場合に、CO処理薬剤が金属水酸化物であり、捕集物加熱部41において加熱された捕集物の水和反応により、捕集物がCO処理薬剤として再生されることが好ましい。これにより、CO処理薬剤の再利用を容易に実現することができる。
【0038】
ところで、CO処理薬剤の再利用では、排ガス中に残存する(第1集じん機31にて除去されなかった)微量の塩化水素、硫黄酸化物等によって、一部のCO処理薬剤が塩化物や硫酸化合物に変質(劣化)する。このような変質したCO処理薬剤は、捕集物加熱部41および水和再生部42による処理によっても再生しないため、変質したCO処理薬剤の量が増大すると、COガスの回収量が低下する。したがって、好ましい排ガス処理装置1では、例えば、炭酸化後のCO処理薬剤から取り出されるCOガスの濃度を測定するCO濃度センサが、捕集物加熱部41とCOガスタンク49との間に設けられる。そして、当該濃度が所定値未満に低下した場合(すなわち、COガスの回収率が低下した場合)、捕集物加熱部41内のCO処理薬剤の一部または全部が外部に排出されて処分され、新たな(未使用の)CO処理薬剤が多く使用される。
【0039】
上記処理では、CO濃度センサが、煙道9における第2集じん機32の下流側に設けられ、当該センサの測定値に基づいてCOガスの回収率の低下が検出されてもよい。また、第2集じん機32と捕集物加熱部41との間に捕集物分配部(後述の図4の捕集物分配部46参照)が配置され、捕集物分配部により、第2集じん機32からの捕集物(CO処理薬剤)の一部または全部が外部に排出されてもよい。以上のように、排ガス処理装置1では、COガスの回収率に基づいて、再利用されるCO処理薬剤の量を調整することにより、排ガスからCOガスを安定して回収することが可能となる。
【0040】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る排ガス処理装置1の構成を示すブロック図である。図2の排ガス処理装置1は、図1の排ガス処理装置1と比較して、水和再生部42が省略されるとともに、第2薬剤供給部22に水が供給される点で相違する。他の構成は、図1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0041】
第2薬剤供給部22では、脱炭酸後の金属酸化物(例えば、酸化マグネシウム)の水和により金属水酸化物(水酸化マグネシウム)が生成され、CO処理薬剤が再生される。すなわち、第2薬剤供給部22が水和再生部を兼ねている。図2の排ガス処理装置1においても、CO処理薬剤を再利用することにより、排ガス中の二酸化炭素の回収に要するランニングコストを削減することができる。なお、排ガス処理装置1の構成によっては、薬剤タンク43において、CO処理薬剤が再生されてもよい。
【0042】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係る排ガス処理装置1の構成を示すブロック図である。図3の排ガス処理装置1では、図1の排ガス処理装置1と比較して、水和再生部42が省略されるとともに、水蒸気供給部44および復水器45が追加される。他の構成は、図1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0043】
水蒸気供給部44は、捕集物加熱部41に接続され、捕集物加熱部41内に水蒸気を連続的に供給する。既述のように、捕集物加熱部41では、捕集物の加熱により、炭酸化後のCO処理薬剤からCOガスが取り出される。このとき、捕集物加熱部41内をスイープガスとして流れる水蒸気により、捕集物加熱部41内のCOガスの分圧が低下するため、比較的低い温度での脱炭酸を促進することが可能となる。また、脱炭酸後のCO処理薬剤(ここでは、主として酸化マグネシウム)と水蒸気との水和も促進され、CO処理薬剤(水酸化マグネシウム)が再生される。図3の排ガス処理装置1では、捕集物加熱部41が水和再生部を兼ねる。再生されたCO処理薬剤は、薬剤タンク43に送られて貯留される。捕集物加熱部41では、さらに、捕集物に含まれる未反応のCO処理薬剤(水酸化マグネシウム)の脱水反応も抑制される。
【0044】
一方、取り出されたCOガスは、水蒸気に混合されて復水器45に送られる。以下、COガスが混合された水蒸気を、「CO含有水蒸気」という。復水器45では、冷却によりCO含有水蒸気に含まれる水が凝縮する(すなわち、復水される)。換言すると、CO含有水蒸気から水が除去され、濃縮されたCOガスが得られる。復水器45には、真空ポンプ等を有するガス抽出器が設けられており、濃縮されたCOガスはガス抽出器により抽出され、COガスタンク49に貯留される。凝縮した水(復水)は、図示省略の復水タンクに送られる。
【0045】
以上のように、図3の排ガス処理装置1は、捕集物加熱部41内に水蒸気を供給する水蒸気供給部44と、捕集物加熱部41から排出される二酸化炭素含有水蒸気から、水と二酸化炭素とを分離する分離部(図3の例では、復水器45)とをさらに備える。これにより、CO分圧の低下によるCO発生反応(脱炭酸)の促進、脱炭酸後のCO処理薬剤(CO脱離後の金属酸化物)の水和促進、および、捕集物加熱部41内の未反応のCO処理薬剤の脱水抑制を実現することができる。
【0046】
図3の排ガス処理装置1では、捕集物加熱部41内に水蒸気以外のガスが供給されてもよく、一例では、捕集物加熱部41内に不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)を供給する不活性ガス供給部が、水蒸気供給部44に代えて設けられる。この場合、捕集物加熱部41から排出される二酸化炭素含有ガスから、当該不活性ガスと二酸化炭素とを分離する分離部(例えば、膜分離法により二酸化炭素を分離する分離部)が設けられる。このような排ガス処理装置1では、CO分圧の低下によるCO発生反応(脱炭酸)の促進が可能となり、水分による腐食の影響等の軽減も可能となる。
【0047】
また、捕集物加熱部41内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部、および、水蒸気を供給する水蒸気供給部44の双方を設けることもできる。この場合、捕集物加熱部41から排出される二酸化炭素含有ガスから、当該不活性ガスと二酸化炭素とを分離する分離部、および、水と二酸化炭素とを分離する分離部が設けられる。これらのガスを捕集物加熱部41内に供給することで、CO発生反応(脱炭酸)の促進が可能になる。不活性ガス供給部および水蒸気供給部44が1つのガス供給部として設けられ、混合ガスが捕集物加熱部41内に供給されてもよい。この場合も、排ガス処理装置1が、不活性ガス供給部および水蒸気供給部44を有するものと捉えられる。
【0048】
なお、不活性ガスと二酸化炭素とを分離する分離部、および、水と二酸化炭素とを分離する分離部の設置順序は、選択する技術によって変わるため順不同である。例えば、水と二酸化炭素とを分離する分離部(脱湿器、復水器等)に次いで、不活性ガスと二酸化炭素とを分離する分離部(PSA、ゼオライト膜等)を設置する、または、不活性ガスと二酸化炭素とを分離する分離部(アミン膜、化学吸収法による装置等)に次いで、水と二酸化炭素とを分離する分離部(復水器等)を設置することが考えられる。
【0049】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態に係る排ガス処理装置1の構成を示すブロック図であり、煙道9において第1集じん機31から下流側に設けられる構成のみを図示している(後述の図5および図6において同様)。図4の排ガス処理装置1では、図1の排ガス処理装置1と比較して、捕集物分配部46が追加される。他の構成は、図1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0050】
捕集物分配部46は、第2集じん機32と捕集物加熱部41との間に配置される。捕集物分配部46は、例えば、コンベアおよびゲートを有し、第2集じん機32のろ布から払い落とされた捕集物をコンベアにより搬送しつつ、ゲートの開閉により、捕集物を捕集物加熱部41と第2薬剤供給部22とに分配供給する。捕集物の分配比率は、一定であってもよく、捕集物加熱部41または第2薬剤供給部22における貯留量等に基づいて変更されてもよい。捕集物加熱部41では、捕集物の加熱により捕集物からCOガスが取り出され、水和再生部42によりCO処理薬剤が再生されて薬剤タンク43に貯留される。第2薬剤供給部22では、薬剤タンク43からのCO処理薬剤と、捕集物分配部46から供給された捕集物(すなわち、炭酸化後のCO処理薬剤を含む捕集物)とが混合されて、第2薬剤供給位置P2に供給される。
【0051】
以上のように、図4の排ガス処理装置1では、第2集じん機32にて捕集された捕集物の一部が、捕集物加熱部41を経由することなく、第2薬剤供給位置P2に供給される。これにより、新たなCO処理薬剤の使用量を削減することができ、排ガス処理装置1におけるランニングコストを削減することができる。
【0052】
(第5実施形態)
図5は、本発明の第5実施形態に係る排ガス処理装置1の構成を示すブロック図である。図5の排ガス処理装置1では、図1の排ガス処理装置1と比較して、再循環ダンパ52が追加される。他の構成は、図1と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
【0053】
再循環ダンパ52は、煙道9において第2集じん機32の下流側に設けられる。再循環ダンパ52では、第2集じん機32から排出された排ガスの一部が再循環排ガスとして取り出され、再循環ライン521を介して、第2集じん機32の上流側に戻される。再循環ダンパ52は、排ガス再循環部である。第2集じん機32の内部では、再循環排ガスが、第1集じん機31から第2集じん機32に流入する排ガスと共に、ろ布(すなわち、CO処理薬剤が堆積したろ布)を通過する。これにより、当該排ガスおよび再循環排ガスに含まれるCOガスが除去される。再循環ダンパ52により取り出されなかった排ガスは、煙突に向かって煙道9を流れる。
【0054】
以上のように、図5の排ガス処理装置1では、第2集じん機32を通過した排ガスの一部が、煙道9における第2集じん機32の上流側に戻される。このように、排ガスの一部が第2集じん機32を繰り返し通過することにより、排ガス処理装置1における二酸化炭素の回収率を向上することができる。
【0055】
図6に示すように、排ガス処理装置1において、捕集物分配部46および再循環ダンパ52の双方が追加されてもよい。図6の排ガス処理装置1では、新たなCO処理薬剤の使用量を削減するとともに、二酸化炭素の回収率を向上することができる。
【0056】
上記排ガス処理装置1では様々な変形が可能である。
【0057】
上記排ガス処理装置1では、捕集物加熱部41において炭酸化後のCO処理薬剤からCOガスが取り出されるが、CO処理薬剤の炭酸化により排ガスから二酸化炭素を除去するという観点では、捕集物加熱部41が省略されてもよい。この場合、排ガス処理装置1が、排ガスが流れる煙道9に設けられる第1集じん機31と、煙道9において第1集じん機31の上流側に、粉末状のアルカリ薬剤を供給する第1薬剤供給部21と、煙道9において第1集じん機31の下流側に設けられる第2集じん機32と、煙道9において第1集じん機31と第2集じん機32との間に位置する薬剤供給位置P2に、二酸化炭素と化学反応する粉末状の薬剤(CO処理薬剤)を供給する第2薬剤供給部22とを備え、第2集じん機32内における排ガスの温度が、100~200℃であることが好ましい。これにより、CO処理薬剤の炭酸化反応を効率よく進行させ、排ガスから多くの二酸化炭素を除去することが可能となる。
【0058】
一方、排ガスから二酸化炭素を選択的に回収する(取り出す)という観点では、炭酸化後のCO処理薬剤からCOガスを取り出す捕集物加熱部41が、排ガス処理装置1に設けられることが重要である。この場合、第1集じん機31および第1薬剤供給部21を省略する場合でも、第2集じん機32において、排ガスに含まれるCOガスがCO処理薬剤によりある程度吸収される。そして、捕集物加熱部41によりCO処理薬剤からCOガスが取り出される。
【0059】
第1集じん機31および第2集じん機32は、電気集じん機や、サイクロン等、バグフィルタ以外の集じん機であってよい。
【0060】
捕集物に含まれるCO処理薬剤の再生および再利用は、必要に応じて行われるのみであってもよい。
【0061】
排ガス処理装置1は、火力発電所等、焼却設備以外の設備において用いられてもよい。
【0062】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0063】
1 排ガス処理装置
9 煙道
21 第1薬剤供給部
22 第2薬剤供給部
31 第1集じん機
32 第2集じん機
41 捕集物加熱部
44 水蒸気供給部
45 復水器
P2 第2薬剤供給位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6