(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058177
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/506 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H01R13/506
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165372
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】松井 元
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087RR06
5E087RR26
(57)【要約】
【課題】内壁と外壁とを有する第1ハウジングに、第2ハウジングが係止構造によって合体する場合において、係止状態の適否を容易に検知できるようにすることを目的とする。
【解決手段】コネクタ20は、ハウジングの合体構造を有するコネクタであって、外壁36と外壁よりも内側に位置する内壁42とを含む第1ハウジング30と、第1ハウジングと合体する第2ハウジング50と、を備え、第2ハウジングは、外壁と内壁との間に配置される係止片本体54aと、係止片本体から外壁側に突出する検知用突起部54cとを含む係止片54を有し、係止片本体と内壁との一方に係止凸部54bが形成されると共に、他方に係止凸部が係止する係止凹部43が形成され、外壁に検知用突起部が配置される検知用突起部54cが形成されている、コネクタである。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの合体構造を有するコネクタであって、
外壁と前記外壁よりも内側に位置する内壁とを含む第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと合体する第2ハウジングと、
を備え、
前記第2ハウジングは、前記外壁と前記内壁との間に配置される係止片本体と、前記係止片本体から前記外壁側に突出する検知用突起部とを含む係止片を有し、
前記係止片本体と前記内壁との一方に係止凸部が形成されると共に、他方に前記係止凸部が係止する係止凹部が形成され、
前記外壁に前記検知用突起部が配置される検知用開口が形成されている、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記検知用突起部の突出長は、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止状態が不正常である場合に、前記検知用突起部が前記外壁から外側に突出する大きさに設定されている、コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記検知用突起部の突出長は、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止状態が正常である場合に、前記検知用突起部が前記外壁の外面よりも内側に位置する大きさに設定されている、コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記第1ハウジングは、電線接続部と相手側端子への接続部とを有する端子を収容する端子収容部を有し、前記端子収容部のうち前記電線接続部側が開口しており、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの開口を閉じるカバーである、コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記係止片は、前記外壁と前記内壁との間に前記係止片本体が配置された状態で、前記係止片本体から前記外壁側に突出し前記外壁の内面に押付けられるがたつき防止突起部をさらに含む、コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載のコネクタであって、
前記がたつき防止突起部は、前記係止片本体において、前記係止凸部又は前記係止凹部よりも基端側に形成されている、コネクタ。
【請求項7】
請求項5に記載のコネクタであって、
前記検知用突起部と前記がたつき防止突起部とは、前記検知用突起部の挿入方向に交差する方向において異なる位置に位置する、コネクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記外壁は、一対の外側壁を含み、
前記内壁は、前記一対の外側壁の内側に位置し、連結壁部によって連結された一対の内側壁を含み、
前記検知用開口は、前記外側壁のうち前記連結壁部に対向する位置に形成されており、
前記検知用突起部は、前記連結壁部の外側で、前記検知用開口内に配置される、コネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記検知用突起部は、前記係止片本体の突出方向に沿って細長い凸形状に形成されている、コネクタ。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記検知用突起部は、少なくとも前記係止片本体の先端で前記外壁側に突出している、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、扁平角柱状の第1検知部をコネクタハウジングの開口に挿入し、挿入された第1検知部とランスとの接触の有無によってランス部の撓み変形を検知し、もって、雌端子の挿入状態を確認する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1ハウジングが複数壁を有する場合に、第2ハウジングが内側の壁に係止する場合がある。この場合、係止構造を外から観察することは困難であり、係止の適否を検知することは困難である。
【0005】
なお、上記特許文献1の適用を想定すると、細長い検知部を壁間に挿入することとなる。細長い検知部は強度的に劣るため、他の手段によって係止構造の適否を検知できることが望まれる。
【0006】
そこで、本開示は、内壁と外壁とを有する第1ハウジングに、第2ハウジングが係止構造によって合体する場合において、係止状態の適否を容易に検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、ハウジングの合体構造を有するコネクタであって、外壁と前記外壁よりも内側に位置する内壁とを含む第1ハウジングと、前記第1ハウジングと合体する第2ハウジングと、を備え、前記第2ハウジングは、前記外壁と前記内壁との間に配置される係止片本体と、前記係止片本体から前記外壁側に突出する検知用突起部とを含む係止片を有し、前記係止片本体と前記内壁との一方に係止凸部が形成されると共に、他方に前記係止凸部が係止する係止凹部が形成され、前記外壁に前記検知用突起部が配置される検知用開口が形成されている、コネクタである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、内壁と外壁とを有する第1ハウジングに、第2ハウジングが係止構造によって合体する場合において、係止状態の適否を容易に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
【
図5】
図5はコネクタを示す一部破断分解斜視図である。
【
図7】
図7は不正常係止状態におけるコネクタを示す斜視図である。
【
図8】
図8は不正常係止状態におけるコネクタを示す断面図である。
【
図9】
図9は不正常係止状態の検知作業例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示のコネクタは、次の通りである。
【0012】
(1)ハウジングの合体構造を有するコネクタであって、外壁と前記外壁よりも内側に位置する内壁とを含む第1ハウジングと、前記第1ハウジングと合体する第2ハウジングと、を備え、前記第2ハウジングは、前記外壁と前記内壁との間に配置される係止片本体と、前記係止片本体から前記外壁側に突出する検知用突起部とを含む係止片を有し、前記係止片本体と前記内壁との一方に係止凸部が形成されると共に、他方に前記係止凸部が係止する係止凹部が形成され、前記外壁に前記検知用突起部が配置される検知用開口が形成されている、コネクタである。
【0013】
本開示によると、係止凸部が係止凹部に正常に係止できない場合、係止片本体が外壁側に弾性変形し、検知用突起部が正常係止状態よりも外側に位置する。検知用開口内における検知用突起部の位置によって、係止状態の適否が容易に検知される。
【0014】
(2)(1)のコネクタであって、前記検知用突起部の突出長は、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止状態が不正常である場合に、前記検知用突起部が前記外壁から外側に突出する大きさに設定されていてもよい。
【0015】
これにより、外壁からの検知用突起部の突出長によって、係止状態の適否が容易に検知される。
【0016】
(3)(2)のコネクタであって、前記検知用突起部の突出長は、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係止状態が正常である場合に、前記検知用突起部が前記外壁の外面よりも内側に位置する大きさに設定されていてもよい。
【0017】
これにより、検知用突起部が外壁から突出するか否かによって、係止状態の適否が容易に検知される。
【0018】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのコネクタであって、前記第1ハウジングは、電線接続部と相手側端子への接続部とを有する端子を収容する端子収容部を有し、前記端子収容部のうち前記電線接続部側が開口しており、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの開口を閉じるカバーであってもよい。
【0019】
端子を収容する第1ハウジングと、当該第1ハウジングの後方開口を閉じるカバーとの係止状態の適否が容易に検知される。
【0020】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのコネクタであって、前記係止片は、前記外壁と前記内壁との間に前記係止片本体が配置された状態で、前記係止片本体から前記外壁側に突出し前記外壁の内面に押付けられるがたつき防止突起部をさらに含んでもよい。
【0021】
この場合、がたつき防止突起部が外壁の内面に押付けられるので、第1ハウジングと第2ハウジングとの間のがたつきが抑制される。また、がたつき防止突起部は、係止片を内壁に向けて押し、もって、係止凸部と係止凹部とが係止状態を維持するのにも貢献する。
【0022】
(6)(5)のコネクタであって、前記がたつき防止突起部は、前記係止片本体において、前記係止凸部又は前記係止凹部よりも基端側に形成されていてもよい。
【0023】
この場合、係止凸部が係止凹部に係止した後、がたつき防止突起部が外側壁に押付けられるようにすることができる。これにより、がたつき防止突起部は、係止凸部が係止凹部に係止する作業性を妨げずに、がたつき防止できる。
【0024】
(7)(5)又は(6)のコネクタであって、前記検知用突起部と前記がたつき防止突起部とは、前記検知用突起部の挿入方向に交差する方向において異なる位置に位置してもよい。これにより、がたつき防止突起部によってがたつきを抑制しつつ、係止状態の適否が容易に検知される。
【0025】
(8)(1)から(7)のいずれか1つのコネクタであって、前記外壁は、一対の外側壁を含み、前記内壁は、前記一対の外側壁の内側に位置し、連結壁部によって連結された一対の内側壁を含み、前記検知用開口は、前記外側壁のうち前記連結壁部に対向する位置に形成されており、前記検知用突起部は、前記連結壁部の外側で、前記検知用開口内に配置されていてもよい。
【0026】
この場合、検知用突起部の内側に連結壁部が位置するため、コネクタの抜差し時に検知用開口の周り及び検知用突起部に力が加わっても、第1ハウジング及び第2ハウジングが変形し難く、合体状態が解除され難い。
【0027】
(9)(1)から(8)のいずれか1つのコネクタであって、前記検知用突起部は、前記係止片本体の突出方向に沿って細長い凸形状に形成されていてもよい。
【0028】
このように、検知用突起部を薄くすることで、検知用開口の開口幅を小さくできるので、外壁の強度を確保し易い。また、検知用突起部を細長くすることで、検知用突起部の強度を確保し易い。
【0029】
(10)(1)から(9)のいずれか1つのコネクタであって、前記検知用突起部は、少なくとも前記係止片本体の先端で前記外壁側に突出していてもよい。
【0030】
係止片の係止状態が不正常である場合、係止片本体の先端が最も外壁側に位置し易い。そこで、検知用突起部が、少なくとも前記係止片本体の先端で外壁側に突出することで、係止状態の不正常を検知し易い。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタについて説明する。
図1及び
図2はコネクタ20を示す斜視図である。
図3は
図1のIII-III線断面図である。
図4はコネクタ20を示す分解斜視図である。
図5はコネクタ20を示す一部破断分解斜視図である。
図6は
図2のVI-VI線断面図である。
【0033】
<全体構成>
コネクタ20は、複数のハウジングの合体構造を有するコネクタである。コネクタ20は、第1ハウジング30と、第2ハウジング50とを備える。第1ハウジング30と第2ハウジング50とが合体することで、少なくとも端子12を収容する空間、本実施形態では、端子12及び当該端子12から延出する電線16を収容する空間を形成するハウジングを構成する。
【0034】
第1ハウジング30は、樹脂等による金型成形部品であり、端子収容部32を有している。端子収容部32内に、端子コアユニット22が収容されている(
図3参照)。
【0035】
端子コアユニット22は、端子12及び端子12を保持する端子ホルダ24を含む。端子12は、金属板のプレス加工等によって形成された部品であり、電線接続部と相手側端子接続部とを含む。電線接続部と相手側接続部とは例えば直線状に連なっている。端子12の一端部の電線接続部が電線16の端部に圧着等によって接続されている。相手側接続部は、例えば、筒状に形成されておおり、相手側端子のピン状又はタブ状のオス接続部が当該相手側接続部に挿入接続される。
【0036】
端子ホルダ24は、端子12を保持する樹脂部品である。例えば、端子コアユニット22は、複数の端子12を含む。端子ホルダ24は、複数の端子12を相互に絶縁した状態で、所定の配列で保持する。複数の端子12が端子ホルダ24によって保持された状態で、当該端子ホルダ24が第1ハウジング30の端子収容部32内に保持される。これにより、第1ハウジング30において、複数の端子12が所定の配列状態で容易に保持され得る。
【0037】
端子収容部32は、内部に端子ホルダ24を保持することによって、内部に端子12を保持する。端子収容部32は、外側筒部34と、外側筒部34よりも内側に位置する内側筒部40とを含む。
【0038】
本実施形態では、内側筒部40は、端子ホルダ24を囲む筒状に形成されており、外側筒部34は、内側筒部40を、間隔をあけて囲う筒状に形成されている。本実施形態では、内側筒部40及び外側筒部34は、角筒状に形成されている。ここで、角筒状とは、角が直角である角筒だけでなく、角筒の角が丸められている形状であってもよい。
【0039】
内側筒部40と外側筒部34とは、それらの軸方向中間部に位置する仕切壁31を介して連なっている。仕切壁31は、内側筒部40の外周面と外側筒部34の内周面との間に介在し、内側筒部40と外側筒部34との間に隙間を形成するスペーサとしての役割を果す。
【0040】
内側筒部40及び外側筒部34のうち仕切壁31よりも一方側に延出する部分は、相手側コネクタに接続される部分である。内側筒部40のうち仕切壁31よりも一方側の部分は、角筒状に形成されたコネクタ接続内端部41Fに形成されている。コネクタ接続内端部41Fは、端子12のうち相手側端子接続部を囲む。外側筒部34のうち仕切壁31よりも一方側の部分は、コネクタ接続内端部41Fを、間隔をあけて囲むコネクタ接続外端部34Fに形成されている。以下の説明において、便宜上、端子収容部32の軸方向において、相手側コネクタが接続される側を前、その反対側を後ろという場合がある。また、後述するロック片34Faが延出する側を上、電線引出収容部38が延出する側を下という場合がある。さらに、それらの上下方向を前提として、前を向いた状態で、左右が参照される場合がある。
【0041】
端子12と相手側端子との接続箇所が、コネクタ接続内端部41Fとコネクタ接続外端部34Fとで囲まれることで、当該接続箇所に対する止水性、保護性が高められる。また、コネクタ接続内端部41F及び仕切壁31と、相手側コネクタのハウジングとの間に環状シールを介在させることができ、これにより、上記接続箇所に対する止水性が高められる。
【0042】
内側筒部40及び外側筒部34のうち仕切壁31よりも一方側(前側)に延出する部分は、相手側コネクタに接続される部分である。内側筒部40のうち仕切壁31よりも前側に延出する部分は、角筒状に形成されたコネクタ接続内端部41Fに形成されている。コネクタ接続内端部41Fは、端子12のうち相手側端子接続部を囲む。ここでは、コネクタ接続内端部41Fは、端子コアユニット22の一端部(前端部)を収容する。外側筒部34のうち仕切壁31よりも一方側(前側)に延出する部分は、コネクタ接続内端部41Fを、間隔をあけて囲むコネクタ接続外端部34Fに形成されている。コネクタ接続外端部34Fの周方向の一部(上部)に、相手側コネクタに係止するロック片34Faが形成されている。
【0043】
内側筒部40及び外側筒部34のうち仕切壁31よりも後側に延出する部分は、端子12の電線接続部及び端子12から延出する電線16を収容する部分である。
【0044】
内側筒部40のうち仕切壁31よりも後側部分は、コネクタ接続内端部41Fの延長上に延び、かつ、角筒状の内側収容端部41Rに形成されている。内側収容端部41Rに端子コアユニット22の後端部が収容される。また、端子コアユニット22から延出する電線16が内側収容端部41R内で曲って内側収容端部41Rの軸方向に対して交差する方向に導出される。
【0045】
外側筒部34のうち仕切壁31よりも後側に延出する部分は、内側収容端部41Rを、間隔をあけて囲む外側収容端部34Rに形成されている。外側収容端部34Rは、コネクタ接続外端部34Fの延長上に延出している。
【0046】
コネクタ接続外端部34F及び外側収容端部34Rの周方向の一部に、相手側コネクタに係止するロック片34Faが形成されている。内側収容端部41R及び外側収容端部34Rのうち電線接続部側、即ち、後側は開口している。
【0047】
上記のように、第1ハウジング30の内側筒部40が端子コアユニット22を囲んでおり、外側筒部34に相手側コネクタとのロックのための構造が設けられる。このため、端子コアユニット22を保持するための形状と、相手側コネクタとのロックのための形状とを別々に容易に設計し易い。
【0048】
第1ハウジング30は、さらに、電線引出収容部38を有している。電線引出収容部38は、上記端子収容部32と共に樹脂で金型一体成形された部分である。電線引出収容部38は、角筒状に形成されている。電線引出収容部38の一端部は、外側筒部34の外周部の一部に連なっている。本実施形態では、電線引出収容部38は、外側筒部34のうちロック片34Faとは反対側の下部分に連なっている。電線引出収容部38の内部空間は、内側収容端部41R及び外側収容端部の後方内部空間に連なっている(
図3参照)。端子コアユニット22の後方に引出される電線は、内側収容端部41R及び外側収容端部の後部空間内で曲って、前記後方開口縁の凹みを通って、端子収容部32の軸方向に交差する方向に引出される。
【0049】
電線引出収容部38の後部は、開口しており、当該開口は、内側収容端部41Rの後方開口と連続している。よって、第1ハウジング30の後部には、端子収容部32の後方から電線引出収容部38の後側壁に向うセット用開口33が形成される。
【0050】
セット用開口33は、端子収容部32の後方に開口しているため、端子コアユニット22を、当該セット用開口33を通じて端子収容部32内にセットし易い。また、セット用開口33は、端子収容部32の後方から電線引出収容部38に向って開口している。このため、端子コアユニット22のセット作業時に、当該端子コアユニット22から延出する電線16を、セット用開口33を通じて第1ハウジング30から引出しておくことができる。このため、端子コアユニット22のセット作業時に、電線16の取回スペースを確保し易い。
【0051】
電線引出収容部38のうち端子収容部32とは反対側の端部は、全体が囲まれた引出端部39に形成されている。電線16は、電線引出収容部38内を通り、さらに、当該引出端部39を通って外側に引出される。
【0052】
第2ハウジング50は、樹脂等で金型一体成形された部品であり、上記第1ハウジング30と合体する部品である。本実施形態では、第2ハウジング50は、第1ハウジング30のセット用開口33を閉じるカバーである。
【0053】
すなわち、第2ハウジング50は、セット用開口33を閉じるカバー本体52を備える。カバー本体52は、セット用開口33に嵌込可能な形状に形成されている。端子コアユニット22が端子収容部32内に収容され、端子コアユニット22が延出する電線16が電線引出収容部38内に収容された状態で、第2ハウジング50がセット用開口33を塞ぐ。これにより、端子12及び電線16が外部から区切られた空間内に収容される。例えば、カバー本体52とセット用開口33との間に環状シール部が介在配置され、かつ、電線引出収容部38から電線16が延出する開口がゴム栓等で止水されることで、端子12の電線接続部と電線16との接続箇所が良好に止水される。
【0054】
<係合構造について>
第1ハウジング30と第2ハウジング50とは、係合構造によって合体状態に保たれる。第1ハウジング30と第2ハウジング50との係合構造について説明する。
【0055】
第1ハウジング30は、外壁と、外壁よりも内側に位置する内壁とを含む。
【0056】
本実施形態では、外壁は、一対の外側壁36を含む。より具体的には、外側収容端部34Rの左右部分が一対の外側壁36である。外側壁36は、上下方向中間部の平板状部分と、当該平板状部分の上下に連なる湾曲部分とを含む。平板状部分は、上下及び前後方向に沿っている。湾曲部分は、平板状部分の上縁又は下縁から外側に凸となるように湾曲しつつ、第1ハウジング30の幅方向中央に向けて湾曲している部分である。外側壁36の上下縁が外側収容端部34Rの天井部分又は底部分によって支持される一対の支持縁である。外側壁36は、上下の支持縁を支持箇所として、内外方向に弾性変形可能であり、上下方向中央部が最も変位し易い箇所である。外側壁36は、上下方向中央の平板状部分に直交する外側(つまり、左方向又は右方向)に沿って見て観察され得る部分であると把握されてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、内壁は、一対の内側壁42を含む。より具体的には、内側収容端部41Rの左右部分が一対の内側壁42である。一対の内側壁42は、一対の外側壁36の内側に位置している。内側壁42の外側面は、右又は左を向く平面に形成されている(
図5参照)。内側壁42の上下縁が内側収容端部41Rの天井部分又は底部分によって支持される一対の支持縁である。内側収容端部41Rの天井部分及び底部分は、一対の内側壁42を連結状態に保つ連結壁部41Raである。内側壁42は、一対の連結壁部41Raによる上下の支持縁を支持箇所として、内外方向に弾性変形可能であり、上下方向中央部が最も弾性変形し易い箇所である。
【0058】
上記内側壁42に、係止凹部43が形成されている(
図5及び
図6参照)。係止凹部43は、後述する係止凸部54bが係止する凹みである。係止凹部43は、内側壁42の外面から見て凹んでいればよく、有底の凹みであってもよいし、内側壁を貫通する凹みであってもよい。
【0059】
本実施形態では、係止凹部43は、内側壁42のうち後縁から前側に離れて位置で凹む有底凹部である。
【0060】
係止凹部43は、内側壁42のうち上下の支持縁の中間領域に形成されている。内側壁42のうち上下の支持縁の中間領域とは、例えば、当該上下の支持縁に対して離れた中間領域であり、例えば、側面視において、内側収容端部41Rの天井部分又は底部分による支持箇所から内側に離れた領域である。
【0061】
本実施形態では、1つの内側壁42に2つの係止凹部43が形成されている。2つの係止凹部43は、内側壁42の上下方向に並ぶように形成されている。2つの係止凹部43の一方は、内側壁42の上側の支持縁と内側壁42の上下方向中央ラインとの間に位置し、他方は、内側壁42の下側の支持縁と上下方向中央ラインとの間に位置する。なお、係止凹部43の数は任意であり、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0062】
外側壁36に、検知用開口37h1が形成されている。検知用開口37h1は、後述する検知用突起部54cが配置される開口である。検知用開口37h1は、外側壁36を厚み方向に貫通する開口である。検知用開口37h1は、外側壁36のいずれかの部分で貫通する開口であればよい。このため、検知用開口37h1は、外側壁36の外縁に達するスリット状の開口であってもよいし、周囲の全体が外側壁36によって囲まれた開口であってもよい。
【0063】
本実施形態では、検知用開口37h1は、外側壁36の後縁から前側に延びる細長いスリット状に形成されている。また、検知用開口37h1は、上下方向において、係止凹部43とは異なる位置に形成されている。
【0064】
本実施形態では、検知用開口37h1は、外側壁36のうち上縁寄りの位置に形成されている。より具体的には、検知用開口37h1は、外側壁36のうち、内側収容端部41Rの天井側の連結壁部41Raに対して左右方向に対向する位置に形成されている。よって、左又は右から検知用開口37h1を除くと、内側収容端部41Rのうち天井側の連結壁部41Raに対応する部分が観察され得る。
【0065】
第2ハウジング50は、上記外側壁36と内側壁42との間に挿入されて、内側壁42に係止する係止片54を含む。係止片54が内側壁42に係止し、かつ、その係止箇所が外側壁36によって覆われる。このため、内側壁42に係止した係止片54に、作業者の手又は周辺部材が接し難い。これにより、係止片54の係止が意図せず解除され難い。
【0066】
係止片54は、係止片本体54aと、係止凸部54bと、検知用突起部54cとを含む。
【0067】
係止片本体54aは、カバー本体52の側縁部から当該カバー本体52に対して直交する方向に突出する板状に形成されている。このため、カバー本体52でセット用開口33を閉じようとすると、係止片本体54aが外側壁36と内側壁42との間に挿入され得る。
【0068】
係止片本体54aは、外側壁36と内側壁42との間の扁平な空間に配置可能な平板状に形成されている。係止片本体54aの上下方向寸法は、例えば、内側壁42の上下方向寸法と同程度又は当該寸法よりも大きく設定される。係止片本体54aの厚み寸法は、外側壁36と内側壁42との隙間寸法よりも小さく設定される。このため、係止片本体54aは、外側壁36と内側壁42との間で厚み方向に弾性変形できる。係止片本体54aの突出長は、外側壁36と内側壁42との間で、係止凹部43を越え、かつ、仕切壁31に達し無い程度の大きさに設定される。
【0069】
係止片本体54aから内側壁42側に突出するように係止凸部54bが形成される。本実施形態では、係止凹部43の位置及び数に合せて、2つの係止凸部54bが係止片本体54aに形成されている。2つの係止凸部54bは、係止片本体54aの内面先端であって、上下方向に離れて形成されている。係止凸部54bは、係止片本体54aの先端側に向って係止片本体54aの内面からの突出長が徐々に小さくなるガイド面54bfを有している。係止凹部は1つであってもよい。
【0070】
検知用突起部54cは、係止片本体54aから外側壁36側に突出する突起形状に形成されている。検知用突起部54cは、係止片本体54aが外側壁36と内側壁42との間に挿入された状態で、検知用開口37h1に配置される位置に形成されている。
【0071】
このため、係止片本体54aの係止凸部54bが内側壁42の係止凹部43に係止した状態で、検知用突起部54cの位置が検知用開口37h1を通じて外部から観察され得る。係止片本体54aの係止凸部54bが内側壁42の係止凹部43に正常に係止していると、係止片本体54aは内側壁42の外面に沿って延び、検知用突起部54cは検知用開口37h1の奥側に位置していることが想定される。係止片本体54aの係止凸部54bが内側壁42の係止凹部43に正常に係止していない場合、係止凸部54bは、係止凹部43の周囲で内側壁42の外面に乗上げていることが想定される。この場合、係止片本体54aは、内側壁42から離れる方向に弾性変形しているため、検知用突起部54cは上記正常係止状態における位置よりも検知用開口37h1の外開口側に位置していることが想定される。このため、コネクタ20の外側から検知用開口37h1内における検知用突起部54cの位置を確認することで、係止状態の適否が容易に検知され得る。
【0072】
より具体的には、係止片本体54aの上側の側縁は、内側壁42のうち天井側の連結壁部41Raの外側に沿って配置され、かつ、検知用開口37h1の内側に配置される。検知用突起部54cは、当該係止片本体54aの上側の側縁から外側壁36側に突出する形状に形成されている。
【0073】
このため、上記検知用突起部54cが形成される位置は、係止片本体54aの挿入方向に交差する方向(上下方向)において、係止凸部54bとは異なる位置である。よって、検知用突起部54cが配置される検知用開口37h1は、係止凸部54bと係止凹部43との係止箇所を露出させ難い。
【0074】
検知用突起部54cの形状は任意であるが、本実施形態では、検知用突起部54cは、係止片本体54aの突出方向に沿って細長い凸形状に形成されている。より具体的には、検知用突起部54cは、係止片本体54aの上側の側縁沿って延び、かつ、外側壁36側に突出する細長い突起形状に形成されている。このため、検知用突起部54cを細くしつつ、検知用突起部54cの強度を向上させ易い。検知用突起部54cを細くすることで、検知用開口37h1の幅を細くでき、外側壁36の強度を向上させ易い。
【0075】
また、検知用突起部54cは、少なくとも係止片本体54aの先端で外側壁36側に突出していることが好ましい。本実施形態では、細長い検知用突起部54cは、係止凸部54bを越えて係止片本体54aの先端に達している。
【0076】
内側壁42に対する係止凸部54bの係止状態が不正常である場合、係止片本体54aは基端を支持箇所として変形するため、係止片本体54aの先端部が最も内側壁42から離れて位置することが想定される。検知用突起部54cが少なくとも係止片本体54aの先端で外側壁36側に突出していれば、係止状態が不正常である場合に、検知用突起部54cの位置変動を大きくでき、係止状態の不正常を検知し易い。
【0077】
なお、検知用突起部54cが上記形状であることは必須ではない。例えば、検知用突起部は、係止片本体の突出方向の少なくとも一部において突出する円柱状、角柱状、半球状、錐状の突起であってもよい。
【0078】
検知用突起部54cの突出長は任意であるが、係止凹部43に対する係止凸部54bの係止状態が不正常である場合に、検知用突起部54cが外側壁36から外側に突出する大きさに設定されていることが好ましい。
【0079】
例えば、係止凸部54bが係止凹部43に不正常係止状態で、係止凸部54bが内側壁42の外面に乗上げているとする(
図8参照)。この状態で、検知用突起部54cの突出長P1に、係止片本体54aの厚み寸法P2と係止凸部54bの突出長P3を加算した寸法(P1+P2+P3)は、外側壁36と内側壁42との隙間寸法L3に、外側壁36の厚み寸法L2を加算した寸法(L2+L3)よりも大きい。
【0080】
これにより、外側壁36からの係止凸部54bの突出の有無によって、係止状態の適否が容易に検知される。
【0081】
さらに、検知用突起部54cの突出長は、係止凹部43に対する係止凸部54bの係止状態が正常である場合に、検知用突起部54cが外側壁36の外面よりも内側に位置する大きさに設定されていることが好ましい。
【0082】
例えば、係止凸部54bが係止凹部43に正常に係止した状態で、内側壁42の外面が係止片本体54aの内面に接触しているとする(
図6参照)。この状態で、検知用突起部54cの突出長P1は、係止片本体54aの外面と外側壁36との隙間寸法L1以上で、かつ、当該L1に外側壁36の厚み寸法L2を加算した寸法(L1+L2)よりも小さい。
【0083】
これにより、検知用突起部54cが外側壁36の外面から突出しているか否かを確認することによって、係止状態の適否を容易に検知できる。
【0084】
また、係止片54は、外側壁36と内側壁42との間に配置された状態で、係止片本体54aから外側壁36側に突出し外側壁の内面に押付けられるがたつき防止突起部54dをさらに含む。
【0085】
がたつき防止突起部54dの形成位置は任意であるが、係止凸部54bの裏側を避けた位置であることが好ましく、本実施形態では、係止片本体54aにおいて、係止凸部54bよりも基端側に形成されている。このため、係止凸部54bが内側壁42の外面に乗上げていく際に、がたつき防止突起部54dが外側壁36に接触する手前の状態とすることができ、係止片本体54aが外側に変形する動作を妨げ難い。
【0086】
また、検知用突起部54cが検知用開口37h1に入り込んでいく動作を妨げ難いようにするため、検知用突起部54cとがたつき防止突起部54dとは、検知用突起部54cの挿入方向に交差する方向において異なる位置に位置することが好ましい。
【0087】
本実施形態では、検知用突起部54cは、係止片本体54aの上側の側縁に形成されており、がたつき防止突起部54dは、検知用突起部54cから下方に離れた位置、ここでは、係止片本体54aの上下方向中間部に形成されている。
【0088】
がたつき防止突起部54dは、係止片本体54aの先端側に向けて徐々に突出長が小さくなるガイド面54dfを有する。係止片本体54aが外側壁36と内側壁42との間の奥に挿入されると、ガイド面54dfが外側壁36の縁に接触する。このため、がたつき防止突起部54dは、外側壁36の縁で止らずに、その内側に円滑に入っていくことができる。
【0089】
がたつき防止突起部54dの突出寸法は、係止片本体54aが外側壁36と内側壁42との間に入り込んだ状態で、外側壁36の内面に達することができる程度の大きさに設定されるとよい。
【0090】
なお、本実施形態では、電線引出収容部38の両側部に係止凸部38Pが形成されている。第2ハウジング50のうち電線引出収容部38に被さる部分の両側部に係止凹部58aを有する係止片58が形成されている。第1ハウジング30と第2ハウジング50とが合体した状態で、係止凸部38Pが係止片58の係止凹部58aに係止することによっても、第1ハウジング30と第2ハウジング50とが合体状態に保たれる。なお、係止凸部38P及び係止片58は省略されてもよい。
【0091】
<合体作業及び係止状態の適否検知作業例について>
第1ハウジング30と第2ハウジング50との合体作業時に、係止状態の適否を検知する作業例について説明する。
【0092】
第1ハウジング30に端子コアユニット22及び電線16が組付けられた状態で、当該第1ハウジング30に第2ハウジング50が合体される。
【0093】
合体作業時には、一対の係止片54が外側壁36と内側壁42との間に挿入される。すると、係止凸部54bのガイド面54bfが内側壁42の後端縁に接触し、係止片本体54aが外向きに弾性変形する。一対の係止片54がさらに奥に挿入されると、係止凸部54bが内側壁42の外面に沿って奥に進む。係止凸部54bが係止凹部43に達すると、係止凸部54bが係止凹部43内に入り込み、係止片本体54aが元の形状に弾性復帰する。
【0094】
係止凸部54bが係止凹部43に正常に係止した状態では、検知用突起部54cが検知用開口37h1内において内側、ここでは、外側壁36から突出しない位置に位置している(
図2及び
図6参照)。検知用突起部54cが検知用開口37h1内に位置し、外側壁36から突出していないことを確認することで、係止状態が正常であることが検知される。
【0095】
係止片54の挿入時後期に、がたつき防止突起部54dのガイド面54dfが外側壁36の後端縁に接触し、がたつき防止突起部54dが外側壁36の内側に入り込む。これにより、係止片54が外側壁36から離れる方向に押され、第1ハウジング30と第2ハウジング50との間のがたつきが防止される。また、がたつき防止突起部54dは、係止片54を内側壁42側に押すので、係止凸部54bと係止凹部43との係止状態が保たれ易い。
【0096】
係止凸部54bと係止凹部43との係止状態が不正常である場合には、係止凸部54bが係止凹部43の周りで内側壁42の外面に接していることが想定される。この場合には、係止片本体54aが内側壁42から離れる方向に弾性変形した状態となるため、検知用突起部54cが検知用開口37h1内において上記状態よりも外側に位置する。ここでは、検知用突起部54cは、外側壁36の外面よりも外側に突出する(
図7及び
図8参照)。このため、検知用突起部54cが外側壁36から突出していることを、コネクタ20の外から確認することで、係止状態が不正常であることが検知される。
【0097】
不正常であることの検知は、例えば、
図9に示すように、検査治具60を用いてなされてもよい。検査治具60は、例えば、コネクタ20の外面のうち検知用突起部54cの周りの部分を受入可能なセット面62を有する。係止状態が正常である場合には、検知用突起部54cはコネクタ20の外面に突出していないので、コネクタ20を上記セット面62にセットすることができる。係止状態が不正常である場合、検知用突起部54cはコネクタ20の外面から突出している。このため、コネクタ20を上記セット面62にセットしようとすると、検知用突起部54cがセット面62に干渉し、当該コネクタ20をセット面62にセットできない。このため、コネクタ20を検査治具60にセットできるか否かによって、係止状態の適否を検知できる。
【0098】
検知用突起部54cの状態は、目視、手等による触感、検知用突起部54cを撮像した画像に基づく画像処理、検知用突起部54cの状態を物理的に検知するセンサ等によってなされてもよい。
【0099】
図7において、係止凸部38Pが係止片58に正常に係止していても、係止凸部54bが係止凹部43に正常に係止していない場合もあり得、本実施形態では、当該不正常係止状態を容易に検知できる。
【0100】
<効果等>
以上のように構成されたコネクタ20によると、係止片本体54aに係止凸部54bが形成されると共に、内側壁42に係止凸部54bが係止する係止凹部43が形成されている。また、外側壁36に検知用突起部54cが配置される検知用開口37h1が形成されている。このため、係止凸部54bが係止凹部43に正常に係止できない場合、係止片本体54aが外側壁36側に弾性変形し、検知用突起部54cが正常係止状態よりも外側に位置する。検知用開口37h1内における検知用突起部54cの位置に応じて、係止状態の適否が容易に検知される。
【0101】
また、検知用突起部54cの突出長が、係止状態が不正常である場合に、外側壁36から外側に突出する大きさに設定されていれば、外側壁36からの検知用突起部54cの突出長を確認することによって、係止状態の適否が容易に検知される。
【0102】
また、検知用突起部54cの突出長が、係止状態が正常である場合に、検知用突起部54cが外側壁36の外面よりも内側に位置する大きさに設定されていれば、検知用突起部が外壁から突出するか否かによって、係止状態の適否が容易に検知される。
【0103】
また、第1ハウジング30は、端子収容部32を有するハウジングであり、第2ハウジング50が第1ハウジング30のセット用開口33を閉じるカバーであれば、セット用開口33が正常検知状態によって取付けられたカバーによって適切に塞がれているか否かが容易に確認される。
【0104】
また、係止片54が、がたつき防止突起部54dを含み、係止状態で、がたつき防止突起部54dが外側壁36の内面に押付けられる。このため、第1ハウジング30と第2ハウジング50とのがたつきが抑制される。また、がたつき防止突起部54dは、係止片54を内側壁42に向けて押し、もって、係止凸部54bと係止凹部43とが係止状態を維持するのにも貢献する。
【0105】
また、がたつき防止突起部54dは、係止片本体54aにおいて、係止凸部54bよりも基端側に形成されているため、係止凸部54bが係止凹部43に係止した後、がたつき防止突起部54dが外側壁36に押付けられるようにすることができる。これにより、がたつき防止突起部54dは、係止凸部54bが係止凹部43に係止する作業性を妨げずに、がたつき防止できる。
【0106】
また、検知用突起部54cとがたつき防止突起部54dとは、検知用突起部54cの挿入方向に交差する方向において異なる位置に位置するため、がたつき防止突起部によってがたつきを抑制しつつ、検知用突起部54cを利用すいた係止状態の適否が容易に検知される。
【0107】
また、検知用開口37h1は、外側壁36のうち連結壁部41Raに対向する位置に形成されており、検知用突起部54cは、連結壁部41Raの外側で検知用開口37h1内に配置される。このため、コネクタ20の抜差し時に検知用開口37h1の周り及び検知用突起部54cに力が加わっても、第1ハウジング30及び第2ハウジング50が変形し難く、合体状態が解除され難い。
【0108】
また、検知用突起部54cは、係止片本体54aの突出方向に沿って細長い凸形状に形成されているため、検知用突起部54cを薄くでき、これにより、検知用開口37h1の開口幅を小さくできる。これにより、外側壁36強度を確保し易い。また、検知用突起部54cを細長くすることで、検知用突起部54cの強度も確保し易い。
【0109】
また、検知用突起部54cは、少なくとも係止片本体54aの先端で外側壁36側に突出しているため、係止状態が不正常である場合に、検知用突起部54cを大きく外側に変位させることができる。これにより、係止状態の不正常を検知し易い。
【0110】
[変形例]
実施形態では、端子収容部を有する第1ハウジング30と、カバーである第2ハウジング50とが合体構造について説明された。本実施形態で説明された係合構造は、上記実施形態に限定されず、複数ハウジングの合体構造を有する各種コネクタに適用可能である。例えば、端子を収容するキャビティを有するハウジング本体と、当該ハウジング本体に合体するリテーナ又はカバーとの合体構造についても、内壁と外壁とを有する構成であれば、上記係合構造が適用され得る。
【0111】
なお、第1ハウジング30は、外壁を1つだけ備えていてもよい。また、第1ハウジング30は、内壁を1つだけ備えていてもよい。第1ハウジング30は、内壁の内側又は外壁の外側等に別に壁を備えていてもよい。
【0112】
本実施形態では、係止片本体54aに係止凸部54bが形成され、内側壁42に係止凹部43が形成される例が説明された。しかしながら、内側壁に外向けに突出する係止凸部が形成され、係止片本体に当該係止凸部が係止可能な係止凹部が形成されてもよい。
【0113】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0114】
12 端子
16 電線
20 コネクタ
22 端子コアユニット
24 端子ホルダ
30 第1ハウジング(ハウジング)
31 仕切壁
32 端子収容部
33 セット用開口
34 外側筒部
34F コネクタ接続外端部
34Fa ロック片
34R 外側収容端部
36 外側壁(外壁)
37h1 検知用開口
38 電線引出収容部
38P 係止凸部
39 引出端部
40 内側筒部
41F コネクタ接続内端部
41R 内側収容端部
41Ra 連結壁部
42 内側壁(内壁)
43 係止凹部
50 第2ハウジング(ハウジング)
52 カバー本体
54 係止片
54a 係止片本体
54b 係止凸部
54bf ガイド面
54c 検知用突起部
54d がたつき防止突起部
54df ガイド面
58 係止片
58a 係止凹部
60 検査治具
62 セット面